JP3919077B2 - インクジェットプリントヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ピエゾ素子を使用する、高画質、高速、高密度シヤーモードインクジェットプリントヘッドの製造方法に関するものである。シヤーモードインクジェットプリントヘッドは、分極した圧電基板に、インクチャンネルを研削して、その溝の側壁に電極を形成し、この電極に電界を掛けると、溝の側壁が、くの字型に剪断変形して、溝の中のインクに圧力を掛けてインク滴を吐出する。このインクジェットプリントヘッドには、溝内に電極を、そして、溝の外に、この電極に信号を送る接続電極が必要になる。この発明は、従来の感光性レジストを使用しないで、メッキとレーザーを使用して、電極と接続電極を形成する新しいインクジェットプリントヘッドの製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットプリントヘッドを図14を使用して、説明する。例えば、特公平6−61936号公報によると、分極した圧電基板の上に、感光性レジストをスピンコートする。または、感光性ドライフィルムをラミネートする。続いて、マスク露光、現像して、インクチャンネルのパターンを形成する。
【0003】
次に、このパターンに沿って、溝を研削する。但し、この溝は、基板全体を研削するのでは無く、途中で、研削を止めて、深さが一定のストレートな溝部100と、深さが次第に浅くなる浅溝部101と、全く研削しない未研削部102を作る。
【0004】
続いて、アルミニウムを、溝に対して斜めに蒸着すると、溝の側壁に電極が、浅溝部101と未研削部102に接続電極がそれぞれ形成される。電極と接続電極がほぼ同一面にあるので、電極と接続電極を簡単に形成することができる。この接続電極の末端を、フレキシブルケーブルで駆動回路に接続すると、電極に信号を送ることができる。しかし、この浅溝部101と未研削部102は、電圧を掛けても、殆ど変形しないので、インクの吐出に寄与できない。このインクジェットプリントヘッドは、インクジェットプリントヘッドを駆動すると、この吐出に殆ど寄与しない部分にも電圧が掛かるので、高周波信号を掛けると、圧電素子のヒステリシス損失により、著しく発熱する。特に、未研削部102は、インクと接触しないので、インクにより冷却されないことから、発熱が大きい。
【0005】
また、印刷パターンにより、吐出回数の多いチャンネルと少ないチャンネルができることがある。吐出回数の多いチャンネルは、発熱が大きいので、そのチャンネル内のインクの粘度が低下して、吐出滴の速度が早くなる。このように、印刷パターンによりチャンネル間で吐出滴の速度が変動すると、インクジェットプリントヘッドに対して、一定の速度で動く媒体上に着弾する、液滴の着弾位置にムラが生じて、画質が著しく低下する。これを、印刷パターン依存クロストークと呼ぶ。また、このインクジェットプリントヘッドは圧電素子を電極で挟んだ形なので、コンデンサーと同じ構造になり、吐出に寄与しない部分も大きな静電容量を持つので、高周波信号に側壁の剪断変形が応答できなくなる。即ち、従来のインクジェットプリントヘッドの構造では、高画質、高速、高密度ヘッドには向かない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明のインクジェットプリントヘッドは、吐出に寄与しない部分を取り除いた、ストレートな溝だけを持つことを特徴とする。従来に比べて、発熱が少なく、且つ、高周波応答性が良い。しかし、浅溝部と未研削部が無いので、接続電極を、電極と同一平面に形成することができない。駆動電極を、インクジェットプリントヘッドの側面を通って裏面に回して立体的に形成して、ヘッド裏面で、フレキシブルケーブルと接続しなければならない。
【0007】
また、現在の感光性レジストを使用するパターン形成技術は、平面パターンは形成できるが、立体パターンは形成できない。プリント回路板や自動車のダッシュボードに使用されている立体配線は、mmピッチの粗いものである。この発明の立体配線は、例えば、300DPIヘッドでは、80μmピッチで、70〜520本の接続電極を立体的に形成しなければならない。
【0008】
この発明は、無電解メッキとレーザーを使用して、レジストレスで、立体パターンを形成する、新しい方法を提供する。
【0009】
高速、高画質のインクジェットプリントヘッドは、このように、無駄の無い、ストレートな溝を形成することが必須となる。しかし、ストレートな溝を形成すると、接続電極を立体的に形成しなければならないので、従来の感光性レジストによるパターニングは使えない。
【0010】
インクジェットプリントヘッドに、立体的な接続電極を形成する技術は、例えば、特開平7−132589号公報は、ストレートな水平インク溝を形成し、その一端から垂直な溝を形成する。次いで、無電解メッキしてから、この垂直面を研磨し、表面のメッキ金属を取り除き、縦溝の中にメッキ金属を残して、これを接続電極の一部としている。圧電素子は非常に硬く、脆いので、また、高密度ヘッドは、壁の厚みが50μm以下になるので、横溝と縦溝を研削すると、溝の側壁が欠け易い。
【0011】
