JP3918892B2 - レーザマーキング用転写板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザスパッタリング技術を用いたマーキング方法に好適な転写板に係り、特に、マーキング対象物の厚さや材質に拘わらず、これに精細なマーキングを行うことを可能としたレーザマーキング用転写板に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザスパッタリング技術を用いたマーキング方法としては、例えば、特開昭60−224588号公報に記載された方法が知られている。このマーキング方法は、図6に示されるように、マーキング用のビーム状レーザ光100をマーキング対象物102を透過して着色材料である転写板101の表面101aに照射する一方、それにより生じたスパッタをこれと対面するマーキング対象物体102の表面102aに付着させて、所望形状のマーキングを行うものであり、(1)マーキング対象物体102の表面に傷を付けないこと、(2)走査型レーザマーカを使用でき、その都度、専用のマスクが不要であることから、任意の形状のマークを即座に描くことができること、等の優れた利点を有する。
【0003】
なお、レーザ光100としてはYAGレーザが、マーキング対象物体102としては例えばガラス板が、また転写板101としては例えば着色素材からなる金属板が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のマーキング方法に使用されるレーザマーキング用転写板101としては、着色材料である厚手の金属板若しくは金属箔(これらはレーザ光をいずれも透過させない)がそのまま使用されていたため、マーキング対象物102と対面する転写板面101aにレーザ光100を照射するためには、レーザ光100をマーキング対象物102に透過させることが必要となり、その結果、(1)レーザ光を透過させないマーキング対象物には適用できないこと、(2)レーザ光を透過させるものであっても、厚みの大きな或いは歪みの大きな板の場合にはレーザ光が正確に転写板表面に焦点を結ばないことから精細なマーキングが困難であること、(3)その構造上、マーキング対象物の背後からレーザ光の照射が困難であるブラウン管等には適用が困難であること、(4)転写板で生ずるスパッタの内でレーザ光の進行方向と逆方向へ飛散する(僅かに拡散しつつ跳ね返る)ものを利用するため、レーザ光の小径化の割には精細な転写像が得られないこと、並びに、(5)スパッタが酸化されやすく、煤が多く発生して、煤取りのための後処理が煩雑であること、等の問題点があった。
【0005】
この発明は、従来のレーザマーキング用転写板における上記の問題点に着目してなされてものであり、その目的とするところは、マーキング対象物の厚さや材質に拘わらず、これに精細なマーキングを行うことを可能としたレーザマーキング用転写板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この出願の1の発明は、レーザ光に対して透明な性質を有する基板の一方の面に、当該基板を他方の面からレーザ光を照射したときに瞬時に蒸発乃至昇華する性質を有する固体被膜を被着させてなることを特徴とするレーザマーキング用転写板にある。
【0007】
ここで、『レーザ光に対して透明な性質を有する基板』とは、基板はレーザ光に対して透明でなければならないことを意味している。『透明』とは、例えば、波長1.06μmのYAGレーザ光に対するガラス板のように、レーザ光を吸収して加熱溶融することがないことでもある。すなわち、基板の材質は、主として、レーザ光の波長との関係で規定され、当該レーザ光に対して透明な性質を有する限り、必ずしもガラスに限定されるものではなく、ある程度の耐熱性が許容されるならばプラスチック等も採用することができるであろう。
【0008】
