JP3914798B2 - 衝撃解析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂成形体の衝撃負荷時の変形挙動を予測するために用いる衝撃解析方法及び樹脂成形体の設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、乗用車の乗員に対する安全性を向上させるために、車体の様々な部位に衝撃吸収や補強を目的とした樹脂成形体が配置されている。このような部材は、収容空間の容積や形状、あるいは重量等の条件内において要求される性能を発揮する必要がある。このような成形体の設計を省力化するために、素材の物性値をコンピュータに入力して、荷重や衝撃が負荷された時の挙動をシミュレーションにより予測することが行われている。素材の物性値は、例えば、同一素材について作成した試験片を用いて測定している。
【0003】
このような手法を用いることにより、実地に成形して試験をする手間を省き、構造の最適化を容易に行なうことができる。従って、構造部品の開発の期間の短縮とコストの低減が実現できる。
【0004】
例えば、ピラーガーニッシュやダッシュボード表面の被覆材のような自動車用の内装部品は、事故の時に人体に直接に接触し、自らが変形・破壊等することによって人体に負荷される衝撃をできる限り軽減する役割を担っている。米国の連邦自動車安全基準(FMVSS)では、事故の際に人体の頭部が受ける損傷の程度を示す目安として、HIC(d)(頭部傷害値)を定義し、この値が所定値以下になるべきことを定めている。HIC(d)を実際に求めるには、人体の頭部を模したフリーモーションヘッドフォーム(FMH)の中に加速度センサを設置し、所定の速度で内装部品に衝突させる実地試験を行い、センサから出力されたデータを所定の方法で処理する。
【0005】
内装部品の開発を行うに当たっても、このような実地試験の代わりにコンピュータを用いた衝撃解析方法を活用するのが望ましい。しかしながら、このような自動車用の内装部品は、リブ構造のような複雑な形状を有し、さらに、衝突時の衝撃エネルギーを吸収する為大きく変形し、時として部分的な破壊に至る。一方、樹脂材料は金属材料と異なり、粘弾性特性を有するため、物性値は歪速度により大きな影響を受ける。したがって、このような複雑な変形過程の衝撃解析を精度よく実現する物性値を設定することが難しかった。
【0006】
本出願人は、上記のような衝突試験における衝撃特性を解析するために好適な手法を、特願2001-098768において提案している。この手法は、所定の形状の樹脂材料の破壊判定値を求めるに際して、所定形状の樹脂成形体を用いた実地試験結果と、この所定形状の樹脂成形体について破壊判定値をパラメータとして行った衝撃特性評価結果とを比較して、両者の変形挙動が一致する場合の破壊判定値を採用するものである。これにより、樹脂成形体のように破壊判定値自体を試験等で求めることが難しい場合でも、妥当な破壊判定値を求めることができ、このような解析手法を樹脂成形体の設計に活用することができる。
【0007】
本出願人は、上記出願において、破壊判定値として破断塑性歪み又は破断歪みを採用することが有効であることも確認した。上記手法では、破断塑性歪み等の破壊判定値を衝撃変形の過程において一定であると仮定し、そのような仮定が不当ではないような場合には有効であることが確認された。
【0008】
しかしながら、例えば樹脂成形体の衝撃方向寸法が大きい場合、破断塑性歪みなどの破壊判定値を衝撃変形の過程において一定であると仮定した上記方法では、誤差を生じることが予想される。そして、降伏応力の歪み速度依存性に関しては、Cowper-Symonds式が一般的に知られているが、破断塑性歪み又は破断歪みについては特に提唱されたものが無く、それを直接に求めることも困難である。
【0009】
