JP3920602B2 - 波長可変モード同期レーザ及びその作製方法 - Google Patents

波長可変モード同期レーザ及びその作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長可変モード同期レーザ及びその作製方法に関し、より詳しくは、高速波長変換および波長ルーティングを利用した光通信ネットワーク等に利用できる波長可変モード同期レーザ及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モード同期用のクロック信号の周波数(すなわちレーザの繰り返し)を変化させることによって、発振波長が可変される波長可変モード同期レーザがある。
【0003】
このような波長可変モード同期レーザに関連する文献としては、下記のものがある。
[1] P.A.Morton, V.Mizrahi, P.A.Andrekson, T.Tanbun-Ek, R.A.Logan, P.Lemaire, D.L.Coblentz, A.M.Sergent, K.W.Wecht, and P.F.Sciortino Jr, "Mode-locked hybrid soliton pulse souce with extremely wide operating frequency range," IEEE Photon.Technol.Lett., vol.5, pp.28-31, Jan.(1993).
[2] J.Yu, D.Huhse, M.Schell, M.Schulze, D.Bimberg, J.A.R.Williams, L.Zhang, and I.Bennion, "Fourier-transform-limited 2.5 ps light pulses with electrically tunable wavelength (15 nm) by hybridly modelocking a semiconductor laser in a chirped Bragg grating fibre external cavity," Electron.Lett., vol.31, pp.2008-2009, November 9(1995).
[3] S.Li and K.T.Chan, "Electrical wavelength-tunable actively mode-locked fiber ring laser with a linearly chirped fiber Bragg, grating," IEEE Photon.Technol.Lett., vol.10, pp.799-801, June(1998).
[4] B.Fischer, O.Shapira, B Levit, and A.Bekker, "Cavity-resonance-activated wavelength-selectable fiber and diode lasers," in Tech, Dig. 1999 Conf.Lasers And Electro-Optics, paper Ctu J6, May(1999).
[5] K.R.Tamura, T.Komukai, and M.Nakazawa, "A new optical rauting technique with a subcarrier clock controlled wavelength converter," IEEE Photon.Technol.Lett., vol.11, pp.1491-1493, November(1999).
【0004】
波長可変モード同期レーザは、構成が単純で、高速に波長可変が可能で、また容易に波長選択が可能であるという、いくつかの利点がある。
【0005】
図1は、このような波長可変モード同期レーザの一般構成の例を示す図である。共振器10が半導体光増幅器14、光変調器13、N波長(Nは正の整数)の分布ブラッググレーティング(distributed Bragg grating:DBG)15、および出力手段19(図1の場合、DBG15を透過した光を用いている)から成っている。
【0006】
DBG15は光導波路18(例えば、光ファイバまたはシリコン基板上の石英導波路)上に設計されている。共振器10の片側が高反射面11により終端されており、もう片側がDBG15により終端されている。半導体光増幅器14の出力側に表面反射を抑圧する手段12が用いられており、半導体の部分と光導波路または光ファイバ間の接続がカップリング手段110により実現されている。
