JP3587010B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料タンク内で発生する蒸発燃料を一時的に蓄えるキャニスタと、キャニスタから吸気通路内にパージされる燃料ベーパのパージ量を制御するパージ制御弁とを具備し、燃料ベーパのパージ率が予め定められた目標パージ率となるように燃料ベーパのパージ量をパージ制御弁によって制御するようにした内燃機関が公知である(特開平6−146965号公報参照)。この内燃機関では燃料ベーパがパージされても空燃比を目標空燃比に適切に維持しうるように、空燃比が目標空燃比からずれたときにはパージ率とは関係なく予め定められた一定量だけ燃料ベーパ濃度の算出値を更新し、更新された燃料ベーパ濃度に基づいて空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのように空燃比が目標空燃比からずれたときにパージ率とは関係なく予め定められた一定量だけ燃料ベーパ濃度を更新するようにした場合には特にパージ率が小さい状態からパージ率が大きくなったときに空燃比が目標空燃比からずれてしまうという問題を生ずる。
【0004】
即ち、空燃比はパージ作用の影響のみによって変動するわけではなく、車両の走行状態の変化によっても変動する。従って空燃比のずれが全てパージ作用の影響によるのとして空燃比のずれ量を全て燃料ベーパ濃度の更新量に反映させると算出された燃料ベーパ濃度は実際のベーパ濃度に対してずれを生じることになる。このように算出された燃料ベーパ濃度が実際のベーパ濃度に対してずれを生じるとパージ率が変化しないときおよびパージ率が小さくなるときには特に問題を生じないがパージ率が小さな値から大きくなるときに問題を生ずる。
【0005】
即ち、例えば今、パージ作用の影響ではなく車両の走行状態の変化によって空燃比が目標空燃比に対し2%ずれており、パージ率が小さな値、例えば0.5%だったとする。このとき空燃比のずれが全てパージ作用の影響によるものとして空燃比のずれ量が全て燃料ベーパ濃度の更新量に反映されると算出されたベーパ濃度は実際のベーパ濃度に対し単位パージ率当り4%(=2%/0.5%)のずれを生じていることになる。この場合、パージ率が0.5%に維持されていると算出されたベーパ濃度は実際のベーパ濃度に対して2%ずれ続けることになる。
【0006】
ところがパージ率が増大すると、例えばパージ率が0.5%から5%まで上昇したとすると算出されたベーパ濃度のずれ量は20%(=単位パージ率当りのずれ量4%×パージ率5%)となる。算出されたベーパ濃度のずれ量が20%ともなると算出されたベーパ濃度に基いて補正された燃料供給量は目標空燃比に維持するのに必要な燃料供給量に比べて大巾にずれ、斯くして空燃比が目標空燃比に対して大巾にずれるという問題を生ずる。
【0007】
一方、車両の走行状態の影響によって空燃比が目標空燃比に対し2%ずれており、パージ率が大きな値、例えば5%だったとするとこのとき算出されたベーパ濃度は単位パージ率当り0.4%(=2%/5%)にすぎない。従ってこのときにはベーパ濃度の誤差は小さく、特に問題とはならない。また、このような状態からパージ率が低下したときにはベーパ濃度のずれ量が次第に小さくなるのでこの場合にも特に問題とはならない。即ち、問題を生ずるのはパージ率が低いときに燃料ベーパ濃度を更新するときである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
1番目の発明では上記問題点を解決するために、蒸発燃料を一時的に蓄えるキャニスタと、キャニスタから吸気通路内にパージされる燃料ベーパのパージ率が予め定められたパージ率となるように燃料ベーパのパージ量を制御するパージ制御弁と、空燃比を検出するための空燃比検出手段と、目標空燃比に対する空燃比のずれ量の予め定められた割合を燃料ベーパ濃度の更新量に反映させるベーパ濃度更新手段と、ベーパ濃度更新手段により更新された燃料ベーパ濃度に基づいて空燃比が目標空燃比となるように燃料供給量を補正する補正手段とを具備した内燃機関の蒸発燃料処理装置において、燃料ベーパのパージ率が小さいときには燃料ベーパのパージ率が大きいときに比べて上述の予め定められた割合を小さくするようにしている。即ち、目標空燃比に対する空燃比のずれ量が同じ場合には、燃料ベーパのパージ率が小さいときには燃料ベーパのパージ率が大きいときに比べて燃料ベーパ濃度の更新量が小さくされる。
【0009】
2番目の発明では1番目の発明において、燃料供給量を制御するために空燃比に応じて基準値に対し増大又は減少するフィードバック補正係数が用いられており、空燃比のずれを検出するためにフィードバック補正係数に対し基準値を中心とする設定範囲が予め定められている。
3番目の発明では2番目の発明において、設定範囲の上限値はパージ率が小さくなるほど大きくされ、設定範囲の下限値はパージ率が小さくなるほど小さくされ、設定範囲の上限値又は下限値に対するフィードバック補正係数のずれ量が燃料ベーパ濃度の更新量に反映される。即ち、基準値からのフィードバック補正係数のずれ量のうちで設定範囲の上限値又は下限値に対するフィードバック補正係数のずれ分が燃料ベーパ濃度の更新量に反映される。
【0010】
4番目の発明では3番目の発明において、設定範囲の下限値をパージ作用が開始されてからの期間に応じて変化させ、この期間が短かい間の設定範囲の下限値をこの期間が長いときの設定範囲の下限値に比べて大きくするようにしている。即ち、基準値からのフィードバック補正係数のずれ量が同じ場合には、上述の期間が短かい間は上述の期間が長い場合に比べて燃料ベーパの更新量が大きくされる。
【0011】
5番目の発明では2番目の発明において、設定範囲の上限値又は下限値に対するフィードバック補正係数のずれ量が目標空燃比に対する空燃比のずれ量を表しており、パージ率が予め定められたパージ率以下のときには燃料ベーパ濃度の更新量に反映される空燃比のずれ量の割合が低下せしめられる。即ち、設定範囲の上限値および下限値はパージ率にかかわらずに一定とされ、パージ率が小さいときには燃料ベーパ濃度の更新量に反映される空燃比のずれ量の割合が低下せしめられる。云い換えると空燃比のずれ量が同じ場合には、パージ率が小さいときに燃料ベーパの更新量が小さくされる。
【0012】
6番目の発明では1番目の発明において、パージ率が予め定められたパージ率以下のときには燃料ベーパ濃度の更新量が零とされる。即ち、パージ率が小さいときには燃料ベーパ濃度の更新作用が停止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、1は機関本体、2は吸気枝管、3は排気マニホルド、4は各吸気枝管2に夫々取付けられた燃料噴射弁を示す。各吸気枝管2は共通のサージタンク5に連結され、このサージタンク5は吸気ダクト6およびエアフローメータ7を介してエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはスロットル弁9が配置される。また、図1に示されるように内燃機関は活性炭10を内蔵したキャニスタ11を具備する。このキャニスタ11は活性炭10の両側に夫々燃料蒸気室12と大気室13とを有する。燃料蒸気室12は一方では導管14を介して燃料タンク15に連結され、他方では導管16を介してサージタンク5内に連結される。導管16内には電子制御ユニット20の出力信号に制御されるパージ制御弁17が配置される。燃料タンク15内で発生した燃料蒸気は導管14を介してキャニスタ11内に送り込まれて活性炭10に吸着される。パージ制御弁17が開弁すると空気が大気室13から活性炭10内を通って導管16内に送り込まれる。空気が活性炭10内を通過する際に活性炭10に吸着されている燃料蒸気が活性炭10から脱離され、斯くして燃料蒸気を含んだ空気、即ち燃料ベーパが導管16を介してサージタンク5内にパージされる。
【0014】
