JP3916060B2 - シリアル通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタ端末と複数のスレーブ端末とをシリアル通信ラインにて接続したシリアル通信装置に係り、特に、各スレーブ端末のアドレスを容易に設定でき、マスタ端末及び各スレーブ端末双方で、設定されたアドレスを認識することができるシリアル通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
主装置と、この主装置に接続された親機と、この親機と無線によりデータを送受信する子機とを備えたワイヤレスインターカムシステムがある。ワイヤレスインターカムシステムにおいて、子機の台数を増やすには、親機の台数を増やす必要がある。主装置に対し、複数の親機を接続する場合、1つの親機を主装置に接続するマスタ端末とし、残りの親機をスレーブ端末とし、マスタ端末の親機と各スレーブ端末の親機をシルアル通信ラインによって接続することが考えられる。
【0003】
このように、マスタ端末と各スレーブ端末とをシルアル通信ラインによって接続する場合、各スレーブ端末にはアドレスを設定する必要がある。従来のアドレス設定方法としては、各スレーブ端末に例えばディップスイッチ等の設定スイッチを設けて、設定スイッチによって設定する方法、各スレーブ端末にアドレスを記憶させたROMを装着する方法等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
設定スイッチによってアドレスを設定する方法では、コストアップを招くという問題点や設定間違いを起こしやすいという問題点がある。アドレスを記憶させたROMを用いる方法では、コストアップを招くという問題点やアドレスの変更ができないという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、各スレーブ端末のアドレスをほとんどコストアップなく容易に設定でき、マスタ端末及び各スレーブ端末双方で、設定されたアドレスを認識することができるシリアル通信装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、マスタ端末(M1)と複数のスレーブ端末(21S1,21S2,21S3)とをシリアル通信ライン(51)にて接続したシリアル通信装置において、前記複数のスレーブ端末それぞれは、前記マスタ端末に対するリクエスト信号を出力するリクエスト信号出力手段(S114,S214,S314)と、自己のスレーブ端末または他のスレーブ端末から出力されたリクエスト信号を入力するための、前記複数のスレーブ端末の個数を有する複数個のリクエスト信号入力端子(S115〜S117,S215〜S217,S315〜S317)とを備え、前記マスタ端末は、前記複数のスレーブ端末それぞれが出力するリクエスト信号を入力するための、前記複数のスレーブ端末の個数を有する複数個のリクエスト信号入力端子(M15〜M17)を備え、前記マスタ端末の複数個のリクエスト信号入力端子と前記複数のスレーブ端末とは、前記複数のスレーブ端末それぞれが出力するリクエスト信号を前記マスタ端末のそれぞれのリクエスト信号入力端子に供給するためのリクエスト信号ライン(611〜613)にて接続され、前記マスタ端末は、前記マスタ端末における前記複数個のリクエスト信号入力端子へのリクエスト信号の入力の有無により前記複数のスレーブ端末それぞれのアドレスを決定し、前記複数のスレーブ端末それぞれは、前記スレーブ端末における前記複数個のリクエスト信号入力端子へのリクエスト信号の入力の有無により自己のアドレスを決定することを特徴とするシリアル通信装置を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシリアル通信装置について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明のシリアル通信装置の一実施形態を示すブロック図、図2は本発明のシリアル通信装置を用いる一例であるワイヤレスインターカムシステムの概略構成を示すブロック図、図3は本発明のシリアル通信装置における動作を説明するための図、図4は本発明のシリアル通信装置で用いるコマンドのフォーマットの一例を示す図、図5は本発明のシリアル通信装置で用いるステータスの一例を示す図、図6は本発明のシリアル通信装置におけるマスタ端末のアドレス決定方法を示す図、図7〜図9は本発明のシリアル通信装置におけるスレーブ端末のアドレス決定方法を示す図、図10は本発明のシリアル通信装置における各スレーブ端末へのリクエスト信号の入力方法の例を示す図、図11及び図12は本発明のシリアル通信装置におけるマスタ端末からスレーブ端末へのコマンド送信を説明するための図、図13は本発明のシリアル通信装置におけるスレーブ端末からマスタ端末へのステータス送信を説明するための図である。
