JP3914682B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは、像担持体との間に介在せしめた記録部材又は自らの表面に、該像担持体上の可視像を転写するように該像担持体に接触する転写用接触部材を備える画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像形成装置としては、図21に示すものが知られている。図において、像担持体としての感光体ドラム1上には、周知の電子写真プロセスによって可視像としてのトナー像が形成される。この感光体ドラム1の下方にはそれぞれ対向する一対のローラ5、6が配設されており、これらには転写用接触部材としての紙搬送ベルト2が巻き掛けられている。また、この紙搬送ベルト2の裏面には、上記ローラ5、6の他、上記感光体ドラム1との対向位置でこの裏面に転写バイアスを印加する転写バイアスローラ16、この裏面の電荷を除電する接触板18が接触している。転写バイアスローラ16には転写用電流供給手段としての転写電源17が接続されており、これによって上記転写バイアスの電源が供給される。
【0003】
記録部材としての転写紙Sは、上記感光体ドラム1と上記紙搬送ベルト2とで形成される転写ニップ部Bに挟まれると、その転写面に感光体ドラム1上の上記トナー像が転写せしめられる。
【0004】
上記紙搬送ベルト2は、図22の断面に示すように、コート層2aと内側層2bとからなる二層構造で構成されている。これら層は、それぞれ所定の電気抵抗を発揮するための抵抗調整剤を含有しているが、湿度や温度などの環境の変化に伴ってその電気抵抗を変化させてしまうことが知られている。このように電気抵抗を変化させると、これに伴う転写紙Sの表面電位の変化に起因して上記感光体ドラム1から転写紙Sへのトナー像の転写性能を変化させてしまうことになる。
【0005】
そこで、図21に示した画像形成装置では、上記転写電源17からの出力電流値を差分定電流方式で制御することで、転写性能の安定化を図るようになっている。この差分定電流制御は、具体的には次のようにして実施される。即ち、上記接触板18には、上記紙搬送ベルト2の裏面に流れる帰還電流が導かれるようになっており、接触板18に接続された転写用電流制御手段としての制御板11によってこの帰還電流の値が検知される。制御板11は、この帰還電流の検知結果に基づいて上記転写電源17からの出力電流値を制御するように構成されている。具体的には、上記転写電源17からの出力電流値をIで、上記紙搬送ベルト2を介して上記接触板18からアース側に流れる帰還電流値をIで、上記コート層2aから転写紙Sに流れる転写電流実効値をIOUTでそれぞれ示した場合、次の数1で示される関係が得られるようにIの値を制御する。
【数1】
−I=IOUT(但し、IOUTは一定)
【0006】
この数1の出力電流値Iは、紙搬送ベルト2の厚み全体の抵抗が増減すると、これに応じて増減する。即ち、出力電流値Iと、紙搬送ベルト2の厚み全体の抵抗値とは正の相関関係にある。一方、転写電流実効値IOUTは、出力電流値Iの増減にかかわらず一定になる。
【0007】
このような差分定電流制御においては、温度、湿度等の環境の変化や、紙搬送ベルト2の製品毎の抵抗誤差にかかわらず、転写電流実効値IOUTを一定に維持して転写性能の安定化を図ることができる。
【0008】
ところが、このように転写電流実効値IOUTを一定に維持していても、環境変動や紙搬送ベルト2の電気抵抗値などによっては、種々の不具合を生ずる場合があった。
【0009】
例えば、冬季などに比較的低温低湿(以下、L/Lという)の環境になると、プレ転写という現象を生ずる場合があった。このプレ転写とは、上記転写ニップ部Bに挟まれる前の紙搬送ベルト部分の電荷が、上記感光体ドラム1上のトナーを静電的に引き寄せ、転写ニップ部Bに挟まれる前の転写紙部分に転写せしめてしまう現象である。図21に示すように、上記転写ニップ部Bよりもベルト搬送方向上流側(ニップ上流)では、上記紙搬送ベルト2の表面が水平方向に延在しているのに対し、上記感光体ドラム1の表面はドラム形状にならって上方に湾曲しながら延びる構成となっている。このような構成においてプレ転写が生ずると、ニップ上流で上記感光体ドラム6上から転写紙Sに向けてまっすぐに飛翔したトナーは、転写紙Sに対する付着位置(転写位置)を本来の位置からずらして転写像を乱すことになる。そして、付着位置のずれ量によっては、転写像を部分的に欠損させたようないわゆる白抜けという現象を引き起こしてしまう。なお、転写電流実効値IOUTを低下させることでプレ転写を軽減し得ることが知られている。
【0010】
また例えば、夏季などに比較的高温高湿(以下、H/Hという)の環境になると、上記感光体ドラム1からの転写紙分離性が悪化することがあった。図21において転写紙分離性が悪化すると、上記転写ニップ部B通過後の転写紙Sが上記感光体ドラム1にくっついて連れ回った後、分離爪4と接触して初めて感光体ドラム1から分離されるようになる。このような分離爪4による転写紙Sの分離では、転写紙S上のトナー像に爪跡を付けて画像品質を低下させてしまうことになる。H/Hの環境下における転写紙分離性の悪化の原因は次のように考えられる。即ち、紙搬送ベルト2の表面抵抗が環境のH/H化に伴って低下すると、紙搬送ベルト2から感光体ドラム1などに電流が流れ易くなるため、紙搬送ベルト2の電荷保持量が相対的に減少する。このように電荷保持量が減少すると、転写紙Sを引き寄せようとする紙搬送ベルト2の静電力が弱まるため、転写紙分離性が悪化するものと考えられる。なお、転写電流実効値IOUTを高めることで転写紙分離性を向上させ得ることが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者はこれら転写紙分離性の悪化やプレ転写の発生を抑える方法について鋭意研究を行った結果、次のようなことを見出した。即ち、L/Lの環境下においては、厚み全体の抵抗が低い紙搬送ベルト2ほど、プレ転写を生じ易くなる傾向にあることを見出した。また、H/Hの環境下においては、厚み全体の抵抗が低い紙搬送ベルト2ほど、転写紙分離性を悪化させ易くなる傾向にあることを見出した。ここで、上述のように、紙搬送ベルト2の厚み全体の抵抗値と、出力電流値Iとは相関関係にある。よって、L/LやH/Hの環境下において、出力電流値Iに基づいて転写電流実効値IOUTの目標値を低く補正したり高く補正したりすれば、転写紙分離性の悪化やプレ転写の発生をある程度抑えることができる。
【0012】
しかしながら、このような目標値の補正を行っても、使用する紙搬送ベルト2によっては、どうしてもプレ転写が発生したり、転写紙分離性が悪化したりする場合があった。
【0013】
そこで、本発明者は、これら転写紙分離性の悪化やプレ転写の発生を抑える方法について更に鋭意研究を行った結果、転写紙分離性の悪化には、紙搬送ベルト2の厚み全体の抵抗よりも、コート層2aの抵抗が大きく関与していることがわかった。具体的には、厚み全体の抵抗値が同じ紙搬送ベルト2であっても、コート層2aの抵抗比率が比較的高いものでは、低いものに比べて内側層2bからこのコート層2aを通過して感光体ドラム1側に至るという経路を電流が流れ難くなる。このため、コート層2aの抵抗比率が比較的低い紙搬送ベルトよりも多くの電荷を保持して、転写紙分離性の悪化が抑えられることがわかった。
【0014】
また、厚み全体の抵抗値が同じ紙搬送ベルト2であっても、コート層2aの抵抗比率が比較的高いものでは、低いものに比べてベルト全体の電荷保持量が多くなってプレ転写を発生させ易いことがわかった。
【0015】
従って、単に出力電流値Iだけに基づいて転写電流実効値IOUTの目標値を補正するのではなく、コート層2aの抵抗値をも加味して補正すれば、転写紙分離性の悪化やプレ転写の発生をより確実に抑えることができる。コート層2aの抵抗値、即ち、紙搬送ベルト2の表面抵抗値を検知する手段としては、紙搬送ベルト2の表面に電圧を供給する電圧供給手段と、この電圧の供給位置から離れた位置の該表面に流れる表面電流の値を検知する表面電流検知手段とを設ければよい。