電子制御ユニット20はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス21によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)22、RAM(ランダムアクセスメモリ)23、CPU(マイクロプロセッサ)24、入力ポート25および出力ポート26を具備する。エアフローメータ7は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧がAD変換器27を介して入力ポート25に入力される。スロットル弁9にはスロットル弁9がアイドリング開度のときにオンとなるスロットルスイッチ28が取付けられ、このスロットルスイッチ28の出力信号が入力ポート25に入力される。機関本体1には機関冷却水温に比例した出力電圧を発生する水温センサ29が取付けられ、この水温センサ29の出力電圧がAD変換器30を介して入力ポート25に入力される。排気マニホルド3には空燃比センサ31が取付けられ、この空燃比センサ31の出力信号がAD変換器32を介して入力ポート25に入力される。更に入力ポート25にはクランクシャフトが例えば30度回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ33が接続される。CPU24ではこの出力パルスに基づいて機関回転数が算出される。一方、出力ポート26は対応する駆動回路34,35を介して燃料噴射弁4およびパージ制御弁17に接続される。
【0015】
図1に示す内燃機関では基本的には次式に基づいて燃料噴射時間TAUが算出される。
TAU=TP・FW・(FAF+KGj−FPG)
ここで各係数は次のものを表わしている。
TP:基本燃料噴射時間
FW:補正係数
FAF:フィードバック補正係数
KGj:空燃比の学習係数
FPG:パージ空燃比補正係数(以下、パージA/F補正係数と称する)
基本燃料噴射時間TPは空燃比を目標空燃比とするのに必要な実験により求められた噴射時間であってこの基本燃料噴射時間TPは機関負荷Q/N(吸入空気量Q/機関回転数N)および機関回転数Nの関数として予めROM22内に記憶されている。
【0016】
補正係数FWは暖機増量係数や加速増量係数を一まとめにして表わしたもので増量補正する必要がないときにはFW=1.0となる。
フィードバック補正係数FAFは空燃比センサ31の出力信号に基づいて空燃比を目標空燃比に制御するために設けられている。
パージA/F補正係数FPGは機関の運転が開始されてからパージが開始されるまでの間はFPG=0とされ、パージ作用が開始されると燃料ベーパ濃度が高なるほど大きくなる。なお、機関運転中においてパージ作用が一時的に停止されたときはパージ作用の停止期間中、FPG=0とされる。
【0017】
ところで上述したようにフィードバック補正係数FAFは空燃比センサ31の出力信号に基づいて空燃比を目標空燃比に制御するためのものである。この場合、目標空燃比としてはどのような空燃比を用いてもよいが図1に示す実施例では目標空燃比が理論空燃比とされており、従って以下目標空燃比を理論空燃比とした場合について説明する。なお、目標空燃比が理論空燃比であるときには空燃比センサ31として排気ガス中の酸素濃度に応じ出力電圧が変化するセンサが使用され、従って以下空燃比センサ31をOセンサと称する。このOセンサ31は空燃比が過濃側のとき、即ちリッチのとき0.9(V)程度の出力電圧を発生し、空燃比が稀薄側のとき、即ちリーンのとき0.1(V)程度の出力電圧を発生する。
【0018】
図2は空燃比が目標空燃比に維持されているときのOセンサ31の出力電圧Vとフィードバック補正係数FAFとの関係を示している。図2に示されるようにOセンサ31の出力電圧Vが基準電圧、例えば0.45(V)よりも高くなると、即ち空燃比がリッチになるとフィードバック補正係数FAFはスキップ量Sだけ急激に低下せしめられ、次いで積分定数Kでもって徐々に減少せしめられる。これに対してOセンサ31の出力電圧Vが基準電圧よりも低くなると、即ち空燃比がリーンになるとフィードバック補正係数FAFはスキップ量Sだけ急激に増大せしめられ、次いで積分定数Kでもって徐々に増大せしめられる。
【0019】
即ち、空燃比がリッチになるとフィードバック補正係数FAFが減少せしめられるので燃料噴射量が減少せしめられ、空燃比がリーンになるとフィードバック補正係数FAFが増大せしめられるために燃料噴射量が増大せしめられ、斯くして空燃比が理論空燃比に制御されることになる。図2に示されるようにこのときフィードバック補正係数FAFは基準値、即ち1.0を中心として上下動する。
【0020】
また、図2においてFAFLは空燃比がリーンからリッチになったときのフィードバック補正係数FAFの値を示しており、FAFRは空燃比がリッチからリーンになったときのフィードバック補正係数FAFの値を示している。本発明による実施例ではフィードバック補正係数FAFの変動平均値(以下、単に平均値という)としてこれらFAFLとFAFRとの平均値が用いられている。
【0021】
図3はパージ作用の概略を示している。なお、図3においしてPGRは燃料ベーパのパージ率を示している。図3に示されるように本発明による実施例では機関の運転開始後、初めてパージ作用が開始されたときにはパージ率PGRは零から徐々に増大せしめられ、パージ率PGRが一定値、例えば6パーセントに達するとその後はパージ率PGRが一定に維持される。
【0022】
次に図4を参照しつつ空燃比がパージ作用の影響のみによって変動すると仮定した場合の燃料ベーパ濃度の基本となる学習方法について説明する。
燃料ベーパ濃度の学習は単位パージ率当りのベーパ濃度を正確に求めることから始まる。この単位パージ率当りのベーパ濃度が図4においてFGPGで示されている。パージA/F補正係数FPGはFGPGにパージ率PGRを乗算することによって得られる。
【0023】
単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGはフィードバック補正係数FAFがスキップ(図2のS)する毎に次式に基づいて算出される。
tFG=(1−FAFAV)/(PGR・a)
FGPG=FGPG+tFG
ここでtFGはFAFのスキップ毎に行われるFGPGの更新量を示しており、FAFAVはフィードバック補正係数の平均値(=(FAFL+FAFR)/2)を示しており、本発明による実施例ではaは2に設定されている。
【0024】
即ち、パージが開始されると空燃比がリッチとなるために空燃比を理論空燃比とすべくフィードバック補正係数FAFが小さくなる。次いで時刻tにおいてOセンサ31により空燃比がリッチからリーンに切替ったと判断されるとフィードバック補正係数FAFは増大せしめられる。この場合、パージが開始されてから時刻tに至るまでのフィードバック補正係数FAFの変化量ΔFAF(ΔFAF=(1.0−FAF))はパージ作用による空燃比の変動量を表しており、この変動量ΔFAFは時刻tにおける燃料ベーパ濃度を表わしている。
【0025】
時刻tに達すると空燃比は理論空燃比に維持され、その後空燃比が理論空燃比からずれないようにフィードバック補正係数の平均値FAFAVを1.0まで戻すために単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGがフィードバック補正係数FAFのスキップ毎に徐々に更新される。このときのFGPGの一回当りの更新量tFGは1.0に対するフィードバック補正係数の平均値FAFAVのずれ量の半分とされ、従ってこの更新量tFGは上述した如くtFG=(1−FAFAV)/(PGR・2)となる。
【0026】
図4に示されるようにFGPGの更新作用が数回繰返されるとフィードバック補正係数の平均値FAFAVは1.0に戻り、その後は単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGは一定となる。このようにFGPGが一定になるということはこのときのFGPGが単位パージ率当りのベーパ濃度を正確に表わしていることを意味しており、従ってベーパ濃度の学習が完了したことを意味している。一方、実際の燃料ベーパ濃度は単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGにパージ率PGRを乗算した値となる。従って実際の燃料ベーパ濃度を表わすパージA/F補正係数FPG(=FGPG・PGR)は図4に示されるようにFGPGが更新される毎に更新され、パージ率PGRが増大するにつれて増大する。
【0027】
パージ開始後におけるベーパ濃度の学習が一旦完了した後においてもベーパ濃度が変化すればフィードバック補正係数FAFは1.0からずれ、このときにも上述のtFG(=(1−FAFAV)/(PGR・a))を用いてFGPGの更新量が算出される。