この発明は、上記課題に鑑み、例えば自動車用の内装部品のような樹脂成形体の衝撃特性を精度良く予測することができる衝撃解析方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、解析プログラムに樹脂材料の機械的特性を示す物性値を設定し、衝撃方向に沿って延びるリブを有する樹脂成形体の衝撃特性を評価する衝撃解析方法において、前記物性値のうち前記樹脂成形体の破壊を判定するための破壊判定値としての破断塑性歪みを求めるにあたり、前記破壊判定値に影響する変形条件としての歪み速度に関連すると考えられる試験条件としての衝突速度条件を複数設定し、各試験条件ごとに所定形状の樹脂成形体を用いた実地試験と破壊判定値を変えた衝撃解析とを行い、実地試験結果と衝撃解析結果を比較して各試験条件ごとの破壊判定値を決定し、前記破壊判定値と前記変形条件との関係を推定する第1の工程と、前記第1の工程で求めた破壊判定値と変形条件との関係に基づいて樹脂成形体の領域内に衝撃方向に沿って変化する破断塑性歪みの仮想的な分布を作成し、前記解析プログラムにおいて、この破断塑性歪みの仮想的な分布を用いて樹脂成形体の衝撃変形過程を解析し、該樹脂成形体の衝撃特性を評価する第2の工程とを有することを特徴とする樹脂成形体の衝撃解析方法である。
【0011】
各変形条件において、破壊判定値は、実地試験結果と解析結果を比較して両者が一致する場合のものを採用する。衝撃特性の評価結果と実地試験結果との比較は、例えば人間がグラフを対比させて行うことができ、また、コンピュータによる最適化処理を用いることもできる。なお、「一致」とは、完全に一致する場合だけでなく、許容範囲内である、あるいは両者の誤差が最小である等の概念を含むものである。
【0012】
破壊判定値としては、樹脂成形体は一般に延性的に破断するので、破断塑性歪み又は破断歪みが破断を適切に示す判定値となる。そして、破断塑性歪み又は破断歪み等の破壊判定値に影響する変形条件としては、歪み速度が挙げられ、これに関連すると考えられる試験条件として、衝突速度が挙げられる。例えば、異なる衝突速度ごとに実地試験と衝撃解析を行い、異なる衝突速度ごとの最適な破断塑性歪み又は破断歪みを破壊判定値として得ることができる。これにより、変形条件としての歪み速度に対する破壊判定値の関係を間接的に推定することができる。
【0013】
このようにして得られた破壊判定値は、衝撃解析において変形条件に対応させて設定することにより、同じ材料で作られた任意の形状の樹脂成形体の衝撃特性を精度よく評価するのに用いることができる。破壊判定値と変形条件の関係は、データ量が多いほど高い精度での相関が得られる。データ量が少ない場合には、適当な方法で補間して用いる。データを解析して回帰式を作成することができれば、それを解析プログラムに反映させて用いることができ、解析の精度を一層向上させることができる。
【0015】
前記課題を解決するための他の発明は、解析プログラムに樹脂材料の機械的特性を示す物性値を設定し、衝撃方向に沿って延びるリブを有する樹脂成形体の衝撃特性を評価する衝撃解析方法において、前記樹脂成形体の破壊を判定するための破壊判定値としての破断塑性歪みと、前記破壊判定値に影響する変形条件としての歪み速度との関係に基づいて樹脂成形体の領域内に衝撃方向に沿って変化する破断塑性歪みの仮想的な分布を作成し、前記解析プログラムにおいて、この破断塑性歪みの仮想的な分布を用いて樹脂成形体の衝撃変形過程を解析し、該樹脂成形体の衝撃特性を評価することを特徴とする樹脂成形体の衝撃解析方法である。これにより、例えば、破壊判定値の歪み速度依存性を考慮した高い精度の衝撃解析を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ発明の好適な実施の形態を説明する。
この実施例では、図1に示すような樹脂成形体の衝撃特性を解析プログラムを用いた衝撃解析手法を用いて予測する。図1には、衝撃解析の対象となる樹脂成形体20を正面から見た形状が、コンピュータグラフィックスを用いて描かれている。この樹脂成形体20は、リブ22と、固定板24とからなっている。リブ22は、一定厚さの複数のリブ板が固定板24からこれに対して直交するように延び、規則的な格子を形成するように構成されている。格子の配列は、幅×長さが3×9であり、格子間隔は30mm、高さは80mmである。リブ22には型抜きのためテーパが形成され、板厚は基端(固定板側)が2.0mm、先端が0.69mmである。
【0018】
この樹脂成形体20について、図2に示すような衝突試験における衝撃吸収過程を解析する。この試験では、成形体の先端側をバリア(固定障壁)16に向けて対向配置し、基端側からダート18を一定速度で前進させて成形体をバリアに衝突させ、その際の成形体の変形と負荷される荷重を測定する。ダート18は、短辺(衝突面)65mm、長辺(衝突面の反対側)180mm、高さ60mmの台形状の断面を有する柱状であり、ダート中心が樹脂成形体10の中心に直交するように衝突させられる。この例では、ダート質量は20kg、衝突速度は4.0m/sである。
