JP3915515B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3915515B2
JP3915515B2 JP2002003902A JP2002003902A JP3915515B2 JP 3915515 B2 JP3915515 B2 JP 3915515B2 JP 2002003902 A JP2002003902 A JP 2002003902A JP 2002003902 A JP2002003902 A JP 2002003902A JP 3915515 B2 JP3915515 B2 JP 3915515B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
purge
value
air
fuel
fuel ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002003902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003206814A (ja
Inventor
昭憲 長内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002003902A priority Critical patent/JP3915515B2/ja
Publication of JP2003206814A publication Critical patent/JP2003206814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3915515B2 publication Critical patent/JP3915515B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の蒸発燃料処理装置に係り、特に、キャニスタに吸着した蒸発燃料を吸気通路にパージする機能を有する内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平7−269419号公報に開示されるように、燃料タンク内で発生する蒸発燃料(以下、「ベーパ」と称す)を吸着するキャニスタと、キャニスタ内のベーパを内燃機関の運転中に吸気通路にパージさせるパージ機構とを備えたシステムが知られている。このシステムによれば、ベーパの大気放出を防止して、内燃機関のエミッション特性を改善することができる。
【0003】
従来のシステムは、内燃機関への燃料の供給を停止する燃料カット時に、パージをカットする機能を有している。ところで、パージがカットされている間は、燃料タンク内で発生したベーパが流入することにより、キャニスタ内のベーパ量が増加する。このため、パージの再開時には、パージがカットされた時点に比して、パージガス中のベーパ濃度が濃くなっていることがある。
【0004】
パージの再開時に、パージのカット時に比してベーパ濃度が濃くなっている場合、カット時と同じ条件でパージが再開されると、内燃機関に供給される混合気が不当にリッチとなり、エンジンストールが生ずることがある(以下、このストールを「リッチエンスト」と称す)。そこで、上記従来のシステムは、パージのカット中に、燃料タンク内圧やパージカット時間に基づいてキャニスタ内のベーパ増加量を推定し、その推定量に応じた量だけパージ制御量を減少させてパージを再開させることとしている。このため、上記従来のシステムによれば、パージの再開時にリッチエンストが生ずるのを有効に防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、パージ再開時のパージ制御量が、常にパージカット時の制御量に比して小さな値とされる。つまり、パージカット時のパージ制御量が、リッチエンストを生じさせることのない値である場合にも、より小さな値に減量された制御量でパージの再開が図られる。この点、上記従来のシステムは、リッチエンストを防止するうえでは有効であるものの、ベーパのパージ能力を不必要に低下させるという不都合を有するものであった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パージ制御量を不必要に制限することなく、パージ再開時のリッチエンストを有効に防止することのできる内燃機関の蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記の目的を達成するため、キャニスタに吸着した蒸発燃料を吸気通路にパージする機能を有する内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
パージ流量の特性値であるパージ制御量が目標パージ制御量となるように前記パージ流量を制御するパージ流量制御手段と、
所定の条件下でパージをカットするパージカット手段と、
パージカットからのパージ再開時に前記パージ制御量に課すべきガード値を、当該パージカットの実行状態に基づいて設定するガード値設定手段と、
前記パージカットが開始される時点のパージ制御量と前記ガード値のうち、小さい方を前記パージ再開時における目標パージ制御量とする目標パージ制御量設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記ガード値設定手段は、前記ガード値を、パージによるリッチエンストを生じさせることのないパージ制御量に設定することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
前記キャニスタは、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着し、
前記ガード値設定手段は、パージカットの実行時間および燃料タンク内圧の少なくとも一方に基づいて前記ガード値を設定することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関に供給される混合気の空燃比を取得する空燃比取得手段と、
前記空燃比取得手段により取得された空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック手段と、
前記混合気の空燃比が前記燃料噴射量に反映される速度の特性値であるフィードバック応答速度を取得する応答速度取得手段とを備え、
前記ガード値設定手段は、前記フィードバック応答速度が早いほど、前記ガード値を大きな値とすることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
パージ再開後の経過時間を計数する再開後経過時間計数手段と、
前記経過時間が所定時間を超えるまでは前記目標パージ制御量に制限を課す目標パージ制御量制限手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記目標パージ制御量制限手段は、目標パージ制御量の増大を制限する目標増大制限手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
前記目標パージ制御量制限手段は、
目標パージ制御量の上限を制限する目標ガード値を設定する目標ガード値設定手段と、
前記目標パージ制御量を前記目標ガード値以下に制限する目標ガード手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5乃至7の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
パージ再開時における目標パージ制御量が前記ガード値に設定されたか否かを判別する判別手段を備えると共に、
前記目標パージ制御量制限手段は、パージ再開時における目標パージ制御量が前記ガード値に設定された場合にのみ前記目標パージ制御量に制限を課すことを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項5乃至8の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関に供給される混合気の空燃比を取得する空燃比取得手段と、
前記空燃比取得手段により取得された空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック手段とを備え、
前記所定時間は、前記混合気の空燃比が前記燃料噴射量に反映されるのに要する応答時間であることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
前記応答時間を取得する応答時間取得手段と、
前記応答時間に応じて前記所定時間を設定する所定時間設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項5乃至10の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関に供給される混合気の空燃比を取得する空燃比取得手段と、
前記空燃比取得手段により取得された空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック手段と、
前記混合気の空燃比が前記燃料噴射量に反映される速度の特性値であるフィードバック応答速度を取得する応答速度取得手段と、
前記フィードバック応答速度が早いほど、前記目標パージ制御量に課すべき制限を緩くする制限緩和手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1である蒸発燃料処理装置の概要を説明するための図である。本実施形態の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク10を備えている。燃料タンク10には、燃料タンク内圧を測定するためのタンク内圧センサ12が設けられている。タンク内圧センサ12は、大気圧に対する相対圧として燃料タンク内圧を検出し、その検出値に応じた出力を発生するセンサである。
【0020】
燃料タンク10には、ROV(Roll Over Valve)14,16を介してベーパ通路18が接続されている。ベーパ通路18は、ダイヤフラム式の給油弁20を介してキャニスタ22に接続されている。キャニスタ22の内部には、燃料ベーパを吸着するための活性炭が充填されている。
【0021】
キャニスタ22には、大気導入口24が設けられていると共に、パージ通路26が接続されている。パージ通路26には、その内部を流れるガスの流量を制御するためのパージVSV(Vacuum Switching Valve)28が設けられている。パージVSV28は、デューティ信号により駆動されることにより、実質的にそのデューティ比に応じた開度を実現する制御弁である。
【0022】
パージ通路26は、内燃機関30の吸気通路32に接続されている。吸気通路32は、その一端にエアクリーナ34を備えている。エアクリーナ34の下流側には吸気通路32を流れる吸入空気量GA(質量流量)を検出するエアフロメータ36が配置されている。更に、エアフロメータ36の下流には、吸入空気量GAを制御するためのスロットル弁38が配置されている。スロットル弁38には、その開度に応じた出力を発するスロットルセンサ40、およびアイドル運転時にオン出力を発するアイドルスイッチ(図示せず)が組み込まれている。上述したパージ通路26は、そのスロットル弁38の下流において吸気通路32に連通している。
【0023】
吸気通路32は、吸気マニホールド42を介して内燃機関30の吸気ポートに導通している。その吸気ポートの近傍には、内燃機関30に対して燃料を噴射するための燃料噴射弁44が配置されている。内燃機関30には、機関回転数NEを検出する回転数センサ46が組み込まれている。また、内燃機関30には、図示しない触媒装置に通じる排気通路48が接続されている。この排気通路48には、排気空燃比を検出するための排気空燃比センサ50が組み込まれている。
【0024】
図1に示す蒸発燃料処理装置は、ECU(Electronic Control Unit)52を備えている。ECU52は、蒸発燃料処理装置の制御装置であり、上述したタンク内圧センサ12や排気空燃比センサ50などから出力信号の供給を受けていると共に、上述した各種アクチュエータ(パージVSV28、燃料噴射弁44など)に対して駆動信号を供給している。
