JP3919838B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本明細書で開示する発明は、結晶性を有する薄膜半導体を用いた半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラスや石英基板上に形成された薄膜半導体を用いたトランジスタ(薄膜トランジスタやTFTと称される)が注目されている。これは、ガラス基板や石英基板の表面に数百〜数千Åの厚さに薄膜半導体を形成し、この薄膜半導体を用いてトランジスタ(絶縁ゲイト型電界効果トランジスタ)を形成する技術である。
【0003】
薄膜トランジスタの応用範囲としては、アクティブマトリクス型の液晶表示装置が知られている。これは、マトリクス状に配置された数十万以上の画素のそれぞれにスイッチング素子として薄膜トランジスタを配置し、高い画質を有する表示を行わすものである。
【0004】
このようなアクティブマトリクス型の液晶表示装置に利用される薄膜トランジスタとしては、非晶質珪素(アモルファスシリコン)薄膜を用いたものが実用化されている。
【0005】
しかしながら、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタは、その特性が低いという問題がある。例えば、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の表示機能としてより高い機能を求めようとする場合、非晶質珪素膜を用いた薄膜トランジスタでは、その特性が低すぎる。
【0006】
また、画素のスイッチングのみではなく、周辺駆動回路をも薄膜トランジスタで構成することで、一枚の基板の上に集積化した一体型の液晶表示システムを構成することが提案されているが、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタでは、その動作速度の低さから周辺駆動回路を構成することができない。特に非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタでは、Pチャネル型を実用化することが困難であるので(特性が低過ぎ実用にならない)CMOS回路が構成できないという基本的な問題がある。
【0007】
さらに、画像データ等を処理または記憶するための集積回路等をも画素領域や周辺駆動回路と同一の基板上に集積化する技術も考えられているが、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタでは、その特性の低さから画像データを処理できるような集積回路を構成することができない。
【0008】
一方、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタを大きく上回る特性を有する薄膜トランジスタとして、結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタを構成する技術が知られている。この技術は、非晶質珪素膜の形成後に加熱処理やレーザー光の照射を行うことにより、非晶質珪素膜を結晶性珪素膜に変成する現象を利用したものである。非晶質珪素膜を結晶化させることによって得られる結晶性珪素膜は、一般に多結晶構造あるいは微結晶構造を有している。
【0009】
結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタを構成した場合、非晶質珪素膜を用いた場合に比較して、はるかに高い特性を得ることができる。例えば、薄膜トランジスタの特性を評価する一つの指標である移動度で見た場合、非晶質珪素膜を用いた薄膜トランジスタでは移動度が0.5 〜1cm2 /Vs以下(Nチャネル型の場合)であるが、結晶性珪素膜を用いた薄膜トランジスタでは、Nチャネル型で100cm2 /Vs程度以上、Pチャネル型で50cm2 /Vs程度以上のものを得ることができる。
【0010】
【発明が解決する課題】
しかしながら、非晶質珪素膜を結晶化することによって得られた結晶性珪素膜は、多結晶構造を有しており、結晶粒界に起因する数々の問題がある。例えば、結晶粒界を経由して移動してしまうキャリアが存在するために、薄膜トランジスタの耐圧が大きく制限されてしまうという問題である。また、高速動作を行わす場合に特性の変化や劣化が起こりやすいという問題がある。また、結晶粒界を経由して移動してしまうキャリアが存在するために、薄膜トランジスタがOFF時におけるオフ電流(漏れ電流)が多くなってしまうという問題がある。
【0011】
またアクティブマトリクス型の液晶表示装置をより集積化した形で構成しようとする場合、画素領域のみでなく、周辺回路をも1枚のガラス基板上に形成してしまうことが望まれる。このような場合、マトリクス状に数十万個配置された画素トランジスタを駆動するために、周辺回路に配置された薄膜トランジスタには大電流を扱えることが要求される。
【0012】
大電流を取り扱うことのできる薄膜トランジスタを得るには、チャネル幅を大きくした構造を採用する必要がある。しかしながら、結晶性珪素膜を用いた薄膜トランジスタでは、そのチャネル幅を広くしても耐圧の問題から周辺回路における使用には耐えないという問題がある。またしきい値の変動等が大きく、実用的ではないという問題もある。
【0013】
また画像データを処理するための集積回路を結晶性珪素膜を用いた薄膜トランジスタで構成しようとしても、しきい値の変動や特性の経時変化の問題から、実用的な集積回路(従来のICの代わりに用いることができるような)を得ることができない。
【0014】
