JP3919487B2 - 車高調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアサスペンションを装備した運搬車両に適用するための車高調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、港湾荷役設備等において、コンテナ船から積卸されたコンテナを積載して運搬するような運搬車両には、前輪を板バネ式のリーフサスペンションとして後輪をエアサスペンションとしたトラクタが一般的に用いられており、図2に示す如く、この種のトラクタ1に牽引されているトレーラ2上にコンテナ3を吊り降ろして積載させるようにしている。
【0003】
図3は前記トラクタ1のリヤサスペンション機構の一例を示すもので、図中4はフレーム、5は後輪、6は車軸を示しており、この車軸6のハウジングは、フレーム4のブラケット7に前端部をピン連結したリーフスプリング8の中途部に装着され、該リーフスプリング8の後端部にS字状に屈曲して形成されたサポートビーム9の下端上面と前記フレーム4の下面との間にエアベローズ10が介装されるようになっており、リーフスプリング8が車軸6にかかる前後左右及び捩じれ方向の荷重を受け持ち、エアベローズ10が車軸6にかかる上下方向の荷重を受け持つようにしてある。
【0004】
そして、後輪5側の左右のエアベローズ10に対しては、エアタンク11からの作動エアがメインエアライン12とサブエアライン13とから成る車高調整用エアラインを選択的に経由して適切な量の作動エアが供給されるようになっており、通常の走行時にあっては、メインエアライン12が選択されてレベリングバルブ14により車高を所定の高さに維持し得るよう各エアベローズ10に対し作動エアが給排されるようになっている。
【0005】
ここで、図3中のレベリングバルブ14は、本体部分をフレーム4側に取り付け且つ該本体部分に装備したレバー15を車高の上下動で機械的に作動するよう車軸6側にリンク連結したもので、荷重が大きくなって車高が下がった時に、前記レバー15の上方への傾動によりエアタンク11から各エアベローズ10へ作動エアを補充して車高を元の位置まで復帰させるようにし、また、荷重が小さくなって車高が上がった時には、前記レバー15の下方への傾動により各エアベローズ10から作動エアを抜き出して車高を元の位置まで復帰させるようにした従来周知のものである。
【0006】
そして、レベリングバルブ14の下流側には、メインエアライン12を閉塞してサブエアライン13を選択するための開閉バルブ16と、該開閉バルブ16の閉作動時にサブエアライン13を通してエアタンク11から導いた作動エアを適宜にエアベローズ10へと導くコントロールバルブ17と、該コントロールバルブ17及び前記開閉バルブ16によりメインエアライン12及びサブエアライン13の両方が閉塞された状態でエアベローズ10の作動エアを抜き出すコントロールバルブ18とが装備されており、これら開閉バルブ16及び各コントロールバルブ17,18は、運転室のメインスイッチ19及び車高調整操作スイッチ20により操作されるようになっている。
【0007】
即ち、通常の走行時において、メインスイッチ19をオフにしておくと、その後段の車高調整操作スイッチ20への通電が断たれて該車高調整操作スイッチ20が非作動状態の中立位置となり、これによって、開閉バルブ16及び各コントロールバルブ17,18が全て開通した状態に保持され、エアタンク11とエアベローズ10との間がメインエアライン12を介して連通され、該メインエアライン12のレベリングバルブ14によりエアベローズ10に対し作動エアが適宜に給排されて走行に最適な所定車高に維持されることになる。
【0008】
他方、トラクタ1とトレーラ2とを繋ぎ変えるような場合には、トレーラ2側の前部を図示しない折り畳み式のランディングギヤにより支えた状態として、トラクタ1側の後部側の車高を任意に調整することにより、トレーラ2側との連結を担うカプラ21の高さを調整する必要がある。
【0009】
このような場合にメインスイッチ19をオンにして車高調整操作スイッチ20を作動状態とした上で該車高調整操作スイッチ20を中立位置から車高アップ側へ押し続けると、開閉バルブ16が閉じてメインエアライン12が閉塞する一方、コントロールバルブ17によりサブエアライン13が選択されてエアタンク11からの作動エアがレベリングバルブ14を迂回してエアベローズ10へと補充されることにより車高が上がり、希望の車高で車高調整操作スイッチ20から手を離すと、該車高調整操作スイッチ20が中立位置に戻り、コントロールバルブ17がメインエアライン12側に切り替わってエアベローズ10側が封止(開閉バルブ16は閉じたままになっている)され、車高が希望の高さで停止することになる。
【0010】
