JP3921846B2 - 重量測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用の家電機器(調理器具または健康機器)に内蔵して提供する重量測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前記重量測定装置として一般的にはストレンゲージが使用されている。このストレンゲージは、例えば、電子レンジの場合、被加熱物の重量を測定して、その値に応じて加熱量を調整するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の重量測定装置では、被測定物の全重量を測定しているためダイナミックレンジが広いため、広範囲な重量値に対して精度が必要であるという課題を有している。すなわち、被加熱物の全重量を測定しているがために、内容物の変化量に比べて受け皿や鍋自体の重量が重い場合などは、変化量を正確に測定することが困難となる。
【0004】
この顕著な例としては、トイレの水洗浄便座に体重計を設置して、日々の体重変化を測定記録し、健康管理に役立てるような機器の場合、70kgの成人男子の体重変化は1〜3kgであるため、従来の技術では0〜75kgの範囲で±1.5kgを測定する必要があり、非常に測定範囲の広い重量センサと分解能の高いA/D変換手段が必要であった。
【0005】
また従来のこの種の風袋引き機能は特開昭52−3467号公報、特開平7−198458号公報、特開平9−26402号公報に記載されているようなものが一般的であったが、構成が複雑になるという課題を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内容物を収納した容器の外周部を支持する弾性体を有する外周支持部材と、前記容器の中央部で前記容器の重量から弾性体で支持される重量を差し引いた値を測定する重量センサと、この重量センサの信号をA/D変換する第1のA/D変換手段と、室温あるいは重量センサの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの信号をA/D変換する第2のA/D変換手段と、前記温度センサに基づき前記弾性体および前記重量センサの温度特性の補正を行う変換テーブルデータを記憶する記憶手段とを備え、第2のA/D変換手段と記憶手段からの信号に基づき、第1のA/D変換手段の信号を補正する制御回路を有する加熱調理機器用の重量測定装置としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載した発明は、内容物を収納した容器の外周部を支持する弾性体を有する外周支持部材と、前記容器の中央部で前記容器の重量から弾性体で支持される重量を差し引いた値を測定する重量センサと、この重量センサの信号をA/D変換する第1のA/D変換手段と、室温あるいは重量センサの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの信号をA/D変換する第2のA/D変換手段と、前記温度センサに基づき前記弾性体および前記重量センサの温度特性の補正を行う変換テーブルデータを記憶する記憶手段とを備え、第2のA/D変換手段と記憶手段からの信号に基づき、第1のA/D変換手段の信号を補正する制御回路を有する加熱調理機器用の重量測定装置としている。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0009】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の構成を示す要部断面図である。1は調理器の本体、2は容器、3は弾性体、4は本体1の外周支持部材である。5は重量センサ、6はA/D変換手段、7は演算手段を有する制御回路である。8は高周波のインバータ回路、9a〜9dはこのインバータ回路に接続された加熱コイルである。
【0010】
次に動作、作用について説明すると、前述したインバータ回路8が発生する高周波電流を供給されて、加熱コイル9が高周波磁界を発生する。
【0011】
この高周波磁界を受けて容器2の底部が発熱し調理されるものである。重量センサ5は容器2と内容物の合計重量から弾性体3が負担する重量を差し引いた重量を受けており、その値はA/D変換手段6を介して制御回路7へ入力される。制御回路7はその検出重量により加熱コイル9による加熱量を調整することにより、きめ細かな温度制御などがおこえるものである。
【0012】
このとき本実施例では、弾性体3が負担する重量は容器2の乾燥重量に概等しいか、やや少な目に設定している。従って、重量センサ5は内容物の重量を測定するだけで良いため、測定範囲を少なくできる。
【0013】
たとえば、一升炊きの誘導加熱式の炊飯器にこの重量センサを用いて、鍋重量1.2kg+米・水重量3.5kg=4.7kgの重量を測定する場合、従来の技術で有れば0〜4.7kgの範囲を測定できる重量センサが必要となる。しかしながら、本実施例によれば弾性体3による1kgの荷重軽減を行えるため、0〜3.7kgの範囲を測定できる重量センサを用いればよい。さらに、A/D変換手段6の分解能(ビット数)もその分少なくすることが可能となる。
【0014】