また、『当該基板を他方の面からレーザ光照射したときに瞬時に蒸発乃至昇華する性質を有する固体被膜』とは、固体被膜は基板を透過したレーザ光により瞬時に蒸発乃至昇華され、マーキング対象面に転写されるものであることを意味している。固体被膜の材質は、(1)レーザ光の照射により加熱されて瞬時に蒸発乃至昇華する温度特性を有すること、(2)必要なマーキングの色彩を有すること、(3)基板に対して均一な厚さの被膜を形成できること、(4)マーキング対象物の製造工程等における処理温度に対する耐熱性を有すること、並びに、(5)比較的に低コストで提供できること、等を考慮して決定されるであろう。
【0009】
そして、この1の発明によれば、転写板上に形成された固体被膜をその背後から照射されるレーザ光で加熱しこれを瞬時に蒸発乃至昇華させて、マーキング対象面上に転写するという手法を採用できるため、(1)肉厚や歪みの大きな透明なマーキング対象物、或いは最近のプラズマディスプレイパネル等のような表面に蛍光灯障害防止のためのSiO2被膜を有するマーキング対象物に適用できることは勿論のこと、(2)レーザ光を透過させない若しくは透過させ難い、レーザ光に対して半透明乃至不透明なマーキング対象物にも適用できること、(3)例えばブラウン管のパネル側面にマーキングする場合等のように、マーキング面の背後からレーザ光を照射することが困難なマーキング対象物にも適用できること、(4)固体被膜の厚さを調整することにより、マーキングの品質を制御することができること、等の従来のレーザマーキング方法にはない格別の効果を有するものである。
【0010】
加えて、蒸発乃至昇華された固体被膜成分は、レーザ光の光圧に押されつつさほど拡散することなく直進して、レーザ光進行方向前方に置かれたマーキング対象物表面に衝突付着するため、(1)レーザ光の径を細く絞ることにより、精細かつ明瞭なマーキングを容易に形成することができること、(2)固体被膜としてクロム等の金属を使用する場合にも酸化され難く、煤の発生が少なくて拭き取りの手間が不要であること、等の従来のレーザマーキングにはない格別の効果を有するものである。
【0011】
この出願の2の発明は、前記第1の発明において、前記固体被膜と基板との間には、レーザ光を吸収して発熱する性質を有するレーザ光吸収層が介在されていることを特徴とするレーザマーキング用転写板にある。
【0012】
『固体被膜』は必ずしも単層構造である必要はない。例えば、の発明として、基板を構成するガラス板の上に、酸化クロムによる黒色の第1層(下層)とクロムによる金属色の第2層(上層)とを順に重ねた二層構造による固体被膜とすれば、酸化クロム層(下層)の存在によりクロム層(上層)の反射を抑制すると同時にレーザ光の吸収効率を高めて、低光強度レーザ光による明瞭なマーキングを可能ならしめることができる。
【0013】
そして、この2の発明によれば、上述したように、レーザ光吸収層の存在により、固体被膜の反射を抑制すると同時にレーザ光の吸収効率を高めて、低強度レーザ光による明瞭なマーキングを可能ならしめることができるのである。
【0014】
この出願の4の発明は、前記第1の発明若しくは第2の発明において、前記基板の材質はガラスであり、かつ前記固体被膜の材質はその融点がガラスの融点よりも十分に高い性質を有する金属であることを特徴とするレーザマーキング用転写板にある。
【0015】
レーザ光としてYAGレーザ光が使用される場合には、基板の材質としては通常のガラス(例えば、ソーダライムガラス等)を使用することができる。なお、被膜形成技術としてスパッタリングを利用する場合には、ガラスに被着できる物質としては、Au,Pd,Ag,Cu,Cr,Al,Ta,Ni−Cu,Ni−Cr,TiN,TiC,ITO,SiO2,Si34,Nb−Ti,Mo,Mo−Si,Co−Cr,Co−P,Al23,TiW,SUS等が挙げられる。従って、これらの候補物質の中から、条件(1)(5)(1)レーザ光の照射により加熱されて瞬時に蒸発乃至昇華する温度特性を有すること、(2)必要なマーキングの色彩を有すること、(3)基板に対して均一な厚さの被膜を形成できること、(4)マーキング対象物の処理温度等に対する耐熱性を有すること、(5)比較的に低コストで提供できること、)に合致する物質を固体被膜の材料として選択することができる。
