JP3913936B2 - 地上構造物の基礎工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上構築物・その基礎又は法面の地上定着部等の地上構造物を安定して設置し、アンカーによって強固に支持する地上構造物の基礎工法に関し、特に法面の凹凸が大きい場合の地上定着部の構築に有用な技術である。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート製の地上定着部材の下面に膨縮自在な袋を敷いて、同袋にモルタル・コンクリートペースト等の硬化材を圧入して法面の凹凸に密着させる法面アンカーを本出願人は開発した。
しかしながら、袋に硬化材を圧入しても法面の表面に沿って横方向に膨むため袋の外周に拘束枠を必要としていた。又袋体の上方の地上定着部材の不安定な姿勢となって地上定着部の支持力が不足していた。又コンクリート製の地上定着部材を袋体が持ち上げるには高い硬化材注入圧を必要としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題を解消し、垂直方向に伸張し易く水平に拡がらずに地面の凹凸に密着しながらその上方の地上構造物を安定した角度に保持でき、強固な安定した地上構造物の基礎を形成できる地上構造物の基礎工法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 地中に打設されたアンカー地中定着部にアンカー引張部材の一端を固定し、同アンカー引張部材の他端を地上構造物に緊締して地上構造物を安定化する地上構造物の基礎工法に於いて、内部が中空の地上構造物の外形箱体の底面に蛇腹状に折り畳まれて上下方向に伸縮自在とした筒状袋体を取付け、同外形箱体を法面に載置後に前記袋体にモルタル又はコンクリートペースト等の硬化材を圧入し、袋体を硬化材で膨らまして袋体の底面を法面の表面の凹凸に沿って変形させるとともに袋体の上面の高さを伸張して外形箱体を所要の角度で保持し、袋体内の硬化材の硬化後に外形箱体内にコンクリートを流入して地上構造物を構築し、同コンクリートが固化後にアンカー引張部材を緊締して安定した地上構造物を形成することを特徴とする地上構造物の基礎工法
2) 袋体の上面及び底面に布を全面的に張付けた前記1)記載の地上構造物の基礎工法
3) 地上構造物が法面上に設置されるアンカー引張部材の地上定着部である前記1)又は2)記載の地上構造物の基礎工法
にある。
【0005】
【作用】
本発明では、袋体は折畳み自在にしていることから、硬化材を圧入しても横に拡がることが少なく、上下方向に主に伸長するようにして、上方の外形箱体を所要の角度姿勢にし易くしている。又地上構造物はその外形の中空の軽量の外形箱体の形態で袋体に硬化材を圧入して持ち上げるようにしたので、硬化材の圧入圧力を低くして容易に持ち上げられるようにした。所定の角度に外形箱体を持ち上げ、硬化材が硬化した後に外形箱体内に本来の素材のコンクリートを流入させて地上構造物を構築するようにした。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の外形箱体は鋼製・アルミ製が使用でき地上構造物の全外形をとった型枠の場合と、地上構造物の一部又は基礎部分の外形をとってコンクリートでその部分を構築できる型枠状の外形箱体の場合とがある。
本発明の袋体の素材は、モルタル・コンクリートペーストが圧入しても破損がない強度ある防水性素材を選択する。例えば厚み1mm程の軟質塩化ビニールのシートがよい。又袋体の蛇腹部分に一定ピッチにリング状の拘束ワイヤを周設すると上下方向への膨張の方向性を高めることができる。
又袋体の上面と底面は、岩の角等で切れにくい高強度の布を貼り合せておくのがよい。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例は、法面の地上定着部の構築に本発明を使用した例である。
図1は、実施例の地上定着部の外形箱体と袋体を示す平面図である。
図2は、図1のX−X矢視図である。
図3は、図1のY−Y断面図である。
図4は、実施例の袋体の底面図である。
図5は、実施例の施工後の状態を示す縦断面図である。
図6は、実施例の工程説明図である。
