JP2003182086A - インクジェットプリントヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットプリントヘッドの製造方法

Info

Publication number
JP2003182086A
JP2003182086A JP2001385259A JP2001385259A JP2003182086A JP 2003182086 A JP2003182086 A JP 2003182086A JP 2001385259 A JP2001385259 A JP 2001385259A JP 2001385259 A JP2001385259 A JP 2001385259A JP 2003182086 A JP2003182086 A JP 2003182086A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric body
plating
catalyst
laser light
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001385259A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Okuno
奥野  哲生
Shozo Kikukawa
省三 菊川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2001385259A priority Critical patent/JP2003182086A/ja
Publication of JP2003182086A publication Critical patent/JP2003182086A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】電極形成のレーザー加工時に発生する熱による
品質劣化を防ぎ、また触媒除去時に生じる触媒の酸化を
防ぐことが可能である。 【解決手段】チャネルからインクを噴射するインクジェ
ットプリントヘッドを製造する方法であり、圧電体を含
む部材Aに、触媒を吸着させた後、圧電体を含む部材A
を液中に浸漬させて触媒の一部にレーザー光Dを照射し
て除去し、レーザー光Dで除去されなかった触媒にメッ
キ処理して所望のメッキ膜を形成して前記所望の膜厚の
電極を形成する。また、圧電体を含む部材に、触媒を吸
着させた後、圧電体を含む部材をメッキ液中に浸漬させ
てメッキ処理を行ない、圧電体を含む部材のメッキ処理
中に圧電体を含む部材の一部にレーザー光を照射し、レ
ーザー光で除去されなかった部分に所望のメッキ膜を形
成して、所望の膜厚の電極を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ピエゾ素子を使
用する、高画質、高速、高密度シエヤーモードインクジ
ェットプリントヘッドの製造方法に関するものである。
シエヤーモードインクジェットプリントヘッドは、分極
した圧電基板に、インクチャンネルを研削して、その溝
の側壁に電極を形成し、この電極に電界を掛けると、溝
の側壁が、くの字型に剪断変形して、溝の中のインクに
圧力を掛けてインク滴を吐出する。このインクジェット
プリントヘッドには、溝内に電極を、そして、溝の外
に、この電極に信号を送る接続電極が必要になる。この
発明は、従来の感光性レジストを使用しないで、メッキ
とレーザーを使用して、電極と接続電極を形成する新し
いインクジェットプリントヘッドの製造方法である。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェットプリントヘッドを
図18を使用して、説明する。例えば、特公平6−61
936号公報によると、分極した圧電基板の上に、感光
性レジストをスピンコートする。または、感光性ドライ
フィルムをラミネートする。続いて、マスク露光、現像
して、インクチャンネルのパターンを形成する。
【0003】次に、このパターンに沿って、溝を研削す
る。但し、この溝は基板全体を研削するのでは無く、途
中で研削を止めて、深さが一定のストレートな溝部10
0と、深さが次第に浅く成る浅溝部101と、全く研削
しない未研削部102を作る。
【0004】続いて、アルミニウムを、溝に対して斜め
に蒸着すると、溝の側壁に電極が、浅溝部101と未研
削部102に接続電極がそれぞれ形成される。電極と接
続電極がほぼ同一面にあるので、電極と接続電極を簡単
に形成することができる。この接続電極の末端を、フレ
キシブルケーブルで駆動回路に接続すると、電極に信号
を送ることができる。しかし、この浅溝部101と未研
削部102は、電圧を掛けても、殆ど変形しないので、
インクの吐出に寄与できない。このインクジェットプリ
ントヘッドは、インクジェットプリントヘッドを駆動す
ると、この吐出に殆ど寄与しない部分にも電圧が掛かる
ので、高周波信号を掛けると、圧電素子のヒステリシス
損失により、著しく発熱する。特に、未研削部102
は、インクと接触しないので、インクにより冷却されな
いことから、発熱が大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなインクジェ
ットプリントヘッドで、吐出に寄与しない部分を取り除
いた、ストレートな溝だけを持つようにすると、従来に
比べて発熱が少なく、且つ、高周波応答性が良い。しか
し、浅溝部と未研削部が無いので、接続電極を、電極
と、同一平面に形成することができない。駆動電極を、
インクジェットプリントヘッドの側面を通って裏面に回
して、立体的に形成して、ヘッド裏面で、フレキシブル
ケーブルと接続しなければならない。
【0006】高速、高画質のインクジェットプリントヘ
ッドは、このように、無駄の無い、ストレートな溝を形
成することが必須となる。しかし、ストレートな溝を形
成すると、接続電極を立体的に形成しなければならない
ので、従来の感光性レジストによるパターニングは使え
ない。
【0007】インクジェットプリントヘッドに、立体的
な接続電極を形成する技術は、例えば、特開平7−13
2589号公報は、ストレートな水平インク溝を形成
し、その一端から、垂直な溝を形成する。次いで、無電
解メッキしてから、この垂直面を研磨し、表面のメッキ
金属を取り除き、縦溝の中にメッキ金属を残して、これ
を接続電極の一部としている。圧電素子は非常に硬く、
脆いので、また、高密度ヘッドは、壁の厚みが50μm
以下になるので、横溝と縦溝を研削すると、溝の側壁が
欠け易い。
【0008】特開2000−141653公報は、スト
レートな溝を持つインクジェットプリントヘッドの後壁
を感光性レジストで、パターン状に、マスクしてから蒸
着し、電極と配線を形成する方法である。しかし、イン
クジェットプリントヘッドの厚みは、2〜10mm程度
と薄いため、この部分にフォトレジストを塗布、露光、
現像して、微細なパターンを形成するのは困難である。
【0009】また、特開平10−766669号公報
は、溝の底にスルーホールを設けて、ここに、導電性物
質を充填して、接続電極の一部を形成する技術である。
圧電素子の製造時、グリーンシートに正確な穴を開けて