これとは逆に車高調整操作スイッチ20を中立位置から車高ダウン側へ押し続けると、コントロールバルブ17によりサブエアライン13が閉塞されてコントロールバルブ18が大気開放され、エアベローズ10の作動エアが抜き出されて車高が下がり、希望の車高で車高調整操作スイッチ20から手を離すと、該車高調整操作スイッチ20が中立位置に戻り、コントロールバルブ18の大気解放が停止(メインエアライン12側に開通)されてエアベローズ10側が封止(開閉バルブ16は閉じたままになっている)され、車高が希望の高さで停止することになる。
【0011】
要するに、この種の車高調整装置を装備した運搬車両においては、メインスイッチ19がオフとなっている条件下で車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブ14を介してエアベローズ10に作動エアが給排され、メインスイッチ19がオンとなっている条件下で車高調整操作スイッチ20を中立位置から操作した時にエアベローズ10に前記レベリングバルブ14を迂回して作動エアが給排されて車高が任意に調整されるようになっているのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上に述べた如き従来の車高調整装置においては、例えば、図2に示しているような大型のコンテナ3を積載して運搬する場合に、所定位置でコンテナ3の積み込みを待つ空車状態のトラクタ1が、レベリングバルブ14により決められた走行に適した通常車高となっていて、エアベローズ10の圧力が空車状態に対応した比較的低い圧力となっているので、大型のコンテナ3が一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行すると、車体がコンテナ3の大きな積載荷重により沈み込んで車高が著しく低下し、レベリングバルブ14によりエアタンク11から作動エアの補充が成されて通常車高に復帰するまでに時間が長くかかるという問題があり、このように積荷の積載後に車高が復帰するまでの待ち時間が長くかかってしまうと、次の新たなコンテナ3を受け取るべく後に並んでいる運搬車両の待ち時間が嵩んで荷役作業の効率を大幅に低下させてしまう虞れがあった。
【0013】
他方、コンテナ3等の大きな積載荷重がかかる前の空車状態において、メインスイッチ19をオフにしてメインエアライン12を閉塞し、車高調整操作スイッチ20により予め車高を最大に上げておけば、コンテナ3等の積載後における通常車高への復帰時間を短縮することが可能であるように思われるが、現状の車高調整装置では、図3に示してある如く、メインスイッチ19をオンにした際にリミッタ22が作動して走行速度が制限されるようになっているので、このような事前操作を行うことにより荷役作業エリア内での走行に支障をきたす虞れがあった。
【0014】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、空車状態から高積載状態に急激に移行しても短時間で走行に適した通常車高に復帰し得るようにした車高調整装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メインスイッチがオフとなっている条件下で車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブを介してエアサスペンションのエアベローズに作動エアが給排され、メインスイッチがオンとなっている条件下で車高調整操作スイッチを中立位置から操作した時にエアベローズに前記レベリングバルブを迂回して作動エアが給排されて車高が任意に調整され且つ走行速度がリミッタにより制限されるように構成された運搬車両の車高調整装置において、メインスイッチの前段に設けられて通常モードと荷役モードとを選択的に切り替えるモード切替スイッチと、該モード切替スイッチにより荷役モードが選択された時に積荷の有無を検知する空積検知スイッチとを備え、該モード切替スイッチが荷役モードで且つ空積検知スイッチが空車を検知している条件下でのみ前記メインスイッチ及び車高調整操作スイッチから独立して直接的に車高を最大に上げるべく作動エアがエアベローズに供給され且つこの条件が不成立の場合に通常の車高調整作動に復帰するように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
而して、大型の積荷の積み込みを空車状態で待つ間に、モード切替スイッチを荷役モードに切り替えると、空積検知スイッチにより空車が検知されて条件が整い、メインスイッチ及び車高調整操作スイッチの操作と無関係に作動エアがエアベローズに強制的に補充されて車高が最大に上げられるので、大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、エアベローズに予め十分な作動エアが供給されていることから車体の沈み量が少なくて済み、積荷の積載後に空積検知スイッチにより積荷の積載が検知されて通常の車高調整作動に復帰した際に、メインスイッチをオフとして走行に適した車高に復帰させるのに要する時間が大幅に短縮されることになる(メインスイッチをオフとした通常走行状態のまま荷役モードに切り替えていた場合には積荷の積載が検知された時点で直ちに走行用車高への復帰が開始される)。
