JP3917239B2 - 血液凝固時間の測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液凝固時間の測定方法及びこの測定方法を利用した血液凝固時間に影響を与える因子を定量する方法並びに前記定量方法を実施するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
血液凝固時間に影響を与える因子を定量する方法に使用する血液凝固時間の測定法として、活性化部分トロンビン時間(APTT)、部分トロンビン時間(PTT)等の測定方法が用いられている。しかし、従来の測定方法では、一般にこれらの血液凝固時間は正常血漿で数10秒〜1分程度であるため、多数の試料について同時に測定しようとすると、試料や試薬の添加及び結果の読み取りなどの操作にかかる時間が大きな誤差の原因となり、多数の試料の測定において凝固時間を正確に測定するには不向きであった。
【0003】
また、例えばAPTTやPTTの従来の測定では血液凝固のイニシエーターとして動物の脳を材料とした粗製セファリンとカオリンの混合物が用いられている。粗製セファリンはセファリン以外に多くの成分を含んでおり、その為、血液凝固のイニシエーターとしての活性を安定させることが困難であり、例えば特開平6−43169号公報等で提案されているようにスルファチドを添加することによって活性を安定させる工夫がなされてはいる。しかしながら、粗製セファリンが不安定な物質であるため、粗製セファリンにスルファチドを同時に添加したとしても、固相に固着させて乾固した状態におくと著しくその血液凝固のイニシエーターとしての活性が低下し、安定な固着は不可能であった。従って、上記血液凝固測定の手順を簡略化するために前もって粗製セファリン及びスルファチドを固相に固着させておくことができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
血液凝固因子を定量するための血液凝固時間の測定は、従来法ではその凝固時間が短く、多数の試料の測定を同時に正確に実施することができず、また試薬の乾燥への耐性が低いため前もって試薬を固相に固着しておき、手順を減らして簡略化することが不可能である。しかし、例えば播種性血管内凝固(DIC)等の疾患の初期症状の検出などの為には、操作の簡略化と多検体同時測定が望まれている。従って、本発明は、血液凝固時間の測定操作を簡略化することが可能となり、また、多数の試料の誤差の少ない同時測定を可能とした測定方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、硫酸化脂質を固相に前もって固着させ、前記固相を使用して凝固時間を測定することによって、従来行われていた試薬の添加の操作を減らすことができ、また、多数の試料を同時に測定するために行う操作により生ずる時間的な誤差を大幅に減少できることを見い出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、硫酸化脂質を固着した固相を血液凝固のイニシエーターとして用いて血液凝固を行い、その凝固を検出することを特徴とする血液凝固時間の測定方法(以下、本発明凝固時間測定方法ともいう)を提供する。
【0007】
また、本発明は、検体中に含まれる血液凝固時間に影響を与える因子の測定方法であって、測定を所望する測定対象因子の欠乏した血漿と混合した検体及び対照における凝固時間を上記の血液凝固時間の測定方法によって測定し、測定された検体における凝固時間を対照における凝固時間と比較することを特徴とする方法(以下、本発明測定方法ともいう)を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、硫酸化脂質を固着させた固相、少なくとも一種類の測定対象因子の欠乏した血漿及び既知量の前記測定対象因子を含む標準検体を含む上記の定量方法を実施するためのキット(以下、本発明キットともいう)を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
1.本発明凝固時間測定方法