【0016】
この出願の5の発明は、前記第4の発明において、前記固体被膜の厚さは、100nm〜300nmであることを特徴とするレーザマーキング用転写板にある。
【0017】
転写板として、分厚い金属板や金属箔を使用した従来方法とは異なり、本発明方法では極めて薄い固体被膜がスパッタリング材料として使用されている。しかも、この固体被膜の膜厚はマーキング品質と重要な関連を有している。
【0018】
そして、この5の発明によれば、固体被膜の膜厚調整により、マーキング品質を適宜に制御することができる。なお、従来の分厚い金属板や金属箔を使用したマーキング方法では、このような膜厚調整によるマーキング品質の制御は不可能であることは、言うまでもない。
【0019】
この出願の6の発明は、前記第4の発明において、前記金属は、クロム、タンタル、又はニッケルと銅との合金であることを特徴とするレーザマーキング用転写板にある。
【0020】
マーキング対象物として、例えばプラズマディスプレイパネル(PDP)のガラス基板や各種モニタ用のラウン管等を想定し、かつレーザ光としてYAGレーザ光を又基板としてガラス板を想定するのであれば、固体被膜の材質としては例えば(1)クロム、(2)タンタル、(3)ニッケルと銅の合金、等のいずれかを選択的に採用することができるであろう。すなわち、これらの物質であれば、真空蒸着技術やスパッタリング技術でガラス板の表面に均一な厚さの被膜を形成することができると共に、YAGレーザ光の照射により瞬時に蒸発乃至昇華して、スパッタリング原理でマーキング対象面であるガラス表面に明瞭なマーキングを行うことができ、加えて、それらマーキング対象物に加えられる熱処理温度にも耐えることができ(融点はガラスよりも高いため)、しかも比較的に安価に提供することができる。因みに、PDPのガラス基板はマーキングに続くその後の製造工程において、摂氏500度以上の加熱炉に少なくとも5回以上に亘り装入されて加熱処理される。これは、いわゆるリブ形成処理や蛍光体定着処理等のためである。また、各種モニタ用のラウン管も同様であって、マーキングに続くその後の製造工程において1若しくは2以上の回数の熱処理が加えられる。これは、ラウン管を構成するガラスは比較的に厚いためにその歪みを除去する等の必要のためである。
【0021】
以上(1)〜(3)の材質の固体被膜であれば、それらの加熱処理に際しても溶融や脱落の虞がない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本発明に係るレーザマーキング用転写板の実施の一形態が図1(a),(b)にそれぞれ示されている。同図(a)に示されるレーザマーキング用転写板1は、レーザ光(図示せず)に対して透明な性質を有する基板2の一方の面(図中下面)2aに、当該基板2を他方の面(図中上面)2bからレーザ光照射したときに瞬時に蒸発乃至昇華する性質を有する固体被膜3を被着させてなることを特徴とするものである。なお、レーザマーキング用転写板1の形状は、所望のマーキングパターンに応じて様々に決定することができる。
【0024】
ここで、『レーザ光に対して透明な性質を有する基板2』とは、基板2はレーザ光に対して透明でなければならないことを意味している。『透明』とは、例えば、波長1.06μmのYAGレーザ光に対するガラス板のように、レーザ光を吸収して加熱溶融することがないことでもある。すなわち、基板2の材質は、主として、レーザ光の波長との関係で規定され、当該レーザ光に対して透明な性質を有する限り、必ずしもガラスに限定されるものではなく、ある程度の耐熱性が許容されるならばプラスチック等も採用することができるであろう。
【0025】
また、『当該基板2を他方の面2bからレーザ光照射したときに瞬時に蒸発乃至昇華する性質を有する固体被膜3』とは、固体被膜3は基板2を透過したレーザ光により瞬時に蒸発乃至昇華され、マーキング対象面に転写されるものであることを意味している。固体被膜3の材質は、(1)レーザ光の照射により加熱されて瞬時に蒸発乃至昇華する温度特性を有すること、(2)必要なマーキングの色彩を有すること、(3)基板に対して均一な厚さの被膜を形成できること、(4)マーキング対象物の製造工程等における処理温度に対する耐熱性を有すること、並びに、(5)比較的に低コストで提供できること、等を考慮して決定することができる。