【0016】
ところが、このような転写電流実効値IOUTの目標値の補正においては、環境が変化した場合には、その都度、上記転写電源17からの出力を一旦停止し、紙搬送ベルト2の表面に電圧を供給して上記表面電流の値を検知しなければならない。このため、転写電流実効値IOUTの目標値を迅速に補正することができないという問題がある。
【0017】
以上は、転写用接触部材として紙搬送ベルト2を用いる画像形成装置において生ずる問題であるが、例えば紙搬送ローラなど、他の転写用接触部材を用いる画像形成装置にも同様の問題が生じ得る。また、差分定電流方式によって出力電流値Iを制御する画像形成装置に限らず、単なる定電流方式によって出力電流値Iを制御する画像形成装置にも同様の問題が生じ得る。更に、紙搬送ベルト2から感光体ドラム1へと流れる電流や、紙搬送ベルト2の表面に接触する電極に流れ込む電流などによって転写電流実効値IOUTを直接検知し、検知結果に基づいて出力電流値Iを制御する画像形成装置にも同様の問題が生じ得る。
【0018】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、プレ転写の発生や記録部材分離性の悪化を確実に抑え、且つ転写用電流制御手段の制御目標値を迅速に補正することができる画像形成装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、可視像を担持する像担持体と、該像担持体との間に介在せしめた記録部材又は自らの表面に該像担持体上の該可視像を転写するように該像担持体に接触する転写用接触部材と、該転写用接触部材の裏面に転写用電流を供給する転写用電流供給手段と、該転写用電流供給手段から出力される該転写用電流の値を制御する転写用電流制御手段と備える画像形成装置において、該転写用接触部材の厚み方向の抵抗を検知する第1抵抗検知手段と、一定電圧又は一定電流を供給している該転写用接触部材の一定時間内における該抵抗の変化量、あるいは該転写用接触部材に供給する電圧を変化させた際における該抵抗の変化量を検査する第1検査手段と、該転写用接触部材の表面抵抗を検知する第2抵抗検知手段と、一定電圧又は一定電流を供給している該転写用接触部材の一定時間内における該表面抵抗の変化量、あるいは該転写用接触部材に供給する電圧を変化させた際における該表面抵抗の変化量を検査する第2検査手段と、温湿度を検知する温湿度検知手段とを設け、該第1抵抗検知手段の検知結果と、該第1検査手段の検査結果と、該第2抵抗検知手段の検査結果と、該第2検査手段の検査結果と、該温湿度検知手段の検知結果とに基づいて、該転写用電流を制御させるように該転写用電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0020】
本発明において「抵抗(表面抵抗)を検知する」とは、抵抗値そのものを検知する態様に限られず、この抵抗値と相関関係にある電圧値(V=IRのV)や電流値(I=V/RのI)を検知する態様をも含む概念である。また、「経時依存性の変化特性」とは、使用に伴う部材の電気抵抗の経時的変化が顕著に現れる特性のことをいう。また、「電圧依存性の変化特性」とは、部材に供給される電圧の値の変化に伴って該部材の電気抵抗が顕著に変化する特性のことをいう。
【0021】
この画像形成装置においては、第1抵抗検知手段と第2抵抗検知手段とにより、転写用接触部材の厚み方向における抵抗(以下、厚み抵抗という)と、転写用接触部材の表面抵抗とを検知する。また、温湿度検知手段によって温湿度を検知する。そして、転写用電流制御手段が、これらの検知結果に基づいて転写用電流を制御する。かかる構成においては、例えば、差分定電流方式の制御において単に上記厚み抵抗(出力電流値I)だけに基づいて転写電流実効値IOUTの目標値を補正するのではなく、上記表面抵抗をも加味してこの目標値を補正するなどして、プレ転写の発生や記録部材分離性の悪化を確実に抑えることが可能になる。また、上記厚み抵抗の変化特性や、上記表面抵抗の変化特性を第1検査手段や第2検査手段によって検査することで、これら抵抗の環境依存性の度合いを判定することが可能になる。本発明者は鋭意研究により、部材の抵抗を検知しておき、更にこの抵抗の変化特性についての経時依存性や電圧依存性を検査しておけば、環境が変動しても変動後の部材の抵抗値をある程度正確に予測し得ることを見出した。具体的には、例えば、カーボン系の抵抗調整剤を含有する部材(以下、カーボン系の部材という)は、図1に示すように、電荷供給時間が長くなるにつれてその抵抗値R1を大きく低下させていく。また、図2に示すように、供給される電圧値が大きくなるにつれてその抵抗値R1を大きく低下させていく。ところが、図3に示すように、環境が変動しても、その抵抗値R1を大きく変化させることはない。要するに、カーボン系の部材は、その抵抗変化特性に経時依存性や電圧依存性が顕著に現れる反面、環境依存性がそれほど顕著に現れないという性質を帯びる。一方、イオン系の抵抗調整剤を含有する部材(以下、イオン系の部材という)は、図1や図2に示したように、電荷供給時間や供給される電圧値が変動してもその抵抗値R1をほとんど変化させない。ところが、図3に示したように、環境が変動するとその抵抗値R1を大きく変化させる。要するに、イオン系の部材は、抵抗変化特性に経時依存性や電圧依存性が顕著に現れない反面、環境依存性が顕著に現れるという性質を帯びるのである。よって、予め部材の抵抗値を測定しておき、環境変動が生じた際に、この抵抗値に対してイオン系の部材には値の比較的大きな係数を乗じ、カーボン系の部材には値の比較的小さな係数を乗ずれば、環境変動後の抵抗値をある程度正確に予測することが可能になる。よって、本画像形成装置では、例えば、上述のようにして転写電流実効値IOUTの目標値を補正した後に環境が変動しても、この変動を温湿度検知手段の検知結果に基づいて検知して変動後の上記表面抵抗をある程度正確に予測することができる。そして、上記表面抵抗の予測結果や、上記厚み抵抗の検知結果などに基づいて、転写電流実効値IOUTの目標値を適切に補正し直すことが可能になる。このような補正では、環境変動後の上記表面抵抗を改めて検知し直すことなく、転写用電流制御手段の制御目標値を迅速に補正することが可能になる。
【0022】
ところで、上記第2抵抗検知手段や上記第2検査手段としては、転写用接触部材の表面に電荷を付与しながら、この電荷の供給位置から離れた位置の該表面に流れる表面電流やこれの変化量を検知し、検知結果に基づいて上記表面抵抗やこれについての変化特性を検査するものが考えられる。ところが、このような手段では、転写用接触部材の表面に電荷を付与する電荷付与手段を設けることによってコストアップを招来してしまう。
【0023】
そこで、請求項2の発明は、帯電した可視物質によって上記像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、該可視物質の帯電極性とは逆極性のクリーニングバイアスが印加されるクリーニング部材を上記転写用接触部材の表面に接触させて、該表面に付着した該可視物質を該表面から該クリーニング部材に静電的に移動させて除去するクリーニング手段とを備える請求項1の画像形成装置において、上記第2抵抗検知手段及び第2検査手段として、該クリーニング手段から該表面へとクリーニングバイアスを印加させながら、該クリーニング部材との接触位置から離れた位置の該表面に流れる表面電流又はこれの変化量を検知し、検知結果に基づいて、上記表面抵抗を算出するか、あるいは上記表面抵抗の変化特性を検査するものを設けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項3の発明は、上記転写用接触部材と、これによって搬送される記録部材との分離を静電的に助長するために該転写用接触部材の表面に電荷を付与する分離助長手段を備える請求項1の画像形成装置において、上記第2抵抗検知手段及び第2検査手段として、該分離助長手段から該表面へと電荷を付与させたながら、該電荷の供給位置から離れた位置の該表面に流れる表面電流又はこれの変化量を検知し、検知結果に基づいて、上記表面抵抗を算出するか、あるいは上記表面抵抗の変化特性を検査するものを設けたことを特徴とするものである。
