JP3915701B2 - 溶融金属精錬用ランス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスに関し、具体的には、少なくとも一方の端部に開口部を有する中空のハウジングと、このハウジングの内部に配置される中子とを備える粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属浴の精錬では、脱硫のために石灰等のCa化合物の粉体を金属浴に吹き込む。例えば、真空脱ガス炉では鋼浴をAlで昇熱するため、酸素とともに粉体を、ラバールランスと呼ばれる末広タイプの超音速ランスから溶鋼面に吹き込む。このような金属の精錬の際に超音速ランスであるラバールランスを用いるのは、高熱の金属浴面へのガスまたは粉体の到達割合 (到達量/吹き込み量) を増加するためである。
【0003】
金属の精錬では、例えば、真空脱ガス槽中に吸い上げた溶鋼に粉体を吹き付けて脱硫する処理が行われる。この場合、超音速ランスであるラバールランスは槽の上部の待避位置から浴面に降下して粉体搬送ガスとともに粉体を超音速で吹き付ける。
【0004】
ところで、本発明者らは先に特開2002−226907号公報により、このラバールランスに替えて、図5に例示されるような、ノズル1の中央に中子2を有するとともに中子2の周囲に配置されるハウジング3との間に環状のスリットをなす吹き出し口4を有するランス5を超音速ランスとして用いることを提案した。
【0005】
このランス5の利点の一つは、ノズル1の中央に中子2を配置し、中子2の周りにスリットをなす吹き出し口4を形成するため、吹き込むガスの流量を変化させても、流量及び雰囲気圧にしたがった超音速ジェットを形成できる点である。理解を容易にするためにラバールランスと比較して説明する。ラバールランスでは、スロート面積と出口面積との比によりマッハ数が決定されることから、流量に応じてノズル出口圧も決定される。このため、このノズル出口圧が雰囲気圧と異なる場合にはジェットが不安定になってしまう。これに対し、上述したランス5では、超音速ジェットはスロートに相当する出口からジェットの圧力が雰囲気圧に一致するまで膨張する。このため、図6(a) 及び図6(b) に示すように、ジェットの流量が変化しても雰囲気圧に合致するまで減圧、加速した超音速ジェットが形成される。このため、ランス5によれば、酸素ガスを大量に流す場合のみならず流量を絞って流す場合にも、安定した超音速ジェットが得られる。
【0006】
ランス5のもう一つの特徴は、酸素ガスとともに粉体を流した場合、吹き出し口4から噴出された粉体は中子2の先端部の斜面2aに沿って流れ、この際に粉体の慣性力は大きいことから、粉体は超音速ジェットのコア一部分(中心部分)に集中して流れ、しかも超音速ジェットが安定しているために粉体が拡散し難いことである。ラバールランスから粉体を吹き込むと粉体は気体とともにランス内に広がり、粉体が拡散し易くなることとは対照的である。
【0007】
このように、ランス5は、図5に示すようにジェットが中子2の先端部の斜面2aに沿って流れるため、粉体もジェットの中心方向に集まる。したがって、ラバールランスに比較すると溶鋼面への粉体の到達率が上昇し、これにより脱硫率が上昇する。このように、ランス5は粉体の吹き込みにも適する。
【0008】
このため、粉体の浴面への到達率を増加させ、反応効率、および粉体の歩留まりをともに改善するためには、ランス5はラバールランスよりも優れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者は、特開2002−226907号公報により提案したランス5のさらなる改善を図るために鋭意検討を重ねた結果、このランス5には以下に示す課題があり、これらの課題を解決することはランス5を実用に供するためには不可欠となることがわかった。
【0010】
まず、このランス5を用いて粉体を吹き込む場合、溶鋼をAl昇熱する(溶鋼温度を上昇させる)場合に吹き込む酸素流量に比較して、粉体キャリヤーガス流量は約1/10 と少ない。そのため、図6(b) に示すように、超音速ジェットの径も細くなるが、超音速ジェットは中子2に沿って流れる。この際、粉体も超音速ジェットとともに流れるが、粉体は慣性力がキャリヤーガスに比較して大きいため、中子2の表面に集中し易い。そのため、中子2の表面は粉体によって摩耗する。その摩耗速度は流速とともに増大し、超音速になると顕著に増加する。中子2とハウジング3との最も狭い間隙ではマッハ数=1となっているため超音速となり、著しく摩耗する。ノズル1をステンレス鋼製としたランス5では、最大摩耗量は0.5mm/1回操業と極めて大きい。なお、中子2が摩耗するような状況では、ハウジング3の内面の摩耗も著しい。