【0025】
本実施形態のシステムにおいて、燃料タンク10の内部で発生したベーパは、ベーパ通路18を介してキャニスタ22に導かれ、その内部に吸着保持される。ECU52は、内燃機関30の運転中、所定のパージ条件が成立する状況下で、パージVSV28を適当に開弁させる。内燃機関30の運転中にパージVSV28が開弁されると、キャニスタ22に吸気負圧が導かれる。キャニスタ22に吸気負圧が導かれると、大気導入口24から空気が流入し、キャニスタ22に吸着されているベーパは、その空気と共に吸気通路32にパージされる。本実施形態のシステムによれば、このようにして、燃料タンク10内で発生するベーパを、大気に放出させることなく処理することができる。
【0026】
吸気通路32にベーパがパージされている状況下で、所望の空燃比を実現するためには、パージされているベーパ分だけ燃料噴射量を減量補正することが必要である。本実施形態の蒸発燃料処理装置は、上記の要求を満たすべく、パージの影響を相殺するための補正量を公知の手法で算出し、その算出値に基づいて、燃料噴射量を補正することとしている。
【0027】
図2は、本実施形態において、ECU52が、燃料噴射量を算出するために、より厳密には、燃料噴射のために燃料噴射弁44を開弁させる時間(燃料噴射時間TAU)を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。
図2に示すルーチンでは、先ず、エアフロメータ36の出力に基づいて吸入空気量GAが検出される(ステップ100)。
次に、回転数センサ46の出力に基づいて機関回転数NEが検出される(ステップ102)。
次いで、機関1回転当たりの吸入空気量GA/NEに対して、所望の空燃比を実現するための基本燃料噴射時間TAUBが算出される(ステップ104)。
【0028】
図2に示すルーチンでは、次に、パージ率PGRが読み込まれる(ステップ106)。
パージ率PGRは、吸入空気量GAと、パージVSV28を通過して流れるパージガスの流量QPGとの比(QPG/GA)をパーセント表示した値である。ここで、パージ流量QPGは、吸気圧力PMとパージVSV28の駆動デューティ比DPGとに基づいて公知の手法で求めることができる。また、吸気圧力PMは、吸入空気量GAなどに基づいて公知の手法で推定することができる。本ステップ106では、他のルーチンにおいて、パージ流量QPGと吸入空気量GAに基づいて算出されたパージ率PGRが読み込まれる。
【0029】
次に、ベーパ濃度学習値FGPGが読み込まれる(ステップ108)。
ベーパ濃度学習値FGPGは、パージの影響を排除するために燃料噴射量に施すべき補正割合を、パージ率1%当たりの値に換算した値である。本実施形態において、ベーパ濃度学習値FGPGは、以下のような手法で算出される。
【0030】
すなわち、本実施形態のシステムにおいて、ECU52は、排気空燃比センサ50の出力に基づいて空燃比フィードバック係数FAFを算出している。この空燃比フィードバック係数FAFは、燃料噴射時間TAUの算出時に基本燃料噴射時間TAUBに掛け合わされる補正係数であり、排気空燃比がリッチである場合は、燃料噴射時間TAUを短縮すべく徐々に小さな値に更新され、一方、排気空燃比がリーンである場合は燃料噴射時間TAUを伸張すべく徐々に大きな値に更新される。
【0031】
空燃比フィードバック補正係数FAFは、ベーパがパージされていない状況下では、原則として基準の値(例えば0)を中心として、ほぼ上下対称に増減する。そして、ベーパのパージが開始され、その結果排気空燃比がリッチ側に偏ると、空燃比フィードバック補正係数FAFの振幅の中心は、基準の値からリッチ側にシフトする。
【0032】
ベーパ濃度学習値FGPGは、空燃比フィードバック係数FAFと同様に、燃料噴射時間TAUの算出に用いられる値である。より具体的には、ベーパ濃度学習値FGPGは、燃料噴射時間TAUを算出する過程で、パージ率PGRと掛け合わされた状態でFAF等の補正係数に加算される0または負の値である。すなわち、FGPGは、TAUの算出過程で、PGR×FGPGの形でFAF等の補正係数に加算される係数である。
【0033】
本実施形態において、ベーパ濃度学習値FGPGは、パージの実行中に、空燃比フィードバック係数FAFの振動中心が、その基準の値に近づくように適宜更新される。具体的には、パージの実行中にFAFの振動中心がリッチ側に偏っている場合(基準の値より小さい値になっている場合)は、FGPGはより小さな値(負の値)に更新される。この場合、PGR×FGPG(負の値)の絶対値が大きくなって排気空燃比がリーン側に変化する。その結果、FAFの振動中心は、より大きな値に、すなわち、基準の値に向かって変化する。
【0034】
また、パージの実行中に、過小な(絶対値の過大な)ベーパ濃度学習値FGPGが用いられている場合は、空燃比フィードバック係数FAFの振動中心が、リーン側に偏った値(基準の値より大きな値)となる。この場合、ベーパ濃度学習値FGPGは、より大きな値(より絶対値の小さな値)に更新される。その結果、PGR×FGPG(負の値)の絶対値が小さくなり、排気空燃比がリッチ側に変化するため、FAFの振動中心は、より小さな値に、すなわち、基準の値に向かって変化する。
【0035】
上記の更新処理によれば、パージにより供給される燃料の影響を、PGR×FGPGの補正項により吸収することができる。換言すると、本実施形態では、PGR×FGPGの補正項が、パージにより供給されるベーパの影響を排除するために燃料噴射時間に施すべき補正割合となるように、ベーパ濃度学習値FGPGが更新される。このため、ベーパ濃度学習値FGPGは、上記の如く、パージの影響を排除するための補正割合をパージ率1%当たりの量に換算した値として把握することができる。
【0036】
図2に示すルーチンでは、次に、上記ステップ106および108で読み込まれたPGR及びFGPGに基づいて、次式に従ってパージ補正係数FPGが算出される(ステップ110)。
FPG=PGR×FGPG/100 ・・・(1)
【0037】
次に、上述した空燃比フィードバック係数FAFなど、各所の補正係数(ここでは、まとめてKFとする)が読み込まれる(ステップ112)。
【0038】
そして、次式に従って、燃料噴射時間TAUが算出される(ステップ114)。
TAU=TAUB×(FAF+KF+FPG) ・・・(2)
【0039】
上述の如く、本実施形態のシステムでは、内燃機関30の吸気通路32にベーパをパージしつつ、そのパージの影響が相殺されるように燃料噴射時間TAUを補正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、パージの実行中においても、精度良く所望の空燃比を実現することができる。
【0040】
本実施形態のシステムは、例えば、内燃機関30への燃料供給が停止される燃料カット時には、燃料噴射弁44からの燃料噴射を停止すると共に、キャニスタ22からのベーパのパージをカットする。ベーパのパージがカットされている間は、燃料タンク10からキャニスタ22へベーパが流入することにより、キャニスタ22内のベーパ量が増加する。このため、パージがカットされた時点で用いられていたパージ率PGRを用いてパージが再開されると、ベーパ濃度の濃いパージガスが吸気通路32に流入して、内燃機関30がリッチエンストを起こすことがある。
【0041】
そこで、本実施形態のシステムは、パージの再開時に、リッチエンストを防止するためのガード値を設定し、パージカット時のパージ率PGRが、そのガード値以下である場合には、そのパージ率PGRでのパージの再開を許容し、一方、パージカット時のパージ率PGRがガード値を超えている場合は、パージ再開時のパージ率PGRを上記のガード値に制限する処理を行う。
【0042】
図3は、上記の機能を実現すべくECU52が実行するルーチンのフローチャートを示す。
図3に示すルーチンでは、先ず、パージ条件が成立しているか否かが判別される(ステップ120)。
【0043】
その結果、パージ条件が成立していないと判別された場合は、パージ率一時値tPGRが0とされる(ステップ122)。
【0044】
次いで、パージカットの継続時間を計数するためのパージカットカウンタCPCUTがインクリメントされる(ステップ124)。
更に、パージの実行継続時間を計数するためのパージ実行カウンタCPONが0にクリアされる(ステップ126)。
【0045】
その後、パージ率一時値PGRが、今回の処理サイクル時における目標のパージ率PGRに代入される(ステップ128)。
以後、ECU52は、本ステップ128で設定された目標のパージ率PGRが実現されるように、適切なデューティ比DPGでパージVSV28を駆動する。その結果、原則として上記のパージ率PGRが実現される。パージ条件が成立していない場合は、既述の通りtPGRが0とされるため、パージVSV28は閉状態に維持され、パージ率PGRは0%に保たれる。
【0046】
上記ステップ120において、パージ条件が成立していると判別された場合は、次に、旧パージ率PGROがパージ率一時値tPGRに設定される(ステップ132)。
ここで、旧パージ率PGROは、後述の如く、パージ条件が成立する状況下で、最後に用いられたパージ率PGRと一致する値である。より具体的には、旧パージ率PGROは、前回の処理サイクル時にパージ条件が成立していれば、そのサイクルで用いられたパージ率PGRと一致する値であり、また、前回の処理サイクル時にパージ条件が成立していなければ、パージ条件が成立すると判別された最後の処理サイクル時に用いられたパージ率PGRと一致する値である。
【0047】
図3に示すルーチンでは、次に、前回の処理サイクルで用いられたパージ率PGRが0であるか否かが判別される(ステップ132)。
その結果、PGR=0が成立すると判別された場合は、前回の処理サイクル時には、パージがカットされていたと判断できる。つまり、今回の処理サイクルは、パージの再開を要求するサイクルであると判断できる。
【0048】
上記の判別がなされた場合、図3に示すルーチンでは、次に、第1ガード値LMTPCUTが算出される(ステップ134)。
第1ガード値LMTPCUTは、パージ再開時のパージ率PGRを規制する第1のガード値である。ECU52は、ステップ134の枠中に示すように、第1ガード値LMTPCUTに関するマップを記憶している。このマップにおいて、第1ガード値LMTPCUTは、パージカットカウンタCPCUTとの関係で、すなわち、パージカットの継続時間との関係で定められている。より具体的には、第1ガード値LMTPCUTは、CPCUTの計数値が大きくなるに連れて、所定の最小値に向かって減少するように定められている。本ステップ134では、このマップを参照することにより第1ガード値LMTPCUTが算出される。
【0049】
次に、第2ガード値LMTPTNKが算出される(ステップ136)。
第2ガード値LMTPTNKは、パージ再開時のパージ率PGRを規制する第2のガード値である。ECU52は、ステップ136の枠中に示すように、第2ガード値LMTPTNKに関するマップを記憶している。このマップにおいて、第2ガード値LMTPTNKは、燃料タンク内圧PTNKとの関係で、より具体的には、PTNKが大きくなるに連れて、所定の最小値に向かって減少するように定められている。本ステップ136では、このマップを参照することにより第2ガード値LMTPTNKが算出される。
【0050】
次に、上記ステップ130で設定されたパージ率一時値tPGRが、第1ガード値LMTPCUTより大きいか否かが判別される(ステップ138)。
その結果、tPGRがLMTPCUTより大きいと判別された場合は、tPGRがLMTPCUTに書き換えられる(ステップ140)。
一方、tPGRがLMTPCUTより大きくないと判別された場合は、tPGRがそのまま維持される。
【0051】
次に、上記の如く設定されたパージ率一時値tPGRが、第2ガード値LMTPTNKより大きいか否かが判別される(ステップ142)。
その結果、tPGRがLMTPTNKより大きいと判別された場合は、tPGRがLMTPTNKに書き換えられる(ステップ144)。
一方、tPGRがLMTPTNKより大きくないと判別された場合は、tPGRがそのまま維持される。