【0025】
これら請求項2や3の画像形成装置においては、転写用接触部材の表面に電荷を付与する電荷付与手段として、既存のクリーニング手段や分離助長手段を用いることで、該電荷付与手段を新たに設けることなく、上記表面抵抗を算出させたり、この表面抵抗の変化特性を検査させたりすることができる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記転写用接触部材として転写用接触ローラを設けたことを特徴とするものである。
【0027】
この画像形成装置においては、転写用接触部材として、図21に示した紙搬送ベルト2のような転写用接触ベルトではなく、転写用接触部材を設けている。かかる構成においては、転写用接触ベルトを張架するための複数の張架ローラ(例えば図21のローラ5、6)を設ける必要がなくなり、該転写用接触ベルトを設ける場合よりも装置の構成を簡素化することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のプリンタ(以下、プリンタという)に適用した一実施形態について説明する。
まず、このプリンタの基本的な構成について説明する。図4において、1は像担持体としての感光体ドラムである。この感光体ドラム1の周囲には、図示しないが、感光体ドラム1の表面を例えば−800[V]に一様に帯電せしめる帯電器、画像信号を基に変調されたレーザー光を感光体ドラム1の帯電部分に走査して静電潜像を形成する光書き込み器、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像器、感光体ドラム1の表面をクリーニングするドラムクリーニング装置等が配列されている。
【0029】
上記光書き込み器による走査を終えた感光体ドラム1表面は、図5に示すように、現像器の現像ローラ30との対向位置である現像位置を通過する際に、その静電潜像にトナーが付着せしめられる。この付着によって静電潜像が現像されてトナー像となる。現像位置を通過した感光体ドラム1表面は、転写前除電ランプ3によって電荷が弱められた後、後述のニップ部Bに進入する。なお、図5において、プラスの極性とともに示す丸印はトナーであり、マイナスの極性とともに示す丸印は感光体ドラム1に保持されているマイナス電荷である。これらの丸印の大きさは電荷の強さを表しており、その大きさが小さくなった状態が電荷の弱められた状態である。
【0030】
上記感光体ドラム1の下方には、転写用接触部材としての紙搬送ベルト2が対をなすローラ5、6に巻回されており、図示しないベルト駆動モータで駆動されるローラ5の回転によって図中反時計方向(矢印A方向)に回転する。
【0031】
上述したローラ5、6のうち、感光体ドラム1側に位置するローラ6は、駆動側をなすローラ5に対する従動ローラとして構成されており、また、ローラ6の表面形状は、図6に示すように、軸方向において両端6aが先細のテーパー状に形成されていて、紙搬送ベルト2の片寄りを防止するようになっている。ローラ6は金属などの導電性の材料で形成されている。
【0032】
駆動側のローラ5は、駆動の際の紙搬送ベルト2に対するグリップカを高める機能から、EPDゴム、クロロプレーンゴムあるいはシリコンゴムなどの材質が選択されている。なお、ローラ5には、後述の帰還電流を後述の接触板18からではなくローラ5から転写電源17に戻すように、導電性の材料を用いることもできる。
【0033】
上記紙搬送ベルト2の下方にはローラ5、6のそれぞれの軸を支持する支持体7が設けられ、更にこの下方にはDCソレノイド8に駆動されて回動するアーム9が設けられている。このDCソレノイド8が駆動するとアーム9が支持体7を押し上げるため、紙搬送ベルト2は図4に示すように転写紙Sを感光体ドラム1の周面に圧接する。そして、この圧接により、感光体ドラム1との間で転写紙Sの搬送方向に沿った長さに相当する幅4〜8[mm]程度のニッブ部Bを形成する。
【0034】
転写紙Sは、レジストローラ対10により、感光体ドラム1に形成される画像の先端位置との整合を取られた状態で紙搬送ベルト2上に送り出される。
【0035】
上記DCソレノイド8は図示しない制御部によって駆動を制御されている。具体的には、前述のようにしてレジストローラ対10から送り出された転写紙Sの先端が感光体ドラム1に接近するタイミングで、駆動するように制御される。このような制御により、レジストローラ対10から送り出された転写紙Sは、上記ニップ部Bに進入して、感光体ドラム1上のトナー像と重ね合わされる。
【0036】
上記ニップ部Bの近傍の紙搬送ベルト2裏面には、転写バイアスローラ16が当接している。この転写バイアスローラ16は導電性の材料で構成され、紙搬送ベルト2に対して感光体ドラム1上のトナーの帯電極性と逆極性の電荷を付与するように転写電源17につながるスイッチ13に接続されている。このスイッチ13は、図示しない制御部によってON/OFF制御され、ONすることにより、転写電源17とバイアスローラ16とを結ぶ導通路を導通させる。即ち、本プリンタでは、転写バイアスローラ16と、転写電源17と、制御部とによって転写用電流供給手段を構成している。
【0037】
また、ローラ6よりも上流側の紙搬送ベルト2裏面には、金属材料からなる接触板18が当接しており、ニップ部Bの上流側において転写紙Sへ電荷注入するのを抑えている。また、この接触板18は、紙搬送ベルト2上に流れる電流を帰還電流として検知するためのものであり、この帰還電流の値に応じて転写バイアスローラ16からの供給電流が制御される。このため、接触板18には、検出電流に応じて転写バイアスローラ16への供給電流を設定するための第1制御板20が接続されている。転写用電流制御手段であるこの第1制御板20は、転写電源17に接続されており、転写電源17からの出力電流Iの値を制御することで、転写バイアスローラ16への供給電流を制御している。
【0038】
図4に示すニップ部Bにおいて、感光体ドラム1上のトナーは、転写バイアスローラ16から紙搬送ベルト2へと供給される転写用電流の影響を受けて転写紙Sに転移する。この転写用電流は例えば−1.5〜−6.5[kV]の範囲で転写電源17から出力される。
【0039】
感光体ドラム1から転写紙Sへのトナー像転写が行われると、この転写紙Sが帯電する。従って、紙搬送ベルト2の真電荷と転写紙S側に発生する分極電荷との関係により、転写紙Sを紙搬送ベルト2の上に静電的に吸着して感光体ドラム1からの転写紙Sの分離がなされる。そして、感光体ドラム1の極率分離を利用した転写紙S自身の腰の強さによる感光体ドラム1からの剥離動作によって感光体ドラム1からの分離が助長される。
【0040】
しかし、環境がH/Hの場合には転写紙Sに電流が流れ易くなるため、感光体ドラム1からの転写紙Sの分離がうまくいかなくなる。このため、この例では、転写バイアスローラ16をニップ部Bより下流側に位置させ、紙搬送ベルト2から転写紙Sへの真電荷の移行を遅らせることで、感光体ドラム1への転写紙Sの静電的な吸着を抑えている。この「真電荷の移行を遅らせる」とは、転写紙Sがニップ部Bに至るまでの上流側において転写紙Sを帯電させないことを意味している。これにより、感光体ドラム1への転写紙Sの巻き付きを抑えている。しかし、これでも転写紙Sがその腰の強さだけて感光体ドラム1から分離されず、ニップ部Bよりも感光体ドラム1の回転方向下流に配設された分離爪4に当たって初めて分離される場合がある。
【0041】
本プリンタの紙搬送ベルト2も、図22に示したように、感光体ドラム1に接触するコート層2aと、感光体ドラム1とは反対側の内側層2bとを有している。この紙搬送ベルト2には、例えば、弾性体としてゴムベルトを用いた場合には、クロロプレーンゴム、EPDM(エチレン・プロピレン共重合体)ゴム、シリコンゴム、エピクロルゴム、等の吸湿性が少ない材料を用い、安定した表面抵抗率を得るために、適量のカーボンや酸化亜鉛等を添加する。そして、このような材料のゴム層を内側層2bとし、その感光体ドラム1側の表面に使用されたテフロン等の材料と同様の材料によってコーティングしたコート層2aとした紙搬送ベルト2を用いている。
