JP3921280B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一軸線の周りに相対回転可能に配置された一対の伝達部材間で駆動トルクを伝達する車両用の動力伝達装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪駆動車の前後輪を駆動するための駆動形式としては種々の駆動形式が開発されているが、例えば常時駆動される前輪側から後輪側に駆動トルクを伝達可能なプロペラシャフトの途中にビスカスカップリングを介装し、前後輪間に回転数差が生じた場合に後輪に駆動トルクを伝達する形式のものがある。この駆動形式は、前後輪間に回転数差が生じるやいなや常時駆動される前輪側から後輪側に駆動トルクを伝達できるばかりでなく、タイトコーナブレーキング現象の発生を防止でき、さらにはABS(アンチロック・ブレーキ・システム)作動時における前後輪間の回転干渉を防止できる等、種々の優れた特徴を有している。
【0003】
ところで、前記ビスカスカップリングは、相対回転可能に配置された第1および第2の伝達部材によって画成された作動室内に粘性流体を封入するとともに、第1の伝達部材と相対回転不能に係合する第1のプレート組と、第2の伝達部材と相対回転不能に係合する第2のプレート組とを、前記作動室内に交互に配置したものである。そして、このビスカスカップリングによって伝達される駆動トルクは、第1及び第2の伝達部材間の回転速度差の増加に伴って大きくなる。
【0004】
従って、上述した駆動形式を有する4輪駆動車において、走破性を向上させるべく前後輪間の相対回転数差の小さな領域においても後輪に大きな駆動トルクを伝達できるようにするためには、第1及び第2のプレート組の枚数を増やしたり、作動室に封入する粘性流体の粘度を高めることにより、ビスカストルクの立上りを速くすればよい。
しかしながら、上述したビスカスカップリングをプロペラシャフトの途中に装備した車両においては、車両速度が速い領域では伝達可能な駆動力が大きくなり過ぎ、第1及び第2の伝達部材間の相対回転数の大きさによって後輪に伝達する駆動力の大きさが決まってしまう。そこで、前記ビスカスカップリングの伝達トルク特性を上述のようにビスカストルクの立上りが速くなるように設定すると、車両速度が速い領域では伝達可能な駆動力が大きくなり過ぎ、前後輪間の相対回転数差の大きいUターン走行時等に、タイトコーナブレーキング現象が現れてしまう。
【0005】
そこで、前後輪間の相対回転数差の小さな領域においても前輪側から後輪側に大きな駆動トルクを伝達できるようにビスカストルクの立上りを速くしつつ、タイトコーナブレーキング現象の発生を回避できるようにするために、ビスカストルク感応形のトルクリミッタを備えたビスカスカップリングが提案されている。この様なビスカスカップリングにおいては、第2のプレート組は第2の回転部材に対して直接相対回転不能に係合せず、第2の回転部材と相対回転不能に係合するクラッチプレート組によって挾装される。そして、前記クラッチプレート組を皿ばね等により弾性付勢して第2のプレート組を挾持させることにより、クラッチプレート組と第2のプレート組との間に生じる摩擦力によって第2のプレート組は第2の回転部材と一体に回転することができる。
【0006】
即ち、上記ビスカストルク感応形のトルクリミッタを備えたビスカスカップリングにおいては、クラッチプレート組と第2のプレート組との間に生じる摩擦力以上の駆動力を第1及び第2の伝達部材間で伝達することができないので、前後輪間の相対回転数差の小さな領域においても前輪側から後輪側に大きな駆動トルクを伝達できるようにビスカストルクの立上りを速くしつつ、タイトコーナブレーキング現象の発生を回避することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したビスカストルク感応形のトルクリミッタを備えたビスカスカップリングは、伝達可能な駆動トルクの上限を制限してタイトコーナブレーキング現象の発生を回避できるものの、4輪駆動車が高速走行する際には前後輪間で循環する駆動力が大きくなることによって、ABS作動時における前後輪間の回転干渉が生じると共に、駆動抵抗が増大して高速走行時の燃費が悪化してしまう。