空燃比がパージ作用の影響のみによって変動する場合には上述の学習方法を用いてベーパ濃度を良好に学習することができる。ところが空燃比はパージ作用の影響のみによって変動するわけではなく、冒頭で述べたように車両の走行状態が変化した場合でも変動する。即ち、図4におけるフィードバック補正係数FAFの変化量ΔFAFはパージ作用の影響による空燃比の変動ばかりでなく、車両の走行状態の変化による空燃比の変動をも含んでいる。従ってフィードバック補正係数FAFの変化量ΔFAFの全てを更新量tFGに反映させるとベーパ濃度FPGが実際のベーパ濃度に対してずれることになる。
【0028】
このベーパ濃度のずれ量はパージ率PGRによって変化し、冒頭で述べたようにパージ率PGRが小さいときにフィードバック補正係数FAFの全てを更新量tFGに反映させるとベーパ濃度FPGが実際のベーパ濃度に対して大巾にずれることになる。そこで本発明ではフィードバック補正係数FAFの変動量ΔFAFが同一であってもパージ率PGRが小さいときにはパージ率PGRが大きいときに比べて更新量tFGを小さくするようにしている。
【0029】
図5はパージ率PGRが小さいときにはパージ率PGRが大きいときに比べて更新量tFGを小さくするようにした第1実施例を示している。即ち、この第1実施例では空燃比のずれを検出するためにフィードバック補正係数FAFに対しフィードバック補正係数FAFの基準値1.0を中心とする設定範囲(tK1とtK2の間)がパージ率PGRの関数として予め設定されており、この設定範囲の下限値tK1はパージ率PGRが一定値以下になるとパージ率PGRが小さくなるほど大きくされ、設定範囲の下限値tK2はパージ率PGRが一定値以下になるとパージ率PGRが小さくなるほど小さくされる。
【0030】
更にこの第1実施例ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが上限値tK1よりも大きくなったときには上限値tK1に対するフィードバック補正係数の平均値FAFAVのずれ量(tK1−FAFAV)がベーパ濃度の更新量tFGに反映される。即ち、この第1実施例では更新量tFGが次式で表わされる。
【0031】
tFG=(tK1−FAFAV)/(PGR・a)
ここでaは2.0である。従って基準値1.0に対するフィードバック補正係数FAFのずれ量が同一であってもパージ率PGRが小さいときには更新量tFGが小さくなることがわかる。
また、この第1実施例ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが下限値tK2よりも小さくなったときには下限値tK2に対するフィードバック補正係数の平均値FAFAVのずれ量(tK2−FAFAV)がベーパ濃度の更新量tFGに反映される。即ち、この第1実施例では更新量tFGが次式で表わされる。
【0032】
tFG=(tK2−FAFAV)/(PGR・a)
ここでaは2.0である。従って基準値1.0に対するフィードバック補正係数FAFのずれ量が同一であってもパージ率PGRが小さいときには更新量tFGが小さくなることがわかる。
一方、基準値1.0に対するフィードバック補正係数の平均値FAFAVのずれ量が上限値tK1と下限値tK2の間にあるときには更新量tFGは零とされ、従ってこのときにはベーパ濃度FGPGの更新作用は行れない。
【0033】
この第1実施例では図5に示されるようにパージ率PGRが小さいときの(tK1−1.0)の値が(1.0−tK2)の値よりも小さくなっている。その理由は以下のとおりである。即ち、パージ開始後時間を経過するにつれて実際のベーパ濃度は次第に小さくなり、実際のベーパ濃度が小さくなるとFAFAVは大きくなる。即ちFAFAV>1.0となる。従ってこのときにはベーパ濃度FGPGが実際のベーパ濃度に応答性よく追従するように(tK1−1.0)の値が小さくされる。一方、FAFAV<1.0のとき、即ち空燃比が一時的にリッチになったときにベーパ濃度FGPGが大巾に増大せしめられるとその後空燃比はリーンとなり、機関の運転性が悪化する。従ってこのときにはたとえ空燃比が一時的にリッチになってもベーパ濃度FGPGが大巾に増大しないように(1.0−tK2)の値が大きくされる。
【0034】
次に図7および図8を参照しつつパージ制御ルーチンについて説明する。なお、このルーチンは一定時間毎の割込みによって実行される。
図7および図8を参照するとまず初めにステップ50においてパージ制御弁17の駆動パルスのデューティ比の計算時期か否かが判別される。本発明による実施例ではデューティ比の計算は100msec毎に行われる。デューティ比の計算時期でないときにはステップ62にジャンプしてパージ制御弁17の駆動処理が実行される。これに対してデューティ比の計算時期であるときにはステップ51に進んでパージ条件1が成立しているか否か、例えば暖機が完了したか否かが判別される。パージ条件1が成立していないときにはステップ63に進んで初期化処理が行われ、次いでステップ64ではデューティ比DPGおよびパージ率PGRが零とされる。これに対してパージ条件1が成立しているときにはステップ52に進んでパージ条件2が成立しているか否か、例えば空燃比のフィードバック制御が行われているか否かが判別される。パージ条件2が成立していないときにはステップ65に進み、パージ条件2が成立しているときにはステップ53に進む。
【0035】
ステップ53では全開パージ量PGQと吸入空気量QAとの比である全開パージ率PG100(=(PGQ/QA)・100)が算出される。ここで全開パージ量PGQはパージ制御弁17を全開にしたときのパージ量を表わしている。全開パージ率PG100は例えば機関負荷Q/N(吸入空気量QA・機関回転数N)と機関回転数Nの関数であって予め実験により求められており、下表に示すようなマップの形で予めROM22内に記憶されている。
【0036】
【表1】
Figure 0003587010
機関負荷Q/Nが低くなるほど吸入空気量QAに対する全開パージ量PGQは大きくなるので表1に示されるように全開パージ率PG100は機関負荷Q/Nが低くなるほど大きくなり、また機関回転数Nが低くなるほど吸入空気量QAに対する全開パージ量PGQは大きくなるので表1に示されるように全開パージ率PG100は機関回転数Nが低くなるほど大きくなる。
【0037】
次いでステップ54ではフィードバック補正係数FAFが上限値KFAF15(=1.15)と下限値KFAF85(=0.85)との間にあるか否かが判別される。KFAF15>FAF>KFAF85のときには、即ち空燃比が理論空燃比にフィードバック制御されているときにはステップ55に進んでパージ率PGRが零であるか否かが判別される。既にパージ作用が行われているときにはPGR>0であるのでこのときにはステップ57にジャンプする。これに対してまだパージ作用が開始されていないときにはステップ56に進んでパージ率PGROが再開パージ率PGRとされる。機関の運転が開始されてから初めてパージ条件1およびパージ条件2が成立したときには初期化処理(ステップ63)によりパージ率PGROは零とされているのでこのときにはPGR=0となる。これに対してパージ作用が一旦中止され、その後パージ制御が再開されたときにはパージ制御が中止される直前のパージ率PGROが再開パージ率PGRとされる。
【0038】
次いでステップ57ではパージ率PGRに一定値KPGRuを加算することによって目標パージ率tPGR(=PGR+KPGRu)が算出される。即ち、KFAF15>FAF>KFAF85のときには目標パージ率tPGRが100msec毎に徐々に増大せしめられることがわかる。なお、この目標パージ率tPGRに対しては上限値P(Pは例えば6%)が設定されており、従って目標パージ率tPGRは上限値Pまでしか上昇できない。次いでステップ59に進む。
【0039】
一方、ステップ54においてFAF≧KFAF15であるか又はFAF≦KFAF85であると判別されたときにはステップ58に進み、パージ率PGRから一定値KPGRdを減算することによって目標パージ率tPGR(=PGR−KPGRd)が算出される。即ち、燃料ベーパのパージ作用により空燃比を理論空燃比に維持しえないときには目標パージ率tPGRが減少せしめられる。なお、目標パージ率tPGRに対しては下限値S(S=0%)が設定されている。次いでステップ59に進む。
【0040】
