JP3917271B2 - パイプ式ラック用パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パイプ式ラックの天板、棚板もしくは側板として用いるパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のパイプ式ラックに、フレームを角パイプで構成するものがある。このラックは、図6に示すように、内外径が等しい計4本の縦角パイプ1と計8本の横角パイプ2をジョイント3で接続して計6個の角枠5を有する箱型(立方体又は直方体)のフレーム4を作る。この箱型のフレーム4を基本形にして角パイプ1、2を必要に応じて継ぎ足し、基本形のフレームが横にいくつか連なった形のラックや縦に多段に連なった形のラック、或いは図7に示す如き段違い棚のあるラックとなす。ジョイント3には、図9に示すように3個のプラグ3aをX、Y、Zの3軸方向に突出させた3方ジョイント、図のX、Y、Z、及び−Xの4方向にプラグを突出させた4方ジョイント、X、Y、Z及び−Xと−Yの5方向にプラグを突出させた5方ジョイント、X、Y、Z、−X、−Y、−Zの6方向のプラグを有する6方ジョイント等があり、そのジョイントを使い分けて箱型フレームの連結方向や連結数を色々と変化させることができる。
【0003】
この種のラックの中には、フレームを丸パイプで構成したものもあるが、これは、ジョイントのプラグをパイプに圧入するので組立、分解に手間取る。これに対し、角パイプを用いたラックは、図10に示すように、プラグ3aの外面に90°ピッチで平面3bを付してこの部分のプラグ径d1 を角パイプ1、2の内径より小さくし、その他の部分のプラグ径dは角パイプ1、2の内径より僅かに大として図の実線の位置でプラグ3aに角パイプ1、2を挿入し、その後、プラグ3aと角パイプ1、2を45°相対回転させて両者を固定することができ、組立、分解の面で丸パイプ使用のラックよりも有利である。
【0004】
また、組上がり時に角パイプ2の外面を水平面に対して45°傾け(角パイプ1はラックの奥行き方向の線に対して外面を45°傾ける)、図8に示すように、角枠5(これは4本の角パイプから成る四角枠)に生じた内すぼみのテーパ凹形空間に天板6等を嵌めるので、天板や棚板に横への移動止め具を設ける必要が無く、この面でも丸パイプ使用のラックより有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
パイプ式ラックのパネル(天板や棚板)としては、一般に厚手の1枚板のガラスやアクリル板、木板などが用いられているが、従来のラックは、これを角枠の内側の凹形空間に単に落し入れるだけであるので、ラックが何かの拍子に傾いたり、パネルが突き上げられたりすると、そのパネルが枠から外れることがあり、安全性や載置物の保護面で問題があった。
【0006】
また、必要に応じて取付ける側板は、周縁部に弾性フックを取付け、このフックをパイプ外周に抱きつかせるなどして取付けており、外観的に好ましくなかった。
【0007】
そこで、この発明は、着脱が容易で外れ止めの信頼性に優れ、また、同一パネルを天板、棚板、側板として使用でき、外観的にも優れるパイプ式ラック用のパネルを提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題解決策として提供するこの発明のパネルは、外周の4面を、各々水平面に対して45°傾けた水平角パイプと、ラックの奥行き方向の線に対して45°傾けた垂直角パイプを組合わせて構成されるパイプ式ラックのフレームの角枠部に取付ける。このパネルは、幅をフレームの角枠部の芯間幅とほぼ等しくした基板を有し、その基板の対向2辺に沿って基板の裏面に、それぞれ、前記角枠を構成する角パイプの角枠中心側斜面に当てる45°傾斜の支持片を設け、一方の支持片は角パイプの角枠中心側コーナに嵌合するV溝付きの支持片とし、さらに、他方の支持片の近傍に、他方の支持片を支える角パイプの角枠中心側コーナ部に係止する巻込み縁を備えた弾性変形可能な係止片を取付けて構成する。なお、45°傾斜の支持片は、荷重を受けるパネルについては基板の他の2辺部にも設けておくのがよい。
【0009】
また、前記V溝付き支持片に代えて、角パイプの対角線長さの約1/2の長さの基板裏面側への直角曲げ部と、その直角曲げ部の先端から外向きに45°の角度で屈曲する傾斜部とを有する支持片を基板の一辺に沿って設け、さらに、その直角曲げ部の付いた支持片とは相反する側の辺に沿って、角パイプの斜面に当てる傾斜支持片を設け、かつ、この傾斜支持片の近傍に前記係止片を設けた構成のパネル(以下V溝無しパネルと云う)も考えられる。