【0026】
なお、被膜形成技術としてスパッタリングを利用する場合には、ガラス若しくはプラスチックに固体被膜として被着できる物質としては、Au,Pd,Ag,Cu,Cr,Al,Ta,Ni−Cu,Ni−Cr,TiN,TiC,ITO,SiO2,Si34,Nb−Ti,Mo,Mo−Si,Co−Cr,Co−P,Al23,TiW,SUS等が挙げられる。従って、これらの候補物質の中から、条件(1)(5)(1)レーザ光の照射により加熱されて瞬時に蒸発乃至昇華する温度特性を有すること、(2)必要なマーキングの色彩を有すること、(3)基板に対して均一な厚さの被膜を形成できること、(4)マーキング対象物の処理温度等に対する耐熱性を有すること、(5)比較的に低コストで提供できること、)に合致する物質を固体被膜の材料として選択することができる。
【0027】
一方、図1(b)に示されるレーザマーキング用転写板1は、同図(a)に示される構成に加えて、固体被膜3と基板2との間に、レーザ光を吸収して発熱する性質を有するレーザ光吸収層4を介在させたものである。この図から明らかなように、固体被膜の全体は必ずしも単層構造である必要はない。例えば、基板2を構成するガラス板(例えば、ソーダライムガラス)の上に、酸化クロムによる黒色の第1層(YAGレーザ光吸収層)4とクロムによる金属色の第2層(固体被膜)3とを順に重ねた二層構造による固体被膜とすれば、酸化クロム層(YAGレーザ光吸収層)4の存在によりクロム層(固体被膜)3の反射を抑制すると同時にYAGレーザ光の吸収効率を高めて、低光強度YAGレーザ光による明瞭なマーキングを可能ならしめることができる。
【0028】
このようなレーザマーキング用転写板1を使用するマーキング方法は、様々な用途に用いられるが、ここでは表示パネル、中でも、プラズマディスプレイパネルの製造工程において、ガラス基板に識別情報をマーキングするために応用した場合を説明する。
【0029】
この識別情報記録工程においては、まず、図2(a)並びに図3(a)に示されるように、YAGレーザ光に対して透明な性質を有する基板である0.7mm厚のガラス板(例えば、ソーダライムガラス)5を用意し、その片面に耐熱性固体被膜(融点摂氏1600度)であるクロム被膜6を、真空蒸着やスパッタリング技術により、180nm程度の均一な厚さに被着させることにより、転写板7を提供する。なお、この被膜の厚さはマーキング品質に影響を与えるものであり、そのため、100nm〜300nm程度の範囲の中から最適な厚さを選定することとなる。図2並びに図3においては、この転写板7はその下面側にクロム被膜6が被着されている。
【0030】
なお、転写板7を構成するガラス板5としては、通常の材質のガラス板(例えば、ソーダライムガラス等)を使用することができる。また、転写板7を構成するガラス板5の厚さは、レーザ光の屈折の影響等を考慮すれば薄い方が好ましいが、あまりに薄すぎるとクロム被膜6が蒸発乃至昇華するときの熱で割れる虞があるため、0.5mm〜2.0mm程度の範囲が好ましいと考えられる。また、クロム被膜6の厚さはマーキング品質に応じて適宜に設定すればよいのであるが、実用的には100nm〜300nmの範囲が好ましいと考えられる。
【0031】
次に、このようにして提供された転写板7を、マーキング対象となるPDPガラス基板(例えば、2.8mm厚)8の所望位置に、前記クロム被膜6が対面するように重ね合わせて載置する。このとき、必要に応じて、図2(a)に示されるように、適当な圧力Pをもって、転写板7をPDPガラス基板8上に押し付けるようにしてもよい。
【0032】