図中、Aは法面の地上定着部、1は十字状の鋼製の地上定着部Aの外形箱体、1aは同外形箱体1の十字に延びたアーム部、1bは同外形箱体1の内部に充填されたコンクリート、1cはアンカー引張部材3の地中定着部Aとの緊締止具、2は軟質塩化ビニール製の台形状の袋体、2aは同袋体の蛇腹部、2bは袋体2の上面と外形箱体1の底面との間に接着された高強度の布、2cは袋体2の底面に接着された高強度の布、2dは袋体2の底面及びこれに接着した布2b外周に設けた鍔部、2eは同鍔部に設けた布連結用ハトメ、2fはコンクリート注入ホース、2gは蛇腹部2aの外周に周設した環状ワイヤ、3はアンカー引張部材、4は地中定着部、5a,5bは外形箱体1の中央のコア部底面に取付けた袋体2と同一構造の蛇腹の中央袋体、6は法面、6aは法面6の表面、7はコンクリートである硬化材、8はコンクリートである。
この実施例では、アーム部1aが十字状に延びた鋼製の外形箱体1の各アーム部1aの底面に袋体2と中央袋体5a,5bを接着している。この袋体2・中央袋体5a,5bを取付けた中空の外形箱体1を法面6上に置く。次にコンクリート注入ホース2fを介してコンクリートペーストを圧入する。すると袋体2・中央袋体5a,5b内に圧入されたコンクリートペーストは袋体2・中央袋体5a,5bの底面及び上面を加圧し、底面は法面6の表面凹凸に沿うように変形する。上面の加圧力はアーム部1aを持ち上げる。コンクリートペーストを多く圧入するにつれ、袋体2の蛇腹部2aは伸ばされて袋体2は上方へ膨張する。充分にコンクリートペーストを圧入して袋体2・中央袋体5a,5bの底面が法面6の表面6aに密着し、且つ外形箱体1を所定の姿勢に保持し、コンクリートペーストの圧入を停止し、コンクリート注入ホース2fを閉鎖する。
袋体2,中央袋体5a,5bに圧送したコンクリートペーストが硬化した後に外形箱体1内にコンクリートを流し込んで地上定着部Aを構築する。又緊締止具1cで外形箱体1及びその下位の硬化したコンクリートペーストの入った袋体2・中央袋体5a,5bを法面に押し付けるように、緊張させた状態で地上定着部Aを強固に支持する。
この地上定着を終えた状態を図5に示す。このようにコンクリートが入った外形箱体1の下部は、法面6の法面6aの凹凸に密着したコンクリートペーストが充填固化した袋体2・中央袋体5a,5bが存在することで地上定着部Aは強固に法面6に定着できる。しかも地上定着部Aの角度も法面に安定した角度にでき、地上定着部Aを安定且つ強固に設置できる。
【0008】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、蛇腹で上下方向に伸縮し易くした袋体を用いることで、法面の表面凹凸に密着し易くし、且つ中空の外形箱体を安定した角度に保持でき易くする。中空の外形箱体を所定角度保持した後硬化材を注入するので、施工が容易となり、強固に法面に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の地上定着部の外形箱体と袋体を示す平面図である。
【図2】図1のX−X矢視図である。
【図3】図1のY−Y断面図である。
【図4】実施例の袋体の底面図である。
【図5】実施例の施工後の状態を示す縦断面図である。
【図6】実施例の工程説明図である。
【符号の説明】
A 地上定着部
1 外形箱体
1a アーム部
1b コンクリート
1c 緊締止具
2 袋体
2a 蛇腹部
2b 布
2c 布
2d 鍔部
2e ハトメ穴
2f コンクリート注入ホース
2g ワイヤ
3 アンカー引張部材
4 地中定着部
5a,5b 中央袋体
6 法面
6a 表面
7 硬化材
8 コンクリート
Claims (3)
- 地中に打設されたアンカー地中定着部にアンカー引張部材の一端を固定し、同アンカー引張部材の他端を地上構造物に緊締して地上構造物を安定化する地上構造物の基礎工法に於いて、内部が中空の地上構造物の外形箱体の底面に蛇腹状に折り畳まれて上下方向に伸縮自在とした筒状袋体を取付け、同外形箱体を法面に載置後に前記袋体にモルタル又はコンクリートペースト等の硬化材を圧入し、袋体を硬化材で膨らまして袋体の底面を法面の表面の凹凸に沿って変形させるとともに袋体の上面の高さを伸張して外形箱体を所要の角度で保持し、袋体内の硬化材の硬化後に外形箱体内にコンクリートを流入して地上構造物を構築し、同コンクリートが固化後にアンカー引張部材を緊締して安定した地上構造物を形成することを特徴とする地上構造物の基礎工法。
- 袋体の上面及び底面に布を全面的に張付けた請求項1記載の地上構造物の基礎工法。
- 地上構造物が法面上に設置されるアンカー引張部材の地上定着部である請求項1又は2記載の地上構造物の基礎工法。
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