【0019】
この衝突試験においては、ダート18の衝突によって、樹脂成形体のリブの破断が強度が弱い先端から開始し、順次固定端側に進行するが、破断の進行に伴ない、樹脂成形体がリブの変形や破断によってダートの衝突エネルギーを吸収するため、ダートの進行速度は低下し、樹脂成形体内部の歪み速度が低下する。従って、樹脂成形体の破断個所が固定端側に進行するほど、樹脂成形体の破断個所の歪み速度が低下する。
【0020】
この衝突試験の解析に、特願2001-098768において提案した手法を用いる場合、樹脂成形体の衝撃方向寸法が大きく、ダートがリブ構造体を完全に潰して固定障壁に達する前に停止する可能性があるので、破断塑性歪みなどの破壊判定値を衝撃変形の過程において一定であると仮定すれば、誤差を生じることが予想される。従って、破壊判定値の歪み速度依存性を考慮することが精度向上に望ましいが、破壊判定値の歪み速度依存性を直接に求めることは困難である。そこで、この実施例では、複数の衝突速度での破壊判定値を求め、間接的に破壊判定値の歪み速度依存性を求めた。各衝突速度で破壊判定値を求める工程で、以下に説明するように、特願2001-098768において提案した手法を用いている。
【0021】
まず、用いる樹脂材料の物性値を測定する。この物性値には、弾性率、降伏応力、ポアソン比、密度が含まれる。降伏応力については高速引張試験を実施することによって得ることができる。樹脂素材では、降伏応力には通常歪み速度依存性が顕著に見られ、一般に歪み速度が大きいほど降伏応力も大きくなる。この実施の形態では、一般的に知られたCowper-Symonds式を用いて、降伏応力を歪み速度をパラメータとして表している。複数の歪み速度で引張試験を行うことにより、この材料におけるCowper-Symonds式の定数が定められる。
【0022】
次に、図3に示すように、所定形状の速度依存性測定用モデルとなる樹脂成形体10を設定する。これは、衝撃方向に直交する断面が、図1に示す解析対象の成形体と実質的に同一であって、衝撃方向寸法が通常それより小さいものを用いる。すなわち、この樹脂成形体10は、リブ12と、固定板14からなり、リブ12は、一定厚さの複数のリブ板を規則的格子状に配列したものである。格子の配列は、幅×長さが3×9であり、格子間隔は30mm、高さ(衝撃方向寸法)は25mmである。リブ12には型抜きのためテーパが形成され、板厚は、基端側が1.12mm、先端側が0.69mmである。固定板14は、幅150mm、長さ330mm、板厚2mmである。衝撃方向寸法は、破壊判定値の速度依存性の影響によって、成形体の正面と裏面で破壊判定値の差が顕著にならない程度の値に設定している。
【0023】
次に、速度依存性測定用モデルの成形体10を、実際に複数個作成する。素材は、衝撃解析の対象となる樹脂成形体と同じものである。そして、異なる衝突速度条件のもとで、実地で衝撃試験を行う。衝突速度条件は、例えば、樹脂成形体20の衝突試験における衝突速度を最大値とし、それより小さいいくつかの値を設定する。速度条件の数を増やすほど精度が良いデータが得られるが、作業量及びコストも増えるので、それらのバランスで数を決める。
【0024】
次に、速度依存性測定用モデルの成形体10について、先に測定した物性値と、いくつかの破断塑性歪みを設定し、所定の解析手法を用いて、図4に示す衝突試験における衝撃解析を行う。この衝突試験は、図2の場合と試験対象及び速度条件以外は同じである。
【0025】
次に、それぞれの衝突速度での実地試験と解析結果での変形挙動を比較する。具体的には、変形挙動は、時間−荷重曲線、時間−加速度曲線、変位−荷重曲線、変位−加速度曲線等として得られるので、実地試験と衝撃解析のそれぞれの曲線を所定の方法で比較して、両者の一致度を調べる。両者の一致度を調べる方法として、簡便な方法として人間の目視判定を用いることができる。また、コンピュータを用いた最適化手法により、例えば、2つの曲線の差の二乗の平均値が所定の許容値以下となる場合を一致すると判定するようにしてもよい。得られた破壊判定値と衝突速度を対比させることで、一応の相関関係を求めることができる。
【0026】
【実施例】
樹脂成形体の素材として、住友化学工業株式会社製ノーブレンAZ664E4を用いた場合の破壊判定値と衝突速度の相関を求める方法を以下に説明する。
(1)解析に用いたソフトウェア
解析ソフト : LS-DYNA version