すなわち、先に説明したように、本発明のマーキング方法はスパッタリング原理を利用していることから、固体被膜とマーキング対象面との間には某かの間隙の存在が必要とされる。この間隙の大きさは、本発明者等の鋭意研究によれば、例えばクロム被膜付きガラス基板とPDPガラス基板との組み合わせでYAGレーザを使用する場合には、1μm乃至30μm程度が必要とされ、好ましくは、1μm乃至5μm程度が最適であることが知見された。これに対して、ガラスメーカーから納入されるマーキング対象となるPDPガラス基板の面精度は、納入時点で実際に40μm程度であり、PDPガラス基板8上に転写板7を単に載置しただけでは、両者間の間隙が大き過ぎることが確認された。
【0033】
そこで、この実施形態では、転写板7をマーキング対象となるPDPガラス基板8の面に押し付け、両者間に形成される微細間隙の大きさを適当に狭めることにより、マーキング品質を高めようとするものである。なお、本発明者等が行った押圧例では、20〜30gf/cm2程度の圧力にて転写板をPDPガラス基板に押し付けることが行われた。
【0034】
次いで、図2(a)並びに図3(a)に示されるように、転写板13の上方に配置されたYAGレーザマーカ装置9を用いて、レンズ系9aを通してYAGレーザ光(波長約1.06μm)10を出射させ、PDPガラス基板8に重ね合わせられた転写板7をその背後から(すなわち、クロム被膜6の存在しないガラスの露出した面側から)レーザ光10で前記識別情報を表すマーキング形状に対応して照射しつつ、ガラス板5を透過したレーザ光10により前記クロム被膜6を加熱し、これを瞬時に蒸発乃至昇華させることにより、いわゆるレーザスパッタリングの原理で、転写板7上のクロム被膜6をマーキング対象となるPDPガラス基板8の表面に所望のマーキング形状で転写させる。
【0035】
ここで、良く知られているように(例えば、特開平6−8634号公報参照)、レーザマーカ装置9は、細く絞られたレーザ光10を任意の軌跡を描いて首振り照射可能になされており、この光照射軌跡は、与えられた識別情報により任意に制御される。
【0036】
レーザ光10の照射軌跡としては、いわゆる一筆書き方式とラスタスキャン方式とが考えられる。一筆書き方式とラスタスキャン方式とのいずれを採用すべきかは、レーザ光強度との関係により選択すれば良いであろう。一般に、レーザ光強度がさほど高くない場合には、光エネルギを局部的に集中できる一筆書き方式が好ましいであろう。当業者には良く知られているように、この一筆書き方式には、徐々に中心をずらしつつ円を描くように光を振りながら規定の領域を埋めてゆくワブリング方式と僅かにピッチをずらせつつ多数の平行線で規定の領域を埋めてゆく塗りつぶし方式とが存在する。なお、一般に、バーコードの描線には、図4に示されるように、多数の平行線18で規定の領域19を埋めてゆく塗りつぶし方式が採用される。これにより、PDPガラス基板7の図中上面側には、このレーザ光10の照射により瞬時に蒸発乃至昇華したクロム被膜が、レーザスパッタリングの原理で、そのまま転写されることとなる。
【0037】
次に、図2(b)に示されるように、PDPガラス基板8上に重ね合わせられた転写板7を真空吸盤等で持ち上げて除去すると、PDPガラス基板8上の所定位置には、転写クロム被膜6aが残される。もしも、所望のマーキング形状が、図3(b)に示されるように、バーコードマーク11であれば、転写板7が取り除かれたガラス基板8の上面側には、転写クロム被膜6aをもって描かれたバーコードマーク11が残される。
【0038】
以上の識別情報記憶工程においては、YAGレーザマーカ装置9から出射されるレーザ光10を適宜な軌跡を描いて指向制御しつつ、PDPガラス基板8上に重ね合わせられた転写板7をその背後から照射し、これによりクロム被膜6を瞬時に蒸発乃至昇華させて、ガラス基板8上に転写させるという構成を採用しているため、レーザ光10を使用しつつも、PDPガラス基板8の表面を損傷させることなく、その表面に明瞭なマーキングを迅速に行うことができるのである。従って、この方法によれば、マーキング作業に際して粉塵が発生しないため、高いクリーン度が要求されるプラズマディスプレイパネルの製造工程においても、何等支障なくマーキング作業を行うことができる他、ガラス基板8の表面に傷を付けないことから、その後の蛍光体定着工程やリブ製作工程に伴う加熱処理に際して傷が成長してPDPガラス基板が割れてしまう等の虞もないのである。