ステップ59では目標パージ率tPGRを全開パージ率PG100により除算することによってパージ制御弁17の駆動パルスのデューティ比DPG(=(tPGR/PG100)・100)が算出される。従ってパージ制御弁17の駆動パルスのデューティ比DPG、即ちパージ制御弁17の開弁量は全開パージ率PG100に対する目標パージ率tPGRの割合に応じて制御されることになる。このようにパージ制御弁17の開弁量を全開パージ率PG100に対する目標パージ率tPGRの割合に応じて制御すると目標パージ率tPGRがどのようなパージ率であったとしても機関の運転状態にかかわらず実際のパージ率が目標パージ率に維持される。
【0041】
例えば今、目標パージ率tPGRが2%であり、現在の運転状態における全開パージ率PG100が10%であったとすると駆動パルスのデューティ比DPGは20%となり、このときの実際のパージ率は2%となる。次いで運転状態が変化し、変化後の運転状態における全開パージ率PG100が5%になったとすると駆動パルスのデューティ比DPGは40%となり、このときの実際のパージ率は2%となる。即ち、目標パージ率tPGRが2%であれば機関の運転状態にかかわらずに実際のパージ率は2%となり、目標パージ率tPGRが変化して4%になれば機関の運転状態にかかわらずに実際のパージ率は4%に維持される。
【0042】
次いでステップ60では全開パージ率PG100にデューティ比DPGを乗算することによって実際のパージ率PGR(=PG100・(DPG/100))が算出される。即ち、前述したようにデューティ比DPGは(tPGR/PG100)・100で表わされ、この場合目標パージ率tPGRが全開パージ率PG100よりも大きくなるとデューティ比DPGは100%以上となる。しかしながらデューティ比DPGは100%以上にはなりえず、このときデューティ比DPGは100%とされるために実際のパージ率PGRは目標パージ率tPGRよりも小さくなる。従って実際のパージ率PGRは上述した如くPG100・(DPG/100)で表わされることになる。
【0043】
次いでステップ61ではデューティ比DPGがDPGOとされ、パージ率PGRがPGROとされる。次いでステップ62においてパージ制御弁17の駆動処理が行われる。この駆動処理は図9に示されており、従って次に図9に示す駆動処理について説明する。
図9を参照するとまず初めにステップ65においてデューティ比の出力周期か否か、即ちパージ制御弁17の駆動パルスの立上り周期であるか否かが判別される。このデューティ比の出力周期は100msecである。デューティ比の出力周期であるときにはステップ66に進んでデューティ比DPGが零であるか否かが判別される。DPG=0のときにはステップ70に進んでパージ制御弁17の駆動パルスYEVPがオフとされる。これに対してDPG=0でないときにはステップ67に進んでパージ制御弁17の駆動パルスYEVPがオンにされる。次いでステップ68では現在の時刻TIMERにデューティ比DPGを加算することによって駆動パルスのオフ時刻TDPG(=DPG+TIMER)が算出される。
【0044】
一方、ステップ65においてデューティ比の出力周期ではないと判別されたときにはステップ69に進んで現在の時刻TIMERが駆動パルスのオフ時刻TDPGであるか否かが判別される。TDPG=TIMERになるとステップ70に進んで駆動パルスYEVPがオフとされる。
次に図10に示すフィードバック補正係数FAFの算出ルーチンについて説明する。このルーチンは例えば一定時間毎の割込みによって実行される。
【0045】
図10を参照するとまず初めにステップ100において空燃比のフィードバック制御条件が成立しているか否かが判別される。フィードバック制御条件が成立していないときにはステップ113に進んでフィードバック補正係数FAFが1.0に固定され、次いでステップ114においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが1.0に固定される。次いでステップ112に進む。これに対してフィードバック制御条件が成立しているときにはステップ101に進む。
【0046】
ステップ101ではOセンサ31の出力電圧Vが0.45(V)よりも高いか否か、即ちリッチであるか否かが判別される。V≧0.45(V)のとき、即ちリッチのときにはステップ102に進んで前回の処理サイクル時にリーンであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にリーンのとき、即ちリーンからリッチに変化したときにはステップ103に進んでフィードバック補正係数FAFがFAFLとされ、ステップ104に進む。ステップ104ではフィードバック補正係数FAFからスキップ値Sが減算され、従って図2に示されるようにフィードバック補正係数FAFはスキップ値Sだけ急激に減少せしめられる。次いでステップ105ではFAFLとFAFRの平均値FAFAVが算出される。次いでステップ106ではスキップフラグがセットされる。次いでステップ112に進む。一方、ステップ102において前回の処理サイクル時にはリッチであったと判別されたときはステップ107に進んでフィードバック補正係数FAFから積分値K(K≪S)が減算され、次いで112に進む。従って図2に示されるようにフィードバック補正係数FAFは徐々に減少せしめられる。
【0047】
一方、ステップ101においてV<0.45(V)であると判断されたとき、即ちリーンのときにはステップ108に進んで前回の処理サイクル時にリッチであったか否かが判別される。前回の処理サイクル時にリッチのとき、即ちリッチからリーンに変化したときにはステップ109に進んでフィードバック補正係数FAFがFAFRとされ、ステップ110に進む。ステップ110ではフィードバック補正係数FAFにスキップ値Sが加算され、従って図2に示されるようにフィードバック補正係数FAFはスキップ値Sだけ急激に増大せしめられる。次いでステップ105ではFAFLとFAFRの平均値FAFAVが算出される。一方、ステップ108において前回の処理サイクル時にはリーンであったと判別されたときはステップ111に進んでフィードバック補正係数FAFに積分値Kが加算される。従って図2に示されるようにフィードバック補正係数FAFは徐々に増大せしめられる。
【0048】
ステップ112ではフィードバック補正係数FAFが変動許容範囲の上限1.2と下限0.8によりガードされる。即ち、FAFが1.2よりも大きくならず、0.8よりも小さくならないようにFAFの値がガードされる。上述したように空燃比がリッチとなってFAFが小さくなると燃料噴射時間TAUが短かくなり、空燃比がリーンとなってFAFが大きくなると燃料噴射時間TAUが長くなるので空燃比が理論空燃比に維持されることになる。
図10に示すフィードバック補正係数FAFの算出ルーチンが完了すると図11に示される空燃比の学習ルーチンに進む。
【0049】
図11を参照するとまず初めにステップ120において空燃比の学習条件が成立しているか否かが判別される。空燃比の学習条件が成立していないときにはステップ128にジャンプし、空燃比の学習条件が成立しているときにはステップ121に進む。ステップ121ではスキップフラグがセットされているか否かが判別され、スキップフラグがセットされていないときにはステップ128にジャンプする。これに対してスキップフラグがセットされているときにはステップ122に進んでスキップフラグがリセットされ、次いでステップ123に進む。即ち、フィードバック補正係数FAFがスキップせしめられる毎にステップ123に進むことになる。
【0050】
ステップ123ではパージ率PGRが零であるか否か、即ちパージ作用が行われているか否かが判別される。パージ率PGRが零でないとき、即ちパージ作用が行われているときには図12に示されるベーパ濃度の学習ルーチンへ進む。これに対してパージ率PGRが零のとき、即ちパージ作用が行われていないときにはステップ124に進んで空燃比の学習が行われる。
【0051】
即ち、まず初めにステップ124においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが1.02よりも大きいか否かが判別される。FAFAV≧1.02のときにはステップ127に進んで学習領域jに対する空燃比の学習値KGjに一定値Xが加算される。即ち、本発明による実施例では機関負荷に応じて複数個の学習領域jが予め定められており、各学習領域jに対して夫々空燃比の学習値KGjが設けられている。従ってステップ127では機関負荷に応じた学習領域jの空燃比の学習値KGjが更新される。次いでステップ128に進む。