このような非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタと多結晶珪素薄膜や微結晶珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタにおける諸問題を解決する手段として、単結晶と見なせる領域を非晶質珪素薄膜の特定の領域に形成し、この領域を用いて薄膜トランジスタを形成する技術が知られている。この技術を用いれば、単結晶珪素ウエハー上に形成されたトランジスタ(MOS型トランジスタ)に匹敵する特性を得ることができる。
【0015】
この技術としては、特開平2−140915号公報に記載されているものが公知である。この技術は、図2(A)に示すように、種結晶となる領域201を形成し、しかる後に加熱処理を加えることにより、種結晶となる領域201から矢印203で示されるような結晶成長を行わせ、202のような形状にパターニングされた非晶質珪素膜でなる領域を結晶化させるというものである。
【0016】
しかしながら、従来例では、202で示すパターンを種結晶となる領域201の領域から結晶成長させようとしても、図2(B)に示すように、204で示される領域からの結晶成長が同時に行われ、一様に結晶成長させることができない。即ち、204で示される領域にも結晶成長の種が形成されてしまい、複数のモードで結晶成長が行われることになるので、内部に結晶粒界が存在している多結晶状態が得られてしまう。
また、加熱処理による結晶化方法では、必要とする面積を結晶成長させることができない。
【0017】
本発明の目的は、上述の問題点を解決して、絶縁表面を有する基板上に形成された非晶質珪素膜を出発膜として、単結晶と見なせる領域を効率良く形成する技術を提供することにある。
また、結晶粒界の影響を受けない薄膜トランジスタを提供することを他の目的とする。
また、耐圧が高く大電流を扱うことのできる薄膜トランジスタを提供することを他の目的とする。
また、特性の劣化や変動の無い薄膜トランジスタを提供することを他の目的とする。
また、単結晶半導体を用いた場合と同様な特性を有する薄膜トランジスタを提供することを他の目的とする。
【0018】
【課題を解決する手段】
上述の問題点を解消するために、本明細書で開示する主要な発明は、
非晶質珪素膜の表面に接して珪素の結晶化を助長する金属元素の層を選択的に形成する工程と、
前記非晶質珪素膜に対してレーザー光を前記非晶質珪素膜の面積が漸次増大する方向に移動させながら照射し単結晶と見なせる領域を形成する工程と、
を有し、
前記レーザー光の照射は非晶質珪素膜を加熱した状態で行われることを特徴とする。
【0019】
また他の発明は、
非晶質珪素膜の表面に接して珪素の結晶化を助長する金属元素の層を選択的に形成する工程と、
前記金属元素の層に接した領域から漸次その面積が増大する形状に非晶質珪素膜をパターニングする工程と、
前記金属元素の層に接した領域からその面積が漸次に増大する形状に非晶質珪素膜をパターニングする工程と、
前記非晶質珪素膜に対してレーザー光を前記漸次面積が増大する方向に移動させながら照射し単結晶と見なせる領域を形成する工程と、
を有し、
前記レーザー光の照射は非晶質珪素膜を加熱した状態で行われることを特徴とする。
【0020】
上記構成において、非晶質珪素膜は、ガラス基板や石英基板等の絶縁表面を有する基板上に形成される。非晶質珪素膜は、プラズマCVD法や減圧熱CVD法で形成される。
【0021】
珪素の結晶化を助長する金属元素としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた一種または複数種類のものを用いることができる。
【0022】
金属元素の層を選択的に形成するには、非晶質珪素膜の表面に金属元素の層を形成し、パターニングすればよい。また、金属元素の層(金属元素を含む層ということもできる。)を形成する方法としては、金属元素(例えばニッケル)を含む溶液を非晶質珪素膜の表面に塗布し、しかる後に加熱処理を加えることによって非晶質珪素膜の表面にニッケルシリサイドの層を形成する方法が最も好ましい。
【0023】
上記構成において、「金属元素の層に接した領域から漸次その面積が増大する形状に非晶質珪素膜をパターニングする工程」というのは、図1(A)の102に示す形状にパターニングを施す工程を挙げることができる。図1(A)の102に示す形状は、金属元素に接する層101が設けられた部分からθで示す角度でその面積が漸次に増大する形状を有している。
【0024】
上記構成において「前記非晶質珪素膜に対してレーザー光を前記漸次面積が増大する方向に移動させながら照射し単結晶と見なせる領域を形成する工程」としては、図1(B)に示す工程を挙げることができる。図1(B)に示す工程においては、矢印で示す方向にレーザー光を走査(移動またはスキャン)しながら照射することで101の領域から(A)の矢印103で示される方向に順次結晶成長を行わせ、単結晶と見なせる領域104を形成する状態が示されている。レーザー光としては、例えばエキシマレーザー光を用いることができる。
【0025】
単結晶と見なせる領域というのは、内部に結晶粒界(線欠陥や面欠陥)が存在しない領域のことをいう。この単結晶と見なせる領域は、モノドメイン領域ということができる。この単結晶と見なせる領域(モノドメイン領域)には、点欠陥が存在しているので、中和用の水素またはハロゲン元素が1×1017cm-3〜5×1019cm-3の濃度で含まれている。
【0026】
また単結晶と見なせる領域には、珪素の結晶化を助長する金属元素が1×1014〜1×1019原子cm-3の濃度で含まれている。これらの濃度は、SIMS(2次イオン分析方法)によって得られるデータに基づく最小値として定義される。
【0027】
なお、SIMSによって、金属元素の濃度を1×1016原子cm-3以下の濃度で計測することは、現状では困難である。しかし、当該金属元素を導入する際に利用する溶液中での当該金属元素の濃度から、単結晶と見なせる領域中の金属元素の濃度を概算することが可能である。即ち、溶液中の金属元素の濃度と、SIMSで計測される珪素膜中に最終的に残留する金属元素濃度との関係に基づいて、SIMSで計測されない濃度を概算することができる。
