JP3915894B2 - 電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動スクータや、電気自動車等の電動車両の駆動源として用いる電動車両用ブラシレス直流電動機の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ブラシレス直流電動機は、磁石界磁を有するロータと、3相以上の多相の電機子コイルを有するステータとを備えていて、ロータのステータに対する回転角度位置に応じて電機子コイルの励磁相を切り換えていくことにより、ロータを回転させる。
【0003】
この種の電動機を駆動する駆動装置は、ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、ロータを回転させるべく位置検出器の出力に応じて駆動電流を流す相を切り換えるようにスイッチ回路を制御するコントローラとにより構成される。コントローラは、駆動電流をスロットル信号に対して演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするようにスイッチ回路を制御するPWM制御手段と、駆動電流を流す相の切換角度をスロットル信号に対して演算された制御進み角だけ位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段とを備えている。
【0004】
ここで駆動電流のデューティ比は、駆動電流のオンオフの周期に対するオン時間の割合を示すもので、駆動電流が流れる時間をton、駆動電流が零になる時間をtoff 、オンオフの周期をT(=ton+toff )とした場合、デューティ比DFは、DF=(ton/T)×100[%]で定義される。
【0005】
電動車両においては、アクセルグリップやアクセルペダル等の速度調節部材を変位させることにより電動機の回転速度を調節するが、車両の運転感覚を良好にし、スムースな運転を行わせるためには、速度調節部材の変位量(スロットル開度)αに対してのみ駆動電流のデューティ比DFを制御するのではなく、速度調節部材に対するデューティ比DFの変化率を電動機の回転速度N[rpm]に応じて変化させるように、デューティ比DFをスロットル開度αと回転速度Nとの双方に対して制御している。
【0006】
上記のようにデューティ比DFをスロットル開度αと回転速度Nとに対して制御する場合には、スロットル開度αと回転速度Nと駆動電流のデューティ比DFとの間の関係を与える3次元マップをROMに記憶させておいて、このマップを用いて、CPUにより回転速度N及びスロットル開度αに対してデューティ比DFを演算し、演算されたデューティ比DFで駆動電流を断続させるように、スイッチ回路のスイッチ素子をオンオフ制御する手法がとられる。
【0007】
図5の折れ線aは、正常運転時のスロットル開度αと、PWM制御のデューティ比DFとの関係の一例を示したもので、この例では、速度調節部材に遊びを持たせるため、速度調節部材の低速側の限界位置である全閉位置よりも僅かに増速側に寄った位置に設定された調節開始位置O1 から、高速側の限界位置である全開位置の手前に設定された調節終了位置O2 までの間で、PWM制御のデューティ比DFをスロットル開度αに対して0から100[%]まで直線的に増加させるようにしている。
【0008】
ブラシレス直流電動機においては、駆動電流を流す電機子コイルの相を切り換える切換角度(電気角)を、電動機の機械的な構成により決まる理論的な切換角度に対して所定の角度だけシフトさせている。駆動電流を流す相の切換角度と理論的な切換角度との位相差を制御進み角γと呼んでおり、この制御進み角γは一般には、進み側に設定される。
【0009】
ブラシレス直流電動機においては、上記制御進み角γにより発生トルク及び最高回転速度が変化し、トルクを大きくするように制御進み角γを設定すると最高回転速度が低くなり、制御進み角γを進角させていくと最高回転速度が高くなるが発生トルクは小さくなっていく。
【0010】
通常、電動車両の駆動源としてブラシレス直流電動機を用いる場合には、低速時に十分に大きなトルクを得ることができる制御進み角γを正規の制御進み角γo として設定しておいて、回転速度が設定値を超える領域で回転速度の上昇に応じて制御進み角γを正規の制御進み角γo に対して進角させ、回転速度が設定された進角終了回転速度を超える領域では制御進み角の進角量を最大値に保持するようにしている。
【0011】
上記のような、制御進み角制御を行う場合には、速度調節部材の変位量(スロットル開度)αと回転速度Nと制御進み角γとの間の関係を与える3次元マップをROMに記憶させておいて、このマップを用いてスロットル開度の検出値と回転速度の検出値とに対して制御進み角γを演算し、電動機の制御進み角を演算された制御進み角に等しくするように制御する。
【0012】
上記のように、回転速度が設定値を超える領域で制御進み角γを正規の制御進み角γo よりも進角させる制御を行う場合、上り坂等で速度調節部材の増速側への変位量を最大にした状態(フルスロットルの状態)で運転しているときに、制御進み角γの進角量が最大値に保たれた状態になり、電動機の駆動電流は定格値を超えた状態になる。このような状態が長時間続くと、電機子コイルやスイッチ回路の半導体スイッチ素子の温度が上昇して許容値を超え、これらが破損するおそれがある。
