JP3919702B2 - 電圧安定度監視方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は良質な電気を高信頼度に安定して供給することの可能な電圧安定度監視方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電圧安定性を説明するためにはノーズカーブ(以下P−V曲線ともいう)が用いられる。そしてノーズカーブとは図9に示すように横軸に総需要λをとり、縦軸に負荷ノード電圧のひとつのVをとって系統の静特性を描いたものである。図9に示されるように、ノーズカーブは右に凸の曲線となる。即ち、系統が対応し得る需要には上限があると言うことを示している。
【0003】
一般に、潮流方程式とは回路網から流入又は流出する有効電力と無効電力を、回路のインピーダンスとノード電圧の非線形関数として表わしたものであり、下記(1)式で表わされる。ここでPは各ノードの電力を要素とした電力ベクトルであり、χは各ノードの複素電圧に関連した電圧ベクトルである。
P=f0(χ) ………(1)
【0004】
ノーズカーブを描く場合をはじめとして、電圧安定性を考える場合、総需要がある割合で負荷母線に配分されると仮定する。そして配分係数は経験値として決まってくる。配分係数は次の形で潮流方程式に組込める。総需要λを使ってP=P(λ)と再定義し、潮流方程式を(2)式のようにする。
【0005】
0=f(χ,λ) ………(2)
ここにf(χ,λ)=f0(χ)−P(λ)である。
【0006】
電圧安定性の評価において最も重要なのは、ノーズカーブの右端である最大負荷点であり、この最大負荷点の解法の一つとしてContinuation法(以下連続法という)がある。そして連続法では総需要λを未知数とすると共に、以下に示すパラメータu(以下uと言う)を定義する。
u=g(χ,λ) ………(3)
【0007】
ここで連続法とは、式(2)と(3)とを併せて連立方程式として捉え、uを少しずつ変化させながら、(χ,λ)を求めていく。即ち、直観的にはuの値が曲線上の位置を表し、関数g(χ,λ)は追跡の過程で適宜見直す。関数g(χ,λ)の選び方が適切であれば、最大負荷点を含んだ広い範囲のノーズカーブ上の点が得られる。
【0008】
いずれにしても、一般的な連続法は、uの漸増により点列を求めることと、その途中で関数g(χ,λ)を適宜見直すことで数値計算の収束性を維持することを基本としている。
【0009】
以下に連続法による最大負荷点算出手順の概要を説明する。図10はノーズカーブを用い、設備容量制約を考慮しつつ最大負荷点を求める手段を説明する図である。そして、その考え方の基本は図10(a)に示すようにノーズカーブをその接線方向に少しずつ延長し、その1ステップ計算する毎に設備容量制約違反をチェックする。そして従来技術は例えば以下の文献にも示されている。
電気学会論文誌B,123巻4号,539頁にある「ラグランジュ補間非線形予測子を用いた連続型潮流計算」(著者:森,山田)
【0010】
そして、違反があれば計算条件(PV指定→PQ指定)を変更(制約切替)し、そのステップだけを再計算するものであり、このようにしてstep by stepに計算を進めることにより、設備容量を考慮した最大負荷点が求められる。
【0011】
ここで言う計算条件とは次のようなものである。例として発電機の無効電力出力制約について説明する。この場合、発電機の無効電力出力に余裕がある場合には、計算上発電機母線電圧目標値を条件として与えるようにする。これがPV指定である。又無効電力を出し切っている場合には、計算上無効電力上限値を条件として与えるようにする。これがPQ指定である。上記したことは発電機の無効電力出力制約の場合であり、発電機以外の制約の場合は若干形式は異なるが、本質はこれと同じである。
【0012】
図10(b)は上記処理内容を示すフローチャートである。先ずステップS101では計算に必要な情報(対象系統の諸定数,対象系統の状態等)を決める。なお、ΔSは曲線上で求めていく間隔であり、後に最大負荷点の近傍で狭められていくものである。ステップS102では1ステップ戻ることがあるので、着目点を記憶しておく。
【0013】
ステップS103では関数g(χ,λ)の見直しの必要性を数値的に評価し、必要があれば見直しを行なう。ステップS104では指定した曲線長に対応する点を接線方向に推定する。ステップS105では推定結果を初期値として曲線上の点を詳細に求める。
【0014】
ステップS105ではΔSの大きさにより終了を判定する。ΔSが十分に小さいと言うことは、最大負荷点が精度良く得られていると言うことであるから、計算を終了する。さもなくばステップS106に進む。