も、高温で焼結すると、膨張、収縮が激しく、数十μm
径の穴を、数μm精度で形成することは困難である。
【0010】また、このビアホールと位置を合わせて溝
を加工する時、位置がズレる等の問題がある。また、ビ
アホール内の導電体とPZTの材質の相違によりダイシ
ング加工時、ダイシングソーを痛め、所望の溝形状が得
られない等の問題がある。特開2000−168094
公報は、ストレート溝を持つ、ヘッド全体をメッキして
からレーザー光でメッキの一部を除去して、接続電極を
形成する方法である。特開平8−300667号公報は
溝の内面に電極を形成し、溝の底面に形成した電極をY
AGレーザーで除去する方法である。メッキ金属、例え
ば、ニッケルを蒸発除去するには大きなレーザーパワー
が必要となる。レーザー加工は、数百nS以下の短時間
のパルス照射のため、集光されたレーザー光の照射面の
みが急速加熱されて、周囲への熱影響が少ない。ただし
このような溝の底面に形成した電極をYAGレーザーで
除去するには溝を形成する壁面でレーザー光が蹴られて
しまい、溝底部では十分に集光がされず加工に要するエ
ネルギーを照射するためには更なる大きなエネルギーを
注ぎ込む必要がある。これにより、壁面に照射されてい
る底面の加工のための集光に寄与していないレーザー光
が壁面を形成している圧電素子を劣化させる恐れがあ
る。
【0011】また、従来は、例えば、特開2000−1
68094公報や特開平8−300667号公報は、イ
ンクジェットプリントヘッド全体に無電解メッキしてか
ら、不要なメッキをレーザー光で除去しているが、メッ
キ金属、例えばNiは反射率が高く、沸点も高いため、
波長の長いレーザー光では加工のために大きなパワーを
必要とし、その下地の圧電素子が加熱されるおそれがあ
る。圧電素子は、キューリー温度、例えば、200〜3
00℃以上に昇温すると、分極が消えてしまい、圧電性
を示さなくなる。従って、圧電素子の昇温は、キューリ
ー温度の半分以下に抑える必要がある。硬いニッケルを
レーザーで蒸発させると、圧電素子の温度が局所的に数
百度に達することがある。
【0012】これらの先行技術は、全て、不要なメッキ
をレーザー光で除去するレーザートリミング時には、空
気中または、N2等のアシストガス中で行っていたの
で、レーザー加工時に発生する熱による品質劣化が生じ
ることがある。また、インクジェットプリントヘッドに
触媒を形成し、この触媒の一部を除去してを無電解メッ
キすることがあるが、この触媒を除去する時に触媒が酸
化してメッキ不良が生じることがある。
【0013】この発明は、かかる実情に鑑みてなされた
もので、電極形成のレーザー加工時に発生する熱による
品質劣化を防ぎ、また触媒除去時に生じる触媒の酸化を
防ぐことが可能なインクジェットプリントヘッドの製造
方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】前期課題を解消し、かつ
目的を達成するために、この発明は、以下のように構成
した。
【0015】請求項1に記載の発明は、圧電体を含む部
材にチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に
電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前
記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリン
トヘッドを製造する方法であり、前記圧電体を含む部材
に、触媒を吸着させた後、前記圧電体を含む部材を液中
に浸漬させて前記触媒の一部にレーザー光を照射して除
去し、前記レーザー光で除去されなかった触媒にメッキ
処理して所望のメッキ膜を形成して前記所望の膜厚の電
極を形成することを特徴とするインクジェットプリント
ヘッドの製造方法である。
【0016】尚、各請求項における電極とは、各チャネ
ルの内壁に設けられている電極と、その電極に接続され
ている接続電極の両方を含む。
【0017】この請求項1に記載の発明によれば、圧電
体を含む部材を触媒やメッキ成分を含むまたは含まない
液中に浸漬させて触媒の一部にレーザー光を照射して除
去し、レーザー光で除去されなかった触媒にメッキ処理
して所望のメッキ膜を形成して電極を形成することで、
レーザー光で除去した発散物が表面に付かなくなり、精
密接着の工程に有利になる表面が得られ、加工面の平滑
性が向上する。また、圧電体を含む部材への冷却効果が
大きく、加工時における圧電体を含む部材への蓄熱の影
響が軽減し、圧電体を含む部材の熱による特性劣化(キ
ュリー点を超えることによるデポーリング)を軽減で
き、特性劣化を防止することができる。
【0018】請求項2に記載の発明は、圧電体を含む部
材にチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に
電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前
記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリン
トヘッドを製造する方法であり、前記圧電体を含む部材
に、触媒を吸着させた後、前記圧電体を含む部材を液中
に浸漬させて前記触媒の一部にレーザー光を照射して除
去しながら、前記レーザー光で除去されなかった触媒に
メッキ処理して所望のメッキ膜を形成して前記所望の膜
厚の電極を形成することを特徴とするインクジェットプ
リントヘッドの製造方法である。
【0019】この請求項2に記載の発明によれば、圧電
体を含む部材を液中に浸漬させて触媒の一部にレーザー
光を照射して除去しながら、レーザー光で除去されなか
った触媒にメッキ処理してメッキ膜を形成して電極を形
成することで、レーザー光で除去した発散物が表面に付
かなくなり、精密接着の工程に有利になる表面が得ら
れ、加工面の平滑性が向上する。また、圧電体を含む部
材への冷却効果が大きく、加工時における圧電体を含む
部材への蓄熱の影響が軽減し、圧電体を含む部材の熱に
よる特性劣化(キュリー点を超えることによるデポーリ
ング)を軽減でき、特性劣化を防止することができる。
【0020】請求項3に記載の発明は、圧電体を含む部
材にチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に
電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前
記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリン
トヘッドを製造する方法であり、前記圧電体を含む部材
に、触媒を吸着させてメッキ処理して所望のメッキ膜を
形成した後、前記圧電体を含む部材を液中に浸漬させて
前記メッキ膜の一部にレーザー光を照射して除去し、前
記レーザー光で除去されなかったメッキ膜により前記所
望の膜厚の電極を形成することを特徴とするインクジェ
ットプリントヘッドの製造方法である。
【0021】この請求項3に記載の発明によれば、圧電
体を含む部材を液中に浸漬させてメッキ膜の一部にレー
ザー光を照射して除去し、レーザー光で除去されなかっ
たメッキ膜により電極を形成することで、レーザー光で