【0039】
さらに、レーザマーカ装置9を用いたレーザ光10の指向制御は、公知の機構により、極めて自由度が高いため、製造工程上において受信された任意の識別情報を、直ちにPDPガラス基板8の表面にマーキングすることができ、工程管理の自由度を向上させることができる。
【0040】
加えて、ガラス基板8の表面に形成されるマーキングは、転写クロム膜6aによりなるものであるため、このままPDPガラス基板8を化学処理乃至熱処理工程へ移行したとしても、転写クロム膜6aは剥がれたり脱落したりすることもなく、従来のバーコードラベルを用いる場合のように、その使用に何等制約を受けることもないほか、転写クロム膜6aはガラス基板7の表面において目視での読取認識率が非常に高く、機械読取りのみならず人間の目による読取にも適する等の効果を有するものである。
【0041】
尚、以上の実施の形態においては、表示パネルとしてプラズマディスプレイパネル(PDP)を例に取りそのガラス基板8にマーキングを行う場合で説明したが、液晶表示パネル等のガラス基板を有するその他の表示パネル、或いはブラウン管の側面等でも同様である。また、レーザ光に対して透明な基板としてガラス板を用いたが、その他耐熱性の高いプラスチック等でも良いと思われる。また、固体被膜の材質としてはクロムに限らず、その他タンタル、銅とニッケルの合金等を採用することができる。更に、以上の実施の形態では、本発明をガラスの上にマーキングを行う場合で説明したが、その他セラミック板や金属板等のような比較的に耐熱性がありかつ平坦度のある任意の平面をマーキング対象として選択することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の転写板によれば、転写板上に形成された固体被膜をその背後から照射されるレーザ光で加熱しこれを瞬時に蒸発乃至昇華させて、マーキング対象面上に転写するという手法を採用することが可能となるため、(1)肉厚や歪みの大きな透明なマーキング対象物、或いは最近のプラズマディスプレイパネル等のような表面に蛍光灯障害防止のためのSiO2被膜を有するマーキング対象物に適用できることは勿論のこと、(2)レーザ光を透過させない若しくは透過させ難い、レーザ光に対して半透明乃至不透明なマーキング対象物にも適用できること、(3)例えばブラウン管の側面にマーキングする場合等のように、マーキング面の背後からレーザ光を照射することが困難なマーキング対象物にも適用できること、(4)固体被膜の厚さを調整することにより、マーキングの品質を制御することができること、等の従来のレーザマーキング方法にはない格別の効果を有するものである。
【0043】
加えて、蒸発乃至昇華された固体被膜成分は、レーザ光の光圧に押されつつさほど拡散することなく直進して、レーザ光進行方向前方に置かれたマーキング対象物表面に衝突付着するため、(1)レーザ光の径を細く絞ることにより、精細かつ明瞭なマーキングを容易に形成することができること、(2)固体被膜としてクロム等の金属を使用する場合にも酸化され難く、煤の発生が少なくて拭き取りの手間が不要であること、等の従来のレーザマーキングにはない格別の効果を有するものである。
【0044】
この点をさらに図解して説明する。特開昭60−224588号公報に記載された従来のレーザマーキング方法が図5(a)に、また本発明のレーザマーキング方法が図5(b)にそれぞれ示されている。なお、これらの図は、マーキング対象面と転写材料面との間隙部分を拡大乃至誇張して示すものである。
【0045】