本発明凝固時間測定方法は、硫酸化脂質を固着した固相を血液凝固のイニシエーターとして用いて血液凝固を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明における固相とは硫酸化脂質を固着する事が可能なものであれば特に限定はされないが、本発明凝固時間測定方法の実施をより簡略化するために例えばマイクロタイタープレート、試験管などの血液凝固時間の測定をその中で行う測定用容器の検体接触面が好ましい。当該固相の素材は硫酸化脂質を固着することが可能な素材であれば特に限定はされず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン等の一般的なプラスチック素材、ガラスなどが挙げられるが、これらに限定はされない。硫酸化脂質を固着させる方法としては一般に物質を固相に固着させる場合に用いられる方法で充分実施は可能であり、例えば物理的吸着法、疎水結合法、共有結合法、イオン結合法などが挙げられるが特に限定はされない。例えば、物理的吸着方法としては、エタノール、メタノール又はキシレン等硫酸化脂質を溶解しうる有機溶媒に硫酸化脂質を溶解し、その溶液を、例えば96穴マイクロタイタープレートの場合1穴あたり例えば0.05〜25μg、好ましくは2〜6μgとなるように添加し、その後上記溶媒のみを除去することによりマイクロタイタープレート上に硫酸化脂質を固着させることができる。
【0011】
本発明凝固時間測定方法に用いる硫酸化脂質としては、硫酸化糖脂質及びコレステロール硫酸が挙げられかつ好ましい。硫酸化糖脂質としては硫酸化スフィンゴ糖脂質及び硫酸化グリセロ糖脂質並びにこれらの誘導体が挙げられ、硫酸化スフィンゴ糖脂質としては、例えばガラクトシルセラミドモノ硫酸(例えばGal(3SO4)β1-1Cer)、グルコシルセラミドモノ硫酸(例えばGlc(3SO4)β1-1Cer)、ラクトシルセラミドモノ硫酸(例えばGal(3SO4)β1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオトリアオシルセラミドモノ硫酸(例えばGalNAcβ1-4Gal(3SO4)β1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオトリアオシルセラミド−ビス硫酸(例えばGalNAc(3SO4)β1-4Gal(3SO4)β1-4Glcβ1-1Cer)、ラクトトリアオシルセラミドモノ硫酸(例えばGlcNAc(6SO4)β1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、トリヘキソシルセラミドモノ硫酸(例えばGal(3SO4)α1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオテトラオシルセラミド−ビス硫酸(例えばGal(3SO4)β1-3GalNAcβ1-4Gal(3SO4)β1-4Glcβ1-1Cer)、ラクトネオテトラオシルセラミドモノ硫酸(例えばGalβ1-4GlcNAc(6SO4)β1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオテトラオシルセラミドモノ硫酸(例えばGal(3SO4)β1-3GalNAcβ1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、グルクロニルラクトネオテトラオシルセラミドモノ硫酸(GlcA(3SO4)β1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、グルクロニルラクトネオヘキサオシルセラミドモノ硫酸(例えばGlcA(3SO4)β1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、Sial(8SO4)α2-6Glcβ1-1Cer及びSial(8SO4)α2-6Glcβ1-8Sialα2-6Glcβ1-1Cer等が挙げられる。また、硫酸化グリセロ糖脂質としては、例えばガラクトシルアルキルアシルグリセロールモノ硫酸(例えばGal(3SO4)β1-3アルキルアシルグリセロール)及びトリグルコシルアルキルアシルグリセロールモノ硫酸(Glc(6SO4)α1-6Glcα1-6Glcα1-3アルキルアシルグリセロール)が挙げられかつ好ましい。これらの物質の誘導体としては例えば上記物質の構造に含まれる官能基が化学的に修飾された形態などが挙げられるが、特に構造中の水酸基がさらに硫酸化された過硫酸化構造が好ましい。なお、上記に用いた略号の意味は以下の通りである。Galはガラクトース残基、Cerはセラミド残基、Glcはグルコース残基、GlcAはグルクロン酸残基、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基、Sialはシアル酸残基、そして糖残基の略号に付記した括弧内の数字とSO4は、糖の数字の位置の水酸基が硫酸化されていることを示す。また、β1-1、β1-4、α2-3等は、それぞれ、β1-1グリコシル結合、β1-4グリコシル結合、α2-3グリコシル結合等を示す。また、コレステロール硫酸としては、例えば3β−ヒドロキシ−5−コレステン3−モノ硫酸が挙げられる。