【0052】
一方、ステップ124においてFAFAV<1.02であると判別されたときにはステップ125に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが0.98よりも小さいか否かが判別される。FAFAV≦0.98のときにはステップ126に進んで機関負荷に応じた学習領域jの空燃比の学習値KGjから一定値Xが減算される。一方、ステップ125においてFAFAV>0.98であると判別されたとき、即ちFAFAVが0.98と1.02との間にあるときには空燃比の学習値KGjを更新することなくステップ128にジャンプする。
【0053】
ステップ128およびステップ129ではベーパ濃度を学習するための初期化処理が行われる。即ち、ステップ128では機関始動中であるか否かが判別され、機関始動中のときにはステップ129に進んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGが零とされ、パージ実行時間カウント値CPGRがクリアされる。次いで図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。一方、始動時でない場合には図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに直接進む。
【0054】
上述したようにステップ123においてパージ作用が行われていると判断されたときには図12に示されるベーパ濃度の学習ルーチンに進む。次にこのベーパ濃度の学習ルーチンについて説明する。
図12を参照すると、まず初めにステップ130において、図5に示す関係からパージ率PGRに基づき上限値tK1および下限値tK2が算出される。次いでステップ131からステップ135においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲(tK1とtK2との間)を越えたときに設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされる。
【0055】
即ち、ステップ131ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の上限値tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>tK1のときにはステップ132に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a
ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0056】
一方、ステップ131においてFAFAV≦tK1であると判別されたときにはステップ133に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別される。FAFAV<tK2のときにはステップ134に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a
ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0057】
一方、ステップ133においてFAFAV≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるときにはステップ135に進んで更新量tFGが零とされる。従ってFAFAVが設定範囲内にあるときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
ステップ132,134又は135において更新量tFGが算出されるとステップ136に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0058】
次に図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンについて説明する。
図13を参照するとまず初めにステップ140において機関負荷Q/Nおよび機関回転数Nに基づき基本燃料噴射時間TPが算出される。次いでステップ141では暖機増量等のための補正係数FWが算出される。次いでステップ142では単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGにパージ率PGRを乗算することによってパージA/F補正係数FPG(=FGPG・PGR)が算出される。次いでステップ143では次式に基づいて燃料噴射時間TAUが算出される。
【0059】
TAU=TP・FW・(FAF+KGj−FPG)
次に第2実施例について説明する。パージ作用が開始されたときには空燃比が変動するのを阻止するためにできるだけ早くベーパ濃度の学習を完了することが好ましい。そこでこの第2実施例ではベーパ濃度の該学習をできる限り回避しつつできるだけ早くベーパ濃度の学習を完了させるためにパージ作用が開始された後一定の期間は図6に示される上限値tK3および下限値4が使用され、パージ作用が開始された後一定の期間が経過した後は図5に示される上限値tK1および下限値tK2が使用される。
【0060】
即ち、図6に示される下限値tK4は図5に示される下限値tK2よりも大きな値とされている。従って基準値1.0に対するフィードバック補正係数FAFのずれ量が同じ場合には図6に示す場合の方が図5に示す場合に比べて更新量tFGが大きくなり、斯くしてベーパ濃度の学習を早期に完了することができる。
図14および図15はこの第2実施例を実行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンについては第1実施例において用いられているルーチンがそのまま用いられる。
【0061】
図14および図15を参照すると、まず初めにステップ200においてパージ実行時間カウント値CPGRが1だけインクリメントされる。このパージ実行時間カウント値CPGRは機関始動時にクリアされ、従ってこのパージ実行時間カウント値CPGRは機関始動後においてパージ作用の行われている累積時間を表していることになる。
【0062】
次いでステップ201ではパージ実行時間カウント値CPGRが予め定められた設定値KCPGR2よりも大きいか否かが判別される。この設定値KCPGR2はほぼ2分間に相当しており、従ってステップ201ではパージ実行時間がほぼ2分間を越えたか否かが判別される。パージ実行時間が2分間経過すればベーパ濃度の学習が完了しているものと考えられ、従ってステップ201ではベーパ濃度の学習が完了したか否かを判断していることになる。
【0063】
CPGR≦KCPGR2のとき、即ちパージが開始されてから2分間経過していないときにはステップ208に進んで図6に示す関係からパージ率PGRに基づき上限値tK3および下限値tK4が算出される。次いでステップ209からステップ213においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲(tK3とtK4との間)を越えたときに設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされる。
【0064】
即ち、ステップ209ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の上限値tK3よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>tK3のときにはステップ210に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK3−FAFAV)/PGR・a
ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の上限値tK3を越えたときには上限値tK3とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0065】
一方、ステップ209においてFAFAV≦tK3であると判別されたときにはステップ211に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の下限値tK4よりも小さいか否かが判別される。FAFAV<tK4のときにはステップ212に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK4−FAFAV)/PGR・a
ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の下限値tK4よりも小さくなったときには下限値tK4とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0066】
一方、ステップ211においてFAFAV≧tK4であると判別されたとき、即ちフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるときにはステップ213に進んで更新量tFGが零とされる。従ってFAFAVが設定範囲内にあるときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
ステップ210,212又は213において更新量tFGが算出されるとステップ214に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0067】
一方、ステップ201においてCPGR>KCPGR2であると判別されると、即ちベーパ濃度の学習が完了したと判断されるとステップ202に進んで図5に示す関係からパージ率PGRに基づき上限値tK1および下限値tK2が算出される。次いでステップ203からステップ207においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲(tK1とtK2との間)を越えたときに設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされる。
【0068】
即ち、ステップ203ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の上限値tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>tK1のときにはステップ204に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a
ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0069】
一方、ステップ203においてFAFAV≦tK1であると判別されたときにはステップ205に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別される。FAFAV<tK2のときにはステップ206に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a
ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0070】
一方、ステップ205においてFAFAV≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるときにはステップ207に進んで更新量tFGが零とされる。従ってFAFAVが設定範囲内にあるときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
ステップ204,206又は207において更新量tFGが算出されるとステップ214に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。
【0071】
次に第3実施例について説明する。第3実施例ではベーパ濃度の学習が完了した後においてパージ率PGRが一定値、例えば0.9%以下になったときにはベーパ濃度の更新作用が停止される。
図16および図17はこの第3実施例を実行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンについては第1実施例において用いられているルーチンがそのまま用いられる。
【0072】
図16および図17を参照すると、まず初めにステップ300においてパージ実行時間カウント値CPGRが1だけインクリメントされる。前述したようにこのパージ実行時間カウント値CPGRは機関始動後においてパージ作用の行われている累積時間を表している。
次いでステップ301ではCPGR>KCPGR2であるか否か、即ちパージ作用が開始されてから2分間経過したか否かが判別される。CPGR≦KCPGR2のときにはステップ309に進んで図6に示す関係からパージ率PGRに基づき上限値tK3および下限値tK4が算出される。次いでステップ310からステップ314においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲(tK3とtK4との間)を越えたときに設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされる。
【0073】
即ち、ステップ310ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の上限値tK3よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>tK3のときにはステップ311に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK3−FAFAV)/PGR・a
ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の上限値tK3を越えたときには上限値tK3とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0074】
一方、ステップ310においてFAFAV≦tK3であると判別されたときにはステップ312に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の下限値tK4よりも小さいか否かが判別される。FAFAV<tK4のときにはステップ313に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK4−FAFAV)/PGR・a
ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の下限値tK4よりも小さくなったときには下限値tK4とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0075】
一方、ステップ312においてFAFAV≧tK4であると判別されたとき、即ちフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるときにはステップ314に進んで更新量tFGが零とされる。従ってFAFAVが設定範囲内にあるときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
ステップ311,313又は314において更新量tFGが算出されるとステップ315に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。次いで図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0076】
一方、ステップ301においてCPGR>KCPGR2であると判別されたとき、即ちパージ作用が開始されてから2分を経過したときにはステップ302に進み、パージ率PGRが一定値、例えば0.9%よりも大きいか否かが判別される。PGR<0.9%のとき、即ちパージ率PGRが小さいときにはステップ308に進んで更新量tFGが零とされる。即ち、パージ率PGRが小さいときにはベーパ濃度FGPGの更新作用が停止される。
【0077】
これに対してPGR≧0.9%のときにはステップ303に進んで図5に示す関係からパージ率PGRに基づき上限値tK1および下限値tK2が算出される。次いでステップ304からステップ308においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲(tK1とtK2との間)を越えたときに設定範囲を越えている分の半分だけベーパ濃度FGPGの更新量tFGとされる。
【0078】