【0042】
また、紙搬送ベルト2は、その裏面に接触する転写バイアスローラ16によって転写バイアスが付与されるべく所定の抵抗特性を発揮する材料によって形成されている。具体的には、JISK6911に準拠した測定による各電気抵抗がDC100[V]印加時で次のようになるように形成されている。即ち、その体積抵抗率が5×10〜5×1010[Ω・cm]に設定されている。また、低摩擦係数の皮膜層である表面層6bはべルト表面の表面抵抗率が1×10〜1×1012[Ω]に設定されている。更に、内側層6aの表面抵抗率が1×10〜1×10[Ω]に設定されている。
【0043】
上記第1制御板20は、次の数2に示す関係式を具備させるように、転写電源17からの出力電流値Iを差分定電流方式によって制御する。
【数2】
−I=IOUT×補正係数(但し、IOUT×補正係数は一定)
【0044】
一例として、搬送速度330[mm/sec]、有効バイアスローラ長310[mm]の条件下において、IOUTを35±5[μA]に設定した場合、中温中湿(M/M)の環境下では良好な転写結果が得られた。
【0045】
なお、この感光体ドラム1側へ流れる転写電流実効値IOUT×補正係数の値(以下、第1制御板20の制御目標値ともいう)は一義的なものではなく、搬送速度が遅い場合には減らすことができる。反対に、搬送速度が速いときや転写前除電ランプ3が用いられない場合には増やすことになる。
【0046】
上記ニップ部Bを通過した転写紙Sは、紙搬送ベルト2の移動に合わせて静電吸着されて搬送され、駆動側のローラ5での曲率分離が行われる。本プリンタにおいては、上質45K紙(剛度:横21[cm/100])の分離が可能になるという実験結果に鑑みて、このローラ5の直径を16[mm]以下に設定している。
【0047】
上記ニップBを通過した転写紙Sは、ローラ5の上側を通過する際に紙搬送ベルト2から分離される。そして、ローラ5の図中左側方に配設された定着装置に向けてガイド板によって案内される。この定着装置は定着ローラ14とこれに圧接された加圧ローラ15とで構成され、ガイド板によって案内された転写紙Sは両ローラの間に挟まれる。そして、加熱溶解と圧着との相乗作用によってトナー像が定着せしめられる。
【0048】
紙搬送ベルト2が転写紙Sの搬送を終えると、DCソレノイド8の励磁が停止する。この停止により、アーム9によって付勢されていた支持体7が図中下方に移動して、紙搬送ベルト2が感光体ドラム1から離れる。
【0049】
ローラ5の下方には、ローラ5に付着したトナーや紙粉をクリーニングするクリーニング装置12が設けられており、感光体ドラム1から離れた紙搬送ベルト2は、クリーニング装置12のクリーニングローラ12aに接触する。このクリーニングローラ12aには、抵抗27とスイッチ26とを介して転写用電源17が接続されている。このスイッチ26が、図示しない制御部の制御によってONすると、転写用電源17からの電流がクリーニングローラ12aの金属製の軸に導かれる。この電流はトナーと逆極性であり、紙搬送ベルト2のコート層2aに付着したトナ−を静電的な力によってクリ−ニングロ−ラ12aの表面に付着させる。付着したトナーは、クリーニングローラ12aに当接するクリーニングブレード12bによって紙搬送ベルト表面から機械的に掻き取られる。そして、掻き取られたトナーは、クリーニング装置12の回収スクリュー12cによって図中奥行き方向に搬送され、図示しない回収トナー容器に回収される。かかる構成のクリーニング装置12は、図21に示した従来の画像形成装置に搭載されたブレード掻き取り方式のクリーニング装置とは異なり、紙搬送ベルト2に付着したトナーを静電的な力によって除去することで、クリ−ニング性を向上させることができる。
【0050】
上記クリーニングブレード12bと摺擦するクリーニングローラ12aに弾性材料を用いる場合には、摺擦抵抗の増加による駆動力の増大あるいはクリーニングブレード12bのめくれ等を抑えるために、摩擦係数の比較的低い材料をコーティングすることが望ましい。このような材料としては、ポリフッ化ビニリデンや四フッ化エチレンのようなフッ素系の樹脂材料が挙げられる。但し、本プリンタにおいては、後述の表面抵抗率を正確に検知するという観点から、弾性材料ではなく金属材料を用いることが望ましい。弾性材料を用いると、環境変動に伴うこの弾性材料の抵抗変動によって正確な表面抵抗率を検知することが困難になるからである。
【0051】
図7は、本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。図において、制御部25は、CPU25aを中心にR0M25b、RAM25e、I/0インターフェース25c、25d、タイマ25f等にから構成されている。2つのインターフェース25c、25dのうち、一方の25cには、タッチパネルやキーボタン等で構成される操作部24が接続されており、この操作部24からの操作信号がI/0インターフェース25cを介してCPU25aに出力されるようになっている。また、もう一方の25dには、DCソレノイド8、第1制御板21、スイッチ13、26、ベルト駆動モータ22が接続されている。更に、後述の第2制御板21や温湿度検知手段23なども接続されている。
【0052】
ところで、本発明者は先に、特開平10−213974号公報において、転写ベルト(本プリンタの紙搬送ベルトに相当)のコート層側の表面抵抗率を1014[Ω/□]以下に、内側層側の裏面抵抗率を10[Ω/□]以上に規定した転写装置を提案した。本発明者の実験によれば、このように抵抗を規定した転写ベルトを用いれば、環境変動にかかわらず、プレ転写に起因する白抜け画像(以下、単に白抜け画像という)と、転写紙分離不良とを抑えることができた。
【0053】
また、本発明者は鋭意研究により、次に列記するような興味深い現象を見出した。
・L/L(低温低湿)の環境下において厚み全体の体積抵抗率(以下、厚み抵抗ともいう)が1010[Ω・cm]よりも高くなる紙搬送ベルト2は白抜け画像を発生させ難い。
・但し、L/Lの環境下において、「厚み抵抗≦1010[Ω・cm]」になる紙搬送ベルト2であっても、コート層2a側の表面抵抗率(以下、単に表面抵抗率という)が1011[Ω/□]以下になるものは白抜け画像を発生させ難い。
・一方、H/H(高温高湿)の環境下において、厚み抵抗が1010[Ω・cm]よりも高くなる紙搬送ベルト2は転写紙分離不良を起こし難い。
・但し、H/Hの環境下において、「厚み抵抗≦1010[Ω・cm]」になる紙搬送ベルト2であっても、表面抵抗率が10[Ω/□]よりも高くなるものは転写紙分離不良を起こし難い。
【0054】
ベルト抵抗は環境の低温低湿化に伴って高くなるため、H/Hの環境下で厚み抵抗が1010[Ω・cm]よりも高くなる紙搬送ベルト2は、L/Lの環境下でも厚み抵抗が1010[Ω・cm]よりも確実に高くなる。よって、H/Hの環境下の厚み抵抗が1010[Ω・cm]よりも高くなり、H/Hの環境下で表面抵抗率が10[Ω/□]よりも高くなり、且つL/Lの環境下で表面抵抗率が1011[Ω/□]以下になるように各抵抗を規定した紙搬送ベルト2を用いれば、環境の変動にかかわらず、白抜け画像と転写紙分離不良とを抑えることができる。
【0055】
しかしながら、ベルトの各層の抵抗を厳密に規定することは困難であり、この抵抗には製品によってバラツキが生ずる。このため、各抵抗をこのように規定した紙搬送ベルト2や、上記特開平10−213974号公報のように規定した紙搬送ベルト2を製造しようとすると歩留まりが悪化し、紙搬送ベルト2のコストを増加させてしまう。
【0056】
一方、紙搬送ベルト2については、次に列記するような現象が知られている。・L/Lの環境下で、「厚み抵抗≦1010」且つ「表面抵抗率>1011」になる紙搬送ベルト2を用いた場合であっても、転写電流実効値IOUTに対して1よりも小さい補正係数を乗じて第1制御板20の制御目標値を通常よりも低くすれば、白抜け画像の発生を抑えることができる。