別な例として前述の体重計付き水洗浄便座の場合、70kgの成人男子を測定する場合、弾性体3により20kgの荷重軽減を行えば、50kg±1.5kgの測定を行えば良いことになる。
【0015】
以上のように本実施例によれば、弾性体3で容器の重量を負担することにより、安価な重量センサを使用した場合でも精度良く内容物の重量を測定することが可能となるものである。また、加重オーバーによるセンサ破壊を減らすこともできる。
【0016】
なお、実施例では圧縮方向の荷重軽減を行っているが、引っ張り方向の荷重を測定する場合にも適用できるのは明らかである。
【0017】
(実施例2)
次に本発明の第2の実施例について説明する。図2は本実施例の弾性体の側面図である。本実施例では、前記弾性体3は金属製スプリングとしている。本体の構成、動作、作用については、実施例1と同じであるので説明を割愛する。
【0018】
なお、金属製スプリングは図2の間隔を広げた部分10aと狭めた部分10bを持つ不等長スプリングとすることで、容器2を支持した状態でも間隔を広げた部分10aを微振動させ、変化量検出形の重量センサを使用することも可能である。
【0019】
たとえば、誘導加熱調理器にこの重量センサを用いた場合、調理中も重量測定が可能となるため、煮詰まってきたことを早期に(温度センサで検知する場合に比して)検知して、加熱量を減少させることが可能となり、安全性の高い調理器具を提供することができる。
【0020】
(実施例3)
続いて本発明の第3の実施例について説明する。図2は本実施例の弾性体の側面図である。本実施例では、前記弾性体3はゴムまたは樹脂としている。本体の構成、動作、作用については、実施例1と同じであるので説明を省略する。なお、弾性体はゴム、樹脂等、容器2の重量を印可しても可逆変形可能な部材であれば良い。
【0021】
(実施例4)
次に、本発明の第4の実施例について説明する。図4(a)は本実施例の構成を示す要部断面図である。
【0022】
図4(b)は弾性体として用いる金属打ち抜きのリーフスプリングの要部断面図、図4(c)同弾性体の斜視図である。図4(a)において、11は調理器の本体、12は容器、13は弾性体、14は本体1の外周支持部材である。15は重量センサ、16はA/D変換手段、17は制御回路である。18は高周波のインバータ回路、19a〜19dはこのインバータ回路に接続された加熱コイルである。
【0023】
次に動作、作用について説明すると、前述したインバータ回路18が発生する高周波電流を供給されて、加熱コイル19が高周波磁界を発生する。この高周波磁界を受けて容器12の底部が発熱し調理されるものである。重量センサ15は容器12と内容物の合計重量から弾性体13が負担する重量を差し引いた重量を受けており、その値はA/D変換手段16を介して制御回路17へ入力される。
【0024】
このとき本実施例では、実施例1と同様に弾性体13が負担する重量は容器12の乾燥重量に概等しか、やや少な目に設定している。従って、重量センサ15は内容物の重量を測定するだけで良いため、測定範囲を少なくできる。以上のように本実施例によれば、弾性体13で容器の重量を負担することにより、安価な重量センサを使用した場合でも精度良く内容物の重量を測定することが可能となるものである。
【0025】
本実施例4において、実施例1(または2、または3)と異なる点は、弾性体13の設置個所が、容器12の上部にあるつば部分を支えるようにしていることである。
【0026】
容器12の上部を支持することで、底部を支持する場合よりも、弾性体13の耐熱温度を下げることが可能となるものである。また、金属打ち抜きのリーフスプリングとすることにより、製造時のコストを低下させることが可能となるものである。
【0027】
なお、金属打ち抜きのリーフスプリングに替えて、弾性体を用いることも当然できる。
【0028】
(実施例5)
次に本発明の第5の実施例について説明する。図5(a)は本実施例の板状重量センサの側面図、図5(b)は同上面図、図5(c)は同コイル状重量センサの側面図である。
【0029】
本実施例の重量センサでは板状もしくはコイル状の金属材料を用い、その加重による変形時の抵抗変化を検出することにより重量を測定するものである。従って、形状変化に対して抵抗変化が大きくなるアモルファス材によるブリッジ構成が有利であるが、金属材料表面に別途炭素などの抵抗体を被服させても良い。
【0030】
電気抵抗Rは抵抗率をρ、長さをL、断面積をSとした場合、R=ρ×L/Sで示されるように、抵抗率ρは一定であるので、加重変化によりLまたはSを変化させることになるので、変化分は微少なものとなる。さらに、容器2、12の重量が加わるために、内容物による変化が容器2、12の重量に比べて少ない場合、実際、安価な測定装置でその変化分を測定することは非常に困難となる。
【0031】
しかしながら、本実施例によれば、弾性体3、13で容器2、12の重量を負担することにより、内容物の変化分のみを測定することが可能となるものである。
【0032】
(実施例6)
次に本発明の第6の実施例について説明する。図6(a)は本実施例の第一の設置案の重量センサの要部断面図、図6(b)は第二の設置案の重量センサの要部断面図である。
【0033】