【0028】
更に、この単結晶と見なせる領域中には、炭素および窒素の原子が1×1016原子cm-3〜5×1018原子cm-3の濃度で含まれており、かつ酸素の原子が1×1017原子cm-3〜5×1019原子cm-3の濃度で含まれている。これは、出発膜としてCVD法で形成された非晶質珪素膜を利用したことに起因する。
【0029】
他の発明の構成は、
非晶質珪素膜の表面に接して珪素の結晶化を助長する金属元素の層を選択的に形成する工程と、
加熱処理を加え前記金属元素に接した領域から膜の面方向に結晶成長を行わす工程と、
前記結晶成長が行われた領域を、前記結晶成長の方向に面積が漸次に増大するパターンに形成する工程と、
前記面積が漸次に増大する方向に移動させながらレーザー光を照射し単結晶とみなせる領域を形成する工程と、
を有し、
前記レーザー光の照射は、珪素膜を400℃〜600℃の温度で加熱した状態で行うことを特徴とする。
【0030】
上記構成において、「加熱処理を加え前記金属元素に接した領域から膜の面方向に結晶成長を行わす工程」というのは、図5(B)に示す構成を挙げることができる。この工程では、結晶の種となる金属元素の層が形成された領域502から非晶質珪素膜501が503で示されるように膜の面方向(膜が形成された基板に平行な方向)に結晶成長が行われる状態が示されている。
【0031】
上記構成において、「前記結晶成長が行われた領域を、前記結晶成長の方向に漸次面積が増大する形状に形成する工程」としては、図6(A)に示す工程を挙げることができる。図6(A)には、矢印503で示される加熱による結晶成長が行われた方向に505で示されるように漸次その面積が増加する形状を有するパターンを形成する状態が示されている。
【0032】
上記構成において、「前記漸次面積が増大する方向に移動させながらレーザー光を照射し単結晶とみなせる領域を形成する工程」として、図6(B)に示す工程を挙げることができる。この工程は、505で示されるパターンの面積が漸次に増加する方向に、レーザー光を走査させながら照射する工程である。
【0033】
結晶化を助長するための金属元素を用いる方法において、このような金属元素を導入する方法には、大別して2つの方法がある。
その一つは、金属元素を、スパッタ法、電子ビーム蒸着法等の「物理的形成方法」を用いて、極薄い膜として非晶質珪素膜の表面(または非晶質珪素膜の下地膜の表面に)に成膜する方法である。これらの方法は、非晶質珪素膜に接して、当該金属元素の膜を形成することによって、非晶質珪素膜中に当該金属元素を導入するものである。
【0034】
この方法を用いた場合、膜中に導入される当該金属元素の濃度を精密に制御することが困難であるという問題がある。
【0035】
また、導入量を制限するために、その膜厚を数十Å程度以下の極薄い薄膜として形成する場合、完全な膜状として形成することが困難であり、金属元素の膜が島状に被形成面上に形成されることとなる。すなわち、金属元素の不均質層(discontinuous layer)が形成されることとなる。
【0036】
金属元素の不均一層を使用して、非晶質珪素膜を結晶化した場合には、不均一層を構成する島状の領域それぞれが結晶化の種(または核)(nucleus)となり結晶化が進行する。このような状況からの結晶化が進行した結晶性珪素膜は、非晶質成分が非常に多く残ってしまう。このことは、光学顕微鏡や電子顕微鏡写真での観察、さらにはラマン分光法による計測によって確認することができる。また、結晶性珪素膜には金属成分が部分的に凝集して存在していることも確認されている。
【0037】
結晶性珪素膜は最終的には半導体領域となる。しかし、結晶性珪素膜の金属成分が部分的に凝集して存在している領域は、半導体領域中では電子およびホールの再結合中心として働く。このような再結合中心は、例えば薄膜トランジスタのリーク電流の増加という、極めて悪質な特性の低下の要因となる。
【0038】
不均一層を形成しないようにするためには、例えば分子エピタキシー法(MBE法)等を用いることにより、解決することができる。しかし、それは限られた面積において実現されるに過ぎないのが現状である。
【0039】
上述したように、金属元素の導入方法として、金属元素の薄膜を形成する、所謂「物理的な形成方法」は好ましくない。「物理的な形成方法」に対して、珪素の結晶化を助長する金属元素を含む溶液を用いる「化学的な形成方法」がある。この方法は、溶液中に当該金属元素を含ませ、その溶液を非晶質珪素膜の表面や非晶質珪素膜が形成される酸化膜の表面にスピンコート法等により、塗布するものである。
【0040】
溶液中に金属元素を含ませると、溶液中に十分にそれぞれの分子を分散させることができる。そしてこの溶液を当該金属元素が添加される被形成面上に滴下し、50〜500回転/分(RPM)の回転速度で回転させてスピンコートすると、この当該金属元素を被形成面全体に分散させて存在させる。即ち、その表面上に、金属粒子による島状の領域を作らずに、均一な層(continuous layer) を形成させることができる。
【0041】
この状態で、加熱やレーザー光の照射をすると、珪素の結晶化を助長する金属元素を酸化膜を通じて半導体中へ原子状に拡散させることができるため、結晶の種を積極的に作らずに拡散させ、全体を均一に結晶化をさせることができる。この結果、部分的に金属元素が集中したり、非晶質成分が多く残存したりすることを抑制することができ、一様で緻密な結晶成長を行うことができる。
【0042】
なお、溶液をスピンコートする際に、低速回転でスピンコートすると、その表面に存在する溶液中の金属成分は、固相成長にとって必要以上の量が半導体膜上に供給されやすい。このため、この低速回転1000〜10000回転/分で基板を回転した後に、回転速度を速くして、代表的には2000〜5000回転/分で基板を回転させる。すると、過剰な金属成分はすべて基板表面の外に吹き飛ばされ、適性な量の金属成分を供給することができる。