9.40(Livermore
Software Technology Corporation製)
(2)解析方法
空間の離散化 : 有限要素法
時間積分 : 中心差分に基づく陽解法
材料モデル : LS-DYNA物性タイプ24(多直線近似等方弾塑性体)
【0027】
(3)物性値
本解析に必要な物性値は、弾性率、引張降伏強度、ポアソン比、比重、破断塑性歪みである。弾性率、引張降伏強度、ポアソン比、比重は、試験片を作成して測定を行った。
(4)物性値の算出
弾性率、引張降伏強度、ポアソン比、比重の測定方法は、以下の通りである。
a)弾性率 : JIS−K−7203に規定された方法に基づき測定した。
b)引張降伏強度 : ASTM D638に規定された方法に基づき測定した。
c)比重 :JIS−K−7112に規定された方法に基づき測定した。
d)ポアソン比 : 試験片の引張方向と引張方向に垂直方向とに取り付けた歪ゲージから測定した縦ひずみと横ひずみから計算した。
試験片形状 : 150mm×15mm×3mm
引張速度 : 1mm/min
【0028】
住友化学工業株式会社製ノーブレンAZ664E4に関して得られた物性値を表1に示す。
【表1】
【0029】
速度依存性測定用モデルの成形体10を作成し、実地試験を、衝突速度4.0m/s及び1.4m/sで行った。また、衝撃解析を、衝撃試験と同じ条件で、破断塑性歪みを10%、20%、30%に設定して行った。
【0030】
図5に、衝突速度1.4m/sにおける実地試験で得られた変位−荷重曲線と、破断塑性歪みを10%、20%、30%として実施した衝撃解析結果を示す。また、最大荷重、変形量を表2に示す。図5を用い、それぞれ実地試験と解析の結果の変位−荷重曲線を目視判定により比較した。これによれば、破断塑性歪み30%の場合が、実施試験と衝撃解析の破壊挙動が最もよく一致していると判定されるので、これを衝突速度1.4m/sの破断塑性歪みとした。
【表2】
【0031】
同様に、衝突速度4.0m/sで、破断塑性歪みを0.5%、5%、10%として実施した衝撃解析結果を図6に、変位20mmまでの最大荷重、変形量を表3に示す。実施試験と衝撃解析の破壊挙動が最もよく一致した5%を、衝突速度4.0m/sの破断塑性歪みとした。
【表3】
【0032】
この結果から、破断塑性歪みは、衝突速度に対して逆相関することが推定されるが、これは、衝突速度が歪み速度と正相関し、歪み速度が破断塑性歪みと逆相関すると考えられることから、妥当な結果である。
【0033】
上述した実施例では、破断塑性歪みと衝突速度との関係を2つの衝突速度条件での試験に基づいて推定しており、この速度条件を増やして多くのデータを得るほど精度が向上する。しかし、実用的には2つの条件からでも、例えば、これを直線的に挿間することによりかなりの精度が得られる。
【0034】
次に、このような衝突速度と破断塑性歪みの相関データを、図1の樹脂成形体20の衝撃解析や設計に利用する方法を説明する。例えば、このような依存性が、破断塑性歪みの歪み速度への依存性に基づいていることに鑑み、上記のデータを破断塑性歪みの歪み速度依存性に換算して、衝撃解析のプログラムに取り込むことが考えられる。そのためには、衝突速度条件を歪み速度に換算するための関係が求められればよい。
【0035】
ここでは、簡易性を重視する観点から、樹脂成形体の領域内に破断塑性歪みの仮想的な分布を作成する方法を用いた。この方法は、図2に示すような衝突試験においては、樹脂成形体の破断が固定端側に進行するほど、樹脂成形体の破断個所における歪み速度が低下するという考察に基づいている。ここでは、破断塑性歪みの速度条件依存性を時間的ではなく成形体内で空間的に反映させており、比較的簡単な手法でありながら高い精度を実現することができる。
【0036】
この実施例では、樹脂成形体の高さ(衝撃方向寸法)を4つの領域に区分して、それぞれの領域で一定の破断塑性歪みを設定した。すなわち、リブの先端側20mmの領域では、衝突速度4.0m/sの実地試験及び解析の結果により決定した破断塑性歪みである5%を採用し、樹脂成形体の固定端20mmの領域は、1.4m/sの実地試験結果により決定した破断塑性歪み20%を採用した。樹脂成形体の、先端側から20mm〜40mm、40mm〜60mmの領域の破断塑性歪みは、両端部側の値から内挿して10%、15%とした。破壊判定値としてこのような破断塑性歪みを設定し、先に用いた同じ解析ソフトウエアを用いて衝撃解析を行った(実施例1)。