除去した発散物が表面に付かなくなり、精密接着の工程
に有利になる表面が得られ、加工面の平滑性が向上す
る。また、圧電体を含む部材への冷却効果が大きく、加
工時における圧電体を含む部材への畜熱の影響が軽減
し、圧電体を含む部材の熱による特性劣化(キュリー点
を超えることによるデポーリング)を軽減でき、特性劣
化を防止することができる。
【0022】請求項4に記載の発明は、圧電体を含む部
材にチャネルを形成し、前記圧電体に設けられた電極に
電圧を印加して、前記圧電体を駆動することにより、前
記チャネルからインクを噴射するインクジェットプリン
トヘッドを製造する方法であり、前記圧電体を含む部材
に、触媒を吸着させた後、前記圧電体を含む部材をメッ
キ液中に浸漬させてメッキ処理を行ない、前記圧電体を
含む部材のメッキ処理中に前記圧電体を含む部材の一部
にレーザー光を照射し、前記レーザー光で除去されなか
った部分に所望のメッキ膜を形成して、前記所望の膜厚
の電極を形成することを特徴とするインクジェットプリ
ントヘッドの製造方法である。
【0023】この請求項4に記載の発明によれば、圧電
体を含む部材をメッキ液中に浸漬させてメッキ処理を行
ない、この圧電体を含む部材のメッキ処理中に圧電体を
含む部材の一部にレーザー光を照射し、レーザー光で除
去されなかった部分に所望のメッキ膜を形成して電極を
形成することで、レーザー光で除去した発散物が表面に
付かなくなり、精密接着の工程に有利になる表面が得ら
れ、加工面の平滑性が向上する。また、圧電体を含む部
材への冷却効果が大きく、加工時における圧電体を含む
部材への畜熱の影響が軽減し、圧電体を含む部材の熱に
よる特性劣化(キュリー点を超えることによるデポーリ
ング)を軽減でき、特性劣化を防止することができる。
【0024】請求項5に記載の発明は、前記液を循環さ
せ液中に生じる泡を除去手段により除去することを特徴
とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のイ
ンクジェットプリントヘッドの製造方法である。
【0025】この請求項5に記載の発明によれば、液を
循環させ液中に生じる泡を除去することで、レーザー光
で除去した発散物がより確実に表面に付かなくすること
ができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明のインクジェット
プリントヘッドの製造方法の実施の形態を図面に基づい
て説明するが、この発明はこの実施の形態に限定されな
い。
【0027】この実施の形態は、圧電体を含む部材にチ
ャネルを形成し、圧電体に設けられた電極に電圧を印加
して、圧電体を駆動することにより、チャネルからイン
クを噴射するインクジェットプリントヘッドを製造する
方法である。
【0028】このインクジェットプリントヘッドを製造
する方法において、第1の実施の形態は、図1に示すよ
うに、圧電体を含む部材Aを処理槽90の液中に浸漬さ
せる。処理槽90には、循環パイプ91が設けられ、こ
の循環パイプ91には、循環ポンプ92、フィルタ93
が設けられている。循環パイプ91の駆動により液を循
環させ、フィルタ93により液中の泡や異物を除去する
ようになっている。
【0029】この第1の実施の形態では、圧電体を含む
部材Aに触媒71が吸着されており、この圧電体を含む
部材Aを液中に浸漬させて触媒71の一部にレーザー光
Dを照射して除去する。この除去された触媒71や泡が
液中に混入するが、循環ポンプ92の駆動により液が循
環パイプ91により循環して流動し、フィルタ93によ
り液中の泡や異物が除去される。このように、液を循環
させ液中に生じる泡を除去手段75により除去すること
で、レーザー光Dで除去した発散物がより確実に圧電体
を含む部材Aの表面に付かなくすることができる。
【0030】そして、次の工程で、圧電体を含む部材A
のレーザー光Dで除去されなかった触媒71にメッキ処
理して所望のメッキ膜を形成して所望の膜厚の電極を形
成する。このように、圧電体を含む部材Aを液中に浸漬
させて触媒71の一部にレーザー光Dを照射して除去
し、レーザー光Dで除去されなかった触媒71にメッキ
処理して所望のメッキ膜を形成して電極を形成すること
で、レーザー光Dで除去した発散物が表面に付かなくな
り、精密接着の工程に有利になる表面が得られ、加工面
の平滑性が向上する。また、圧電体を含む部材Aへの冷
却効果が大きく、加工時における圧電体を含む部材Aへ
の畜熱の影響が軽減し、圧電体を含む部材Aの熱による
特性劣化(キュリー点を超えることによるデポーリン
グ)を軽減でき、特性劣化を防止することができる。
【0031】第2の実施の形態は、図2に示すように、
圧電体を含む部材Aには、触媒71が吸着されており、
この圧電体を含む部材Aを処理槽90のメッキ液中に浸
漬させて触媒71の一部にレーザー光Dを照射して除去
しながら、レーザー光Dで除去されなかった触媒71に
メッキ処理して所望のメッキ膜を形成して所望の膜厚の
電極72を形成する。
【0032】第3の実施の形態は、図3に示すように、
圧電体を含む部材Aに、触媒71を吸着させてメッキ処
理して所望のメッキ膜73が形成されており、この圧電
体を含む部材Aを処理槽90の液中に浸漬させてメッキ
膜73の一部にレーザー光Dを照射して除去し、レーザ
ー光Dで除去されなかったメッキ膜により所望の膜厚の
電極を形成する。
【0033】第4の実施の形態は、図4に示すように、
圧電体を含む部材Aに、触媒を吸着させた後、圧電体を
含む部材Aをメッキ液中に浸漬させてメッキ処理を行な
い、圧電体を含む部材Aのメッキ処理中に圧電体を含む
部材Aの一部にレーザー光Dを照射し、レーザー光Dで
除去されなかった部分に所望のメッキ膜を形成して、所
望の膜厚の電極を形成する。
【0034】この実施の形態において、レーザー光と
は、波長1064nm以下のレーザーを示しており、一
般的には固体レーザーである。Nd:YAGレーザー
(1064nm)や同第2高調波(SHG 532n
m)や同第3高調波(THG 355nm)等が挙げら
れる。微細加工には波長の短いレーザーが有利であり、
スポット径が絞れることとパルス幅が短くなるためにエ
ネルギー密度が高くなる。また前記現象が、圧電体を含
む部材に対する熱影響が少なくなる効果もある。
【0035】ここでは固体レーザーであるNd:YAG
レーザーを挙げたが同様に固体レーザーでありNd:Y
VO4レーザーや気体レーザーであるエキシマレーザー
を用いることも可能である。
【0036】ここでいうレーザー加工とは主にレーザー
による熱加工を意味している。集光されエネルギー密度
を増したレーザー光を照射された部材は、照射された表
面に莫大なエネルギーが集中しているために、一瞬で気
化してしまう。Nd:YAGレーザーなどを使う場合、
レーザー光は分布を持っており、レーザー光の照射で気
化する領域と液化する領域と固相のまま変化の無い領域
ができる。レーザー光の分布はほぼガウス分布である
が、多くはより高次のモードが重畳されており、ビーム
の品質を悪くしている。ビームの品質を表す指標として
M2(エムスクエア)値と言うものが有り、微細加工で
は好ましくはM2=1.3より好ましくは1.1以下で
ある方が良い。
【0037】金属をレーザーで加工する場合は、波長の