【0043】
また、導入される金属成分の量を制御するには、溶液中の金属元素の濃度を制御すればよい。この方法は、最終的に珪素膜中に導入される当該金属元素の濃度を正確に制御できるので、非常に有用である。
【0044】
使用できる溶液としては、用いる金属元素によって、幾つかの種類のものを用いることができる。代表的には、溶液の形態を有する金属化合物を用いることができる。以下に、この溶液を用いる方法に利用できる金属化合物の例を示す。
【0045】
(1)金属元素としてNiを利用する場合
ニッケル化合物として、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、蓚酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、沃化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、蟻酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、4−シクロへキシル酪酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケルから選ばれた、少なくとも1種類の材料を用いることができる。
【0046】
また、Niを、無極性溶媒である、ベンゼン、トルエンキシレン、四塩化炭素、クロロホルム、エーテル、トリクロロエチレン、フロンから選ばれた少なくとも1つと、混合したものを用いてもよい。
【0047】
(2)触媒元素としてFe(鉄)を用いる場合
鉄塩として知られている材料、例えば臭化第1鉄(FeBr2 6H2 O)、臭化第2鉄(FeBr3 6H2 O)、酢酸第2鉄(Fe(C2 H3 O2)3xH2 O)、塩化第1鉄(FeCl2 4H2 O)、塩化第2鉄(FeCl3 6H2 O)、フッ化第2鉄(FeF3 3H2 O)、硝酸第2鉄(Fe(NO3)3 9H2 O)、リン酸第1鉄(Fe3 (PO4)2 8H2 O)、リン酸第2鉄(FePO4 2H2 O)から選ばれた少なくとも一種類のものを用いることができる。
【0048】
(3)触媒元素としてCo(コバルト)を用いる場合
その化合物としてコバルト塩として知られている材料、例えば臭化コバルト(CoBr6H2 O)、酢酸コバルト(Co(C2 H3 O2)2 4H2 O)、塩化コバルト(CoCl2 6H2 O)、フッ化コバルト(CoF2 xH2 O)、硝酸コバルト(Co(No3)2 6H2 O)から選ばれたものを用いることができる。
【0049】
(4)触媒元素としてRu(ルテニウム)を用いる場合
その化合物としてルテニウム塩として知られている材料、例えば塩化ルテニウム(RuCl3 H2 O)を用いることができる。
【0050】
(5)触媒元素してRh(ロジウム)を用いる場合
その化合物としてロジウム塩として知られている材料、例えば塩化ロジウム(RhCl3 3H2 O)を用いることができる。
【0051】
(6)触媒元素としてPd(パラジウム)を用いる場合
その化合物としてパラジウム塩として知られている材料、例えば塩化パラジウム(PdCl2 2H2 O)を用いることができる。
【0052】
(7)触媒元素としてOs(オスニウム)を用いる場合
その化合物としてオスニウム塩として知られている材料、例えば塩化オスニウム(OsCl3 )を用いることができる。
【0053】
(8)触媒元素としてIr(イリジウム)を用いる場合
その化合物としてイリジウム塩として知られている材料、例えば三塩化イリジウム(IrCl3 3H2 O)、四塩化イリジウム(IrCl4 )から選ばれた材料を用いることができる。
【0054】
(9)触媒元素としてPt(白金)を用いる場合
その化合物として白金塩として知られている材料、例えば塩化第二白金(PtCl4 5H2 O)を用いることができる。
【0055】
(10)触媒元素としてCu(銅)を用いる場合
その化合物として酢酸第二銅(Cu(CH3 COO)2 )、塩化第二銅(CuCl2 2H2 O)、硝酸第二銅(Cu(NO3)2 3H2 O)から選ばれた材料を用いることができる。
【0056】
(11)触媒元素として金を用いる場合
その化合物として三塩化金(AuCl3 xH2 O)、塩化金塩(AuHCl4 4H2 O)、から選ばれた材料を用いることができる。
【0057】
また、この溶液を用いた方法は、被形成面上に当該金属元素を含んだ有機金属化合物の膜を形成する方法ということもできる。
【0058】
なお、有機金属化合物を均一にコートして、それに対し、オゾン(酸素中での紫外線(UV)の照射による)処理を施してもよい。この場合には、金属の酸化膜が形成され、この金属酸化膜から結晶化が進行することなる。この場合、有機物は酸化して、炭酸ガスとして気化除去できるため都合がよい。
【0059】
ここでは、溶液を用いる例を示したが、溶液を用いる場合と同様な効果を得ることができる方法として、金属化合物、特に有機金属化合物の気体をCVD法で被形成面上に形成する方法もある。しかし、この方法は溶液を用いる方法ほど簡便でないという難点がある。
【0060】
前述のスパッタ法等による「物理的形成方法」により得られた金属元素の層を利用する結晶化工程は、珪素の結晶化を助長する金属元素を用いた不均一な「非等方結晶成長方法」ということができる。他方、溶液を用いる「化学的形成方法」により得られた金属元素の層を利用する結晶化工程は、「等方性結晶成長方法」ということができる。
【0061】
【作用】
上述の構成を有する半導体の作製方法においては、結晶成長の種が形成された領域からその面積が漸次増加するような方向にレーザー光を照射していくことで、結晶成長を均一なものとすることができ、単結晶と見なせる領域を得ることができる。
【0062】