【0052】
上述した一連の処理によれば、上記ステップ130でtPGRに代入された旧パージ率PGROと、上記ステップ134で算出された第1ガード値LMTPCUTと、上記ステップ136で算出された第2ガード値LMTPTNKのうち、最も小さい値がパージ率一時値tPGRとされる。つまり、上述した一連の処理によれば、旧パージ率PGROが第1ガード値LMTPCUTにも第2ガード値LMTPTNKにも規制されない値である場合は、パージ再開時のパージ率一時値tPGRを旧パージ率PGROとすることができる。そして、旧パージ率tPGRが第1ガード値LMTPCUTまたは第2ガード値LMTPTNKより大きい場合は、パージ再開時のパージ率一時値を、第1ガード値LMTPCUTまたは第2ガード値LMTPTNKでガードすることができる。
【0053】
本実施形態において、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKは、何れも、パージカット中に増加したキャニスタ22内のベーパ量に対応して設定されている。具体的には、第1ガード値LMTPCUTは、パージカットの継続時間から推定される吸着ベーパ量の増加分に対応した値である。一方、第2ガード値LMTPTNKは、燃料タンク内圧PTNKから推定される吸着ベーパ量の増加分に対応した値である。
【0054】
キャニスタ22内の吸着ベーパ量は、パージカットの継続するに連れて、所定の収束値に向かって増加する。このため、パージ再開時のベーパ濃度は、パージカットの継続時間が長いほど高くなる。従って、パージ再開時に、内燃機関30のリッチエンストを防止するためには、パージカットの継続時間が長いほど、パージ率PGRを小さく制限することが必要となる。上記ステップ134の枠内に示す第1ガード値LMTPCUTのマップは、上記の観点より定められたマップであり、既述の通り、CPCUTが大きくなるに連れて第1ガード値LMTPCUTが小さな値となるように定められている。
【0055】
また、燃料タンク10内では、燃料タンク内圧PTNKが高いほど多量のベーパが発生していると考えられる。このため、キャニスタ22内の吸着ベーパ量は、パージカット中の燃料タンク内圧PTNKが高いほど多量であると推定できる。また、パージ再開時のベーパ濃度は、その時点の燃料タンク内圧PTNKが高いほど高いものと推定できる。従って、パージ再開時に、内燃機関30のリッチエンストを防止するためには、パージ再開時の燃料タンク内圧PTNKが高いほど、パージ率PGRを小さく制限することが必要となる。上記ステップ136の枠内に示す第2ガード値LMTPTNKのマップは、上記の観点より定められたマップであり、既述の通り、CPCUTが大きくなるに連れて第2ガード値LMTPTNKが小さな値となるように定められている。
【0056】
以上説明した通り、本実施形態においてパージ率一時値tPGRのガード値として用いられる第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKは、パージカットの実行状態(継続時間、および燃料タンク内圧)から推定されるキャニスタ22内の吸着ベーパ量の増加分に対応した値であり、何れも、パージ再開時に内燃機関30にリッチエンストを生じさせることがないように定められた値である。このため、上述した一連の処理によれば、パージ再開時のパージ率一時値tPGRを、不必要に旧パージ率PGROより小さな値とすることなく、かつ、リッチエンストを確実に防止し得る値に制限することができる。
【0057】
図3に示すルーチンでは、次に、上記の如く設定されたパージ率一時値tPGRが、開始パージ率PGRSTとして記憶される(ステップ146)。
次に、次回の処理サイクルに備えて、今回のサイクルで算出されたパージ率一時値tPGRが旧パージ率PGROとして記憶される(ステップ148)。
その後、今回のサイクルで算出されたパージ率一時値tPGRに基づいて、ステップ128の処理が実行される。以後、ECU52は、このステップ128で設定されたパージ率PGRを目標としてパージVSV28を駆動する。その結果、不必要にパージ能力が制限されることなく、かつ、内燃機関30の運転状態が安定に維持されたまま、ベーパのパージが再開される。
【0058】
パージが再開された後、図3に示すルーチンが再び起動されると、今度は、ステップ132において、パージ率PGRが0ではないと判別される。この場合、次に、次式に従ってパージ率一時値tPGRの増加処理が行われる(ステップ150)。
tPGR=PGRO+PGRSKP ・・・(3)
但し、PGRSKPは、前回の処理サイクル時におけるパージ率PGRに対して加えるべきスキップ値である。ECU52は、例えばマップを参照する等の手法でPGRSKPを算出し、その算出値を旧パージ率PGROに加えることでパージ率一時値tPGRを算出する。
【0059】
次に、パージカットカウンタCPCUTが0にクリアされる(ステップ152)。
更に、パージ実行カウンタCPONがインクリメントされる(ステップ154)。
【0060】
次に、最大パージ率ガードが行われる。具体的には、上記ステップ150で設定されたパージ率一時値tPGRが最大パージ率PGRMXより大きいか否かが判別される(ステップ156)。
尚、最大パージ率PGRMXは、不当な空燃比ずれの発生を防止する観点より設定されるパージ率の上限ガード値である。
【0061】
そして、tPGRがPGRMXより大きいと判別された場合は、パージ率一時値tPGRが最大パージ率PGRMXに書き換えられる(ステップ158)。
一方、tPGRがPGRMXより大きくないと判別された場合は、パージ率一時値tPGRがそのまま維持される。
これらの処理によれば、上記ステップ150で算出されたパージ率一時値tPGRと、最大パージ率PGRMXのうち小さい方をパージ率一時値tPGRとすることができる。
【0062】
図3に示すルーチンでは、以後、上記の如く設定されたパージ率一時値tPGRを用いて、上記ステップ148および128の処理が順次実行される。そして、ECU52は、その後、ステップ128において設定されたパージ率PGRを目標として、適当なデューティ比DPGでパージVSV28を駆動する。その結果、原則としてステップ128で設定されたパージ率PGRでベーパがパージされる。
【0063】
以上説明した通り、図3に示すルーチンによれば、パージの再開時に、パージカットの実行状態(継続時間、および燃料タンク内圧)に基づいて、リッチエンストを防止するための第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKを設定することができる。そして、パージ再開時に、パージカット時のパージ率(PGRO)がそれらのガード値に規制されない場合は、そのパージ率(PGRO)でパージを再開させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関30のリッチエンストを確実に防止しつつ、パージの再開直後から、高いパージ能力を発揮することができる。
【0064】
ところで、上述した実施の形態1においては、パージ再開時のパージ率PGRに課すべきガード値(第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNK)を設定する際に基礎とすべきパージカットの実行状態として、パージカットの継続時間、およびパージ再開時の燃料タンク内圧が用いられているが、その実行状態はこれらに限定されるものではない。すなわち、上記の実行状態は、パージカット中のベーパ濃度変化が反映される物理量の状態であればよい。
【0065】
尚、上述した実施の形態1においては、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKが前記請求項1記載の「ガード値」に、パージ率PGRが前記請求項1記載の「パージ制御量」に、それぞれ相当している。また、上述した実施の形態1においては、ECU52が、パージVSV28を駆動することにより前記請求項1記載の「パージ流量制御手段」が、上記ステップ122の処理を実行することにより前記請求項1記載の「パージカット手段」が、上記ステップ134および136の処理を実行することにより前記請求項1記載の「ガード値設定手段」が、上記ステップ138〜144の処理を実行することにより前記請求項1記載の「目標パージ制御量設定手段」が、それぞれ実現されている。
【0066】
実施の形態2.
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態1の構成において、ECU52に、上記図3に示すルーチンに代えて、図4に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0067】
図4は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図4において、上記図3に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0068】
図4に示すルーチンは、ステップ136と138の間に、ステップ160〜170が挿入されている点を除き、図3に示すルーチンと同様である。
すなわち、図4に示すルーチンでは、パージの再開が要求された場合、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKの算出処理(ステップ134,136)に次いで、第1乃至第4の補正係数k1〜k4が順次算出される(ステップ160〜166)。
【0069】
第1乃至第4補正係数k1〜k4は、後述の如く、何れも、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKを修正するための補正係数であり、空燃比フィードバック制御の応答速度に相関を有するように決定される。ECU52は、ステップ160〜166の枠内に示すように、第1乃至第4補正係数k1〜k4のそれぞれについてマップを有している。上記ステップ160〜166では、それらのマップを参照して第1乃至第4補正係数k1〜k4を算出する。
【0070】
具体的には、ECU52は、機関回転数NEとの関係で定めた第1補正係数k1のマップを記憶している(ステップ160の枠内参照)。
このマップによれば、第1補正係数k1は、機関回転数NEが高くなるに連れて大きな値とされる(最小値は1)。
【0071】
本実施形態のシステムでは、実施の形態1の場合と同様に、空燃比フィードバック係数FAFを用いた燃料噴射量の補正が行われる。すなわち、本実施形態のシステムでは、燃料噴射時間TAUの空燃比フィードバック制御が実行される。このため、パージの再開時に、現実のベーパ濃度がベーパ濃度学習値FGPGから乖離していれば、その乖離分を補うように空燃比フィードバック係数が増減し、空燃比のずれが抑制される方向に燃料噴射時間TAUが修正される。
【0072】
ところで、本実施形態のシステムにおいて、空燃比フィードバック係数FAFは、排気通路48に配置された排気空燃比センサ50の出力に基づいて更新される。従って、パージが開始された後、パージ通路28から供給されたベーパが、排気ガスとなって排気空燃比センサ50の位置に到達するまでの間は、パージされたベーパの影響を空燃比フィードバック係数FAFに反映させることはできない。つまり、パージが開始された後、パージガスが排気空燃比センサ50の位置に到達するまでの間は、現実に内燃機関10に供給されている混合気の空燃比を、燃料噴射時間TAUにフィードバックさせることはできない。以下、パージが開始された後、パージされたベーパの影響が燃料噴射時間TAUにフィードバックされるまでの時間をフィードバック制御の「応答時間」と称し、また、その応答の早さを「応答速度」と称す。
【0073】
第1補正係数k1の算出の基礎とされる機関回転数NEは、フィードバック制御の応答時間(応答速度)を決める1つの因子である。つまり、フィードバック制御の応答時間は、内燃機関30を流れるガスの流速が早いほど短時間となる。そして、そのガスの流速は、機関回転数NEが高いほど高速となる。このため、フィードバック制御の応答時間は、機関回転数NEが高いほど短時間となる。
【0074】