【0008】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、ビスカストルクの立上りを速くしつつ、タイトコーナブレーキング現象の発生を回避できると共に、高速走行時の良好な駆動力伝達特性を備えた動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、相対回転自在に配置された第1及び第2の伝達部材によって画成されるとともにその内部に粘性流体が封入された作動室と、
前記第1の伝達部材と相対回転不能に係合して前記作動室内に配置された第1及び第2のプレート組と、
前記第2の伝達部材と相対回転不能に係合して前記作動室内に配置された第1及び第2のクラッチプレート組と、
前記作動室内で前記第1のプレート組と交互に配置されると共に、前記第1のクラッチプレート組によって挾持されると前記第2の伝達部材と一体に回転可能な第3のプレート組と、
前記第3のプレート組を挾持する方向へ前記第1のクラッチプレート組を弾性付勢する第1の付勢手段と、
前記作動室内で前記第2のプレート組と交互に配置されると共に、前記第2のクラッチプレート組によって挾持されると前記第2の伝達部材と一体に回転可能な第4のプレート組と、
前記第2のクラッチプレート組に前記第4のプレート組を挾持させるべく第2の付勢手段によって弾性付勢されると共に、前記作動室内が所定以上の圧力となると前記第2の付勢手段による付勢力に抗して前記第2のクラッチプレート組から離間する方向に変位するピストンと、
を備えたことを特徴とする動力伝達装置により達成される。
【0010】
上記構成によれば、第1及び第2のクラッチプレート組が第3及び第4のプレート組を挾持する摩擦力よりも、第1及び第2のプレート組と第3及び第4のプレート組との間に作用する粘性抵抗(ビスカストルク)が大きくなると、各クラッチプレート組と第3及び第4のプレート組との間に滑りが生じる。そこで、第1及び第2の伝達部材間では、各クラッチプレート組が第3及び第4のプレート組を挾持する摩擦力以上の駆動力を伝達することができず、ビスカストルクの大きさに応じてトルクリミッターが作動する。
【0011】
又、第1及び第2の伝達部材が高速回転することにより作動室内に封入された粘性流体の温度が高まり、作動室内の圧力が所定以上に高くなると、ピストンが第2の付勢手段による付勢力に抗して前記第2のクラッチプレート組から離間する方向に変位する。そこで、第4のプレート組は第2のクラッチプレート組によって挾持されなくなり、第2の伝達部材と一体に回転することができなくなるので、第1及び第2の伝達部材間では、第1のプレート組と第3のプレート組との間に作用する粘性抵抗のみが作用し、伝達可能な駆動トルクが減少する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る動力伝達装置の一実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る動力伝達装置の全体半断面図、図2は図1の要部拡大断面図である。
図1に示した本実施形態の動力伝達装置100は、4輪駆動車の後輪を駆動するプロペラシャフトの途中に介装されるもので、同一軸線の周りに相対回転可能な第1の伝達部材であるハブ10と、第2の伝達部材であるハウジング20とを備えている。そして、これらハブ10及びハウジング20は、それぞれ車体1,2に対して軸受3,4を介して回転自在に支持されている。
【0013】
前記ハブ10は略円筒状の部材であり、その内周面に形成された雌スプライン11には図示されないリヤデフ側のシャフトが取り付けられる。また、その外周面には回転軸線C方向に延びる雄スプライン12が形成されている。
前記ハウジング20は、変速機から出力される駆動力によって回転駆動される後輪側のプロペラシャフトに接続されるスタブシャフト21と、このスタブシャフト21から延設された後壁22と、この後壁22から前方に延びる円筒部分23と、この円筒部分23の前方に延設された前壁部分24とから構成されている。そして、前記円筒部分23の内周面には回転軸線C方向に延びる雌スプライン25が形成されている。
【0014】
