JP3915929B2 - 歯牙白色化用組成物及び歯牙美白用セット - Google Patents

歯牙白色化用組成物及び歯牙美白用セット Download PDF

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本発明は、歯を元の色よりも白くするための歯牙白色化用組成物及び歯牙美白用セットに関し、更に詳述すると、歯の表面への吸着性に優れた金属酸化物がエナメル質上で光散乱を引き起こし、見かけ上歯を白くする歯牙白色化用組成物及び歯牙美白用セットに関する。
従来より、歯を白くするための技術は、(1)歯に付着した着色物質を取り除き、元の歯の白さを取り戻す技術と、(2)歯を元の色より更に白くする技術に大別される。(1)の方法としては、歯磨剤、歯ブラシを用い、歯磨剤に含まれる研磨成分でブラッシングすることによる物理的な除去方法や、ポリエチレングリコ−ル、ポリビニルピロリドン等の可溶化剤、酵素、キレート剤等による着色物の分解等の化学的な方法が用いられ、(2)の方法としては、欧米で多用される過酸化物を使った漂白や、歯のマニキュア剤などに代表される隠蔽剤の塗布、あるいはラミネートベニア等の歯科材料が使われてきた。
近年、口腔衛生意識と審美願望の向上を受けて、歯の美白に対するニーズは、(1)の「清掃」から(2)の「白色化」に移行しつつある。しかしながら、過酸化物での漂白は、歯肉の炎症、退縮のおそれがあり、専門知識のない消費者が勝手に使用することは非常に危険である。一方、マニキュア等の塗布剤は、飲食等により剥離するため持続性に欠ける。また、ラミネートベニアによる方法は、歯科医しか行うことができず、しかも健全な歯の表面を削る必要があり、患者が結果に対して不満足であっても、術後元の歯に戻すことができなかった。
以上のことから、「白色化」の分野において、審美性が良く、且つ簡便で安全性が高い、歯牙白色化技術の開発が望まれてきた。
そのような白色化技術として、シェラック、酢酸ビニル樹脂やアクリル系樹脂の皮膜形成能を活用したマニキュア等の塗布剤が提案されているが(特許文献1〜5:特開平04−82821号、特開平05−58844号、特開平09−100215号、特開平09−202718号、特開平09−151123号公報)、歯にコーティングされた皮膜剤のザラザラした使用感に課題があった。また、皮膜剤と併用する酸化チタンの粒径は100nm以下が好ましいことが開示されているが(特許文献5)、皮膜剤を併用しない場合の酸化チタンの歯牙への吸着性は必ずしも十分とは言えなかった。
従来より歯磨等で一般的に顔料として用いられる酸化チタンの比表面積は10〜20m2/gであるが、この範囲の比表面積を有する金属酸化物を皮膜剤を用いずに歯牙に適用しても、歯牙への吸着性が低く、十分な白色化効果を発揮することができなかった。
一方、本発明者らは、金属酸化物の表面水酸基数を増加させる活性化処理を施すことで、エナメル質への吸着性を高めて歯を白く見せる方法及びその組成物を開示している(特許文献6:特開2003−183142号公報)。しかしながら、前処理として金属酸化物を高アルカリ条件で処理する必要があるため、操作性に課題があった。
特開平04−82821号公報 特開平05−58844号公報 特開平09−100215号公報 特開平09−202718号公報 特開平09−151123号公報 特開2003−183142号公報
従って、本発明の目的は、組成物中に皮膜剤を配合することなく、歯への吸着性に優れた金属酸化物の物性を明らかにし、製造時の操作性や処置後の使用感に優れ、且つ本来の歯の色よりも更に白く見せる歯牙白色化用組成物及び歯牙美白用セットを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法によって測定されたカルシウムイオン吸着能が10150μmol/m2であり、且つBET法による比表面積が25〜1502/gである金属酸化物及び/又は該金属酸化物の表面にアルカリ土類金属イオンを吸着させた改質金属酸化物(B)蒸気圧(25℃)が0〜7000kPaの水及び/又は有機溶剤であり、前記有機溶剤がラウリルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、セバスチン酸ジエチルから選ばれる少なくとも1種以上を組成物全体の30.0〜99.0質量%、及び(C)ゲル化剤としてポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上を含有した、実質的に研磨剤を含まない歯牙白色化用組成物を歯牙に適用することで、金属酸化物が歯の表面に吸着し、光散乱を引き起こして歯を白く見せることができることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、
(A)エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法によって測定されたカルシウムイオン吸着能が10150μmol/m2であり、且つBET法による比表面積が25〜1502/gである金属酸化物及び/又は該金属酸化物の表面にアルカリ土類金属イオンを吸着させた改質金属酸化物
(B)蒸気圧(25℃)が0〜7000kPaの水及び/又は有機溶剤であり、前記有機溶剤がラウリルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、セバスチン酸ジエチルから選ばれる少なくとも1種以上:組成物全体の30.0〜99.0質量%、及び
(C)ゲル化剤としてポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上
を含有し、実質的に研磨剤を含まないことを特徴とする歯牙白色化用組成物、及びこの歯牙白色化用組成物と、この歯牙白色化用組成物を保持すると共に、この歯牙白色化用組成物を保持した状態で歯に着脱可能に装着される適用用具とを備えたことを特徴とする歯牙美白用セットを提供する。この場合、適用用具としては、水不溶性の素材で作成されたテープ、シート、フィルム、マウストレー、マウスピース、スポンジ、印象材、パック材、又は歯列に成型した歯のカバーが挙げられる。なお、上記歯の白色化方法の実施に、上記適用用具を使用することが好ましい。
本発明によれば、特定の物性を有する金属酸化物を用いることで、歯牙に保持させるための皮膜剤を歯牙白色化用組成物中に配合することなく金属酸化物を歯牙に吸着させることができ、製造時の操作性、安全性及び処置後の使用感に優れ、且つ本来の歯の色よりも更に白く見せる歯牙白色化用組成物及び歯牙美白用セットを提供することができる。
本発明の歯牙白色化用組成物は、
(A)エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法によって測定されたカルシウムイオン吸着能が10150μmol/m2であり、且つBET法による比表面積が25〜1502/gである金属酸化物及び/又は該金属酸化物の表面にアルカリ土類金属イオンを吸着させた改質金属酸化物
(B)蒸気圧(25℃)が0〜7000kPaの水及び/又は有機溶剤であり、前記有機溶剤がラウリルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、セバスチン酸ジエチルから選ばれる少なくとも1種以上、及び
(C)ゲル化剤としてポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上
を含有する。