特開2000−141653公報は、ストレートな溝を持つインクジェットプリントヘッドの後壁を感光性レジストで、パターン状にマスクしてから蒸着し、電極と配線を形成する方法である。しかし、インクジェットプリントヘッドの厚みは、2〜10mm程度と薄いため、この部分にフォトレジストを塗布、露光、現像して、微細なパターンを形成するのは困難である。
【0012】
また、特開平10−766669号公報は、溝の底にスルーホールを設けて、ここに導電性物質を充填して、接続電極の一部を形成する技術である。圧電素子の製造時、グリーンシートに正確な穴を開けても、高温で焼結すると、膨張、収縮が激しく、数十μm径の穴を、数μm精度で形成することは困難である。
【0013】
また、このビアホールと位置を合わせて溝を加工する時、位置がズレる等の問題がある。また、ビアホール内の導電体とPZTの材質の相違によりダイシング加工時、ダイシングソーを痛め、所望の溝形状が得られない等の問題がある。特開2000−168094公報は、ストレート溝を持つ、ヘッド全体をメッキしてからレーザー光でメッキの一部を除去して、接続電極を形成する方法である。特開平8−300667号公報は溝の内面に電極を形成し、溝の底面に形成した電極をYAGレーザーで除去する方法である。メッキ金属、例えば、ニッケルは極めて硬いため、これを蒸発除去するには大きなレーザーパワーが必要となり、レーザー加工は、数百nS以下の短時間のパルス照射のため、表面のみが急速加熱されて、ニッケルが蒸発し、表面下の部分への影響は少ない。しかし、膜厚が厚いと繰り返し照射が必要となり、下地の、熱に弱い圧電素子を劣化させるおそれがある。
【0014】
この発明は、圧電基板にストレートなインクチャンネルを形成し、無電解メッキまたは電解メッキとレーザーにより、チャンネル内部に電極を、チャンネル外部に、立体的な引き出し配線を形成する方法である。メッキとレーザーを使用して、感光性レジストを使用しないで、電極と立体的な接続電極を形成する新規な方法である。
【0015】
この発明は、無電解メッキまたは、電解メッキとレーザーにより、インクジェットプリントヘッドに、電極と立体的な接続電極を形成する新しい方法である。従来は、例えば、特開2000−168094公報や特開平8−300667号公報は、インクジェットプリントヘッド全体に無電解メッキしてから、不要なメッキをレーザーで除去しているが、メッキ金属、例えばNiは、極めて、硬い金属なので、大きなレーザーパワーを必要とし、その下地の圧電素子が加熱されるおそれがある。圧電素子は、キューリー温度、例えば、200〜300℃以上に昇温すると、分極が消えてしまい、圧電性を示さなくなる。従って、圧電素子の昇温は、キューリー温度の半分以下に抑える必要がある。硬いニッケルをレーザーで蒸発させると、圧電素子の温度が局所的に数百度に達することがある。
【0016】
これらの先行技術は、全て、無電解メッキした後、不要なメッキ金属をレーザーで蒸発させて、パターンを形成する方法である。この発明は、無電解メッキ前、または無電解メッキ中に、レーザーでパターンを形成する方法であるので、レーザーパワーが低くて済み、下地の圧電素子に過剰な熱が掛からない。
【0017】
無電解メッキとは、導電性の無い支持体上に、溶解した金属塩を、化学還元して、金属を析出させる方法である。電解メッキのように、電解還元ではないので、還元力が弱く、これだけでは金属を析出できないので、予め、支持体上にメッキ触媒を吸着させておく必要がある。無電解メッキは、メッキ触媒の上しか金属を析出できないが、一度金属が析出すると、金属が自己触媒作用を持つので、メッキ層が成長する。
【0018】
従来技術による電極と接続電極の形成法とヘッドの組立法の概略を、図15を使用して説明する。分極した圧電基盤に複数のストレートな溝110を形成する。次に、このヘッド基板にメッキ触媒を吸着させて、無電解メッキする。この状態で、ヘッド基板全体が均一にメッキされる。ヘッド基板の前端111、すなわち、ノズル板を接着する面を研磨して、メッキ金属を取り除く。次に、溝110の側壁の屋根112から、ヘッド基板の後端113を通って、ヘッド基板の裏面114まで、レーザー光を照射して線状にメッキ金属を取り除くと、各溝毎に独立した、電極と接続電極を形成できる。続いて、天板を接着して溝を覆い、ノズル板とマニホールドを接着して、ヘッド裏面にフレキシブル配線を接続すれば、インクジェットプリントヘッドとなる。或いは、側壁の屋根112の部分のメッキ金属は、研磨除去してもよい。この発明は、このプロセスを改良したものである。厚いメッキ被膜を形成してから、その一部をレーザーで取り除くのではなく、メッキ前、または、メッキ中に除去するので、レーザーパワーが少なく、短時間で済み、圧電素子に対する熱影響が少ない方法である。
【0019】
この発明は、従来技術のいろいろな欠点を解消し、小型で低電圧駆動が可能な、印字速度が速く、クロストークが少なく、高密度、高画質、インクジェットプリントヘッドを安価に製造できるインクジェットプリントヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前期課題を解消し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0022】
尚、各請求項における電極とは、各チャネルの内壁に設けられている電極と、その電極に接続されている接続電極の両方を含む。