そして、これらハブ10及びハウジング20により、回転軸線Cの周りに環状に延びる作動室30が画成されている。そして、この作動室30内に封入された粘性流体としてのシリコンオイルと少量の空気とが、一対のXリング31,32によって密封されている。また、この作動室30内には、後述する第1乃至第4のプレート組70,40,75,45、第1及び第2のクラッチプレート組80,50、ピストン60、第1及び第2の付勢手段としての皿ばね95,65がそれぞれ収納されている。
【0015】
図2中右側に配置される前記第1及び第2のプレート組70,40は、それぞれ薄い鋼板を幅の広い円環状に打ち抜いた複数枚のインナプレート71,41から構成されている。そして、すべてのインナプレート71,41は、その内周縁が前記ハブ10の雄スプライン12と相対回転不能に係合し、ハブ10と一体に回転するようになっている。
又、図2中左側に配置される前記第3及び第4のプレート組75,45は、それぞれ薄い鋼板を幅の広い円環状に打ち抜いた複数枚のアウタプレート76,46から構成されている。そして、各アウタプレート76,46は、それぞれ前記インナプレート71,41と交互に配置されるが、ハブ10及びハウジング20のいずれとも係合しない状態で作動室30内に遊嵌されている。
【0016】
前記第1及び第2のクラッチプレート組80,50は、それぞれ厚手の鋼板を幅の狭い円環状に打ち抜いた複数枚のクラッチプレート81,51から構成されている。そして、すべてのクラッチプレート81,51は、その外周縁がハウジング20の前記雌スプライン25と相対回転不能に係合し、ハウジング20と一体に回転するようになっている。また、各クラッチプレート81は、各アウタプレート76の外周部分を両側から挟み込めるように、各アウタプレート76に対して交互に配置されており、各クラッチプレート51は、各アウタプレート46の外周部分を両側から挟み込めるように、各アウタプレート46に対して交互に配置されている。
【0017】
更に、前記作動室30の軸線C方向の中央部には、スナップリング90が該作動室30の内壁面に凹設された凹溝内に嵌着され、軸線C方向に変位不能に固定されている。そして、第1の付勢手段である皿ばね95は、前記スナップリング90と前記第1のクラッチプレート組80との間に介装され、第1のクラッチプレート組80を前記ハウジング20の後壁22側(図2中、右側)に押圧付勢する。これにより、第1のクラッチプレート組80が第3のプレート組75を挾持するので、アウタプレート76はクラッチプレート81と共にハウジング20と一体に回転することができる。
【0018】
前記ピストン60は環状の部材であり、前記ハウジング20の前壁24の内壁面に凹設された回転軸線Cと同軸な環状凹部26内に、回転軸線C方向にスライド自在に嵌装されている。また、このピストン60の外周面及び内周面にそれぞれ凹設された凹溝内には、それぞれオーリング61,62が取り付けられている。これにより、ピストン60が回転軸線C方向にスライドしても、作動室30内に封入されたシリコンオイル及び少量の空気が前記環状凹部26内に漏れ出ることはない。
【0019】
また、前記環状凹部26内には、ピストン60を第2のクラッチプレート組50側(図2中、右側)に付勢する第2の付勢手段である皿ばね65が取り付けられている。そこで、前記皿ばね65によって付勢されるピストン60が、第2のクラッチプレート組50を前記スナップリング90側に押圧付勢するので、第4のプレート組45は第2のクラッチプレート組50によって挾持され、クラッチプレート4はクラッチプレート51と共にハウジング20と一体に回転することができる。
【0020】
次に、上述のように構成された本実施形態の動力伝達装置100の作動について説明する。
本実施形態の動力伝達装置100がプロペラシャフトの途中に介装された4輪駆動車が雪道や悪路等の低ミュー路を走行すると、前輪が空転した際の前後輪間の相対回転数差によって、ハブ10とハウジング20との間に回転速度差が生じる。
【0021】
すると、ハブ10と一体に回転する第1及び第2のプレート組70,40と、ハウジング20と一体に回転する第3及び第4のプレート組75,45との間には、それぞれ回転速度差が生じるので、インナプレート71とアウタープレート76との間、及びインナプレート41とアウタープレート46との間には、それぞれ作動室30内に封入されたシリコンオイルの粘性に起因する粘性抵抗が生じる。