フィードバック制御の応答時間(応答速度)と機関回転数NEとの間に上記の関係が認められるため、上記ステップ160の処理によれば、第1補正係数k1は、フィードバック制御の応答時間(応答速度)と相関を有するように設定される。より具体的には、第1補正係数k1は、フィードバック制御の応答時間が短いほど(応答速度が早いほど)大きな値となるように設定される。
【0075】
ECU52は、また、吸入空気量GAとの関係で定めた第2補正係数k2のマップを記憶している(ステップ162の枠内参照)。
このマップによれば、第2補正係数k2は、吸入空気量GAが多量になるほど大きな値とされる(最小値は1)。
【0076】
第2補正係数k2の算出の基礎とされる吸入空気量GAは、上述した機関回転数NEと同様に、フィードバック制御の応答時間(応答速度)を決める1つの因子である。つまり、フィードバック制御の応答時間は、内燃機関30を流れるガスの流速が早いほど短時間となり、その流速は、吸入空気量GAが多いほど高速となる。このため、フィードバック制御の応答時間は、吸入空気量GAが多いほど短時間となる。
【0077】
フィードバック制御の応答時間(応答速度)と吸入空気量GAとの間に上記の関係が認められるため、上記ステップ162の処理によれば、第2補正係数k2は、フィードバック制御の応答時間(応答速度)と相関を有するように設定される。より具体的には、第2補正係数k2は、フィードバック制御の応答時間が短いほど(応答速度が早いほど)大きな値となるように設定される。
【0078】
ECU52は、更に、空燃比フィードバック係数FAFの積分項KIとの関係で定めた第3補正係数k3のマップを記憶している(ステップ164の枠内参照)。
このマップによれば、第3補正係数k3は、積分項KIが大きな値であるほど大きな値とされる(最小値は1)。
【0079】
空燃比フィードバック係数FAFは、既述した通り、排気空燃比がリッチである場合は徐々に小さな値に更新され、一方、排気空燃比がリーンである場合は徐々に大きな値に更新される。より詳細には、空燃比フィードバック係数FAFは、排気空燃比センサ50がリッチ出力を発している間は、小さなステップで徐々に小さな値に更新され、排気空燃比センサ50の出力がリーン出力に反転すると、その時点で大きく増加側にスキップする。そして、以後、排気空燃比センサ50の出力がリーン出力を維持する間、空燃比フィードバック係数FAFは小さなステップで徐々に増加され、センサ出力がリッチ出力に反転すると、その時点で大きく減少側にスキップする。以後、空燃比フィードバック係数FAFは、排気空燃比センサ50の出力に応じて、上記の規則に従って増減を繰り返す。
【0080】
第3補正係数k3の算出の基礎とされる積分項KIは、空燃比フィードバック係数FAFを小さく増減させる際のステップ値である。本実施形態のシステムは、内燃機関30の運転状態に応じて、フィードバックの応答速度を高めたい場合には積分項KIを大きな値とし、また、その応答速度を下げたい場合には積分項KIを小さな値とする機能を有している。従って、積分項KIも、機関回転数NEや吸入空気量GAと同様に、フィードバック制御の応答時間(応答速度)を決める1つの因子である。
【0081】
フィードバック制御の応答時間(応答速度)と積分項KIとの間に上記の関係が認められるため、上記ステップ164の処理によれば、第3補正係数k3は、フィードバック制御の応答時間(応答速度)と相関を有するように設定される。より具体的には、第3補正係数k3は、フィードバック制御の応答時間が短いほど(応答速度が早いほど)大きな値となるように設定される。
【0082】
ECU52は、アイドルフラグIdleとの関係で定めた第4補正係数k4のマップを記憶している(ステップ166の枠内参照)。
アイドルフラグIdleは、アイドルスイッチがオン出力を発している場合(アイドル時)にon状態とされ、アイドルスイッチがオフ出力を発している場合(非アイドル時)にoff状態とされるフラグである。このマップによれば、第4補正係数k4は、内燃機関30のアイドル時に最小値1とされ、内燃機関30の非アイドル時に1より大きな最大値とされる。
【0083】
内燃機関30を流れるガスの流速は、アイドル時には遅くなり、非アイドル時には早くなる。従って、内燃機関30がアイドル状態であるか否かは、フィードバック制御の応答時間(応答速度)を決める1つの因子である。上記ステップ166の処理によれば、第4補正係数k4は、フィードバック制御の応答時間が長くなるアイドル時に最小値1に設定され、その応答時間が短くなる非アイドル時に最大値に設定される。
【0084】
以上説明した通り、上記ステップ160〜166の処理によれば、フィードバック制御の応答時間が短い(応答速度が早い)場合には、第1乃至第4補正係数k1〜k4を大きな値とし、また、その応答時間が長い(応答速度が遅い)状況下では、第1乃至第4補正係数k1〜k4を小さな値とすることができる。
【0085】
図4に示すルーチンでは、次に、以下に示す演算式に従って第1ガード値LMTPCUTが補正される(ステップ168)。
LMTPCUT=LMTPCUT*Kn ・・・(4)
【0086】
次いで、以下に示す演算式に従って第2ガード値LMTPTNKが補正される(ステップ170)。
LMTPTNK=LMTPTNK*Kn ・・・(5)
但し、上記(4)式および(5)式において、係数Knは、第1乃至第4補正係数k1〜k4の平均値である。
【0087】
以後、実施の形態1の場合と同様にステップ138以降の処理が実行される。その結果、上記ステップ130で設定された旧パージ率PGROと、上記ステップ168で算出された第1ガード値LMTPCUTと、上記ステップ170で算出された第2ガード値LMTPTNKのうち、最も小さい値がパージ率PGRの目標とされる。そして、ECU52は、その目標が達成されるようにパージVSV28を駆動する。
【0088】
上記(4)式および(5)式によれば、第1乃至第4補正係数k1〜k4が大きな値であるほど、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKは、それぞれ上記ステップ134または136で演算された値に比して大きな値となる。つまり、上記(4)式および(5)式によれば、フィードバック制御の応答時間が短い(応答速度が早い)ほど、パージ率PGRの上限に関する規制を緩めることができる。
【0089】
内燃機関30が優れたフィードバック応答性を示す場合は、パージの再開時に比較的大きな空燃比誤差が存在しても、その後、その誤差は速やかに空燃比フィードバック制御により吸収される。従って、フィードバック応答時間が短い(応答速度が早い)場合は、パージ再開時にある程度大きなパージ率PGRを許容しても、内燃機関30のリッチエンストを回避することができる。このため、このような状況下では、高いパージ能力を確保する観点より、パージ率PGRの上限を規制するガード値、すなわち、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKは、比較的大きな値であることが望ましい。
【0090】
これに対して、フィードバックの応答時間が長い(応答速度が遅い)場合は、パージの再開に伴う空燃比誤差が長期にわたって残存し易いため、僅かな空燃比誤差によっても内燃機関30にリッチエンストが生じ易い。このため、このような状況下では、パージの再開時に、パージ率PGRの上限を厳しく制限すること、すなわち、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKを小さな値にすることが望ましい。
【0091】
既述した通り、上記(4)式および(5)式によれば、上述した2つの要求を満たすように第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKを算出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関30が良好なフィードバック応答性を示す場合にパージ率PGRが不必要に制限されるのを回避し、実施の形態1の場合に比して、更に優れたパージ能力を確保することができる。
【0092】
ところで、上述した実施の形態2では、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKを補正する際の係数Knを、第1乃至第4補正係数k1〜k4の平均値としているが、Knの求め方はこれに限定されるものではない。すなわち、第1乃至第4補正係数k1〜k4に、個別の重み付けを施して係数Knを算出することとしてもよい。
【0093】
また、上述した実施の形態2では、第1ガード値LMTPCUTおよび第2ガード値LMTPTNKを補正するために、4つの補正係数k1〜k4を用いているが、これらの補正係数k1〜k4は、必ずしも全て用いる必要はない。すなわち、係数Knは、第1乃至第4補正係数k1〜k4のうち、少なくとも1つを用いて設定すればよい。
【0094】
尚、上述した実施の形態2においては、排気空燃比センサ50が前記請求項4記載の「空燃比取得手段」に、機関回転数NE、吸入空気量GA、積分項KIおよびアイドルフラグIdleの状態が前記請求項4記載の「フィードバック応答速度」に、それぞれ相当している。また、この実施形態では、ECU52が、空燃比フィードバック係数FAFを用いて燃料噴射時間TAUを補正することにより(ステップ114参照)前記請求項4記載の「空燃比フィードバック手段」が、上記ステップ160〜166の処理を実行することにより前記請求項4記載の「応答速度取得手段」および「ガード値設定手段」が、それぞれ実現されている。
【0095】
実施の形態3.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態1の構成において、ECU52に、上記図3に示すルーチンに代えて、図5に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0096】
図5は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図5において、上記図3に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0097】
図5に示すルーチンは、ステップ154と156の間に、ステップ180および182が挿入されている点を除き、図3に示すルーチンと同様である。
すなわち、図5に示すルーチンでは、パージが再開され、ステップ132においてPGR=0が成立しないと判別された場合に、ステップ150〜154の処理を経て、パージ実行カウンタCPONの計数値が所定の判定値KCPONを超えたか否かが判別される(ステップ180)。
【0098】
判定値KCPONは、フィードバック制御の応答時間、すなわち、パージが開始された後、燃料噴射時間TAUが、排気空燃比センサ50の出力に基づいて、より具体的には、空燃比フィードバック係数FAFに基づいて、適正に補正されるまでに要する時間(例えば、2〜3sec)に相当する値である。従って、上記ステップ180において、CPON>KCPONが成立すると判別された場合は、パージの影響が、既にフィードバック制御に吸収されていると判断できる。この場合、上記ステップ150で算出されたパージ率tPGRが維持されたまま、ステップ156以降の処理が実行される。
【0099】
一方、上記ステップ180において、CPON>KCPONが成立しないと判別された場合は、パージの影響がフィードバック制御により吸収し切れていない可能性があると判断できる。図5に示すルーチンでは、この場合、次式に従ってパージ率一時値tPGRが書き換えられる(ステップ182)。
tPGR=PGRO+PGRSKPNM ・・・(6)
但し、PGRSKPNMは、旧パージ率PGROに加算される通常のスキップ値(ステップ150参照)に比して小さなスキップ値である。以下、このスキップ値を「制限スキップ値PGRSKPNM」と称す。従って、本ステップ182において算出されるパージ率一時値tPGRは、上記ステップ150で算出されるtPGRに比して、旧パージ率PGRO(前回のサイクルで用いられたパージ率PGR)に対する増加が抑えられた値となる。
図5に示すルーチンでは、以後、上記の如く設定されたパージ率一時値tPGRを用いて、ステップ156以降の処理が実行される。