【0008】
まず、図2を用いて、本発明のシリアル通信装置を用いる好適な一例であるワイヤレスインターカムシステムについて説明する。図2において、主装置10は、ワイヤレスインターカムシステム全体を制御するための制御装置となっている。主装置10には、親機21Mが有線にて接続されている。親機21Mには3台の親機21S1,21S2,21S3がシリアル通信ライン51にて接続されている。子機311,312は、親機21M〜21S3との間で、無線にて音声信号等のデータを送受信する。これら4つの親機21M〜21S3と2つの子機311,312は、1つのエリア(エリア1)を形成している。
【0009】
図2に示す例は、8つのエリアを設定した場合を示している。シリアル通信ライン58にて互いに接続された4つの親機28M〜28S3と、2つの子機381,382は、1つのエリア(エリア8)を形成している。主装置10には、図示を省略したエリア2〜7それぞれの親機がエリア1,8と同様にして接続されている。なお、親機及び子機の数は単なる一例であり、親機の数に応じて子機の最大の数が決まる。
【0010】
さらに、主装置10には、操作部40が接続されている。操作部40には、例えばマイクロホンやスピーカ及び各種の操作ボタンが設けられている。マイクロホンを介して入力された音声信号は主装置10を介して特定または全てのエリアの親機へと伝送され、それぞれの子機へと送信される。子機からの音声信号は主装置10を介して操作部40のスピーカや、他のエリアの子機へと送信される。
【0011】
次に、図1を用いて、本発明の詳細な構成について説明する。図2におけるそれぞれのエリアの親機の接続方法は同じであるので、図1では、エリア1の親機21M〜21S3のみ図示して説明することとする。図1において、親機21Mは、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)M1と、送受信切換回路M2とを備える。親機21Mはマスタ端末であり、マイコンM1はマスタマイコンとして動作する。マイコンM1は、シリアルデータ出力端子M11,シリアルデータ入力端子M12,送受信切換信号出力端子M13,リクエスト信号入力端子M15〜M17,記憶部M1mを備える。
【0012】
親機21S1は、マイコンS11と、送受信切換回路S12とを備える。親機21S1はスレーブ端末であり、マイコンS11はスレーブマイコンとして動作する。マイコンS11は、シリアルデータ入力端子S111,シリアルデータ出力端子S112,送受信切換信号出力端子S113,リクエスト信号出力端子S114,リクエスト信号入力端子S115〜S117,記憶部S11mを備える。
【0013】
親機21S2は、マイコンS21と、送受信切換回路S22とを備える。親機21S2はスレーブ端末であり、マイコンS21はスレーブマイコンとして動作する。マイコンS21は、シリアルデータ入力端子S211,シリアルデータ出力端子S212,送受信切換信号出力端子S213,リクエスト信号出力端子S214,リクエスト信号入力端子S215〜S217,記憶部S21mを備える。
【0014】
親機21S3は、マイコンS31と、送受信切換回路S32とを備える。親機21S3はスレーブ端末であり、マイコンS31はスレーブマイコンとして動作する。マイコンS31は、シリアルデータ入力端子S311,シリアルデータ出力端子S312,送受信切換信号出力端子S313,リクエスト信号出力端子S314,リクエスト信号入力端子S315〜S317,記憶部S31mを備える。
【0015】
