JP3916560B2 - キャパシタ切替えパイプライン・アナログデジタル変換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、カスケード接続された複数のセルを有するキャパシタ切替えパイプライン・アナログデジタル変換器であって、各セルは、供給されたアナログ信号を少なくとも一つの所定比較レベルと比較して比較結果を示す一つ以上のデジタルビットを出力する比較手段と、前記アナログ信号に定数2を乗じ、前記比較結果に応じたシフトレベルにより前記アナログ信号をシフトする乗算・シフト手段と、前記乗算・シフトが行われたアナログ信号を前記カスケード接続された次のセルに供給する手段とを備え、前記乗算・シフト手段は、入力モードで切り替えられて前記アナログ信号を受ける第1、第2のキャパシタを有するアナログデジタル変換器にに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の電子技術においてアナログ・デジタル(AD)変換は重要な役目を果たしている。これは、アナログ信号処理よりもデジタル信号処理の方が設計が簡単且つ再現性が良いからで、よりデジタル信号処理に移行する傾向がある。デジタル信号処理には高変換率、高解像度そして好ましくは消費電力が少なくそしてCMOS技術により低コストでできるAD変換器が必要となる。これらの要求を満足するものとしてパイプラインAD変換器がある。
【0003】
公知のパイプラインAD変換器のセルはアナログ入力信号の最大波高値レンジ間の一つのレベルについて比較が行われる。この比較では信号レベルが最大波高値レンジの上半分又は下半分のいずれにあるかが判断される。信号が上半分にあれば比較器からビット”1”が出力され、この信号は最大波高値レンジの1/2だけ下にシフトされる。逆に、信号が下半分にあれば比較器からビット”0”が出力され、信号はシフトされない。この信号には定数2が乗ざれて次のセルに供給される。カスケード接続のセルにより発生した各ビットによりあるデジタル表現が形成される。なお、この最上位ビットが第1セルにより発生され、最下位ビットが最後のセルにより発生される。このデジタル表現によりアナログ入力信号が表現される。
【0004】
ところが、このような方法では高解像度AD変換器とはならない。というのは、カスケード接続の第1セルの比較レベルの精度が最後のセルにより発生する最下位ビットの精度より高くなければならないからである。例えば、10ビットを発生するには第1セルでの比較精度が1/1024以上でなければならない。このような不都合を避けるには、パイプラインAD変換器の各セルが、例えば、最大信号レベルの3/8と5/8のレベルの二つの比較器が必要となる。これら比較器の各々は、アナログ信号が比較レベルより下であれば”0”を出力し、比較レベルより上であれば”1”を出力する。セルの低レベル比較器からのビットによりあるデジタル表現が形成され、そのセルの高レベル比較器からのビットにより別のデジタル表現が形成される。これらのデジタル表現が組み合わさってAD変換器からの最終出力デジタル表現が得られる。ここで、入力信号レベルが最大波高値レンジの中央レベルに近ければ最大レベルの3/8と5/8の間の中央レベルとなり、最上位ビット値の判定が遅れる。次のセルでの結果が得られ、二つのデジタル表現が組み合わさって初めて最上位ビット値が判定される。これは他のビットについても同じである。これにより、一つの比較レベルしかない変換器より、二つの比較レベルによる変換器の方が厳しい精度を要求されなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、各パイプライン・セルにおいて次のパイプライン・セル入力信号用にアナログ信号に定数2を乗じなければならないが、高解像度AD変換においては非常に精度の高い定数が要求される。公知のキャパシタ切替えパイプラインAD変換では、この定数は乗算・シフト手段のキャパシタ値に左右される。この発明の主な目的は高精度の乗算定数を得ることにある。そしてこの発明のキャパシタ切替えパイプラインAD変換器は、出力モードで第1、第2のキャパシタが切り替えられて各々電荷を蓄積し、そして両キャパシタ電圧を加えて次のセルに供給するアナログ電圧を発生するものである。