・H/Hの環境下で、「厚み抵抗≦1010」且つ「表面抵抗率≦10」になる紙搬送ベルト2を用いた場合であっても、転写電流実効値IOUTに対して1よりも大きい補正係数を乗じて第1制御板20の制御目標値を通常よりも高くすれば、転写紙分離不良を発生させ難くすることができる。
【0057】
次に示す表1は、L/Lの環境下で画像を形成した際における白抜け画像の発生状況の一例をまとめたものである。なお、この表に記載されたベルト(紙搬送ベルト)は、何れもL/Lの環境下における厚み抵抗が1010[Ω・cm]以下になるものである。また、イオン系のコート層2a及び内側層2bによって構成されているものである。
【表1】
Figure 0003914682
【0058】
表1に示すように、L/Lの環境下で「厚み抵抗<1010」且つ「表面抵抗率>1011」になる紙搬送ベルト2を用いる場合であっても、転写電流実効値IOUTに補正係数0.8を乗ずれば白抜け画像の発生を抑えることができる。
【0059】
一方、次に示す表2は、H/Hの環境下で画像を形成した際における転写紙分離不良の発生状況の一例をまとめたものである。なお、この表2に記載されたベルト2は、何れもH/Hの環境下における厚み抵抗が1010[Ω・cm]以下になるものである。また、イオン系のコート層2a及び内側層2bによって構成されているものである。
【表2】
Figure 0003914682
【0060】
表2に示すように、「厚み抵抗<1010」且つ「表面抵抗率≦10」になる紙搬送ベルト2を用いる場合であっても、転写電流実効値IOUTに補正係数1.35を乗ずれば転写紙分離不良を抑えることができる。
【0061】
但し、上述したように、表1や2では何れも、「イオン系(全体)+イオン系(コート層)」という系の組み合わせの紙搬送ベルト2を用いた例を示している。本発明者は鋭意研究により、これら系の組み合わせが異なると、厚み抵抗と表面抵抗率との比率が異なってくるため、白抜け画像の発生を抑え得るL/L用の補正係数の値や、転写紙分離不良を抑え得るH/H用の補正係数の値が異なってしまうことを見出した。
【0062】
次に示す表3は、白抜け画像の発生を抑え得るL/L用の補正係数と、転写紙分離不良を抑え得るH/H用の補正係数と、ベルト層の系の組み合わせとの関係を示したものである。なお、表3において「補正シフト量順位」の小さい補正係数ほど、実数1との差が大きくなり、転写電流実効値IOUTをより大きく補正することになる。
【表3】
Figure 0003914682
【0063】
表3より、H/Hの環境下においては、「イオン系(全体)+イオン系(コート層)」という系の組み合わせの紙搬送ベルト2を用いる場合に、補正シフト量を最も大きくしなければならないことがわかる(補正係数=1.35)。これは、H/Hの環境下において、ベルト全体のイオン系の特性によって厚み抵抗が著しく低下することに加えて、転写紙分離不良に大きく関与する表面抵抗率もコート層2aのイオン系の特性によって著しく低下するためである。補正シフト量順位が第2位になるのは、「イオン系(全体)」「ハイブリッド系(コート層)」という系の組み合わせのもの、及び「カーボン系(全体)+イオン系(コート層)」という系の組み合わせのものである(補正係数=1.25)。これらの組み合わせにおいては、高温高湿化による表面抵抗率の低下がコート層2aのハイブリッド系の特性によって若干軽減されるか、あるいは厚み抵抗がベルト全体のハイブリッド系の特性によって若干軽減されるかする。この結果、「イオン系+イオン系」という組み合わせよりも補正シフト量を小さくすることができる。補正シフト量順位が第3位になるのは、「イオン系(全体)+カーボン系(コート層)」という系の組み合わせのもの、及び「カーボン系(全体)+ハイブリッド(コート層)」という系の組み合わせのものである(補正係数=1.15)。これらの組み合わせにおいては、高温高湿化による表面抵抗率の低下がコート層2aのカーボン系の特性によって更に軽減されるか、あるいは厚み抵抗がベルト全体のカーボン系の特性によって更に軽減されるかする。この結果、補正シフト量を更に小さくすることができる。最も補正シフト量が小さくなくのは、「カーボン系(全体)+カーボン系(コート層)」という組み合わせのものである(補正係数=1.05)。この組み合わせにおいては、厚み抵抗と表面抵抗率との双方について、ベルト全体及びコート層2aのカーボン系の特性によってその低下を大きく軽減して補正シフト量を最も小さくすることができる。
【0064】
一方、L/Lの環境下においては、ベルト全体としてカーボン系の特性を発揮する紙搬送ベルト2に係る補正シフト量を、ベルト全体としてイオン系の特性を発揮する紙搬送ベルト2に係る補正シフト量を大きくしなければならないことがわかる。これは、L/Lの環境下において、前者の紙搬送ベルト2の厚み抵抗が後者の紙搬送ベルト2の厚み抵抗よりも小さくなるためである。中でも、「カーボン系(全体)+イオン系(コート層)」という系の組み合わせのものでは、厚み抵抗がそれほど増加しないことに加えて、表面抵抗率がコート層2aのイオン系の特性によって著しく増加することで、ベルト抵抗全体で表面抵抗の占める割合が最も大きくなる。この結果、補正シフト量を最も大きくしなければならない。また、ベルト全体としてイオン系の特性を発揮する紙搬送ベルト2の中では、「イオン系(全体)+カーボン系(コート層)」という系の組み合わせのものが、ベルト抵抗全体で表面抵抗の占める割合を最も小さくする。この結果、補正シフト量を最も小さくすることができる。
【0065】
よって、表3に基づいて、ベルト全体の系と、コート層2aの系との組み合わせに応じたL/L用の補正係数とH/H用の補正係数とを設定すれば、環境変動にかかわらず、白抜け画像の発生や転写紙分離不良を抑えることができる。
【0066】
しかしながら、このような設定においては、使用する紙搬送ベルト2の規格変更に伴って系の組み合わせを変更した場合には、補正係数を設定し直す必要が生じ、ユーザーのメンテナンス性を悪化させてしまう。
【0067】
一方、紙搬送ベルト2の厚み抵抗と表面抵抗率とを検知する手段を設け、検知結果に基づいて補正係数を逐次変更する方法を採用しても、環境変動にかかわらず、白抜け画像の発生や転写紙分離不良を抑えることができる。
【0068】
しかしながら、既に述べたように、この方法では補正係数を迅速に変更することができない(制御目標値を迅速に補正することができない)という問題がある。
【0069】
そこで、本プリンタにおいては、次のような特徴的な構成によってこれらの問題を解消するようになっている。以下、この特徴的な構成について説明する。
図8は、紙搬送ベルト2のコート層2aや内側層2bに対して所定値の電圧を印加した際における電流供給時間と、図示しない電源からの供給電流値との関係を示すグラフである。図8の供給電流値は、コート層2aや内側層2bの抵抗と反比例の関係にある(電流I=電圧V/抵抗R)。図8より、カーボン系のコート層2aや内側層2bは、イオン系のものに比べて経時依存性の抵抗変化を顕著に示すことがわかる。また、図8は電流供給時間を横軸にしたグラフであるが、電源からの電圧値を変化させた場合のこの電圧値を横軸にし、単位電圧(1V)あたりの供給電流値との関係を示しても同様のグラフになる。即ち、カーボン系のコート層2aや内側層2bは、イオン系のものに比べて電圧依存性の抵抗変化も顕著に示すのである。更に、これら抵抗変化特性について、電圧依存性を顕著に発揮するにもかかわらず経時依存性をそれほど顕著に発揮しない部材や、この逆に、電圧依存性をそれほど顕著に発揮しないにもかかわらず経時依存性を顕著に発揮する部材は、環境依存性が中程度に現れる。具体的には、図1の特性がカーボン系であるにもかかわらず図2の特性がイオン系に近い部材や、図1の特性がイオン系に近いにもかかわらず図2の特性がカーボン系である部材は、図3の特性がカーボン系とイオン系との中間のハイブリッド系になることを見出した。
【0070】
本プリンタは、このような抵抗変化特性を利用して、ベルト全体の系を検査するようになっている。具体的には、まず、転写電源17からの出力電圧値Iに基づいて紙搬送ベルト2の厚み抵抗の時間変化量を検知する。この「時間変化量」とは、転写電流供給直後の出力電流値Iと一定時間後の出力電流値Iの変化率又は差のことである。厚み抵抗の時間変化量を検知する方法の一例としては、ある一定電圧の転写電流を供給しながらその出力電流値Iを電圧印加直後から所定時間後まで検知してその変化量を検出する方法がある。また、ある一定の転写定電流を供給してその電圧の時間変化量を検知しても良い。本プリンタでは、(1分後の出力電流値I)÷(印加直後の電流値)として電流変化率ΔItを求めている。そして、この電流変化率ΔItに基づいて厚み抵抗変化率ΔRtを算出し、このとき同時に、紙搬送ベルト2の厚み抵抗Rの値も算出する。次いで、算出した抵抗変化率ΔRtに基づいて、ベルト全体の系についてイオン系であるのか、あるいはカーボン系であるのかを判定する。なお、出力電流値Iの測定時間は1分後に限らず、2分後、3分後などでもよい。
【0071】
抵抗変化率ΔRtの算出や系の判定は制御部25(図7)によって行われる。詳しくは、第1制御板20から出力される「出力電流値Iのデジタル信号」に基づいて、電流変化率ΔItと抵抗変化率ΔRtとを算出する。そして、算出結果が「変化率ΔRt≧0.5」になる場合にはカーボン系と判定し、ならない場合にはイオン系と判定する。なお、抵抗変化率ΔRtを算出することなく、電流変化率ΔItかベルト全体の系を判定してもよい。
【0072】
また、本プリンタは、コート層2aの系も検査するようになっている。具体的には、紙搬送ベルト2の表面抵抗率の時間変化量に基づく系の検査と、電圧変化量に基づく系の検査とを実施する。
【0073】
時間変化量に基づく系の検査では、まず、制御部25がスイッチ13をOFFし且つスイッチ26をONにした後、第2制御板21(図4)に時間変化量検査用の制御信号を送る。第2制御板21は、この制御信号が出力されると、転写電源17からの出力電流値を一定に制御する。転写用電源17からのバイアスは、クリーニングローラ12aから紙搬送ベルト2の表面を伝わってその表面方向に流れた後、ローラ6の側方で該表面に接触している表面電極19に伝わる。そして、第2制御板21を経由した後、転写電源17にフォードバックする。第2制御板21は、表面電極19からの電流を検知すると、この値をデジタル信号として制御部25に出力する。制御部25は、出力されてくるこのデジタル信号に基づいて、電流変化率ΔItと抵抗変化率ΔSRtとを算出する。そして、算出結果が「変化率ΔSRt≧0.5」になる場合にはコート層2aをカーボン系と判定し、ならない場合にはイオン系と判定する。
【0074】
電圧変化量に基づく系の検査では、まず、第2制御板21に電圧変化量検査用の制御信号を送る。第2制御板21は、この制御信号が出力されると、転写電源17からの出力電圧値を徐々に上昇させるように制御しながら、表面電極19から流れてくる電流の値をデジタル信号として制御部25に出力するとともに、このときの転写電源17からの出力電圧値もデジタル信号として制御部25に出力する。制御部25は、出力されてくるこれらのデジタル信号に基づいて、単位電圧あたりにおける出力電流値を算出する。そして、順次送られてくるこれらデジタル信号に基づいて、単位電圧あたりの出力電流値の変化率ΔSRvを算出する。更に、この算出結果が「変化率ΔSRv≧0.5」になる場合にはコート層2aをカーボン系と判定し、ならない場合にはイオン系と判定する。
【0075】
制御部25は、時間変化量に基づく系の検査結果と、電圧変化量に基づく系の検査結果とが一致する場合には、コート層2aを最終的にその系(イオン系又はカーボン系)であると判定する。また、両検査結果が一致しない場合には、両系の中間であるハイブリッド系であると判定する。
【0076】
制御部25のROM25bには、上記表3の補正シフト量順位を除いたデータが補正係数特定用のデーターベースとして格納されている。制御部25は、判定したベルト全体の系と、コート層2aの系とに基づいて、このデーターベースからL/L用の補正係数とH/H用の補正係数とを特定する。
【0077】
図9は、本プリンタの変形例を示す概略構成図である。この変形例のプリンタでは、紙搬送ベルト2の表面を流れる表面電流を表面電極19によって検知するのではなく、感光体ドラム1によって検知する。かかる構成においては、感光体ドラム1と紙搬送ベルト2とが接触し、且つニップ部Bに転写紙Sが挟まれていない状態でコート層2aの系の検査が可能になる。なお、図4及び図9では、紙搬送ベルト2の表面に供給するバイアスの電源として転写電流供給用の転写電源17を兼用するようにしているが、専用の電源を設け、これに第2制御板を接続してもよい。また、クリーニングローラ12aから表面電流検知用のバイアスを供給するようにしているが、別の電極を設けてこれから供給するようにしてもよい。
【0078】
図10及び図11は、それぞれ図9で示した変形例のプリンタの表面電流検知タイミングを示すタイミングチャートである。これらの図におけるクリーニングバイアスは、紙搬送ベルト2をクリーニングするためのバイアスではなく、表面電流検知用のバイアスである。図10には表面抵抗率の電圧変化量を検査する際の表面電流検知タイミングを示し、図11には表面抵抗率の時間変化量を検査する際の表面電流検知タイミングを示してある。最上段に示されるのは紙搬送ベルト2を感光体ドラム1に接離させるDCソレノイド8の動作タイミング、中段はクリーニングバイアスの印加タイミングであり、下段はコート層2aから感光体ドラム1に流入する流入電流の検知タイミングを示している。なお、図4で示したプリンタの場合には、紙搬送ベルト2を感光体ドラム1から離間させた状態でも、表面電流を検知することができる。
【0079】
参考のため、差分定電流制御における出力電流値Iの検知タイミングを図12に示す。但し、図10及び図11では電流検知の主体を制御部25として示してあるのに対し、図12では主体を第1制御板20として示してある。図10や図11で電流検知の主体を第2制御板21にした場合には、図12と同様の検知タイミングとなる。第1制御板20や第2制御板21は電流を随時検知しているからである。
【0080】
図13及び図14は、本プリンタの主電源ON直後における立ち上げ時の制御の一部を示すフローチャートである。図示の制御では、まず、コート層2aへの電源供給をONにする(ステップ1:s1)。具体的には、図4のスイッチ26をONにする。このとき、バイアスローラ16に転写電源17からの電流が供給されないように、スイッチ13をOFFにしておく。そして、転写電源17からの出力電流値と、第2制御板21によって検知される電流値とに基づいて表面抵抗SRを算出し(s2)、算出結果を初期SRとしてRAM25eに記憶する(s3、s4)。このとき、転写電源17から数KV程度を出力してもよい。次いで、上述のようにしてΔSRtとΔSRvとを測定した後(s5、s6)、スイッチ26をOFFにしてコート層2aへの電源供給をOFFにする。そして、今度はスイッチ13をONにし(s8)、転写電源17からの出力電流値と、第1制御板20によって検知される帰還電流I値とに基づいて厚み抵抗を測定する(s9)。更に、上述のようにしてΔRtを測定した後(s10)、このΔRtについて0.5以上であるか否かを判断する(s11)。そして、ΔRtを0.5以上であると判断した場合には紙搬送ベルト2の全体の系をカーボン系であると判定し(s12)、0.5以上でないと判断した場合にはイオン系であると判定する(s13)。
【0081】
このようにして紙搬送ベルト2の全体の系を判定すると、次に、コート層2aの系を判定する。具体的には、まず、先に測定しておいたΔSRvとΔSRtとについて、それぞれ0.5以上であるか否かを判断し(s14、s15)、両方とも0.5以上であると判断した場合には(s15でY)コート層2aの系をカーボン系であると判定する(s17)。また、両方とも0.5以上でないと判断した場合には(s16でN)イオン系であると判定し(s19)、どちらか一方のみを0.5以上であると判断した場合には(s15でN、又はs16でY)ハイブリッド系であると判定する(s18)。