短いレーザーを用いるのが有利である。金属材料の吸収
率は波長によって異なり、例えばNiを加工しようとし
た場合、Niは波長10μmの光は殆ど反射してしま
い、レーザーのもっているエネルギーがNiを加工する
ために使われない。一般的なCO2レーザー(波長約1
0.6μm)では加工が非常に困難である。波長が53
2nmでは約40%が吸収され、355nmでは約60
%のエネルギーが吸収される。
【0038】次に、インクジェットプリントヘッドを製
造する方法について詳細に説明する。
【0039】図5は第1のインクジェットプリントヘッ
ドの製造工程のフロー、図6はインクジェットプリント
ヘッドの製造工程を示す概略図、図7はレーザー光の照
射を示す図、図8はヘッドブロックの分解斜視図、図9
はインクジェットプリントヘッドの平面図、図10は図
9のX−X線に沿う断面図、図11は図9のXI−XI
線に沿う断面図、図12はインクジェットプリントヘッ
ドの組付の斜視図である。
【0040】この実施の形態では、インクジェットプリ
ントヘッドの製造が、チャネルプレート作製工程A1、
チャネルプレート溝加工工程A2、チャネルプレートブ
ロック加工工程A3、触媒吸着無電解メッキ工程A4、
レーザー除去工程A5、再メッキ処理工程A6、カバー
プレート作製工程A7、チャネルプレートとカバープレ
ート接着工程A8、ノズルプレート接着工程A9、絞り
板接着工程A10、液室接着工程A11、基体接着工程
A12、駆動制御基盤接合工程A13、基板固定工程A
14、カプラー接着工程A15の順で行われる。
【0041】以下、このインクジェットプリントヘッド
の製造工程について説明する。 [チャネルプレート作製工程A1(図6(a))]分極
処理した、厚さ0.9mmのPZTの板材1と、厚さ
0.155mmのPZTの板材2を、分極方向を所定の
方向に合わせて14〜20Kg/cm2の荷重と90〜
100℃の温度を、掛けて、30〜40分接着すること
により、接着剤層が約2μmになるようにして、接着剤
層を含む厚さ1.057mmのチャネルプレート3を作
製する。
【0042】このチャネルプレート3を作製する工程A
1は、接着面にゴミ等が付着しないよう、クリーンルー
ムで作業し、また、接着ムラや気泡等が残留しないよう
細心の注意を払うことが重要である。
【0043】2枚のPZTの板材1,2を接着するの
は、剪断モードインクジェットプリントヘッドのチャネ
ルの側壁を2枚のPZTで形成することにより、電圧を
印加した際、側壁の変形を大きくするためである。 [チャネルプレート溝加工工程A2(図6(b))]チ
ャネルプレート3を研削して、インクチャネルとなる溝
4を形成する。
【0044】この実施形態の場合、128個のノズルを
形成するために、ほぼ溝幅に等しいブレードBにより、
チャネルプレート3の厚さ0.155mmの板材2の側
より、深さ0.31mm、溝幅0.07mm、壁幅0.
071mm、ピッチ0.141mmで合計263個の溝
を、櫛歯状に加工する。
【0045】この実施形態の場合は、インクチャネルの
両側に空気チャネルを設けるので、257個の溝が必要
となり、その両側に各々4mmの保持部を備え、その保
持部に前記257個の溝に続けて予備の溝をそれそれぞ
れ3個設けているので合計263個の溝となる。
【0046】なお、両側のそれぞれ3個の溝は、ノズル
板を接着する時、過剰の接着剤がノズル域に入り込まな
いように設けた、グルーガードであるが、またノズル域
に有るノズルに不測の事態が生じた場合など、予備ノズ
ルとして、機能させることができる。 [チャネルプレートブロック加工工程A3(図6
(c))]複数の溝4が形成されたチャネルプレート3
を、インクジェットプリントヘッドの寸法に合わせて、
短冊状に切断5する。
【0047】この実施の形態の場合は、厚さ1.057
mmのチャネルプレート3を幅2mm、長さ44.16
6mmの短冊状に切断する。 [触媒吸着・無電解メッキA4(図6(d))]メッキ
浴Cにおいて、チャネルプレート3のブロック6に、触
媒を吸着して適正メッキ膜厚2〜5μmより、薄いメッ
キ皮膜を掛ける。例えば、ニッケル/燐またはニッケル
/ボロンの1μm以下の薄膜メッキを施す。 [レーザー除去A5(図6(e))]予めチャネルプレ
ート3のブロック6に薄膜メッキを施した後、不要箇所
のメッキ薄膜をレーザー光Dで除去した後に、再度メッ
キを行うことで電極と接続電極を形成する。
【0048】この不要箇所のメッキ薄膜をレーザー光D
で除去する工程は、図3の実施の形態に示すように、処
理槽90の液中にチャネルプレート3のブロック6を浸
漬して行なわれ、レーザー光Dで除去した発散物がブロ
ック6の表面に付かなくなり、精密接着の工程に有利に
なる表面が得られ、加工面の平滑性が向上する。また、
ブロック6への冷却効果が大きく、加工時におけるブロ
ック6への蓄熱の影響が軽減し、ブロック6の熱による
特性劣化(キュリー点を超えることによるデポーリン
グ)を軽減でき、特性劣化を防止することができる。
【0049】このように、複数のチャネル溝を有するチ
ャネルプレート3の少なくとも1側面と底面にメッキさ
れたメッキ薄膜の一部をレーザー光Dで除去した後に、
再度メッキ処理をすることにより、除去しなかったメッ
キ薄膜上にさらにメッキが付着して電極と接続電極が形
成される。よって、レーザー光Dで除去するメッキ層
は、本来必要な膜厚より薄いため、比較的小さなレーザ
ーパワーでメッキを除去できる。従って、レーザー光D
によるメッキ除去時に生じる、圧電体の特性劣化を防止
できる。
【0050】レーザー光でのメッキ薄膜の除去は、図7
に示す装置で行う。ヘリウム・ネオンレーザー発振器1
51からのレーザー光は、メッキ除去用のYAGレーザ
ー発振器154からのレーザー光の照射位置を定めるも
のである。X方向及びY方向に移動可能なXYテーブル
150にチャネルプレート3からのブロック6を載置
し、まず最初にヘリウム・ネオンレーザー発振器151
からのレーザー光を反射鏡152、集光レンズ153を
介して照射し、YAGレーザー発振器154からのレー
ザー光の照射位置を定め、その後YAGレーザー発振器
154からのレーザー光を反射鏡155、集光レンズ1
53を介して照射し、レーザートリミングによりメッキ
薄膜にパターンを形成する。 [再メッキ処理工程A6(図6(f))]前記したよう
に、予め1μm以下の薄いメッキを施し、電極や接続電
極が不要な箇所のメッキ薄膜を、レーザー光で除去して
あるので、このメッキ処理工程A6で、所定の膜厚にな
るように、メッキ浴Cにおいて、再度、メッキ処理す
る。無電解メッキでも、電解メッキでも、構わない。
【0051】この実施の形態では、触媒吸着・無電解メ
ッキA4(図6(d))と、レーザー除去A5(図6
(e))と、再メッキ処理工程A6(図6(f))とが
別々になっているが、図4の実施の形態を用いて、メッ
キ浴Cにおいて、チャネルプレート3のブロック6に、
触媒を吸着させた後、メッキ液中に浸漬させてメッキ処
理を行ない、ブロック6のメッキ処理中にブロック6の
一部にレーザー光Dを照射し、レーザー光Dで除去され
なかった部分に所望のメッキ膜を形成して、所望の膜厚
の電極を形成し、触媒吸着・無電解メッキA4(図6