【0007】
図2は、従来のDBGの作製と特性の関係を示す図である。図中符号21は従来の一定なピッチのDBGを複数個並べた構成のDBGを作製するための位相マスクの例であり、22は位相マスク21の長さによるピッチの変化、23はDBGを作製する時に適用するアポダイゼーションプロファイル、24は位相マスク21およびアポダイゼーション23によるDBGの反射スペクトル、25はDBGの反射スペクトル24の波長による反射遅延特性である。
【0008】
帯域δλの反射バンドがN個あり、波長間隔がΔλである。各波長バンドに対応する反射遅延は、DBGを作製する時に用いる位相マスク21の設計により設定されている。図2に示すDBGの場合、反射遅延特性が波長により徐々に増加している。
【0009】
ここで、図1に示すレーザの動作原理を説明する。DC(direct current)電源17により、半導体光増幅器14の利得が設定されている。RF(radio frequencies)シンセサイザー16を用いて、モード同期を掛けるための変調信号を得ている。光変調器13をレーザの基本繰り返し周波数fの整数k倍(k>0)で変調することによって、モード同期発振が実現され、繰り返し周波数kfでパルス列が出力手段19から出力される。
【0010】
ただ、本レーザの場合、DBGにより共振器長とそれに対応する繰り返し周波数fが波長により異なる。この場合、所望の波長に対応する周波数で光変調器13を変調した際、その波長のみでモード同期発振が実現されるが、他の波長では発振が起きない。すなわち、クロック周波数を変化させることによって、発振波長を選択することができる。
【0011】
図3は、図2のDBGを用いた波長可変モード同期レーザの出力スペクトルの例を示す図である。図中符号31は、N波長の内の一つが発振していることを示している。クロック周波数と発振波長の対応性は、DBGの波長と遅延の対応性で設定することができるが、図2に示すDBGを用いた場合、モード同期周波数を徐々に減少させることによって、レーザの発振波長が長波長側に変化する。
【0012】
図1に示すレーザはリニア型共振器であるが、DBGをサーキュレータと組み合わせることによって、原理的に同じ動作をリング型の共振器で実現することができる。
【0013】
DBG15を作製するために、位相マスク法を用いることが有効である。図2において、DBGの反射スペクトル24及びDBGの反射スペクトルの反射遅延特性25で示す特性のDBGを実現するために用いる位相マスク21の特性を、以下に示す。
【0014】
この位相マスク21は、N個の、一定なピッチの部分から成っており、長さによるピッチの変化を図中符号22に示す。DBGを光導波路に書き込む際、23で示すようなアポダイゼーション(apodization、ピッチに対応する短周期の屈折率変化より遅く変化するエンベロープ成分)を適用することによって、反射遅延のリップル(変動)が低減される。
【0015】
しかし、図2に示すDBGの製造に以下で述べるような問題がある。まず、一定なピッチの位相マスク21は製造後に調整することができないため、ピッチの絶対値、ピッチの間隔、および各一定ピッチの部分の物理的な長さが固定である。このため、その位相マスク21を用いてDBGを作製する際、DBGの波長、波長間隔、および反射遅延量を調整する自由度がほぼ存在しない。
【0016】
波長の調整が困難であることは、特に所望の波長を得るときに問題になる。例えば、所望の波長を得るために必要な位相マスク21のピッチは、DBGを書き込む媒体(すなわち、光ファイバまたは光導波路)の屈折率に依存している。位相マスク21のピッチはマスクの製造後に調整することができないため、媒体の屈折率nがδn変化した場合、波長が所望の値から変化する。
【0017】
図4は、媒体の屈折率変化によるDBGの反射波長の変化を説明する図である。波長244nmの光41を位相マスク42に透過させ、光ファイバ43に放射させることによってDBG44がファイバのコア部分に書き込まれる。光ファイバ43の屈折率がnである場合、DBG44の反射スペクトルは図中符号45に示すようになるが、屈折率がn+δnに変化した場合、46に示すように反射波長が変化され、所望の波長に対応しなくなる。屈折率は、ファイバによって僅かに異なることと同時に、DBGの製造中に変化する。このため、所望の波長を得るために、複数の位相マスクをあらかじめ準備しておく必要がある。