即ち、ステップ304ではフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の上限値tK1よりも大きいか否かが判別され、FAFAV>tK1のときにはステップ305に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK1−FAFAV)/PGR・a
ここでaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の上限値tK1を越えたときには上限値tK1とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0079】
一方、ステップ304においてFAFAV≦tK1であると判別されたときにはステップ306に進んでフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲の下限値tK2よりも小さいか否かが判別される。FAFAV<tK2のときにはステップ307に進んで次式に基づき更新量tFGが算出される。
tFG=(tK2−FAFAV)/PGR・a
ここでもaは例えば2である。即ち、FAFAVが設定範囲の下限値tK2よりも小さくなったときには下限値tK2とFAFAVとの差の半分だけが更新量tFGとされる。
【0080】
一方、ステップ306においてFAFAV≧tK2であると判別されたとき、即ちフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるときにはステップ308に進んで更新量tFGが零とされる。従ってFAFAVが設定範囲内にあるときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
ステップ305,307又は308において更新量tFGが算出されるとステップ315に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。
【0081】
なお、パージ実行時間カウント値CPGRがインクリメントされる毎にベーパ濃度FGPGの更新作用が行われる。従ってパージ実行時間カウント値CPGRはベーパ濃度FGPGの更新回数を表していることになり、従ってCPGR>KCPGR2はベーパ濃度FGPGの更新回数が一定値を越えたか否かを判断しているとも言える。
【0082】
次に第4実施例について説明する。この第4実施例ではパージ率PGRにかかわらずに図4に示されるフィードバック補正係数FAFの変化量ΔFAF(=1.0−FAF)の全てが一旦更新量tFGに反映される。次いでこの更新量tFGの積算値がパージ率PGRにより定まる設定値を越えないように更新量tFGに対して制限が加えられる。
【0083】
即ち、図18はパージ率PGRが小さな値から大きくなったときにベーパ濃度が一定値以上増大しないようにするための更新量tFGの積算値に対する、即ちベーパ濃度FGPGの積算更新量に対する許容限界値KtFGを示している。即ち、パージ作用の影響に加え車両の走行状態の変化により空燃比が変動しているときにベーパ濃度FGPGの積算更新量が許容限界値KtFGを越えるとパージ率PGRが大きくなったときに算出されたベーパ濃度FGPGが実際のベーパ濃度に対して大巾にずれる。従ってベーパ濃度FGPGの積算更新量が許容限界値KtFGを越えないように更新量tFGを制限しなければならないことになる。
【0084】
この場合、パージ率PGRが小さいほどベーパ濃度FGPGの積算更新量が小さくてもパージ率PGRが大きくなったときのベーパ濃度FGPGのずれ量は大きくなり、斯くして図18に示されるように許容限界値KtFGはパージ率PGRが小さいほど小さくなる。なお、この許容限界値KtFGはパージ率PGRがKPGR2(=2%)以下について定められている。
【0085】
次に図19を参照しつつ第4実施例において採用されている更新量KtFGの制御について具体的に説明する。図19に示されるようにパージ率PGRが一定値KPGR1.5(=1.5%)以下になるとそのときのベーパ濃度FGPGが基準ベーパ濃度FGPGUとして記憶される。その後、基準ベーパ濃度FGPGUに許容限界値KtFGを加算した値(FGPGU+KtFG)がベーパ濃度FGPGの変動に対する許容上限値とされ、基準ベーパ濃度FGPGUから許容限界値KtFGを減算した値(FGPGU−KtFG)がベーパ濃度FGPGの変動に対する許容下限値とされる。パージ率PGRが変化すると許容限界値KtFGが変化するので図19に示されるように許容上限値(FGPGU+KtFG)および許容下限値(FGPGU−KtFG)はパージ率PGRに応じて変化する。
【0086】
パージ率PGRがKPGR1.5以下となった後にベーパ濃度FGPGが更新され、更新後のベーパ濃度FGPGが図9のAで示されるように許容上限値(FGPGU+KtFG)と許容下限値(FGPGU−KtFG)との間となる場合にはベーパ濃度FGPGはAに更新される。即ち、このときの更新量は算出された更新量tFGとされる。次いで再びベーパ濃度FGPGが更新され、更新後のベーパ濃度FGPGが図9の破線Bで示されるように許容上限値(FGPGU+KtFG)を越えてしまう場合には更新量が、算出された更新量tFGよりも小さな更新量とされ、このときのベーパ濃度FGPGは許容上限値(FGPGU+KtFG)とされる。その後、算出された更新量tFGが比較的大きな値になり続けたとすると図19に示されるようにベーパ濃度FGPGは許容上限値(FGPGU+KtFG)に沿って変化せしめられる。
【0087】
このようにパージ率PGRが一定値KPGR1.5(=1.5%)よりも小さくなるとベーパ濃度FPGPの変動範囲が許容上限値(FGPGU+KtFG)と許容下限値(FGPGU−KtFG)間に制限され、この制限はパージ率PGRが一定値KPGR2(=2%)を越えるまで継続する。即ち、ベーパ濃度FPGPの変動範囲を制限するパージ率PGRに対してヒステリシスが設けられている。
【0088】
図20および図21はこの第4実施例を実行するためのベーパ濃度の学習ルーチンを示している。なお、このベーパ濃度の学習ルーチン以外のルーチンについては第1実施例において用いられているルーチンがそのまま用いられる。
図20および図21を参照すると、まず初めにステップ400においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるか否か、即ち1.02>FAFAV>0.98であるか否かが判別される。フィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲内にあるとき、即ち1.02>FAFAV>0.98であるときにはステップ402に進んで単位パージ率当りのベーパ濃度FGPGの更新量tFGが零とされ、次いでステップ403に進む。従ってこのときにはベーパ濃度FGPGは更新されない。
【0089】
一方、ステップ400においてフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲を越えていると判断されたとき、即ちFAFAV≧1.02であるか又はFAFAV≦0.98であるときにはステップ401に進んで更新回数カウント値CFGPGが予め定められた値KCFGPGよりも大きいか否かが判別される。CFGPG≦KCFGPGのとき、即ち図3の領域Iのときにはステップ310に進んで次式に基づきベーパ濃度FGPGの更新量tFGが算出される。
【0090】
tFG=(1.0−FAFAV)/PGR・a
ここでaは2である。即ちフィードバック補正係数の平均値FAFAVが設定範囲(0.98と1.02との間)を越えると1.0に対するFAFAVのずれ量の半分が更新量tFGとされる。次いでステップ403に進む。ステップ403ではパージ実行時間カウント値CPGRが1だけインクリメントされる。前述したようにこのパージ実行時間カウント値CPGRは機関始動後においてパージ作用の行われている累積時間を表している。次いでステップ404ではパージ実行時間カウント値CPGRが予め定められた設定値KCPGR3よりも大きいか否かが判別される。この設定値KCPGR3はほぼ3分間に相当しており、従ってステップ404ではパージ実行時間がほぼ3分間を越えたか否かが判別される。
【0091】
CPGR<KCPGR3のとき、即ちパージ実行時間がほぼ3分間以内であるときにはステップ405に進んでヒステリシス用フラグXtFGがリセットされる。次いでステップ401ではベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算され、次いでベーパ濃度FGPGが基準ベーパ濃度FGPGUとされる。次いで図13に示される燃料噴射時間の算出ルーチンに進む。
