JP3918608B2 - 高周波溶着用硬化肉盛粉末 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は高周波溶着用硬化肉盛粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
基材表面に硬化肉盛層を形成し、基材では得られない硬さ,耐摩耗性等を付与するための手段として、硬化肉盛粉末を基材表面に肉盛溶着するといったことが行われている。
かかる硬化肉盛粉末として従来
(イ)Co基合金のステライト合金
(ロ)Ni基合金のコルモノイ合金
(ハ)ハイス系合金
(ニ)上記(イ)〜(ハ)の粉末にCr3C2,VC,WC等の炭化物をプレミックス(混合)したもの
等が知られている。
【0003】
ここで上記(イ)のものはHRC40〜50用に、(ロ)のものはHRC50〜60用に、更に(ハ)のものはHRC60以上用に主として用いられている。
本発明は、特にHRC60以上の硬さを得ることのできる硬化肉盛粉末に関するものである。
【0004】
ところでこのような硬化肉盛層を形成した場合において、その表面における耐摩耗性は、マトリックス中に分散している硬質粒子の大きさや分散状態等が寄与することが知られている。
例えばガイドローラのように面と面とが接触するような場合には、硬質粒子が大きい方がベアリング的な効果によって良好であるとされている。
【0005】
従って硬化肉盛粉末を基材表面に溶着して硬化肉盛層を形成するに際しては、硬質粒子の大きさや分散状態を制御できることが望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記(イ)〜(ハ)の従来の硬化肉盛粉末は溶融後の凝固過程で析出する炭化物,シリサイド,金属間化合物等の硬質物質によりマトリックスの硬さを確保しており、その際析出する温度,凝固速度等によって析出物の大きさが決るが、この析出物の大きさは一般的に数μm〜10数μmの大きさで、これを任意の大きさに制御するのは困難である。
【0007】
また上記(ニ)の炭化物等をプレミックス(混合)した硬化肉盛粉末では、使用する炭化物等の硬質粒子の大きさで肉盛溶着後の炭化物等の大きさを制御することができるが、硬化肉盛層全体に、詳しくは硬化肉盛層の断面全体に亘って炭化物等の大きさや分散状態を均等化するのは難しい問題がある。
例えばWCを加えた場合、かかるWCは重いために溶けたマトリックス中でWC粒子が下の方に沈んでしまい、断面全体に亘ってかかるWC、つまり炭化物を均等に分散した状態とすることは難しい。
【0008】
本発明は、このような事情の下に高硬度が得られ、また硬質粒子の大きさ,分散状態の制御が可能で、しかも割れ感受性が低く、また良好な製品形状の得られる高周波溶着用硬化肉盛粉末を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
而して本発明の高周波溶着用硬化肉盛粉末は、重量%で、C :3超〜5%,Si:1.5〜3.5%,Mn:1〜3%,Ni:3〜8%,Cr:25〜35%,B :1〜4%残部Fe 及び不可避的不純物から成ることを特徴とする。
【0010】
【作用及び発明の効果】
本発明の硬化肉盛粉末は、図1(A)に一例を示しているように高周波加熱で溶着を行うもので、この高周波溶着の場合、入熱エネルギーが通常のアーク溶接に比べて著しく小さく、また入熱エネルギーのコントロールが容易で、この入熱エネルギーのコントロールにより硬質粒子の大きさ,分散状態の制御が容易である。
【0011】
例えば入熱エネルギーを小さくした場合、図1(B)(ア)の模式図に示しているように、基材10上の硬化肉盛層12におけるマトリックス14の溶融の広がりが比較的少なく、このため1次硬質粒子16が集合状態を保ったまま、あたかも1つの大きな塊の2次粒子18としてマトリックス14に存在した状態となる。
いってみればマトリックス14中で硬質粒子が大きな粒子(図中18)として点在した状態となる。因みに図2(A)はこれをより具体的に表したものである。
【0012】
他方入熱エネルギーを大きくした場合には、マトリックス14の溶融がより広がる結果、集合して1つの塊の2次粒子18を構成していた1つ1つの1次硬質粒子16がこれに伴って分散する傾向となり、入熱エネルギーが小さい場合に比べて各1次硬質粒子16がマトリックス14中で広く分散した状態となる。図1(B)(イ)はこの状態を模式的に表している。
【0013】
この場合、マトリックス14中で硬質粒子がより小さい粒子(図中16)として存在し、分散した状態となる。
図2(B)はこれをより具体的に表したものである。
【0014】
本発明の硬化肉盛粉末はC含有量が高含有量であり、溶着後における硬化肉盛層の硬度として高硬度が得られる。
