JPH10332705A - 血液凝固時間の測定方法 - Google Patents

血液凝固時間の測定方法

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JPH10332705A
JPH10332705A JP14796597A JP14796597A JPH10332705A JP H10332705 A JPH10332705 A JP H10332705A JP 14796597 A JP14796597 A JP 14796597A JP 14796597 A JP14796597 A JP 14796597A JP H10332705 A JPH10332705 A JP H10332705A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血液凝固時間の測定操作を簡略化することが
可能となり、また、多数の試料の誤差の少ない同時測定
を可能とした測定方法を提供する。 【解決手段】 硫酸化脂質を固着した固相を血液凝固の
イニシエーターとして用いて血液凝固を行い、その凝固
を検出する。例えば、硫酸化脂質を固着した固相に試料
を接触させ、次いで該試料の血液凝固系を利用して凝固
時間を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液凝固時間の測
定方法及びこの測定方法を利用した血液凝固時間に影響
を与える因子を定量する方法並びに前記定量方法を実施
するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】血液凝固時間に影響を与える因子を定量
する方法に使用する血液凝固時間の測定法として、活性
化部分トロンビン時間(APTT)、部分トロンビン時
間(PTT)等の測定方法が用いられている。しかし、
従来の測定方法では、一般にこれらの血液凝固時間は正
常血漿で数10秒〜1分程度であるため、多数の試料に
ついて同時に測定しようとすると、試料や試薬の添加及
び結果の読み取りなどの操作にかかる時間が大きな誤差
の原因となり、多数の試料の測定において凝固時間を正
確に測定するには不向きであった。
【0003】また、例えばAPTTやPTTの従来の測
定では血液凝固のイニシエーターとして動物の脳を材料
とした粗製セファリンとカオリンの混合物が用いられて
いる。粗製セファリンはセファリン以外に多くの成分を
含んでおり、その為、血液凝固のイニシエーターとして
の活性を安定させることが困難であり、例えば特開平6
−43169号公報等で提案されているようにスルファ
チドを添加することによって活性を安定させる工夫がな
されてはいる。しかしながら、粗製セファリンが不安定
な物質であるため、粗製セファリンにスルファチドを同
時に添加したとしても、固相に固着させて乾固した状態
におくと著しくその血液凝固のイニシエーターとしての
活性が低下し、安定な固着は不可能であった。従って、
上記血液凝固測定の手順を簡略化するために前もって粗
製セファリン及びスルファチドを固相に固着させておく
ことができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】血液凝固因子を定量す
るための血液凝固時間の測定は、従来法ではその凝固時
間が短く、多数の試料の測定を同時に正確に実施するこ
とができず、また試薬の乾燥への耐性が低いため前もっ
て試薬を固相に固着しておき、手順を減らして簡略化す
ることが不可能である。しかし、例えば播種性血管内凝
固(DIC)等の疾患の初期症状の検出などの為には、
操作の簡略化と多検体同時測定が望まれている。従っ
て、本発明は、血液凝固時間の測定操作を簡略化するこ
とが可能となり、また、多数の試料の誤差の少ない同時
測定を可能とした測定方法を提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、硫酸化脂質を固相に前も
って固着させ、前記固相を使用して凝固時間を測定する
ことによって、従来行われていた試薬の添加の操作を減
らすことができ、また、多数の試料を同時に測定するた
めに行う操作により生ずる時間的な誤差を大幅に減少で
きることを見い出し本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、硫酸化脂質を固着し