【0012】
本発明凝固時間測定方法は、硫酸化脂質を固着した固相を血液凝固のイニシエーターとして用いる以外は従来の血液凝固時間の測定法と同様にして、実施することができる。本発明における血液凝固のイニシエーターとは血液凝固因子のいずれかを活性化するものを示し、必ずしもそれのみによって凝固を起こすものには限定されない。即ち、イニシエーターにより血液凝固因子を活性化し、他の物質を添加することによって実際の凝固を開始させることも可能である。例えば、硫酸化脂質を固着した固相に試料を適切な時間接触させて活性化を起こさせ(すなわち、硫酸化脂質を固着した固相をイニシエーターとして用い)、次いでカルシウムイオンを混合して凝固を開始させ、凝固を検出することにより凝固時間を測定する。ここでいう試料とは、イニシエーターにより活性化される血液凝固因子を含むものであればよく、例えば、血液、血漿であり、また本測定方法を、検体中に含まれる血液凝固時間に影響を与える因子の測定に応用する場合には、測定を所望する測定対象因子を含む可能性のある検体と該測定対象因子の欠乏した血漿との混合物も包含するものである。また、さらに本明細書中における「血液凝固時間に影響を与える」とは血液凝固時間を延長及び短縮のいずれか又は両方を起こすことを指称する。
【0013】
本発明において凝固は、従来用いられていた手法と同様の手順により検出可能であり、例えば粘度、吸光度、濁度又は散乱光量などを測定することによる検出が挙げられる。また、検体における凝固の検出はこれらの測定値を経時的に測定することによりなされる方法が好ましい。具体的には、例えば凝固の臨界値を予め定め、例えば吸光度を10〜30秒毎、好ましくは15秒毎に測定し、上記臨界値を超えた時点で検体の凝固と認定し、当該測定値を得た時間を検体凝固時間とする方法が挙げられるが、さらに測定を継続し、連続して予め設定した数以上臨界値を超過した際に、連続した測定値の一番最初に臨界値を超過した時間を検体の凝固時間とする方法が最も正確な点で好ましい。上記吸光度による測定は通常のマイクロタイタープレートリーダーによって行うことができるが、特にプログラム制御により上記経時的測定工程を全て自動化することが可能であるウェルリーダーSK−601(生化学工業(株)販売)などを利用することで操作がより簡略化されるため、当該測定機器を利用することが好ましいがこれに限定はされない。
【0014】
本発明は、構造が単純な硫酸化脂質のイニシエーターとしての活性を利用することにより、従来の構造が複雑な物質の混合物で構造の定義が困難な粗製セファリンやカオリンを利用した血液凝固時間の測定法よりも凝固時間が、ばらつきを生じることなく延長されるので、より多くの試料を誤差のない状態で同時に測定できる。さらに硫酸化脂質は、凍結や乾固に対する耐性を持ち、例えば測定を実施する容器の検体接触面(内面など)などへ前もって固着させて使用した際もその活性が安定であるため、硫酸化脂質を固相に固着することにより操作を著しく簡略化できるとともに多数の試料の凝固時間の測定を同時に実施できる。
【0015】
2.本発明測定方法
本発明測定方法は、測定を所望する測定対象因子の欠乏した血漿と混合した検体の凝固時間を上記本発明凝固時間測定方法により測定し、さらに測定された検体における凝固時間を対照における凝固時間と比較することを特徴とする、検体中に含まれる血液凝固時間に影響を与える測定対象因子を測定する方法である。本発明測定方法により実施される測定は、例えば測定対象因子の定量及び定性等が挙げられるが、特に限定はされない。
【0016】