【0015】
ステップS106では、高め解か低め解かの判定を行う。高め解であればステップS102へ戻る。つまり次の点を求める処理に移る。又、低め解であれば最大負荷点を通り越したわけであるから、ステップS107へ移ってΔSを半分にして、一つ前の点に戻ってステップS104から再度計算をやりなおす。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来方式によれば、設備容量制約を考慮してノーズカーブを求めるものである。この場合、需要の漸増の下で、無効電力出力制御のために制約切替(PV→PQ)をすることとなるが、その結果として制約切替があった点で、曲線は下側に折れ曲がる。このため接線方向に次の点を推定する従来方法では、ΔSを大きくとると、この推定に関わる誤差が大きくなり、これに続く詳細計算の収束性に支障をきたす。よって従来方法ではΔSを大きくとることはできない。
【0017】
上記したように連続法では求める各点を繰り返し計算により詳細に求めるものである。その結果、計算量はほぼそのステップ数に比例する。又、設備容量制約を考慮した場合、追跡のステップ幅を大きくとれないため、ステップ数が多くなる。特に着目している点から最大負荷点までの余裕が大きいほどステップ数は多くなり、そのために演算時間が長くなる。
【0018】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ノーズカーブの最大負荷点を短時間で、かつ詳細に求めることの可能な電圧安定度監視方法とその装置を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る電圧安定度監視方法は、電力系統の総需要と、前記総需要に対応した当該系統電圧との関係を示すノーズカーブをもとにし、設備容量制約を考慮して前記ノーズカーブの最大負荷点を求める電圧安定度監視方法において、各ノードの複素電圧に関連した母線電圧ベクトルχと総需要λとを未知数とした関数g(χ,λ)を選び、パラメータuをu=g(χ,λ)としたとき、前記ノーズカーブ上における着目する運転点から最大負荷点近傍までの範囲の全てを、前記パラメータuに対応づけられるように前記関数g(χ,λ)を選定し、最大負荷点の算出中はこの対応関係を維持するようにした。
【0020】
本発明の請求項2に係る電圧安定度監視方法は、請求項1において、前記関数g(χ,λ)は下記の関係に設定した。
記
g(χ,λ)=λ/Vp 2
但し、Vpは負荷母線電圧のひとつ。
【0021】
本発明の請求項3に係る電圧安定度監視方法は、請求項1において、前記最大負荷点は、前記パラメータuの調整により、感度dλ/duが零になる点として検出するようにした。
【0022】
本発明の請求項4に係る電圧安定度監視方法は、請求項1において、前記最大負荷点の推定は、運用点における線形関係と運用点近傍での感度dλ/duの微分d2λ/du2を用いるようにした。
【0023】
本発明の請求項5に係る電圧安定度監視装置は、電力系統の総需要と、前記総需要に対応した当該系統電圧との関係を示すノーズカーブをもとにし、設備容量制約を考慮して前記ノーズカーブの最大負荷点を求める電圧安定度監視装置において、各ノードの複素電圧に関連した母線電圧ベクトルχと総需要λとを未知数とした関数g(χ,λ)を選ぶ第1の手段と、前記第1の手段にて選定された関数g(χ,λ)をパラメータuと定義すると共に、前記ノーズカーブ上における着目する運転点から最大負荷点近傍までの範囲の全てを前記パラメータuに対応づけるようにした第2の手段と、前記総需要λとパラメータuとから感度dλ/duが零になる点として、運用点近傍の情報をもとに設備容量制約を考慮した最大負荷点を推定するようにした第3の手段と、前記第3の手段による最大負荷点の推定値をもとに前記最大負荷点を詳細に求める第4の手段とを備えた。
【0024】
本発明の請求項6に係る電圧安定度監視装置は、請求項5において、前記最大負荷点の推定は、初期点近傍での感度dλ/duの微分d 2 λ/du 2 を用いるようにした。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本実施の形態を説明する前に、先ずその概要を説明する。
従来法では最大負荷点に至るまでノーズカーブ上の点を詳細に求めていく。一方本発明では最大負荷点を一気に推定する手段を導入することで、詳細計算の回数を大幅に削減するようにしている。