【0100】
上述した通り、図5に示すルーチンによれば、パージが再開された後、パージ実行時間CPONが判定値KCPONに達するまで、すなわち、パージの影響がフィードバック制御に吸収されるまでは、パージ率PGRの増加が通常時に比して制限される。このため、本実施形態のシステムによれば、パージの再開後に、パージ率PGRの増加に伴って内燃機関30の運転状態が悪化するのを、有効に防止することができる。
【0101】
また、上述した図5に示すルーチンによれば、パージが再開された後、パージの影響をフィードバック制御で吸収し得る状況が形成されると、その後、パージ率の増加に関する制限を外すことができる。このため、本実施形態のシステムによれば、フィードバック制御が有効に機能し始めた後に、内燃機関30の運転状態を悪化させることなく、優れたパージ能力を発揮することができる。
【0102】
ところで、上述した実施の形態3では、CPON>KCPONが成立するまでの間も、旧パージ率PGROに対して、制限スキップ値PGRSKPNM分だけパージ率一時値tPGRを増大させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、CPON>KCPONが成立するまでの間は、制限スキップ値PGRSKPNMを0として、旧パージ率PGROに対するパージ率一時値tPGRの増加を禁止することとしてもよい。
【0103】
尚、上述した実施の形態3においては、ECU52が、上記ステップ126および154の処理を実行することにより前記請求項5記載の「再開後経過時間計数手段」が、上記ステップ180および182の処理を実行することにより前記請求項5記載の「目標パージ制御量制限手段」が、それぞれ実現されている。
【0104】
また、上述した実施の形態3においては、ECU52が、上記ステップ182の処理を実行することにより前記請求項6記載の「目標増大制限手段」が実現されている。
【0105】
実施の形態4.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態3の構成において、ECU52に、上記図5に示すルーチンに代えて、図6に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0106】
図6は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図6において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0107】
図6に示すルーチンは、ステップ180がステップ190に置き換えられている点を除き、図5に示すルーチンと同様である。
すなわち、図6に示すルーチンでは、ステップ132においてPGR=0が成立しないと判別された場合に、ステップ150〜154の処理を経て、スキップカウンタCSKPが所定の判定値KCSKPを超えたか否かが判別される(ステップ190)。
【0108】
そして、CSKP>KCSKPが成立しないと判別される期間だけ、ステップ182の処理、すなわち、パージ率一時値tPGRの増加を制限するための処理が実行される。スキップカウンタCSKPは、空燃比フィードバック係数FAFのスキップ回数、すなわち、空燃比フィードバック制御の実行中に、排気空燃比センサ50の出力が反転する回数を計数するカウンタである。また、判定値KCSKPは、実施の形態3における判定値KCPONと同様に、パージの影響がフィードバック制御に吸収されるまでの時間(フィードバック応答時間)に対応する値(例えば、2〜3回)である。
【0109】
図6に示すルーチンによれば、図5に示すルーチンとほぼ同様の機能を実現することができる。従って、本実施形態のシステムによれば、実施の形態3のシステムと同様に、パージの再開後に、内燃機関30の運転状態を悪化させることなく、高いパージ能力を発揮することができる。
【0110】
尚、上述した実施の形態4においては、ECU52が、上記ステップ190および182の処理を実行することにより前記請求項5記載の「目標パージ制御量制限手段」が実現されている。
【0111】
実施の形態5.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態3の構成において、ECU52に、上記図5に示すルーチンに代えて、図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0112】
図7は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図7において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0113】
図7に示すルーチンは、ステップ182がステップ200〜204に置き換えられている点を除き、図5に示すルーチンと同様である。
すなわち、図7に示すルーチンでは、パージが再開された後、ステップ180において、パージ実行カウンタCPONの計数値が判定値KCPONを超えていないと判別された場合、すなわち、パージの影響をフィードバック制御で吸収するための時間が経過していないと判別された場合に、次式に従って開始パージ率PGRSTが更新される(ステップ200)。
PGRST=PGRST+PGRSKPNM ・・・(7)
但し、開始パージ率PGRSTは、パージの再開時にステップ146で設定された値を初期値として、本ステップ200が繰り返される毎に制限スキップ値PGRSKPNMずつ増加された値である。また、制限スキップ値PGRSKPNMは、既述の通り、ステップ150で用いられる通常のスキップ値PGRSKPに比して小さな値である。
【0114】
次に、ステップ150で算出されたパージ率一時値tPGR(=PGRO+PGRSKP)が、上記ステップ200で算出された開始パージ率PGRSTより大きいか否かが判別される(ステップ202)。
【0115】
その結果、tPGR>PGRSTが成立すると判別された場合は、パージ率一時値tPGRが開始パージ率PGRSTに書き換えられる(ステップ204)。
一方、tPGR>PGRSTが成立しないと判別された場合は、パージ率一時値tPGRが、ステップ150で算出された値のまま維持される。
【0116】
図7に示すルーチンにおいて、上記ステップ180および200〜204の処理によれば、パージが再開された後、CPON>KCPONが成立するまでの所定期間に限り、パージ率一時値tPGRの上限を、開始パージ率PGRST(=PGRST+PGRSTNM)でガードすることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、パージが再開された後、フィードバック制御が有効に機能し始めるまでの間に、不当に大きなパージ率PGRが設定されることがなく、内燃機関30の運転状態を安定に維持することができる。
【0117】
ところで、上述した実施の形態3では、CPON>KCPONが成立するまでの間、パージ率PGRの増加を制限することで本実施形態と同様の効果を達成している。より具体的には、CPON>KCPONが成立するまでの間は、旧パージ率PGROに加算するスキップ値を制限スキップ値PGRSKPNMとすることで、不当に大きなパージ率PGRの発生を回避している。
【0118】
ここで、旧パージ率PGROは、前回の処理サイクル時に用いられたパージ率PGRである。そして、パージ再開後のパージ率PGRは、実施の形態3においても、本実施形態においても、最大パージ率PGRMXの制限を受ける(ステップ156,158参照)。
【0119】
最大パージ率PGRMXは、パージVSV28を全開にしたときに得られる全開パージ率PGRMX以下に設定される値である。また、全開パージ率PGRMXは、吸入空気量GAが少なく、吸気負圧PMが大きいほど多量となる値である。つまり、全開パージ率PGRMXは、スロットルバルブ38が閉じられているほど多量となり、スロットルバルブ38が開かれることにより少量となる値である。このため、パージ再開後のパージ率PGRは、内燃機関30に加速が要求され、スロットルバルブ38が開かれた場合には、最大パージ率PGRMXに制限されることにより、前回の処理サイクル時におけるパージ率PGROより小さな値となることがある。つまり、実施の形態3においても、本実施形態においても、ステップ158で算出されるパージ率一時値tPGRは、内燃機関30の加速時には大きく減少する可能性のある値である。
【0120】
実施の形態3のルーチン(図5)では、CPON>KCPONが成立するまでの間、ステップ158で設定されたパージ率一時値tPGRが、旧パージ率PGROとなって、次回の処理サイクル時に、ステップ182でパージ率一時値tPGRを算出する際の基礎とされる。このため、実施の形態3では、内燃機関30の加速に伴って一旦小さなtPGRが算出されると、以後、その小さなtPGRを起点としてパージ率PGRが緩やかに増加されることになる。この場合、内燃機関30が定常状態に戻った後などに、パージ率PGRが不必要に小さく抑制された状態が生ずる。
【0121】
本実施形態のルーチン(図7)では、内燃機関30の加速等に伴ってパージ率一時値tPGRが小さな値となると、次回の処理サイクル時に、その小さなtPGRが旧パージ率PGROとなってステップ150の処理に用いられる。つまり、次回の処理サイクルにおいて、ステップ150では、小さな値となったPGROに通常のスキップ値PGRSKPを加えることによりパージ率一時値tPGRが算出される。
【0122】
そして、CPON>KCPONが成立していない場合は、上記の如くステップ150で算出されたパージ率一時値tPGRと、ステップ200で更新された開始パージ率PGRSKPNMのうち、小さい方がパージ率一時値tPGRとされる(ステップ200〜204参照)。この際、ステップ200で算出される開始パージ率PGRSTは、内燃機関30の加速に伴ってtPGRが小さな値となっても、その影響を受けることなく常に一定の増加幅PGRSKPNMで増加を続ける。このため、内燃機関30の加速等によりパージ率一時値tPGRが小さな値となった後は、ステップ150で算出されるパージ率一時値tPGRが、ステップ200で更新される開始パージ率PGRSKPNM以下となり、その結果、ステップ202の条件が成立しなくなることがある。この場合、ステップ204がジャンプされるため、ステップ150で算出されたパージ率一時値tPGR、すなわち、旧パージ率PGROより通常のスキップ値PGRSKPだけ大きなパージ率一時値tPGRを対象として、ステップ156以降の処理が実行される。
【0123】
このように、本実施形態のシステムでは、内燃機関30の加速等に伴ってパージ率一時値tPGRが小さな値となった場合は、CPON>KCPONが成立していなくても、その後、パージ率一時値tPGRが通常のスキップ値PGRSKPで増加するのを許容することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、CPON>KCPONが成立するまでの間に、パージ率PGRが不必要に小さく抑制されるのを防止して、実施の形態3の装置に比して、更に優れたパージ能力を発揮することができる。
【0124】
ところで、上述した実施の形態5においては、実施の形態3の場合と同様に、パージ再開後、CPON>KCPONが成立するまでの間、パージ率PGRに制限を課すこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、実施の形態5においても、実施の形態4の場合と同様に、パージの再開後、CSKP>KCSKPが成立するまでの間、パージ率PGRに制限を課すこととしてもよい。
【0125】
尚、上述した実施の形態5においては、ECU52が、上記ステップ180および200〜204の処理を実行することにより前記請求項5記載の「目標パージ制御量制限手段」が、それぞれ実現されている。
【0126】
また、上述した実施の形態5においては、ECU52が、上記ステップ146および200の処理を実行することにより前記請求項7記載の「目標ガード値設定手段」が、上記ステップ202および204の処理を実行することにより前記請求項7記載の「目標ガード手段」が、それぞれ実現されている。
【0127】
実施の形態6.
