JP3920354B2 - デュアルモードのポータブル電話ユニット - Google Patents
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Description
発明の技術分野
本発明は、セルラー無線電話システムに関し、より詳細には長距離または通常距離の基地局との運用を可能にするデュアルモードのTDMA規格を有するポータブル電話ユニットに関する。
関連技術の説明
時間デュプレックス式ポータブル電話ユニットは、特定距離、通常約75km内でのTDMA機能を実行するように構成されている。しかしながらポータブルユニットが通常の距離にある局に適用される規格と同じ規格を使用して運用を試みる場合、いわゆるメガセル(75kmよりも長い基地局からの距離)内でポータブル電話ユニットを使用すると、時間の同期化の問題が生じ得る。この時間の同期化問題は長距離にわたって基地局とコンタクトする際に固有に生じる、遅延時間がより長くなることによって生じるものである。
現在のTDMAシステムでは、送信された信号を特定時間中に基地局に受信させなければならない。メガセル内での基地局とポータブル電話ユニットとの間の長距離送信は、基地局による適当な時間での送信信号の受信を阻害する。従って、ポータブル電話ユニットが、通常距離および航空機搭載プラットフォームまたは衛星を使用する場合のような長距離の双方にわたって運用できれば、セルラー電話システムのユーザーおよび運用者の双方にとって大きな利益が得られる。
発明の概要
本発明はデュアルモードの運用が可能なTDMAポータブル電話ユニットによる上記問題およびそれ以外の問題を克服するものである。このポータブル電話ユニットはポータブルユニットと基地局との間の通常の距離の送信を可能にする第1運用モードと拡張された距離の送信を可能にする第2運用モードとを切り替えるための手段を含む。第1距離、すなわち通常の距離の作動モードが選択されると、ポータブル電話ユニットは第1のTDMA運用シーケンスに従って作動される。この第1シーケンスは基地局における多数のポータブル電話ユニットから受信される信号間の適正なタイミング関係を維持しながら、約75キロメートルの距離内の通信を可能にする複数のタイムスロットを含む。第2の作動モード、すなわち拡張された距離の運用モードが選択されると、ポータブル電話ユニットは第2のTDMAフレーム構造、すなわち第2の運用シーケンスに従って作動する。この第2のフレーム構造、すなわち作動シーケンスは、例えば航空機搭載プラットフォームに設置された基地局との運用または衛星を介した運用が望まれる場合の、通常の運用モードの距離よりも長い、第2の拡張距離にある基地局との同期通信を可能にする複数のタイムスロットを含む。
このような長い距離内の同期通信を実行するためのポータブル電話ユニットの能力は、受信スロットに対するフレーム内で、第2のフレーム構造またはシーケンスを使用する時よりも後に公称的に生じる送信タイムスロットを有するフレーム構造、すなわち作動シーケンスを利用することにより達成される。これにより、ポータブル電話ユニットと基地局との間の距離が長くなることによって生じる、より長いループ伝搬遅延時間を補償するように、送信タイムスロットを公称位置から更に進ませることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
添付図面と共に次の詳細な説明を参照すれば、本発明の方法および装置についてより完全に理解できよう。
図1は、デュアルモードのポータブル電話ユニットを使用することにより可能なデュアルカバーエリアを示す。
図2は、デュアルモードポータブル電話ユニットの全体のブロック図である。
図3a、3bおよび3cは、デュアルモードポータブル電話ユニットにより利用される通常距離および拡張距離フレーム構造を示す。
図4は、2つのタイミング発生器を有する短距離/長距離用ポータブル電話ユニットのブロック図である。
図面の詳細な説明
次に図面、特に図1を参照すると、ここにはデュアルモードのポータブル電話ユニット12および基地局10を有するシステムが示されている。これらポータブルユニット12は全体が番号14で示された基地局の75キロメートルの距離および全体が番号16で示された基地局10の(例えば)160キロメートルの距離内の双方での運用を可能にする2つのモードのうちの1つで運用が可能である。図1は全方向性アンテナを有する基地局10の使用を示すが、このシステムはセクター状アンテナを使用する基地局にも等しく適用できる。更に第1運用距離および第2運用距離は任意の距離とすることができる。