また、結晶成長の種が形成された領域からその面積が漸次増加するような形状にパターニングされた非単結晶珪素膜に対して、加熱しつつその面積が漸次増加する方向に走査させてレーザー光を照射していくことで、結晶成長を均一なものとすることができ、単結晶と見なせる領域を得ることができる。
【0063】
また、基板に平行な方向に結晶成長した珪素膜を、その面積が漸次増加するような形状にパターニングし、さらに基板を加熱しながら、その面積が漸次増加する方向に走査させてレーザー光を照射するようにしたため、単一なモードで結晶成長を行わすことができ、単結晶と見なせる領域を得ることができる。
【0064】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例は、ガラス基板上に非晶質珪素膜を形成し、この非晶質珪素膜を基に単結晶と見なせる領域を形成する例を示す。図1と図3に本実施例の作製工程の概略を示す。
【0065】
図3に示すように、ガラス基板301上に下地膜として酸化珪素膜302を3000Åの厚さにスパッタ法またはプラズマCVD法によって形成する。次にプラズマCVD法または減圧熱CVD法により非晶質珪素膜303を500Åの厚さに成膜する。(図3(A))
【0066】
次に珪素の結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含有した溶液(酢酸ニッケル塩溶液)をスピンコート法によって塗布して、さらに300〜500℃の温度で、ここでは400℃で、1時間の加熱処理を施すことにより、ニッケルシリサイドの層304を形成する。(図3(B))
【0067】
次にニッケルシリサイドの層304をパターニングする。フッ素系のエッチャント(例えばバッファフッ酸)を用いることで、ニッケルシリサイドの層304を選択的にパターニングすることができ、島状のニッケルシリサイド層101が形成される。
さらに非晶質珪素膜303をパターニングする。このパターニングの結果、図1(A)に示すような状態を得る。図1(A)のA−A’で切った断面が図3(C)に相当する。なお図1(A)の100で示される角度θは90度以下であることが好ましい。
【0068】
パターニングされた非晶質珪素膜303は、図1(A)の102で示されるような形状になる。そしてその一端には、島状のニッケルシリサイドの層101が形成されている。
【0069】
次に、図3(D)に示すように、KrFエキシマレーザー光を305の方向に移動させながら照射する。レーザー光は走査方向に垂直な方向に長手方向を有する線状のビームに加工されている。また、試料は400℃〜600℃の温度に加熱されている。
レーザー光の照射によって、ニッケルシリサイドの層101が形成された領域から矢印103で示されるような方向に結晶成長が行われ、図3(E)に示すような単結晶と見なせる領域(モノドメイン領域)104が形成される。なお、図3(E)は、図1(B)をB−B’で切った断面に相当する。
【0070】
〔実施例2〕
本実施例は、図3に示す単結晶と見なせる領域を用いて薄膜トランジスタを構成する例である。図4に本実施例で示す薄膜トランジスタの作製工程を示す。まず図1(C)と図4(A)に示すように、単結晶と見なせる領域をパターニングして、薄膜トランジスタの活性層401を形成する。
図1(C)のC−C’で切った断面が図4(A)に相当する。
【0071】
次に、活性層401を覆ってゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜402を1000Åの厚さに成膜する。さらにスカンジウムを含有したアルミニウムを主成分とする膜を7000Åの厚さに電子ビーム蒸着法で成膜し、パターニングを施すことにより、ゲイト電極403を形成する。
次に、ゲイト電極403を陽極とした陽極酸化を電解溶液中で行い、酸化物層404を形成する。(図4(B))
【0072】
次に不純物イオンをドーピングして、不純物領域を形成する。ここでは、リンイオンをドーピングする。この際、ゲイト電極403とその周囲の酸化物層404がマスクとなり、405と408の領域にリンイオンが注入されることとなる。この405と408の領域がソース領域とドレイン領域となる。そしてこの工程で、チャネル形成領域407とオフセットゲイト領域406とが自己整合的に形成されることとなる。(図4(C))
【0073】
次に層間絶縁膜409として、酸化珪素膜を6000Åの厚さにプラズマCVD法を用いて成膜し、さらにコンタクトホールの形成を行った後、アルミニウムにより、ソース電極410とドレイン電極411とを形成する。最後に350℃の水素雰囲気中で熱処理を加えることにより、水素化を行い、図4(D)に示す薄膜トランジスタを完成させる。
【0074】
〔実施例3〕
本実施例は、珪素の結晶化を助長する金属元素の作用によって、加熱により結晶成長を行わせ、さらにその領域に対してレーザー光の照射を行い、単結晶と見なせる領域(モノドメイン領域)を形成する構成に関する。
【0075】
図5、図6に本実施例の構成を示す。まず図示しない非晶質珪素膜をプラズマCVD法または減圧熱CVD法で500Åの厚さに成膜する。なお図示しないが、基板は酸化珪素膜をその表面に形成したガラス基板を用いる。
【0076】
ニッケル酢酸塩溶液を非晶質膜の表面に塗布し、ニッケルの層またはニッケルを含有した層を形成する。パターニングを施すことにより、502で示される領域に3μm角を有する矩形状に形成する。そして、550℃で、4時間の加熱処理を加えることにより、502で示される領域は、その表面に形成されているニッケル層からニッケルが拡散して、結晶化されて、結晶成長の種となる。502で示される領域は、小さな領域であるので、この工程で、領域502を単結晶と見なせる領域に変成することができる。
【0077】
次に502で示される領域を覆って非晶質珪素膜501を成膜する。この状態で、非晶質珪素膜501の一部分に接して、珪素の結晶化を助長する金属元素(本実施例ではニッケル)を含む層502が形成された状態が実現される。