上記のように、マスタ端末である親機21Mと、スレーブ端末である親機21S1〜21S3とは、シリアル通信ライン51にて接続されている。親機21S1のマイコンS11のリクエスト信号出力端子S114と、親機21MのマイコンM1のリクエスト信号入力端子M15とは、リクエスト信号ライン611にて接続されている。親機21S2のマイコンS21のリクエスト信号出力端子S214と、親機21MのマイコンM1のリクエスト信号入力端子M16とは、リクエスト信号ライン612にて接続されている。親機21S3のマイコンS31のリクエスト信号出力端子S314と、親機21MのマイコンM1のリクエスト信号入力端子M17とは、リクエスト信号ライン613にて接続されている。
【0016】
リクエスト信号出力端子S114より出力されたリクエスト信号RQ1は、リクエスト信号ライン611を介してリクエスト信号入力端子M15に供給される。リクエスト信号出力端子S214より出力されたリクエスト信号RQ2は、リクエスト信号ライン612を介してリクエスト信号入力端子M16に供給されると共に、親機21S1のマイコンS11のリクエスト信号入力端子S116と親機21S2のマイコンS21のリクエスト信号入力端子S215に供給される。
【0017】
リクエスト信号出力端子S314より出力されたリクエスト信号RQ3は、リクエスト信号ライン613を介してリクエスト信号入力端子M17に供給されると共に、親機21S1のマイコンS11のリクエスト信号入力端子S117と親機21S2のマイコンS21のリクエスト信号入力端子S216と親機21S3のマイコンS31のリクエスト信号入力端子S315に供給される。
【0018】
図1より分かるように、親機21S1のマイコンS11のリクエスト信号入力端子S115と、親機21S2のマイコンS21のリクエスト信号入力端子S217と、親機21S3のマイコンS31のリクエスト信号入力端子S316,S317には、リクエスト信号RQ1〜RQ3のいずれも供給せず、それらのリクエスト信号入力端子は不使用となっている。
【0019】
さて、マスタ端末である親機21Mからスレーブ端末である親機21S1〜21S3へとシリアル通信ライン51を介してデータ(例えばコマンド)を送信する場合には、送受信切換回路M2によって親機21Mを“送信”の状態にし、送受信切換回路S12〜S32によって親機21S1〜21S3を“受信”の状態にしなければならない。親機21S1〜21S3から親機21Mへとシリアル通信ライン51を介してデータ(例えばステータス)を送信する場合には、その逆の状態にしなければならない。
【0020】
親機21MのマイコンM1の送受信切換信号出力端子M13からハイの信号を送受信切換回路M2に供給すれば、親機21Mは、送信用のゲートがイネーブル、受信用のゲートがディスイネーブルとなって、“送信”の状態となる。逆に、送受信切換信号出力端子M13からローの信号を送受信切換回路M2に供給すれば、親機21Mは“受信”の状態となる。
【0021】
親機21S1〜21S3のマイコンS11〜S31の送受信切換信号出力端子S113〜S313からローの信号を送受信切換回路S12〜S32に供給すれば、親機21S1〜21S3は、受信用のゲートがイネーブル、送信用のゲートがディスイネーブルとなって、“受信”の状態となる。逆に、送受信切換信号出力端子S113〜S313からハイの信号を送受信切換回路S12〜S32に供給すれば、親機21S1〜21S3は“送信”の状態となる。
【0022】
ここで、親機21S1〜21S3それぞれのアドレスの設定方法について詳細に説明する。親機21S1〜21S3へのアドレスの設定は、ワイヤレスインターカムシステムの電源投入時(起動時)等のシステムを初期化する際に行われる。図3に示すように、マスタ端末である親機21Mは、シリアル通信ライン51を介して、スレーブ端末である親機21S1〜21S3へと、接続確認開始コマンドを送信する。接続確認開始コマンドはアドレス指定なしのコマンドであり、シリアル通信ライン51に接続された全てのスレーブ端末に接続確認開始コマンドが供給されることとなる。
【0023】
親機21S1〜21S3は、接続確認開始コマンドを受信すると、既に設定されたアドレスをクリアする等の初期化(リセット)を行う。そして、親機21S1〜21S3は、リクエスト信号RQ1〜RQ3をアサート(オン)し、リクエスト信号ライン611〜613を介してリクエスト信号RQ1〜RQ3を親機21Mに送信する。親機21Mは、例えば100ms毎の一定周期で接続確認開始コマンドを複数回(例えば10回)送信する。これは、親機21S1〜21S3が接続確認開始コマンドを確実に受信し、リクエスト信号RQ1〜RQ3を確実に親機21Mに送信するようにするためである。