【0018】
さらにまた、図2に示すようなDBGを用いたレーザにモード同期を掛ける際、レーザが安定に発振するRF周波数範囲が狭いという問題が生じる。図5は、図2のDBGを用いたレーザの、安定なモード同期発振が起きるRF周波数範囲を説明する図である。図5の縦軸51はレーザの出力光のSN比(signal-to-noise ratio)であり、点線52以上のところで安定な発振を得ることを示している。SN比のRF周波数依存性を図中符号53で示しており、安定に動作する周波数範囲54が狭いことを示している。この原因は、各波長に対応するDBGの反射遅延量が一定であることであり(図2)、精密なRF周波数設定が必要、また共振器長の変化によって発振が不安定になるという問題を起こす。
【0019】
上記のような問題を解決するために、ピッチが連続的にチャープ(chirp)した広帯域なDBGを用いる方法がある(前述の文献1〜3)。
【0020】
図6は、従来のチャープDBGの作製と特性の関係を示す図である。このようなDBGを作製する時に用いる位相マスクを図中符号61に、および位相マスク61の長さによるピッチの変化(十分連続的に変化している)を62に示す。ピッチが連続的に変化しているため、63に示すようなアポダイゼーションが通常適用される。本位相マスク61およびアポダイゼーション63による、DBGの反射スペクトルを64に、およびDBGの反射スペクトル64の反射遅延特性を65に示す。
【0021】
反射スペクトル64および反射遅延特性65が連続的であるため、連続的な波長可変が可能になる。従って、モード同期周波数を調整することによって所望の波長で発振を実現することができる。また、反射遅延特性65が連続的に変化するため、全てのRF周波数値で安定なモード同期を実現することができる(図7)。図7において、SN比71のRF周波数依存性73が、点線72以上の常に安定な領域に存在する。チャープDBGを用いた場合、広いRF周波数範囲で安定な発振を得ることができる。
【0022】
しかし、チャープDBGを用いることに以下に述べるような問題が存在する。図8において、DBGの反射帯域82が広いため、レーザの発振スペクトル81が広くなる。この場合、選択可能なN種の波長のうち、隣接するλnとλmの波長間隔を狭めるのが困難になると同時に、レーザを伝送に用いた場合の分散耐力が劣化する。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来の一定のピッチのDBGを用いた波長可変モード同期レーザは、位相マスク法を用いて製造した場合、波長の調整が困難である。また、安定なモード同期を実現できるRF周波数範囲が狭いという課題がある。この二つの課題を解決するためにチャープDBGを用いることができるが、従来のチャープDBGの場合、レーザの発振スペクトルが広くなるため、狭い波長間隔を実現することが困難であると同時に、伝送に用いる時の分散耐力が劣化するという解決すべき課題が従来技術にはあった。
【0024】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、伝送に用いた場合の十分な分散耐力を有し、モード同期の周波数に対する制限が緩やかな波長可変モード同期レーザ及びその作製方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、共振器(121)内に分布ブラッググレーティング(125)が挿入されており、モード同期の周波数を変更することにより、出力する光を発振波長λ1〜λN(Nは正の整数)のN種類に変更可能な波長可変モード同期レーザにおいて、前記分布ブラッググレーティングは、前記発振波長λ1〜λNの各々の光を反射するN個の回折領域(148の各回折領域)を備え、該N個の回折領域の各々は、第nの回折領域(1≦n≦N、nは整数)の場合に、発振波長λnに対応するピッチを中心に連続的に変化するピッチを有し前記発振波長λnの光を反射する回折格子(148の各回折格子)を備え、かつ、前記N個の回折領域の各々に対してアポダイゼーションが適用されている(143、図14(a)の屈折率プロファイル)ことを特徴とする。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の波長可変モード同期レーザにおいて、前記分布ブラッググレーティングは、1≦m<n≦N(mは整数)の場合に、前記発振波長λ1〜λNがλm<λnの関係を満たすことを特徴とする(図9、図14(b))。