【0078】
次に400℃〜600℃、ここでは550℃の温度で4時間の加熱処理を行う。この工程で結晶成長の種となる領域502を起点として四方に結晶成長が進行する。この結晶成長は、基板に平行な方向に2次元的に進行するので、微視的には、針状あるいは柱状に結晶が成長して、504に示される結晶性珪素膜が得られる。
503で示される結晶成長は100μm以上に渡って進行することができ、かつ成長に必要な加熱温度が600℃以下であるので、歪点の低い安価なガラス基板を使用できるという利点がある。
【0079】
図5(B)に示す結晶成長を行った後、図6(A)の505に示されるような形状に結晶性珪素膜504をパターニングする。
図6(A)の505で示されるパターンを拡大したものを図6(B)に示す。
【0080】
更に、加熱による結晶化の後に、レーザー光を照射する。矢印507で示される方向に沿って走査させながら線状のレーザー光を照射することで、508で示されるような結晶成長が進行する。このレーザー光の照射の際、試料は550℃の温度に加熱する。
なおレーザー光としては、KrFエキシマレーザー光を用いる。また、レーザー光は、その走査方向に対して垂直な方向に線状な形状を有するものを用いる。線状のレーザー光とは、レーザー光の移動方向に直角な方向に長手方向を有する幅数mm、長さ数十cmの形状のレーザー光ビームである。
【0081】
この508で示される結晶成長は複数箇所で同時に進行せずに、図5(B)で示す結晶成長と同じ方向に、順次に行われるので、単一なモードのものとすることができる。
また、結晶性珪素膜505はその結晶成長の方向に面積が漸次増加していくようなパターンに形成されているので、結晶成長を一様なものとすることができ、大きな一つのドメイン(結晶粒)として成長させることができる。
これは、509で示される辺が508で示す結晶成長方向に概略沿った方向になるようにして、509で示されるパターンの縁が結晶成長の出発点となって、結晶成長が進行してしまうことを抑制していることも大きく寄与している。
以上のようにして、比較的容易に505で示されるパターンを単結晶と見なせる領域とすることができる。
【0082】
本実施例に示す構成では、まず珪素の結晶化を助長する金属元素の作用によって、加熱による結晶化を行い、さらにこの結晶化の進行した方向に円滑に結晶成長が進行するように、前記加熱により結晶化した珪素膜をパターニングし、さらに、加熱しながら、レーザー光を結晶成長させようとする方向に沿って照射するようにして、前記パターニングした非晶質領域を単結晶と見なせる領域とすることを特徴とする。
【0083】
〔実施例4〕
本実施例は、図1の102や図6の505で示される単結晶と見なせる領域(モノドメイン領域)のパターンの形状に関するものである。図1の102や図6の505で示される領域のパターンの形状の特徴は、結晶成長を行わす方向に向かってその漸次に面積が増加した形状を有していることが特徴である。
【0084】
これは、結晶成長の途中で複数の領域から結晶成長が進行し、これら複数の領域からの結晶成長がぶつかり合うことによって、結晶粒界が形成されてしまうことを防ぐためである。即ち、単一の始点からの結晶成長を漸次広げていくことによって、一様な結晶成長、即ち単一モードの結晶成長を行わせ、単結晶と見なせる領域の形成を促すためである。
【0085】
このように一様な結晶成長を行わすためには、結晶成長の始点から結晶成長が行われる領域が漸次増大するようにすればよい。図1や図6に示すパターンにおいては、結晶成長の始点から一定の距離間では、その面積が漸次増大して、ある場所からその面積が変化しないパターンとしている。
【0086】
しかし、図7(A)や図7(B)に示すようなパターンに形成された非晶質珪素膜や結晶性珪素膜を用いて単結晶と見なせる領域を形成してもよい。例えば図7(A)に示す形状に非晶質珪素膜をパターニングした場合、704に示す領域にニッケル等の珪素の結晶化を助長する金属元素の層、またはこの金属元素を含む層を接して設け、レーザー光を705で示される方向に走査しながら照射することによって、704に示す領域から矢印700で示される方向に結晶成長を行わすことができる。
なお、レーザー光として、走査方向に垂直な方向に線状なビーム形状を有するものを用いることが好ましい。
【0087】
また、704に示される領域から珪素の結晶化を助長する金属元素の作用により、加熱によって700で示される方向に結晶成長を行わせ、さらに701で示されるような形状にパターニングする。さらに、加熱しながら、705で示される方向に走査しながらレーザー光の照射すると、再度700で示される方向に結晶成長を行わせ、701で示される領域を単結晶と見なせる領域とすることもできる。
【0088】
なお、加熱処理により700で示される方向に行われる結晶成長は、針状あるいは柱状のもので、単結晶と見なせる領域を形成するものではない。即ち、結晶粒界が存在する結晶成長である。しかし、705で示される方向に移動させながら行われるレーザー光の照射による結晶成長は、704を始点とした一様な結晶成長(単一モードの結晶成長)であり、モノドメイン領域、即ち単結晶と見なせる領域を形成するものである。
【0089】
そして、パターニングを行い702で示される領域を形成することで、例えば薄膜トランジスタの活性層を構成する領域を得ることができる。
【0090】
また図7(B)に示すようなパターンを採用した場合も、図7(A)の場合と同様な方法で結晶成長を行わすことができる。
即ち、図7(B)において、706のような形状に非晶質珪素膜をパターニングし、708の部分に珪素の結晶化を助長する金属元素が接している状態にする。この状態で、レーザー光を709で示される方向に移動させながら照射することで、708で示される領域を結晶成長の始点として、710で示される方向に一様な結晶成長を行わすことができ、706で示す領域を単結晶と見なせる領域とすることができる。