本発明測定方法により測定される検体としては特に限定はされず、例えば水、生理食塩水、各種緩衝液(リン酸緩衝液、トリス緩衝液等)、各種体液(血液、血漿、血清、尿、リンパ液、だ液、涙液等)が挙げられるが、体液が好ましく、その中でも血漿が特に好ましい。本発明測定方法で測定可能な検体中の測定対象因子としては、血液凝固時間に影響を与える因子又は要因であれば特に限定はされず、例えば各種血液凝固因子の増減、血液凝固時間を延長する物質(例えばヘパリン等)又は血液凝固時間を短縮する物質(組織液等)が挙げられる。特に、本発明測定方法は従来用いられてきたAPTTやPTTの測定法と比して検体の凝固が起こるまでの時間が長いことから、血液凝固因子が増加した場合などのように凝固時間を短縮する因子又は要因を正確に定量することが可能である。
【0017】
測定を所望する測定対象因子の欠乏した血漿は、例えば当該因子が欠乏した先天性単独凝固因子欠乏血症の患者に由来し、かつ凝固阻害物質を持たない患者から採血し、通常の血漿作成法に準じて血漿分離を行うことにより得られるものであり、また、市販の因子欠乏血漿として入手することも可能である。
【0018】
検体における凝固時間を利用して、凝固時間に影響をあたえる物質の定量を行う際は、比較のための対照、すなわち、検体の他に測定対象物質濃度による凝固時間の変化を示す検量線を作成したり、標準の濃度の基準としたりするための対照が必要である。検量線を作成する場合には、標準検体を、例えば、測定したい因子をその濃度が段階的になるように含有するように生理食塩水又は緩衝液で適宜希釈して調製し、検体には必要により標準検体と同容量となるように前記希釈に用いた溶媒を添加する。そして、検体と標準検体とに、測定したい因子の欠乏した血漿を同量ずつ添加する。これらの添加の順序は適宜変更できる。このようにして作成した試料に塩化カルシウム溶液の添加などによりカルシウムイオンを添加することで凝固を開始することができ、カルシウムイオンを添加した時点より上記本発明凝固時間測定方法について説明したように凝固を検出して凝固時間を測定することができる。標準検体における測定対象因子濃度と凝固時間より検量線を作成し、当該検量線を利用することによって検体における凝固時間より検体中の目的因子の濃度を測定することが可能である。また、検体における凝固時間を上記方法により測定するとともに、例えばHIV、HCV又はHBV等の病原微生物に感染が認められない健常人の血液より調製した標準血漿における凝固時間を対照として測定し、これらの測定値を比較することにより、検体の凝固の状態が過凝固状態にあるか低凝固状態にあるかを単に識別することも可能である。上記過凝固状態とは、例えば血液凝固因子の増加又は血液凝固促進物質(例えば組織液など)の検体中への混入などにより、上記標準血漿と比して凝固時間が短縮されている状態を示し、低凝固状態とは、例えば血液凝固因子の減少又は血液凝固抑制物質(例えばヘパリンなど)の検体中への混入などにより、上記標準血漿と比して凝固時間が延長されている状態を示す。
【0019】
3.本発明キット
本発明キットは硫酸化脂質を固着した固相、少なくとも一種類の測定対象因子を欠乏した血漿及び既知量の前記測定対象因子を含む標準検体を含むキットである。
【0020】
本発明キットにおける硫酸化脂質、硫酸化脂質の固着の方法、測定用容器などの固相の素材、測定対象因子、測定対象因子の欠乏した血漿は全て上記本発明の凝固時間測定方法及び測定方法について記載したものと同様である。好ましくは、硫酸化脂質を固着した固相は、硫酸化脂質を検体との接触面に固着させた、マイクロタイタープレート、試験管などの測定用容器により提供される。
【0021】
既知量の測定対象因子を含む標準検体は、固体の状態でも溶液の状態でもよい。ここで、既知量とは必ずしも具体的数値が判明している必要はなく、健常人の血液より調製した標準血漿のように、正常な量を含むとだけ判明しているものも既知量の測定対象因子を含む標準検体として使用できる。
【0022】