本発明に用いられる、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法によって測定されたカルシウムイオン吸着能が10150μmol/m2であり、且つBET法による比表面積が25〜1502/gである金属酸化物(以下、(A1)成分と記載する)を歯に適用した場合、(A1)成分はエナメル質又はペリクル中のカルシウムサイトに吸着する。一方、(A1)成分の表面にアルカリ土類金属イオンを吸着させた改質金属酸化物(以下、(A2)成分と記載する)の場合には、アルカリ土類金属イオンを介してエナメル質表面のリン酸基又はペリクル中のカルボキシル基等のアニオン性官能基に吸着する。その結果、歯の表面で光散乱が起こり白く見えるものであって、光触媒反応等の化学反応を伴うものではない。
本発明の(A1)成分に用いられる金属酸化物は所定のカルシウムイオン吸着能及び比表面積を満たしていれば特に制限されないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化ジルコニウム及びこれらの2種以上の複合体が好ましい。更に好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及びこれらの2種以上の複合体である。本発明に用いられる(A1)成分は少なくとも1種以上併用することも可能である。
本発明の(A1)成分として用いられる金属酸化物の表面処理は、所定のカルシウムイオン吸着能及び比表面積を満たしていれば特に制限されないが、金属酸化物の触媒活性を抑制する目的でシリカ、酸化アルミニウム、又は酸化ジルコニウムで被覆したものも好適に用いられる。
本発明の(A1)成分として用いられる金属酸化物のカルシウムイオン吸着能は10〜150μmol/m2である。カルシウムイオン吸着能が200μmol/m2を超える場合には歯牙の光沢が失われる場合がある。カルシウムイオン吸着能が5μmol/m2未満の場合には、金属酸化物の歯の表面への吸着性が低下し十分な歯牙白色化効果を得ることができない場合がある。
本発明で述べるカルシウムイオン吸着能は、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法によって測定された値であるが、このエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法は以下の通りである。
正確に4mmol/L塩化カルシウムを含むアンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))を調製した。この塩化カルシウムを含むアンモニア/塩化アンモニウムバッファーを正確に60mL採取し、そこへ金属酸化物0.01gを正確に測り取り添加した。1分間超音波分散後、12時間室温で撹拌した。撹拌後、遠心(10000rpm,20min)し、上澄を50mL正確に採取した。この上澄液にジオキサン25mL、Cu−PAN指示薬(Cu−PAN1g+30%ジオキサン水溶液100mL)5滴を加え、50℃で0.01mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムにより滴定し、滴定量(V1)を求めた。溶液がピンクから黄色に変わった時点を終点とした。別に、4mmol/L塩化カルシウムを含むアンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))50mLを正確に採取し、ブランクの滴定量(V0)を求めた。V1,V0の差からカルシウムイオン吸着能を算出した。
また、本発明の(A1)成分として用いられる金属酸化物の比表面積は25〜150m2/gである。比表面積が350m2/gを超える場合には十分に光を散乱することができず、歯牙白色化効果が得られない場合がある。比表面積が25m2/g未満の場合には歯牙への吸着性が低下し、十分な歯牙白色化効果が得られない場合がある。
上述したカルシウムイオン吸着能及び比表面積を有する金属酸化物は、各種市販品の中からこれらに合致するものを選定して使用することができ、例えば後述する実施例で示した市販金属酸化物を用いることができる。
本発明に用いられる(A2)成分としては、(A1)成分を所定濃度のアルカリ土類金属イオン水溶液で処理して表面にアルカリ土類金属イオンを吸着させたものを使用することができる。なお、アルカリ土類金属の吸着量は処置するアルカリ土類金属イオン水溶液の濃度を変えることで調整可能である。
本発明に用いられる(A2)成分において、アルカリ土類金属の吸着量は5.0〜12.0μmol/m2が好ましく、更に好ましくは6.0〜11.0μmol/m2である。アルカリ土類金属の吸着量が5.0μmol/m2未満の場合には、金属酸化物の吸着性に向上が見られない場合があり、その結果、アルカリ土類金属イオン処理による歯牙白色化効果の向上も得られないおそれがある。アルカリ土類金属の吸着量が12.0μmol/m2を超える場合には、歯牙白色化用組成物中で金属酸化物同士が会合し歯の表面への吸着性が逆に低下してしまう場合があり、十分な歯牙白色化効果が得られないおそれがある。
(A2)成分に吸着しているアルカリ土類金属の吸着量測定法には、前述のカルシウムイオン吸着能を測定する際に用いたエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法を用いた。即ち、アンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))を正確に50mL採取し、そこへ改質金属酸化物0.01gを正確に測り取り添加した。1分間超音波分散後、ジオキサン25mL、Cu−PAN指示薬(Cu−PAN1g+30%ジオキサン水溶液100mL)5滴を加え、50℃で0.01mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムにより滴定し、滴定量(V1)を求めた。溶液がピンクから黄色に変わった時点を終点とした。別に、アンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))50mLを正確に採取し、ジオキサン25mL、Cu−PAN指示薬(Cu−PAN1g+30%ジオキサン水溶液100mL)5滴を加え、上述の方法と同様にしてブランクの滴定量(V0)を求めた。V1、V0の差から吸着したアルカリ土類金属の量を算出した。
本発明の(A2)成分調製ために用いられるアルカリ土類金属イオン水溶液は、アルカリ土類金属イオンを供給できれば特に制限されないが、好ましくは塩化カルシウム、硝酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムの水溶液である。
なお、本発明に用いられる(A2)成分としては、特開2003−183142号公報記載の活性化処理後の金属酸化物にアルカリ土類金属イオンを処理して所定のアルカリ土類金属の吸着量を有するものを用いることも可能である。
本発明に用いられる(A)成分の配合量は、歯牙白色化用組成物から歯の表面に十分な量の(A)成分を供給することができれば特に制限されないが、好ましくは組成物全体の0.1〜20.0質量%、更に好ましくは0.5〜10.0質量%である。配合量が0.1質量%未満の場合には、十分な歯牙白色化効果を得ることができない場合があり、20.0質量%を超える場合には、歯牙への適用形態によっては使用性の悪い組成物になってしまう場合がある。