【0024】
請求項に記載の発明は、圧電体を含む部材にチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリントヘッドの製造方法であり、
複数のチャネル用の溝を有するチャネルプレートに触媒を吸着させた後、
前記触媒の一部に、チッソガスを流通させてレーザー光を照射し、前記触媒を除去し、
その後、前記チャネルプレートの少なくとも1側面と底面をメッキ処理することにより、
前記レーザー光により除去されなかった触媒上に、前記電極としてのメッキ層を形成することを特徴とするインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【0025】
この請求項に記載の発明によれば、チャンネルプレート全体に触媒を吸着させた後、メッキが不要な箇所の触媒をレーザー光で除去し、その後、無電解メッキすることにより、触媒が残っている箇所にメッキを付着させて、電極と接続電極を形成する。ngオーダーの触媒を除去するか、または、これを、熱酸化して失活させればよいので、極く小さなレーザーパワーで済み、圧電体の特性劣化を防止し、生産効率のよい電極形成を行うことができ、製造工程での不良発生を抑制し、微細化する高精度なインクジェットプリントヘッドを安価に製造することができる。
【0030】
請求項に記載の発明は、圧電体を含む部材でチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリントヘッドを製造する方法であり、
複数のチャネル用の溝を有するチャネルプレートとカバープレートとを接着してヘッドチップを形成し、
前記ヘッドチップに触媒を吸着させた後、前記ヘッドチップの外周面の一部の触媒に、チッソガスを流通させてレーザー光を照射し、前記触媒を除去し、
その後、前記複数のチヤンネルの内壁と前記所定の外周面とをメッキ処理することにより、
前記レーザー光により除去されなかった触媒上に、前記電極としてのメッキ層を形成することを特徴とするインクジェットプリントヘッドの製造方法である。
【0031】
この請求項に記載の発明によれば、ヘッドチップに触媒を吸着させた後、レーザー光でヘッドチップの外周面の一部の触媒を除去し、その後、複数のチャンネルの内壁と所定の外周面とをメッキ処理することにより、レーザー光により除去されなかった触媒上に、電極としてのメッキ層を形成して、電極と接続電極を形成する。ngオーダーの触媒を除去するか、または、これを、熱酸化して失活させればよいので、極く小さなレーザーパワーで済み、圧電体の特性劣化を防止し、生産効率のよい電極形成を行うことができ、製造工程での不良発生を抑制し、微細化する高精度なインクジェットプリントヘッドを安価に製造することができる。
【0032】
請求項に記載の発明は、前記電極が、ニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法である。
【0033】
この請求項に記載の発明によれば、電極金属は、ニッケルまたは銅が好ましく、特に、耐食性に優れるニッケルが好ましい。
請求項に記載の発明は、前記電極は、独立した電極と、この独立した電極に信号を与える接続電極であることを特徴とする請求項1乃至請求項 3 のいづれか 1 項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法である。
この請求項に記載の発明によれば、電極は、独立した電極と、この独立した電極に信号を与える接続電極であり、例えば各溝毎に独立した、電極と立体的な接続電極を形成できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のインクジェットプリントヘッドの製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明するが、この発明はこの実施の形態に限定されない。
【0035】
この発明の第1参考例は、ストレートな溝を形成したヘッド基板に触媒を吸着して無電解メッキして、極く薄いメッキ層が生成した時、例えば0.5μm以下、メッキ浴から取り出して、水洗後、図15に示すように、溝の側壁の屋根からヘッド基板の後端を通って、ヘッド基板の裏面まで、レーザー光を照射して、線状にメッキ金属を取り除く。蒸発させる金属の量が極めて少ないので、圧電基板の温度は余り上昇しない。水洗後、再度、メッキ浴に戻せば既に析出した金属層は自己触媒作用を持つので、メッキ層が再び成長を始める。しかしレーザー光で金属を除去した箇所には、メッキは析出しない。ヘッド基板の前端を研磨して、メッキを除去すれば、各溝毎に独立した、電極と立体的な引き出し配線を形成できる。無電解メッキは、コストが高く、メッキ速度が遅いので、再メッキは、電解メッキでも良い。
【0036】
この発明の第例は、ストレートな溝を形成したヘッド基板に、無電解メッキ触媒を吸着させた後、溝の側壁の屋根から、ヘッド基板の後端を通って、ヘッド基板の裏面まで、レーザー光を照射して、線状に触媒を取り除いてから、無電解メッキする。触媒、例えば、パラジュームの吸着量は、ngのオーダーであり、蒸発させなくとも、加熱すれば酸化されて失活するので、極めて弱いレーザーパワーですむ。触媒は化学的に活性なため、空気酸化され易いので、レーザー光の照射箇所にチッソガスを流通させて酸化を防ぎ、同時に、蒸発物を取り除く必要がある。引き続き無電解メッキして、ヘッド基板の前端を研磨して、メッキ金属を取り除けば、各溝毎に独立した、電極と立体的な接続電極を形成できる。