【0037】
比較例として、破断塑性歪みを、成形体の位置に関わらず20%に設定し、他の条件は実施例1と同じにして、衝撃解析を行った(比較例1)。また、破断塑性歪みを、成形体の位置に関わらず5%として同様に解析を行った(比較例2)。
【0038】
次に、図1に示す解析対象モデルの成形体20を実際に作成し、衝突速度4.0m/sにおいて実地試験を行った。実施例及び比較例の衝撃解析と実地試験のそれぞれの結果である変位−荷重曲線を図7にまとめて示す。また、最大荷重と最大変位を表4に示す。
【表4】
【0039】
衝撃解析の結果を、図7の曲線を目視判定することにより実地試験の結果と比較すると、実施例1が最も良く近似していることが分かる。表4の結果を合わせて考慮すると、実施例1の破壊判定値の設定が最も妥当であったことが分かる。
【0040】
なお、ここでは簡便性を考慮して、破断塑性歪みの空間的設定を成形体の高さ方向の位置に対して段階的に設定したが、連続的に変化するようにしてもよい。その場合、この例では2点のデータなので直線的変化となるが、さらに多くのデータを採取して曲線的変化を採用するようにしてもよい。
【0041】
また、この例では、破断塑性歪みを衝突速度という試験条件に対して関連付けたが、解析精度、汎用性の観点からは、複数の試験条件で実地試験と衝撃解析を行い、各試験条件における樹脂成形体の歪み速度と、破断塑性歪みの関係を求め、該関係に基づく破断塑性歪みを採用することが好ましい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、複雑な形状を有するような樹脂成形体の衝撃特性を精度良く評価することができ、実地に成形して試験をする手間を省いて構造の最適化を容易に行ない、構造部品の開発の期間の短縮とコストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 衝撃解析を行う対象の樹脂成形体である。
【図2】 衝突試験の全体の構成の概略を示す概念図である。
【図3】 破断塑性歪みの速度条件依存性を求めるために用いた樹脂成形体である。
【図4】 破断塑性歪みの速度条件依存性を求めるための衝突試験の全体の構成の概略を示す概念図である。
【図5】 破断塑性歪みの速度条件依存性を求めるための変位−荷重曲線図面である。
【図6】 破断塑性歪みの速度条件依存性を求めるための変位−荷重曲線図面である。
【図7】 樹脂成形体の衝撃特性を評価するための変位−荷重曲線図面である。
【符号の説明】
10,20 樹脂成形体
16 固定障壁
18 ダート
Claims (2)
- 解析プログラムに樹脂材料の機械的特性を示す物性値を設定し、衝撃方向に沿って延びるリブを有する樹脂成形体の衝撃特性を評価する衝撃解析方法において、
前記物性値のうち前記樹脂成形体の破壊を判定するための破壊判定値としての破断塑性歪みを求めるにあたり、前記破壊判定値に影響する変形条件としての歪み速度に関連すると考えられる試験条件としての衝突速度条件を複数設定し、各試験条件ごとに所定形状の樹脂成形体を用いた実地試験と破壊判定値を変えた衝撃解析とを行い、実地試験結果と衝撃解析結果を比較して各試験条件ごとの破壊判定値を決定し、前記破壊判定値と前記変形条件との関係を推定する第1の工程と、
前記第1の工程で求めた破壊判定値と変形条件との関係に基づいて樹脂成形体の領域内に衝撃方向に沿って変化する破断塑性歪みの仮想的な分布を作成し、前記解析プログラムにおいて、この破断塑性歪みの仮想的な分布を用いて樹脂成形体の衝撃変形過程を解析し、該樹脂成形体の衝撃特性を評価する第2の工程とを有することを特徴とする樹脂成形体の衝撃解析方法。 - 解析プログラムに樹脂材料の機械的特性を示す物性値を設定し、衝撃方向に沿って延びるリブを有する樹脂成形体の衝撃特性を評価する衝撃解析方法において、
前記樹脂成形体の破壊を判定するための破壊判定値としての破断塑性歪みと、前記破壊判定値に影響する変形条件としての歪み速度との関係に基づいて樹脂成形体の領域内に衝撃方向に沿って変化する破断塑性歪みの仮想的な分布を作成し、前記解析プログラムにおいて、この破断塑性歪みの仮想的な分布を用いて樹脂成形体の衝撃変形過程を解析し、該樹脂成形体の衝撃特性を評価することを特徴とする樹脂成形体の衝撃解析方法。
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