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態3の構成において、ECU52に、上記図5に示すルーチンに代えて、図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0128】
図8は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図8において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0129】
図8に示すルーチンは、ステップ182がステップ210に置き換えられている点を除き、図5に示すルーチンと同様である。
すなわち、図8に示すルーチンでは、パージが再開された後、ステップ180において、パージ実行カウンタCPONの計数値が判定値KCPONを超えていないと判別された場合、すなわち、パージの影響をフィードバック制御で吸収するための時間が経過していないと判別された場合に、パージ率一時値tPGRが次式に従って書き換えられる(ステップ210)。
tPGR=PGRO+PGRSKP*K4 ・・・(8)
但し、K4は、パージ率tPGRの増加幅を通常時より小さくするためにスキップ値PGRSKPに乗算される1より小さな計数である。
【0130】
スキップ値PGRSKPは、マップ等を参照して内燃機関30の運転状態等に基づいて算出される値である。上記(8)式によれば、CPON>KCPONが成立するまでの間、上記のスキップ値PGRSKPの大きさが反映された増加幅PGRSKP*K4で、通常時に比して緩やかにパージ率一時値tPGRを増加させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、パージが再開された後、パージの影響がフィードバック制御に吸収されるまでの間に、パージ率PGRを不必要に制限することなく、内燃機関の運転状態を極めて安定に維持することができる。
【0131】
ところで、上述した実施の形態6においては、実施の形態3の場合と同様に、パージ再開後、CPON>KCPONが成立するまでの間、パージ率PGRに制限を課すこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、実施の形態6においても、実施の形態4の場合と同様に、パージの再開後、CSKP>KCSKPが成立するまでの間、パージ率PGRに制限を課すこととしてもよい。
【0132】
尚、上述した実施の形態6においては、ECU52が、上記ステップ180および210の処理を実行することにより前記請求項5記載の「目標パージ制御量制限手段」が実現されている。
【0133】
また、上述した実施の形態6においては、ECU52が、上記ステップ210の処理を実行することにより前記請求項6記載の「目標増大制限手段」が実現されている。
【0134】
実施の形態7.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態3の構成において、ECU52に、上記図5に示すルーチンに代えて、図9に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0135】
図9は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図9において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0136】
図9に示すルーチンは、ステップ154と180の間に、ステップ220〜228が挿入されている点を除き、図5に示すルーチンと同様である。
すなわち、図9に示すルーチンでは、パージが再開され、ステップ132でPGR=0が成立しないと判別された後、ステップ150〜154の処理に続いて、第1乃至第4の補正係数k1〜k4が順次算出される(ステップ220〜226)。
【0137】
第1乃至第4補正係数k1〜k4は、実施の形態2で説明したk1〜k4(図4,ステップ160〜166参照)と同様に、何れも、空燃比フィードバック制御の応答速度と相関を有するように決定される係数である。これらの補正係数k1〜k4は、上述したステップ160〜166の場合と同様の手法で、機関回転数NE、吸入空気量GA、空燃比フィードバック係数FAFの積分項KI、およびアイドルフラグの状態に基づいて、それぞれECU52に記憶されているマップに従って算出される。
【0138】
上記の算出手法によれば、実施の形態2の場合と同様に、フィードバック制御の応答時間が短い(応答速度が早い)場合には、第1乃至第4補正係数k1〜k4を大きな値とし、また、その応答時間が長い(応答速度が遅い)状況下では、第1乃至第4補正係数k1〜k4を小さな値とすることができる。
【0139】
図9に示すルーチンでは、ステップ220〜226の処理に次いで、次式に従って判定値KCPONが算出される(ステップ228)。
KCPON=KCPGONNM/Kn ・・・(9)
但し、上記(9)式において、係数Knは、第1乃至第4補正係数k1〜k4の平均値である。また、KCPGONNMは、判定値KCPONの基礎として用いられる定数である。
【0140】
図9に示すルーチンでは、以後、図5に示すルーチンと同様にステップ180以降の処理が実行される。その結果、CPON>KCPONが成立するまでの期間に限り、パージ率PGRに制限が課される。
【0141】
上記(9)式によれば、第1乃至第4補正係数k1〜k4が大きな値であるほど、判定値KCPONを小さな値とすること、すなわち、フィードバック制御の応答時間が短い(応答速度が早い)ほど、パージの再開後、パージ率PGRに制限が課される期間を短くすることができる。つまり、図9に示すルーチンによれば、パージ率PGRに制限が課される期間と、パージの影響がフィードバック制御によって吸収されるまでの期間とを、精度良く整合させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関30の運転状態を良好に保ちつつ、実施の形態3の場合に比して更に優れたパージ能力を実現することができる。
【0142】
ところで、上述した実施の形態7においては、パージ率PGRに制限を課す期間を伸縮させる機能を、実施の形態3のシステムと組み合わせることとしているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。すなわち、上記の機能は、実施の形態4乃至6のシステムの何れと組み合わせることとしてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態7では、判定値KCPONを算出するための係数Knを、第1乃至第4補正係数k1〜k4の平均値としているが、Knの求め方はこれに限定されるものではない。すなわち、第1乃至第4補正係数k1〜k4に、個別の重み付けを施して係数Knを算出することとしてもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態7では、判定値KCPONを算出するために、4つの補正係数k1〜k4を用いているが、これらの補正係数k1〜k4は、必ずしも全て用いる必要はない。すなわち、係数Knは、第1乃至第4補正係数k1〜k4のうち、少なくとも1つを用いて設定すればよい。
【0145】
尚、上述した実施の形態7においては、排気空燃比センサ50が前記請求項9記載の「空燃比取得手段」に相当していると共に、ECU52が、空燃比フィードバック係数FAFを用いて燃料噴射時間TAUを補正することにより(ステップ114参照)前記請求項9記載の「空燃比フィードバック手段」が実現されている。
【0146】
また、上述した実施の形態7においては、機関回転数NE、吸入空気量GA、積分項KIおよびアイドルフラグIdleの状態が前記請求項10記載の「応答時間」に相当していると共に、ECU52が、上記ステップ220〜226の処理を実行することにより前記請求項10記載の「応答時間取得手段」が、上記ステップ228の処理を実行することにより前記請求項10記載の「所定時間設定手段」が、それぞれ実現されている。
【0147】
実施の形態8.
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態8について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態3の構成において、ECU52に、上記図5に示すルーチンに代えて、図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0148】
図10は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図10において、上記図5または図9に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0149】
図10に示すルーチンは、ステップ228と180の間に、ステップ230が挿入されている点を除き、図9に示すルーチンと同様である。
すなわち、図10に示すルーチンでは、上記ステップ228の処理により判定値KCPONが算出された後、次式に従って制限スキップ値PGRSKPNMが算出される(ステップ230)。
PGRSKPNM=PGRSKPNM1*Kn ・・・(10)
但し、上記(10)式において、係数Knは、ステップ228で用いられるものと同じ係数、すなわち、第1乃至第4補正係数k1〜k4の平均値である。また、PGRSKPNM1は、制限スキップ値PGRSKPNMの基礎として用いられる定数である。
【0150】
図10に示すルーチンでは、以後、図5または図9に示すルーチンと同様にステップ180以降の処理が実行される。その結果、CPON>KCPONが成立するまでの期間に限り、パージ率PGRの増加幅が制限ステップ値PGRSKPNMに制限される。
【0151】
上記(10)式によれば、第1乃至第4補正係数k1〜k4が大きな値であるほど、制限スキップ値PGRSKPNMを大きな値とすること、すなわち、フィードバック制御の応答時間が短い(応答速度が早い)ほど、パージの再開後にパージ率PGRの増加に課される制限を緩やかにすることができる。つまり、図10に示すルーチンによれば、フィードバックの応答速度が早い場合には、パージが再開された後、パージ率PGRの増加に制限を課しつつ、比較的速やかにその値PGRを増加させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関30の運転状態を悪化させることなく、実施の形態3の場合に比して更に優れたパージ能力を実現することができる。
【0152】
ところで、上述した実施の形態8においては、フィードバック応答速度に応じて制限ステップ値PGRSKPNMを増減させる機能を、実施の形態3のシステムと組み合わせることとしているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。すなわち、上記の機能は、実施の形態4乃至6のシステムの何れと組み合わせることとしてもよい。
【0153】
また、上述した実施の形態8では、制限スキップ値PGRSKPNMを算出するための係数Knを、第1乃至第4補正係数k1〜k4の平均値としているが、Knの求め方はこれに限定されるものではない。すなわち、第1乃至第4補正係数k1〜k4に、個別の重み付けを施して係数Knを算出することとしてもよい。
【0154】
また、上述した実施の形態8では、制限スキップ値PGRSKPNMを算出するために、4つの補正係数k1〜k4を用いているが、これらの補正係数k1〜k4は、必ずしも全て用いる必要はない。すなわち、係数Knは、第1乃至第4補正係数k1〜k4のうち、少なくとも1つを用いて設定すればよい。
【0155】
尚、上述した実施の形態8においては、排気空燃比センサ50が前記請求項11記載の「空燃比取得手段」に、機関回転数NE、吸入空気量GA、積分項KIおよびアイドルフラグIdleの状態が前記請求項11記載の「フィードバック応答速度」に、回転数センサ46、エアフロメータ36、アイドルスイッチ、および積分項KIを読みとるECU52の機能が前記請求項11記載の「応答速度取得手段」に、それぞれ相当している。また、この実施形態においては、ECU52が、空燃比フィードバック係数FAFを用いて燃料噴射時間TAUを補正することにより(ステップ114参照)前記請求項11記載の「空燃比フィードバック手段」が、上記ステップ220〜226の処理を実行することにより前記請求項11記載の「応答速度取得手段」が、上記ステップ230の処理を実行することにより前記請求項11記載の「制限緩和手段」が、それぞれ実現されている。
【0156】
ところで、上述した実施の形態3乃至8では、CPON>KCPON、或いはCSKP>KCSKPが成立するまでの間は、常にパージ率tPGRの増大を制限することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、パージ率tPGRの増大は、パージ再開時のパージ率PGRが、第1ガード値LMTPCUTまたは第2ガード値LMTPTNKに制限された場合にのみ制限することとしてもよい。
【0157】
パージ再開時のパージ率PGRが、第1ガード値LMTPCUTにも第2ガード値LMTPTNKにも制限されなかった場合、すなわち、パージ再開時のパージ率PGRとして、旧パージ率PGRO(パージカット時のパージ率PGR)が採用された場合は、パージ率PGRに余裕があると判断できる。上記の変形例によれば、このような場合に不必要にパージ率PGRを制限するのを防止することができ、システムのパージ能力を更に改善することができる。
【0158】
尚、上述した実施の形態3乃至8においては、パージ再開時におけるパージ率PGRが第1ガード値LMTPCUTまたは第2ガード値LMTPTNKに制限されたか否かをECU52に判別させることにより、前記請求項8記載の「判別手段」を実現することができる。
【0159】
実施の形態9.