一方で高C含有量且つ高硬度であるにも拘わらず割れ感受性の低い硬化肉盛層12が得られる特長がある。
その理由は以下の通りである。
【0015】
溶融した硬化肉盛層の冷却速度が遅い場合、凝固過程で析出する硬質粒子が粒成長して粗大化し、そしてその粗大化した硬質粒子を起点として割れが発生し易い。
しかるに高周波溶着の場合、もともと入熱エネルギーが小さく且つ渦電流を生ぜしめて加熱するものであるところから冷却速度が速く、従って硬質粒子は粒成長して粗大化せず、微細粒子としてマトリックス中に分散する。
このため粗大化した硬質粒子を起点として割れを生じるといったことが生じ難いのである。
また基材の溶け込みの深さが小さいために製品形状を良好に保持することができる。
【0016】
次に本発明における各化学成分の限定理由を以下に説明する。
C:3超〜5%
Cが3%以下であると硬度が十分に出ず、また耐摩耗性が十分満足できない。
一方5%を超えると粉末製造時にCrの炭化物ができて噴霧時にノズル閉塞を起し、粉末の製造性が悪化する。
【0017】
Si:1.5〜3.5%
Siが1.5%未満であると硬度が十分に出ず、耐摩耗性を満足できない。
一方3.5%を超えると溶着後の製品の割れ感受性が高くなる。
【0018】
Mn:1〜3%
Mnが1%未満であると硬度が十分に出ず、良好な耐摩耗性が得られない。
一方3%を超えると粉末の製造性が悪化する。
【0019】
Ni:3〜8%
Niが3%未満であると靭性が低くなり、また一方8%を超えるとNiFeBの割れ感受性が高くなる。
【0020】
Cr:25〜35%
Crが25%よりも低いと硬度が十分に出ず、耐摩耗性が満足できない。
一方35%を超えると粉末製造時に炭化物ができて噴霧時にノズル閉塞を起し、粉末の製造性が悪化する。
【0021】
B:1〜4%
Bは粉末の融点を下げる働きがあり、1%未満であるとその効果が小さくて融点が高くなり、高周波溶着時の必要な入熱エネルギーが大きくなって基材の溶融による変形が大きくなる。
一方4%を超えるとホウ化物の量が増え過ぎて靭性の低下を招き割れ易くなる。
【0022】
【実施例】
次に本発明の実施例を以下に詳述する。
表1に示す化学組成の粉末を用いてJIS SS400の基材表面に高周波溶着にて硬化肉盛層を形成した(基材としてJIS SUP6,SCM415等を用いても良い)。
尚高周波溶着の条件は以下とした。
【0023】
幅400mm×長さ300mm×厚さ3mmの基材(JIS SS400)の上に表1に記載の粉末(平均粒径;50μm)を厚さ3mmになるように載置した。
内径φ500mm×長さ300mmの高周波コイルに周波数100kHzの電流を流し、その中を100mm/分の速度で搬送した。
【0024】
上記により形成した硬化肉盛層の硬さ,耐摩耗性,製造性,割れ感受性,製品形状の評価を行ったところ、表1の通りであった。
【0025】
【表1】
【0026】
以上の結果において、比較例1の場合にはC量が2.7%と本発明の下限値である3%よりも低いことから、硬さも耐摩耗性も不十分であること、またC量が本発明の上限値である5%よりも多い5.5%である比較例2の場合、硬さ,耐摩耗性は十分であるものの製造性も割れ感受性も良好でない。
【0027】
またCr量が本発明の下限値である25%よりも低い23%である比較例3の場合、硬さ,耐摩耗性が不十分であり、またCr量が本発明の上限値である35%よりも多い38%である比較例4の場合、硬さ,耐摩耗性は良好であるが、製造性,割れ感受性が不十分である。
【0028】
更にB量が本発明の下限値である1%よりも少ない0.7%である比較例5の場合、製造性が十分でなく、また製品形状も変形を生じてしまって不十分である。
一方B量が本発明の上限値である4%よりも多い4.3%である比較例6の場合、製品形状については良好となるが、製造性,割れ感受性が不十分なものとなっている。
【0029】
これに対して実施例1,実施例2何れにおいても硬さ,耐摩耗性,製造性,割れ感受性,製品形状、何れの項目も良好となっている。
【0030】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波肉盛溶着の模式図と入熱エネルギーの大小による硬化肉盛層の硬質粒子の状態の相違を表す説明図である。
【図2】図1(B)に示す硬質粒子の状態をより具体的に表した図である。
Claims (1)
- 重量%で、
C :3超〜5%
Si:1.5〜3.5%
Mn:1〜3%
Ni:3〜8%
Cr:25〜35%
B :1〜4%
残部Fe 及び不可避的不純物から成ることを特徴とする高周波溶着用硬化肉盛粉末。
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