【0006】
ほとんどの公知の回路では、出力モードで第1、第2のキャパシタが演算増幅器の反転入力端子に接続される。即ち、一つのキャパシタが演算増幅器の反転入力端子と出力端子間に接続され、他のキャパシタが反転入力端子と基準電位間に接続される。そこで、出力モードにおいて第2キャパシタの電荷が第1キャパシタに転送されて、第1キャパシタの電荷と加えられることにより定数2の乗算が行われる。このように二つのキャパシタ容量が完全に等しい場合に定数2の乗算が行われる。しかし、CMOS技術により完全に等しいキャパシタ容量を得るのは困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本質的にこの発明では、入力モ−ドで二つのキャパシタに蓄積された電荷が出力モードで各キャパシタに保持され、両キャパシタ電圧が加えられて定数2の乗算が行われる。つまり、キャパシタ容量が異なっていても定数2の乗算に影響を与えない。寄生容量、特に増幅器の入力側の寄生容量が容量の異なる第1、第2のキャパシタでの乗算定数に影響を与えるが、定数2の乗算のために一つのキャパシタから別のキャパシタへ電荷を転送する公知技術と比べたら、その影響ははるかに少ない。
【0008】
さらに、この発明のAD変換器には次のような特徴がある。
【0009】
必要とされるシフトレベルが通常切り替えられた第1、第2のスイッチング・キャパシタの一つに加えられる。この発明ではシフトレベルがこれらのキャパシタ値にはほとんど左右されない。
【0010】
動作周波数が高いほど電荷転送によるエネルギ損失が大きくなるが、出力モードでは電荷転送を行わないので電力が低減される。
【0011】
電荷転送には時間がかかるが、出力モードでは電荷転送を行わないのでAD変換器の動作速度が速くなり動作周波数が高くなる。
【0012】
出力モードでは、二つのキャパシタを直列接続にすることにより実質的に両キャパシタ間で電荷転送を行わずに乗算が可能になる。しかし、キャパシタの電荷に寄生容量が依然として影響を及ぼすので理想的な定数2の乗算とはならない。この発明のさらなる特徴としては、出力モードでは、第1キャパシタを差動増幅器の出力と反転入力との間で切り替え、第2キャパシタを差動増幅器の非反転入力と基準電圧との間で切り替えるという簡単確実な構成によりこの問題が解決される。この構成では、差動増幅器の各入力端子での寄生容量の影響が相殺される。
【0013】
この発明の好適なAD変換器では、入力モードでは、乗算・シフト手段の第1キャパシタに差動入力信号の一信号成分が与えられ、乗算・シフト手段の第2キャパシタに差動入力信号の他の信号成分が与えられる。差動入力信号により、差動増幅器の入力における寄生容量がより等しくなり、それらの影響が相殺される。さらなる特徴としては、シフトレベルは出力モードで必要であり、入力モードでは入力信号と所定の比較レベルが比較される。
【0014】
パイプライン・セルに差動信号入力があると、差動入力として次のセルに必要な差動出力を出力しなければならない。ところが、一つの差動増幅器で二つの帰還差動出力を扱うような対称的な構成は不可能である。というのは差動増幅器の二入力端子はすでに一つのシングル・エンド出力発生用に用いられているからである。従って、この発明のパイプラインAD変換器では、逆相で差動入力を受け、さらに逆相で切り替えられるシフトレベルを受ける二つの同一な乗算・シフト手段により差動出力を発生してもよい。
【0015】