推定手順は次の着想に基づく。総需要に上限があるのは、潮流方程式の非線形性と設備容量制約の存在との二つの要因による。設備容量制約の影響は着目点での線形関係から近似(「従来の線形近似」という)できることが知られている。残る非線形性を考慮する手段としては、従来、詳細計算以外には知られていなかった。そこで本発明では非線形性を近似的に考慮する方法を導入している。
【0027】
本実施の形態では説明の便宜上図3から説明する。
図3はノーズカーブ上の点と既に説明したuの値(3式の値)とを1:1に対応づけすることを説明するための図である。即ち一般的な連続法では関数g(χ,λ)をこまめに切り替えるようにしていたため、uの値とカーブ(曲線)との対応関係は局所的であったが、本発明では前記対応付けを容量制約がある場合についてノーズカーブ上で考えている範囲全てに実施するようにした。なお説明上、設備容量制約の具体例として発電機の無効電力出力制約を扱う。
【0028】
この場合を具体的に説明すると、例えば需要増加に伴う電圧低下が顕著であるような母線の電圧Vpを使って、g(χ,λ)=λ/Vp 2と選べば、ノーズカーブ上で考えている広い範囲(着目する運転点から最大負荷点周辺まで)を、uに対応づけることができる。
【0029】
図4はuの調整による最大負荷点計算の概念図である。つまりuとノーズカーブとの対応関係を利用して、uの調整により、感度dλ/duが零になる点として最大負荷点を高速に求めるものである。
【0030】
又、本発明では感度dλ/duを最大負荷点の推定に利用する。即ち、前記感度を容量制約がある場合の最大負荷点推定に利用しようとするものである。又、最大負荷点推定にこの感度の微分d2λ/du2を利用することと、それを着目した初期点近傍にて数値微分することにより求めておくようにしている。
【0031】
図5は制約切替による感度の不連続な変化を説明する図である。図5において横軸にuを、又縦軸に感度dλ/duをとって示している。制約切替によりノーズカーブは、少なくとも重負荷域では下側に折れ曲がるので、uに対するλの感度は図のように制約切替点でステップ状に変わっていることがわかる。
【0032】
図6は従来の線形近似における感度の変化を示す図である。図6において、上側の図は横軸に総需要λを、又、縦軸に系統電圧Vをとり、ノーズカーブの制約切替点を示す。又、下側の図は横軸にuを、縦軸に感度dλ/duをとって制約切替点を示している。
【0033】
図6から明らかなように、従来の線形近似では、複数の制約切替点をまとめて求めるに当たって、始めに着目していた点での線形情報しか使っていない。即ち、線形関係しか使っていないため、図6の下側に示すように感度dλ/duは制約切替点でステップ状に変化する以外は一定値となっている。
【0034】
これをノーズカーブの側面から見る(同図上側)と、カーブはなかなか曲がらず(電圧が急降下する形にならず)、これでは最大負荷点を推定することはできない。又、推定したとしても最大負荷点が実際より遠くにあると推定してしまうことになる。
【0035】
図7は感度の微分の近似の手順を示す図である。本発明では、まず初期に着目した点(評価対象である運用点,u=u0)で感度はα(u0)(α(u)=dλ/du(u))を求め、次にuを微少量ε(数値的に桁落ち等の心配がなく、かつ十分に小さいεとして、収束計算で設定した許容誤差の平方根が利用できる。例えば許容誤差を10−6としているなら、ε=10−3が利用可能である)増加させた点で同じく感度α(u0+ε)を求める。そして感度の微分の近似値を下記の(4)式から求める。
【0036】
図8は感度の「傾きとステップ変化の両方を考慮した」近似を説明する図であって、最大負荷点の推定の概念図である。上側の横軸には総需要λを、又縦軸には系統電圧 Vを示し、下側の横軸にはuを、又縦軸には感度dλ/duを示し、制約切替点の間で感度が傾斜している状態として示す。
【0037】
そして、図6に対して感度の変化(微分)を加味すると、感度の変化は図8のような形になる。図8の下の図は図5の特性を近似的に表わしたものとなる。これをノーズカーブの側面から見ると、図8の上の図に示されるように、直線的に減る感度は、ノーズカーブに丸み(非線形性)を持たせる結果となっている。
【0038】
次に最大負荷点に至る制約切替系列の推定手順を説明すると、本発明ではuを基準にとる。この場合、λを基準に状態変化を考えていくことも考えられるが、これでは最大負荷点までを推定する場合に都合が悪い。その理由は、最大負荷点はλ自体が変化符号を逆転させる点であるため、推定計算の最終段での(最大負荷点を通過する際の)処理が煩雑になる。
【0039】