一方、本発明に用いられる(B)成分は、蒸気圧(25℃)が0〜7000kPa、特に0〜5500kPaの水及び/又は有機溶剤であり、好ましくは水、ラウリルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、セバスチン酸ジエチルであり、更に好ましくは(ラウリルアルコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルの中から選ばれる少なくとも1種以上)/水の比が質量比として50/50〜100/0である。なお、平均分子量は化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示し、ポリエチレングリコール200(平均分子量190〜210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)及びポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)が該当する。商品によっては、例えばポリエチレングリコール#200等のように、ポリエチレングリコールと数値の間に#がつく場合がある。
(B)成分の配合量は、組成物全体の30.0〜99.0質量%であり、更に好ましくは55.0〜98.0質量%である。(B)成分の配合量が30.0質量%未満の場合には、歯牙白色化用組成物の可塑性が失われ、十分な量の金属酸化物が歯に吸着できない場合がある。可塑性付与のためにエタノール等の蒸気圧が7000kPaを超える有機溶剤を加えたとしても、特に長時間適用するテープ、シート、フィルム、マウスピース、マウストレーにおいては、歯牙白色化用組成物から液体成分が揮発してしまい、歯牙白色化用組成物の可塑性が失われ十分な量の金属酸化物が歯に吸着できない場合がある。(B)成分の配合量が99.0質量%を超える場合には、十分な粘度が得られず歯牙白色化用組成物が口中全体へ溶け出してしまい、十分な歯牙白色化効果を発揮できないだけでなく、粘つき等の違和感につながる場合がある。
本発明の歯牙白色化用組成物に、歯牙に適用する際の操作性の改良等を目的に(B)成分以外の液体成分(エタノール等)を配合する場合には、((B)成分/その他エタノール等の液体成分)の比を質量比として(60/40)〜(100/0)で用いることが好ましく、更に好ましくは(75/25)〜(100/0)である。質量比が(60/40)未満では十分な歯牙白色化効果が得られない場合がある。
本発明で述べる「実質的に研磨剤を含まない」とは、Hefferrn et al., Journal of Dental Research, 55, 563−73記載の方法に基づいて測定された歯牙白色化用組成物のRDA値が0〜50であり、特に好ましくは0〜30である。なお、RDA値とは、Radioactive Dentin Abrasionの略である。RDA測定の詳細な手順は、特開昭62−87507号公報に記載されている。
本発明の歯牙白色化用組成物は、上記金属酸化物や蒸気圧が0〜7000kPaの水及び/又は有機溶剤に加え、更に歯牙に長時間適用でき、且つ歯牙白色化用組成物の口腔全体への溶け出しを防ぐゲル化剤をその形態に応じて配合することができる。
本発明に用いられるゲル化剤はポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンが好適に用いられ、更に好ましくは、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースである。これらの中から選ばれる少なくとも1種以上を配合し得る。
本発明に用いられるポリアクリル酸及びその塩は特に制限されないが、以下の条件A〜Cのうち少なくとも一つに該当する粘度(25℃)を有するものが好ましく、更に好ましくは条件A又はBに該当するものである。
条件A:10質量%水溶液をBH型粘度計(東機産業(株)製、ローターNo.7使用、回転数20rpm、測定時間90秒)を用いて測定した時に50000〜110000mPa・sであるもの。この条件に該当する市販品としては、粘度が70000〜110000mPa・sであるジュリマーAC−10SH(日本純薬(株)製)等が挙げられる。
条件B:20質量%水溶液をBM型粘度計(東機産業(株)製、ローターNo.4使用、回転数12rpm、測定時間90秒)を用いて測定した時に10000〜50000mPa・sであるもの。この条件に該当する市販品としては、粘度が20000〜40000mPa・sであるジュリマーAC−10H(日本純薬(株)製)、20000〜50000mPa・sであるアロンA−20L(東亜合成(株)製)等が挙げられる。
条件C:40質量%水溶液をBM型粘度計(東機産業(株)製、ローターNo.3使用、回転数30rpm、測定時間90秒)を用いて測定した時に1000〜4000mPa・sであるもの。この条件に該当する市販品としては、粘度が1000〜2000mPa・sであるジュリマーAC−10L(日本純薬(株)製)等が挙げられる。
本発明に用いられるカルボキシビニルポリマーは特に制限されないが、水酸化ナトリウムで中和した0.2質量%水溶液の粘度(25℃)が、BH型粘度計(東機産業(株)製、ローターNo.3〜7、回転数20rpm、測定時間2分)で測定した時に2000〜100000mPa・sであるものが好ましい。これらに該当する市販品としてカーボポール934,940,941(B.F.Goodrich社製)、ハイビスワコー103,104,105,204,304(和光純薬工業(株)製)、ジュンロンPW110,111(日本純薬(株)製)等が挙げられる。
カルボキシビニルポリマーは必要により塩基性物質で中和するが、その中和度でゲル性状を調整できる。中和に使用する物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基やトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミンなどを用いることができる。
本発明に用いられるヒドロキシプロピルセルロースは特に制限されないが、2質量%水溶液の粘度(20℃)が単一円筒形回転粘度計((株)トキメック製TVB−20L型、ローターNo.L、M2又はM4を使用、回転数60rpm、測定時間4分)で測定した時に6〜4000mPa・sであるものが好ましく、例えば、HPC−L、HPC−M、HPC−H(いずれも日本曹達(株)製)が挙げられ、更に好ましくは150〜4000mPa・sであり、HPC−M、HPC−Hが挙げられる。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロース及びその塩は特に制限されないが、1質量%水溶液の粘度(25℃)が、BL型粘度計(東機産業(株)製、ローターNo.1〜4、回転速度60rpm、測定時間2分)で測定した時、10〜4000mPa・sであり、且つ化粧品原料基準注解第一版に記載の非水滴定法により測定した時のエーテル化度が0.6〜1.5であるものが好ましく、例えば、品番1120、1150、1190、1220、1270、1310、1390(いずれもダイセル化学工業(株)製)が挙げられる。更に好ましくは粘度が10〜300mPa・s、且つエーテル化度0.6〜1.0であり、例えば、品番1120、1150、1220、1270が挙げられる。
本発明に用いられるヒドロキシエチルセルロースは特に制限されないが、重量平均分子量10万〜300万が好ましく、更に好ましくは50万〜200万である。重量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。0.20mol/L酢酸リチウム緩衝液(pH4.8)及び0.25質量%ランダムメチルβ−シクロデキストリン(RAMEB−CD)移動相中で、カラム及び屈折率検出器の両方をサーモスタットで40℃に調温してSEC測定を行った。1組のTSK−Gelカラム(3 GMPWXL Linears + G3000P WXL in series)によって、流量1.0mL/分において、ポリマーをクロマトグラフィーにかけた。0.20質量%のサンプル濃度を、200μLの注入容量において使用した。分子量分布データは、ポリエチレンオキサイド/ポリエチレングリコール検量線に対して相対的なものである。これらに該当する市販品としては例えば、ユニオンカーバイド社製HEC−QM100M(重量平均分子量150万)、HEC−QP4400(重量平均分子量80万)等が挙げられる。
本発明に用いられるキサンタンガムは特に制限されないが、重量平均分子量100万〜1000万が好ましく、更に好ましくは100万〜500万である。重量平均分子量はSEC/MALLS(サイズ排除クロマトグラフィー/多角レーザー光散乱)ユニットを用いて測定した。SEC/MALLSユニットには、水410示差屈折計、ワイアット・テクノロジー−Dawn DSPレーザー光度測定器、及び二つのウォーターズ・ヒドロゲルカラム(2000及び線状のものを直列に)を装着した。アストラ21プログラムを用いてデータを分析した。これらに該当する市販品としてエコーガム、エコーガムT(いずれも大日本製薬(株)製)等が挙げられる。
カラギーナンにはカッパ型、ラムダ型、イオタ型の3種があり、本発明では特に制限されないが、好ましくはカッパ型及び/又はラムダ型である。更に好ましくはカッパ型/ラムダ型の質量比が5/5〜9/1であり、これらに該当する市販品としては、カラギーナンK(CP−Kelco社製)、Auby−Gum X−2(CECA S.A.社製)が挙げられる。
上記ゲル化剤の配合量は、特に併用する用具がテープ、シート、フィルムや歯列カバーの場合には、歯牙白色化用組成物の固定力だけで歯牙に付着、固定する必要があるため、歯牙白色化用組成物全体の0.1〜16質量%が好適であり、特に0.5〜14質量%が望ましい。少なすぎると、粘着力が発揮されなかったり、歯牙白色化用組成物の溶け出しによる口中の粘つき等の違和感につながる場合がある。多すぎると、ゲル化剤が十分に溶けきらず、歯牙白色化用組成物が不均一になるだけでなく、金属酸化物の溶出を阻害する場合がある。
本発明では、歯牙白色化用組成物の歯面への密着力を高め、(A)成分の歯牙への吸着性を上げて歯牙白色化効果を向上させるために、上記ゲル化剤にポリビニルピロリドンを併用して配合することが好適である。ポリビニルピロリドンを配合する場合、その配合量は組成物全体の0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜5質量%である。ポリビニルピロリドンの配合量が0.1質量%未満の場合には密着力が十分に上がらず歯牙白色化効果が向上しない場合があり、10質量%を超える場合には、逆に歯面へ密着しすぎて適用用具除去後の歯面に歯牙白色化用組成物が多量に付着し、使用感が悪くなる場合がある。
上記ゲル化剤にポリビニルピロリドンを併用する場合、ポリビニルピロリドン/上記ゲル化剤の比は質量比として1/70〜1/2が好ましく、更に好ましくは1/50〜1/3である。ポリビニルピロリドン/上記ゲル化剤の質量比が1/70未満の場合には、歯面への歯牙白色化用組成物の密着力を向上させることができない場合がある。ポリビニルピロリドン/上記ゲル化剤の質量比が1/2を超える場合には、歯面へ歯牙白色化用組成物が密着しすぎて適用用具除去後の歯面に歯牙白色化用組成物が多量に付着し、使用感が悪くなる場合がある。
本発明に用いられるポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、2,000〜1,500,000が好ましく、更に好ましくは30,000〜1,500,000である。重量平均分子量は、米国の薬局方で定められた方法に従い算出されたK値を、検量線によって光散乱法により測定された重量平均分子量に換算したものである。これらに該当する市販品としては、BASF社製のKollidon30(重量平均分子量44,000〜54,000)、Kollidon90F(重量平均分子量1,000,000〜1,500,000)が挙げられる。
本発明の歯牙白色化用組成物には、更に必要に応じて適宜、他の成分を配合することができる。
例えば、溶解、乳化、分散などの目的で、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤や両性イオン界面活性剤の1種又は2種以上を配合することができる。
この場合、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N−ミリストイルメチルタウリンナトリウムなどのN−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルPOE硫酸ナトリウム、ラウリルPOE酢酸ナトリウム、ラウリルPOEリン酸ナトリウム、ステアリルPOEリン酸ナトリウム等が用いられる。
ノニオン界面活性剤としては、ステアリン酸モノグリセリル、ラウリン酸デカグリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミドなどの脂肪酸エタノ−ルアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が用いられる。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等が用いられる。
更に、本発明においては、有効成分として、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキサイドディスムターゼなどの酵素、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどの水溶性ポリリン酸塩、アラントイン、ジヒドロコレスタノール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、塩化ナトリウム、トリクロサン、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、アスコルビン酸及びその塩類、トコフェロール、オウゴン、オオバク、ローズマリー、チョウジ、タイムなどの生薬抽出物等の1種又は2種以上を必要に応じて0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%配合し得る。
本発明の歯牙白色化用組成物には、更に、アネトール、カルボン、ペパーミント油、スペアミント油などの香料、安息香酸及びそのナトリウム塩、パラベン類などの防腐剤、赤色3号、赤色104号、黄色4号、青色1号、緑色3号、雲母チタン、弁柄などの色素又は着色剤、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコール、サッカリン及びそのナトリウム塩、ステビオサイド、グリチルリチン、アスパルテームなどの甘味剤等を必要に応じて0〜24質量%、好ましくは0〜16質量%配合し得る。
歯牙白色化用組成物のpHは、口腔内及び人体に安全性上問題ない範囲であれば、特に限定されるものではないが、望ましくは歯牙白色化用組成物を精製水で10倍希釈した時の水相のpHが4.0〜10.0であり、更に望ましくは5.5〜9.0である。pH4.0未満の場合には適用時間によっては脱灰の懸念があり、pH10.0超の場合には、味が悪くなる場合がある。pH調整剤として、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等を配合し得る。
本発明の歯牙白色化用組成物の固さは特に制限されないが、併用する用具に応じて0.001〜10kgに調整することが好ましく、更に好ましくは0.005〜1kgである。固さが0.001kg未満の歯牙白色化用組成物は、テープ、シート、フィルムや歯列カバーと併用しても歯牙上に歯牙白色化用組成物を付着・固定させることができず、またマウスピースを用いても、口中全体へ歯牙白色化用組成物が溶出し、使用感が悪くなる場合がある。一方、10kgを超える固さの場合には、金属酸化物が十分にエナメル表面に吸着せず、歯牙白色化効果が発揮されない場合がある。この場合、上記固さの調整は特に上述したゲル化剤等の種類、配合量等を選定することによって行うことができる。なお、本発明の歯牙白色化用組成物の固さは以下の方法で測定した値である。即ち、円筒状の容器(直径36mm、深さ18mm)の最上部までゲルを充填し、進入速度20mm/分でプランジャー(直径20mm)を深さ10mmまでゲルに進入させた時の最大応力をレオメーター(サン科学製、SUN RHEO METER CR−200D)によって測定した。測定温度は25℃である。
本発明の歯牙白色化用組成物は、種々の態様で使用することができるが、但し皮膜剤と顔料を含んだ揮発性溶剤を歯に塗布し乾燥させて用いる歯のマニキュアを含まない。
上記歯牙白色化用組成物は、上述したように、歯牙への保持・固定専用の適用用具と併せて適用することが好ましいが、本発明の歯牙白色化用組成物と併用して使用される歯牙への保持・固定専用の適用用具は、歯牙白色化用組成物の歯牙への確実な適用、固定を補助すると共に、使用中の歯牙白色化用組成物の歯肉、舌及び口腔粘膜への溶出を抑え、不快な使用感や唾液の誘発を防ぎ、更に唾液の侵入や咬合、咀嚼、その他物理的な刺激による歯牙白色化用組成物の希釈や歯牙からの離脱を防ぐ目的で使用される。用具の素材及び形状については、上記目的を達成できるものであれば特に限定されないが、水不溶性の素材で作られたテープ、シート、フィルム、マウストレー、マウスピース、スポンジ、印象材、パック材、歯列に成型した歯のカバーが好適に用いられる。
上記適用用具の厚みは、口腔着用時に違和感のない0.01〜5mmが好ましく、特にテープ、シート、フィルムについては、0.01〜2mmが望ましい。
上記用具の素材については、口腔適用時のフィット感に優れ、唾液の発生を抑えることで製剤の長時間適用を可能にするポリエチレン、発泡ポリエチレン、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、レーヨン、パルプ、綿、絹、紙、金属箔等の1種又は2種以上を用いるのが好ましく、特にポリエチレン、発泡ポリエチレン、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、レーヨンが良い。更に、口腔粘膜及び舌と接する側の材質に親水性、吸水性の高い素材、例えばレーヨン、パルプ、綿、絹、紙等を使った織布又は不織布を用いることによって、唾液を吸収し保持できるため、使用感に優れており好ましい。この場合、歯牙白色化用組成物を保持する側には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の水不透過性フィルムを組み合わせることで、歯牙白色化用組成物の適用用具への吸着、浸透を防ぐこともできる。
一方、シリコーンゴム、天然ゴム等の可塑性樹脂及び酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂からなるマウストレー及びマウスピースは、変形の自由度が高く、使用者の歯列、歯型にフィットさせやすいため、密着性、固定性に優れており、より長時間の歯牙白色化用組成物の歯牙への適用を目的とする場合に適している。
更に、粘度が低く歯牙への粘着性の弱い歯牙白色化用組成物を併用する場合には、歯牙白色化用組成物を含浸させたスポンジや、レーヨン、綿、パルプ等の吸水性樹脂を歯のカバー、マウストレー等の内側に敷き詰め、これを咬み続けることで、適量の歯牙白色化用組成物を歯牙に適用することもできる。
なお、適用回数、時間等は適宜選定されるが、通常、1日1〜6回、特に1〜3回で、1回1〜120分、特に1〜60分であるが、就寝中に適用することも可能である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、各例中の%はいずれも質量%である。
<金属酸化物のカルシウムイオン吸着能測定法>
正確に4mmol/L塩化カルシウムを含むアンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))を調製した。この塩化カルシウムを含むアンモニア/塩化アンモニウムバッファーを正確に60mL採取し、そこへ金属酸化物0.01gを正確に測り取り添加した。1分間超音波分散後、12時間室温で撹拌した。撹拌後、遠心(10000rpm,20min)し、上澄を50mL正確に採取した。この上澄液にジオキサン25mL、Cu−PAN指示薬(Cu−PAN1g+30%ジオキサン水溶液100mL)5滴を加え、50℃で0.01mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムにより滴定し、滴定量(V1)を求めた。溶液がピンクから黄色に変わった時点を終点とした。別に、4mmol/L塩化カルシウムを含むアンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))50mLを正確に採取し、ブランクの滴定量(V0)を求めた。カルシウムイオン吸着能は下記式により算出した。
V1;サンプル滴定量(mL)
V0;ブランク滴定量(mL)
t;金属酸化物の採取量(g)
S;金属酸化物の比表面積(m2/g)
カルシウムイオン吸着能(μmol/m2)=(V0−V1)/t/S×12
<金属酸化物へのアルカリ土類金属イオン処理方法>
所定濃度のアルカリ土類金属イオン水溶液50mLに金属酸化物10gを加え、室温で24時間撹拌した。遠心(10000rpm,20分)後、沈殿物を蒸留水で3回洗浄した(洗浄に用いた蒸留水は上記と同条件にて遠心し除去した)。最後に、40℃で24時間乾燥した。
<改質金属酸化物に吸着しているアルカリ土類金属量の測定法>
アンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))を正確に50mL採取し、そこへ改質金属酸化物0.01gを正確に測り取り添加した。1分間超音波分散後、ジオキサン25mL、Cu−PAN指示薬(Cu−PAN1g+30%ジオキサン水溶液100mL)5滴を加え、50℃で0.01mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムにより滴定し、滴定量(V1)を求めた。溶液がピンクから黄色に変わった時点を終点とした。別に、アンモニア/塩化アンモニウムバッファー(pH10、0.1mol/Lアンモニア:0.1mol/L塩化アンモニウム=1:4(vol/vol))50mLを正確に採取し、ジオキサン25mL、Cu−PAN指示薬(Cu−PAN1g+30%ジオキサン水溶液100mL)5滴を加え、上述の方法と同様にしてブランクの滴定量(V0)を求めた。改質金属酸化物に吸着しているアルカリ土類金属量Cは下記式により算出した。
V1;サンプル滴定量(mL)
V0;ブランク滴定量(mL)
t;金属酸化物の採取量(g)
S;金属酸化物の比表面積(m2/g)
アルカリ土類金属量C(μmol/m2)=(V0−V1)/t/S×12
<比表面積測定法>
比表面積測定装置(日機装(株)製、自動比表面積計、BET多点法、測定ガス;窒素)を用いて25℃における比表面積を測定した。サンプル量は0.1g用いた。
<蒸気圧測定法>
気液平衡自動測定装置((株)東洋高圧製、VLEオートラボ)を用いて測定した。測定サンプルをセルに80mL入れ、一定温度(25℃)下で蒸気圧を測定した。
[実例1〜、比較実験例1〜4]
<ヒト抜去歯による歯牙白色化実験>
金属酸化物(A)の3%分散溶液を含浸させたレーヨン製不織布シート(レーヨン100%、スパンレース、目付40g/m2、オーミケンシ(株)製、商品名ピロス)10mm×40mmを、予め色差b*0値を測定したヒト抜去歯の上にのせ、37℃で4時間静置した。所定時間経過後、不織布を取り除いてヒト抜去歯を軽く水洗し、再度色差b*1を測定して処理前後の色差から歯牙白色化効果Δb(=b*0−b*1)を算出した。色差は分光測色計(ミノルタ(株)製、CM−2022)を用いて測定した。実験結果は表1の通りであった。
評価基準
◎:Δb≧3.0
○:2.0≦Δb<3.0
△:1.0≦Δb<2.0
×:Δb<1.0
Figure 0003915929
以下の実施例に記載の歯牙白色化用組成物のRDA値を特開昭62−87507号公報に記載の方法に従い測定したところ、いずれもRDA値は0〜50であった。
〔実施例
全原料をニーダーに投入後、4kPaまで減圧し10分間混合して歯牙白色化用組成物1を調製した。予め下記歯牙白色化用組成物1が2.0g塗布された、発泡ポリエチレン製シート(積水化学工業(株)製ボラーラXL−IF08008、15mm×60mm×厚さ800μm)をヒト抜去歯に貼付した。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は◎であった。
歯牙白色化用組成物1(ペースト状)
酸化亜鉛 5.0%
(昭和電工(株)製、商品名:マックスライトZS−032、Caイオン吸着能11μmol/m2、比表面積60m2/g)
グリセリン(蒸気圧3kPa) 63.7
1,3−ブチレングリコール(蒸気圧108kPa) 27.3
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0
(ダイセル化学工業(株)製、商品名CMCダイセル−1150)
香料 1.0
計 100.0%
〔実施例
香料を除く全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入し、8kPaまで減圧して80℃で10分間混合した。10分後、20〜40℃に冷却して香料を加え、再び8kPaまで減圧・混合して歯牙白色化用組成物2を調製した。下記歯牙白色化用組成物2が2.0g塗布された、ポリウレタンフィルム(シーダム(株)製DUS2124−CDB、15mm×60mm×厚さ50μm)をヒト抜去歯に貼付した。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物2(ゲル状)
酸化亜鉛/酸化アルミニウム/シリカ複合体 10.0%
(堺化学工業(株)製、NANOFINE−50A、Caイオン吸着能24μmol/m2、比表面積75m2/g)
グリセリン(蒸気圧3kPa) 22.5
1,3−ブチレングリコール(蒸気圧108kPa) 50.5
パルミチン酸イソプロピル(蒸気圧0kPa) 2.0
ヒドロキシプロピルセルロース 14.0
(日本曹達(株)製、商品名HPC−H)
香料 1.0
計 100.0%
〔実施例
全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入後、4kPaまで減圧して混合し歯牙白色化用組成物3を調製した。下記歯牙白色化用組成物3が0.2g塗布された、歯1本ずつの形をしたポリエチレン製フィルム(東レ(株)製軟質ポリエチレン、10mm×15mm×厚さ25μm)をヒト抜去歯に貼付した。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は◎であった。
歯牙白色化用組成物3(ゲル状)
酸化チタン 0.3%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−S−3、Caイオン吸着能42μmol/m2、比表面積104m2/g)
酸化ジルコニウム 0.2
(日本電工(株)製、商品名N−PC、Caイオン吸着能105μmol/m2、比表面積29m2/g)
グリセリン(蒸気圧3kPa) 50.0
精製水(蒸気圧3165kPa) 45.2
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0
(ダイセル化学工業(株)製、商品名CMCダイセル−1220)
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 1.0
フッ化ナトリウム 0.2
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
計 100.0%
〔実施例
全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入後、4kPaまで減圧して混合し歯牙白色化用組成物4調製した。下記歯牙白色化用組成物4をヒト抜去歯に塗布後、上からポリプロピレン製フィルム(東レ(株)製軟質ポリプロピレン、15mm×60mm×厚さ100μm)を貼付した。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物4(ゲル状)
酸化アルミニウム 0.1%
(メラー社製、商品名:純アルミナ末、Caイオン吸着能21μmol/m2、比表面積150m2/g)
精製水(蒸気圧3165kPa) 89.88
エタノール(蒸気圧7948kPa) 7.0
カラギーナン 0.7
(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、商品名ゲルリッチNo.3)
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 1.0
安息香酸ナトリウム 0.3
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
香料 0.5
サッカリン 0.02
計 100.0%
〔実施例
全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入後、4kPaまで減圧して混合し歯牙白色化用組成物5を調製した。一方、エチレンビニルアセテート樹脂製のマウスピース(デンタルコンセプト社製、商品名ナイトガード)をお湯で温めて軟化させ、噛んで各自の歯型にフィットしたマウスピースを作製した。この歯型にフィットするように作製したマウスピースに下記歯牙白色化用組成物5を1.0gマウスピースの内壁に付着させ、その上にヒト抜去歯を押しつけた。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物5(ゲル状)
酸化チタン 0.1%
(石原産業(株)製、商品名ST−21、Caイオン吸着能62μmol/m2、比表面積65m2/g)
精製水(蒸気圧3165kPa) 64.3
プロピレングリコール(蒸気圧1kPa) 3.0
カルボキシビニルポリマー 1.1
(日本純薬(株)製、商品名ジュンロンPW−110)
カラギーナン 0.2
(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、商品名ゲルリッチNo.3)
ソルビトール 20.0
キシリトール 10.0
メチルパラベン 0.05
水酸化ナトリウム 0.1
サッカリンナトリウム 0.15
香料 1.0
計 100.0%
〔実施例
全原料をニーダーに投入後、4kPaまで減圧し10分間混合して歯牙白色化用組成物6を調製した。一方、加熱したポリエチレンフィルム(低密度ポリエチレン、厚さ10μm、東ソー(株)製、商品グレード;212)を、ポリプロピレン/レーヨン不織布(ポリプロピレン/レーヨン=8/2、スパンレース、目付40g/m2、日本バイリーン(株)製)とポリプロピレン/レーヨン不織布(ポリプロピレン/レーヨン=3/7、スパンレース、目付40g/m2、日本バイリーン(株)製)で挟んで熱融着させて厚さ0.5mmの3層不織布シートを作製し、この3層不織布シートのポリプロピレン/レーヨン不織布(8/2)面が内側になるようにニッポー(株)において加熱加圧してトレー状に成型した。このようにして作製した不織布製マウストレーに歯牙白色化用組成物6を約5g充填し、ヒト抜去歯のエナメル質が歯牙白色化用組成物6に密着するように押し付けた。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物6(ペースト状)
酸化チタン 5.0%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−D−1、Caイオン吸着能33μmol/m2、比表面積88m2/g)
精製水(蒸気圧3165kPa) 68.75
プロピレングリコール(蒸気圧1kPa) 3.0
ソルビトール 15.0
ヒドロキシエチルセルロース 7.0
(ダイセル化学工業(株)製、商品名HECダイセルSE600)
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
ステビオサイド 0.1
メチルパラベン 0.05
計 100.0%
〔実施例
香料を除く全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入し、8kPaまで減圧して80℃で10分間混合した。10分後、20〜40℃に冷却して香料を加え、再び8kPaまで減圧・混合して歯牙白色化用組成物7を調製した。下記歯牙白色化用組成物7(2.0g)を粘着層とするポリエステル製テープ(10mm×40mm×厚さ0.05mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品グレードS)をヒト抜去歯に貼付して適用した。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物7(ゲル状)
酸化チタン 20.0%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−S−3、Caイオン吸着能42μmol/m2、比表面積104m2/g)
1,3−ブチレングリコール(蒸気圧108kPa) 23.0
ジプロピレングリコール(蒸気圧0kPa) 9.9
ミリスチン酸イソプロピル 1.0
ヒドロキシプロピルセルロース 14.0
(日本曹達(株)製、商品名HPC−H)
60%ソルビット液 30.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
香料 1.0
サッカリンナトリウム 0.1
計 100.0%
〔実施例
ラウリル硫酸ナトリウムを除く全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入後、4kPaまで減圧し混合した。一旦常圧に戻しラウリル硫酸ナトリウムを投入後、再度4kPaまで減圧して混合し歯牙白色化用組成物8を調製した。一方、加熱したポリエチレンフィルム(低密度ポリエチレン、厚さ10μm、東ソー(株)製、商品グレード;212)を、ポリプロピレン不織布(ポリプロピレン100%、スパンボンド、目付40g/m2、表面エンボス加工、出光石油化学(株)製、商品グレード;出光RN2040)とレーヨン/ポリプロピレン不織布(レーヨン/ポリプロピレン=70/30、スパンレース、目付40g/m2、シンワ(株)製、商品グレード;7140−6)で挟んで熱融着させて厚さ0.5mmの3層不織布シートを作製し、石膏で作った歯型を用いてポリプロピレン不織布側が歯牙白色化用組成物8と接する面になるように加熱加圧成型して歯型カバーを作製した。この歯型カバーに下記歯牙白色化用組成物9を0.5g充填し、その中にヒト抜去歯を浸漬した。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物8(液状)
酸化チタン 0.1%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−51(A)、Caイオン吸着能46μmol/m2、比表面積82m2/g)
精製水(蒸気圧3165kPa) 98.84
キサンタンガム 0.2
(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、商品名サンエースNXG−S)
フッ化ナトリウム 0.2
ラウリル硫酸ナトリウム 0.3
安息香酸ナトリウム 0.05
色素 0.01
香料 0.3
計 100.0%
〔実施例
全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入後、4kPaまで減圧して混合し歯牙白色化用組成物10を調製した。一方、カップの中でアルギン酸印象剤と水を所定量、手早く混ぜ、印象用トレーに移し、歯に装着して所定時間静置し歯型を作製した。印象用トレーから歯型を取り出し、内壁に歯牙白色化用組成物10を0.5g付着させ、ヒト抜去歯のエナメル質が歯牙白色化用組成物10に密着するように押しつけた。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物10(ゲル状)
酸化亜鉛/酸化アルミニウム/シリカ複合体 0.5%
(堺化学工業(株)製、NANOFINE−50A、Caイオン吸着能24μmol/m2、比表面積75m2/g)
酸化チタン 0.5
(石原産業(株)製、商品名ST21の1.3mmol/L硝酸カルシウム処理品、カルシウム吸着量6.9μmol/m2、比表面積65m2/g)
精製水(蒸気圧3165kPa) 83.73
エタノール(蒸気圧7948kPa) 10.0
カルボキシビニルポリマー 3.0
(B.F.Goodrich社製、商品名カーボポール940)
サッカリンナトリウム 0.05
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.05
色素 0.01
安息香酸ナトリウム 0.05
香料 0.3
ラウリル硫酸ナトリウム 0.3
クエン酸ナトリウム 1.5
水酸化ナトリウム 0.01
計 100.0%
〔実施例10
ラウリル硫酸ナトリウムを除く全原料をニーダーに投入後、4kPaまで減圧し10分間混合した。一旦常圧に戻しラウリル硫酸ナトリウムを投入後、再度4kPaまで減圧し10分間混合して歯牙白色化用組成物11を調製した。下記歯牙白色化用組成物11をヒト抜去歯に塗布し、その上から水不溶性アクリル製パック材を上塗して皮膜を作って適用した。処置終了後、パック剤を剥がした。前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物11(ペースト状)
酸化チタン 10.0%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−D−1、Caイオン吸着能33μmol/m2、比表面積88m2/g)
酸化チタン 10.0
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−55(N)、Caイオン吸着能107μmol/m2、比表面積40m2/g)
精製水(蒸気圧3165kPa) 52.74
ラウリルアルコール(蒸気圧0kPa) 3.0
ソルビトール 20.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
(ダイセル化学工業(株)製、商品名CMCダイセル1270)
ポリアクリル酸 1.0
(日本純薬(株)製、商品名ジュリマーAC−10H)
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
香料 1.0
ステビオサイド 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
メチルパラベン 0.05
水酸化ナトリウム 0.01
計 100.0%
<水不溶性アクリル製パック材>
ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート 20.0%
(三共(株)製、商品名AEA三共)
エタノール 80.0
計 100.0%
〔実施例11
<歯牙白色化用組成物12の調製方法>
香料を除く全原料を真空乳化撹拌装置(みづほ工業(株)製、PVQ−1D)に投入し、8kPaまで減圧して80℃で混合した。10分経過後、20〜40℃に冷却して香料を加え、再び8kPaまで減圧・混合して歯牙白色化用組成物12を調製した。
<シートの作製>
加熱したポリエチレンフィルム(低密度ポリエチレン、厚さ10μm、東ソー(株)製、商品グレード;212)を、ポリプロピレン不織布(ポリプロピレン、スパンボンド、目付40g/m2、表面エンボス加工、出光石油化学(株)製、商品グレード;出光RN2040)とレーヨン/ポリプロピレン不織布(レーヨン/ポリプロピレン=70/30、スパンレース、目付40g/m2、シンワ(株)製、商品グレード;7140−6)で挟んで熱融着させて厚さ0.5mmの3層不織布シートを作製した。この3層不織布シートのレーヨン/ポリプロピレン不織布面側と、フェイシングフィルム(ポリエチレンテレフタレート、片面シリコンコート、厚さ50μm、東レフィルム加工(株)製、商品グレード;セラピールBK(S)#50)のシリコンコート面の間に、トータルの厚みが1mmになるように展延機(花栄機械工業製、ロールサンドコーター)を用いて歯牙白色化用組成物12を塗膏した。その後、上顎の左右1〜3番の歯の唇面及び舌面を覆える大きさ(60mm×25mm)になるように歯牙白色化用組成物を塗膏したシートを型抜きし、上顎の歯列に貼付可能なシートを作製した。
前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は○であった。
歯牙白色化用組成物12(ゲル状)
酸化チタン 5.0%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−55(D)、Caイオン吸着能23μmol/m2、比表面積78m2/g)
ジエチレングリコール(蒸気圧11kPa) 80.84
ヒドロキシプロピルセルロース 12.0
(日本曹達(株)製、商品名HPC−H)
ヒドロキシプロピルセルロース 2.0
(日本曹達(株)製、商品名HPC−M)
水酸化ナトリウム 0.05
2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン 0.01
香料 0.1
計 100.0%
〔実施例12
実施例11と同様の方法により調製された下記歯牙白色化用組成物13を、実施例11と同一の3層不織布シート及びフェイシングフィルムに塗膏し型抜きした(塗膏方法、塗膏面も実施例11と同様)。この型抜きされたシートのフェイシングフィルムを剥がし、前述の実例1〜及び比較実験例1〜4と同様の歯牙白色化実験を行った結果、歯牙白色化効果は◎であった。10名の被験者を用いてこの型抜きされたシートを上顎前歯に装着し、下記の密着性評価方法に従い歯牙白色化用組成物13の歯面への密着性を評価したところ、実施例11(○)と比較しポリビニルピロリドンを添加することで歯牙白色化用組成物の歯面への密着性が◎となり大幅に向上した。
歯牙白色化用組成物13(ゲル状)
酸化チタン 5.0%
(石原テクノ(株)製、商品名TTO−55(D)、Caイオン吸着能23μmol/m2、比表面積78m2/g)
ジエチレングリコール(蒸気圧11kPa) 78.84
ヒドロキシプロピルセルロース 12.0
(日本曹達(株)製、商品名HPC−H)
ヒドロキシプロピルセルロース 2.0
(日本曹達(株)製、商品名HPC−M)
ポリビニルピロリドン 2.0
(BASF社製、商品名:Kollidon90F)
水酸化ナトリウム 0.05
2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン 0.01
香料 0.1
計 100.0%
<歯牙白色化用組成物の歯面への密着性評価方法>
10名の被験者を用いて以下の方法で官能評価を実施した。歯牙白色化用組成物を塗膏し型抜きされた3層不織布シートのフェイシングフィルムを剥がし、上顎の左右1〜3番の歯の唇面に当てながら、余った不織布を舌面に折り返して10分間装着した。各被験者は歯牙白色化用組成物の歯面への密着性について下記の基準で評点をつけ、各被験者の評点の平均値を算出し「密着性」について評価した。
評点
5点:ピッタリと固定している
4点:固定しているが、折り返した舌面側の不織布がやや浮いた感じがする
3点:少しズレるが気になるほどではない
2点:ズレて動いて気になる
1点:固定できない
「密着性」
各被験者の評点の平均値により評価した。
◎:4.5点以上5.0以下
○:3.5点以上4.5点未満
△:2.5点以上3.5点未満
×:2.5点未満

Claims (7)

  1. (A)エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムによるキレート滴定法によって測定されたカルシウムイオン吸着能が10150μmol/m2であり、且つBET法による比表面積が25〜1502/gである金属酸化物及び/又は該金属酸化物の表面にアルカリ土類金属イオンを吸着させた改質金属酸化物
    (B)蒸気圧(25℃)が0〜7000kPaの水及び/又は有機溶剤であり、前記有機溶剤がラウリルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、セバスチン酸ジエチルから選ばれる少なくとも1種以上:組成物全体の30.0〜99.0質量%、及び
    (C)ゲル化剤としてポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種又は2種以上
    を含有し、実質的に研磨剤を含まないことを特徴とする歯牙白色化用組成物。
  2. 金属酸化物が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及びこれら2種以上の複合体の中から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1記載の歯牙白色化用組成物。
  3. (B)成分が、(ラウリルアルコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、平均分子量190〜630のポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルの中から選ばれる少なくとも1種以上)/水が質量比で50/50〜100/0である請求項1又は2記載の歯牙白色化用組成物。
  4. 歯牙白色化用組成物が、((B)成分/(B)成分以外の液体成分)の比が質量比で(60/40)〜(100/0)である請求項1乃至3のいずれか1項記載の歯牙白色化用組成物。
  5. 更に、ポリビニルピロリドンを組成物全体の0.1〜10質量%配合した請求項1乃至4のいずれか1項記載の歯牙白色化用組成物。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項記載の歯牙白色化用組成物と、この歯牙白色化用組成物を保持すると共に、この歯牙白色化用組成物を保持した状態で歯に着脱可能に装着される適用用具とを備えたことを特徴とする歯牙美白用セット。
  7. 適用用具が、水不溶性の素材で作成されたテープ、シート、フィルム、マウストレー、マウスピース、スポンジ、印象材、パック材、又は歯列に成型した歯のカバーである請求項記載の歯牙美白用セット。
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