【0017】
しかも、モード切替スイッチを荷役モードに切り替えた時点で後段のメインスイッチが通電を断たれて非作動状態となり、メインスイッチのオン・オフにかかわらずリミッタの作動が解除されることになるので、モード切替スイッチを荷役モードに切り替えて車高を最大まで上げた状態でも、走行速度に制限なく通常走行時と同じように荷役作業エリア内を走行することが可能となる。
【0018】
尚、モード切替スイッチを通常モードに戻した場合や、荷役モードで空積検知スイッチにより積荷の積載が検知された場合には、通常の車高調整作動に復帰するので、メインスイッチがオフとなっている条件下で車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブを介してエアサスペンションのエアベローズに作動エアが給排され、メインスイッチがオンとなっている条件下で車高調整操作スイッチを中立位置から操作した時にエアベローズに前記レベリングバルブを迂回して作動エアが給排されて車高が任意に調整されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0021】
図1に示す如く、本形態例の車高調整装置においては、メインスイッチ19の前段に、通常モードと荷役モードとを選択的に切り替えるモード切替スイッチ23が新たに設けられており、該モード切替スイッチ23により通常モードが選択されている場合に、メインスイッチ19へ通電が成されて該メインスイッチ19が作動状態となり、前記モード切替スイッチ23により荷役モードが選択されている場合には、メインスイッチ19への通電が断たれて該メインスイッチ19が非作動状態となるようにしてある。
【0022】
更に、モード切替スイッチ23により荷役モードが選択されている場合には、メインスイッチ19の替わりに空積検知スイッチ24に通電が成されるようにしてあり、この空積検知スイッチ24は、コンテナ等の大型の積荷を積載して運搬するようなトラクタのトレーラ側に設けられて積荷の有無を検知するようになっている。
【0023】
例えば、コンテナを積載するトレーラには、コンテナの位置決めと固定を行うためのロック部が四隅に設けられているので、このロック部等におけるコンテナと必ず接触するような部位にリミットスイッチ等を空積検知スイッチ24として設置しておけば良い(カプラに内蔵させて上載荷重を検知する形式とすることも可能である)。
【0024】
そして、荷役モードで空積検知スイッチ24が空車を検知している条件下では、前記メインスイッチ19及び車高調整操作スイッチ20から独立して直接的に開閉バルブ16及びコントロールバルブ17に通電を行い、開閉バルブ16を閉じ且つコントロールバルブ17をサブエアライン13側に切り替えて車高を最大に上げるべく作動エアがエアベローズ10に供給されるようにしてある。
【0025】
尚、エアベローズ10への作動エアの供給は、該エアベローズ10の内圧とエアタンク11側の圧力とが等圧になった時点で自然に停止するので、この時点での車高が最大車高ということになる。
【0026】
他方、荷役モードで空積検知スイッチ24が積荷の積載を検知した場合には、前記モード切替スイッチ23により通常モードが選択されている場合と同様に、メインスイッチ19へ通電が成されて該メインスイッチ19が作動状態となり、通常の車高調整作動に復帰するようになっている。
【0027】
而して、例えば、港湾荷役設備等でコンテナ船から積卸されたコンテナを積載して運搬するような場合、コンテナの積み込みを空車状態で待つ間に、モード切替スイッチ23を荷役モードに切り替えると、空積検知スイッチ24により空車が検知されて、メインスイッチ19及び車高調整操作スイッチ20の操作と無関係に開閉バルブ16が閉じ且つコントロールバルブ17がサブエアライン13側に切り替わり、これにより作動エアがエアベローズ10に強制的に補充されて車高が最大に上げられるので、大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、エアベローズ10に予め十分な作動エアが供給されていることから車体の沈み量が少なくて済み、コンテナの積載後に空積検知スイッチ24によりコンテナの積載が検知されて通常の車高調整作動に復帰した際に、メインスイッチ19をオフとして走行に適した車高に復帰させるのに要する時間が大幅に短縮されることになる(メインスイッチ19をオフとした通常走行状態のまま荷役モードに切り替えていた場合には積荷の積載が検知された時点で直ちに走行用車高への復帰が開始される)。