【0037】
この発明の第2参考例は、ストレートな溝を形成したヘッド基板に、天板を接着して、インク溝に蓋をする。触媒を吸着させて、無電解メッキする。メッキ浴から取り出し、水洗、乾燥後、ヘッド基板の後端から裏面に掛けて、レーザー光を照射して、メッキ金属を取り除く。ヘッド基板の前端を研磨して、メッキ金属を取り除けば、各溝毎に独立した、電極と立体的な引き出し配線を形成できる。ストレート溝を天板で覆ってあるので、吐出に直接関係する場所にレーザー光を照射しないので1回のメッキで厚膜を形成しても良い。
【0038】
この発明の第例は、第2参考例と似ているが、触媒吸着後、ヘッド基板の後端から裏面に掛けて、チッソ流の中でレーザー光を照射して、触媒を取り除いて、メッキする。以下、実施の形態について説明するが、第1 ,3,4 の実施の形態は、この発明の参考例であり、第2 , 5の実施の形態が、この発明の実施の形態である。
【0039】
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0040】
図1は第1のインクジェットプリントヘッドの製造工程のフロー、図2は第1のインクジェットプリントヘッドの製造工程を示す概略図、図3はレーザー光の照射を示す図、図4はヘッドブロックの分解斜視図、図5はインクジェットプリントヘッドの平面図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図、図7は図5のVII−VII線に沿う断面図、図8はインクジェットプリントヘッドの組付の斜視図である。
【0041】
第1の実施の形態では、インクジェットプリントヘッドの製造が、チャネルプレート作製工程A1、チャネルプレート溝加工工程A2、チャネルプレートブロック加工工程A3、触媒吸着無電解メッキ工程A4、レーザー除去工程A5、再メッキ処理工程A6、カバープレート作製工程A7、チャネルプレートとカバープレート接着工程A8、ノズルプレート接着工程A9、絞り板接着工程A10、液室接着工程A11、基体接着工程A12、駆動制御基盤接合工程A13、基板固定工程A14、カプラー接着工程A15の順で行われる。
【0042】
以下、このインクジェットプリントヘッドの製造工程について説明する。
[チャネルプレート作製工程A1(図2(a))]
分極処理した、厚さ0.9mmのPZTの板材1と、厚さ0.155mmのPZTの板材2を、分極方向を所定の方向に合わせて14〜20Kg/cm2の荷重と90〜100℃の温度を掛けて、30〜40分接着することにより、接着剤層が約2μmになるようにして、接着剤層を含む厚さ1.057mmのチャネルプレート3を作製する。
【0043】
このチャネルプレート3を作製する工程A1は、接着面にゴミ等が付着しないよう、クリーンルームで作業し、また、接着ムラや気泡等が残留しないよう細心の注意を払うことが重要である。
【0044】
2枚のPZTの板材1,2を接着するのは、剪断モードインクジェットプリントヘッドのチャネルの側壁を2枚のPZTで形成することにより、電圧を印加した際、側壁の変形を大きくするためである。
[チャネルプレート溝加工工程A2(図2(b))]
チャネルプレート3を研削して、インクチャネルとなる溝4を形成する。
【0045】
この第1の実施形態の場合、128個のノズルを形成するために、ほぼ溝幅に等しいブレードBにより、チャネルプレート3の厚さ0.155mmの板材2の側より、深さ0.31mm、溝幅0.07mm、壁幅0.071mm、ピッチ0.141mmで合計263個の溝を、櫛歯状に加工する。
【0046】
この第1の実施形態の場合は、インクチャネルの両側に空気チャネルを設けるので、257個の溝が必要となり、その両側に各々4mmの保持部を備え、その保持部に前記257個の溝に続けて予備の溝をそれそれぞれ3個設けているので合計263個の溝となる。
【0047】
なお、両側のそれぞれ3個の溝は、ノズル板を接着する時、過剰の接着剤がノズル域に入り込まないように設けたグルーガードであるが、またノズル域にあるノズルに不測の事態が生じた場合など、予備ノズルとして機能させることができる。
[チャネルプレートブロック加工工程A3(図2(c))]
複数の溝4が形成されたチャネルプレート3を、インクジェットプリントヘッドの寸法に合わせて、短冊状に切断5する。
【0048】
この第1の実施の形態の場合は、厚さ1.057mmのチャネルプレート3を幅2mm、長さ44.166mmの短冊状に切断する。
[触媒吸着・無電解メッキA4(図2(d))]
メッキ浴Cにおいて、チャネルプレート3のブロック6に、触媒を吸着して適正メッキ膜厚2〜5μmより、薄いメッキ皮膜を掛ける。例えば、ニッケル/燐またはニッケル/ボロンの1μm以下の薄膜メッキを施す。
[レーザー除去A5(図2(e))]