メガセル基地局または衛星通信に関連し、距離が長い(75キロメートル以上の)ことは、標準的な時間デュプレックス式ポータブル電話を使用する際に同期化に関する問題を引き起こす。基地局10との正しい同期化を得るために、送信(T)タイムスロットを進ませることができる、ウィンドが限られていることからこれら問題が生じる。通常の距離内で運用されるポータブル電話は所定タイムスロット内でデータが受信されるように、基地局にデータを送信できる。しかしながら75キロメートルよりも長い距離の通信を試みると、ポータブルユニットによる送信と基地局による受信との同期化が不可能となり、このため送信タイムスロットを受信タイムスロット内に進ませなければならなくなる。時間デュプレックス式装置は重なり合う時間内に送受信できないので、デュプレックス装置ではこのようなタイムスロットの操作は認められていない。
図2に示されるようなこの問題に対する解決案は、通常のサイズのセル内でTDMA送信をするための通常の距離の運用モード20および基地局とポータブルユニットとの距離が少なくとも160キロメートルまでのメガセルによる使用をするための拡張距離の運用モード22を実行するポータブル電話ユニット12を使用する。スイッチ23は、これら2つのモードの変換を可能にするものである。本発明の1つの特徴によれば、第2距離モード、すなわち長距離モードは、より長いTDMAフレーム期間の使用を含むこともできる。
通常距離の運用モード20では電話は、例えば約4.6msのフレーム時間を有する移動通信のためのグローバルシステム(GSM)のための、公にされた規格に従って運用される。図3aに示されるようにGSMフレーム内の8つのタイムスロットはR(受信)、I(アイドル)、T(送信)およびS(スキャン)で表示される。拡張距離モードではポータブル電話ユニット12はTDMA時間フレーム26のうちの受信タイムスロット24a内で信号を受信する。受信されたタイムスロット24aに続く次の1つまたは2つのタイムスロット24bは、ポータブルユニット12が受信状態から送信状態に変化する際のアイドル状態となっている。ポータブルユニット12は送信タイムスロット24c内で1つの信号を基地局10へ送信する。
送信後、ポータブル電話ユニット12はほぼ4つの残りのタイムスロット中に、多数の隣接する基地局の周波数のうちの1つで信号強度をスキャンするように周波数を変える。次に電話ユニット12は次の時間フレームからのトラヒック情報の次のバーストを受信するように、自らの受信周波数に戻るように周波数を変える。このような手順によってセルラー信号に対するフォームRIITISIIRIITISII....の反復時間フレーム構造が得られる。
GSM仕様は、正しいタイムスロット中に送信信号が基地局によって受信され。送信信号が隣接するタイムスロット内で他の送信信号と重ならないように、送信中のループ伝搬遅延を考慮するよう、タイミングを限られた時間だけ進ませることを、基地局10からポータブルユニット12へ命令することができる。しかしながら、ポータブル電話ユニット12は受信タイムスロット24aの直後または同時に、送信時間を進ませることはできないので、この送信距離は限られている。従って、送信タイムスロットを進ませることのできるほとんどの時間は、約1タイムスロット、すなわちアイドル時間、すなわち約50マイクロ秒であり、この結果、例えばRITIISII....のシーケンスが生じ、これによって約75キロメートルの距離までの送信が可能となっている。
拡張距離運用モード22(図2)に切り替えることにより、ポータブル電話ユニット12は図3bまたは3cに示されるように、変更されたフレーム構造または運用シーケンスに切り替わる。この変更されたフレーム構造では隣接する基地局の信号強度を測定するためのスキャン(S)への切り替えは、通常のフレーム構造で行われるように送信後から、かつ受信前までの間で常に行われるわけではない。むしろスキャン(S)は、受信(R)後であって、送信(T)前に行われるか、または全く行われない。このような手順は(スキャンが実行される場合には)フォームRISIITII RISIITII....の反復運用シーケンスが発生し、または(スキャンが実行されない場合には)RIIIITII RIIIITII....の反復運用シーケンスが生じる。
従って、送信タイムスロット24cは標準的なGSMフレームフォーマットの場合よりも2つまたは3つのタイムスロットだけ遅れることがある。公称上、フレーム構造内で送信タイムスロットを遅らせることにより、送信タイムスロット(T)を公称位置から2つのタイムスロット、すなわ1.1ミリ秒だけ進ませ、より長いループ遅延時間を補償することができる。これにより160キロメートルの距離までの基地局との同期化を可能にする1.1ミリ秒までの時間進め能力が得られる。時間の進めにより、次の受信スロットよりも送信タイムスロットが先の受信スロットのより近くになると、スキャン動作の位置はより長いアイドル時間が利用できる送信スロットの後となるように変更される。従って、本発明の装置は送信スロットの必要とされる進め時間に応じてダイナミックに(受信、送信、スキャン)から(受信、スキャン、送信)へ作動シーケンスを変更することができる。