【0027】
請求項3に記載の発明は、共振器(121)内に分布ブラッググレーティング(125)を有し、モード同期の周波数を変更することにより、出力する光を発振波長λ1〜λN(Nは正の整数)のN種類に変更可能な波長可変モード同期レーザの作製方法において、前記分布ブラッググレーティングを形成するための部材(144)に対して、連続的にピッチが変化する位相マスク(142)とN個の回折領域(148の各回折領域)を規定するためのアポダイゼーションマスク(143)とを用いて露光し、前記N個の回折領域の各々について、第nの回折領域(1≦n≦N、nは整数)の場合に、発振波長λnに対応するピッチを中心に連続的に変化するピッチを有し前記発振波長λnの光を反射する回折格子(148の各回折格子)を形成すると共に、アポダイゼーション(図14(a)の屈折率プロファイル)を適用し、前記発振波長λ1〜λNの各々の光を反射する前記N個の回折領域を有する前記分布ブラッググレーティングを形成することを特徴とする。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の波長可変モード同期レーザの作製方法において、前記部材に対して露光を行うに際し、1≦m<n≦N(mは整数)の場合に、前記発振波長λ1〜λNがλm<λnの関係を満たす前記分布ブラッググレーティングを形成する前記位相マスクを使用することを特徴とする。
【0029】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の波長可変モード同期レーザの作製方法において、前記部材に対して露光を行うに際し、前記アポダイゼーションマスクの前記N個の回折領域の規定の仕方を調整することによって(図14(a)、(b))、前記波長可変モード同期レーザの出力する光の発振波長、発振波長間隔、及び前記分布ブラッググレーティングの反射帯域を調整することを特徴とする。
【0030】
本発明の波長可変モード同期レーザは、レーザの最短発振波長に対応するピッチから最長波長に対応するピッチまで、連続的にピッチが増加する長さLTOTのチャープ位相マスク(91、142)に、N個の所望の波長に対応する部分のみに、長さLLOC≪LTOTのアポダイゼーション(93、図14(a)の屈折率プロファイル)を適用された分布ブラッググレーティングを用いたものである。
【0031】
連続的にピッチが変化する位相マスクに部分的にアポダイゼーションを適用することによって、媒体の屈折率が変化した場合にでも、同じ位相マスクを用いてアポダイゼーションを適用する部分を調整することにより、所望の波長で発振するレーザを実現することができる。部分的なアポダイゼーションを適用するため、各反射バンドの帯域が制限されるため、レーザの発振スペクトルが細くなり分散耐力が改善される。
【0032】
この場合、連続的に波長を変化させることができなくなるが、反射遅延特性(95)が一定でないため、ピッチが一定の分布ブラッググレーティングを用いた時と比較して、各波長で安定に発振するモード同期周波数範囲が拡大される(図11)。
【0033】
また、本発明の波長可変モード同期レーザは、N波長の分布ブラッググレーティングの反射帯域内のピッチが連続的に変化している(チャープしている)ものである。この場合、この分布ブラッググレーティングの特性を実現するための作製法は、位相マスク法を用いた作製法に限定されない。
【0034】
なお、特許請求の範囲の構成要素と対応する実施形態の構成部の図中の符号を()で示す。ただし、特許請求の範囲に記載した構成要素は上記()部の実施形態の構成部に限定されるものではない。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。最初に、本実施形態の波長可変モード同期レーザにおいて使用するチャープDBGの作製と特性の関係を説明する。
【0036】
図9は、本実施形態のチャープDBGの作製と特性の関係を示す図である。本実施形態のチャープDBGを作製する時に用いる位相マスクを図中符号91に、および位相マスク91の長さによるピッチの変化(十分連続的に変化している)を92に示す。
【0037】
位相マスク91を用意し、所望の波長に対応する部分のみにアポダイゼーション93を適用することによってDBGを作製し、波長可変モード同期レーザに挿入する。本実施形態のDBGの反射スペクトルを94に、及び反射遅延特性を95に示す。
【0038】