た固相を血液凝固のイニシエーターとして用いて血液凝
固を行い、その凝固を検出することを特徴とする血液凝
固時間の測定方法(以下、本発明凝固時間測定方法とも
いう)を提供する。
【0007】また、本発明は、検体中に含まれる血液凝
固時間に影響を与える因子の測定方法であって、測定を
所望する測定対象因子の欠乏した血漿と混合した検体及
び対照における凝固時間を上記の血液凝固時間の測定方
法によって測定し、測定された検体における凝固時間を
対照における凝固時間と比較することを特徴とする方法
(以下、本発明測定方法ともいう)を提供する。
【0008】さらに、本発明は、硫酸化脂質を固着させ
た固相、少なくとも一種類の測定対象因子の欠乏した血
漿及び既知量の前記測定対象因子を含む標準検体を含む
上記の定量方法を実施するためのキット(以下、本発明
キットともいう)を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。 1.本発明凝固時間測定方法 本発明凝固時間測定方法は、硫酸化脂質を固着した固相
を血液凝固のイニシエーターとして用いて血液凝固を行
うことを特徴とする。
【0010】本発明における固相とは硫酸化脂質を固着
する事が可能なものであれば特に限定はされないが、本
発明凝固時間測定方法の実施をより簡略化するために例
えばマイクロタイタープレート、試験管などの血液凝固
時間の測定をその中で行う測定用容器の検体接触面が好
ましい。当該固相の素材は硫酸化脂質を固着することが
可能な素材であれば特に限定はされず、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン等の一
般的なプラスチック素材、ガラスなどが挙げられるが、
これらに限定はされない。硫酸化脂質を固着させる方法
としては一般に物質を固相に固着させる場合に用いられ
る方法で充分実施は可能であり、例えば物理的吸着法、
疎水結合法、共有結合法、イオン結合法などが挙げられ
るが特に限定はされない。例えば、物理的吸着方法とし
ては、エタノール、メタノール又はキシレン等硫酸化脂
質を溶解しうる有機溶媒に硫酸化脂質を溶解し、その溶
液を、例えば96穴マイクロタイタープレートの場合1
穴あたり例えば0.05〜25μg、好ましくは2〜6
μgとなるように添加し、その後上記溶媒のみを除去す
ることによりマイクロタイタープレート上に硫酸化脂質
を固着させることができる。
【0011】本発明凝固時間測定方法に用いる硫酸化脂
質としては、硫酸化糖脂質及びコレステロール硫酸が挙
げられかつ好ましい。硫酸化糖脂質としては硫酸化スフ
ィンゴ糖脂質及び硫酸化グリセロ糖脂質並びにこれらの
誘導体が挙げられ、硫酸化スフィンゴ糖脂質としては、
例えばガラクトシルセラミドモノ硫酸(例えばGal(3S
O4)β1-1Cer)、グルコシルセラミドモノ硫酸(例えばG
lc(3SO4)β1-1Cer)、ラクトシルセラミドモノ硫酸(例
えばGal(3SO4)β1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオトリア
オシルセラミドモノ硫酸(例えばGalNAcβ1-4Gal(3SO4)
β1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオトリアオシルセラミド
−ビス硫酸(例えばGalNAc(3SO4)β1-4Gal(3SO4)β1-4G
lcβ1-1Cer)、ラクトトリアオシルセラミドモノ硫酸
(例えばGlcNAc(6SO4)β1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、ト
リヘキソシルセラミドモノ硫酸(例えばGal(3SO4)α1-4
Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオテトラオシルセラ
ミド−ビス硫酸(例えばGal(3SO4)β1-3GalNAcβ1-4Gal
(3SO4)β1-4Glcβ1-1Cer)、ラクトネオテトラオシルセ
ラミドモノ硫酸(例えばGalβ1-4GlcNAc(6SO4)β1-3Gal
β1-4Glcβ1-1Cer)、ガングリオテトラオシルセラミド
モノ硫酸(例えばGal(3SO4)β1-3GalNAcβ1-4Galβ1-4G