そこでλに代えて曲線に沿って単調に変化するuを状態変化の基準にとる。感度の基準をuにとっていることからも、この方が都合が良い。この場合の潮流方程式として、関数g(χ,λ)も含めて線形化した下記(5)式を用いる。
【0040】
又、発電機iの無効電力出力はQgiは一般化すれば(7)式で表わされ、この線形近似は(8)式となる。更に(8)式と(6)式とから(9)式が得られる。なお(9)式はuの変化に対する各発電機の無効電力出力変化量を表わしている。よって(10)式の意味は、Δugiの最小値を与える発電機iが、次に制約切替に至ると推定される。ここでQmargin−iは、着目時点での発電機iの無効電力出力の余裕(上限値−現在値)を示す。
【0041】
【数1】
【0042】
なお、(5)式は連続法における微少量の関係式,(6)式は、uの変化に対応したχの変化を示す式であり、式(5)からΔλを消去して得られる。
【0043】
図2は感度の微分による最大負荷点の推定を説明する処理手順である。なお、図2の処理はサブルーチンとして行なわれる。
先ず、制約切替に際しては最小のパラメータ変化で制約違反に至る発電機を探す。その制約切替点までのuの変化量と感度の微分との積βΔuにより、uの増加による感度の変化分が得られる。次に、その制約切替点で当該発電機のPV→PQなる指定変更に対応して、行列∂f/∂χの再構成(一行一列の変更)を行う。この再構成前後での感度の変化が、制約切替による感度のステップ変化幅である。このようにして、感度が正から負に転じるまで、制約切替を追跡し、制約切替リストを作成する。
【0044】
図2によって説明すると、ステップS21において潮流方程式の線形近似を求める。ステップS22では感度αの近似値の初期化であり、近似値αeに現在値を代入する。ステップS23では線形近似した潮流方程式を使って、もっとも近い制約切替点を求める。ステップS24では制約切替点までのuの増分に対応した感度の変化をαeに加算し、その結果としてのαeの符号を判定する。
【0045】
そしてαe<0が真であれば終了し、逆に偽であればステップS25へ移る。ステップS25では当該の制約切替に応じて線形の方程式系の感度行列の適当な一行一列を変更する。つまりPV→PQの変更に対応し一行一列のみを変更する。ステップS26では、ステップS25による変更の前後での感度の不連続変化をαeに加算し、前記同様αeの符号を判定する。
【0046】
そしてαe<0が真であれば終了し、逆に偽であればステップS27にて、着目している発電機を制約切替リストに追加してステップS23に戻って、更にステップS23以降の処理を繰り返す。
【0047】
図1は本発明の全体的な処理内容の手順についての実施の形態を示す手順図であり、線形情報に感度の微分情報を加味して推定計算の結果を利用した最大負荷点の詳細計算として示す。
この場合、既に図2のサブルーチンにて示したように、線形系で最大負荷点を推定した後、その点の詳細計算として行なわれるものである。
【0048】
上記図2による推定計算から得られる最も重要な情報は、どの発電機がどのような指定状態(PV又はPQ)にあるか(制約切替リスト)である。
この情報を使って、最大負荷点に最も近いと推定される制約切替点に関連した発電機についてPQV指定による潮流計算を行う。なお各ステップについては以下の実施の形態にて説明する。又、PQV指定による潮流計算とは、制約切替点だけを詳細に求める手段であり、例えば電気学会電力系統技術研究会資料PSE−01−45に述べられている。
【0049】
図1によって説明すると、ステップS11においてuとノーズカーブ各部の一対一対応のための関数g(χ,λ)を、系統状態を考慮して決定する。つまり、重負荷母線を選定し、その母線電圧Vpを用いて関数u=g(χ,λ)を、u=g(χ,λ)=λ/Vp 2により定義する。
【0050】
ステップS12では、数値微分により感度αの微分βを算出する。ステップS13では図2の手順により、最大負荷点に至るまでに制約切替となる発電機のリストを作成する。つまりβと線形化潮流方程式に基づき、最大負荷点に至るまでに制約切替となる発電機のリストを作成する。
【0051】
ステップS14ではリスト末尾の発電機の制約切替点を詳細に求め、制約切替点の位置の判定をする。ここでのチェックは、次のようにする。即ち、もしも即時不安定であれば、それは最大負荷点の一種であるため計算を終え、もし高め解側であれば、始めに戻って同じ処理を繰り返す。なお、始めに戻らずにステップS12またはS13に戻って、同じ処理を繰り返すようにしてもよい。又、即時不安定とは、制約切替点が最大負荷点となる場合である(ノーズカーブ右端に丸みがなく尖る形になるケース)。
【0052】
なお、この繰り返し処理は、数値検討の結果、線形系による最大負荷点の推定が控えめに行われる(ここで控えめとは軽負荷側に推定することを意味する)傾向があるために設けたものである。又、この処理の繰り返しは多くても1回(一度目の処理を合わせて2回)で済んでいる。
【0053】
もしも低め解側であれば制約切替リストの末尾を捨て、ステップS16においてリスト末尾の発電機の制約切替点を詳細に求める。そして低め解以外となるまでこの処理を繰り返す。この場合の後退(1ステップ戻ること)は多くても1回で済んでいる。又、即時不安定点が得られた場合は計算を終える。
【0054】
又、高め解が得られた場合は、ステップS17へ移る。この場合は高め解側にあって最も最大負荷点に近い制約切替点であるので、既存の制約を無視した最大負荷点算出手段を適用し、最大負荷点を求める。
【0055】
【発明の効果】
一般に繰り返し計算には時間がかかる。連続法ではこの繰り返し計算を、着目点から最大負荷点までの離れ具合に応じて、多数回行う必要がある。
しかるに本発明によれば、繰り返し計算を実行して詳細な解を求めることが必要となる頻度は、考慮する設備容量制約の数や、着目点から最大負荷点への余裕の大きさにあまり依存せず、少ない。よって大規模な電力系統の電圧安定性を、よりリアルタイム性を持って評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体的な処理内容の手順についての実施の形態を示す図
【図2】図1のサブルーチンであり、最大負荷点に至る制約切替系列の推定手順を示す図
【図3】ノーズカーブ上の点とパラメータuとの一対一対応を示す概念図
【図4】パラメータuの調整による最大負荷点計算の概念図
【図5】制約切替による感度の不連続な変化を示す図
【図6】従来の線形近似における感度の変化を示す図
【図7】図1のサブルーチンであり、感度の微分の近似を説明する図
【図8】感度の傾きとステップ変化を考慮した近似を説明する図
【図9】ノーズカーブを示す図
【図10】従来の連続法による最大負荷点算出手順を説明する図
Claims (6)
- 電力系統の総需要と、前記総需要に対応した当該系統電圧との関係を示すノーズカーブをもとにし、設備容量制約を考慮して前記ノーズカーブの最大負荷点を求める電圧安定度監視方法において、各ノードの複素電圧に関連した母線電圧ベクトルχと総需要λとを未知数とした関数g(χ,λ)を選び、パラメータuをu=g(χ,λ)としたとき、前記ノーズカーブ上における着目する運転点から最大負荷点近傍までの範囲の全てを前記パラメータuに対応づけられるように前記関数g(χ,λ)を選定し、最大負荷点の算出中はこの対応関係を維持することを特徴とする電圧安定度監視方法。
- 請求項1記載の電圧安定度監視方法において、前記関数g(χ,λ)は下記の関係に設定したことを特徴とする電圧安定度監視方法。
記
g(χ,λ)=λ/Vp 2
但し、Vpは負荷母線電圧のひとつ。 - 請求項1記載の電圧安定度監視方法において、前記最大負荷点は、前記パラメータuの調整により、感度dλ/duが零になる点として検出することを特徴とする電圧安定度監視方法。
- 請求項1記載の電圧安定度監視方法において、前記最大負荷点の推定は、運用点における線形関係と運用点近傍での感度dλ/duの微分d2λ/du2を用いることを特徴とする電圧安定度監視方法。
- 電力系統の総需要と、前記総需要に対応した当該系統電圧との関係を示すノーズカーブをもとにし、設備容量制約を考慮して前記ノーズカーブの最大負荷点を求める電圧安定度監視装置において、各ノードの複素電圧に関連した母線電圧ベクトルχと総需要λとを未知数とした関数g(χ,λ)を選ぶ第1の手段と、前記第1の手段にて選定された関数g(χ,λ)をパラメータuと定義すると共に、前記ノーズカーブ上における着目する運転点から最大負荷点近傍までの範囲の全てを前記パラメータuに対応づけるようにした第2の手段と、前記総需要λとパラメータuとから感度dλ/duが零になる点として、運用点近傍の情報をもとに設備容量制約を考慮した最大負荷点を推定するようにした第3の手段と、前記第3の手段による最大負荷点の推定値をもとに前記最大負荷点を詳細に求める第4の手段とを備えたことを特徴とする電圧安定度監視装置。
- 請求項5記載の電圧安定度監視装置において、前記最大負荷点の推定は、初期点近傍での感度dλ/duの微分d 2 λ/du 2 を用いることを特徴とする電圧安定度監視装置。
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