これにより、ハブ10とハウジング20との間では、第1及び第3のプレート組70,75と第2及び第4のプレート組75,45との間に生じる粘性抵抗の総和に等しいビスカストルクが生じるので、前後輪間の相対回転数差の小さな領域においても前輪側から後輪側に立上り良く駆動トルクが伝達され、速やかに後輪が回転駆動される。
【0022】
また、前記4輪駆動車が極めて小さい半径で旋回走行する際には、内外輪差によって前後輪間に大きな相対回転数差が生じる。これに伴い、ハブ10とハウジング20との間には大きな回転速度差が生じるので、第1及び第2のプレート組70,40と、第3及び第4のプレート組75,45との間には、大きな粘性抵抗が生じる。
【0023】
そして、第3のプレート組75に作用する粘性抵抗が高まり、第1のクラッチプレート組80が第3のプレート組75を挾持する摩擦力を上回ると、クラッチプレート81とアウタープレート76との間には滑りが生じる。
同様に、第4のプレート組45に作用する粘性抵抗が高まり、第2のクラッチプレート組50が第4のプレート組45を挾持する摩擦力を上回ると、クラッチプレート51とアウタープレート46との間には滑りが生じる。
【0024】
すなわち、ハブ10とハウジング20との間で伝達可能な駆動力の上限は、第1のクラッチプレート組80が第3のプレート組75を挾持する摩擦力の大きさ、及び第2のクラッチプレート組50が第4のプレート組45を挾持する摩擦力の大きさによって決定される。
従って、皿ばね95が第1のクラッチプレート組80を挾持方向に弾性付勢する付勢力と、皿ばね65がピストン60を介して第2のクラッチプレート組50を挾持方向に弾性付勢する付勢力とを適宜設定することにより、ハブ10とハウジング20との間で伝達可能な駆動力の上限を設定し、前記4輪駆動車が旋回走行する際にタイトコーナブレーキング現象が生じないようにすることができる。
【0025】
一方、前記4輪駆動車が高速走行する際には、ハブ10とハウジング20との間に生じる回転速度差が走行速度の増加に比例して高まるので、第1及び第2のプレート組70,40と、第3及び第4のプレート組75,45との間に作用する粘性抵抗によって作動室30内に封入されたシリコンオイルの温度が次第に高まり、作動室30内の圧力が徐々に高くなる。
【0026】
そして、前記ピストン60を前記ハウジング20の前壁24側に押圧する作動室30内の圧力が、該ピストン60をスナップリング90側に弾性付勢する皿ばね65の付勢力を上回ると、ピストン60は皿ばね65による付勢力に抗して変位し、第2のクラッチプレート組50から離間する。すると、アウタープレート46は、クラッチプレート51によって挾持されなくなり、ハウジング20と一体に回転することができなくなる。そこで、前記動力伝達装置100のハブ10とハウジング20との間では、インナプレート41とアウタープレート46とを介して駆動力を伝達することができなくなる。
【0027】
したがって、本実施形態の動力伝達装置100を備えた前記4輪駆動車が高速走行する際には、前後輪のスリップ率の差すなわち前後輪間の相対回転数差によって、ハブ10とハウジング20との間には回転速度差が生じるが、これらハブ10とハウジング20との間で伝達される駆動トルクは、第1のプレート組70と第3のプレート組75との間に作用するビスカストルクのみとなるので、高速走行しない際に比較して大幅に減少する。
【0028】
これにより、前記4輪駆動車が高速走行する際には前後輪間で循環する駆動力が低下するので、駆動抵抗が減少して高速走行時の燃費を改善することができると共に、ABS作動時における前後輪間の回転干渉を防止できる。
なお、ピストン60の受圧面積を適宜設定することにより、ピストン60が第2のクラッチプレート組50から離間する方向へ変位し始める作動室30内の所定圧力を設定することができる。
【0029】
更に、上記動力伝達装置100を備えた前記4輪駆動車においては、高速走行の直後等で前記作動室30内が所定以上の圧力より高い場合でも、第1及び第3のプレート組70,75間に作用する粘性抵抗によりハブ10とハウジング20との間で駆動トルクを伝達することができるから、4輪駆動車としての走行性能を維持することができる。
【0030】
以上、本発明に係る動力伝達装置の一実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施形態においては、4輪駆動車の前後輪間で駆動力を伝達するプロペラシャフトの途中に本発明の動力伝達装置を介装した場合を例に取って説明しているが、例えば差動歯車装置に本発明の動力伝達装置を適用し、左右一対の出力軸間の差動を制限する差動制限装置として適用することもできる。
又、上記実施形態においては、第1の伝達部材としてハブ10、第2の伝達部材としてハウジング20を用いたが、ハウジングを第1の伝達部材、ハブを第2の伝達部材とすることもできる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の動力伝達装置によれば、第1及び第2のクラッチプレート組が第3及び第4のプレート組を挾持する摩擦力よりも、第1及び第2のプレート組と第3及び第4のプレート組との間に作用する粘性抵抗(ビスカストルク)が大きくなると、各クラッチプレート組と第3及び第4のプレート組との間に滑りが生じる。そこで、第1及び第2の伝達部材間では、各クラッチプレート組が第3及び第4のプレート組を挾持する摩擦力以上の駆動力を伝達することができず、ビスカストルクの大きさに応じてトルクリミッターが作動する。
従って、4輪駆動車の前後輪間で駆動力を伝達するプロペラシャフトの途中にこの動力伝達装置を介装すれば、ビスカストルクの立上りを速くしつつ、タイトコーナブレーキング現象の発生を回避できる。
【0032】
又、第1及び第2の伝達部材が高速回転することにより作動室内に封入された粘性流体の温度が高まり、作動室内の圧力が所定以上に高くなると、ピストンが第2の付勢手段による付勢力に抗して前記第2のクラッチプレート組から離間する方向に変位する。そこで、第4のプレート組は第2のクラッチプレート組によって挾持されなくなり、第2の伝達部材と一体に回転することができなくなるので、第1及び第2の伝達部材間では、第1のプレート組と第3のプレート組との間に作用する粘性抵抗のみが作用し、伝達可能な駆動トルクが減少する。
従って、4輪駆動車の前後輪間で駆動力を伝達するプロペラシャフトの途中にこの動力伝達装置を介装すれば、該4輪駆動車が高速走行する際には前後輪間で循環する駆動力が低下するので、駆動抵抗が減少して高速走行時の燃費を改善することができると共に、ABS作動時における前後輪間の回転干渉を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る動力伝達装置の全体半断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1,2 車体
3,4 軸受
10 ハブ(第1の伝達部材)
20 ハウジング(第2の伝達部材)
30 作動室
40 第2のプレート組
45 第4のプレート組
50 第2のクラッチプレート組
60 ピストン
65 皿ばね(第2の付勢手段)
70 第1のプレート組
75 第3のプレート組
80 第1のクラッチプレート組
90 スナップリング
95 皿ばね(第1の付勢手段)
100 動力伝達装置
C 回転軸線
Claims (1)
- 相対回転自在に配置された第1及び第2の伝達部材によって画成されるとともにその内部に粘性流体が封入された作動室と、
前記第1の伝達部材と相対回転不能に係合して前記作動室内に配置された第1及び第2のプレート組と、
前記第2の伝達部材と相対回転不能に係合して前記作動室内に配置された第1及び第2のクラッチプレート組と、
前記作動室内で前記第1のプレート組と交互に配置されると共に、前記第1のクラッチプレート組によって挾持されると前記第2の伝達部材と一体に回転可能な第3のプレート組と、
前記第3のプレート組を挾持する方向へ前記第1のクラッチプレート組を弾性付勢する第1の付勢手段と、
前記作動室内で前記第2のプレート組と交互に配置されると共に、前記第2のクラッチプレート組によって挾持されると前記第2の伝達部材と一体に回転可能な第4のプレート組と、
前記第2のクラッチプレート組に前記第4のプレート組を挾持させるべく第2の付勢手段によって弾性付勢されると共に、前記作動室内が所定以上の圧力となると前記第2の付勢手段による付勢力に抗して前記第2のクラッチプレート組から離間する方向に変位するピストンと、
を備えたことを特徴とする動力伝達装置。
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