【0011】
また、ラバールランスでは最狭部であるスロート部であってもその径は30mmと大口径であったため、スロート部で粉体または粉体の凝固物またはその他異物が詰まることはない。これに対し、ランス5では図5に示すように中子2とハウジング3との間の環状の間隙(通常2〜10mm)からガスを流すため、粉体の凝固物または異物が間隙に詰まり易いことがわかった。このランス5のスロート部の間隙に詰まった凝固物はマッハ数=1に加速された搬送ガスによって加速されてきたものであるため、かなり強固にスロート部に詰まる。また、中子2の裏側に閉塞する場合もあり、ランス5自体が内径約80mmで長さ約25mもあることを考えると、ランス5のスロート部の反対側から閉塞物を取り出すことは難しい。
【0012】
ここで、ランス5の間隙が狭くなる理由を説明する。一般に超音速ランスではいわゆるスロート面積(最狭部面積;マッハ=1)によって、任意の元圧に対する流量が決定される。すなわち、ラバールノズルでのスロート面積は (スロート直径d2×π/4) で決定されるのに対し、ランス5の間隙は環状であるため、スロート面積は (外周長×間隙長さ) となる。したがって、ランス5のように外周長が長い場合には間隙が狭くなる。
【0013】
このように、特開2002−226907号公報により提案したランス5では、粉体を吹き込んでいる際に、粉体が中子2とハウジング3との最狭間隙に閉塞する場合がある。通常は最狭間隙より遥かに小さい粒度の粉体を用いるが、粉体を流す配管内の異物や配管中で凝集した粉体の塊が間隙に詰まることがある。このような場合に、詰まった異物を除去するための工夫が必要である。
【0014】
本発明の目的は、特開2002−226907号公報により提案されたランスのこれらの課題、すなわち、中子の外面とハウジングの内面との摩耗、および中子とハウジングとの間の環状の間隙における詰まりを、事実上解消することができる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスを提供することであり、具体的には、粉体を吹き込む場合における中子およびハウジングの摩耗を防止でき、中子とハウジングとの間の間隙である環状の吹き出し口の大きさを調整することができ、かかる間隙に詰まった粉体を迅速に除去するために中子をハウジングから簡単に脱着でき、または、中子への粉体の堆積を事実上解消することができる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した課題を解決するためには、特開2002−226907号公報により提案されたランスにおいて、中子の表面を例えばアルミナやジルコニアのような高硬度のセラミックスもしくはステライトのような超硬合金で被覆するか、または、中子自体をセラミックス製もしくは超硬合金製とすること、さらにはハウジングの粉体の通る内面を中子同様のセラミックスもしくは超硬合金で被覆(溶射や肉盛り等)するか、ハウジング自体をセラミックス製または超硬合金製とすることにより、中子の外面とハウジングの内面との摩耗を事実上解消できることを知見した。
【0016】
また、本発明者らは、特開2002−226907号公報により提案されたランスにおいて、中子を脱着可能とするとともに、さらに、その中子とハウジングとの間隙の大きさを調整可能な構造とすることにより、この間隙における詰まりを事実上解消できることを知見した。本発明は、これらの新規かつ重要な知見に基づいてなされたものである。
【0020】
本発明は、少なくとも一方の端部に開口部を有する中空のハウジングと、このハウジングの内部に配置されるとともに先細り形状の先端部および後端部を有する中子とを備え、先端部が、ハウジングに接触せずにその一部が開口部から外部へ向けて突出して配置されることによって、このハウジングとの間に環状の吹き出し口を形成し、先端部が、後端部に脱着自在に設けられるとともに、中子の少なくとも外表面およびハウジングの少なくとも内表面が、超硬合金または硬質セラミックスからなるとともに、中子が、外周に雄ねじが刻設されるとともに、ハウジングの内面に固定するための固定部材を一方の端部側に有するねじ軸と、雄ねじに螺合する雌ねじを有することによりねじ軸の軸方向への設置位置を変更自在に配置される先端部受け部材とを有し、後端部が、ねじ軸の一方の端部側に螺合する雌ねじを有し、先端部受け部材に当接して配置されるとともに、先端部が、雄ねじの他方の端部側に螺合する雌ねじを有し、先端部受け部材に当接して配置されることを特徴とする粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスである。
