JP3915690B2 - 温水暖房機能付き床パネル - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室の洗い場やシャワー室等の床に使用する床パネルに関し、更に詳しくは温水で暖房できるよう形成した温水暖房機能付き床パネルに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来この種の床パネルとしては、例えばパネルの下面に温水配管を取り付けるための取付リブを、脚用のリブと共に形成しているものがある（例えば特許文献１参照）。
又従来この種の床パネルとしては、リブを省略し、ＦＲＰ製の床本体と高密度発泡ウレタン層等を一体状に積層し、高密度発泡ウレタン層内に所定の状態で温水循環用パイプを埋設しているものが知られている（例えば特許文献２参照）。
【０００３】
【特許文献１】
特開２０００−１２１０８４号
【特許文献２】
特許第３１７２１１４号
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来、浴室洗い場等に使用する床パネルは、補強のため裏面にリブが格子状に形成されているのが通常である（例えば特許文献２の図６参照）。
従って従来この種の床パネルは、補強用のリブが支障になって温水の流通管を裏面に配管することができなかった。そのため従来の温水暖房機能付き床パネルは、特許文献１、同２に記載されているように、表面パネルを含め、全ての部品を新たに設計し直して製造する必要があった。
而してこの場合、この種の床パネルは、通常、洗い場の大きさ等に合わせ、サイズ違いの各種の仕様のものを製造する必要がある。従って従来は、例えば表面パネル等の金型費が増大するのを避けられず、その結果製品価格が高く付くことになる、という問題点があった。
又例えば特許文献２記載の従来品の場合は、リブのない平板状の表面パネルと、発泡ウレタンの断熱層とを積層しているため、これによると発泡させたウレタンの収縮作用で表面に反りや変形、歪み等が生じる惧れがあった。
従ってこの従来品の場合は、この種の床パネルにとって最も重要な性能である排水勾配性能が低下する、という問題点があった。
【０００５】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、提案されたものである。
従って本発明の技術的課題は、リブを有する通常の床パネルの使用を可能にし、コストを低廉化すると共に、表面の反りや変形の発生を防止し、排水勾配に支障を来たすことのない、又強度不足が生じることのない、温水暖房機能付き床パネルを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような技術的手段を採る。
【０００７】
即ち本発明は、図１等に示されるように、裏面１ａに補強用のリブ１ｂを有する表面パネル１と、この表面パネル１の下側に層状に設けられている断熱マット４と、この断熱マット４の下側に層状に設けられている補強板５と、又断熱マット４の上面４ｂの溝４ｄに納められて配管されている温水流通管２とを備え、上記の表面パネル１の裏面１ａに、リブ１ｂを根元から切欠いて温水流通管２の配管用の切欠き部３が形成され、上記の断熱マット４が、リブ１ｂが差込まれる嵌合溝４ａを備えて表面パネル１の裏面１ａに上記の切欠き部３とリブ１ｂにあてがわれて嵌め合わされ、上記の補強板５が断熱マット４を介して表面パネル１の下側に貼り付けられていることを特徴とする（請求項１）。
【０００８】
ここで、断熱マット４としては、例えば発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等発泡樹脂製の板材がある。又補強板５としては、例えば鋼板等の金属板や、ＦＲＰ（ガラス繊維強化プラスチック）製の板がある。又ここで、温水流通管２の配管用の切欠き部３とは、温水流通管２を例えば蛇行状等に配管するため、裏面１ａのリブ１ｂを切欠いた箇所を意味する。この切欠き部３は、温水流通管２の配管形態に応じ、表面パネル１の裏面１ａの適宜位置に形成されるので良い。又ここで、断熱マット４が表面パネル１の裏面１ａに上記の切欠き部３とリブ１ｂにあてがわれて嵌め合わされ、とは、断熱マット４が、表面パネル１の裏面１ａに上面４ｂを当接させた状態で切欠き部３とリブ１ｂに合致させて嵌め込まれている、ということを意味する。断熱マット４は、裏面１ａの形態にあわせて形成され、リブ１ｂが差込まれる嵌合溝４ａを、成型時、或いは後加工によって備えている。