これらの図から明らかなように、従来のレーザマーキング方法にあっては、同図(a)に示されるように、レーザスパッタリングのメカニズムとして、着色素材となる金属板12へのレーザ光13の照射により瞬時に加熱昇華されて立ち上る金属蒸気14を、レーザ光の進行方向とは逆方向に位置するマーキング対象物15の表面15aに付着させると言う構成(換言すれば、床面の水たまりに石を落下させたときの天井への水の跳ね返りを連想させるような構成)を採用しているため、(1)レーザ光照射により加熱昇華されて立ち上る金属蒸気は拡散する傾向が認められ、その結果、如何にレーザ光径を細く絞ろうとも、それによりマーキングされる線幅には限界があり、精細なマーキングには適しないこと、(2)レーザ光照射により加熱昇華されて立ち上る金属蒸気はマーキング対象面に到達するまでに酸化される傾向が認められ、マーキング対象面にはマーキングされた線のほかにかなりの量の煤が付着するため、不要な煤を拭き取るための後行程が不可欠であること、等の問題点がある。
【0046】
これに対して、本発明の転写板を用いたレーザマーキング方法にあっては、同図(b)に示されるように、蒸発乃至昇華された固体被膜16である蒸気14は、レーザ光13の光圧に押されつつさほど拡散することなく直進して、レーザ光進行方向前方に置かれたマーキング対象物15の表面15aに衝突付着するため、(1)レーザ光の径を細く絞ることにより、精細かつ明瞭なマーキングを容易に形成することができること、(2)固体被膜としてクロム等の金属を使用する場合にも酸化され難く、煤の発生が少なくて拭き取りの手間が不要であること、等の従来のレーザマーキングにはない格別の効果を有するものである。なお、17は本発明の転写板を構成するガラス板である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る転写板の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】 プラズマディスプレイの製造ラインにおける識別情報記録工程を説明するための模式的工程図である。
【図3】 転写板の使用方法と転写されたマーキング形状との関係を示す説明図である。
【図4】 バーコードマーキングの際のレーザ光の照射軌跡の一例を示す図である。
【図5】 特開昭60−224588号公報に記載された従来の転写板を使用したレーザマーキング方法と本発明の転写板を使用したレーザマーキング方法とを、マーキング対象面と転写材料面との間隙部分について拡大乃至誇張して示す模式的な断面図である。
【図6】 特開昭60−224588号公報に記載された従来の転写板を使用したレーザマーキング方法を説明するための模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 転写板
2 基板
2a 一方の面
2b 他方の面
3 固体被膜
4 レーザ光吸収層
5 ガラス基板
6 クロム被膜
6a 転写クロム被膜
7 転写板
8 PDPガラス基板
9 レーザマーカ装置
9a レンズ系
10 レーザ光
11 バーコードマーク
12 着色素材である金属板
13 レーザ光
14 着色素材の蒸気
15 マーキング対象物
15a マーキング対象物の表面
16 着色素材である固体被膜
17 転写板を構成するガラス板
18 平行線
19 規定の領域

Claims (5)

  1. レーザ光に対して透明な性質を有する基板の一方の面に、当該基板を他方の面からレーザ光を照射したときに瞬時に蒸発乃至昇華する性質を有する固体被膜を被着させてなり、前記固体被膜と基板との間には、レーザ光を吸収して発熱する性質を有するレーザ光吸収層が介在されていることを特徴とするレーザマーキング用転写板。
  2. 前記固体被膜の材質はは金属でありかつ前記レーザ光吸収層の材質は前記金属の酸化物であることを特徴とする請求項に記載のレーザマーキング用転写板。
  3. 前記基板の材質はガラスであり、かつ前記固体被膜の材質はその融点がガラスの融点よりも十分に高い性質を有する金属であることを特徴とする請求項1に記載のレーザマーキング用転写板。
  4. 前記固体被膜の厚さは、100nm〜300nmであることを特徴とする請求項に記載のレーザマーキング用転写板。
  5. 前記金属は、クロム、タンタル、又はニッケルと銅との合金であることを特徴とする請求項に記載のレーザマーキング用転写板。
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