【0028】
しかも、モード切替スイッチ23を荷役モードに切り替えた時点で後段のメインスイッチ19が通電を断たれて非作動状態となり、メインスイッチ19のオン・オフにかかわらずリミッタ22の作動が解除されることになるので、モード切替スイッチ23を荷役モードに切り替えて車高を最大まで上げた状態でも、走行速度に制限なく通常走行時と同じように荷役作業エリア内を走行することが可能となる。
【0029】
尚、モード切替スイッチ23を通常モードに戻した場合や、荷役モードで空積検知スイッチ24により積荷の積載が検知された場合には、通常の車高調整作動に復帰するので、メインスイッチ19がオフとなっている条件下で車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブを介してエアサスペンションのエアベローズ10に作動エアが給排され、メインスイッチ19がオンとなっている条件下で車高調整操作スイッチ20を中立位置から操作した時にエアベローズ10に前記レベリングバルブを迂回して作動エアが給排されて車高が任意に調整されることになる。
【0030】
従って、上記形態例によれば、積荷の積み込みを空車状態で待つ間にエアベローズ10に予め十分な作動エアを供給して最大車高に上げておくことができるので、コンテナ等の大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、車体の沈み量を大幅に抑制し得て、短時間で走行に適した通常車高に復帰させることができ、しかも、モード切替スイッチ23を荷役モードに切り替えて車高を最大まで上げた状態のままでも、リミッタ22の作動を解除し得て走行速度に制限なく通常走行時と同じように荷役作業エリア内を走行することができるので、港湾荷役設備等でのトラクタ1による荷役作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0031】
尚、本発明の車高調整装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、港湾荷役設備でのコンテナの荷役作業を行う運搬車両に限定されないこと、また、トレーラを牽引するトラクタ以外の運搬車両にも同様に適用し得ること、更には、空積検知スイッチには様々な検知手段を採用し得ること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0032】
【発明の効果】
上記した本発明の車高調整装置によれば、積荷の積み込みを空車状態で待つ間にエアベローズに予め十分な作動エアを供給して最大車高に上げておくことができるので、大型の積荷を一度に積み込まれて空車状態から高積載状態に急激に移行しても、車体の沈み量を大幅に抑制し得て短時間で走行に適した通常車高に復帰させることができ、しかも、モード切替スイッチを荷役モードに切り替えて車高を最大まで上げた状態のままでも、リミッタの作動を解除し得て走行速度に制限なく通常走行時と同じように荷役作業エリア内を走行することができるので、運搬車両による荷役作業の効率を大幅に向上させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を模式的に示す系統図である。
【図2】港湾荷役設備でのコンテナの荷役作業を示す概略図である。
【図3】従来例を模式的に示す系統図である。
【符号の説明】
1 トラクタ(運搬車両)
3 コンテナ(積荷)
10 エアベローズ
14 レベリングバルブ
19 メインスイッチ
20 車高調整操作スイッチ
22 リミッタ
23 モード切替スイッチ
24 空積検知スイッチ
Claims (1)
- メインスイッチがオフとなっている条件下で車高を所定の高さに維持し得るようレベリングバルブを介してエアサスペンションのエアベローズに作動エアが給排され、メインスイッチがオンとなっている条件下で車高調整操作スイッチを中立位置から操作した時にエアベローズに前記レベリングバルブを迂回して作動エアが給排されて車高が任意に調整され且つ走行速度がリミッタにより制限されるように構成された運搬車両の車高調整装置において、
メインスイッチの前段に設けられて通常モードと荷役モードとを選択的に切り替えるモード切替スイッチと、該モード切替スイッチにより荷役モードが選択された時に積荷の有無を検知する空積検知スイッチとを備え、
該モード切替スイッチが荷役モードで且つ空積検知スイッチが空車を検知している条件下でのみ前記メインスイッチ及び車高調整操作スイッチから独立して直接的に車高を最大に上げるべく作動エアがエアベローズに供給され且つこの条件が不成立の場合に通常の車高調整作動に復帰するように構成されていることを特徴とする車高調整装置。
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