そして、パターニングを行い707で示される領域を形成することで、例えば薄膜トランジスタの活性層を構成する領域を得ることができる。
【0091】
なお、703や711で示される角度は90度以下とすることが望ましい。これは、この角度が90度よりも大きいと、701や706で示されるパターンの縁からの結晶成長が顕在化し、複数のモードで結晶成長が行われてしまうからである。(複数のモードで結晶成長が行われる結果、複数のドメインが形成されてしまい、モノドメインとはならない)
【0092】
〔実施例5〕
本実施例に示すのは、非晶質珪素膜に対してプラズマ処理を行うことによって、非晶質珪素膜中からの脱水素化(水素の離脱)を促進させ、そのことにより、非晶質珪素膜の結晶化を促進させることを特徴とする。
【0093】
ここでは、図3(A)の工程において、水素またはヘリウムのプラズマによるプラズマ処理を非晶質珪素膜に対して行うものである。このプラズマは、ECR条件を利用することによって、減圧状態における水素ガスまたはヘリウムガスをプラズマ化させ、この水素プラズマに非晶質珪素膜を曝すことによって行う。
【0094】
また、このプラズマ処理の最中において、非晶質珪素膜をその結晶化温度以下の温度で加熱することは重要である。非晶質珪素膜の結晶化温度は、非晶質珪素膜の成膜法や成膜条件によって異なるが、一般的には、600℃〜650℃の範囲と見なすのが妥当である。またその下限は、400℃程度である。従って、この加熱の温度範囲は、400〜600℃とすることが好ましい。
【0095】
また、この加熱の温度の上限を決める目安として、用いるガラス基板の歪点を用いることも有用である。即ち、用いるガラス基板の歪点を上限として、可能な限りの高い温度で加熱を行うのである。この方法を採用すれば、ガラス基板の変形や収縮の影響を抑制して、所定の効果を得ることができる。
【0096】
水素のプラズマによる処理を行うと、非晶質珪素膜中の水素がプラズマ中の水素イオンと結合して、水素ガスとなり、結果として膜中からの水素の離脱が促進される。また、ヘリウムによるプラズマ処理を行うと、非晶質珪素膜中の水素と珪素の結合が、ヘリウムイオンの衝突により分離される。そして、珪素原子同士の結合が促進され、原子の配列の秩序性が高くなる状態とすることができる。この状態は、準結晶状態ともいえるもので、極めて結晶化し易い状態となる。
【0097】
このプラズマ処理を施した状態において、加熱やレーザー光の照射によるエネルギーを与えることによって、非晶質珪素膜の結晶化を行うことができる。この結晶化は、非晶質珪素膜がプラズマ処理の効果により非常に結晶化し易い状態となっているので、非常に再現性よく行うことができ、しかもその結晶性を極めて高いものとすることができる。
〔実施例6〕
本実施例は、ガラス基板上に形成された非晶質珪素膜の一隅に、結晶成長の種となる部分を形成し、その部分からレーザー光を走査して照射することにより、非晶質珪素膜の全面を結晶化させる構成に関する。
【0098】
図8に本実施例に示す結晶化の工程の概要を示す。
図8において、801はガラス基板802を配置するためのステージであり、矢印809で示される方向と反対の方向に移動自在に構成されている。即ち、ステージ801を移動することにより、レーザー光が矢印809で示される方向に相対的に走査されて、ガラス基板802に照射されるようになっている。またステージ801内にはヒーターが内蔵されており、ステージ上に配置されるガラス基板802を任意の温度の加熱することができる。803はニッケル元素を利用することによって形成された結晶成長の種となる部分である。この結晶成長の種となる部分802の形成方法は後述する。
【0099】
804は前記の結晶成長の種となる部分803を覆って形成された非晶質珪素膜である。図8においては、この非晶質珪素膜804に対して、808で示される線状のレーザー光を矢印809で示される方向に相対的に走査して照射する状態が示されている。
【0100】
レーザー光を照射する際には、図示しないレーザー照射手段から出射した線状のレーザー光806はミラー807で反射されて、ステージ801に略垂直な方向に屈曲されたレーザービーム808として、非晶質珪素膜804に照射される。
レーザービーム808を照射しながら、ステージ801を矢印809の反対方向に移動させることにより、レーザービーム808は相対的に矢印809の方向に走査するようにする。なおレーザー光の照射は、ステージ801内のヒーターにより、ガラス基板802を400〜600℃に、例えば500℃の温度に加熱した状態で行う。
【0101】
図8に示すような状態でレーザー光を照射すると、結晶成長の種が形成された部分803上の非晶質珪素膜の805で示される部分から結晶化が進行していくことになる。また、レーザービーム808の走査方向をガラス基板802の概略対角線に平行にしたため、結晶成長は徐々に非晶質珪素膜804の面積が漸次大きくなる方向に進行していく。こうして、非晶質珪素膜804全体をモノドメイン領域と見なせる構造とすることができる。
【0102】
結晶成長の種となる部分803の形成方法について以下に説明する。まず非晶質珪素膜をプラズマCVD法や減圧熱CVD法で成膜する。そして、この非晶質珪素膜をパターニングすることによって、結晶成長の核となるパターン(図では803で示される。)を形成する。次にスピンコート法によってニッケル元素をその表面に接して保持させた状態とする。そして加熱処理を加えることによって、結晶化させ、結晶成長の種となる部分803を形成する。そして、結晶成長の種となる部分803を覆って非晶質珪素膜804を成膜し、図8に示すような試料の状態を得る。
【0103】
〔実施例7〕