【0013】
そのため、従来のこの種の電動機の駆動装置では、スイッチ回路や電機子コイル等の要監視部品の温度を検出する温度センサを設けて、該温度センサにより検出された温度tが設定値ts を超えたときに、その温度tに応じて、図5の折れ線bないしdに示すように、駆動電流のデューティ比DFの上限値を減少させて、駆動電流を制限することにより、温度上昇を抑制する温度上昇抑制制御を行なわせている。図5の折れ線bないしdはそれぞれ検出された要監視部品の温度tがt1 ,t2 ,t3 (t1 <t2 <t3 )の場合を示している。
【0014】
ところが、温度上昇時に駆動電流を制限しても、制御進み角が進角したままであると、無効電流が多く流れるため回転速度が大幅に低下し、走行速度が制限されるという問題が生じる。実用上、温度上昇抑制制御を行なう際の回転速度の落ち込みはできるだけ小さくすることが望ましい。
【0015】
そこで、特開平8−265919号に示されているように、電機子コイルの温度や、該電機子コイルに流す駆動電流をオンオフするスイッチ回路の構成素子の温度を検出して、温度の異常上昇が検出されたときに制御進み角を遅角させる制御と駆動電流のデューティ比を減少させる制御とを行うことが提案されている。
【0016】
異常な温度上昇が生じたときに制御進み角を遅角させると、駆動電流が減少するため、電機子コイルやスイッチ回路のスイッチ素子の温度上昇を抑制することができる。また制御進み角を遅角させることにより駆動電流を減少させる方法をとると、制御進み角を遅角させることなく、駆動電流のデューティ比のみを減少させる方法をとった場合に比べて、回転速度の落ち込みを少なくすることができるため、温度抑制制御時に運転のフィーリングが悪くなるのを防ぐことができる。
【0017】
また制御進み角の遅角量が余り大きくなると、無効電流が過大になって好ましくないが、制御進み角を遅角させる制御と、駆動電流のデューティ比を減少させる制御とを併用するようにすると、制御進み角の遅角量をそれほど大きくする必要がないため、無効電流が過大になるのを防ぐことができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、電動車両用のブラシレス直流電動機においては、電機子コイルの温度や、電機子コイルの励磁相を切り換えるスイッチ回路のスイッチ素子の温度が異常に上昇するのを防ぐために、温度の異常上昇が検出されたときに駆動電流を抑制する制御を行っているが、従来のこの種の電動機の駆動装置では、要監視部品の温度が設定値を超えたことが検出されたときに、図5の折れ線bないしdのようにスロットル開度の増大に伴って増加していくデューティ比の上限値を制限するようにしていたため、運転者が速度調節部材を増速側に変化させてスロットル開度を増加させていった際に、スロットル開度がある値に達すると、それ以上スロットル開度を増加させてもデューティ比が増加しない状態が生じる。例えば、要監視部品の温度tが設定値ts を超えてt2 に達したときには、スロットル開度αがB点の値を超えると、それ以上速度調節部材を増速側に操作してもデューティ比DFが変化しなくなるため、速度調節部材の操作に追従させて車速を変化させることができなくなる。
【0019】
このように、従来の駆動装置では、温度上昇時に、速度調節部材に追従して速度を調節することができない領域が生じるため、運転者に違和感を与えるという問題があった。
【0020】
本発明の目的は、運転者に違和感を与えることなく、電機子コイルやスイッチ素子の温度上昇を抑制する制御を行わせることができる電動車両用ブラシレス直流電動機の駆動装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁石界磁を有するロータと多相の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、該速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、ロータを回転させるべく位置検出器の出力に応じて駆動電流を流す相を切り換えるようにスイッチ回路を制御するコントローラとを備えていて、前記コントローラが、スロットル信号に対して駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、駆動電流をスロットル信号に対して演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段とを備えている電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置を対象とする。
【0022】
本発明においては、駆動電流が流れることにより発熱が生じる部品の中から選定された要監視部品の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器により検出された温度が設定値以上になっているときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正するデューティ比補正手段とを設けた。
【0023】
上記のようなデューティ比補正手段を設けると、要監視部品の温度が上昇したときに、駆動電流を制限して部品が破損するのを防ぐことができる。
【0024】
また上記のように、温度上昇時にスロットル開度に対するデューティ比の変化率を小さくするように構成すると、温度上昇時にもスロットル開度の0〜100[%]の全変化範囲に亘ってデューティ比を変化させることができるため、速度調節部材の変位に追従して車速が変化しない状態が生じるのを防いで、温度上昇時に運転者に違和感を与えることなく駆動電流を制限して、温度上昇抑制制御を行わせることができる。
【0025】
上記要監視部品が複数個ある場合には、複数の要監視部品の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出器を設けて、該複数の温度検出器の内のいずれかにより検出された要監視部品の温度がその要監視部品に対して設定された設定値以上になったときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするようにデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正するデューティ比補正手段を設ける。
【0026】
上記要監視部品としては、少くとも電機子コイルとスイッチ回路とを選定するのが好ましい。
【0027】
電機子コイルとスイッチ回路とを要監視部品として選定する場合には、多相の電機子コイルの温度を検出するように設けられた電機子コイル用温度検出器と、スイッチ回路の温度を検出するスイッチ回路用温度検出器とを設けて、電機子コイル用温度検出器により検出された温度が電機子コイルに対して設定された設定値以上になったとき、またはスイッチ回路用温度検出器により検出された温度がスイッチ回路に対して設定された設定値以上になったときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするようにデューティ比演算手段を構成する。
【0028】
この場合、電機子コイル用温度検出器は、各相の電機子コイルの温度を検出するように設けられた相数分の感温抵抗素子を並列に接続した構成として、該相数分の感温抵抗素子の並列合成抵抗値から多相の電機子コイルの平均温度を検出するようにしておくのが好ましい。
【0029】
特定の相の電機子コイルの温度のみを検出するように電機子コイル用温度検出器を構成した場合には、電動機がロック状態になって特定の電機子コイルの温度が異常に上昇する状態になったときに、その温度の異常上昇を検出することができないおそれがあるが、上記のように、相数分の感温抵抗素子を設けて、該相数分の感温抵抗素子の並列合成抵抗値から多相の電機子コイルの平均温度を検出するようにすると、特定の電機子コイルの温度が異常に上昇した場合でも、その温度の異常上昇が反映した温度検出信号を得ることができるので、電機子コイルの保護を適確に図ることができる。
【0030】
スイッチ回路の温度を検出するには、スイッチ回路を構成するスイッチ素子が取り付けられているヒートシンクの温度を検出すればよい。スイッチ回路用温度検出器も感温抵抗素子により構成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図4を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0032】
図1において、1はロータ2とステータ3とからなるアウタロータ型のブラシレス直流電動機である。ロータ2は、強磁性材料によりほぼカップ状に形成されたフライホイール201と、フライホイール201の周壁部の内周に取り付けられた永久磁石202とからなっていて、永久磁石202が径方向に着磁されて、2極の磁石界磁203が構成されている。
【0033】
なお磁石界磁は、2極に限られるものではなく、一般には2m極(mは1以上の整数)に構成することができる。
【0034】
図示の例では、ロータ2の正規の回転方向を図示の矢印CCL方向(図1において反時計方向)としている。
【0035】
ステータ3は、環状の継鉄部から3個の歯部Pu〜Pwを放射状に突出させたステータ鉄心301と、該ステータ鉄心の歯部Pu〜Pwにそれぞれ巻回された3相の電機子コイルLu〜Lwとからなっており、電機子コイルLu〜Lwは3相星形結線されている。ステータ鉄心301の歯部Pu〜Pwのそれぞれの先端の外周部がステータ磁極302となっていて、これらのステータ磁極が磁石界磁203に所定のギャップを介して対向させられている。
【0036】
なお図示の例ではステータ鉄心を3極に構成しているが、ステータに設ける電機子コイルの相数を3とする場合、一般にはステータ鉄心に3n(nは1以上の整数)個の歯部を設けて、該3n個の歯部に3相の電機子コイルを巻回する構成をとることができる。
【0037】
フライホイール201は、その底壁部の中央にボス(図示せず。)を備えていて、該ボスが電動車両の駆動輪に直接または減速機を介して結合される。
【0038】
ロータ2のステータ3に対する回転角度位置を検出するため、ステータ鉄心301に3相の位置検出器hu〜hwが取り付けられている。
【0039】
各位置検出器は、各相の電機子コイルに流す駆動電流の通電角(電気角)に応じて適宜の位置に配置される。例えば、ロータ2の回転に伴って電機子コイルLu〜Lwにそれぞれ誘起する無負荷誘起電圧がピークに達する位置(磁石界磁203から各相の電機子コイルが巻回された歯部を通してながれる磁束が零点を通過する位置)の前後90度(電気角)の区間各相の電機子コイルに駆動電流を流す「180度スイッチング制御」を行って電動機を回転させる場合には、3相の電機子コイルLu,Lv及びLwがそれぞれ巻回されている歯部Pu,Pv及びPwの先端の磁極部の中心位置がロータ2の磁石界磁の各磁極の中心位置に一致するときのロータの回転角度位置を検出するように、各相の位置検出器が取り付けられる。
【0040】
図示のように、3つの歯部Pu,Pv及びPwにそれぞれ電機子コイルLu,Lv及びLwが巻回されていて、位置検出器hu,hv及びhwとしてホールICが用いられる場合には、歯部Pu,Pv及びPwのそれぞれの磁極の中心に対して電気角で90度位相が進んだ位置に位置検出器hw,hu及びhvを配置して、これらの位置検出器の出力により決まる駆動相(駆動電流を流す電機子コイルの相)の切換角度を基準の切換角度とし、この基準の切換角度に対して実際の切換角度を進角または遅角させるように制御進み角を演算する。
【0041】
10は電機子コイルLu〜Lwと直流電源11との間に設けられて電機子コイルの励磁相を切り換えるスイッチ回路で、このスイッチ回路は、一端が共通接続された上段のスイッチ素子10uないし10wと、これらの上段のスイッチ素子の他端にそれぞれ一端が接続され、他端が共通接続された下段のスイッチ素子10x〜10zとからなるスイッチ素子のブリッジ回路からなっていて、上段のスイッチ素子10u〜10wの一端の共通接続点及び下段のスイッチ素子10x〜10wの他端の共通接続点がそれぞれ直流電源11の正極端子及び負極端子に接続されている。
【0042】
スイッチ回路を構成するスイッチ素子としてはMOSFET、電力用トランジスタ,IGBT等のオンオフ制御が可能な任意のスイッチ素子を用いることができるが、図示の例では、各スイッチ素子がMOSFETからなっている。
【0043】
電動車両の制動時に回生電流を流すため、上段のスイッチ素子10u〜10w及び下段のスイッチ素子10x〜10zにそれぞれ帰還用ダイオード12u〜12w及び12x〜12zが接続される。図示のように各スイッチ素子としてMOSFETを用いる場合には、これらの帰還用ダイオードとしてFETのドレインソース間に形成されている寄生ダイオードを用いることができる。
【0044】
図示の直流電源11は、バッテリBと、該バッテリの両端に接続されたコンデンサC1 とからなっている。
【0045】
スイッチ回路10を制御するため、マイクロコンピュータと入出力インターフェースとを備えたコントローラ13と、コントローラ13から与えられる信号に応じてスイッチ回路のスイッチ素子10u〜10w及び10x〜10zにそれぞれ駆動信号(スイッチ素子をオン状態にするための信号)Su〜Sw及びSx〜Szを与えるドライバ回路14とが設けられ、位置検出器hu〜hwからそれぞれ得られる位置検出信号Hu〜Hwがコントローラ13に入力されている。
【0046】
15は電動車両の速度を調節するアクセルグリップやアグセルペタル等の速度調節部材の変位量をスロットル開度αとして検出するスロットルセンサで、図示のスロットルセンサ15は、速度調節部材に可動接触子15aが連結されたポテンショメータからなっている。スロットルセンサ15を構成するポテンショメータの両端には、図示しない定電圧直流電源回路から得られる直流定電圧Eが印加されていて、該ポテンショメータの可動接触子15aと接地間にスロットル開度αに比例したスロットル信号Vαが得られるようになっている。スロットルセンサ15から得られるスロットル信号はコントローラ13に入力されている。スロットル信号はコントローラ13内に設けられたA/D変換器によりデジタル値Vthに変換されてマイクロコンピュータのCPUに読み込まれる。
【0047】
本発明においてはまた、駆動電流が流れることにより発熱が生じる部品の中から選定された要監視部品の温度を検出するために温度検出器が設けられる。通常は、要監視部品として、少くとも電機子コイルとスイッチ回路10の構成部品とを選定する。図示の例では、3相の電機子コイルLu〜Lwのそれぞれの温度を検出するように負の温度係数または正の温度係数を有する感温抵抗素子(温度センサ)Rtu〜Rtwがそれぞれの相の電機子コイルに熱的に結合されている。感温抵抗素子Rtu〜Rtwは互いに並列に接続され、これらの感温抵抗素子により電機子コイル用温度検出器が構成されている。このように電機子コイル用温度検出器を構成すると、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列合成抵抗値から3相の電機子コイルLu〜Lwの温度の平均値に相当する温度を検出することができる。
【0048】
電機子コイルの温度を検出するために、いずれか1つの相の電機子コイルの温度を検出するように温度センサを設けることも考えられるが、1つの相の電機子コイルの温度を検出するようにした場合には、電動機がロック状態になって特定の相の電機子コイルの温度が異常上昇する状態が生じたときに、その温度の異常上昇を検出できないことがある。これに対し、上記のように3相の電機子コイルにそれぞれ感温抵抗素子を熱的に結合して、これらの感温抵抗素子を並列接続する構成をとると、3相の電機子コイルの温度の平均値に相当する温度を検出することができるため、特定の相の電機子コイルでのみ温度の異常上昇が生じた場合でも、その異常上昇を反映させた温度検出信号を得ることができる。
【0049】