本発明キットの使用方法としては、例えば測定用容器がマイクロタイタープレートの際には、同量の測定対象因子欠損血漿をマイクロタイタープレート上の各穴に添加した後、検体と対照として標準血漿又は段階希釈した測定対象因子を含む標準検体とをそれぞれ添加し、検体には上記測定対象因子を段階希釈する際に使用した溶媒を必要により添加して対照と同容量にする。これらの添加の順序は適宜変更できる。上記のように調製した混合液にそれぞれ同量ずつ例えば塩化カルシウム溶液等の添加によりカルシウムイオンを添加し、検体及び対照の凝固を開始する。上記カルシウムイオンを添加した時間より例えばウェルリーダーSK−601(生化学工業(株)販売)などのマイクロタイタープレートリーダーを用いて一定時間ごとに測定を実施する。当該測定値より上記凝固の検出の方法を用いて凝固時間の測定を行い、標準検体における凝固時間と検体における凝固時間を比較する。すなわち、対照における凝固時間と検体における凝固時間の比較により検体の凝固の状態が過凝固状態にあるか低凝固状態にあるかを識別し、あるいは対照の凝固時間と測定対象因子濃度の関係を検量線として求め、それに基づいて検体の凝固時間から検体中に含まれる測定対象因子の濃度を測定する。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳説するが、本発明の要旨を超えない限りにおいて本発明がこれに限定されることはない。
【0024】
【実施例1】
(硫酸化脂質固着マイクロタイタープレートの作成)
硫酸化脂質として硫酸化スフィンゴ糖脂質の1種であるガラクトシルセラミドモノ硫酸を用いた。ガラクトシルセラミドモノ硫酸は既知の方法(Hara,A. and Radin,NS., Anal. Biochem. 100, 364-370(1979))によりブタ脊髄より精製した。ガラクトシルセラミドモノ硫酸をメタノールに溶解して96穴マイクロタイタープラスチックプレート(コーニング社製)に1穴あたり5μgになるように分注し、溶媒を蒸発乾固させ、硫酸化脂質固着マイクロタイタープレートを得た。
【0025】
【実施例2】
(凝固第X因子の検量線の作成)
標準ヒト乾燥血漿(コアグトロールI、国際試薬販売)を試薬プロトコールに従い溶解した。この血漿を100、75、50、25、10、1、0容量部各々分取し、これにリン酸緩衝液を0、25、50、75、90、99、100容量部各々加えてそれぞれ100容量部として混和した。第X因子欠乏血漿(トロンボチェックファクターX、国際試薬販売)を試薬プロトコールに従い溶液化した後、この溶液に同量のリン酸緩衝液を加えて均一化した。この溶液900容量部を上記標準ヒト血漿の希釈液に添加し、そこから各々100μlずつ取り、実施例1で調製したマイクロタイタープレートの各穴に分注した。当該プレートを3分間、37℃に保温した後、0.02M塩化カルシウム液25μlをそれぞれに添加して凝固を開始させ、プレートをマイクロタイタープレートリーダー(ウェルリーダーSK601(生化学工業(株)販売))にセットし、37℃に保温しながら405nmの吸光度をモニターして凝固時間と標準血漿濃度との関係を求めた(図1)。測定間隔は15秒毎で、吸光度の基線から0.02を臨界値、臨界値連続超過数を3として、3回連続して基線より0.02以上高い測定値を得た場合に最初の測定値を得た測定時間を凝固時間とした。1〜100%まで良好な検量線を作成することができた。
【0026】
【実施例3】
(凝固第XI因子の検量線の作成)
上記実施例2と同様の手法により、第X因子欠乏血漿(トロンボチェックファクターX、国際試薬販売)に代えて第XI因子欠乏血漿(トロンボチェックファクターXI、国際試薬販売)を用いて測定を行った(図2)。1〜50%まで良好な検量線を作成することができた。
【0027】
【実施例4】
(凝固第XII因子の検量線の作成)
上記実施例2と同様の手法により、第X因子欠乏血漿トロンボチェックファクターX(国際試薬販売)に代えて第XII因子欠乏血漿トロンボチェックファクターXII(国際試薬販売)を用いて測定を行った(図3)。1〜100%まで良好な検量線を作成することができた。
【0028】
【実施例5】
(本発明キットの構成及び使用法)
本実施例の凝固第X因子測定用キットは次の1〜6の要素からなる。
1.硫酸化脂質固着96穴マイクロタイタープレート10枚(実施例1で作成したもの)。
2.10倍濃度リン酸緩衝液(検体、標準血漿希釈用、3ml)1バイアル。
3.標準血漿(抗体検査の結果HIV、HCV,HBV等の病原微生物に感染が認められない健常人10人からクエン酸ナトリウムを抗凝固剤として採血して得た新鮮血漿を等量ずつ混和しプールしたもの、0.5ml相当の凍結乾燥品、通常は2〜8℃保存)5バイアル。
4.蒸留水(標準血漿、第X因子欠乏血漿溶解用、0.5ml)10バイアル。
5.塩化カルシウム溶液(0.02M、2ml)5バイアル。
6.凝固第X因子欠乏血漿(0.5ml相当の凍結乾燥品、通常は2〜8℃保存)5バイアル。
【0029】