【0092】
一方、ステップ404においてCPGR≧KCPGR3であると判別されたとき、即ちパージ実行時間がほぼ3分間を越えたときにはステップ406に進んでパージ率PGRが一定値KPGR2(=2%)よりも大きいか否かが判別される。PGR≧KPGR2のときにはステップ405に進む。これに対してPGR<KPGR2のときにはステップ407に進んでパージ率PGRが一定値KPGR1.5(=1.5%)よりも大きいか否かが判別される。PGR≧KPGR1.5のときにはステップ408に進んでヒステリシス用フラグXtFGがリセットされているか否かが判別される。パージ率PGRが2%以上から2%以下になったときにはヒステリシス用フラグXtFGはリセット(XtFG=0)されているのでステップ405に進む。
【0093】
一方、ステップ407においてPGR<KPGR1.5になったと判断されたときにはステップ409に進んでヒステリシス用フラグXtFGがセット(XtFG←1)され、次いでステップ412の更新量ガード処理に進む。その後、ステップ407においてPGR≧KPGR1.5であると判断されるとステップ408に進むがこのときヒステリシス用フラグXtFGはセットされているのでステップ409を経てステップ412に進む。即ち、ステップ405からステップ409では更新量ガード処理を実行するパージ率PGRに対してヒステリシスを持たせるための処理が行われている。ステップ412における更新量ガード処理が図21に示されている。
【0094】
図21を参照するとまず初めにステップ420において図18に示す関係からパージ率PGRに基づいて許容限界値KtFGが算出される。次いでステップ421ではベーパ濃度FGPGが許容上限値(FGPGU+KtFG)よりも大きいか否かが判別される。FGPG≧(FGPGU+KtFG)のときには処理サイクルを完了し、このときにはベーパ濃度FGPGの更新作用が停止される。これに対してFGPG<FGPGU+KtFGのときにはステップ422に進む。ステップ422ではベーパ濃度FGPGが許容下限値(FGPGU−KtFG)よりも小さいか否かが判別される。FGPG≦(FGPGU−KtFG)のときには処理サイクルを完了し、このときにはベーパ濃度FGPGの更新作用が停止される。これに対してFGPG>FGPGU−KtFGのときにはステップ423に進む。
【0095】
ステップ423ではベーパ濃度FGPGに更新量tFGを加算した値(FGPG+tFG)が基準ベーパ濃度FGPGUよりも大きいか否かが判別される。FGPG+tFG≧FGPGUのときにはステップ424に進んでFGPG+tFGが許容上限値(FGPGU+KtFG)よりも大きいか否かが判別される。FGPG+tFG<FGPGU+KtFGのときにはステップ425に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。これに対してFGPG+tFG≧FGPGU+KtFGのときにはステップ426に進んで許容上限値(FGPGU+KtFG)がベーパ濃度FGPGとされる。
【0096】
一方、ステップ423において、FGPG+tFG<FGPGUであると判断されたときにはステップ427に進んでFGPG+tFGが許容下限値(FGPGU−KtFG)よりも小さいか否かが判別される。FGPG+tFG>FGPGU−KtFGのときにはステップ428に進んでベーパ濃度FGPGに更新量tFGが加算される。これに対してFGPG+tFG≦FGPGU−KtFGのときにはステップ429に進んで許容下限値(FGPGU−KtFG)がベーパ濃度FGPGとされる。
【0097】
【発明の効果】
算出されたベーパ濃度が実際のベーパ濃度から大巾にずれるのを阻止することができ、斯くして空燃比が大巾に変動するのを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】フィードバック補正係数FAFの変化を示す図である。
【図3】パージ率PGRの変化を示す図である。
【図4】パージ作用開始時におけるフィードバック補正係数FAF等の変化を示す図である。
【図5】設定範囲の上限値tK1および下限値tK2を示す図である。
【図6】設定範囲の上限値tK3および下限値tK4を示す図である。
【図7】パージ制御を行うためのフローチャートである。
【図8】パージ制御を行うためのフローチャートである。
【図9】パージ制御弁駆動処理のためのフローチャートである。
【図10】フィードバック補正係数FAFを算出するためのフローチャートである。
【図11】空燃比の学習を行うためのフローチャートである。
【図12】ベーパ濃度の学習を行うためのフローチャートである。
【図13】燃料噴射時間の算出を行うためのフローチャートである。
【図14】第2実施例において用いられるベーパ濃度の学習をするためのフローチャートである。
【図15】第2実施例において用いられるベーパ濃度の学習をするためのフローチャートである。
【図16】第3実施例において用いられるベーパ濃度の学習をするためのフローチャートである。
【図17】第3実施例において用いられるベーパ濃度の学習をするためのフローチャートである。
【図18】許容限界値KtFGを示す図である。
【図19】ベーパ濃度FGPGの変化を示す図である。
【図20】第4実施例において用いられるベーパ濃度の学習をするためのフローチャートである。
【図21】第4実施例において用いられる更新量ガード処理を実行するためのフローチャートである。
【符号の説明】
4…燃料噴射弁
5…サージタンク
11…キャニスタ
17…パージ制御弁
31…空燃比センサ

Claims (6)

  1. 蒸発燃料を一時的に蓄えるキャニスタと、キャニスタから吸気通路内にパージされる燃料ベーパのパージ率が予め定められたパージ率となるように燃料ベーパのパージ量を制御するパージ制御弁と、空燃比を検出するための空燃比検出手段と、目標空燃比に対する空燃比のずれ量の予め定められた割合を燃料ベーパ濃度の更新量に反映させるベーパ濃度更新手段と、ベーパ濃度更新手段により更新された燃料ベーパ濃度に基づいて空燃比が目標空燃比となるように燃料供給量を補正する補正手段とを具備した内燃機関の蒸発燃料処理装置において、燃料ベーパのパージ率が小さいときには燃料ベーパのパージ率が大きいときに比べて上記予め定められた割合を小さくするようにした内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 燃料供給量を制御するために空燃比に応じて基準値に対し増大又は減少するフィードバック補正係数が用いられており、空燃比のずれを検出するためにフィードバック補正係数に対し該基準値を中心とする設定範囲が予め定められている請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  3. 該設定範囲の上限値はパージ率が小さくなるほど大きくされ、該設定範囲の下限値はパージ率が小さくなるほど小さくされ、該設定範囲の上限値又は下限値に対するフィードバック補正係数のずれ量が燃料ベーパ濃度の更新量に反映される請求項2に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  4. 上記設定範囲の下限値をパージ作用が開始されてからの期間に応じて変化させ、該期間が短かい間の設定範囲の下限値を該期間が長いときの設定範囲の下限値に比べて大きくした請求項3に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  5. 該設定範囲の上限値又は下限値に対するフィードバック補正係数のずれ量が目標空燃比に対する空燃比のずれ量を表しており、パージ率が予め定められたパージ率以下のときには燃料ベーパ濃度の更新量に反映される空燃比のずれ量の割合が低下せしめられる請求項2に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  6. パージ率が予め定められたパージ率以下のときには燃料ベーパ濃度の更新量が零とされる請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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