【０００９】
又本発明品は、断熱マット４に、リブ１ｂの嵌合溝４ａが縦方向に貫通状に形成され、この嵌合溝４ａを介して断熱マット４の下面４ｃに露出するリブ１ｂの下端１ｂ1に、補強板５が貼り付けられているのが好ましい（請求項２）。
【００１０】
なぜならこれによると、リブ１ｂを介して表面パネル１と補強板５とを一体化でき、強度を向上できるからである。
【００１１】
又この場合本発明は、断熱マット４と補強板５との間に、断熱材の小片６が充填されているのが好ましい（請求項３）。
【００１２】
なぜならこれによると、補強板５を、リブ１ｂの下端１ｂ1に断熱マット４との間に隙間を生じさせることなく簡単に接着でき、又断熱マット４と補強板５との間を空気層にしておくより断熱性を向上できるからである。なお断熱材の小片６としては、例えば発泡材の小球等がある。
【００１３】
又本発明の場合は、表面パネル１と断熱マット４との間に、熱伝導率の良いシート材７が設けられているのが好ましい（請求項４）。
【００１４】
なぜならこれによると、温水流通管２から表面パネル１に熱を伝達させ易くなり、熱エネルギーのロスを防止できるからである。ここで、熱伝導率の良いシート材７としては、例えばアルミシート等の熱伝導率の良い金属製のシート材がある。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に従って説明する。
【００１６】
図１等において、１は、裏面１ａにリブ１ｂを有する表面パネルである。この表面パネル１の裏面１ａのリブ１ｂは、所定位置がＮＣ工作機等で切欠かれ、温水流通管２の配管用の切欠き部３に形成されている。この場合、リブ１ｂは根元から切欠かれ、切欠き部３は温水流通管２を蛇行状に、且つ裏面１ａに直に接した状態で配管できるよう形成されている。なお本発明の場合、切欠き部３は、床パネルとしての強度低下を最小限に抑えるため、温水流通管２の配管に必要な最小限の範囲に止めて形成されるのが望ましい。
【００１７】
４は、表面パネル１の裏面１ａに層状に設けられている、例えば発泡ポリウレタン製の断熱マットである。この断熱マット４は、図２等に示されるように、リブ１ｂに嵌合溝４ａを嵌合させ、表面パネル１の裏面１ａに上面４ｂを当接させた状態で嵌め込まれて接着されている。嵌合溝４ａは、図６、図７に示されるように、リブ１ｂの形態に対応させて、且つ断熱マット４に対して縦方向に貫通状に形成されている。なお断熱マット４は、発泡倍率が例えば３０〜５０倍程度のものが使用される。
【００１８】
５は、断熱マット４を介して表面パネル１の下側に層状に設けられている補強板である。この補強板５は、例えば鋼板で形成され、上記の嵌合溝４ａを介して断熱マット４の下面４ｃに露出しているリブ１ｂの下端１ｂ1に、接着剤で貼り付けられている。又この補強板５の周縁部は、図４に示されるように、表面パネル１のサイドリブ１ｃの下端に形成されている段差部１ｃ1に係合されている。
【００１９】
本発明の場合、上記の温水流通管２は、図２、図３等に示されるように、断熱マット４の上面４ｂに形成されている溝４ｄに納められて上部外周面を表面パネル１の裏面１ａに接触させて蛇行状に配管されている。
【００２０】
又この実施形態の本発明では、図２等に示されるように、断熱マット４と補強板５との間に、断熱材の小片６が充填されている。この小片６は、例えば発泡ポリウレタンの小球である。この実施形態の本発明の場合は、これにより補強板５と断熱マット４との間の隙間が埋められ、補強板５をリブ１ｂの下端１ｂ1に隙間を生じさせることなく簡単に接着でき、又断熱マット４とあいまって下方への放熱を防止できる。
【００２１】