(d))と、レーザー除去A5(図6(e))と、再メ
ッキ処理工程A6(図6(f))をメッキ浴Cにおいて
行なってもよい。 [カバープレート作製工程A7(図6(g))]チャネ
ルプレート3の溝の上面を塞ぐため、チャンネルプレー
トと同じPZTで、カバープレート10を作製する。こ
のカバー材は溝を加工する必要がなく、また、分極処理
する必要もないので、材質はPZTである必要はない
が、カバー材とPZTの機械物性が大幅に異なると、P
ZTの剪断力発生に悪影響するため、ヘッドの射出性能
等に影響を及ぼしたり、接着後にソリや変形を生じるこ
とがあるので、カバー材は、機械的強度や線膨張係数等
がPZTと等しいか、きわめて近似していることが望ま
しく、この実施の形態ではチャネルプレート製作に用い
た厚板を共用して、脱分極して用いる。 [チャネルプレートとカバープレートの接着工程A8
(図6(h))]電極が形成されたチャネルプレート3
のブロック6とカバープレート10のブロック13を接
着する。
【0052】この実施の形態では、重量約1mgの接着
剤をカバープレート10のブロック13に均一に塗布し
約2μm程度の接着剤層となるようにし、チャネルプレ
ート3のブロック6と加熱接着する。加熱接着条件は、
チャネルプレート3と同条件で接着する。 [ノズルプレート接着工程A9(図6(i))]ヘッド
チップ20の端面を研磨して、ノズルプレート30を接
着する。ノズルプレート30は、シート状の薄板にイン
ク吐出のための開孔30aを複数個設けた、ステンレス
材やポリイミド樹脂等で形成されている。ノズルプレー
ト30の開孔径(ノズル径)や厚み、幅や長さ等の形状
諸元は、インクジェット装置の仕様で異なるが、この実
施形態では、厚さ約125μmのポリイミド樹脂シート
に開口径約φ18μmで128個の開孔(ノズル)30
aをエキシマレーザーで加工し、ノズルプレート表面
は、飛散したインク滴が、ノズル開孔30aに影響を与
えないよう撥水処理する。
【0053】ノズルプレート30の所定の箇所あるいは
ヘッドチップ20の所定の箇所に接着剤を塗布し、ヘッ
ドチップ20と接着後、加熱器内に挿入し、接着剤の種
類や、被接着物等により変化するが、この実施の形態で
は、例えば約80℃の温度で約40分程度の加熱を行
い、更に、約100℃、20分加熱を行うことで、接着
強度を高める。
【0054】なお、ノズルプレート30が平行平面を保
持するように、且つ接着剤がインクチャネル内を埋める
ことがないように注意すると共にインクを注入した時に
漏れがないように、それぞれのインクチャネルが確実
に、個々に独立した空間を形成するように接着しなけれ
ばならない。ノズル開孔30aが接着剤で塞がれること
がないように、接着剤の量や接着層の厚みを管理するこ
とが重要である。なお、ヘッドチップ20にプラズマ処
理を行い、接着層の濡れ性を促進しておくと、接着が容
易に且つ確実に行える。ノズルプレート30のみなら
ず、絞り板の接着もあるので、ヘッドチップ20をプラ
ズマ処理することが望ましい。 [絞り板の接着工程A10(図6(j))]ノズルプレ
ート30を接着したヘッドチップ20の他端に、絞り板
40を接着して、ヘッドブロック50を作製する。
【0055】なお、絞り板40は、開孔(ノズル)40
aを有するチャネルの両側の空気チャネルにインクが流
入しないようにする機能と、インク吐出のためのチャネ
ル内の圧力変動を所定の圧力に維持できるようにするた
めの機能を有する。
【0056】この実施形態では、ノズルプレート30と
同材質の125μm厚のポリイミド樹脂シートに、幅1
10μm長さ350μmの長方形状の孔40aをピッチ
282μmで128個設けている。勿論、これらの形状
諸元は、ノズルプレート30と同様、インクジェット装
置の仕様等に基づくもので、これに限定されないことは
言うまでもない。 [液室接着工程A11]ヘッドチップ20にノズルプレ
ート30と絞り板40とを接着すると、図8に示すよう
に、ヘッドブロック50が完成する。このヘッドブロッ
ク50に、図9乃至図12に示すように、インクが供給
できるように液室部材60を接着剤で固着する。 [基体接着工程A12]さらに、ヘッドブロック50と
液室部材60とを接着したヘッドユニットを、基体61
に接着することにより液室が構成され、ヘッドユニット
にインクが注入できる状態となる。ヘッドユニットの接
着に際しては、基体61に対してヘッドユニットのヘッ
ドブロック50が位置ズレや傾斜に注意すると共に基体
61に接着される液室部材60周囲からのインク漏れが
生じないように注意する必要がある。この工程では、組
み込みの作業性を考慮して常温硬化タイプの接着剤を用
いる。
【0057】なお、この実施の形態では、ヘッドブロッ
ク50を固定する基体61と一体的に液室を構成した
が、これによらず、インクジェットヘッドの仕様や設計
上の構成によっては液室を単独に構成しても良く、液室
の形状や大きさ等の諸元は、インクジェットヘッドの仕
様等に基づき設定され、特にインクがインクカートリッ
ジやインク袋から円滑に流入し、ヘッドブロック50の
チャネルに円滑に侵入するようにする形状が重要で、ま
た、インク内のゴミや気泡等を除去するためのフィルタ
ー等を組込んだり、別にフィルターを組込んだフィルタ
ー室を設け液室に連接することも可能である。
【0058】この実施の形態のように、ヘッドチップ2
0を小型化すると、インクジェットヘッドの重量や容積
が少なくてすむのでコスト的にも従来に比べ安価で、ヘ
ッドユニット構成のための自由度が増し、更に慣性力も
軽減できる機械的な利点の他に、インクを吐出するため
のPZTの剪断変形を低電圧で行えると共に、周波数が
高速化できるので、印字速度を速くできる利点がある。 [駆動制御基板接合工程A13]インクが注入できるま
でに完成したヘッドユニットに、インクを吐出させる為
に電圧を印加する駆動制御基板62を結合する。
【0059】この実施の形態では、ヘッドチップ20の
チャネルプレート3の裏面に形成された接続電極に、異
方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic
Conductive Film)63を用いること
ができ、約170℃で約20秒程、約14Kg程度の荷
重を均一にかけて加熱押圧することで、駆動制御基板6
2に設けられたフレキシブルプリント回路(FPC)6
4と電気的に結合する。 [基板固定工程A14]ヘッドユニットと駆動制御基板
62とを基体61に取り付け、インクジェットプリント
ヘッドを完成させる。この第1の実施の形態では、ヘッ
ドユニットとフレキシブルプリント回路64を介して駆
動制御基板62が電気的に結合された後に、駆動制御基
板62を基体61にネジ等の締結部材65で固定すると
共に、ヘッドユニットを上蓋66をネジ等の締結部材6
7で固定することによりインクジェットプリントヘッド
が完成する。 [カプラー接着工程A15]このインクジェットプリン
トヘッドの基体61にカプラー68を接着し、別に設け
たインク注入装置からカプラー68を介して液室部材6
0にインクを注入し、駆動制御基板62に設けたコネク
タ69に電源を接続すると共に、インク吐出させるため
の制御を行うことによりインクジェットプリントヘッド