本実施例は、TFTを構成する活性層の形成後に、この活性層の角の部分から結晶成長を行わせ、活性層を単結晶と見なせる領域とする構成に関する。図9に非晶質珪素膜をパターニングすることによって得られた島状の領域(活性層)をレーザー光の照射によって結晶化させる状態を示す。
【0104】
図9において、901が非晶質珪素膜に照射される線状のレーザー光であり、902が島状にパターニングされた非晶質珪素膜であり、903が結晶成長の種となる部分である。結晶成長の種となる部分903の形成方法は他の実施例に示した方法を採用すればよい。
【0105】
図9に示されているのは、レーザー光が矢印905の方向に相対的に走査されて照射されることによって、島状の領域902の角の部分から結晶成長が進行し、単結晶と見なせる領域でなるTFTの活性層を形成する様子が示されている。図において、904が単結晶と見なせる領域に変成された活性層である。
【0106】
レーザー光を照射する際には、矩形状に形成された活性層の角の部分に、予め、結晶成長の種となる部分903を形成し、レーザー光901がこの部分903から概略対角線の方向に走査されるようにする。このようにすると、結晶成長の種となる部分903を起点とし、結晶成長を徐々にその面積が増えていく方向に進行することができ、活性層の全体を単結晶と見なせる領域に変成することができる。
なお、結晶化の終了後は、結晶成長の種の部分903をエッチングによって除去することが好ましい。
【0107】
【発明の効果】
本発明に係る半導体の作製方法は、珪素膜に対してレーザー光を照射して、単結晶と見なせる領域を形成する方法において、単結晶と見なせる領域を形状を工夫して、結晶成長の開始点から漸次その面積が大きくなるようなパターンに形成して、結晶成長をするようにしたため、単結晶と見なせる領域を得る際に障害となる複数の領域からの結晶成長を防ぐことができる。また、パターンの形状を工夫するのみで、容易に単結晶と見なせる領域、所謂モノドメイン領域を得ることができる。
【0108】
このモノドメイン領域を利用して薄膜トランジスタを構成することで、結晶粒界の影響を受けない、単結晶半導体を用いた場合と同様な特性を有する薄膜トランジスタを得ることができる。したがって、耐圧が高く、大電流を扱うことができ、また、特性の劣化や変動の無い薄膜トランジスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 単結晶と見なせる領域の形成方法を示す。
【図2】 従来の結晶領域の形成方法を示す。
【図3】 単結晶と見なせる領域の形成方法を示す。
【図4】 薄膜トランジスタの作製工程を示す。
【図5】 珪素膜の結晶成長工程を示す。
【図6】 単結晶と見なせる領域の形成工程を示す。
【図7】 単結晶と見なせる領域の形成工程を示す。
【図8】 レーザー照射工程を示す。
【図9】 レーザー照射工程を示す。
【符号の説明】
101 ニッケルシリサイド層
103、203 結晶成長方向
102、202 パターニングされた非晶質珪素膜
104 単結晶と見なせる領域
201 結晶成長の種
203 結晶成長方向
204 結晶成長の進行が始まる部分
301 ガラス基板
302 下地膜(酸化珪素膜)
303 非晶質珪素膜
304 ニッケルシリサイド層
305 レーザー光の走査方向
401 モノドメイン領域で構成された活性層
402 ゲイト絶縁膜
403 ゲイト電極
404 酸化物層
405 ソース領域
406 オフセットゲイト領域
407 チャネル形成領域
408 ドレイン領域
409 層間絶縁膜
410 ソース電極
411 ドレイン電極
501 非晶質珪素膜
502 ニッケルの含んだ結晶成長の種
503 結晶成長方向
504 結晶性珪素膜
505 パターニング形状
507 レーザー光の走査方向
508 結晶成長方向
509 パターンの縁
Claims (3)
- 非晶質珪素膜の表面に接して珪素の結晶化を助長する金属元素の層または前記金属元素を含む層を選択的に形成し、
前記非晶質珪素膜に加熱処理を加えて、前記金属元素に接した領域から結晶成長を行わせて結晶性珪素膜を形成し、
前記結晶性珪素膜を、当該結晶性珪素膜の面積が前記結晶成長の方向に漸次増大する形状にパターニングし、
前記パターニングされた結晶性珪素膜に対して、レーザー光を、当該結晶性珪素膜の面積が漸次増大する方向に移動させながら照射することにより結晶成長させることを含む半導体装置の作製方法であって、
前記レーザー光の照射は、前記パターニングされた結晶性珪素膜を400℃〜600℃の温度で加熱した状態で行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 非晶質珪素膜をプラズマに曝し、
非晶質珪素膜の表面に接して珪素の結晶化を助長する金属元素の層または前記金属元素を含む層を選択的に形成し、
前記非晶質珪素膜に加熱処理を加えて、前記金属元素に接した領域から結晶成長を行わせて結晶性珪素膜を形成し、
前記結晶性珪素膜を、当該結晶性珪素膜の面積が前記結晶成長の方向に漸次増大する形状にパターニングし、
前記パターニングされた結晶性珪素膜に対して、レーザー光を、当該結晶性珪素膜の面積が漸次増大する方向に移動させながら照射することにより結晶成長させることを含む半導体装置の作製方法であって、
前記レーザー光の照射は、前記パターニングされた結晶性珪素膜を400℃〜600℃の温度で加熱した状態で行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項1又は請求項2において、前記金属元素としてFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた一種または複数種類の元素が用いられることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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