パイプラインAD変換器の動作速度を速めて高サンプリングレート及び/又は解像度を得るのにこの発明のパイプラインAD変換器では、乗算・シフト手段は等しく回路構成された二つのキャパシタ群を備え、一方のキャパシタ群の入出力端子が他方のキャパシタ群の入出力端子にそれぞれ接続され、一方のキャパシタ群が入力モードで動作し、他方のキャパシタ群は出力モードで動作するように、またこの逆に動作するように切り替えてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1において、パイプラインAD変換器のセルSの入力端子Iには、このAD変換器の前のセルから発生したアナログ入力信号Vが与えられる。この入力信号Vは二つの比較器P1、P2に与えられる。比較器P1では信号Vが、例えばこの信号の最大波高値の3/8(3/8Vm)倍である比較レベルと比較される。同様に、比較器P2では信号Vが、例えばこの信号の最大波高値の5/8(5/8Vm)である比較レベルと比較される。比較器P1からビットdが出力されるが、ビットdはV<3/8Vmのとき”0”であり、V>3/8Vmのときは”1”である。同様に、比較器P2からビットeが出力されるが、ビットeはV<5/8Vmのとき”0”であり、V>5/8Vmのときは”1”である。信号Vはさらに乗算・シフトユニットMにも与えられる。このユニットからはセルS出力信号としてアナログ出力信号V0が発生され、カスケード接続された次のセルの入力信号となる。ビットd,eにより論理ユニットLが制御され、この論理ユニットLにより乗算・シフトユニットMが制御される。信号処理は以下のように行われる。
【0017】
入力信号Vのレベルが3/8Vmより低い場合ビットd,eは共に”0”となり、ユニットMで信号Vは定数2により増幅されるが信号シフトは行わない。
【0018】
入力信号Vのレベルが3/8Vmと5/8Vmの間の場合ビットdは”1”となるがビットeは”0”となる。ユニットMで信号Vは定数2により増幅され、増幅された信号が最大波高値Vmの半分だけ下にシフトされる。
【0019】
入力信号Vのレベルが5/8Vmより高い場合ビットd,eは共に”1”となり、ユニットMで信号Vは定数2により増幅され、増幅された信号が最大波高値Vm相当分だけ下にシフトされる。
【0020】
同じ信号処理がカスケード接続された他のセルでも行われるが、各セルではその前のセルに対して1クロック期間遅れて行われる。図示しないレジスタ手段にすべてのセルのビットdが供給されここで遅延される。カスケード接続されたあるセルのビットdが次のカスケード接続されたセルのビットdより1クロック期間遅延される。これにより、1回のサンプリングによるすべてのビットdを同時に一つのデジタル表現を形成するのに用いることができる。これはビットeでも同様であり、従って、最終的にすべてのビットdより成るデジタル表現とすべてのビットeより成るデジタル表現とが同時に存在することになる。これらのデジタル表現は組み合わされてAD変換器の出力となる。
【0021】
図1の回路に用いられる公知の乗算・シフトユニットの一例を図2に示す。このユニットは第1、第2のキャパシタC1、C2と演算増幅器Aを備える。二つの2極スイッチSa、Sb、と1極スイッチScが入力モードと出力モード間で同期して切り替えられる。図2では入力モードにおけるこれらスイッチ状態を示している。
【0022】
3極スイッチSdが図1に示す論理ユニットLにより制御されて、図1を参照して説明したような0、1/2Vm又はVmであるシフトレベルVsを取り込む。図2では理解しやすくするためスイッチSa、Sb、Sdを2極又は3極スイッチとして示しているが、実際の回路ではスイッチSaを二つの1極スイッチで構成し、3極スイッチSdと2極スイッチSbを四つの1極スイッチで構成するのが好ましい。
【0023】
入力モードでスイッチSaによりキャパシタC1の一端が入力信号Vに接続され、出力モードでは増幅器Aの出力に接続される。さらに入力モードでスイッチSbによりキャパシタC2の一端が入力信号Vに接続され、出力モードではスイッチSdに接続される。キャパシタC1、C2の他端は共に演算増幅器の反転入力(−)に接続されている。入力モードではスイッチScにより演算増幅器の出力が反転入力に接続される。演算増幅器の非反転入力(+)は接地されている。
【0024】
動作時、入力モードではスイッチScが閉じて演算増幅器の出力が帰還して、反転入力(−)が実質的に非反転入力(+)と同じレベル(接地)となる。そしてスイッチSa、Sbを介して入力信号VがキャパシタC1、C2に供給される。出力モードでは、論理ユニットLによりスイッチSdが制御されて必要なシフトレベルVsを取り込み、スイッチSa、Sb、Scが切り替えられる。これにより、キャパシタC1が演算増幅器の出力と反転入力との間に接続され、キャパシタC2がシフトレベルVsと演算増幅器の反転入力との間に接続される。従って、演算増幅器の出力からキャパシタC1、C2を介してVs側に電流が流れる。この電流により二つのキャパシタ間で電荷転送が行われて演算増幅器の反転入力の電圧が非反転入力の電圧(接地)に等しくなる。二つのキャパシタの容量が等しい(=C)場合、ΔQ=(V−Vs)Cで表される電荷が転送されて演算増幅器の出力電圧はV0=2V−Vsとなる。従って、定数2による乗算と電圧シフトが行われる。ところが、二つのキャパシタの容量が等しくない場合、ΔQ=(V−Vs)C2で表される電荷が転送されて演算増幅器の出力電圧はV0=V(1+C2/C1)−VsC2/C1となる。この場合、乗算定数、電圧シフト共にキャパシタの容量に応じて変化し正しい動作とならない。
【0025】
実際の回路では、図2において演算増幅器が差動入力を受けて差動出力を出力するものとし、それ以外の回路は図2に示す回路構成をそのまま差動入力分だけ追加し、差動出力V0の反転入力を演算増幅器(+)入力端子で受けるようにしてもい。
【0026】
図3に示す乗算・シフトユニットでは乗算定数のキャパシタC1、C2に対する依存性が軽減されている。この図において図2の回路素子と対応するものには同じ参照番号が付与されている。
【0027】
入力モードではスイッチS1によりキャパシタC1の一端が入力信号Vに接続され、出力モードでは増幅器Aの出力に接続される。入力モードではスイッチS2によりキャパシタC1の他端が(以下の計算ではほぼ0である)基準電位に接続され、出力モードでは増幅器Aの反転入力(−)に接続される。入力モードではスイッチS3によりキャパシタC2の一端が入力信号Vに接続され、出力モードでは増幅器Aの非反転入力(+)に接続される。そして、入力モードではスイッチS4によりキャパシタC2の他端が上記基準電位に接続され、出力モードではシフトレベルVsに接続される。入力モードでは、キャパシタC1には入力信号Vが供給され、キャパシタC2には入力信号VとシフトレベルVsの差分が供給され、キャパシタC2の両端電圧はV−Vsとなる。出力モードでは、キャパシタC2は演算増幅器Aの非反転入力と接地間に接続されて非反転入力はV−Vsとなる。さらに、演算増幅器出力がキャパシタC1を介して帰還して反転入力(−)には非反転入力(+)であるV−Vsが現れ、反転入力(−)電圧V−Vsより高いキャパシタC1の電圧Vが出力電圧V0として現れる。従って、演算増幅器の出力はV0=2V−Vsとなる。出力モードではこれらキャパシタには電流が流れず、従ってこの出力モードにおいてはこれらキャパシタ間では電荷転送が行われないので演算増幅器出力はキャパシタC1、C2の容量には依存しない。
【0028】
上記各電圧は”接地”即ちシフトレベルVsを電位0としたときの電圧である。実際の回路では、この接地電位は回路に供給される負電圧より高く設定される。標準CMOS技術による実際の回路では、負供給電圧Vm=1.4ボルトより高い0.7ボルトでもよく、この場合、電圧Vは0.7乃至2.1ボルトの範囲で変化することになる。これは他の図に示される回路でも同じである。
【0029】
出力モードではこれらキャパシタを単純に直列接続させることによっても理論的には両キャパシタ間での電荷転送を行わないようにすることができる。これを図4に示す。入力モードではキャパシタC1、C2にそれそぞれV、V−Vsを供給する。そして出力モードでこれらキャパシタを直列接続させることにより出力信号2V−Vsを得る。大電流がこれらキャパシタに流れないように演算増幅器Aがその出力端でインピーダンス変換器として動作する。しかし、寄生容量は避けられず、出力モードでは、相互接続されたキャパシタC1、C2の接地間の寄生容量と、相互接続されたキャパシタC1と非反転増幅器入力(+)間の接地間の寄生容量とにより出力電圧が減衰し、従って定数2による乗算が行えない。図3の回路では増幅器の非反転入力(+)と接地間の寄生容量により減衰が起きるが、反転入力(−)と接地間の寄生容量による増幅作用があり、理想的にはこれらが相殺されて定数2による乗算が可能になる。
【0030】
ところで図3の回路はシフトレベルVsが入力モード時に既に必要という欠点がある。つまり、キャパシタC1、C2に電圧供給する入力モードの前に、比較器P1、P2を活性化させるさらなるモードが必要となる。このようなさらなるモードにより当然AD変換器のサンプリングレートが落ちることになる。図3の回路のさらなる欠点としてはキャパシタC2とスイッチS3の相互接続での寄生容量により増幅器Aの非反転入力(+)のシフトレベルVsが減衰することである。
【0031】
図5に示す差動入力を扱うパイプラインセルによりこのような問題を解決することができる。この実施形態は二つの乗算・シフトユニットM、M’を備える。図4までの回路と対応する回路素子には同じ参照番号が付与されている。
【0032】
この回路では、二つの信号成分V,Vm−Vから成る差動アナログ入力を扱う。信号成分Vは0からVmまで変化し、信号成分Vm−Vは逆相でVmから0まで変化する。入力モードで、信号成分の一つ(ユニットMではVm−V)がキャパシタC1に供給され、他の信号成分(ユニットMではV)がキャパシタC2に供給されるということがこの回路の最も特徴的なことである。ユニットMにおいて、出力モードで、スイッチS1、S2によりキャパシタC1が演算増幅器Aの反転入力と出力間に接続され、スイッチS3、S4によりキャパシタC2がシフトレベルVsと演算増幅器Aの非反転入力間に接続される。従って、出力モードでは、演算増幅器の非反転入力(+)には電圧Vs−Vが供給され、演算増幅器の帰還作用により反転入力(−)には同じ電圧Vs−Vが現れてこの電圧とキャパシタC1の電圧Vm−Vの和であるV0=Vs−V+Vm−V=Vs+Vm−2VがユニットMの出力電圧となる。
【0033】
同様にユニットM’でも、入力モードで、信号VがキャパシタC1に供給され、信号Vm−VがキャパシタC2に供給される。出力モードで、スイッチS1、S2によりキャパシタC1が演算増幅器Aの反転入力(−)と出力間に接続され、スイッチS3、S4によりキャパシタC2がシフトレベルVs’と演算増幅器Aの非反転入力(+)間に接続される。従って、出力モードでは、演算増幅器Aの非反転入力には電圧Vs’と電圧Vm−Vの差であるVs’−Vm+Vが供給され、演算増幅器の帰還作用により反転入力には同じ電圧Vs’−Vm+Vが現れてこの電圧とキャパシタC1の電圧Vの和であるV0’=Vs’−Vm+2VがユニットM’の出力電圧となる。
【0034】
スイッチS5によりユニットMにシフトレベルVsが供給される一方、スイッチS5とは逆に切り替えられるスイッチS5’よりユニットM’にシフトレベルVs’が供給される。従って、二つのスイッチレベルはVs+Vs’=Vmとなる。さらに、二つの出力電圧V0とV0’が逆相で0とVm間を変化し、これらの和V0+V0’がVmに等しくなる。即ち、(Vs+Vm−2V)+(Vs’−Vm+2V)=Vs+Vs’=Vmとなる。従って、図5に示す回路と同じ構成の次のパイプラインセルに適切な出力電圧V0とV0’が供給される。
【0035】
図5の実施形態では二つの比較器P1、P2と、二つのスイッチS5、S5’を制御する論理ユニットLが示されている。図1の対応する比較器同様、比較器P1によりアナログ入力信号Vと比較レベル3/8Vmを比較する。比較器P2では信号Vm−Vとレベル3/8Vmを比較する。これは図1での電圧Vとレベル5/8Vmとの比較に相当する。
【0036】
各図における乗算・シフトユニットの各々では相互に接続される入出力数に応じてキャパシタ(C1、C2)とスイッチ(S1、S2、S3、S4)が増設されるが、スイッチS1乃至S4は逆相で動作するので、あるキャパシタ組が入力モードで動作すると他のキャパシタ組は出力モードで動作し、またこの逆に動作する。図6のユニットMではキャパシタC1’C2’とスイッチS1’乃至S4’がこの動作状態になっている。これによりAD変換器の動作速度が倍になる。さらには各増幅器の出力電圧が一時的に不定なるということを防止できる。
【0037】
図5の回路ではスイッチ2とS4を省略してキャパシタC1を常時増幅器Aの反転入力(−)に接続し、入力モードで(図2の公知の回路のように)この接続を増幅器の出力に切り替え、またキャパシタC2を常時増幅器の非反転入力(+)に接続し、入力モードでこの接続を例えば1/2Vm等の基準電圧にに切り替えるようにしてもよい。なお、図6を参照して説明したような入出力モードで増幅器Aにより一つの信号成分(V0又はV0’)を出力して動作速度を倍にするというのはこの変形例では不可能である。
【0038】
ところで、すべてのスイッチを同時に動作させて入力モードから出力モードまたその逆に切り替えるのは好ましくない。不適切な接続を避けるために演算増幅器の入力端子を接続するスイッチ(例えば図5ではスイッチS2,S4)は他のスイッチより早く開ける必要がある。この後のこれらスイッチを閉じるのはそれ程精度を必要とせず同時に行ってもよい。
【0039】
さらにこの発明の増幅器Aは、2入力端子間の電圧を出力電流に変換するトランスコンダクタンス演算増幅器(OTA)でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パイプラインAD変換器における一つのセルの概略ダイアグラムを示す図である。
【図2】 パイプラインAD変換器に用いられる公知の乗算・シフトユニットの概略ダイアグラムを示す図である。
【図3】 この発明のパイプラインAD変換器に用いられる乗算・シフトユニットの概略ダイアグラムを示す図である。
【図4】 この発明のパイプラインAD変換器に用いられる乗算・シフトユニットの概略ダイアグラムを示す図である。
【図5】 この発明のパイプラインAD変換器における一つのセルの概略ダイアグラムを示す図である。
【図6】 図5に示すAD変換器に用いられる乗算・シフトユニットの変形例の概略ダイアグラムを示す図である。
Claims (4)
- カスケード接続された複数のセルを有するキャパシタ切替えパイプライン・アナログデジタル変換器であって、各セルは、
供給されたアナログ信号を少なくとも一つの所定比較レベルと比較して比較結果を示す一つ以上のデジタルビットを出力する比較手段と、
前記アナログ信号に定数2を乗じ、前記比較結果に応じたシフトレベルにより前記アナログ信号をシフトする乗算・シフト手段と、
前記乗算・シフトが行われたアナログ信号を前記カスケード接続された次のセルに供給する手段とを備え、
前記乗算・シフト手段は、入力モードで切り替えられて前記アナログ信号を受ける第1、第2のキャパシタを有し、出力モードでは前記第1、第2のキャパシタは切り替えられてそれぞれ電荷を蓄積し、両キャパシタ電圧を加えて前記次のセルに供給するためのアナログ信号を発生し、前記出力モードでは、前記第1キャパシタは演算増幅器の出力と反転入力の間で切り替えられ、前記第2キャパシタは前記演算増幅器の非反転入力と基準電圧の間で切り替えられることを特徴としたアナログデジタル変換器。 - 各セルは二つの信号成分から成る差動入力を受け、前記入力モードでは、前記乗算・シフト手段の前記第1キャパシタは前記差動入力の一信号成分を受け、前記乗算・シフト手段の前記第2キャパシタは前記差動入力の他の信号成分を受けることを特徴とした請求項1記載のアナログデジタル変換器。
- 逆相の差動入力信号とさらに逆相で切り替えられるシフトレベルを受ける二つの同一な乗算・シフト手段を備えたことを特徴とした請求項2記載のアナログデジタル変換器。
- 前記乗算・シフト手段は二つの等しく回路構成されたキャパシタ組を備え、一つのキャパシタ組は他のキャパシタ組の対応する入出力端子と相互接続される入出力端子を有し、前記他のキャパシタ組が前記出力モードで動作するとき前記一つのキャパシタ組は前記入力モードで動作し、またこの逆に動作するように前記キャパシタ組が切り替えられることを特徴とした請求項3に記載のアナログデジタル変換器。
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