のノズルからインクが吐出できることになる。
【0060】なお、この実施の形態においては、インク
注入装置からインクをインクジェットヘッドに流入させ
るためにインク注入装置のチューブと液室を連係するた
めのカプラー68を別途設けたが、これは基体や液室、
あるいはフィルター室等を設けた場合はフィルター室と
一体に構成しても良いことは言うまでもない。また、一
般には、各工程毎に決められた項目での検査が行われ、
次工程に流されるようになっており、インクジェットヘ
ッドが完成した段階で、疑似インクによる吐出性能等が
検査されて、合格品が出荷の運びとなるので、この第1
の実施の形態においても同様であり、検査に関しては省
略した。なお、この発明の要旨を工程順に説明したが、
工程の順序を作業の都合等で入れ替えたり、同時に作業
を行えるようにする等の工程変更は、この発明の要旨か
ら逸脱するものではない。
【0061】次に、他の実施の形態について説明する。
【0062】図13はインクジェットプリントヘッドの
製造工程のフロー、図14はインクジェットプリントヘ
ッドの製造工程概略図である。
【0063】この他の実施の形態では、インクジェット
ヘッドの製造が、チャネルプレート作製工程B1、チャ
ネルプレート溝加工工程B2、チャネルプレートブロッ
ク加工工程B3、触媒吸着工程B4、レーザー除去工程
B5、メッキ処理工程B6、カバープレート作製工程B
7、チャネルプレートとカバープレート接着工程B8、
ノズルプレート接着工程B9、絞り板接着工程B10、
液室接着工程B11、基体接着工程B12、駆動制御基
板接合工程B13、基板固定工程B14、カプラー接着
工程B15の順で行なわれる。
【0064】以下、このインクジェットプリントヘッド
の製造工程について説明する。 [工程B1、B2、B3(図14(a),(b),
(c))]前記実施の形態のチャネルプレート作製工程
A1〜A3と同様に構成されるから説明を省略する。 [触媒吸着工程B4(図14(d))]チャンネルプレ
ート全体に触媒を吸着する。 [レーザー除去工程B5(図14(e))]チャネルプ
レート3の各々の溝に対し、レーザー光Dを照射して独
立した電極を形成し、この電極に信号を伝える接続電極
を、チャネルプレート3の側面から底面に形成する。
【0065】この実施の形態では、Pd(パラジウム)
を触媒として用い、極微量、ngオーダー吸着させる。
図1の実施の形態に示すように、処理槽90の液中にチ
ャネルプレート3のブロック6を浸漬して行なわれ、ブ
ロック6の溝を形成する側壁の天井部中央を幅方向に触
媒を除去すると共に、チャネルプレート3を輪切りにす
るような状態で、図7に示すように、レーザー光Dの進
行方向を変えずにチャネルプレート3を回転させて、壁
の端面からチャネルプレート3の底面へと触媒を除去し
ていく。 [メッキ処理工程B6(図14(f))]レーザー光で
触媒が除去されたチャネルプレート3を無電解メッキ処
理する。
【0066】このように、メッキ不要箇所の触媒を、レ
ーザー光で除去した後、無電解メッキ処理してレーザー
光が照射されない部分に、電極と接続電極を形成する。
極微量の触媒をレーザー光で除去するので、極く弱い照
射で足りるので、圧電体の特性劣化を防止できる。 [工程B7〜B15(図14(g),(h),(i),
(j))]前記実施の形態のカバープレート作製工程A
7〜A15と同様であるから説明を省略する。
【0067】次に、さらに他の実施の形態について説明
する。
【0068】この実施の形態では、インクジェットヘッ
ドの製造が、チャネルプレート作製工程C1、チャネル
プレート溝加工工程C2、カバープレート作製工程C
3、チャネルプレートとカバープレート接着工程C4、
ブロック加工工程C5、触媒吸着工程C6、レーザー除
去無電解メッキ工程C7、ノズルプレート接着工程C
8、絞り板接着工程C9、液室接着工程C10、基体接
着工程C11、駆動制御基板接合工程C12、基板固定
工程C13、カプラー接着工程C14の順で行なわれ
る。
【0069】溝の上をカバープレートで覆ってからメッ
キするので、吐出に直接関係する溝の側壁にはレーザー
光を照射しないので、1回のメッキで厚い膜を形成して
強いレーザー光を照射しても良い。
【0070】以下、このインクジェットプリントヘッド
の製造工程について説明する。
【0071】図15はインクジェットプリントヘッドの
製造工程のフロー、図16はインクジェットプリントヘ
ッドの製造工程概略図、図17はヘッドチップの斜視図
である。 [工程C1,C2(図16(a),(b)]前記実施の
形態のチャネルプレート作製工程A1,A2と同様であ
るから説明を省略する。 [カバープレート作製工程C3(図16(c))]溝加
工されたチャネルプレート3と幅、長さが同寸法のPZ
Tからなる板材をカバープレート10として準備する。
チャネルプレート製作に用いた厚板を共用して、脱分極
して用いる。 [チャネルプレートとカバープレート接着工程C4(図
16(d))]溝加工されたチャネルプレート3にカバ
ープレート10を接着する。それぞれ同寸法であるた
め、位置がずれないように治具等を使用して接着する。
接着剤を加熱接着後に約2μmになるように均一に塗布
し、14〜20Kg/cm2、90〜100℃の温度で
約30〜40分程度、加熱接着する。 [ブロック加工工程C5(図16(e))]接着された
チャネルプレート3とカバープレート10をダイシング
加工により、幅2mm、長さ44.166mmの短冊状
に数個に切断70してヘッドチップ20にする。 [触媒吸着工程C6(図16(f))]ヘッドチップ2
0に触媒を吸着させる。 [レーザー除去無電解メッキ工程C7(図16
(g))]このレーザー除去無電解メッキは、図2の実
施の形態に示すように、処理槽90のメッキ液中にチャ
ネルプレート3のブロック6を浸漬して行なわれ、触媒
の一部にレーザー光Dを照射して除去しながら、レーザ
ー光Dで除去されなかった触媒にメッキ処理して所望の
メッキ膜を形成して所望の膜厚の電極を形成する。無電
解ニッケルメッキにより、所定膜厚のメッキが析出した
ら、処理槽90から取り出し、水洗、乾燥させる。
【0072】このレーザー除去無電解メッキ工程では、
レーザー光Dで除去した発散物がブロック6の表面に付
かなくなり、精密接着の工程に有利になる表面が得ら
れ、加工面の平滑性が向上する。また、ブロック6への
冷却効果が大きく、加工時におけるブロック6への蓄熱
の影響が軽減し、ブロック6の熱による特性劣化(キュ
リー点を超えることによるデポーリング)を軽減でき、
特性劣化を防止することができる。
【0073】このようにして、メッキ薄膜に、レーザー
光Dを照射してパターンを形成する。この工程では、チ
ャネル(幅70μm、高さ310μm、長さ2mmの筒
状の穴)263個の全ての内壁に均一にメッキを付ける
ことが極めて重要である。電極形成に不要なカバープレ
ート部分及びノズルプレート接着部等にはレジストを塗
布しメッキが付かないようにしても良い。なお、メッキ
の材質は電気抵抗が少なくPZTに対して剥離強度の高
い物であれば、これに限定するものではない。
【0074】この実施の形態では、ヘッドチップ20に
設けられた複数のチャネル(筒状の穴)にメッキするの
で、この場合はチャネルの内壁にのみメッキ処理するこ
とは難しいので、図7に示すようにレーザー光の照射に
よる触媒除去よりも、薄膜メッキ除去による電極形成の
ほうが好ましい。レーザー光による薄膜メッキ除去が終
了すると、再度メッキ処理を行うことで、図17に示す
ような接続電極81等の電極形成を完成する。 [ノズルプレート接着工程C8〜C14]前記実施の形
態のノズルプレート接着工程A9〜A15と同様に構成
されるから説明を省略する。
【0075】
【発明の効果】前記したように、請求項1に記載の発明
では、圧電体を含む部材を液中に浸漬させて触媒の一部
にレーザー光を照射して除去し、レーザー光で除去され
なかった触媒にメッキ処理して所望のメッキ膜を形成し
て電極を形成することで、レーザー光で除去した発散物
が表面に付かなくなり、精密接着の工程に有利になる表
面が得られ、加工面の平滑性が向上する。また、圧電体
を含む部材への冷却効果が大きく、加工時における圧電
体を含む部材への蓄熱の影響が軽減し、圧電体を含む部
材の熱による特性劣化(キュリー点を超えることによる
デポーリング)を軽減でき、特性劣化を防止することが
できる。
【0076】請求項2に記載の発明では、圧電体を含む
部材を液中に浸漬させて触媒の一部にレーザー光を照射
して除去しながら、レーザー光で除去されなかった触媒
にメッキ処理してメッキ膜を形成して電極を形成するこ
とで、レーザー光で除去した発散物が表面に付かなくな
り、精密接着の工程に有利になる表面が得られ、加工面
の平滑性が向上する。また、圧電体を含む部材への冷却
効果が大きく、加工時における圧電体を含む部材への蓄
熱の影響が軽減し、圧電体を含む部材の熱による特性劣
化(キュリー点を超えることによるデポーリング)を軽
減でき、特性劣化を防止することができる。
【0077】請求項3に記載の発明では、圧電体を含む
部材を液中に浸漬させてメッキ膜の一部にレーザー光を
照射して除去し、レーザー光で除去されなかったメッキ
膜により電極を形成することで、レーザー光で除去した
発散物が表面に付かなくなり、精密接着の工程に有利に
なる表面が得られ、加工面の平滑性が向上する。また、
圧電体を含む部材への冷却効果が大きく、加工時におけ
る圧電体を含む部材への蓄熱の影響が軽減し、圧電体を
含む部材の熱による特性劣化(キュリー点を超えること
によるデポーリング)を軽減でき、特性劣化を防止する
ことができる。
【0078】請求項4に記載の発明では、圧電体を含む
部材をメッキ液中に浸漬させてメッキ処理を行ない、こ
の圧電体を含む部材のメッキ処理中に圧電体を含む部材
の一部にレーザー光を照射し、レーザー光で除去されな
かった部分に所望のメッキ膜を形成して電極を形成する
ことで、レーザー光で除去した発散物が表面に付かなく
なり、精密接着の工程に有利になる表面が得られ、加工
面の平滑性が向上する。また、圧電体を含む部材への冷
却効果が大きく、加工時における圧電体を含む部材への
畜熱の影響が軽減し、圧電体を含む部材の熱による特性
劣化(キュリー点を超えることによるデポーリング)を
軽減でき、特性劣化を防止することができる。
【0079】請求項5に記載の発明では、液を循環させ
液中に生じる泡を除去することで、レーザー光で除去し
た発散物がより確実に表面に付かなくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のインクジェットプリントヘ
ッドの製造を説明する図である。
【図2】第2の実施の形態のインクジェットプリントヘ
ッドの製造を説明する図である。
【図3】第3の実施の形態のインクジェットプリントヘ
ッドの製造を説明する図である。
【図4】第4の実施の形態のインクジェットプリントヘ
ッドの製造を説明する図である。
【図5】インクジェットプリントヘッドの製造工程のフ
ローである。
【図6】インクジェットプリントヘッドの製造工程を示
す概略図である。
【図7】レーザー光の照射を示す図である。
【図8】ヘッドブロックの分解斜視図である。
【図9】インクジェットプリントヘッドの平面図であ
る。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図9のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】インクジェットプリントヘッドの組付の斜視
図である。
【図13】インクジェットプリントヘッドの製造工程の
フローである。
【図14】インクジェットプリントヘッドの製造工程を
示す概略図である。
【図15】インクジェットプリントヘッドの製造工程の
フローである。
【図16】インクジェットプリントヘッドの製造工程を
示す概略図である。
【図17】ヘッドチップの斜視図である。
【図18】従来のチャネルプレートを示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
3 チャネルプレート 6,13 ブロック 10 カバープレート 20 ヘッドチップ 30 ノズルプレート 40 絞り板 50 ヘッドブロック 60 液室部材 61 基体 70 圧電体を含む部材 71 触媒 72 電極 73 メッキ膜 75 除去手段 90 処理槽 91 循環パイプ 92 循環ポンプ 93 フィルタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電体を含む部材にチャネルを形成し、前
    記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電
    体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴
    射するインクジェットプリントヘッドを製造する方法で
    あり、 前記圧電体を含む部材に、触媒を吸着させた後、前記圧
    電体を含む部材を液中に浸漬させて前記触媒の一部にレ
    ーザー光を照射して除去し、前記レーザー光で除去され
    なかった触媒にメッキ処理して所望のメッキ膜を形成し
    て前記所望の膜厚の電極を形成することを特徴とするイ
    ンクジェットプリントヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】圧電体を含む部材にチャネルを形成し、前
    記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電
    体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴
    射するインクジェットプリントヘッドを製造する方法で
    あり、 前記圧電体を含む部材に、触媒を吸着させた後、前記圧
    電体を含む部材を液中に浸漬させて前記触媒の一部にレ
    ーザー光を照射して除去しながら、前記レーザー光で除
    去されなかった触媒にメッキ処理して所望のメッキ膜を
    形成して前記所望の膜厚の電極を形成することを特徴と
    するインクジェットプリントヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】圧電体を含む部材にチャネルを形成し、前
    記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電