30、40は重量センサを容器に密着させるためのスプリング、31は外周支持部材、32は非磁性の板材、33a、41aは可動コイル、33b、41bは固定コイルである。
【0034】
次に動作、作用について説明すると、容器内の内容物の重量による加重を受けて、板材32、または、スプリング40が変形することにより、前述した可動コイル33a(または41a)と固定コイル33b(または41b)との間の空間距離が変化する。従って、相互インダクタンスMが変化、固定コイル33b(または41b)で検出するインダクタンスLが変化する。この変化量は内容物の重量変化に比例するために、内容物の重量を正確に測定することが可能となるものである。
【0035】
(実施例7)
次に本発明の第7の実施例について説明する。図7(a)は本実施例の第一の設置案の重量センサの要部断面図、図7(b)は第二の設置案の重量センサの要部断面図である。
【0036】
50、60は重量センサを容器に密着させるためのスプリング、51は外周支持部材、52は非磁性の板材、53a、61aは可動電極、53b、61bは固定電極である。
【0037】
次に動作、作用について説明すると、容器内の内容物の重量による加重を受けて、板材52、または、スプリング60が変形することにより、前述した可動電極53a(または61a)と固定電極53b(または61b)との間の空間距離が変化する。従って、両電極間の静電容量が変化する。この変化量は内容物の重量変化に比例するために、内容物の重量を正確に測定することが可能となるものである。
【0038】
(実施例8)
次に本発明の第8の実施例について説明する。図8は本実施例の構成を示すブロック図である。
【0039】
70は重量センサ、71は第一のA/D変換手段、72は温度センサ、73第二のA/D変換手段、74は不揮発性メモリ等の記憶手段、75は演算手段を有する制御回路である。
【0040】
次に動作、作用について説明すると、容器内の内容物の重量による加重は重量センサ70で検出され、第一のA/D変換手段71でデジタル値に変換されて、制御回路75へ入力される。他方、室温あるいは重量センサの温度が温度センサ72で検出され、第二のA/D変換手段71でデジタル値に変換されて、制御回路75へ入力されている。また、検出温度と補正量の変換テーブルデータは記憶手段74に記憶させてあり、制御回路75はこの変換テーブルを読み込んで、弾性体、及び重量センサの温度特性の補正を行うものである。この補正された重量値により、インバータ回路76を介して、加熱コイル77への高周波電流を制御することで、容器の加熱量を調整する。
【0041】
以上のように本実施例によれば、加熱に伴って、弾性体、または重量センサの特性値が変化しても、測定した値にあらかじめ記憶させておいた温度補正値を演算することで、正確な重量を測定することが可能となるものである。また、記憶手段に重量センサ、弾性体の個々の特性値(弾性係数、その温度特性)を製造ラインで記憶させ、より精度の良い測定を行うことができるのは当然である。
【0042】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明は、被測定物以外の重量を弾性体に負担させ、相殺することにより比較的ダイナミックレンジの小さな重量センサを使用して精度良く被測定物の重量を測定できる重量測定装置を実現するものである。
【0043】
さらに、弾性体の温度特性の補正を行う温度補正手段を備えることにより、広い温度範囲で精度の良い測定が行える重量測定装置を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例である重量測定装置の構成を示す要部断面図
【図2】 本発明の第2の実施例である重量センサの側面図
【図3】 本発明の第3の実施例である重量センサの側面図
【図4】 本発明の第4の実施例である重量測定装置の構成を示す要部断面図
【図5】 本発明の第5の実施例である重量測定装置の構成を示す要部断面図
【図6】 本発明の第6の実施例である重量センサの側面図
【図7】 本発明の第7の実施例である重量センサの側面図
【図8】 本発明の第8の実施例である重量測定装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 調理器の本体
2 容器
3 弾性体
5 重量センサ
6 A/D変換手段
Claims (1)
- 内容物を収納した容器の外周部を支持する弾性体を有する外周支持部材と、前記容器の中央部で前記容器の重量から弾性体で支持される重量を差し引いた値を測定する重量センサと、この重量センサの信号をA/D変換する第1のA/D変換手段と、室温あるいは重量センサの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの信号をA/D変換する第2のA/D変換手段と、前記温度センサに基づき前記弾性体および前記重量センサの温度特性の補正を行う変換テーブルデータを記憶する記憶手段とを備え、第2のA/D変換手段と記憶手段からの信号に基づき、第1のA/D変換手段の信号を補正する制御回路を有する加熱調理機器用の重量測定装置。
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