予めチャネルプレート3のブロック6に薄膜メッキを施した後、不要箇所のメッキ薄膜をレーザー光Dで除去した後に、再度メッキを行うことで電極と接続電極を形成する。このように、複数のチャネル溝を有するチャネルプレート3の少なくとも1側面と底面にメッキされたメッキ薄膜の一部をレーザー光Dで除去した後に、再度メッキ処理をすることにより、除去しなかったメッキ薄膜上にさらにメッキが付着して電極と接続電極が形成される。よって、レーザー光Dで除去するメッキ層は、本来必要な膜厚より薄いため、比較的小さなレーザーパワーでメッキを除去できる。従って、レーザー光Dによるメッキ除去時に生じる、圧電体の特性劣化を防止できる。
【0049】
レーザー光でのメッキ薄膜の除去は、図3に示す装置で行う。ヘリウム・ネオンレーザー発振器151からのレーザー光は、メッキ除去用のYAGレーザー発振器154からのレーザー光の照射位置を定めるものである。X方向及びY方向に移動可能なXYテーブル150にチャネルプレート3からのブロック6を載置し、まず最初にヘリウム・ネオンレーザー発振器151からのレーザー光を反射鏡152、集光レンズ153を介して照射し、YAGレーザー発振器154からのレーザー光の照射位置を定め、その後YAGレーザー発振器154からのレーザー光を反射鏡155、集光レンズ153を介して照射し、レーザートリミングによりメッキ薄膜にパターンを形成する。
[再メッキ処理工程A6(図2(f))]
前記したように、予め1μm以下の薄いメッキを施し、電極や接続電極が不要な箇所のメッキ薄膜をレーザー光で除去してあるので、このメッキ処理工程A6で所定の膜厚になるように、メッキ浴Cにおいて、再度メッキ処理する。無電解メッキでも、電解メッキでも、構わない。
[カバープレート作製工程A7(図2(g))]
チャネルプレート3の溝の上面を塞ぐため、チャンネルプレートと同じPZTで、カバープレート10を作製する。このカバー材は溝を加工する必要がなく、また、分極処理する必要もないので、材質はPZTである必要はないが、カバー材とPZTの機械物性が大幅に異なると、PZTの剪断力発生に悪影響するため、ヘッドの射出性能等に影響を及ぼしたり、接着後にソリや変形を生じることがあるので、カバー材は、機械的強度や線膨張係数等がPZTと等しいか、きわめて近似していることが望ましく、この実施の形態ではチャネルプレート製作に用いた厚板を共用して、脱分極して用いる。
[チャネルプレートとカバープレートの接着工程A8(図2(h))]
電極が形成されたチャネルプレート3のブロック6とカバープレート10のブロック13を接着する。
【0050】
この第1の実施の形態では、重量約1mgの接着剤をカバープレート10のブロック13に均一に塗布し約2μm程度の接着剤層となるようにし、チャネルプレート3のブロック6と加熱接着する。加熱接着条件は、チャネルプレート3と同条件で接着する。
[ノズルプレート接着工程A9(図2(i))]
ヘッドチップ20の端面を研磨して、ノズルプレート30を接着する。ノズルプレート30は、シート状の薄板にインク吐出のための開孔30aを複数個設けた、ステンレス材やポリイミド樹脂等で形成されている。ノズルプレート30の開孔径(ノズル径)や厚み、幅や長さ等の形状諸元は、インクジェット装置の仕様で異なるが、この実施形態では、厚さ約125μmのポリイミド樹脂シートに開口径約φ18μmで128個の開孔(ノズル)30aをエキシマレーザーで加工し、ノズルプレート表面は、飛散したインク滴が、ノズル開孔30aに影響を与えないよう撥水処理する。
【0051】
ノズルプレート30の所定の箇所あるいはヘッドチップ20の所定の箇所に接着剤を塗布し、ヘッドチップ20と接着後、加熱器内に挿入し、接着剤の種類や、被接着物等により変化するが、この実施の形態では、例えば約80℃の温度で約40分程度の加熱を行い、更に、約100℃、20分加熱を行うことで、接着強度を高める。
【0052】
なお、ノズルプレート30が平行平面を保持するように、且つ接着剤がインクチャネル内を埋めることがないように注意すると共に、インクを注入した時に漏れがないように、それぞれのインクチャネルが確実に、個々に独立した空間を形成するように接着しなければならない。ノズル開孔30aが接着剤で塞がれることがないように、接着剤の量や接着層の厚みを管理することが重要である。なお、ヘッドチップ20にプラズマ処理を行い、接着層の濡れ性を促進しておくと、接着が容易に且つ確実に行える。ノズルプレート30のみならず、絞り板の接着もあるので、ヘッドチップ20をプラズマ処理する事が望ましい。
[絞り板の接着工程A10(図2(j))]
ノズルプレート30を接着したヘッドチップ20の他端に、絞り板40を接着して、ヘッドブロック50を作製する。
【0053】
なお、絞り板40は、開孔(ノズル)40aを有するチャネルの両側の空気チャネルにインクが流入しないようにする機能と、インク吐出のためのチャネル内の圧力変動を所定の圧力に維持できるようにするための機能を有す。
【0054】
この第1の実施形態では、ノズルプレート30と同材質の125μm厚のポリイミド樹脂シートに、幅110μm長さ350μmの長方形状の孔40aをピッチ282μmで128個設けている。勿論、これらの形状諸元は、ノズルプレート30と同様、インクジェット装置の仕様等に基づくもので、これに限定されないことは言うまでもない。
[液室接着工程A11]
ヘッドチップ20にノズルプレート30と絞り板40とを接着すると、図4に示すように、ヘッドブロック50が完成する。このヘッドブロック50に、図5乃至図8に示すように、インクが供給できるように液室部材60を接着剤で固着する。