lcβ1-1Cer)、グルクロニルラクトネオテトラオシルセ
ラミドモノ硫酸(GlcA(3SO4)β1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3
Galβ1-4Glcβ1-1Cer)、グルクロニルラクトネオヘキ
サオシルセラミドモノ硫酸(例えばGlcA(3SO4)β1-3Gal
β1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-
1Cer)、Sial(8SO4)α2-6Glcβ1-1Cer及びSial(8SO4
2-6Glcβ1-8Sialα2-6Glcβ1-1Cer等が挙げられる。ま
た、硫酸化グリセロ糖脂質としては、例えばガラクトシ
ルアルキルアシルグリセロールモノ硫酸(例えばGal(3S
O4)β1-3アルキルアシルグリセロール)及びトリグルコ
シルアルキルアシルグリセロールモノ硫酸(Glc(6SO4)
α1-6Glcα1-6Glcα1-3アルキルアシルグリセロール)
が挙げられかつ好ましい。これらの物質の誘導体として
は例えば上記物質の構造に含まれる官能基が化学的に修
飾された形態などが挙げられるが、特に構造中の水酸基
がさらに硫酸化された過硫酸化構造が好ましい。なお、
上記に用いた略号の意味は以下の通りである。Galはガ
ラクトース残基、Cerはセラミド残基、Glcはグルコース
残基、GlcAはグルクロン酸残基、GalNAcはN−アセチル
ガラクトース残基、Sialはシアル酸残基、そして糖残基
の略号に付記した括弧内の数字とSO4は、糖の数字の位
置の水酸基が硫酸化されていることを示す。また、β1-
1、β1-4、α2-3等は、それぞれ、β1-1グリコシル結
合、β1-4グリコシル結合、α2-3グリコシル結合等を示
す。また、コレステロール硫酸としては、例えば3β−
ヒドロキシ−5−コレステン3−モノ硫酸が挙げられ
る。
【0012】本発明凝固時間測定方法は、硫酸化脂質を
固着した固相を血液凝固のイニシエーターとして用いる
以外は従来の血液凝固時間の測定法と同様にして、実施
することができる。本発明における血液凝固のイニシエ
ーターとは血液凝固因子のいずれかを活性化するものを
示し、必ずしもそれのみによって凝固を起こすものには
限定されない。即ち、イニシエーターにより血液凝固因
子を活性化し、他の物質を添加することによって実際の
凝固を開始させることも可能である。例えば、硫酸化脂
質を固着した固相に試料を適切な時間接触させて活性化
を起こさせ(すなわち、硫酸化脂質を固着した固相をイ
ニシエーターとして用い)、次いでカルシウムイオンを
混合して凝固を開始させ、凝固を検出することにより凝
固時間を測定する。ここでいう試料とは、イニシエータ
ーにより活性化される血液凝固因子を含むものであれば
よく、例えば、血液、血漿、血清等であり、また本測定
方法を、検体中に含まれる血液凝固時間に影響を与える
因子の測定に応用する場合には、測定を所望する測定対
象因子を含む可能性のある検体と該測定対象因子の欠乏
した血漿との混合物も包含するものである。また、さら
に本明細書中における「血液凝固時間に影響を与える」
とは血液凝固時間を延長及び短縮のいずれか又は両方を
起こすことを指称する。
【0013】本発明において凝固は、従来用いられてい
た手法と同様の手順により検出可能であり、例えば粘
度、吸光度、濁度又は散乱光量などを測定することによ
る検出が挙げられる。また、検体における凝固の検出は
これらの測定値を経時的に測定することによりなされる
方法が好ましい。具体的には、例えば凝固の臨界値を予
め定め、例えば吸光度を10〜30秒毎、好ましくは1
5秒毎に測定し、上記臨界値を超えた時点で検体の凝固
と認定し、当該測定値を得た時間を検体凝固時間とする
方法が挙げられるが、さらに測定を継続し、連続して予
め設定した数以上臨界値を超過した際に、連続した測定
値の一番最初に臨界値を超過した時間を検体の凝固時間
とする方法が最も正確な点で好ましい。上記吸光度によ
る測定は通常のマイクロタイタープレートリーダーによ
って行うことができるが、特にプログラム制御により上
記経時的測定工程を全て自動化することが可能であるウ
ェルリーダーSK−601(生化学工業(株)販売)な