次に、図11および図12を参照して、本発明の実施の形態9について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態1の構成において、ECU52に、上記図3に示すルーチンに代えて、図11に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0160】
図11は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図11において、上記図3に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0161】
図11に示すルーチンは、ステップ150に続いてステップ240が実行される点を除き、図3に示すルーチンと同様である。
すなわち、図11に示すルーチンでは、パージが再開され、ステップ132においてPGR=0が成立しないと判別された場合に、ステップ150の処理を経て、パージ実行カウンタCPONの計数値が所定の判定値KPONGを超えたか否かが判別される(ステップ240)。
【0162】
その結果、CPON>KPONGが成立すると判別された場合は、パージカットカウンタCPCUTの計数値をクリアすべくステップ152の処理が実行される。一方、CPON>KPONGが成立しないと判別された場合は、ステップ152の処理がジャンプされ、パージカットカウンタCPCUTのクリアが見送られる。
【0163】
図11に示すルーチンでは、以後、実施の形態1の場合と同様に、ステップ154以降の処理が実行される。上記の処理によれば、パージが再開された後、判定値KPONGに対応する時間が経過するまでは、パージカットカウンタCPCUTの計数値を、パージ再開時の値に維持することができる。
【0164】
図12(A)は、実施の形態1のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。また、図12(B)は、本実施形態のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。以下、これらを参照して、本実施形態のシステムが有する利点について説明する。
【0165】
図12(A)において、期間▲1▼は、パージカット期間である。この間、パージカットカウンタCPCUTの計数値は、時間の経過と共に増加する。実施の形態1において、パージ再開時のパージ率PGRをガードする第1ガード値LMTPCUTは、パージカットカウンタCPCUTの計数値に応じて設定される。具体的には、CPCUTの計数値が小さい値である場合は、ベーパの吸着量に大きな増加は生じていないと判断され、第1ガード値LMTPCUTは大きな値に設定される。一方、CPCUTの計数値が大きな値である場合は、ベーパの吸着量が大きく増えている可能性があると判断され、第1ガード値LMTPCUTが小さな値に設定される。図12(A)に示す例では、期間▲1▼の後、第1ガード値LMTPCUTが小さな値に設定され、その結果、再開時のパージ率PGRが比較的小さな値とされている。
【0166】
図12(A)において、期間▲2▼は、パージ実行期間である。実施の形態1では、パージの再開と共にパージカットカウンタCPCUTは0にリセットされる。このため、期間▲2▼において、CPCUTの計数値は0とされている。また、実施の形態1において、パージ率PGRは、パージ実行時間の経過と共に増える傾向を示す。このため、期間▲2▼において、PGRは増加傾向を示している。
【0167】
図12(A)において、期間▲3▼は、パージが開始された後、一時的にパージカットの条件が成立した期間である。従って、その間、パージ率PGRは0となっている。実施の形態1のシステムでは、パージがカットされると、その後、パージカットカウンタCPCUTは常に0を起点としてインクリメントされる。このため、パージカット期間▲3▼が僅かな時間で終了すると、CPCUTに僅かな値しか計数されていない状態でパージが再開される事態が生ずる。
【0168】
図12(A)において、期間▲4▼は、そのような状況化で再開されたパージの実行期間である。この場合、CPCUTの計数値が小さいことから、第1ガード値LMTPCUTは大きな値に設定される。その結果、パージ率PGRは、期間▲4▼の開始時点から比較的大きな値とされている。このように、実施の形態1のシステムでは、長期に渡るパージカットの後、パージの実行とパージのカットとが繰り返された場合に、第1ガード値LMTPCUTがパージ率PGRに対するガードとして機能せず、その結果、パージの再開時に不当に大きなパージ率PGRが設定されることがある。
【0169】
図12(B)において、期間▲1▼はパージカット期間であり、また、期間▲2▼はパージ実行期間である。本実施形態のシステムでも、実施の形態1の場合と同様に、期間▲1▼では、パージカットカウンタCPCUTの計数値が時間の経過と共に増加する。図12(B)に示す例では、期間▲1▼の終了時に、CPCUTの計数値が大きな値となっている。この場合、パージの再開時に第1ガード値LMTPCUTが小さな値に設定されるため、再開時のパージ率PGRは比較的小さな値となる。
【0170】
本実施形態のシステムでは、パージが再開された後、所定期間が経過するまではCPCUTの計数値がクリアされない。このため、図12(B)では、期間▲2▼において、CPCUTが一定値に維持されている。そして、僅かな時間の後にパージがカットされると(期間▲3▼)、パージカットカウンタCPCUTは、上記の一定値を起点として再び増加し始める。
【0171】
このように、本実施形態のシステムでは、パージ実行期間▲2▼が所定期間に渡って継続しなかった場合、つまり、ベーパ濃度学習値FGPGのずれを学習するに足る時間が経過する前に再びパージがカット(期間▲3▼)されてしまったような場合には、その後、CPCUTを大きな値に維持したままパージを再開させることができる(期間▲4▼)。この場合、一時的なパージカット期間▲3▼に続くパージ再開時に、第1ガード値LMTPCUTが十分に小さな値に設定され、パージ率PGRを抑えた状態でパージを再開させることができる。従って、本実施形態のシステムによれば、実施の形態1の場合と異なり、パージの実行とパージカットとが繰り返された場合にも、ガードとして機能し得る第1ガード値LMTPCUTを設定することができ、その結果、再開時のパージ率PGRが不当に大きな値となるのを有効に防止することができる。
【0172】
図12(B)において、パージ実行期間▲4▼が所定期間に渡って継続されると、より具体的には、CPON>KCPONが成立するまで継続されると、その時点でパージカットカウンタCPCUTが0にクリアされる(期間▲5▼;ステップ152参照)。従って、期間▲5▼の開始後に一時的なパージカットが行われると、それに続くパージの再開時には、大きな第1ガード値LMTPCUTが算出され、パージ率PGRが比較的大きな値に設定される。
【0173】
本実施形態において、判定値KCPONは、パージの再開後、ベーパ濃度学習値FGPGが適切な値に更新されるのに要する時間に対応するように設定されている。このため、本実施形態では、ベーパ濃度学習値FGPGが適正な値に更新された後でのみパージカットカウンタCPCUTが0にクリアされる。つまり、期間▲5▼は、FGPGが適正値に更新された後でのみ開始される。従って、期間▲5▼が開始された後、一時的なパージカットが行われた場合には、その後、大きなパージ率PGRでパージが再開されるが、その時点ではFGPGが適正値であるため、良好な空燃比制御を維持することができる。
【0174】
このように、本実施形態のシステムによれば、長期に渡るパージカットに続き、短い期間でパージのオン・オフが繰り返される場合に、第1ガード値LMTPCUTがパージ率PGRのガードとして機能しなくなるのを防止することができる。また、パージカットに続いて十分に長い期間に渡ってパージが実行された場合には、その後、短い時間でパージのオフ・オンが繰り返された場合に、大きなパージ率PGRでパージを再開させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、実施の形態1のシステムに比して、より優れたパージ能力と、より優れた空燃比制御精度とを実現することができる。
【0175】
ところで、上述した実施の形態9では、パージ再開後に所定期間はCPCUTの計数値を維持する機能を、実施の形態1のシステムと組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記の機能は、実施の形態2乃至8の何れのシステムと組み合わせることとしてもよい。
【0176】
実施の形態10.
次に、図12と共に図13を参照して、本発明の実施の形態10について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、実施の形態1の構成において、ECU52に、上記図3に示すルーチンに代えて、図13に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0177】
図13は、本実施形態において、ECU52が、パージ率PGRの制御目標を算出するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図13において、上記図3に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0178】
図13に示すルーチンは、ステップ124に代えてステップ250〜254が挿入されている点、およびステップ150と152の間にステップ256および258が挿入されている点を除き、図3に示すルーチンと同様である。
【0179】
すなわち、図13に示すルーチンでは、パージ条件が成立していないと判別された場合に、ステップ122でパージ率一時値tPGRが0とされた後、パージカットカウンタCPCUTの計数値が、次式に従って増加される(ステップ250)。
CPCUT=CPCUT+KT2 ・・・(11)
【0180】
次に、上記ステップ250で算出されたCPCUTの計数値が上限値KTMXより大きいか否かが判別される(ステップ252)。
その結果、CPCUTが上限値KTMXより大きいと判別された場合は、CPCUTが上限値KTMXに設定される(ステップ254)。
一方、CPCUTがKTMX以下であると判別された場合は、ステップ254がジャンプされ、上記ステップ250で算出されたCPCUTがそのまま維持される。
【0181】
上記の処理によれば、パージがカットされている間に、パージカットカウンタCPCUTの計数値を、上限値KTMXに達するまで一定の速度で増加させることができる。
以後、実施の形態1の場合と同様にステップ126以降の処理が実行される。その結果、パージ実行カウンタCPONの計数値が0とされ、また、パージ率PGRが0となるようにパージVSV28が全閉状態とされる。
【0182】
パージが再開されることによりステップ132でPGR=0が成立しないと判別されると、図13に示すルーチンでは、ステップ150の処理を経て、パージカットカウンタCPCUTの減算処理が行われる(ステップ256)。
本ステップ256では、具体的には、次式に従ってCPCUTの計数値が減算される。
CPCUT=CPCUT−KT1 ・・・(12)
【0183】
次に、上記ステップ256で減算されたCPCUTの計数値が下限値0より小さいか否かが判別される(ステップ258)。
その結果、CPCUTが0より小さいと判別された場合は、CPCUTが0に設定される(ステップ152)。
一方、CPCUTが0以上であると判別された場合は、ステップ152がジャンプされ、上記ステップ256で算出されたCPCUTがそのまま維持される。
【0184】
上記の処理によれば、パージの再開後に、パージカットカウンタCPCUTの計数値を、下限値0に達するまで一定の速度で減少させることができる。
以後、実施の形態1の場合と同様にステップ154以降の処理が実行される。その結果、パージ実行カウンタCPONの計数値がインクリメントされ、更に、適当なパージ率PGRでベーパがパージされる。
【0185】
図12(C)は、本実施形態のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。以下、このタイミングチャートを、図12(B)に示すタイミングチャート、すなわち、実施の形態9の動作を説明するためのタイミングチャートと比較して、本実施形態のシステムが有する利点についての説明を行う。
【0186】
図12(C)において、期間▲1▼〜期間▲5▼は、図12(B)に示す場合と同様に、パージカット期間(▲1▼)、短時間のパージ実行期間(▲2▼)、一時的なパージカット期間(▲3▼)、一時的なパージカットに続くパージ再開期間(▲4▼)、およびパージカットカウンタCPCUTが下限値0をとる期間をそれぞれ表している。
【0187】
本実施形態では、図12(C)中、期間▲2▼、並びに期間▲4▼に示すように、パージの実行中にパージカットカウンタCPCUTの計数値が減少方向に更新される(ステップ256参照)。このため、パージ実行期間▲2▼に続いて一時的なパージカットが行われ(期間▲3▼)、その後パージが再開された場合には、その再開時(期間▲4▼の始点)におけるCPCUTが、実施の形態9の場合に比して小さな値となっている。
【0188】
第1ガード値LMTPCUTは、既述の通りパージカットカウンタCPCUTの計数値に応じて設定される値である。このため、本実施形態のシステムによれば、一時的なパージカット期間▲3▼に続いてパージが再開された場合(期間▲4▼)に、その期間▲4▼の開始時に、実施の形態9の場合に比して大きな第1ガード値LMTPCUTを算出することができ、その結果、実施の形態9の場合に比して大きなパージ率PGRでパージを再開させることができる。
【0189】
図12(B)に示す通り、上述した実施の形態9のシステムでは、パージ実行期間▲2▼の間、パージカットカウンタCPCUTの値が一定値に維持される。このため、期間▲2▼に続いて一時的なパージカットが行われ(期間▲3▼)、これに続いてパージ再開(期間▲4▼)された場合、期間▲4▼の開始時におけるCPCUTの値は、期間▲2▼の開始時におけるCPCUTの値より常に大きな値となる。従って、実施の形態9のシステムでは、期間▲4▼の開始時に算出される第1ガード値LMTPCUTが、期間▲2▼の開始時に算出される第1ガード値LMTPCUTより常に小さな値となり、その結果、期間▲4▼の開始時におけるパージ率PGRが、期間▲2▼の開始時におけるパージ率PGRより小さな値になり易い。
【0190】
ところで、図12(B)に示す例において、期間▲2▼はパージ実行期間であるから、期間▲2▼の間、通常はキャニスタ22内のベーパ量が減少する。そして、一時的なパージカット期間▲3▼が十分に短い場合には、期間▲2▼の間に減少したベーパ量より、期間▲3▼の間にキャニスタ22に吸着されたベーパ量が少ない事態が生じ得る。つまり、キャニスタ内のベーパ量が、期間▲2▼の開始時より、期間▲4▼の開始時の方が少量となることが生じ得る。
【0191】
第1ガード値LMTPCUTは、ベーパ濃度学習値FGPGに対して、現実のベーパ濃度が高くなる可能性が高いほど、小さな値とすべきガード値である。従って、キャニスタ内のベーパ量が、期間▲2▼の開始時より、期間▲4▼の開始時の方が少量である場合には、つまり、期間▲2▼の開始時より期間▲4▼の開始時の方が、現実のベーパ濃度とFGPGの乖離が少ないと推定できる場合には、本来、期間▲4▼の開始時に算出される第1ガード値LMTPCUTが、期間▲2▼の開始時に算出される第1ガード値LMTPCUTより大きな値となるべきである。
【0192】
しかしながら、実施の形態9のシステムでは、上述の如く、期間▲4▼の開始時に算出される第1ガード値LMTPCUTが、期間▲2▼の開始時に算出される第1ガード値LMTPCUTより常に小さな値となる。この点、実施の形態9のシステムは、一時的なパージカットに続いてパージが再開された場合に(期間▲4▼)、不必要にパージ率PGRを小さな値に抑制し過ぎるという特性を有している。
【0193】
これに対して、本実施形態のシステムでは、既述した通り、一時的なパージカット期間▲3▼に続くパージ再開期間▲4▼の開始時に、実施の形態9の場合に比して大きな第1ガード値LMTPCUTを算出することができ、その結果、実施の形態9の場合に比して大きなパージ率PGRでパージを再開させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、実施の形態9のシステムが有する欠点を補って、より優れたパージ能力を実現することができる。
【0194】