又７は、熱伝導率の良いシート材としてのアルミシートである。このシート材７は、厚さが例えば５０μｍであり、表面パネル１と断熱マット４との間に設けられ、温水流通管２からの熱を表面パネル１に効率良く伝達させるものである。なお８（図１０参照）は、排水トラップ部である。
【００２２】
次に本発明品の組立て時の一例を説明する。
【００２３】
先ず作業者は、温水流通管２を蛇行状に配管するために支障となる箇所のリブ１ｂを、根元からＮＣ工作機で切削する。次に作業者は、断熱マット４の上面４ｂの溝４ｄに、温水流通管２を収納させ、断熱マット４の上面４ｂにシート材７としてのアルミシートを貼り付ける。その後作業者は、この断熱マット４を、リブ１ｂと嵌合溝４ａとを嵌め合わせて切欠き部３とリブ１ｂとの間にすっぽり納まるよう、表面パネル１の裏面１ａに嵌め込み、裏面１ａに接着剤で貼り付ける。
【００２４】
次に作業者は、断熱材の小片６を断熱マット４と補強板５との間のスペースに充填し、補強板５をリブ１ｂの下端１ｂ1に接着剤で接着する。本発明の場合、リブ１ｂを切欠くことで低下する表面パネル１の強度不足は、補強板５で補填される。しかも後加工でリブ１ｂを除去するため、表面パネル１には反りや変形が生じない。
【００２５】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、リブを有する通常の床パネルで暖房機能付き床パネルを製造し、リブを有する床パネルの平面維持性能（反りや変形の発生を防止する性能）を生かし、又リブの切欠きによる強度不足は補強板で補填できるよう形成しているものである。
従って本発明によれば、コストを低廉化でき、排水勾配性能や耐荷重性等に支障のない製品を、安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明床パネルの好適な一実施形態を示す要部分解斜視図である。
【図２】同上床パネルの一部を切欠した状態の要部斜視図である。
【図３】同上床パネルの要部断面図である。
【図４】同上床パネルの要部断面図である。
【図５】表面パネルの底面図である。
【図６】温水流通管が配管されている状態の断熱マットの平面図である。
【図７】図６のVIIーVII線における断面図である。
【図８】表面パネルの裏面に断熱マットを嵌め付けた状態の底面図である。
【図９】補強板の平面図である。
【図１０】本発明床パネルの底面図である。
【符号の説明】
１ 表面パネル
１ａ 裏面
１ｂ リブ
２ 温水流通管
３ 温水流通管の配管用の切欠き部
４ 断熱マット
４ａ 嵌合溝
４ｂ 上面
４ｃ 下面
４ｄ 溝
５ 補強板
６ 小片
７ シート材

Claims (4)

1. 裏面に補強用のリブを有する表面パネルと、この表面パネルの下側に層状に設けられている断熱マットと、この断熱マットの下側に層状に設けられている補強板と、又断熱マットの上面の溝に納められて配管されている温水流通管とを備え、上記の表面パネルの裏面に、リブを根元から切欠いて温水流通管の配管用の切欠き部が形成され、上記の断熱マットが、リブが差込まれる嵌合溝を備えて表面パネルの裏面に上記の切欠き部とリブにあてがわれて嵌め合わされ、上記の補強板が断熱マットを介して表面パネルの下側に貼り付けられていることを特徴とする温水暖房機能付き床パネル。
2. 請求項１記載の温水暖房機能付き床パネルであって、断熱マットに、リブの嵌合溝が縦方向に貫通状に形成され、この嵌合溝を介して断熱マットの下面に露出するリブの下端に、補強板が貼り付けられていることを特徴とする温水暖房機能付き床パネル。
3. 請求項２記載の温水暖房機能付き床パネルであって、断熱マットと補強板との間に、断熱材の小片が充填されていることを特徴とする温水暖房機能付き床パネル。
4. 請求項１乃至３の何れかに記載の温水暖房機能付き床パネルであって、表面パネルと断熱マットとの間に、熱伝導率の良いシート材が設けられていることを特徴とする温水暖房機能付き床パネル。

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