[基体接着工程A12]
さらに、ヘッドブロック50と液室部材60とを接着したヘッドユニットを、基体61に接着することにより液室が構成され、ヘッドユニットにインクが注入できる状態となる。ヘッドユニットの接着に際しては、基体61に対してヘッドユニットのヘッドブロック50が位置ズレや傾斜のないように注意すると共に基体61に接着される液室部材60周囲からのインク漏れが生じないように注意する必要がある。この工程では、組み込みの作業性を考慮して常温硬化タイプの接着剤を用いる。
【0055】
なお、この第1の実施の形態では、ヘッドブロック50を固定する基体61と一体的に液室を構成したが、これによらず、インクジェットヘッドの仕様や設計上の構成によっては液室を単独に構成しても良く、液室の形状や大きさ等の諸元は、インクジェットヘッドの仕様等に基づき設定され、特にインクがインクカートリッジやインク袋から円滑に流入し、ヘッドブロック50のチャネルに円滑に侵入するようにする形状が重要で、また、インク内のゴミや気泡等を除去するためのフィルター等を組込んだり、別にフィルターを組込んだフィルター室を設け液室に連接することも可能である。
【0056】
この第1の実施の形態のように、ヘッドチップ20を小型化すると、インクジェットヘッドの重量や容積が少なくてすむのでコスト的にも従来に比べ安価で、ヘッドユニット構成のための自由度が増し、更に慣性力も軽減できる機械的な利点の他に、インクを吐出するためのPZTの剪断変形を低電圧で行えると共に、周波数が高速化できるので、印字速度を速くできる利点がある。
[駆動制御基板接合工程A13]
インクが注入できるまでに完成したヘッドユニットに、インクを吐出させる為に電圧を印加する駆動制御基板62を結合する。
【0057】
この第1の実施の形態では、ヘッドチップ20のチャネルプレート3の裏面に形成された接続電極に、異方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)63を用いることができ、約170℃で約20秒程、約14Kg程度の荷重を均一にかけて加熱押圧することで、駆動制御基板62に設けられたフレキシブルプリント回路(FPC)64と電気的に結合する。
[基板固定工程A14]
ヘッドユニットと駆動制御基板62とを基体61に取り付け、インクジェットプリントヘッドを完成させる。この第1の実施の形態では、ヘッドユニットとフレキシブルプリント回路64を介して駆動制御基板62が電気的に結合された後に、駆動制御基板62を基体61にネジ等の締結部材65で固定すると共に、ヘッドユニットを上蓋66をネジ等の締結部材67で固定することによりインクジェットプリントヘッドが完成する。
[カプラー接着工程A15]
このインクジェットプリントヘッドの基体61にカプラー68を接着し、別に設けたインク注入装置からカプラー68を介して液室部材60にインクを注入し、駆動制御基板62に設けたコネクタ69に電源を接続すると共に、インク吐出させるための制御を行うことによりインクジェットプリントヘッドのノズルからインクが吐出できることになる。
【0058】
なお、この第1の実施の形態においては、インク注入装置からインクをインクジェットヘッドに流入させるためにインク注入装置のチューブと液室を連係するためのカプラー68を別途設けたが、これは基体や液室、あるいはフィルター室等を設けた場合はフィルター室と一体に構成しても良いことは言うまでもない。また、一般には、各工程毎に決められた項目での検査が行われ、次工程に流されるようになっており、インクジェットヘッドが完成した段階で、疑似インクによる吐出性能等が検査されて、合格品が出荷の運びとなるので、この第1の実施の形態においても同様であり、検査に関しては省略した。なお、この発明の要旨を工程順に説明したが、工程の順序を作業の都合等で入れ替えたり、同時に作業を行えるようにする等の工程変更は、この発明の要旨から逸脱するものではない。
【0059】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0060】
図9はインクジェットプリントヘッドの製造工程のフロー、図10はインクジェットプリントヘッドの製造工程概略図である。
【0061】
この第2の実施の形態では、インクジェットヘッドの製造が、チャネルプレート作製工程B1、チャネルプレート溝加工工程B2、チャネルプレートブロック加工工程B3、触媒吸着工程B4、レーザー除去工程B5、メッキ処理工程B6、カバープレート作製工程B7、チャネルプレートとカバープレート接着工程B8、ノズルプレート接着工程B9、絞り板接着工程B10、液室接着工程B11、基体接着工程B12、駆動制御基板接合工程B13、基板固定工程B14、カプラー接着工程B15の順で行なわれる。
【0062】
以下、このインクジェットプリントヘッドの製造工程について説明する。
[工程B1、B2、B3(図10(a),(b),(c))]
第1の実施の形態のチャネルプレート作製工程A1〜A3と同様に構成されるから説明を省略する。
[触媒吸着工程B4(図10(d))]
チャンネルプレート全体に触媒を吸着する。
[レーザー除去工程B5(図10(e))]
チャネルプレート3の各々の溝に対し、レーザー光Dを照射して独立した電極を形成し、この電極に信号を伝える接続電極を、チャネルプレート3の側面から底面に形成する。