【0082】
このようにしてコート層2aの系を判定すると、次に、補正係数を特定する。具体的には、判定したベルト全体の系と、コート層2aの系とに基づいて、ROM25b(図7)に格納している上記表3よりH/H用の補正係数とL/L用の補正係数とを特定する(s20)。そして、それぞれの補正係数をRAM25eに記憶した後(s21)、温湿度検知手段23(図7)で検知した環境(H/H、M/M又はL/L)を初期環境としてRMA25eに記憶する(s22)。
【0083】
ここで、この初期環境がL/L又はM/Mであり、先に算出しておいた厚み抵抗が1010[Ω・cm]を下回り、且つ先に算出しておいた初期SRが1011[Ω/□]を超える場合には、プレ転写に起因する白抜け画像を生ずるおそれがある。そこで、このような場合(s23でY、s25でN、且つs26でN)には、以降の差分定電流制御において、補正係数として先に特定しておいたL/L用の補正係数を用いる(s28)。これにより、プレ転写に起因する白抜け画像の発生を抑えることができる。
【0084】
また、上記初期環境がH/Hであり、先に算出しておいた厚み抵抗が1010[Ω・cm]を下回り、且つ先に算出しておいた初期SRが10[Ω/□]以下である場合には、転写紙分離不良によって形成画像に爪跡を生ずるおそれがある。そこで、このような場合(s23でY、s25でY、且つs27でY)には、以降の差分定電流制御において、補正係数として先に特定しておいたL/L用の補正係数を用いる(s30)。これにより、転写紙分離不良を抑えることができる。
【0085】
一方、先に算出しておいた厚み抵抗が1010[Ω・cm]を超える場合、上記初期環境がL/LやM/Mであっても初期SRが1011[Ω/□]以下である場合、あるいは、上記初期環境がH/Hであっても初期SRが10[Ω/□]を超える場合、には白抜け画像や転写紙分離不良を生ずる可能性が少ない。そこで、これらの場合には、転写電流実効値IOUTの制御目標値を補正しないように、補正係数として1を用いる(s29又はs24)。
【0086】
なお、本プリンタにおいては、コート層2aの系をカーボン系とイオン系との2系統だけでなく、ハイブリッド系をも含めた3系統に分類することで、コート層2aの環境依存性の強さをより細かく分類して、後述の転写電流実効値IOUTをより正確に補正して、白抜け画像の発生や転写紙分離不良をより確実に抑えることができる。
【0087】
但し、以上のような制御によって特定した補正係数を用いても、装置内の各機器の発熱などによって環境が変化すると、選択した補正係数が不適切になって白抜け画像や転写紙分離不良を起こすおそれがある。そこで、本プリンタにおいては、画像形成動作毎などの所定のタイミングで、補正係数の確認を行っている。
【0088】
図15は、この補正係数の確認用の制御を示すフローチャートである。図において、上記制御部25は、まず、上記温湿度検知手段23の検知結果に基づいて、そのときの環境について先に検知しておいた初期環境と同じであるか否かを判断する(s1)。そして、同じである場合には先に選択した補正係数をそのまま継続して使用しても差し支えないので、補正係数の確認用の制御を終了する(s1でY)。また、そのときの環境が初期環境と異なる場合には、補正係数を変更すべく、次に示す表4に基づいて表面抵抗SRの予測係数を特定する。なお、この表4も上記ROM25bに格納されている。
【表4】
Figure 0003914682
【0089】
環境変動に伴う紙搬送ベルト2の表面抵抗SRの変動率は、コート層2aの系によって大きく異なってくるが、系が同じであればほぼ一定の変動率となる。本プリンタでは、図13及び図14で示した立ち上げ時の制御でコート層2aの系を既に特定してあるので、そのときの環境が初期環境からどのように変動しているのか(例えば、初期環境L/LからH/Hに変動したなど)がわかれば、表面抵抗SRをある程度正確に予測することができる。具体的には、この表4で示される予測係数を上記s2で予め測定しておいた初期SRに乗ずれば、環境変動後の表面抵抗をある程度正確に予測することができる。なお、この表4の各補正予測係数は予めの試験によって求められたものである。
【0090】
そこで、上記制御部25は、上記s1の制御でそのときの環境が初期環境と異なると判断した場合には、温湿度検知手段23の検知結果と、上記RAM25eに記憶している初期環境とに基づいて、表4から表面抵抗SRの予測係数を特定するのである(s2)。そして、特定した予測係数を上記初期SRに乗じて表面抵抗SRを求める(s3)。
【0091】
表面抵抗SRを求めると、次に、スイッチ13をONにしてバイアスローラ16に転写電源17の転写用電流を供給する(s4)。但し、図15では便宜的にこのs4を記しているが、本プリンタでは図15の制御を画像形成動作中に実施するようになっており、スイッチ13は転写工程のために既にONしている。このため、改めてスイッチ13をONする必要はない。そして、転写電源17からの出力電流値Iと、第1制御板20によって検知される帰還電流値Iとに基づいて厚み抵抗を算出する(s5)。
【0092】
このようにして算出した厚み抵抗が1010[Ω・cm]を超える場合には、転写電流実効値IOUTの制御目標値を補正しなくても、白抜け画像や転写紙分離不良を生ずる可能性は少ない。そこで、このような場合には(s6でN)、以降の差分定電流制御において補正係数として1を用いる(s7)。
【0093】
一方、厚み抵抗が1010[Ω・cm]を下回り、そのときの環境がL/L又はM/Mであり、且つ先に予測しておいた表面抵抗SRが1011[Ω/□]を超える場合には、プレ転写に起因する白抜け画像を生ずるおそれがある。そこで、このような場合(s6でY、s8でN、且つs9でN)には、以降の差分定電流制御において、補正係数として先に特定しておいたL/L用の補正係数を用いる(s12)。これにより、プレ転写に起因する白抜け画像の発生を抑えることができる。
【0094】
また、厚み抵抗が1010[Ω・cm]を下回り、そのときの環境がH/Hであり、且つ先に予測しておいた表面抵抗SRが10[Ω/□]以下である場合には、転写紙分離不良によって形成画像に爪跡を生ずるおそれがある。そこで、このような場合(s6でY、s8でY、且つs11でY)には、以降の差分定電流制御において、補正係数として先に特定しておいたL/L用の補正係数を用いる(s13)。これにより、転写紙分離不良を抑えることができる。
【0095】
また、厚み抵抗が1010[Ω・cm]を下回る場合であっても、そのときの環境がL/LやM/Mであり且つ表面抵抗SRが1011[Ω/□]以下である場合、あるいは、そのときの環境がH/Hであり且つ表面抵抗SRが10[Ω/□]を超える場合、には白抜け画像や転写紙分離不良を生ずる可能性が少ない。そこで、これらの場合には、転写電流実効値IOUTの制御目標値を補正しないように、補正係数として1を用いる(s10)。
【0096】
このような補正係数の確認用の制御では、環境が変動した際に、紙搬送ベルト2の表面抵抗SRを新たに検知し直すことなく、補正係数を適正に変更することができる。
【0097】
以上、本実施形態のプリンタによれば、環境変動と、紙搬送ベルト2の厚み抵抗Rと、表面抵抗SRとに応じた適切な補正係数を転写電流実効値IOUTの制御目標値に乗じてプレ転写の発生や転写紙分離不良を確実に抑えることができる。また、環境が変動した際に、紙搬送ベルト2の表面抵抗SRを新たに検知し直すことなく、補正係数を適正に変更するので、転写電流実効値IOUTの制御目標値を迅速に補正することができる。また、本プリンタでは、紙搬送ベルト2のコート層2a側表面に電圧を供給するための電圧供給手段として、既存のクリーニングローラ12aと転写電源17とを用いているので、該電圧供給手段を新たに設けることによるコストアップを回避することができる。
【0098】