【0021】
この本発明にかかる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスでは、先端部が、開口部が形成される平面と略直交する方向への設置位置を変更自在に配置されることが例示される。
【0022】
これらの本発明にかかる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスでは、開口部と平行な平面内における先端部の外法の最大値が、この平行な平面における開口部の寸法よりも小さく設定されることが例示される。
【0023】
これらの本発明にかかる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスでは、先端部が、ハウジングの外部からの脱着作業により、後端部と脱着されることが例示される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10の構造を、一部簡略化するとともにハウジング11を透視した状態で、中子12の分解組み立て図とともに示す斜視図である。また、図2は、図1に示す溶融金属精錬用ランス10の縦断面図である。
【0026】
図1および図2にともに示すように、本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10は、ハウジング11と中子12とを備える。そこで、以降の説明は、溶融金属精錬用ランス10のこれらの構成要素について順次説明する。
【0027】
(ハウジング11)
本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10は、ステンレス鋼製のハウジング11を有する。ハウジング11は、少なくとも一方の端部に、円形の開口部11a を有する中空の円筒体である。
【0028】
本実施の形態では、後述するように粉体吹き込みに伴う摩耗を確実に防止するため、ハウジング11の内面11d に超硬合金もしくは硬質セラミックスの溶射被覆層を形成した。本実施の形態では、溶射厚さは約0.25mm程度とした。なお、溶射する硬質セラミックスとしてはアルミナ系のもの、超硬合金としてはCo-W系のものが例示されるが、耐摩耗性の観点から硬質セラミックスの溶射被膜層を設けることが望ましい。
【0029】
しかし、このように溶射被膜層を形成する形態に限定されるものではなく、例えば、ハウジング11自体を超硬合金または硬質セラミックスにより構成することにより、粉体との衝突面であるハウジングの内表面が超硬合金または硬質セラミックスにより構成されるようにしてもよい。
【0030】
なお、ハウジング11の下部には、ランスに溶接により組み込むための切欠きとして設けられる傾斜面11b および水平面11c が設けられており、上述した開口部11a は、この水平面11c に設けられている。また、簡略化して示してあるが、ハウジング11のもう一方の端部である上面には、粉体および酸素ガス供給系13が接続されており、供給源13a から粉体または酸素ガスがハウジング11の内部に供給されるように構成されている。
【0031】
ハウジング11のこれ以外の構成要素は、この種のハウジングとして公知のハウジングと同様であるため、ハウジング11に関するこれ以上の説明は省略する。
本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10におけるハウジング11は、以上のように構成される。
【0032】
(中子12)
本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10は中子12を有する。中子12はハウジング11の内部に配置される。
【0033】
中子12は、図1における分解組み立て図および図2にも示すように、外周に雄ねじ14a が刻設されるとともに、ハウジング11の内面11d に固定するための固定部材18を一方の端部側に有するねじ軸14と、雄ねじ14a に螺合する雌ねじ15a を有することによりねじ軸14の軸方向 (図1における上下方向) への設置位置を変更自在に配置される先端部受け部材15と、ねじ軸14の一方の端部側に螺合する雌ねじ17a を有し、先端部受け部材15に当接して配置される後端部17と、雄ねじ14a の他方の端部側に螺合する雌ねじ16a を有し、先端部受け部材15に当接して配置されるとともに、先細り形状の外形を有する先端部16とを、有する。
【0034】
すなわち、先端部受け部材15および後端部17が回転自在に雄ねじ14a に螺合されており、先端部受け部材15と後端部17とはそれぞれが互いに締め付けあって位置を固定するロックナット構造を呈している。先端部受け部材15および後端部17には、それぞれを回転させてねじ軸14への脱着を行う際に用いる回転時掛止用穴がそれぞれ4つ設けられており、これら4つの穴に嵌まる突起を持つ治具 (図示しない) をこれら4つの穴に同時に掛止させて治具を回転させることにより、先端部受け部材15および後端部17を回転させる。
【0035】
ねじ軸14の一方の端部側に設けられた4本の固定部材18は、上述したねじ軸14をハウジング11の内面11d に固定するためのものであり、本例では4本設けたが、4本以外であってもよい。固定部材18の形状はガス流の抵抗を最小とするため流線型とすることが望ましい。
【0036】
また、雄ねじ14a および雌ねじ15a 、16a 、17a は、中子12とハウジング11との間隙の微調整を可能とするため、いずれも、細目ネジ(JISに規定されるネジピッチの細かいネジ) とした。
【0037】
先端部16は、ハウジング11に接触せずに、その一部がハウジング11の開口部11a から外部へ向けて突出して配置される。これにより、先端部16は、ハウジング11との間に環状の吹き出し口19を形成する。
【0038】
なお、流体力学や熱力学の分野では、中央に中子を有するとともに中子の周りに吹き出し口を形成されたノズルとして、例えばスパイクノズルやプラグノズル等が公知である。また、それらの中子は、スパイクノズルの場合にはスパイクと呼ばれ、プラグノズルの場合にはプラグと呼ばれる。しかし、本明細書では一括して中子と称することとする。
【0039】
また、中子12の先端部16の形状は、先端に行くにしたがって外法 (外径) が小さくなる先細り形状を呈すればよく、これ以外の特定の形状に限定する必要はない。先細り形状としては、図1および図2に示すような外径漸減型以外にも、三角錐型や台形型等を例示することができる。
【0040】
この溶融金属精錬用ランス10では、ノズルの中央に中子12を有するとともに中子12の周りにスリットをなす吹き出し口19を形成されているため、中子12の先端部16の表面に沿って粉体が噴出される。このため、中子12の表面が大きく摩耗する。さらに、中子12とハウジング11との間隙が狭くなる部分のハウジング11の内面における粉体による摩耗も著しい。
【0041】
図3は、この中子12の表面の摩耗状態の一例を示す説明図である。図3に示すように、粉体はジェットのコアー部分に集中し、通常のラバールランスに比較して、ジェット搬送能力が極めて高くなることがわかる。このようなランスによる粉体搬送の特徴は、精錬炉における粉体吹き込みのみならず、吹き付け耐火物施工やプラズマ溶射等、粉体の付着率を高めたいプロセスに適用することができる。すなわち、一般の粉体吹き付けにも有効である。これらの場合にも中子12の表面およびハウジング11の内面での粉体による摩耗が著しいことから、超硬合金または硬質セラミックスをこの部位へ被覆することが有効である。
【0042】
このため、本実施の形態では、この摩耗が著しい部分、すなわち中子12の先端部分16の外面およびハウジング11の内面11d を硬質セラミックスまたは超硬合金で被覆することにより、超硬合金もしくは硬質セラミックスの被覆層を形成するか、または中子12およびハウジング11本体を硬質セラミックスまたは超硬合金で製作することによって、中子12の少なくとも外表面およびハウジング11の少なくとも内表面を、超硬合金または硬質セラミックスにより構成する。これにより、溶融金属精錬用ランス10が長時間の使用にも充分に耐えられるようにする。
【0043】
例えば、硬さで見ると、ステンレス鋼では硬さ指数HRC(ロックウェル硬さ):20(ヴィカース硬度換算:226MPa)であるが、超硬合金では HRC:65(ヴィカース硬度換算:824Mpa)、さらにアルミナセラミックス (硬質セラミックス) ではHV(ヴィカース硬度):15〜17.5GPa となる。
【0044】
このアルミナセラミックスを、摩耗が激しい中子12の先端部16とハウジング11の内面11d とに溶射することにより、これら部位の耐摩耗性を著しく向上することができ、殆ど摩耗しない。その結果、精錬炉における能率が向上する。
【0045】
中子12の先端部16は、図1における分解組み立て図に示すように、雌ねじ16a が、ねじ軸14に刻設された雄ねじ14a に螺合するため、先端部16を回すことにより、ねじ軸14との脱着を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0046】
また、本実施の形態では、固定部材18に接合されたねじ軸14に対して先端部受け部材15および後端部材17を回転させて先端部受け部材15および後端部17のねじ軸14に対する螺合位置を変更した後に、後端部17と先端部受け部材15とを螺着することにより、後端部17と先端部受け部材15とをしっかりと取り付ける。そして、先端部16の上面16b が先端部受け部材15の下面に当接するまで、先端部16をねじ軸14にねじ込むことにより、中子12のねじ軸14に対する固定位置を決定することができる。
【0047】
このように、本実施の形態では、ねじ軸14に対して、先端部受け部材15および後端部17がロックナットの役割を果たすものである。
本実施の形態では、先端部受け部材15の螺合位置を適宜変更することにより、中子12は開口部11a と略直交する方向への設置位置を変更することができる。
【0048】
本実施の形態では、この溶融金属精錬用ランス10では、ハウジング11の外部からの操作により、先端部16を後端部17から脱着して開口部11a を介して外部に外すとともに先端部16を開口部11a を介して後端部17へ装着することを可能とするため、開口部11a と平行な平面 (図示例では水平面) における先端部16の外法の最大値を、この平行な平面における開口部11a の寸法よりも小さく設定してある。
【0049】
このように、本実施の形態では、この溶融金属精錬用ランス10の吹き出し口19が粉体凝固物または異物によって閉塞した場合に、先端部16を、ハウジング11の外部からの操作により、簡単に後端部17から脱着するとともに閉塞を解消した後に後端部17に装着するために、以下に列記する構成上の特徴を有する。
【0050】
(a)中子12とハウジング11との間隙を円周方向で均一にするため、中子12の中心軸と、ハウジング11の中心軸とを一致させる (以下、「構成1」という) 。
(b)中子12とハウジング11との間隙である吹き出し口19の大きさを調整するため、中子12の先端部16を、中心部に配置されたねじ軸14に螺合させて配置する (以下、「構成2」という) 。
【0051】
(c)中子12とハウジング11とを脱着可能にするため、ハウジング11から中子12を外す必要があるが、ハウジング11は水冷ランス (図示しない) に溶接されている。このため、中子12をハウジング11から引き抜けるようにするため、上述したように、開口部11a と平行な平面 (図示例では水平面) における先端部16の外法の最大値を、この平行な平面における開口部11a の寸法よりも小さく設定する (以下、「構成3」という) 。
【0052】
(d)先端部16の先端面に中子回転用ネジの頭16c を設ける。本実施の形態ではこの頭16c として十字孔を用いたが、埋め込み6角ナットであってもよい (以下、「構成4」という) 。
【0053】
(e)中子12の先端部16の取り付けおよび取り外しを行うことにより吹き出し口19の大きさが狂わないようにするため、中子12とハウジング11との間の間隙固定用の先端部受け部材15および後端部17をねじ軸14に配置する (以下、「構成5」という) 。
【0054】
(f)ガス流路の内面への粉堆積および凝集を防止するため、中子12の外面およびハウジング11の内面に、例えばねじ部等の凹凸部が存在しないようにする (以下、「構成6」という) 。
【0055】
本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10は、これらの構成上の特徴により、以下に列記する効果が奏せられる。
中子12の中心軸とハウジング11の中心軸とを一致させるとともに、中子12の先端部16をねじ軸14に螺合させて配置すること (構成1および構成2) により、中子12の先端部16とハウジング11との間隙を円周方向に均一化でき、これにより、粉体および酸素ガスを、溶融金属精錬用ランス10の中心に対して均一に吹き込むことができる。
【0056】
また、中子12の先端部16をねじ軸14に螺合させて配置すること (構成2) により、中子12とハウジング11との間隙を調整することができる。
また、中子12の先端部16をねじ軸14に螺合させて配置し、開口部11a と平行な平面 (図示例では水平面) における先端部16の外法の最大値をこの平行な平面における開口部11a の寸法よりも小さく設定し、かつ先端部16の先端面に中子回転用ネジの頭16c を設けること (構成3、構成4および構成5) により、中子12の先端部16とハウジング11との間隙に異物または粉体の凝集物が詰まった場合、中子12の先端部16をハウジング11から取り外して、ハウジング11の内部の清掃が可能となる。このようにして、本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10は、内部に異物または粉体の凝集物が蓄積しても簡単に除去することができる。
【0057】
また、中子12とハウジング11との間の間隙固定用の先端部受け部材15をねじ軸14に配置すること (構成5) により、一旦外した中子12の先端部16を再度取り付ける際、中子12とハウジング11との間の間隙を、この中子12の先端部16を取り外す前と同じ状態で装着することができる。
【0058】
また、先端部16の先端面に中子回転用ネジの頭16c を設けることにより、中子12のハウジング11への脱着を、ドライバー、六角レンチ等の通常の工具により行うことが可能である。
【0059】
さらに、中子12の外面およびハウジング11の内面に凹凸部が存在しないようにすることにより、ガス流路の内面に露出した凹凸 (ねじ部)がなくなり、粉の堆積および凝集肥大が発生しない。すなわち、ねじ軸14を先端部16、先端部受け部材15および後端部17により完全に覆うため、粉体がねじ軸14の周囲に刻設されたねじ部に蓄積しない。これにより、中子12とハウジング11との間隙に粉体が詰まることが防止される。
【0060】
また、中子12の先端部16の先端面にねじ頭またはナット頭を設置し、脱着時に先端部16を回転させる際の掛止部とした。このねじ頭は超音速ジェットが合体し易いという性質を利用し、超音速ジェットには影響ない大きさとした。
【0061】
本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10における中子12は、以上のように構成される。
ハウジング11および中子12を備える本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10は、以上のように構成される。
【0062】
この溶融金属精錬用ランス10を用いて、粉体および酸素ガス供給系13からハウジング11の内部に石灰等のCa化合物の粉体および酸素ガスを供給して鋼浴の精錬 (脱硫) を行った。その結果、脱硫率が約30%向止した。
【0063】
このように脱硫率が向上する理由は、粉体吹き込み時に流すキャリヤーガス流量が通常のAl昇熱時のガス流量に比較して少ないが、本実施の形態の溶融金属精錬用ランス10では、ガス流量および雰囲気圧にしたがった超音速ジェットを適正に自動的に形成すること、および中子12に沿って粉体が流れることによりジェットのコアー中心の粉体濃度が最も高くなるため、鋼浴面への粉体到達量がラバールランスに比較すると飛躍的に増加するためである。
【0064】
以上詳細に説明したように、本実施の形態により、特開2002−226907号公報により提案されたランスにおける中子の外面とハウジングの内面とにおける摩耗、または中子とハウジングとの間の環状の間隙における詰まりを、事実上解消することができる。
【0065】
このため、このランス10を無手入れで使用することができるようになった。さらに、粉体がジェットのコア一部分に集中して流れ、かつ超音速ジェットが安定しているため、従来のラバールランスによる粉体吹き込みに比して30%以上も高い脱硫率を確保できた。
【0066】
また、使用中に粉体が中子12とハウジング11との間隙を閉塞させると、ランス前圧(粉体搬送用ガスの元圧) が高まる。図4は、閉塞割合と元圧上昇割合との関係を示すグラフである。
【0067】
図4にグラフで示すように、この詰まりが元圧上昇限界の1.3 より高くなると、中子12を外してランス10の内部の清掃を行うことにより、従来のようにランス本体を交換するといったような大がかりなメンテナンス作業を行う必要がなくなり、メンテナンス時間も著しく低減される。
【0068】
このように、本実施の形態により、真に実用に供することができる溶融金属精錬用ランス10が提供される。
【0069】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2に示す溶融金属精錬用ランス10 (中子12の表面およびハウジング11の内面にセラミックス (アルミナ系) を溶射し、これに表面磨きをかける) を用いて粉体吹き込みノズルとして使用した。
【0070】
その結果、中子12の表面およびハウジング11の内面にセラミックスを溶射しない従来の溶融金属精錬用ランスでは(0.5mm/1回操業) の速度で中子12が摩耗したのに対し、本例ではセラミックス溶射により摩耗が殆ど発生せず、ランス自体の交換までの耐用使用回数(5,000チャージ)まで継続して安定的に使用することができた。
【0071】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、特開2002−226907号公報により提案されたランスにおける中子の外面とハウジングの内面とにおける摩耗、または中子とハウジングとの間の環状の間隙における詰まりを、事実上解消することができる粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランスを提供できる。
【0072】
このため、本発明によれば、粉体を吹き込む場合における中子およびハウジングの摩耗を防止でき、中子とハウジングとの間の間隙である環状の吹き出し口の大きさを調整することができ、かかる間隙に詰まった粉体を迅速に除去するために中子をハウジングから簡単に脱着でき、さらに、中子への粉体の堆積を事実上解消できる溶融金属精錬用ランスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の溶融金属精錬用ランスの構造を、一部簡略化するとともにハウジングを透視した状態で示す斜視図であり、中子の分解組み立て図をあわせて示す。
【図2】 図1に示す溶融金属精錬用ランスの縦断面図である。
【図3】 中子の表面の摩耗状態の一例を示す説明図である。
【図4】 閉塞割合と元圧上昇割合との関係を示すグラフである。
【図5】 本発明者らが先に特開2002−226907号公報により提案したランスを示す説明図である。
【図6】 図6(a)及び図6(b)は、超音速ジェットの形成状況を示す説明図である。
Claims (4)
- 少なくとも一方の端部に開口部を有する中空のハウジングと、該ハウジングの内部に配置されるとともに先細り形状の先端部および後端部を有する中子とを備え、
該先端部は、前記ハウジングに接触せずにその一部が前記開口部から外部へ向けて突出して配置されることによって、該ハウジングとの間に環状の吹き出し口を形成し、
前記先端部は、前記後端部に脱着自在に設けられるとともに、前記中子の少なくとも外表面および前記ハウジングの少なくとも内表面は、超硬合金または硬質セラミックスからなるとともに、
前記中子は、
外周に雄ねじが刻設されるとともに、前記ハウジングの内面に固定するための固定部材を一方の端部側に有するねじ軸と、
前記雄ねじに螺合する雌ねじを有することにより該ねじ軸の軸方向への設置位置を変更自在に配置される先端部受け部材とを有し、
前記後端部は、該ねじ軸の前記一方の端部側に螺合する雌ねじを有し、前記先端部受け部材に当接して配置されるとともに、前記先端部は、前記雄ねじの他方の端部側に螺合する雌ねじを有し、前記先端部受け部材に当接して配置されること
を特徴とする粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランス。 - 前記先端部は、前記開口部が形成される平面と略直交する方向への設置位置を変更自在に配置される請求項1に記載された粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランス。
- 前記開口部と平行な平面内における前記先端部の外法の最大値は、該平行な平面における前記開口部の寸法よりも小さく設定される請求項1または請求項2に記載された粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランス。
- 前記先端部は、前記ハウジングの外部からの脱着作業により、前記後端部と脱着される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された粉体吹き込みに用いる溶融金属精錬用ランス。
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