【0063】
この第2の実施の形態では、Pd(パラジウム)を触媒として用い、極微量、ngオーダー吸着させる。チッソを流しながら、レーザー光で、図3に示すように、チャネルプレート3の溝を形成する側壁の天井部中央を幅方向に触媒を除去すると共に、チャネルプレート3を輪切りにするような状態で、レーザー光の進行方向を変えずにチャネルプレート3を回転させて、壁の端面からチャネルプレート3の底面へと触媒を除去していく。
[メッキ処理工程B6(図10(f))]
レーザー光で触媒が除去されたチャネルプレート3を無電解メッキ処理する。
【0064】
このように、メッキ不要箇所の触媒を、レーザー光で除去した後、無電解メッキ処理してレーザー光が照射されない部分に、電極と接続電極を形成する。極微量の触媒をレーザー光で除去するので、極く弱い照射で足りるので、圧電体の特性劣化を防止できる。
[工程B7〜B15(図10(g),(h),(i),(j))]
第1の実施形態のカバープレート作製工程A7〜A15と同様であるから説明を省略する。
【0065】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0066】
この第3の実施の形態では、インクジェットヘッドの製造が、チャネルプレート作製工程C1、チャネルプレート溝加工工程C2、カバープレート作製工程C3、チャネルプレートとカバープレート接着工程C4、ブロック加工工程C5、触媒吸着無電解メッキ工程C6、レーザー除去工程C7、ノズルプレート接着工程C8、絞り板接着工程C9、液室接着工程C10、基体接着工程C11、駆動制御基板接合工程C12、基板固定工程C13、カプラー接着工程C14の順で行なわれる。
【0067】
溝の上をカバープレートで覆ってからメッキするので、吐出に直接関係する溝の側壁にはレーザー光を照射しないので、1回のメッキで厚い膜を形成して強いレーザー光を照射しても良い。
【0068】
以下、このインクジェットプリントヘッドの製造工程について説明する。
【0069】
図11はインクジェットプリントヘッドの製造工程のフロー、図12はインクジェットプリントヘッドの製造工程概略図、図13はヘッドチップの斜視図である。
[工程C1,C2(図12(a),(b)]第1の実施形態のチャネルプレート作製工程A1,A2と同様であるから説明を省略する。
[カバープレート作製工程C3(図12(c))]
溝加工されたチャネルプレート3と幅、長さが同寸法のPZTからなる板材をカバープレート10として準備する。チャネルプレート製作に用いた厚板を共用して、脱分極して用いる。
[チャネルプレートとカバープレート接着工程C4(図12(d))]
溝加工されたチャネルプレート3にカバープレート10を接着する。それぞれ同寸法であるため、位置がずれないように治具等を使用して接着する。接着剤を加熱接着後に約2μmになるように均一に塗布し、14〜20Kg/cm2、90〜100℃の温度で約30〜40分程度、加熱接着する。
[ブロック加工工程C5(図12(e))]
接着されたチャネルプレート3とカバープレート10をダイシング加工により、幅2mm、長さ44.166mmの短冊状に数個に切断70してヘッドチップ20にする。
[触媒吸着無電解メッキ工程C6(図12(f))]
ヘッドチップ20に触媒を吸着させて、無電解ニッケルメッキする。所定膜厚のメッキが析出したら、メッキ浴Cから取り出し、水洗、乾燥させる。
[レーザー除去工程C7(図12(g))]
メッキ薄膜に、レーザー光Dを照射してパターンを形成する。
【0070】
この工程では、チャネル(幅70μm、高さ310μm、長さ2mmの筒状の穴)263個の全ての内壁に均一にメッキを付けることが極めて重要である。電極形成に不要なカバープレート部分及びノズルプレート接着部等にはレジストを塗布しメッキが付かないようにしても良い。なお、メッキの材質は電気抵抗が少なくPZTに対して剥離強度の高い物であれば、これに限定するものではない。
【0071】
この第3の実施の形態では、ヘッドチップ20に設けられた複数のチャネル(筒状の穴)にメッキするので、この場合はチャネルの内壁にのみメッキ処理することは難しいので、図3に示すようにレーザー光の照射による触媒除去よりも、薄膜メッキ除去による電極形成のほうが好ましい。レーザー光による薄膜メッキ除去が終了すると、再度メッキ処理を行うことで、図13に示すような接続電極81等の電極形成を完成する。
[ノズルプレート接着工程C8〜C14]
第1の実施の形態のノズルプレート接着工程A9〜A15と同様に構成されるから説明を省略する。
【0072】
第4の実施の形態は、第3の実施の形態とほとんど、同じであるが、メッキを2回に分け、その中間でレーザー除去しても良い。
【0073】
第5の実施の形態は、第1の実施の形態と殆ど同じであるが触媒を除去した後、ちっ素ガスを流しながら、レーザー光を照射して、無電解メッキする方法である。メッキ回数を減らすことができる。
【0075】
【発明の効果】
前記したように、請求項に記載の発明では、ヘッドチップに、触媒を吸着させた後、メッキが不要な箇所の触媒をレーザー光で除去し、その後メッキ処理することにより、触媒が残っている箇所にだけ電極が形成される。よって、レーザー光によりメッキ金属を除去する必要がないので、メッキ除去時のレーザー光によって生じ得る圧電体の特性劣化を防止し、生産効率の良い電極形成を行うことができ、製造工程での不良発生を抑制し、微細化する高精度なインクジェットプリントヘッドを安価に製造することができる。
【0078】
請求項に記載の発明では、チャネルプレートとカバープレートとが接着されて形成されたヘッドチップに、触媒を吸着させた後、メッキが不要な箇所の触媒をレーザー光で除去し、その後メッキ処理することにより、触媒が残っている箇所だけに電極が形成される。よって、レーザー光によりメッキ金属を除去する必要がないので、また吐出に関係する箇所にレーザーを照射しないので、メッキ処理時のレーザーによって、製造工程での不良発生を抑制し、微細化する高精度なインクジェットプリントヘッドを安価に製造することができる。
【0079】
請求項に記載の発明では、電極金属は、ニッケルまたは銅が好ましく、特に、耐食性に優れるニッケルが好ましい。
請求項4に記載の発明では、電極は、独立した電極と、この独立した電極に信号を与える接続電極であり、例えば各溝毎に独立した、電極と立体的な接続電極を形成できる。
【0080】
さらに、これらの発明では、微細なマスキング処理等が不要になるため、ヘッドチップを小型化できる。よって、インクの吐出を行う電圧を低下でき、且つインク吐出の周波数を高速にでき、低電流駆動が可能で印字速度が速い。また、ヘッドチップを小型化できるため、高価な材料であるPZTの使用量を減量することができ、高性能で安価である。また、インクジェットプリントヘッドが移動しながら印字するタイプの大型プリンタに使用すれば、インクジェットプリントヘッドの慣性力を軽減でき、移動速度を速くすることができ、印字速度を速くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリントヘッドの製造工程のフローである。
【図2】インクジェットプリントヘッドの製造工程を示す概略図である。
【図3】レーザー光の照射を示す図である。
【図4】ヘッドブロックの分解斜視図である。
【図5】インクジェットプリントヘッドの平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図5のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】インクジェットプリントヘッドの組付の斜視図である。
【図9】インクジェットプリントヘッドの製造工程のフローである。
【図10】インクジェットプリントヘッドの製造工程を示す概略図である。
【図11】インクジェットプリントヘッドの製造工程のフローである。
【図12】インクジェットプリントヘッドの製造工程を示す概略図である。
【図13】ヘッドチップの斜視図である。
【図14】従来のチャネルプレートを示す斜視図である。
【図15】レーザーによりメッキ薄膜が除去されているチャネルプレートを示す図である。
【符号の説明】
3 チャネルプレート
6,13 ブロック
10 カバープレート
20 ヘッドチップ
30 ノズルプレート
40 絞り板
50 ヘッドブロック
60 液室部材
61 基体
100 ストレート溝部
101 浅溝
102 未研削部
111 前壁
112 溝側壁の屋根
113 後壁
114 ヘッド基板の裏面

Claims (4)

  1. 圧電体を含む部材にチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリントヘッドの製造方法であり、
    複数のチャネル用の溝を有するチャネルプレートに触媒を吸着させた後、
    前記触媒の一部に、チッソガスを流通させてレーザー光を照射し、前記触媒を除去し、
    その後、前記チャネルプレートの少なくとも1側面と底面をメッキ処理することにより、
    前記レーザー光により除去されなかった触媒上に、前記電極としてのメッキ層を形成することを特徴とするインクジェットプリントヘッドの製造方法。
  2. 圧電体を含む部材でチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリントヘッドを製造する方法であり、
    複数のチャネル用の溝を有するチャネルプレートとカバープレートとを接着してヘッドチップを形成し、
    前記ヘッドチップに触媒を吸着させた後、前記ヘッドチップの外周面の一部の触媒に、チッソガスを流通させてレーザー光を照射し、前記触媒を除去し、
    その後、前記複数のチヤンネルの内壁と前記所定の外周面とをメッキ処理することにより、
    前記レーザー光により除去されなかった触媒上に、前記電極としてのメッキ層を形成することを特徴とするインクジェットプリントヘッドの製造方法。
  3. 前記電極が、ニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
  4. 前記電極は、独立した電極と、この独立した電極に信号を与える接続電極であることを特徴とする請求項1乃至請求項 3 のいづれか 1 項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
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