【0010】
【作用】
この発明のパネルは、45°傾斜の支持片が補強材となって撓み変形が防止されるので基板を1mm以下の厚みの鉄板等で形成しても充分な強度が得られ、ガラス板等に比べて大巾なコスト低減が図れる。
【0011】
また、この発明では、V溝付き支持片と巻込み縁付き係止片を平行配置の角パイプに係合させて、パネルを外れ止めするので、パネルの着脱がし易く、外れ止めの信頼性も確保できる。この外れ止めのために、基板の対向2辺部にV溝付き支持片を設けて2つの支持片を直接角パイプに係止させてみたところ、パネルの取付け、取外しに大きな力と支持片をこじ曲げる道具を必要とし、実用的でなかった。また、ラッチ式の爪による外れ止めも試みたが、これは安全性に欠けていた。
【0012】
これに対し、前述の係止片は、傾斜支持片から独立しているので、弾性変形の自由度が高く、着脱時に巻込み縁と角パイプの接触部に働く分力で容易に弾性変形する。また、角パイプとの係合時には、支持片の復元弾力で傾斜支持片が角パイプの外面に押し当てられるため、パネルのガタツキが起こらない。
【0013】
このほか、支持片、係止片はパネルの裏側に完全に隠れるので、外見も良くなる。V溝無しパネルは、直角に交わる2つの角枠にそれぞれパネルを取付けることを可能ならしめるためのものである。その詳細については実施形態の項で説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に、この発明のパネルの実施形態を示す。
【0015】
図1は、V溝有りのパネルを裏側から見たものである。このパネル10は、金属製の基板11の裏側にV溝付き支持片12とV溝の無い支持片13、14、15と、先端に巻込み縁を形成した係止片17を設けて構成されている。
【0016】
基板11のサイズは、図3に示すラックの角枠5の芯間スペース内にほぼ適合して納まる大きさ、即ち角枠5の芯間縦幅をH、芯間横幅をWとしたとき、縦幅hをHよりも、また、横幅wをWよりも僅かに(数mm)小さくしたものにしてある。
【0017】
この基板11は、少なくとも一部がパンチングメタル構造になっているものや定ピッチでスリット穴をあけたもの、或いは、中央部をくり抜いてそこに透明ガラス板や透明樹脂板などを嵌め込んだものであってもよい。パンチングメタルのパネルは、吊下用フックを掛けたりするときに有利である。また、スリット穴をあけたパネルは、2枚を起立して対向させ、横向きになったスリット部で棚板を支えることができる。さらに、透明ガラス板などを嵌め込んだパネルを用いると、ラックをショーケースなどとして利用することができる。
【0018】
V溝付き支持片12は、基板11の一辺に沿って設けられている。この支持片12は、図4に示すように、基板の周縁部をα=45°、β=90°となるように曲げ加工して作られており、その曲げ加工によって生じたV溝に図のように角パイプ(図のそれは2)の角枠中心側コーナが嵌め込まれる。
【0019】
また、支持片13、14、15は基板11の残りの3辺に沿って設けられている。この支持片13、14、15は、図4、図5に示すように45°の角度で傾き、角パイプの内側の45°傾斜の斜面に支えられる。
【0020】
支持片12、13、14、15 は、図のように、基板11を曲げ加工して作るもの、別体の支持片を基板にスポット溶接やリベッティング加工して取付けたもののどちらであってもよい。
【0021】
また、支持片14、15は、荷重を受けないパネル、例えば天板、側板として使用するパネルの場合は省いてもよい。
【0022】
係止片17は、支持片13に近接して基板の両端近くに各1個設けてある。この係止片17は、弾性変形し易い短冊状金属板の先端に巻込み縁16を設けたものであり、根元側に付けた座板が基板11の裏面にスポット溶接されている。この係止片17は少なくとも1個あればよい。その数を3個以上に増やすこともできるが、係止片17が多過ぎると大きな着脱力が必要になって好ましくない。例示のパネル10は、図4の状態で、巻込み縁16が係止片17の弾性復元力で角パイプ2の下側斜面に圧接するようにした。
【0023】
このように構成したパネル10は、図4に示すように、支持片12を角枠5の片側の角パイプ2にV溝嵌合させ、係止片17のある側を軽く押し付けると係止片17が他側の角パイプ2に係止して角枠5に取付く。取外しは、係止片17のある側を裏から軽く押してやればよい。
【0024】
次に、図2のパネル20について述べる。このパネル20は、基板11の3辺に支持片13、14、15を設け、さらに、支持片13の近傍に係止片17を設けている。支持片13、14、15と係止片17は、図1のパネルに設けたものと同じである。