使用に際しては標準血漿及び第X因子欠乏血漿を室温に戻した後、蒸留水1バイアルを全量泡立てないように穏やかに加え、穏やかに均一となるように攪拌し、20〜30分間程度放置する。この溶解した凝固第X因子欠乏血漿45μl及び上記リン酸緩衝液を10分の1に希釈した溶液45μlに、生理食塩水で100〜0.1%濃度に段階希釈した標準血漿10μlずつを加えて、気泡をつくらぬよう注意して硫酸化脂質固着マイクロタイタープレート上で均一化する。また、測定対象者の血漿10μlを上記凝固第X因子欠乏血漿45μl及び1倍まで希釈したリン酸緩衝液45μlに上記と同一のプレート上で添加し均一化する。当該溶液に塩化カルシウム溶液を25μlずつ添加して凝固を開始させ、当該プレートをマイクロタイタープレートリーダー(ウェルリーダーSK−601、生化学工業(株)販売)にセットし、37℃に保温する。15秒毎に405nmの吸光度を測定し、吸光度の基線から0.02以上である測定が3回続いた場合に最初の時間を凝固時間とする。段階希釈した標準血漿より得た測定値より検量線を作成し、当該検量線と患者血漿検体より得た測定値を利用することにより、患者血漿検体中の凝固第X因子を定量することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、血液凝固時間の測定が簡略化され、また、試料の準備から測定までの時間的誤差が減少し、多数の試料の誤差の少ない同時測定が可能となる。多数の試料の同時測定により、検量線の作成と検体の凝固時間を同時に測定して凝固因子を測定することが可能となり、また同時に複数の凝固因子の測定を行うことも可能となる。検量線の作成及び検体の測定を同時に、また、さらに同一検体の複数凝固因子の測定を同時に実施することが可能であるため、各試料間で反応条件がより均一に保たれ、より正確な検体中の凝固因子の定量が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で血液凝固第X因子について測定した際の検量線(両対数プロット)を示す。
【図2】実施例3で血液凝固第XI因子について測定した際の検量線(両対数プロット)を示す。
【図3】実施例4で血液凝固第XII因子について測定した際の検量線(両対数プロット)を示す。

Claims (10)

  1. ガラクトシルセラミドモノ硫酸前もって固着した固相を血液凝固のイニシエーターとして用いて血液凝固を行い、その凝固を検出することを特徴とする血液凝固時間の測定方法。
  2. 固相がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン及びガラスからなる群より選択される材質であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記固相が測定用容器の検体接触面であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記測定用容器がマイクロタイタープレート又は試験管であることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 凝固の検出が、粘度、吸光度、濁度又は散乱光量を測定することによってなされることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 検体中に含まれる血液凝固時間に影響を与える因子の測定方法であって、測定を所望する測定対象因子の欠乏した血漿と混合した検体及び対照における凝固時間を請求項1〜のいずれか一項に記載の方法によって測定し、測定された検体における凝固時間を対照における凝固時間と比較することを特徴とする該方法。
  7. 前記検体が体液であることを特徴とする請求項記載の方法。
  8. 前記検体が血漿であることを特徴とする請求項記載の方法。
  9. ガラクトシルセラミドモノ硫酸前もって固着した固相、少なくとも一種類の測定対象因子の欠乏した血漿及び既知量の前記測定対象因子を含む標準検体を含む請求項のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
  10. 前記固相がマイクロタイタープレート又は試験管の検体接触面である請求項記載のキット。
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