【0024】
親機21Mが接続確認開始コマンドを送信する毎に、親機21S1〜21S3が接続確認開始コマンドを受信する毎に、マイコンM1,S11〜S31の記憶部M1m,S11m〜S31mはリクエスト信号RQ1〜RQ3の入力の有無を更新記憶する。
【0025】
そして、親機21Mは、10回目の接続確認開始コマンド送信後の100ms後に、図3に示すように、接続確認終了コマンドを送信する。接続確認終了コマンドはアドレス指定なしのコマンドであり、シリアル通信ライン51に接続された全てのスレーブ端末に接続確認終了コマンドが供給されることとなる。親機21S1〜21S3は、接続確認終了コマンドを受信すると、リクエスト信号RQ1〜RQ3をネゲート(オフ)する。
【0026】
図4に、親機21Mから親機21S1〜21S3に送信するコマンド(接続確認開始コマンド及び接続確認終了コマンドを含む)のフォーマットの一例を示す。図4(A)に示すように、コマンドは、スタート・オブ・テキストSTX,アドレスADR,コマンドCMD,エンド・オブ・テキストETXよりなる。STX,ADR,ETXは例えば1バイトであり、CMDは例えば1または複数バイトである。
【0027】
図4(B)は、STX,ADR,CMD,ETXの具体例である。STXはC2h(hは16進数であることを示す)である。ADRは、00hであればアドレス指定なし、01hであればアドレス1、02hであればアドレス2、03hであればアドレス3である。CMDはそれぞれのコマンドでその具体的内容は異なる。ETXはC3hである。図4(C)は、ADRの具体例である。ビットb0〜b7の内、ビットb4は、親機21Mから親機21S1〜21S3への信号であることを示す0となっている。ビットb0,b1のADR0,ADR1は、それぞれ1または0である。
【0028】
図5に、親機21S1〜21S3から親機21Mに送信するステータスのフォーマットの一例を示す。ステータスのフォーマットは、図5(A),(B)に示すように、図4のCMDの代わりにステータスSTSとなっている。図5(C)に示すように、STSのADRにおけるビットb4は、親機21S1〜21S3から親機21Mへの信号であることを示す1となっている。
【0029】
以上のような接続確認開始コマンドの送受信に応答して更新記憶したリクエスト信号RQ1〜RQ3の入力の有無に基づいて、マスタ端末である親機21M(マイコンM1)は、スレーブ端末である親機21S1〜21S3それぞれのアドレスを決定し、親機21S1〜21S3(マイコンS11〜S31)それぞれは自己のアドレスを決定する。図6は、親機21Mにおける親機21S1〜21S3それぞれのアドレスの決定(割り当て)方法を示している。なお、図6において、スレーブ1は親機21S1、スレーブ2は親機21S2、スレーブ3は親機21S3である。
【0030】
親機21MのマイコンM1において、スレーブ1〜3からのリクエスト信号の入力が全てあるとき(あり,あり,ありの組み合わせのとき)、即ち、リクエスト信号入力端子M15〜M17が全てハイのとき、これは、図1のように、親機21Mに3つのスレーブ端末(親機21S1〜21S3)を接続した状態を示している。このとき、親機21Mは、スレーブ1のアドレスを1、スレーブ2のアドレスを2、スレーブ3のアドレスを3と決定する。
【0031】
スレーブ1,2からのリクエスト信号の入力があり、スレーブ3からのリクエスト信号の入力がないとき(“あり,あり,なし”の組み合わせのとき)、これは、親機21Mに2つのスレーブ端末(親機21S1,21S2)を接続した状態を示している。このとき、親機21Mは、スレーブ1のアドレスを1、スレーブ2のアドレスを3と決定する。スレーブ1からのリクエスト信号の入力があり、スレーブ2,3からのリクエスト信号の入力がないとき(“あり,なし,なし”の組み合わせのとき)、これは、親機21Mに1つのスレーブ端末(親機21S1)のみを接続した状態を示している。このとき、親機21Mは、スレーブ1のアドレスを1と決定する。
【0032】
図7は、スレーブ1である親機21S1における自己のアドレスの決定(認識)方法を示している。親機21S1のマイコンS11のリクエスト信号入力端子S115〜S117に対するリクエスト信号入力の有無の組み合わせは、“なし,なし,なし”,“なし,あり,なし”,“なし,なし,あり”,“なし,あり,あり”のいずれかである。リクエスト信号入力端子S115は不使用であるので、リクエスト信号入力端子S115へのリクエスト信号入力は常になし(ロー)である。図7に示すように、親機21S1は、いずれの場合でもアドレスを1と決定する。
【0033】
図8は、スレーブ2である親機21S2における自己のアドレスの決定(認識)方法を示している。親機21S2のマイコンS21のリクエスト信号入力端子S215〜S217に対するリクエスト信号入力の有無の組み合わせは、“あり,なし,なし”,“あり,あり,なし”のいずれかである。リクエスト信号入力端子S215には、自己のリクエスト信号RQ2を入力するので、リクエスト信号入力端子S215へのリクエスト信号入力は常にあり(ハイ)であり、リクエスト信号入力端子S217は不使用であるので、リクエスト信号入力端子S217へのリクエスト信号入力は常になし(ロー)である。
【0034】
図8に示すように、親機21S2は、あり,なし,なし”のとき、アドレスを3と決定し、“あり,あり,なし”のとき、アドレスを2と決定する。リクエスト信号入力端子S216への入力があるということは、親機21S2より後にさらに他のスレーブ端末が接続されている場合である。リクエスト信号入力端子S216への入力がないということは、親機21S2より後には他のスレーブ端末が接続されていない場合である。親機21S2は、自己より後にスレーブ端末が接続されているか否かを判別することができる。
【0035】
図9は、スレーブ3である親機21S3における自己のアドレスの決定(認識)方法を示している。親機21S3のマイコンS31のリクエスト信号入力端子S315〜S317に対するリクエスト信号入力の有無の組み合わせは、“あり,なし,なし”のみである。リクエスト信号入力端子S315には、自己のリクエスト信号RQ3を入力するので、リクエスト信号入力端子S315へのリクエスト信号入力は常にあり(ハイ)であり、リクエスト信号入力端子S316,S317は不使用であるので、リクエスト信号入力端子S316,S317へのリクエスト信号入力は常になし(ロー)である。
【0036】
図9に示すように、親機21S3は、“あり,なし,なし”のとき、アドレスを3と決定する。
【0037】
以上をまとめると、マスタ端末(親機21M)及びこれに接続するスレーブ端末(親機21S1,21S2,21S3…)のそれぞれのマイコン間を次のように結線して、それぞれのスレーブ端末のアドレスを次のように決定すればよい。まず、マスタ端末のマイコンには、マスタ端末に接続する最大数のスレーブ端末からのリクエスト信号を入力することができるよう、少なくともその最大数のリクエスト信号入力端子を設ける。または、マイコンの複数のポートの内、その最大数の分だけリクエスト信号入力端子として割り当てる。そして、スレーブ端末のマイコンそれぞれのリクエスト信号出力端子とマスタ端末のマイコンのリクエスト信号入力端子とを結線する。
【0038】
スレーブ端末の最大数をN(2以上の整数)個とし、マスタ端末にN個のスレーブ端末を接続するとき、マスタ端末は、順に、1,2,…,Nとアドレスを付与すればよい。N個の内のn(1以上の整数)個を使用せず、マスタ端末にN−n個のスレーブ端末を接続するときには、マスタ端末は、1,…,N−1−n,Nとアドレスを付与すればよい。なお、図6の例では、Nは3、“あり,あり,なし”のときnは1であり、N−1−nは1となるので、アドレスは1,3となる。
【0039】
スレーブ端末どうしは、次のように結線して、スレーブ端末それぞれは自己のアドレスを次のように決定(認識)すればよい。図10に、Nが5の場合で、それぞれのスレーブ端末(スレーブ1〜5)のリクエスト信号の入力方法(リクエスト信号入力端子の使用方法)を示す。図5において、リクエスト信号入力端子▲1▼〜▲5▼の“×”は不使用(リクエスト信号を入力しない)を意味し、“○”は使用(リクエスト信号を入力する)を意味する。
【0040】