【0025】
基板11の残りの一辺に沿って設けた支持片18は、図4に示すように、裏面側への直角曲げ部18aの先端に45°の曲げ戻し傾斜部18bを連設した形状になっている。直角曲げ部18aの幅は、角パイプの対角線の長さの約1/2としてある。また、基板11の支持片18をつける側の幅は、直角曲げ部18aの幅相当分パネル10の基板よりも短くしてある。
【0026】
この支持片18を設けたのは、次の理由による。即ち、図4のように、直角に交わる2つの角枠5のどちらか一方に図1のパネル10が取付けられていると、もう一方の角枠5には、パネル10の一部が邪魔になって同一形状のパネルを取付けることができない。そこで、図1の支持片12に代えて取付規制を受けない支持片18を設けた。
【0027】
このパネル20は、支持片18の傾斜部18bと係止片17を対向位置の角パイプの外面に係止させて外れ止めする。なお、このパネル20を荷重を受ける棚板として利用するときには、支持片18に荷重受け部が無いので、支持片14、15を必ず設けておく。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明のパネルは、基板の対向2辺部に設けたV溝(又は直角曲げ部)付き支持片と弾性変形し易い巻込み縁付き係止片を対向位置の角パイプに係止させてラックフレームの角枠に固定するので、着脱が容易で、外れ止めの信頼性にも優れる。
【0029】
また、支持片や係止片が完全に裏側に隠れるので外観が損なわれることがない。
【0030】
さらに、薄い金属板で作られるのでコスト面でも有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のパネルの実施形態を裏から見て示す斜視図
【図2】他の実施形態を裏から見て示す斜視図
【図3】フレームの角枠にパネルを取付けた状態の平面図
【図4】図3のIV−IV線に添った断面図
【図5】図3のV−V線に添った断面図
【図6】パイプ式のラックのフレームの基本形を示す斜視図
【図7】段違い棚を有するラックフレームの斜視図
【図8】従来のラックの天板取付部の断面図
【図9】角パイプ用ジョイントの一例を示す斜視図
【図10】角パイプとジョイントのプラグの嵌合状態を示す図
【符号の説明】
1、2 角パイプ
3 ジョイント
3a プラグ
4 箱型フレーム
5 角枠
6 天板
10、20 パネル
11 基板
12 V溝付き支持片
13、14、15 支持片
16 巻込み縁
17 係止片
18 直角曲げ部を有する支持片
Claims (3)
- 外周の4面を、各々水平面に対して45°傾けた水平角パイプと、ラックの奥行き方向の線に対して45°傾けた垂直角パイプを組合わせて構成されるパイプ式ラックのフレームの角枠部に取付けてラックの天板、棚板もしくは側板となすパネルであって、幅をフレームの角枠部の芯間幅とほぼ等しくした基板を有し、その基板の対向2辺のうちの一方の辺に沿って基板の裏面に、前記角枠部を構成する角パイプの角枠中心側斜面に当てる45°傾斜の支持片を設け、前記対向2辺のうちの他方の辺に沿って基板の裏面に、角パイプの角枠中心側コーナに嵌合する45°傾斜のV溝付きの支持片を設け、さらに、前記一方の辺に沿って設けた支持片の近傍に、前記一方の辺に沿って設けた支持片を支える角パイプの角枠中心側コーナ部に係止する巻込み縁を備えた弾性変形可能な係止片を取付けてなるパイプ式ラック用パネル。
- 外周の4面を、各々水平面に対して45°傾けた水平角パイプと、ラックの奥行き方向の線に対して45°傾けた垂直角パイプを組合わせて構成されるパイプ式ラックのフレームの角枠部に取付けてラックの天板、棚板もしくは側板となすパネルであって、幅をフレームの角枠部の芯間幅とほぼ等しくした基板を有し、その基板の対向2辺のうちの一方の辺に沿って基板の裏面に、前記角枠部を構成する角パイプの角枠中心側斜面に当てる45°傾斜の支持片を設け、前記対向2辺のうちの他方の辺に沿って基板の裏面に、角パイプの対角線長さの約1/2の長さの基板裏面側への直角曲げ部と、その直角曲げ部の先端から外向きに45°の角度で屈曲する傾斜部とを有する支持片を設け、さらに、前記45°傾斜の支持片の近傍に、その45°傾斜の支持片を支える角パイプの角枠中心側コーナ部に係止する巻込み縁を備えた弾性変形可能な係止片を取付けてなるパイプ式ラック用パネル。
- 前記45°傾斜の支持片を、基板の他の2辺部にも設けた請求項1又は2記載のパイプ式ラック用パネル。
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