また上記のように3相の電機子コイルにそれぞれ取り付けた感温抵抗素子を並列に接続して、その並列合成抵抗値から3相の電機子コイルの温度の平均値に相当する温度を検出するようにすると、電機子コイルの温度を読み込むために割り当てるコントローラ13のCPUの入力ポートが一つだけで済むため、ポート数が少いCPUを用いてコストの低減を図ることができる。
【0050】
図1に示した例では更に、スイッチ回路10の温度(スイッチ素子の温度)を検出するために、スイッチ回路10の構成素子が取り付けられているヒートシンクに感温抵抗素子Rtsが熱的に結合され、この感温抵抗素子Rtsによりスイッチ回路用温度検出器が構成されている。スイッチ回路用温度検出器から得られる検出信号(この例では抵抗値の変化)は、電機子コイル用温度検出器から得られる検出信号とともにコントローラ13に入力されている。
【0051】
コントローラ13には、電機子コイル用温度検出器を構成する感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端に定電圧を印加する電圧印加回路が設けられていて、感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列回路の両端の電圧(感温抵抗素子Rtu〜Rtwの並列合成値に比例した電圧)が温度検出信号としてA/D変換器を通してマイクロコンピュータのCPUに読み込まれる。同様に、スイッチ回路の温度を検出する感温抵抗素子Rtsの両端に定電圧を印加する回路がコントローラ内に設けられていて、感温抵抗素子Rtsの両端の電圧が温度検出信号としてA/D変換器を通してCPUに読み込まれる。
【0052】
コントローラ13は、マイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより、電動機を制御するために必要な各種の手段を構成する。コントローラ13がマイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより実現する各種の機能実現手段を含めた図1の実施形態の全体的な構成を図2に示した。
【0053】
コントローラ13は、例えば、位置検出器hu〜hwがそれぞれ発生する矩形波状の位置検出信号の発生間隔を計測することにより、電動機の回転速度Nを演算し、この回転速度Nと、スロットル信号のデジタル値Vthから得られるスロットル開度情報とに基づいてブラシレス直流電動機1の電機子コイルに供給する駆動電流のデューティ比DFと、制御進み角(駆動電流を流す電機子コイルの相を切り換える実際の切換角度と位置検出器の配置により決まる基準の切換角度との位相差)γとを演算する。デューティ比DF及び制御進み角γの演算は、それぞれ回転速度Nとスロットル開度とデューティ比DFとの間の関係を与えるデューティ比演算用3次元マップ及び回転速度Nとスロットル開度と制御進み角γとの間の関係を与える制御進み角演算用3次元マップ(いずれのマップもROMに記憶されている)を用いて補間法により行われる。
【0054】
コントローラ13を構成するマイクロコンピュータが実行するプログラムのうち、上記回転速度を演算する過程により電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段13aが実現される。また上記デューティ比演算用マップを用いてデューティ比を演算する過程により、スロットル信号の値と回転速度とに対して駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段13bが構成される。
【0055】
更に、上記制御進み角演算用マップを用いて制御進み角を演算する過程により、制御進み角演算手段13cが構成される。
【0056】
コントローラ13はまた、位置検出器hu〜hwの出力信号に基づいて駆動電流を流す相を決定する励磁相決定手段13dを有している。この励磁相決定手段は、位置検出器hu〜hwの出力信号に基づいて決定した相の電機子コイルに、制御進み角演算手段13cにより演算された制御進み角を有するタイミングで、スイッチ回路10の所定のスイッチ素子に駆動信号を与えることを指令する指令信号をドライバ回路14に与える。ドライバ回路14は、この指令信号に応じて所定のスイッチ素子に駆動信号を与える。
【0057】
また電動機1に供給される駆動電流の波形を、デューティ比演算手段13bにより演算されたデューティ比で断続するPWM波形とするために、ドライバ回路14からスイッチ回路10のスイッチ素子に与える駆動信号の波形をPWM変調する変調手段13eが設けられている。
【0058】
図3(A)ないし(I)は、図1に示したブラシレス直流電動機を、180度スイッチング制御を行って駆動する場合の位置検出信号の波形と、スイッチ回路10の各スイッチ素子のオンオフ動作波形とを示した波形図である。図3(A)ないし(C)はそれぞれ位置検出器hu〜hwが発生する位置検出信号Hu〜Hwの一例を示し、図3(D)ないし(F)はそれぞれ、駆動電流を流す電機子コイルの相を切り換える角度を基準の切換角度とした場合の、スイッチ回路10の上段のスイッチ素子10uないし10wのオンオフ動作を示している。また図3(G)ないし(I)はそれぞれスイッチ回路10の下段のスイッチ素子10x〜10zのオンオフ動作を示している。
【0059】
励磁相決定手段13dは、図3(A)ないし(C)に示された位置検出信号に論理演算を施すことにより、スイッチ回路10の各スイッチ素子をオン状態にする区間とオフ状態にする区間とを決定し、各スイッチ素子をオン状態にする区間そのスイッチ素子に駆動信号を与える。
【0060】
変調手段13eは、駆動電流をPWM制御するため、図示の例では、ドライバ回路14からスイッチ回路の下段のスイッチ素子10x〜10zに与える駆動信号を、デューティ比演算手段13bにより演算されたデューティ比で断続するPWM波形に変調して、下段のスイッチ素子を所定のデューティ比でオンオフさせる。
【0061】
図3に示した例では、コントローラのマイクロコンピュータが実行するプログラムのうち、デューティ比演算手段13bを実現する過程と、スイッチ素子10x〜10zに与える駆動信号をデューティ比演算手段により演算されたデューティ比で断続する波形に変調する変調手段13eを実現する過程とにより、駆動電流をデューティ比演算手段により演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするようにスイッチ回路を制御するPWM制御手段が構成される。
【0062】
ブラシレス直流電動機においては、制御進み角γによって最大発生トルク及び最高回転数が変化する。一般には、電動機の用途や要求されるトルク特性、或いは必要とされる最高回転数等に応じて制御進み角の大きさを設定している。電動車両を駆動するブラシレス直流電動機の場合は、電動機の回転数が設定値以下であるときに制御進み角γを正規の制御進み角γo に固定し、電動機の回転数が設定された進角開始回転数を超える範囲で制御進み角γを回転数の上昇に伴って正規の制御進み角γo よりも進角させ、電動機の回転数が設定された進角終了回転数以上になる範囲では制御進み角の進角量を設定された最大値に固定するように、制御進み角γを回転数に応じて制御することが多い。
【0063】
制御進み角γを制御する場合には、駆動電流を流す相を切り換える切換角度をスロットル信号に対して演算された制御進み角だけ位置検出器の出力により決まる基準の切換角度に対してシフトさせるように制御する制御進み角制御手段がコントローラ13に設けられる。
【0064】
この制御進み角制御手段は、コントローラ13のCPUが実行するプログラムの一連の過程のうち、制御進み角演算手段13cを実現する過程と、この制御進み角演算手段により演算された制御進み角と励磁相決定手段13dにより決定される基準の切換角度とから、駆動電流を流す相を切換えるタイミングを決定する過程とにより構成される。
【0065】
正規の制御進み角γo をどのように設定するかは任意であるが、一般には、電動車両の発進時のトルクを大きくするために、最大トルクが得られる制御進み角を正規の制御進み角γo とする。
【0066】
回転速度Nが設定値を超える領域で制御進み角γを正規の制御進み角γo よりも進角させる制御を行う場合、上り坂等で速度調節部材の増速側への変位量を最大にした状態(フルスロットルの状態)で運転しているときに、制御進み角γの進角量が最大値に保たれた状態になり、電動機の駆動電流は定格値を超えた状態になる。このような状態が長時間続くと、電機子コイルやスイッチ回路のスイッチ素子の温度が上昇して許容値を超え、これらが破損するおそれがある。
【0067】
そこで本発明においては、電機子コイルLu〜Lwの温度を検出する電機子コイル用温度検出器(図示の例では感温抵抗素子Rtu〜Rtwにより構成されている。)と、スイッチ回路10の温度を検出するスイッチ回路用温度検出器(感温抵抗素子Rtsにより構成されている。)とを設けるとともに、電機子コイル用温度検出器により検出された温度が電機子コイルに対して設定された設定値よりも低く、かつスイッチ回路用温度検出器により検出された温度がスイッチ回路に対して設定された設定値よりも低いときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比をそのままとし、電機子コイル用温度検出器により検出された温度が電機子コイルに対して設定された設定値以上になったとき、またはスイッチ回路用温度検出器により検出された温度がスイッチ回路に対して設定された設定値以上になったときに、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするようにデューティ比演算手段13bにより演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正するデューティ比補正手段13fを設ける。
【0068】
上記の制御を行わせるためには、例えば、デューティ比演算手段により演算されたデューティ比DFに乗じる補正係数K(<1)と検出された温度tとの関係を与える補正係数演算用マップを、電機子コイル及びスイッチ回路のそれぞれに対して作成して、これらのマップをROMに記憶させておく。そして、電機子コイル用温度検出器により検出された温度が電機子コイルに対して設定された設定値以上になったときには、電機子コイル用の補正係数演算用マップを用いて、電機子コイル用温度検出器により検出された温度に対して補正係数Kを演算し、演算した補正係数Kをデューティ比演算手段により演算されたデューティ比DFに乗じることにより補正後のデューティ比DF´(=K×DF)を演算する。またスイッチ回路用温度検出器により検出された温度がスイッチ回路に対して設定された設定値以上になったときには、スイッチ回路用の補正係数演算用マップを用いて、スイッチ回路用温度検出器により検出された温度に対して補正係数Kを演算し、演算した補正係数Kをデューティ比演算手段により演算されたデューティ比DFに乗じることにより補正後のデューティ比DF´(=K×DF)を演算する。PWM制御手段は、駆動電流のデューティ比を上記のようにして補正した後のデューティ比DF´に等しくするように、スイッチ回路を制御する。
【0069】
上記のように、デューティ比の増加割合を検出された温度に応じて補正する制御を行った場合のデューティ比(DFまたはDF´)とスロットル開度αとの関係の一例を図4に示した。同図において折れ線aは検出された温度(例えば電機子コイルの温度)tが設定値ts 以下であるとき(正常時)にデューティ演算手段により演算されるデューティ比DFとスロットル開度αとの関係を示している。
【0070】
また折れ線bないしdはそれぞれ検出された温度tがt1 ,t2 及びt3 (t1 <t2 <t3 )のときの補正されたデューティ比DF´とスロットル開度αとの関係を示している。
【0071】
図4から明らかなように、本発明によれば、同図の折れ線bないしdのように、温度が設定値以上になった場合に、スロットル全開時のデューティ比を温度の上昇に伴って小さくして、駆動電流を制限することができる。またスロットル開度の0〜100[%]の全変化範囲に亘って、デューティ比DFがスロットル開度に追従して連続的に変化して、スロットル全開時に最大値に到達する特性が得られるため、温度上昇時に、速度調節部材を変位させても車速が変化しない状態が生じるのを防いで、運転者に違和感を与えることなく温度上昇抑制制御を行わせることができる。
【0072】
上記の例では、温度検出器を感温抵抗素子により構成しているが、熱電対等の他の温度センサを用いて温度検出器を構成することもできる。
【0073】
上記の例では、スイッチ回路の下段のスイッチ素子をオンオフさせることによりPWM波形の駆動電流を得るようにしているが、スイッチ回路の上段のスイッチ素子をオンオフさせることによりPWM波形の駆動電流を得るようにしてもよく、上段のスイッチ素子と下段のスイッチ素子との双方をオンオフさせることによりPWM波形の駆動電流を得るようにしてもよい。
【0074】
上記の例では、位置検出器を構成するホールICを各相の電機子コイルが巻回された歯部の中心に対して電機角で90ど進んだ位置に配置したが、位置検出器はロータのステータに対する回転角度位置を検出すれば良く、その配設位置は上記の例に限定されない。
【0075】
上記の例では、180度スイッチング制御を行わせているが、ブラシレス直流電動機の駆動の仕方は上記の例に限られるものではなく、例えば各相の電機子コイルが巻回された歯部を通してながれる磁束が零点を通過する位置の前後60度(電気角)の区間各相の電機子コイルに駆動電流を流す「120度スイッチング制御」を行って電動機を回転させる場合にも本発明を適用できるのはもちろんである。
【0076】
上記の例では、3相の電機子コイルのそれぞれに対して感温抵抗素子Rtu〜Rtw(温度センサ)を熱的に結合して、これらの感温抵抗素子を並列に接続することにより電機子コイル用温度検出器を構成したが、本発明は、このように電機子コイル用温度検出器を構成する場合に限定されるものではなく、3相の電機子コイルにそれぞれ取り付けた感温抵抗素子から得られる温度検出信号をそれぞれ個別にコントローラ13のCPUに入力して該CPUにより3相の電機子コイルの温度を個別に監視し、いずれかの相の電機子コイルの温度が設定値以上になったときにスロットル信号の値の修正を行わせるようにしてもよい。
【0077】
また上記の例では、位置検出器としてホールICを用いているが、ホールICに代えて、フォトエンコーダ等の位置検出器を用いるようにしてもよい。
【0078】
本発明を適用する電動車両は、電動機の出力を車両の駆動輪に直接伝達する構造のものでもよく、電動機の出力を減速機を介して駆動輪に伝達するようにしたものでもよい。
【0079】
上記の例では、3相のブラシレス電動機を例にとったが、本発明において電機子コイルの相数は任意である。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、駆動電流の通電により温度が上昇する要監視部品の温度を検出する温度検出器を設けるとともに、該要監視部品の温度上昇時にスロットル開度に対するデューティ比の増加割合を小さくするようにデューティ比を補正する手段を設けたので、要監視部品の温度が設定値以上になったときにも、スロットル開度の0〜100[%]の全変化範囲に亘ってデューティ比を変化させることができる。したがって、温度上昇時に、速度調節部材を変位させても車速が変化しない状態が生じるのを防いで、運転者に違和感を与えることなく、温度上昇抑制制御を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す構成図である。
【図2】コントローラのマイクロコンピュータにより実現される機能実現手段を含めた図1の実施形態の全体的な構成を示したブロック図である。
【図3】図1のブラシレス直流電動機における位置検出信号の波形と、スイッチ回路の各スイッチ素子のオンオフ動作波形とを示した波形図である。
【図4】本発明におけるPWM制御のデューティ比とスロットル開度との関係を示した線図である。
【図5】従来の駆動装置におけるPWM制御のデューティ比とスロットル開度との関係を示した線図である。
【符号の説明】
1…ブラシレス直流電動機、2…ロータ、3…ステータ、Lu〜Lw…電機子コイル、hu〜hw…位置検出器、10…スイッチ回路、13…コントローラ、15…スロットルセンサ、Rtu〜Rtw,Rts…感温抵抗素子。
Claims (4)
- 磁石界磁を有するロータと多相の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流をスロットル信号に対して演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段とを備えている電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置において、
前記駆動電流が流れることにより発熱が生じる部品の中から選定された要監視部品の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器により検出された温度が設定値以上になっているときに、前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正するデューティ比補正手段を設けたことを特徴とする電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置。 - 磁石界磁を有するロータと多相の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流をスロットル信号に対して演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段とを備えている電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置において、
前記駆動電流が流れることにより発熱が生じる部品の中から選定された複数の要監視部品の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出器と、
前記複数の温度検出器の内のいずれかにより検出された要監視部品の温度がその要監視部品に対して設定された設定値以上になったときに、前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比の前記スロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正するデューティ比補正手段とを備えたこと、
を特徴とする電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置。 - 前記複数の要監視部品は、前記電機子コイルと前記スイッチ回路を構成するスイッチ素子である請求項2に記載の電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置。
- 磁石界磁を有するロータと多相の電機子コイルを有するステータとを備えた電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の前記ロータのステータに対する回転角度位置を検出する位置検出器と、直流電源から前記電機子コイルに駆動電流を流す相を切り換えるために前記直流電源と電機子コイルとの間に設けられたスイッチ回路と、電動機の回転速度を調節する際に操作される速度調節部材と、前記速度調節部材の変位量をスロットル開度として検出して該スロットル開度に相応した大きさのスロットル信号を出力するスロットルセンサと、前記ロータを回転させるべく前記位置検出器の出力に応じて前記駆動電流を流す相を切り換えるように前記スイッチ回路を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記スロットル信号に対して前記駆動電流のデューティ比を演算するデューティ比演算手段と、前記駆動電流をスロットル信号に対して演算されたデューティ比を有するPWM波形の電流とするように前記スイッチ回路を制御するPWM制御手段とを備えている電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置において、
前記多相の電機子コイルの温度を検出するように設けられた電機子コイル用温度検出器と、
前記スイッチ回路の温度を検出するスイッチ回路用温度検出器と、
前記電機子コイル用温度検出器により検出された温度が前記電機子コイルに対して設定された設定値以上になったとき、または前記スイッチ回路用温度検出器により検出された温度が前記スイッチ回路に対して設定された設定値以上になったときに、前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比のスロットル開度に対する増加割合を検出された温度が高い場合程小さくするように前記デューティ比演算手段により演算されたデューティ比を検出された温度に応じて補正するデューティ比補正手段と、
を具備したことを特徴とする電動車両駆動用ブラシレス直流電動機の駆動装置。
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