    体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴
    射するインクジェットプリントヘッドを製造する方法で
    あり、 前記圧電体を含む部材に、触媒を吸着させてメッキ処理
    して所望のメッキ膜を形成した後、前記圧電体を含む部
    材を液中に浸漬させて前記メッキ膜の一部にレーザー光
    を照射して除去し、前記レーザー光で除去されなかった
    メッキ膜により前記所望の膜厚の電極を形成することを
    特徴とするインクジェットプリントヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】圧電体を含む部材にチャネルを形成し、前
    記圧電体に設けられた電極に電圧を印加して、前記圧電
    体を駆動することにより、前記チャネルからインクを噴
    射するインクジェットプリントヘッドを製造する方法で
    あり、 前記圧電体を含む部材に、触媒を吸着させた後、前記圧
    電体を含む部材をメッキ液中に浸漬させてメッキ処理を
    行ない、前記圧電体を含む部材のメッキ処理中に前記圧
    電体を含む部材の一部にレーザー光を照射し、前記レー
    ザー光で除去されなかった部分に所望のメッキ膜を形成
    して、前記所望の膜厚の電極を形成することを特徴とす
    るインクジェットプリントヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】前記液を循環させ液中に生じる泡を除去手
    段により除去することを特徴とする請求項1乃至請求項
    4のいずれか1項に記載のインクジェットプリントヘッ
    ドの製造方法。
JP2001385259A 2001-12-18 2001-12-18 インクジェットプリントヘッドの製造方法 Pending JP2003182086A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001385259A JP2003182086A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 インクジェットプリントヘッドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001385259A JP2003182086A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 インクジェットプリントヘッドの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003182086A true JP2003182086A (ja) 2003-07-03

Family

ID=27594763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001385259A Pending JP2003182086A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 インクジェットプリントヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003182086A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080259146A1 (en) Ink-jet recording head and method for manufacturing ink-jet recording head
JP2008149649A (ja) インクジェットヘッド、および、その製造方法
US7370415B2 (en) Manufacturing method of ink-jet head
US7559144B2 (en) Method for making an inkjet head
WO2006054609A1 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP2633943B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよび該ヘッドの製造方法
JP3919077B2 (ja) インクジェットプリントヘッドの製造方法
JP2003182086A (ja) インクジェットプリントヘッドの製造方法
JP4247734B2 (ja) インクジェットプリンタヘッドの製造方法及びインクジェットプリンタヘッド
JPH04279355A (ja) インクジェット記録ヘッドおよび該ヘッドの製造方法
JPH0929977A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP4099753B2 (ja) インクジェットプリントヘッドの製造方法
JP2021098332A (ja) ヘッドチップの製造方法および液体噴射ヘッドのヘッドチップ
JP2021098333A (ja) ヘッドチップの製造方法および液体噴射ヘッドのヘッドチップ
JP3812089B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP3227346B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JPH02121843A (ja) 液体噴射記録ヘッドおよび該ヘッドの製造方法
JP3555380B2 (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP4192298B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP2764418B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法および該方法によって製造されたインクジェット記録ヘッド
JP3198219B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP2749902B2 (ja) インクジェットヘッド及び該ヘッドを有したインクジェットカートリッジ及び該カートリッジを搭載したインクジェット記録装置
JP3231195B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JPH1178032A (ja) 液体噴射記録ヘッドおよびその製造方法
JP3682218B2 (ja) 液滴噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20041026

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061011

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070202

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070604