スレーブ1は、リクエスト信号入力端子▲1▼を不使用とする。スレーブ2〜5は、第1番のリクエスト信号入力端子▲1▼に自己のリクエスト信号を入力する。また、スレーブ2〜5は、スレーブの番号をPとしたとき、最後の入力端子、この例ではリクエスト信号入力端子▲5▼から、P−1個だけ不使用とする。図10に示すように、例えば、スレーブ2では1個(=(2−1)個)のリクエスト信号入力端子▲5▼のみ不使用とし、スレーブ3では2個(=(3−1)個)のリクエスト信号入力端子▲5▼,▲4▼を不使用とする。
【0041】
不使用となっておらず、自己のリクエスト信号も入力しない残りのリクエスト信号入力端子には、リクエスト信号入力端子の番号(Qとする)にスレーブの番号Pを加え、1を減じた数であるQ+P−1のスレーブからのリクエスト信号を入力する。
【0042】
スレーブ1では、リクエスト信号入力端子▲2▼〜▲5▼に、Q+1−1より、スレーブ2〜5からのリクエスト信号を入力する。スレーブ2では、リクエスト信号入力端子▲2▼〜▲4▼に、Q+2−1より、スレーブ3〜5からのリクエスト信号を入力する。スレーブ3では、リクエスト信号入力端子▲2▼,▲3▼に、Q+3−1より、スレーブ4,5からのリクエスト信号を入力する。スレーブ4では、リクエスト信号入力端子▲2▼に、Q+4−1より、スレーブ5からのリクエスト信号を入力する。
【0043】
そして、スレーブ1は、第1番のリクエスト信号入力端子▲1▼が不使用であることにより、リクエスト信号入力端子▲2▼〜▲5▼への入力の有無にかかわらず、アドレス1とする。
【0044】
スレーブ2〜5は、最後の入力端子であるリクエスト信号入力端子▲5▼から数えて、最初に○(リクエスト信号の入力あり)となる入力端子の番号をアドレスとして判定する。例えば、スレーブ4では、リクエスト信号入力端子▲5▼から数えて4番目であるリクエスト信号入力端子▲2▼で○となるので、アドレスは4となる。
【0045】
ここで、スレーブ5を使用せず、スレーブ1〜4のみ使用する場合を考える。このとき、スレーブ4のリクエスト信号入力端子▲2▼には、スレーブ5からのリクエスト信号が入力されないので、図10におけるスレーブ4のリクエスト信号入力端子▲2▼は×(リクエスト信号の入力なし)となる。よって、スレーブ4のアドレスは、4ではなく、5となる。同様に、スレーブ2のアドレスは3、スレーブ3のアドレスは4となる。
【0046】
図1のスレーブ端末が3つの場合に戻り、マスタ端末からスレーブ端末にコマンドを送信する場合の動作について説明する。図11は、スレーブ1〜3にアドレス指定なしで一括して所定のコマンドを送信する場合を示している。図11(A)に示すように、マスタ端末から全てのスレーブ端末にアドレス指定なしのコマンドを送信する。このとき、図11(B)〜(D)に示すように、スレーブ1〜3は特にステータス等を返信しない。
【0047】
図12は、スレーブ1〜3の内の特定のスレーブにアドレス指定して所定のコマンドを送信する場合を示している。図12(A)に示すように、マスタ端末からアドレス1を指定してコマンドを送信し、その後、アドレス3を指定してコマンドを送信する。このとき、図12(B)示すように、スレーブ1はアドレス1のステータスをマスタ端末に返信し、図12(D)に示すように、スレーブ3はアドレス3のステータスをマスタ端末に返信する。図12(C)に示すように、スレーブ2は何も応答しない。
【0048】
図13は、スレーブ1からマスタ端末に送信すべきステータスがある場合を示している。スレーブ1からマスタ端末に送信すべきステータスがある場合には、図13(C)に示すように、リクエスト信号RQ1をアサートする。ここでは、ハイがリクエスト信号のネゲート(オフ)、ローがリクエスト信号のアサート(オン)である。マスタ端末は、スレーブ1からのリクエスト信号RQ1を受けて、図13(A)に示すように、ステータスリクエストのコマンドをスレーブ1に送信する。
【0049】
ステータスリクエストを受けたスレーブ1は、図13(B)に示すように、ステータスをマスタ端末に送信する。その後、図13(C)に示すように、リクエスト信号RQ1をネゲートする。図13(D)〜(G)に示すように、スレーブ2,3は、リクエスト信号RQ2,RQ3はネゲートであり、ステータスも送信しない。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のシリアル通信装置は、マスタ端末と複数のスレーブ端末とをシリアル通信ラインにて接続してなり、複数のスレーブ端末それぞれは、マスタ端末に対するリクエスト信号を出力するリクエスト信号出力手段と、自己のスレーブ端末または他のスレーブ端末から出力されたリクエスト信号を入力するための、複数のスレーブ端末の個数を有する複数個のリクエスト信号入力端子とを備え、マスタ端末は、複数のスレーブ端末それぞれが出力するリクエスト信号を入力するための、複数のスレーブ端末の個数を有する複数個のリクエスト信号入力端子を備える。そして、マスタ端末の複数個のリクエスト信号入力端子と複数のスレーブ端末とは、複数のスレーブ端末それぞれが出力するリクエスト信号をマスタ端末のそれぞれのリクエスト信号入力端子に供給するためのリクエスト信号ラインにて接続される。
【0051】
この構成において、マスタ端末は、マスタ端末における複数個のリクエスト信号入力端子へのリクエスト信号の入力の有無により複数のスレーブ端末それぞれのアドレスを決定し、複数のスレーブ端末それぞれは、スレーブ端末における複数個のリクエスト信号入力端子へのリクエスト信号の入力の有無により自己のアドレスを決定する。
【0052】
これにより、各スレーブ端末のアドレスをほとんどコストアップなく容易に設定でき、マスタ端末及び各スレーブ端末双方で、設定されたアドレスを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明を用いる一例であるワイヤレスインターカムシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明における動作を説明するための図である。
【図4】本発明で用いるコマンドのフォーマットの一例を示す図である。
【図5】本発明で用いるステータスの一例を示す図である。
【図6】本発明におけるマスタ端末のアドレス決定方法を示す図である。
【図7】本発明におけるスレーブ端末のアドレス決定方法を示す図である。
【図8】本発明におけるスレーブ端末のアドレス決定方法を示す図である。
【図9】本発明におけるスレーブ端末のアドレス決定方法を示す図である。
【図10】本発明における各スレーブ端末へのリクエスト信号の入力方法の例を示す図である。
【図11】本発明におけるマスタ端末からスレーブ端末へのコマンド送信を説明するための図である。
【図12】本発明におけるマスタ端末からスレーブ端末へのコマンド送信を説明するための図である。
【図13】本発明におけるスレーブ端末からマスタ端末へのステータス送信を説明するための図である。
【符号の説明】
21M 親機(マスタ端末)
21S1〜21S3 親機(スレーブ端末)
51 シリアル通信ライン
611,612,613 リクエスト信号ライン
M1,S11,S21,S31 マイクロコンピュータ
M15〜M17,S115〜S117,S215〜S217,S315〜S317 リクエスト信号入力端子
S114,S214,S314 リクエスト信号出力端子(リクエスト信号出力手段)

Claims (1)

  1. マスタ端末と複数のスレーブ端末とをシリアル通信ラインにて接続したシリアル通信装置において、
    前記複数のスレーブ端末それぞれは、
    前記マスタ端末に対するリクエスト信号を出力するリクエスト信号出力手段と、
    自己のスレーブ端末または他のスレーブ端末から出力されたリクエスト信号を入力するための、前記複数のスレーブ端末の個数を有する複数個のリクエスト信号入力端子とを備え、
    前記マスタ端末は、
    前記複数のスレーブ端末それぞれが出力するリクエスト信号を入力するための、前記複数のスレーブ端末の個数を有する複数個のリクエスト信号入力端子を備え、
    前記マスタ端末の複数個のリクエスト信号入力端子と前記複数のスレーブ端末とは、前記複数のスレーブ端末それぞれが出力するリクエスト信号を前記マスタ端末のそれぞれのリクエスト信号入力端子に供給するためのリクエスト信号ラインにて接続され、
    前記マスタ端末は、前記マスタ端末における前記複数個のリクエスト信号入力端子へのリクエスト信号の入力の有無により前記複数のスレーブ端末それぞれのアドレスを決定し、
    前記複数のスレーブ端末それぞれは、前記スレーブ端末における前記複数個のリクエスト信号入力端子へのリクエスト信号の入力の有無により自己のアドレスを決定することを特徴とするシリアル通信装置。
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