図16、図17及び図18は、紙搬送ベルト2のコート層2a側表面に電圧を供給するための手段として、帯電チャージャを用いた場合の構成を示す側面図である。帯電チャージャの配置は、紙搬送ベルト2を帯電させ得る位置であればどこでも構わない。但し、ローラ5の近傍において、紙搬送ベルト2と転写紙Sとの分離を助長するための分離助長用帯電チャージャを設けている場合には、これを表面抵抗SR検知用の電圧供給手段として用いることができるので、クリーニングローラ12a等を用いる場合と同様に、該電圧供給手段を設けることによるコストアップを回避することができる。
【0099】
以上、本発明を適用した実施形態のプリンタについて説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では転写用接触部材として紙搬送ベルト2を設けたプリンタについて説明したが、図19に示す画像形成装置で図20に示すような多層構造の紙搬送ローラを備えるものなど、他の転写用接触部材を設けた画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、差分定電流制御方式に限らず、単なる定電流制御や、感光体ドラム1に流れる転写電流実効値IOUTを直接検知して出力電流値Iを制御する方式のものにも本発明の適用が可能である。また、厚み抵抗Rや表面抵抗SRを算出せず、これらの代わりに第1制御板20や第2制御板21によって検知される電流値を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。
【0100】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、プレ転写の発生や記録部材分離不良を確実に抑えることができるという優れた効果がある。また、転写用電流制御手段の制御目標値を迅速に補正することができるという優れた効果がある。
【0101】
請求項2又は3の発明によれば、該電荷付与手段を新たに設けることなく、上記表面抵抗を算出させたり、この表面抵抗の変化特性を検査させたりすることができるので、この電荷付与手段を新たに設けることによるコストアップを回避することができるという優れた効果がある。
【0102】
請求項4の発明によれば、転写用接触部材として転写用接触ベルトを設ける場合よりも、装置の構成を簡素化するので、装置のコストを低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】部材の抵抗値R1と、この部材に対する電荷供給時間との関係を示すグラフ。
【図2】部材の抵抗値R1と、この部材に対する供給電圧値との関係を示すグラフ。
【図3】部材の抵抗値R1と、環境との関係を示すグラフ。
【図4】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図5】同プリンタの現像工程及び転写工程を示す模式図。
【図6】同プリンタの転写装置の従動側ローラを示す平面図。
【図7】同プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【図8】同プリンタのコート層2a又は内側層2bに対する電流供給時間と、第2制御板又は第1制御板によって検知される電流値との関係を示すグラフ。
【図9】同プリンタの変形例装置を示す概略構成図。
【図10】同変形例装置における表面電流の検知タイミングを示すタイミングチャート(ΔSRv測定用)。
【図11】同検知タイミングを示すタイミングチャート(ΔSRt測定用)。
【図12】同変形例装置における出力電圧値Iの検知タイミングを示すタイミングチャート。
【図13】同プリンタにおける立ち上げ時の制御の一部を示すフローチャート。
【図14】同制御の続きの部分を示すフローチャート。
【図15】同プリンタにおける画像形成時の制御の一部を示すフローチャート。
【図16】帯電チャージャによってコート層表面に電圧を供給するようにした変形例装置の一部を示す構成図。
【図17】図16とは異なる変形例装置を示す構成図。
【図18】図16及び図17とは異なる変形例装置を示す構成図。
【図19】転写用接触部材として紙搬送ローラを設けた変形例装置を示す概略構成図。
【図20】同紙搬送ローラを示す断面図。
【図21】従来の画像形成装置を示す概略構成図。
【図22】同画像形成装置の紙搬送ベルト2の断面図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 紙搬送ベルト
2a コート層
2b 内側層
3 転写前除電ランプ
4 分離爪
5、6 ローラ
7 支持体
8 DCソレノイド
9 アーム
10 レジストローラ対
12 クリーニング装置
12a クリーニングローラ
13 スイッチ
14 定着ローラ
15 加圧ローラ
16 バイアスローラ
17 転写電源
18 接触板
19 電極
20 第1制御板
21 第2制御板
22 ベルト駆動モータ
23 温湿度検知手段
24 操作部
25 制御部
26 スイッチ
27 抵抗

Claims (4)

  1. 可視像を担持する像担持体と、該像担持体との間に介在せしめた記録部材又は自らの表面に、該像担持体上の該可視像を転写するように該像担持体に接触する転写用接触部材と、該転写用接触部材の裏面に転写用電流を供給する転写用電流供給手段と、該転写用電流供給手段から出力される該転写用電流の値を制御する転写用電流制御手段と備える画像形成装置において、
    該転写用接触部材の厚み方向の抵抗を検知する第1抵抗検知手段と、
    一定電圧又は一定電流を供給している該転写用接触部材の一定時間内における該抵抗の変化量、あるいは該転写用接触部材に供給する電圧を変化させた際における該抵抗の変化量を検査する第1検査手段と、
    該転写用接触部材の表面抵抗を検知する第2抵抗検知手段と、
    一定電圧又は一定電流を供給している該転写用接触部材の一定時間内における該表面抵抗の変化量、あるいは該転写用接触部材に供給する電圧を変化させた際における該表面抵抗の変化量を検査する第2検査手段と、
    温湿度を検知する温湿度検知手段とを設け、
    該第1抵抗検知手段の検知結果と、該第1検査手段の検査結果と、該第2抵抗検知手段の検査結果と、該第2検査手段の検査結果と、該温湿度検知手段の検知結果とに基づいて、該転写用電流を制御させるように該転写用電流制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 帯電した可視物質によって上記像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、該可視物質の帯電極性とは逆極性のクリーニングバイアスが印加されるクリーニング部材を上記転写用接触部材の表面に接触させて、該表面に付着した該可視物質を該表面から該クリーニング部材に静電的に移動させて除去するクリーニング手段とを備える請求項1の画像形成装置において、
    上記第2抵抗検知手段及び第2検査手段として、該クリーニング手段から該表面へとクリーニングバイアスを印加させながら、該クリーニング部材との接触位置から離れた位置の該表面に流れる表面電流又はこれの変化量を検知し、検知結果に基づいて、上記表面抵抗を算出するか、あるいは上記表面抵抗の変化特性を検査するものを設けたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 上記転写用接触部材と、これによって搬送される記録部材との分離を静電的に助長するために該転写用接触部材の表面に電荷を付与する分離助長手段を備える請求項1の画像形成装置において、
    上記第2抵抗検知手段及び第2検査手段として、該分離助長手段から該表面へと電荷を付与させたながら、該電荷の供給位置から離れた位置の該表面に流れる表面電流又はこれの変化量を検知し、検知結果に基づいて、上記表面抵抗を算出するか、あるいは上記表面抵抗の変化特性を検査するものを設けたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1の画像形成装置において、
    上記転写用接触部材として転写用接触ローラを設けたことを特徴とする画像形成装置。
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