このようなDBGを用いることによる有為な点を、図10および図11を用いて説明する。図10は、図9のDBGを用いた本実施形態の波長可変モード同期レーザの出力スペクトルの例を示す図である。図11は、本実施形態の波長可変モード同期レーザが、安定にモード同期動作をするRF周波数可変範囲を説明する図である。
【0039】
図10において、図中符号103は、N波長の内の一つが発振していることを示している。反射スペクトル101に所望な波長帯で帯域を制限する反射率の変化が生じるため、所望の波長帯で発振するレーザの出力スペクトル102が狭くなる。
【0040】
また、図11において、縦軸111はレーザの出力光のSN比であり、点線112以上のところで安定な発振を得ることを示している。SN比のRF周波数依存性を図中符号113で示しており、各反射バンド内でピッチがチャープしているため、安定なモード同期発振を得られるRF周波数範囲114が拡大される。
【0041】
次に、本実施形態の波長可変モード同期レーザについて説明する。図12は、本実施形態の波長可変モード同期レーザの構成図である。図12において、共振器121は、半導体光増幅器123、電界吸収型光変調器122、光サーキュレータ124、及びDBG125を有する。
【0042】
電源128から得た注入電流で光増幅器123の利得が設定されており、RFシンセサイザー126から得たクロック信号により、モード同期発振が実現されている。電界吸収型光変調器122のバイアス設定は、電源127により設定されている。
【0043】
次に、本実施形態の波長可変モード同期レーザの作製方法について説明する。DBGの作製に用いる位相マスクの構成図の例を図13に示し、アポダイゼーションを適用するために用いるシャドーマスクの設計例を図14(a)に示す。
【0044】
図13において、DBG全体の長さが30mmであり、ピッチがステップ的に変化している。ステップ数が400であり、ステップiのピッチは、式(6.1)で表せる。
ピッチi=(1542+0.05i)/1.447 nm i=1〜400 (6.1 )
【0045】
本ピッチ帯は、シングルモードファイバ上(single mode fiber−SMF)では、反射波長帯域1540−1560nmのDBGに対応する。DBGを作製する時に用いる実験系を、図14(b)に示す。図14(a)に示すアポダイゼーションマスクを図中符号146のマスク1、147のマスク2の順番で適用することによって、図に示すDBGの屈折率プロファイルが実現される。
【0046】
このプロファイルのエンベロープ成分がアポダイゼーションであり、屈折率nに対してDC成分が存在しないこと(即ち、n付近で平均の変化が零であること。nは光ファイバの屈折率)が、DBGの反射バンドの両側に生じる反射サイドバンドを抑圧させるために必要である。
【0047】
図14(b)において、波長244nmの光141を位相マスク142及びアポダイゼーションマスク143に透過させ、光ファイバ144に放射させることによってDBG148がファイバのコア部分に書き込まれる。光ファイバ144の屈折率がnである場合、DBG148の反射スペクトルは図中符号145に示すようになる。
【0048】
ここで、本実施形態で重要なことは、上記のアポダイゼーションマスクには、N個の幅w、長さLLOCの穴が周期LPERで空けられていることであり、穴の位置を位相マスク上の所望なピッチの部分に対応させることによって、所望な波長で反射するDBGを作製できることである。このようなマスクを用いることによって、波長可変モード同期レーザの作製上、波長、波長間隔、反射帯域などを柔軟に調整する自由度が得られる。
【0049】
例えば、図14(b)において、アポダイゼーションマスク143をz方向に移動することによって、光ファイバ144に書き込まれるDBG148の波長を波長軸上で変化させることができる。またさらに、穴の間隔を調整することによって、DBG148の波長間隔を調整することができ、穴の長さを調整することによって、DBG148の反射バンドの帯域を調整することができる。
【0050】
この場合、新しいアポダイゼーションの作製が必要になるが、上記の調整は全てを同じ位相マスク142を用いて実現することができるため、高価な位相マスクを複数用意する必要が無い。
【0051】
次に、本実施形態の波長可変モード同期レーザの特性について説明する。図15(a)、(b)は、上記の作製法によるDBGを用いたレーザから得た出力スペクトルとRF周波数と波長(チャネル)の関係を示す。図15(a)は、本実施形態によるレーザの出力スペクトルを示し、図15(b)は、RF周波数と本実施形態によるレーザの出力スペクトルの波長(チャネル)との関係を示す。
【0052】
ここでは9波長のDBGを作製した結果を述べており、アポダイゼーションマスクは、穴数が9、w=3mm、LLOC=2.283mm、LPER=2.283mmである。穴の形は正弦波で表せる。平均の繰り返しが5GHz帯、波長間隔が1.4nmであり、9波長での波長可変動作を示している。
【0053】
図16は、従来のチャープDBGを用いたレーザの出力スペクトルであり、図15(a)と比較した場合、本実施形態の図15(a)の方がスペクトル幅が狭くなったことを示している。スペクトル幅が細いため、より狭い波長間隔での発振が可能である。
【0054】
図17は、本実施形態によるレーザおよび従来のチャープDBGを用いたレーザの出力光を、2.48832Gbpsのデータで変調し、長さ25kmのSMFで伝送させた結果を示す。この場合、レーザの繰り返しが7GHz帯であり、波長1551nmで伝送を行った。SMFの波長分散により誤り率にパワーペナルティーが生じるが、図中符号171の本実施形態によるレーザを用いた場合は、スペクトル幅が細いため、パワーペナルティーが、172の従来のチャープDBGを用いた場合より小さな値となる。
【0055】
またさらに、本実施形態によるDBGを用いたレーザが安定に動作するRF周波数範囲を測定した結果、従来の一定のピッチのDBGを用いたレーザの3倍程度に拡大されている。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、共振器内に分布ブラッググレーティングを有し、モード同期の周波数を変更することにより、出力する光を発振波長λ1〜λN(Nは正の整数)のN種類に変更可能な波長可変モード同期レーザは、分布ブラッググレーティングに発振波長λ1〜λNの各々の光を反射するN個の回折領域を備え、N個の回折領域の各々は、第nの回折領域(1≦n≦N、nは整数)の場合に、発振波長λnに対応するピッチを中心に連続的に変化するピッチを有し発振波長λnの光を反射する回折格子を備え、且つ、アポダイゼーションが適用されている。
【0057】
このため、連続的にピッチがチャープしている回折格子の各々にアポダイゼーションを適用することによりDBGを作製し、このDBGを波長可変モード同期レーザの共振器内に挿入することによって、狭いスペクトル幅の光を出力し、安定に動作するRF周波数範囲が拡大された波長可変モード同期レーザを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】波長可変モード同期レーザの一般構成の例を示す図である。
【図2】従来のDBGの作製と特性の関係を示す図である。
【図3】図2のDBGを用いた波長可変モード同期レーザの出力スペクトルの例を示す図である。
【図4】媒体の屈折率変化によるDBGの反射波長の変化を説明する図である。
【図5】図2のDBGを用いたレーザの、安定なモード同期発振が起きるRF周波数範囲を説明する図である。
【図6】従来のチャープDBGの作製と特性の関係を示す図である。
【図7】図6のDBGを用いた波長可変モード同期レーザの、安定なモード同期発振が起きるRF周波数範囲を示す図である。
【図8】チャープDBGを用いた波長可変モード同期レーザの出力スペクトルの例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の、チャープDBGの作製と特性の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施形態の、波長可変モード同期レーザの出力スペクトルの例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の、波長可変モード同期レーザが安定にモード同期動作をするRF周波数可変範囲を説明する図である。
【図12】本発明の実施形態の波長可変モード同期レーザの構成図である。
【図13】本発明の実施形態の、チャープ位相マスクの構成図の例である。
【図14】本発明の実施形態の、チャープDBGの作製の説明図で、(a)はアポダイゼーションマスクの構成図および出来上がったDBGの屈折率変動プロファイル、(b)はDBGの作製に用いる系の説明図である。
【図15】本発明の実施形態の作製法によるDBGを用いたレーザから得た、出力スペクトルとRF周波数と波長(チャネル)の関係を示す図で、(a)はレーザの出力スペクトル、(b)はRF周波数とレーザの出力スペクトルの波長(チャネル)との関係を示す図である。
【図16】従来のチャープDBGを用いたレーザの出力波長可変スペクトルを示す図である。
【図17】本発明の実施形態のレーザ及び従来のチャープDBGを用いたレーザの出力光を、2.48832Gbpsのデータで変調し、長さ25kmのSMFで伝送させた結果を示す図である。
【符号の説明】
10、121 共振器
13 光変調器
14 半導体光増幅器
15、125 分布ブラッググレーティング
18 光導波路
19 出力手段
21 従来の一定なピッチのDBGを複数個並べた構成のDBGを作製するための位相マスク
22 位相マスク21の長さによるピッチの変化
23 DBGを作製する時に適用するアポダイゼーションプロファイル
24 位相マスク21およびアポダイゼーション23によるDBGの反射スペクトル
25 DBG24の反射遅延特性
61 従来のチャープDBGを作製するための位相マスク
62 位相マスク61の長さによるピッチの変化
63 DBGを作製する時に適用するアポダイゼーションプロファイル
64 位相マスク61およびアポダイゼーション63によるDBGの反射スペクトル
65 DBG64の反射遅延特性
91 チャープDBGを作製するための位相マスク
92 位相マスク91の長さによるピッチの変化
93 DBGを作製する時に適用するアポダイゼーションプロファイル
94 位相マスク91およびアポダイゼーション93によるDBGの反射スペクトル
95 DBG94の反射遅延特性
124 光サーキュレータ

Claims (5)

  1. 共振器内に分布ブラッググレーティングを有し、モード同期の周波数を変更することにより、出力する光を発振波長λ1〜λN(Nは正の整数)のN種類に変更可能な波長可変モード同期レーザにおいて、
    前記分布ブラッググレーティングは、前記発振波長λ1〜λNの各々の光を反射するN個の回折領域を備え、
    該N個の回折領域の各々は、
    第nの回折領域(1≦n≦N、nは整数)の場合に、発振波長λnに対応するピッチを中心に連続的に変化するピッチを有し前記発振波長λnの光を反射する回折格子を備え、
    かつ、前記N個の回折領域の各々に対してアポダイゼーションが適用されている
    ことを特徴とする波長可変モード同期レーザ。
  2. 請求項1に記載の波長可変モード同期レーザにおいて、前記分布ブラッググレーティングは、1≦m<n≦N(mは整数)の場合に、前記発振波長λ1〜λNがλm<λnの関係を満たすことを特徴とする波長可変モード同期レーザ。
  3. 共振器内に分布ブラッググレーティングを有し、モード同期の周波数を変更することにより、出力する光を発振波長λ1〜λN(Nは正の整数)のN種類に変更可能な波長可変モード同期レーザの作製方法において、
    前記分布ブラッググレーティングを形成するための部材に対して、連続的にピッチが変化する位相マスクとN個の回折領域を規定するためのアポダイゼーションマスクとを用いて露光し、
    前記N個の回折領域の各々について、第nの回折領域(1≦n≦N、nは整数)の場合に、発振波長λnに対応するピッチを中心に連続的に変化するピッチを有し前記発振波長λnの光を反射する回折格子を形成すると共に、アポダイゼーションを適用し、
    前記発振波長λ1〜λNの各々の光を反射する前記N個の回折領域を有する前記分布ブラッググレーティングを形成する
    ことを特徴とする波長可変モード同期レーザの作製方法。
  4. 請求項3に記載の波長可変モード同期レーザの作製方法において、前記部材に対して露光を行うに際し、1≦m<n≦N(mは整数)の場合に、前記発振波長λ1〜λNがλm<λnの関係を満たす前記分布ブラッググレーティングを形成する前記位相マスクを使用することを特徴とする波長可変モード同期レーザの作製方法。
  5. 請求項3又は4に記載の波長可変モード同期レーザの作製方法において、前記部材に対して露光を行うに際し、前記アポダイゼーションマスクの前記N個の回折領域の規定の仕方を調整することによって、前記波長可変モード同期レーザの出力する光の発振波長、発振波長間隔、及び前記分布ブラッググレーティングの反射帯域を調整することを特徴とする波長可変モード同期レーザの作製方法。
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