軌道上の衛星を介した通信で行う場合に生じるような、例えば上記160キロメートルよりも長い距離にわたる通信が望まれる場合、長距離におけるタイミングの進めを行うための調節範囲を広くするための別の対策として、TDMAフレーム時間を長くすることを行ってもよい。例えばGSMと同じスロットフォーマットを維持しながら衛星モードで16スロットまたは32スロットにもフレーム時間を適当に長くし、よって送信タイムスロットの進み範囲を2倍または4倍以上とすることができる。
衛星通信に成功するのに必要な進み範囲は270msのループ遅延時間を示す40000キロメートルもの長さになり得る衛星までの総距離とは関連せず、むしろポータブルユニットが所定のサービスエリア内でローミングする際の距離の変化に関連している。このサービスエリアは多数の指向性アンテナビームを使用することにより複数のセルに分割でき、衛星システムはカプセルの中心に対し別別に、その公称受信タイミングを調節でき、ポータブルユニットは当然、セルの中心から衛星までの距離よりもかなり短いセルの直径にわたる移動量に従い、その送信タイミング進み時間を調節するだけでよい。必要であれば、衛星との通信を行うためのフレーム時間を、例えば40msまで長くすることができる。
図4は、異なる長さのフレーム時間をサポートするのに2つのタイミング発生器を有する短距離/長距離用ポータブル電話ユニットを示す。これまで、例えば米国特許出願第07/967,027号、米国特許出願第08/135,542号、米国特許出願第08/305,780号および米国特許出願第08/501,575号には、異なるタイプのデュアルモードの電話ユニットが記載されている。デュアルモードの電話の他の技術的な設計上の特徴に対するバックグラウンドサポートとして、本願出願人に譲渡されたこれら米国特許出願の各々を本明細書で参考例として引用する。本願出願人に譲渡された米国特許出願第08/354,904号は、軌道上の衛星を介したTDMA運用のためのタイミング上の問題を開示しており、この米国特許出願も参考例として全体を引用する。上記引用した参考例は図4に示されるような長距離運用モードまたは短距離運用モードに対し、それぞれ使用できる2つのTDMAタイミング発生器を使用しなければならないことについては特に言及していない。
図4は、例えば別個の短距離用の送信機30と受信機31とアンテナ30との組み合わせを制御し、4.6msフレーム時間にわたって周期的に作動できる短距離用タイミング発生器34と、別個の長距離用の送信機32と受信機33とアンテナ39との組み合わせを制御し、より長いフレーム時間、例えば4.6msの短距離用フレーム時間の2倍または4倍のフレーム時間、またはIS1363/6スロットのTDMA規格が使用する20msまたは40msフレーム時間にわたって周期的に作動することができる長距離用タイミング発生器35を示す。短距離モードまたは長距離モードの選択はすべてのモード用の共通回路37の一部であり、コントローラの命令により選択ロジック36によって行われる。共通回路37は送信用の情報信号の符号化または受信した信号の復号化を行うためのデジタル信号処理を行うことができる。短距離モードと長距離モードの切り替えの判断は受信機30または32からの受信信号に応じて自動的に行い、一対のスイッチ40、41によって制御することもできる。
以上で、本発明の方法および装置の一実施例を添付図面に示し、上記の詳細な説明に記載したが、本発明はここに開示した実施例のみに限定されるものでなく、次の請求の範囲に記載した発明の要旨から逸脱することなく、多数の再配置、変更および置換が可能であることが理解できよう。
Claims (14)
- 第1運用モードの選択に応答して反復TDMAフレーム時間内で第1運用シーケンスに従い、ポータブル電話ユニットを運用するための手段を備え、前記第1運用シーケンスが前記基地局により受信される他の信号と重なることなく、基地局における送信タイムスロットの受信を維持しながら、第1距離における通信を可能にするよう、受信のためのTDMAフレーム時間内の複数のタイムスロットのうちの1つの選択および送信のための別のタイムスロットの選択を含み、
第2運用モードの選択に応答して反復TDMAフレーム時間内で第2運用シーケンスに従い、ポータブル電話ユニットを運用するための手段を備え、前記第2運用シーケンスが前記基地局により受信される他の信号と重なることなく、基地局における送信タイムスロットの受信を維持しながら、第2距離における通信を可能にするよう、受信のためのTDMAフレーム時間内の複数のタイムスロットのうちの1つの選択および前記第1運用モードで選択された送信タイムスロットと異なる送信のための別のタイムスロットの選択を含み、前記第2シーケンスが更に送信タイムスロットの公称位置から2つのタイムスロットまでの送信タイムスロットの進めを可能にするようになっており、
更に第1運用モードと第2運用モードとを切り替えるための手段とを備えた、デュアルモードTDMAポータブル電話ユニット。 - 第2の運用シーケンスが、基地局との同期を維持するように、送信タイムスロットを少なくとも1.1ミリ秒だけ進めることを可能にする、請求項1記載のポータブル電話ユニット。
- 第2の運用シーケンスが、着信信号の受信後であって、かつ発信信号の送信前において、他の基地局をスキャンする、請求項1記載のポータブル電話ユニット。
- 第2の運用シーケンスが、他の基地局の周波数をスキャンするためのタイムスロットを含まない、請求項1記載のポータブル電話ユニット。
- 前記第2の運用シーケンスにおける送信タイムスロットが、先の受信タイムスロットに対して第1運用シーケンスの送信タイムスロットよりも後に生じる、請求項1記載のポータブル電話ユニット。
- 第2の運用シーケンスが、フォーマットRISIITII(ここでRは受信状態を示し、Iはアイドル状態を示し、Tは送信状態を示し、Sは他の周波数をスキャンする状態を示す)を有する8つのタイムスロットを含む、請求項1記載のポータブル電話ユニット。
- 第2の運用シーケンスが、フォーマットRIIIITII(ここでRは受信状態を示し、Iはアイドル状態と示し、Tは送信状態を示す)を有する8つのタイムスロットを含む、請求項1記載のポータブル電話ユニット。
- 第1反復フレーム時間にわたり、送信運用と受信運用とを交互に行う第1シーケンスを発生するための第1TDMAタイミング手段と、
前記第1フレーム時間の倍数である第2反復フレーム時間にわたり送信運用と受信運用とを交互に行う第2シーケンスを発生するための第2TDMAタイミング手段と、
第1距離内の基地局への通信を行うための前記第1TDMAタイミング手段に切り替えるための、及びこの切り替えに代えて、第2距離内の基地局との通信を行うための、前記第2TDMAタイミング手段へ切り替えるための手段とを特徴とする、第1距離および第2距離にある基地局と通信するためのデュアルモードTDMAポータブル電話ユニット。 - 前記第1の反復フレーム時間が約4.5ms〜4.8msの長さを有し、前記第2のフレーム時間が20msの倍数に等しい長さを有する、請求項8記載の電話ユニット。
- 送信と受信を交互に行う前記第1の運用シーケンスがフォームRIITISIIを含み、送信と受信を交互に行う前記第2の運用シーケンスがフォームRISIITII、又はRIIIITII(ここでRは受信状態を示し、Iはアイドル状態を示し、Tは送信状態を示し、Sは別の周波数チャンネルをスキャンする状態を示す)を含む、請求項8記載の電話ユニット。
- 基地局が軌道上の衛星のトランスポンダを含む、請求項8記載の電話ユニット。
- 基地局が航空機搭載プラットフォームを含む、請求項8記載の電話ユニット。
- 第1運用モードと第2運用モードのいずれかを選択する工程と、
第1運用モードの選択に応答して反復TDMAフレーム時間中に、基地局における信号の重なりを回避しながらポータブル電話ユニットと第1距離内にある基地局との間の同期通信を可能にする第1運用シーケンスに従い、ポータブル電話ユニットを運用する工程と、
ポータブル電話ユニットと基地局との間の同期を維持するように、公称位置から2つのタイムスロットまで前に送信時間を進ませることにより、第2の運用モードの選択に応答し、反復TDMA構造内で第2運用シーケンスに従ってポータブル電話ユニットを運用する工程を含み、前記第2運用シーケンスが、基地局における信号の重なりを回避しながら、ポータブル電話ユニットと第1距離よりも長い第2距離内にある基地局との間の同期通信を可能にすることを特徴とする、TDMAポータブル電話ユニットのデュアルモードの運用を可能にする方法。 - 第2の作動シーケンスに従ってポータブル電話ユニットを運用する工程が、ポータブル電話ユニットと基地局との間の同期を維持するように、送信時間を少なくとも1.1ミリ秒だけ進ませる工程を含む、請求項13記載の方法。
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