どを利用することで操作がより簡略化されるため、当該
測定機器を利用することが好ましいがこれに限定はされ
ない。
【0014】本発明は、構造が単純な硫酸化脂質のイニ
シエーターとしての活性を利用することにより、従来の
構造が複雑な物質の混合物で構造の定義が困難な粗製セ
ファリンやカオリンを利用した血液凝固時間の測定法よ
りも凝固時間が、ばらつきを生じることなく延長される
ので、より多くの試料を誤差のない状態で同時に測定で
きる。さらに硫酸化脂質は、凍結や乾固に対する耐性を
持ち、例えば測定を実施する容器の検体接触面(内面な
ど)などへ前もって固着させて使用した際もその活性が
安定であるため、硫酸化脂質を固相に固着することによ
り操作を著しく簡略化できるとともに多数の試料の凝固
時間の測定を同時に実施できる。
【0015】2.本発明測定方法 本発明測定方法は、測定を所望する測定対象因子の欠乏
した血漿と混合した検体の凝固時間を上記本発明凝固時
間測定方法により測定し、さらに測定された検体におけ
る凝固時間を対照における凝固時間と比較することを特
徴とする、検体中に含まれる血液凝固時間に影響を与え
る測定対象因子を測定する方法である。本発明測定方法
により実施される測定は、例えば測定対象因子の定量及
び定性等が挙げられるが、特に限定はされない。
【0016】本発明測定方法により測定される検体とし
ては特に限定はされず、例えば水、生理食塩水、各種緩
衝液(リン酸緩衝液、トリス緩衝液等)、各種体液(血
液、血漿、血清、尿、リンパ液、だ液、涙液等)が挙げ
られるが、体液が好ましく、その中でも血漿が特に好ま
しい。本発明測定方法で測定可能な検体中の測定対象因
子としては、血液凝固時間に影響を与える因子又は要因
であれば特に限定はされず、例えば各種血液凝固因子の
増減、血液凝固時間を延長する物質(例えばヘパリン
等)又は血液凝固時間を短縮する物質(組織液等)が挙
げられる。特に、本発明測定方法は従来用いられてきた
APTTやPTTの測定法と比して検体の凝固が起こる
までの時間が長いことから、血液凝固因子が増加した場
合などのように凝固時間を短縮する因子又は要因を正確
に定量することが可能である。
【0017】測定を所望する測定対象因子の欠乏した血
漿は、例えば当該因子が欠乏した先天性単独凝固因子欠
乏血症の患者に由来し、かつ凝固阻害物質を持たない患
者から採血し、通常の血漿作成法に準じて血漿分離を行
うことにより得られるものであり、また、市販の因子欠
乏血漿として入手することも可能である。
【0018】検体における凝固時間を利用して、凝固時
間に影響をあたえる物質の定量を行う際は、比較のため
の対照、すなわち、検体の他に測定対象物質濃度による
凝固時間の変化を示す検量線を作成したり、標準の濃度
の基準としたりするための対照が必要である。検量線を
作成する場合には、標準検体を、例えば、測定したい因
子をその濃度が段階的になるように含有するように生理
食塩水又は緩衝液で適宜希釈して調製し、検体には必要
により標準検体と同容量となるように前記希釈に用いた
溶媒を添加する。そして、検体と標準検体とに、測定し
たい因子の欠乏した血漿を同量ずつ添加する。これらの
添加の順序は適宜変更できる。このようにして作成した
試料に塩化カルシウム溶液の添加などによりカルシウム
イオンを添加することで凝固を開始することができ、カ
ルシウムイオンを添加した時点より上記本発明凝固時間
測定方法について説明したように凝固を検出して凝固時
間を測定することができる。標準検体における測定対象
因子濃度と凝固時間より検量線を作成し、当該検量線を
利用することによって検体における凝固時間より検体中
の目的因子の濃度を測定することが可能である。また、
検体における凝固時間を上記方法により測定するととも
に、例えばHIV、HCV又はHBV等の病原微生物に
感染が認められない健常人の血液より調製した標準血漿
における凝固時間を対照として測定し、これらの測定値
を比較することにより、検体の凝固の状態が過凝固状態
にあるか低凝固状態にあるかを単に識別することも可能
である。上記過凝固状態とは、例えば血液凝固因子の増
加又は血液凝固促進物質(例えば組織液など)の検体中
への混入などにより、上記標準血漿と比して凝固時間が
短縮されている状態を示し、低凝固状態とは、例えば血
液凝固因子の減少又は血液凝固抑制物質(例えばヘパリ