ところで、上述した実施の形態10では、パージの実行中にCPCUTを減少させる機能を、実施の形態1のシステムと組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記の機能は、実施の形態2乃至8の何れのシステムと組み合わせることとしてもよい。
【0195】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、パージ再開時にパージ制御量に課すべきガード値をパージカットの実行状態に基づいて設定することができる。そして、パージカット時のパージ制御量と、上記のガード値のうち小さい方をパージ再開時の目標パージ制御量とすることができる。この場合、パージの再開に伴ってベーパが過剰にパージされるのを防止しつつ、不必要にパージ能力が制限されるのを防ぐことができる。
【0196】
請求項2記載の発明によれば、ガード値が、パージによるリッチエンストを生じさせることのないパージ制御量に設定されるため、パージの再開に伴うリッチエンストを有効に防止することができる。
【0197】
請求項3記載の発明によれば、パージカットの実行時間や燃料タンク内圧に基づいてガード値を設定することができる。つまり、本発明によれば、ガード値を、パージカット中に増量したキャニスタ内のベーパ量に対応した値とすることができる。このため、本発明によれば、パージ再開時のベーパ濃度に対応した適正なガード値を設定することができる。
【0198】
請求項4記載の発明によれば、フィードバック応答速度に応じてガード値を増減させることができる。つまり、フィードバック応答速度が遅い場合には、ガード値を小さな値とすることができる。この場合、パージ再開時に供給されるベーパ量が少量となるため、フィードバック応答速度が遅くても、内燃機関の運転状態を安定に維持することができる。また、フィードバック応答速度が早い場合には、ガード値を大きな値とすることができる。フィードバック応答速度が早い場合は、ある程度多量のベーパが供給されても、内燃機関の運転状態は安定に維持される。従って、この場合は、内燃機関の運転状態を安定に維持しつつ、高いパージ能力を確保することができる。
【0199】
請求項5記載の発明によれば、パージが再開された後、所定時間は、目標パージ制御量に制限を課すことができる。このため、本発明によれば、パージの再開後、初期の段階で内燃機関の運転状態が大きく悪化するのを防止することができる。
【0200】
請求項6記載の発明によれば、パージが再開された後、所定時間が経過するまで、目標パージ制御量の増大を制限することで、内燃機関の運転状態の悪化を防ぐことができる。
【0201】
請求項7記載の発明によれば、パージが再開された後、所定時間が経過するまで、目標パージ制御量の上限を制限することで、内燃機関の運転状態の悪化を防ぐことができる。
【0202】
請求項8記載の発明によれば、パージ再開時における目標パージ制御量がガード値により規制された場合にのみ、パージ再開後に、目標パージ制御量に制限を課すことができる。目標パージ制御量がガード値に規制されなかった場合は、目標制御量に余裕があると判断できる。本発明によれば、このような状況下で不必要に目標パージ制御量が制限されるのを回避することができる。
【0203】
請求項9記載の発明によれば、フィードバック制御によって、混合気の空燃比が燃料噴射量に反映されるのに要する応答時間の間だけ、パージの再開後、目標パージ制御量を制限することができる。このため、本発明によれば、フィードバック制御が機能し始めるまでに内燃機関の運転状態が悪化するのを防止し、かつ、フィードバック制御が有効に機能し始めた後に、不必要にパージ能力が制限されるのを回避することができる。
【0204】
請求項10記載の発明によれば、フィードバック制御の応答時間に応じて、目標パージ制御量に制限を課すべき所定時間を、適切に伸縮させることができる。
【0205】
請求項11記載の発明によれば、フィードバック制御の応答速度が速い場合には、目標パージ制御量に課す制限を緩やかにすることができる。このため、本発明によれば、パージの再開後に、不必要にパージ能力を制限することなく、内燃機関の運転状態を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施の形態1において実行される燃料噴射時間算出ルーチンのフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態1においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態3においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態4においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態5においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態6においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態7においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態8においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図11】 本発明の実施の形態9においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図12】 本発明の実施の形態9および10の効果を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態10においてパージ率PGRの制御目標を算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 燃料タンク
22 キャニスタ
28 パージVSV(Vacuum Switching Valve)
30 内燃機関
44 燃料噴射弁
50 排気空燃比センサ
TAU 燃料噴射時間
PGR パージ率
PGRO 旧パージ率
PGRST 開始パージ率
tPGR パージ率一時値
FGPG ベーパ濃度学習値
FAF 空燃比フィードバック係数
LMTPCUT 第1ガード値
LMTPTNK 第2ガード値
CPCUT パージカットカウンタ
CPON パージ実行カウンタ
PTNK 燃料タンク内圧
k1〜k4 第1乃至第4補正係数

Claims (11)

  1. キャニスタに吸着した蒸発燃料を吸気通路にパージする機能を有する内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
    パージ流量の特性値であるパージ制御量が目標パージ制御量となるように前記パージ流量を制御するパージ流量制御手段と、
    所定の条件下でパージをカットするパージカット手段と、
    パージカットからのパージ再開時に前記パージ制御量に課すべきガード値を、当該パージカットの実行状態に基づいて設定するガード値設定手段と、
    前記パージカットが開始される時点のパージ制御量と前記ガード値のうち、小さい方を前記パージ再開時における目標パージ制御量とする目標パージ制御量設定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 前記ガード値設定手段は、前記ガード値を、パージによるリッチエンストを生じさせることのないパージ制御量に設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記キャニスタは、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着し、
    前記ガード値設定手段は、パージカットの実行時間および燃料タンク内圧の少なくとも一方に基づいて前記ガード値を設定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  4. 内燃機関に供給される混合気の空燃比を取得する空燃比取得手段と、
    前記空燃比取得手段により取得された空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック手段と、
    前記混合気の空燃比が前記燃料噴射量に反映される速度の特性値であるフィードバック応答速度を取得する応答速度取得手段とを備え、
    前記ガード値設定手段は、前記フィードバック応答速度が早いほど、前記ガード値を大きな値とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  5. パージ再開後の経過時間を計数する再開後経過時間計数手段と、
    前記経過時間が所定時間を超えるまでは前記目標パージ制御量に制限を課す目標パージ制御量制限手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  6. 前記目標パージ制御量制限手段は、目標パージ制御量の増大を制限する目標増大制限手段を備えることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  7. 前記目標パージ制御量制限手段は、
    目標パージ制御量の上限を制限する目標ガード値を設定する目標ガード値設定手段と、
    前記目標パージ制御量を前記目標ガード値以下に制限する目標ガード手段と、
    を備えることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  8. パージ再開時における目標パージ制御量が前記ガード値に設定されたか否かを判別する判別手段を備えると共に、
    前記目標パージ制御量制限手段は、パージ再開時における目標パージ制御量が前記ガード値に設定された場合にのみ前記目標パージ制御量に制限を課すことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  9. 内燃機関に供給される混合気の空燃比を取得する空燃比取得手段と、
    前記空燃比取得手段により取得された空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック手段とを備え、
    前記所定時間は、前記混合気の空燃比が前記燃料噴射量に反映されるのに要する応答時間であることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  10. 前記応答時間を取得する応答時間取得手段と、
    前記応答時間に応じて前記所定時間を設定する所定時間設定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項9記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  11. 内燃機関に供給される混合気の空燃比を取得する空燃比取得手段と、
    前記空燃比取得手段により取得された空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック手段と、
    前記混合気の空燃比が前記燃料噴射量に反映される速度の特性値であるフィードバック応答速度を取得する応答速度取得手段と、
    前記フィードバック応答速度が早いほど、前記目標パージ制御量に課すべき制限を緩くする制限緩和手段と、
    を備えることを特徴とする請求項5乃至10の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
JP2002003902A 2002-01-10 2002-01-10 内燃機関の蒸発燃料処理装置 Expired - Fee Related JP3915515B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002003902A JP3915515B2 (ja) 2002-01-10 2002-01-10 内燃機関の蒸発燃料処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002003902A JP3915515B2 (ja) 2002-01-10 2002-01-10 内燃機関の蒸発燃料処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003206814A JP2003206814A (ja) 2003-07-25
JP3915515B2 true JP3915515B2 (ja) 2007-05-16

Family

ID=27643370

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002003902A Expired - Fee Related JP3915515B2 (ja) 2002-01-10 2002-01-10 内燃機関の蒸発燃料処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3915515B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5578222B2 (ja) * 2012-11-02 2014-08-27 三菱自動車工業株式会社 エンジンの制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003206814A (ja) 2003-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4161819B2 (ja) 蒸発燃料処理装置
JP2867912B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3620261B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP2003083114A (ja) 内燃機関の制御装置
JP3632985B2 (ja) 蒸発燃料処理装置
US7305978B2 (en) Vaporized fuel purge system
JP5977019B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JPH10280985A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3915515B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JPH07269419A (ja) 蒸発燃料処理装置
JPH0472453A (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理制御装置
JP2006009668A (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP2789908B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3339258B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP2003184663A (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3050030B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3203962B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3248216B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3282591B2 (ja) 内燃機関の供給燃料制御装置
JP3368759B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3587010B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP2005042659A (ja) 蒸発燃料処理装置
JP4092981B2 (ja) 蒸発燃料処理装置
JP3972922B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3561972B2 (ja) エンジンの蒸発燃料処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070129

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees