JP3921114B2 - ファイバ整列型光部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システム内で、主に伝送光を合分波、分岐結合するのに用いられるファイバ整列型光部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、伝送光を合分波、分岐合流するのに各種ファイバ整列型光部品が用いられている。代表的なものとして、複数の光ファイバの保護被覆部(通常アクリル、ウレタン等のプラスチック材料でコーテイングされている)を剥がし、各ファイバのクラッドを並列に密着して設置、加熱融着後、延伸することにより合分波、分岐結合特性を得るファイバカプラが使用されている。又、複数の光ファイバを精密加工したV溝基板上で整列したファイバアレイにより接続構成される導波路型光部品も使用される。
【0003】
このような光部品の入出力部に複数のファイバを整列して用いるファイバ整列型の光部品は、光伝送システムにおいて多用されている。今後、光伝送システムの各構成ユニットの集積化、高密度化による小型化に伴い、その内部の光回路部に用いられている光部品の小型化も同様に求められている。
【0004】
このようなファイバ整列型光部品において並置した複数の光ファイバの被覆部(外径:250μm)と被覆を除去したクラッド部(外径:125μm)間で外径差があり、それにより生じる角度θを最適化する必要性がある。
【0005】
図5は、従来例のファイバ整列型光部品であるファイバ融着延伸型光部品の構成例を示したもので、一対の光ファイバの被覆部1を除去したクラッド2を融着延伸し、基板5に接着剤5で固定したものである。保護被覆端部間の長さをL2,融着延伸部及び角度θの二股部分までの長さがL1で、明らかにL2>L1である。この場合、融着延伸による結合部分の保持の為、固定用の接着剤4によりその固定に2カ所、被覆部1の端部の固定2カ所で、接着固定に計4カ所必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
被覆部1とクラッド部2の外径差からクラッド部2間を密着できない為、被覆部1の端部近傍のクラッド部2を両側から圧接治具により、クラッド側面同士を密着させていた。これまで、その為の治具スペースも両側に2〜3mm程度必要で、その際、圧接力によりクラッド部2の表面に傷が入り、マイクロクラック発生の原因にもなった。図6は、図5の拡大図であるが、クラッド部2の二股部の頂点でのファイバ軸方向の引張力Plの他にせん断力Prが作用する各応力成分をファイバ全体にかかる引張力をPとすると、
Pl=P/(2・cos(θ/2))
Pr=(P・tan(θ/2))/2
で表される。θが大きくなればなるほどせん断力成分Prも大きくなり、ファイバ強度上好ましくない。従来の融着延伸型光部品の場合、引張力Pとしては50〜100g程度、角度θとしては2°〜10°程度ある。その場合のせん断力はPr=0.87g〜8.82g程度になる。
【0007】
通常、光ファイバの被覆部1を剥がしたクラッド部2の引っ張り強度は、2000g以上あり、かなり強度的に強いが、せん断力に対しては100g程度しかなく、さほど強くない。又、被覆部1を機械的に剥がす際、クラッド部2表面に微細な傷(マイクロクラック)が多数入り、経時劣化によるクラックの拡大、その部分が曲がることによる応力集中が起こり僅かな負荷力でも破断に至る場合がある。従って、上式で示したようにθが小さければ小さい程、負荷されるせん断力Prは小さくなる為、信頼性上好ましい。
【0008】
本発明は、そうした点に着目し、θを小さくすることによる改善に関するものである。
【0009】
光部品の小型化に対するアプローチは、例えばファイバの融着延伸型光部品の場合は、被覆除去部を短くし、更に融着延伸長も短くする。導波路型光部品においては、コアとクラッド部の各屈折率の差、即ち比屈折率差を大きくし、導波路部分の曲率半径を小さくすることにより、光導波路素子長を短くしたり、導波路素子の両端に使用するファイバアレイの長さを短くしたりして小型化を図っている。しかしながらそうした手段によるファイバ整列型光部品の小型化は、下記に示した課題のように充分なものではない。
【0010】
(1)ファイバ融着延伸型光部品小型化の場合は、ファイバ保護被覆部とクラッド間の外径差により生じる角度(図5のθ)が大きくなり、放射による損失の増大、その部分のせん断成分が大きくなることにより、強度的負荷が増大し、信頼性上好ましくない。
【0011】
(2)光導波路型光部品小型化においては、導波路部分では比屈折率差が大きくなることによる伝搬損失の増大、ファイバアレイ部分の角度θが大きくなるため、放射による損失の増大、強度的負荷の増大により信頼性上好ましくない。という課題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、各光ファイバの被覆部の端部を前記光ファイバの光軸に対して1〜5°傾斜する傾斜面を有した円錐状になすとともに、該各光ファイバの被覆部の端部の各傾斜面同士を密着させることによって上記被覆除去部の端部同士を密着して整列したことを特徴とする。
【0013】
又、前記ファイバ整列型光部品において、複数の光ファイバの被覆除去部を加熱、融着延伸し、光を分岐結合又は合分波するエバネセント結合部を構成したものである。
【0014】
又前記ファイバ整列型光部品において、複数の光ファイバを平面状又は立体状に整列し、ファイバアレイ状に構成したものである。
【0015】
又前記ファイバアレイ状に構成したものの被覆除去部をコア拡大ファイバとしたものである。
【0016】
更に前記アレイ状のファイバ整列型光部品を少なくとも片側又は両側に用いたことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の参考例のファイバ整列型光部品をファイバ融着延伸型光部品に応用した場合の実施形態で、一対の光ファイバの被覆部1の一部に角度1〜5°の傾斜面1aを形成し、各傾斜面1a同士を密着している。被覆部1に傾斜面1aを形成し、この傾斜面1a同士を密着することにより、クラッド部2をほぼ完全に密着させることができ、θ=0°を実現している。
【0019】
被覆部1の傾斜面1aの角度は、光ファイバの光軸に対しては、1〜5°程度が望ましい。これは5°より大きくなると放射損失が大きくなるためである。
【0020】
本発明によれば、融着延伸後の被覆部1間の長さL2は、従来のように角度θの二股部分がクラッド部2にない為、10〜15mmと短くすることができる。
更にこの場合、クラッド部2同士がほぼ密接した状態で設置することができる為、製作プロセスにおいて各クラッド部2同士を治具で押さえる密接動作が不要で、その圧接用治具スペース分(計4〜6mm程度)の長さも不要である。よって、その分実装長さを更に短くでき、接着剤4による基板5への固定は図1で示したように2カ所で充分である。
【0021】
図2は、本発明によるファイバ整列型光部品に使用する光ファイバの他の実施形態で、被覆部1の場所を円錐状に加工して傾斜面1aを形成したものである。
【0022】
このように加工することにより、図1の実施形態のように傾斜面1a同士の面合わせが必要なくなり、光ファイバの回転による調整が不要になる。
【0023】
尚、こうしたファイバを保護する被覆部1の除去の方法の具体例としては、樹脂製カッターとファイバの回転による機械的除去方法とUV・アクリル樹脂洗浄液等の化学薬品を用いる方法がある。なお傾斜面1aの長さL3が短いとその部分でのファイバ曲がり角度が大きくなり、コア内でベンデイングによる放射損失が生じる為、L3は1mm以上の長さが必要である。
【0024】
図3は、本発明の他の実施形態で、図2の光ファイバを2本用いファイバの回転なしにクラッド部2を密着し、加熱融着延伸したものである。隣接した光ファイバ同士の被覆部1、傾斜面1a、融着延伸部が密接した状態になっており、傾斜面1aの2カ所で基板5に固定実装されている。本発明によれば、通常45〜50mm程度ある基板5の長さを40mm以下にし、小型化することができる。
図4は、本発明の他の実施形態によるファイバアレイを示したもので、光ファイバの被覆部1の端部に形成した傾斜面1aを密着させ、クラッド部2同士が接した状態で整列され基板5に固定されている。このように構成することにより、各光ファイバのコア間隔がクラッド2の外径で定まり、通常125μmの間隔で、コア間隔を設定することができ、従来のような等間隔で高精度なV溝加工をした基板は必要としない。
【0025】
又、被覆部1とクラッド部2との間に傾斜面1aがあり、その部分である角度で曲げられる。内側のファイバの保護被覆加工部3の曲げ角度は小さいが、外側のファイバの曲げ角度はそれより大きくなる。そのため、傾斜面1aの長さL3は、外側のファイバのファイバ光軸に対する曲げ角度が1〜5°程度になるように設定し、通常3〜5mm程度あれば充分である。
【0026】
又、上記ファイバアレイと光導波路との接続に際し、各ファイバアレイ端部のクラッド2のコア径を2〜3倍に拡大すると、使用する導波路との接続が容易になる。光ファイバを局部的に1500℃程度に加熱するとファイバコア内のGe等の屈折率を増大する物質が拡散され、光が伝搬するコア領域が拡大する。光導波路等の光素子側にも同様なサイズのコアが大きなものを用意すれば、接続時の位置合わせ精度が緩和され、接続を容易に行うことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によるファイバ整列型光部品では、各光ファイバの被覆部の端部を前記光ファイバの光軸に対して1〜5°傾斜する傾斜面を有した円錐状になすとともに、該各光ファイバの被覆部の端部の各傾斜面同士を密着させることによって、下記のような優れた効果がある。
【0028】
(1)ファイバ保護被覆部を加工、その部分で曲げることにより、各隣接したファイバのクラッド同士を密接、位置を設定ことができ、融着延伸型カプラ、ファイバアレイ等の光部品に適用することにより、固定・実装長を短くすることができ、光部品を小型化できる。
【0029】
(2)従来のようにクラッド露出部でなく、保護被覆加工部等でファイバを曲げる為、強度的に高信頼な光部品として実現できる。
【0030】
(3)各種ファイバアレイ型光部品に適用することにより、V溝等の精密加工した固定用基板無しに高精度に複数のファイバを密接整列することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例のファイバ整列型光部品を示す平面図である。
【図2】 本発明のファイバ整列型光部品に使用する光ファイバを示す図である。
【図3】 本発明のファイバ整列型光部品の他の実施形態を示す平面図である。
【図4】 本発明のファイバ整列型光部品の他の実施形態を示す平面図である。
【図5】 従来の融着延伸型光部品を示す平面図である。
【図6】 従来の融着延伸型光部品を示す部分平面図である。
【符号の説明】
1 被覆部
1a 傾斜面
2 クラッド部
4 接着剤
5 基板

Claims (5)

  1. 複数の光ファイバの被除去部を整列してなるファイバ整列型光部品において、
    各光ファイバの被覆部の端部を前記光ファイバの光軸に対して1〜5°傾斜する傾斜面を有した円錐状になすとともに、該各光ファイバの被覆部の端部の各傾斜面同士を密着させることによって上記被覆除去部の端部同士を密着して整列したことを特徴とするファイバ整列型光部品。
  2. 上記覆除去部同士を加熱、融着延伸し、光を結合分岐又は合分波するエバネセント結合部を形成したことを特徴とする請求項1記載のファイバ整列型光部品。
  3. 上記複数の光ファイバを平面状又は立体状に整列し、ファイバアレイを構成したことを特徴とする請求項1記載のファイバ整列型光部品。
  4. 上記光ファイバの被覆除去部がコア拡大ファイバからなることを特徴とする請求項1記載のファイバ整列型光部品。
  5. 上記光ファイバを少なくとも光部品の入出力部の片側に用いたことを特徴とする請求項3又は4記載のファイバ整列型光部品。
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