ンなど)の検体中への混入などにより、上記標準血漿と
比して凝固時間が延長されている状態を示す。
【0019】3.本発明キット 本発明キットは硫酸化脂質を固着した固相、少なくとも
一種類の測定対象因子を欠乏した血漿及び既知量の前記
測定対象因子を含む標準検体を含むキットである。
【0020】本発明キットにおける硫酸化脂質、硫酸化
脂質の固着の方法、測定用容器などの固相の素材、測定
対象因子、測定対象因子の欠乏した血漿は全て上記本発
明の凝固時間測定方法及び測定方法について記載したも
のと同様である。好ましくは、硫酸化脂質を固着した固
相は、硫酸化脂質を検体との接触面に固着させた、マイ
クロタイタープレート、試験管などの測定用容器により
提供される。
【0021】既知量の測定対象因子を含む標準検体は、
固体の状態でも溶液の状態でもよい。ここで、既知量と
は必ずしも具体的数値が判明している必要はなく、健常
人の血液より調製した標準血漿のように、正常な量を含
むとだけ判明しているものも既知量の測定対象因子を含
む標準検体として使用できる。
【0022】本発明キットの使用方法としては、例えば
測定用容器がマイクロタイタープレートの際には、同量
の測定対象因子欠損血漿をマイクロタイタープレート上
の各穴に添加した後、検体と対照として標準血漿又は段
階希釈した測定対象因子を含む標準検体とをそれぞれ添
加し、検体には上記測定対象因子を段階希釈する際に使
用した溶媒を必要により添加して対照と同容量にする。
これらの添加の順序は適宜変更できる。上記のように調
製した混合液にそれぞれ同量ずつ例えば塩化カルシウム
溶液等の添加によりカルシウムイオンを添加し、検体及
び対照の凝固を開始する。上記カルシウムイオンを添加
した時間より例えばウェルリーダーSK−601(生化
学工業(株)販売)などのマイクロタイタープレートリ
ーダーを用いて一定時間ごとに測定を実施する。当該測
定値より上記凝固の検出の方法を用いて凝固時間の測定
を行い、標準検体における凝固時間と検体における凝固
時間を比較する。すなわち、対照における凝固時間と検
体における凝固時間の比較により検体の凝固の状態が過
凝固状態にあるか低凝固状態にあるかを識別し、あるい
は対照の凝固時間と測定対象因子濃度の関係を検量線と
して求め、それに基づいて検体の凝固時間から検体中に
含まれる測定対象因子の濃度を測定する。
【0023】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに詳説す
るが、本発明の要旨を超えない限りにおいて本発明がこ
れに限定されることはない。
【0024】
【実施例1】 (硫酸化脂質固着マイクロタイタープレートの作成)硫
酸化脂質として硫酸化スフィンゴ糖脂質の1種であるガ
ラクトシルセラミドモノ硫酸を用いた。ガラクトシルセ
ラミドモノ硫酸は既知の方法(Hara,A. andRadin,NS.,
Anal. Biochem. 100, 364-370(1979))によりブタ脊髄
より精製した。ガラクトシルセラミドモノ硫酸をメタノ
ールに溶解して96穴マイクロタイタープラスチックプ
レート(コーニング社製)に1穴あたり5μgになるよ
うに分注し、溶媒を蒸発乾固させ、硫酸化脂質固着マイ
クロタイタープレートを得た。
【0025】
【実施例2】 (凝固第X因子の検量線の作成)標準ヒト乾燥血漿(コ
アグトロールI、国際試薬販売)を試薬プロトコールに
従い溶解した。この血漿を100、75、50、25、
10、1、0容量部各々分取し、これにリン酸緩衝液を
0、25、50、75、90、99、100容量部各々
加えてそれぞれ100容量部として混和した。第X因子
欠乏血漿(トロンボチェックファクターX、国際試薬販
売)を試薬プロトコールに従い溶液化した後、この溶液
に同量のリン酸緩衝液を加えて均一化した。この溶液9
00容量部を上記標準ヒト血漿の希釈液に添加し、そこ
から各々100μlずつ取り、実施例1で調製したマイ
クロタイタープレートの各穴に分注した。当該プレート
を3分間、37℃に保温した後、0.02M塩化カルシ
ウム液25μlをそれぞれに添加して凝固を開始させ、
プレートをマイクロタイタープレートリーダー(ウェル
リーダーSK601(生化学工業(株)販売))にセッ
トし、37℃に保温しながら405nmの吸光度をモニ
ターして凝固時間と標準血漿濃度との関係を求めた(図
1)。測定間隔は15秒毎で、吸光度の基線から0.0
2を臨界値、臨界値連続超過数を3として、3回連続し
て基線より0.02以上高い測定値を得た場合に最初の
測定値を得た測定時間を凝固時間とした。1〜100%
まで良好な検量線を作成することができた。
【0026】
【実施例3】 (凝固第XI因子の検量線の作成)上記実施例2と同様の
手法により、第X因子欠乏血漿(トロンボチェックファ
クターX、国際試薬販売)に代えて第XI因子欠乏血漿
(トロンボチェックファクターXI、国際試薬販売)を用
いて測定を行った(図2)。1〜50%まで良好な検量
線を作成することができた。
【0027】
【実施例4】 (凝固第XII因子の検量線の作成)上記実施例2と同様
の手法により、第X因子欠乏血漿トロンボチェックファ
クターX(国際試薬販売)に代えて第XII因子欠乏血漿ト
ロンボチェックファクターXII(国際試薬販売)を用い
て測定を行った(図3)。1〜100%まで良好な検量
線を作成することができた。
【0028】
【実施例5】 (本発明キットの構成及び使用法)本実施例の凝固第X
因子測定用キットは次の1〜6の要素からなる。 1.硫酸化脂質固着96穴マイクロタイタープレート1
0枚(実施例1で作成したもの)。 2.10倍濃度リン酸緩衝液(検体、標準血漿希釈用、
3ml)1バイアル。 3.標準血漿(抗体検査の結果HIV、HCV,HBV
等の病原微生物に感染が認められない健常人10人から
クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として採血して得た新鮮
血漿を等量ずつ混和しプールしたもの、0.5ml相当
の凍結乾燥品、通常は2〜8℃保存)5バイアル。 4.蒸留水(標準血漿、第X因子欠乏血漿溶解用、0.
5ml)10バイアル。 5.塩化カルシウム溶液(0.02M、2ml)5バイ
アル。 6.凝固第X因子欠乏血漿(0.5ml相当の凍結乾燥
品、通常は2〜8℃保存)5バイアル。
【0029】使用に際しては標準血漿及び第X因子欠乏
血漿を室温に戻した後、蒸留水1バイアルを全量泡立て
ないように穏やかに加え、穏やかに均一となるように攪
拌し、20〜30分間程度放置する。この溶解した凝固
第X因子欠乏血漿45μl及び上記リン酸緩衝液を10
分の1に希釈した溶液45μlに、生理食塩水で100
〜0.1%濃度に段階希釈した標準血漿10μlずつを
加えて、気泡をつくらぬよう注意して硫酸化脂質固着マ
イクロタイタープレート上で均一化する。また、測定対
象者の血漿10μlを上記凝固第X因子欠乏血漿45μ
l及び1倍まで希釈したリン酸緩衝液45μlに上記と
同一のプレート上で添加し均一化する。当該溶液に塩化
カルシウム溶液を25μlずつ添加して凝固を開始さ
せ、当該プレートをマイクロタイタープレートリーダー
(ウェルリーダーSK−601、生化学工業(株)販
売)にセットし、37℃に保温する。15秒毎に405
nmの吸光度を測定し、吸光度の基線から0.02以上
である測定が3回続いた場合に最初の時間を凝固時間と
する。段階希釈した標準血漿より得た測定値より検量線
を作成し、当該検量線と患者血漿検体より得た測定値を
利用することにより、患者血漿検体中の凝固第X因子を
定量することができる。
【0030】
【発明の効果】本発明により、血液凝固時間の測定が簡
略化され、また、試料の準備から測定までの時間的誤差
が減少し、多数の試料の誤差の少ない同時測定が可能と
なる。多数の試料の同時測定により、検量線の作成と検
体の凝固時間を同時に測定して凝固因子を測定すること
が可能となり、また同時に複数の凝固因子の測定を行う
ことも可能となる。検量線の作成及び検体の測定を同時
に、また、さらに同一検体の複数凝固因子の測定を同時
に実施することが可能であるため、各試料間で反応条件
がより均一に保たれ、より正確な検体中の凝固因子の定
量が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で血液凝固第X因子について測定した
際の検量線(両対数プロット)を示す。
【図2】実施例3で血液凝固第XI因子について測定した
際の検量線(両対数プロット)を示す。
【図3】実施例4で血液凝固第XII因子について測定し
た際の検量線(両対数プロット)を示す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸化脂質を固着した固相を血液凝固の
    イニシエーターとして用いて血液凝固を行い、その凝固
    を検出することを特徴とする血液凝固時間の測定方法。
  2. 【請求項2】 固相がポリエチレン、ポリプロピレン、
    ポリスチレン、ナイロン及びガラスからなる群より選択
    される材質であることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記固相が測定用容器の検体接触面であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記測定用容器がマイクロタイタープレ
    ート又は試験管であることを特徴とする請求項3記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 前記硫酸化脂質が、硫酸化糖脂質又はコ
    レステロール硫酸であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか一項記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記硫酸化糖脂質が、硫酸化スフィンゴ
    糖脂質若しくは硫酸化グリセロ糖脂質、又はその誘導体
    であることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記硫酸化スフィンゴ糖脂質が、ガラク
    トシルセラミドモノ硫酸、グルコシルセラミドモノ硫
    酸、ラクトシルセラミドモノ硫酸、ガングリオトリアオ
    シルセラミドモノ硫酸、ガングリオトリアオシルセラミ
    ド−ビス硫酸、ラクトトリアオシルセラミドモノ硫酸、
    トリヘキソシルセラミドモノ硫酸、ガングリオテトラオ
    シルセラミド−ビス硫酸、ラクトネオテトラオシルセラ
    ミドモノ硫酸、ガングリオテトラオシルセラミドモノ硫
    酸、グルクロニルラクトネオテトラオシルセラミドモノ
    硫酸及びグルクロニルラクトネオヘキサオシルセラミド
    モノ硫酸からなる群から選択される少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記硫酸化グリセロ糖脂質が、ガラクト
    シルアルキルアシルグリセロールモノ硫酸又はトリグル
    コシルアルキルアシルグリセロールモノ硫酸であること
    を特徴とする請求項6記載の方法。
  9. 【請求項9】 凝固の検出が、粘度、吸光度、濁度又は
    散乱光量を測定することによってなされることを特徴と
    する請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 検体中に含まれる血液凝固時間に影響
    を与える因子の測定方法であって、測定を所望する測定
    対象因子の欠乏した血漿と混合した検体及び対照におけ
    る凝固時間を請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法
    によって測定し、測定された検体における凝固時間を対
    照における凝固時間と比較することを特徴とする該方
    法。
  11. 【請求項11】 前記検体が体液であることを特徴とす
    る請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記検体が血漿であることを特徴とす
    る請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 硫酸化脂質を固着した固相、少なくと
    も一種類の測定対象因子の欠乏した血漿及び既知量の前
    記測定対象因子を含む標準検体を含む請求項10〜12
    のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
  14. 【請求項14】 前記固相がマイクロタイタープレート
    又は試験管の検体接触面である請求項13記載のキッ
    ト。
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