JP3912449B2 - 同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法 - Google Patents

同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトウェアによって界磁極位置の補正を行いつつ同期電動機を制御する同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法に係り、特に、適切な同期電動機の制御を実現し得る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
制御対象の同期電動機において、今、実際の界磁極位置をφ、検出した界磁極位置をθ、界磁極位置φとθの差をδ1、印加する電流の位相をρ、電流位相の補正量をγ、実際の界磁極位置φと印加する電流の位相差をδとすると、以下の(1)式から(3)式が成立する。
φ=θ+δ1 …(1)
ρ=θ+γ …(2)
δ=φ―ρ=δ1 ―γ …(3)
また、界磁極の大きさをΦ、印加する電流の大きさをIとすると、発生電磁力Tは、
T=K×Φ×I×COS(δ) …(4)
となる。ただし、Kは正の定数である。また、発生電磁力Tは、回転形の同期電動機の場合には発生トルクであり、直動形の同期電動機の場合には発生推力である。以下では、直動形の同期電動機について説明を行う。発生推力が最大になる電流位相の補正量γ(=δ1)は、印加する電流によらず、発生電磁力Tが零になる電流位相の補正量δ0を90[゜]ずらしたものである。
【0003】
従来の磁極位置センサを具備しない同期電動機の制御装置における界磁極位置の補正方法には、ソフトウェアによって界磁極位置の補正処理を行うものとして、特開平8−182399号公報に開示されたものがある。図6は、従来の界磁極位置補正処理が適用される同期電動機(3相)のベクトル制御による駆動装置の構成図を示す。また、図7は、従来の同期電動機の制御装置における界磁極位置の補正方法を説明するフローチャートである。
図6において、位置センサ106は、同期電動機105の回転位置を検出する。CPU601は、トルク指令iとカウンタ607で検出された同期電動機105の位置xを用いて演算を行い、2相の電流指令Iu,IvをそれぞれD/A変換器602a,602bによってデジタル/アナログ変換して2相/3相変換回路610に出力する。2相/3相変換回路610は、入力した2相の電流指令を3相の電流指令iu,iv,iwに変換し、パワーアンプ103を制御する。パワーアンプ103は、これら3相の電流指令iu,iv,iwに対応した電流を同期電動機105に供給して同期電動機105を起動する。
界磁極位置の補正方法について、その詳細は省略するが、要点を以下に説明する。印加する電流の位相(ρ)の補正量(γ)を変化させて、印加する電流の大きさに関わらず発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ0)を、発生電磁力の極性を加速度の極性より判定して求め、この電流位相補正量(δ0)を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ1)を導出し、この電流の位相の補正量(δ1)と位置検出器で検出された仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ)を決定して同期電動機105を制御するものであって、電磁力指令を仮の目標値まで単調増加させて、加速度が大きいときは目標値を小さく、また加速度が小さいときは目標値を大きくするものである。
すなわち、加速度が大きいときは、発生電磁力が大きいので電磁力指令を小さくしても外乱に打ち勝つことができ、その結果回転量(移動量)を小さくすることができ、また、加速度が小さいときは、回転量(移動量)が小さいので電磁力指令を大きくすることができ、発生電磁力の極性の判断精度を上げることを可能としたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法にあっては、ソフトウェアにより上記のように発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ0)を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ1)を導出して同期電動機を制御するものであるため、例えば、可動子に永久磁石を配置し固定子に電機子を持った同期電動機を制御しようとする際、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合でも、発生電磁力が零であるとみなして界磁極位置の補正処理を終了してしまう。その結果、界磁極位置を誤補正のまま同期電動機を制御することとなり、適切に同期電動機の制御が行えないという問題点があった。
また、上記従来の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法にあっては、例えば、可動子に永久磁石を配置し固定子に電機子を持った同期電動機を制御しようとする際、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合(システムとしては異常状態といえる)でも発生電磁力が零であるとみなして界磁極位置の補正処理を終了してしまう。その結果、界磁極位置を誤補正のまま同期電動機を制御することとなり、適切に同期電動機の制御が行えないという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、例えば、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合でも確実な界磁極位置補正を行い、適切な同期電動機の制御を実現し得る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法を提供することを目的としている。
また、本発明の他の目的は、界磁極位置の誤補正を判断して確実な界磁極位置補正を行うことができ、適切な同期電動機の制御を実現し得る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、同期電動機の位置を検出する位置検出手段と、印加する電流の位相(ρ)の補正量(γ)を変化させて、印加する電流の大きさに関わらず発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ 0 )を、発生電磁力の極性を加速度の極性より判定して求め、該電流位相補正量(δ 0 )を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ 1 )を導出し、該電流位相の補正量(δ 1 )と前記位置検出手段で検出された仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ 1 )を決定する界磁極位置補正処理をし、該電流の位相(ρ 1 )を持つ電流指令により前記同期電動機を制御する制御手段と、を備えた同期電動機の制御装置において、前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令で前記同期電動機を駆動して、可動子移動量または可動子移動時間に基づいて、前記界磁極位置補正処理が十分か否かを判断する動作確認手段を備え、前記動作確認手段が前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断した場合のみ、再度、前記界磁極位置補正処理をするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明における所定方向の前記推力指令で前記同期電動機を駆動した際、前記動作確認手段が、前記可動子移動量が前記所定方向とは逆方向の所定移動量より大きい場合、または、前記可動子移動時間が所定時間より長い場合、前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断し、前記可動子移動量が前記所定方向に所定移動量以上、かつ、可動子移動時間が所定時間以内の場合、前記界磁極位置補正処理が十分であると判断するものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明における前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令に代わり、前記電流指令に基づく正方向および負方向の位置指令で前記同期電動機を駆動するものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明における前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令に代わり、前記電流指令に基づく正方向および負方向の速度指令で前記同期電動機を駆動するものである。
請求項5に記載の発明は、同期電動機の位置を検出する位置検出手段と、電流の位相(ρ 1 )を持つ電流指令により前記同期電動機を制御する制御手段とを備え、印加する電流の位相(ρ)の補正量(γ)を変化させて、印加する電流の大きさに関わらず発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ 0 )を、発生電磁力の極性を加速度の極性より判定して求め、該電流位相補正量(δ 0 )を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ 1 )を導出し、該電流位相の補正量(δ 1 )と前記位置検出手段で検出された仮の界磁極位置(θ)より印加する前記電流の位相(ρ 1 )を決定する界磁極位置補正処理をする同期電動機の制御装置の界磁極位置補正方法において、前記界磁極位置補正処理後、前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令で前記同期電動機を駆動して、可動子移動量または可動子移動時間に基づいて、前記界磁極位置補正処理が十分か否かを判断する動作確認処理をし、前記動作確認処理で前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断した場合のみ、再度、前記界磁極位置補正処理をするのである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明における所定方向の前記推力指令で前記同期電動機を駆動した際、前記動作確認処理は、前記可動子移動量が前記所定方向とは逆方向の所定移動量より大きい場合、または、前記可動子移動時間が所定時間より長い場合、前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断し、前記可動子移動量が前記所定方向に他の所定移動量以上、かつ、可動子移動時間が所定時間以内の場合、前記界磁極位置補正処理が十分であると判断するのである。
請求項7に記載の発明は、同期電動機の位置を検出する位置検出手段と、ソフトウェアによって界磁極位置補正した界磁極位置に基づいて前記同期電動機を制御する制御手段と、を備えた同期電動機の制御装置において、所定方向の位置指令、速度指令、推力指令のうち、いずれか1つの指令で前記同期電動機を駆動して、可動子移動量または可動子移動時間に基づいて、前記界磁極位置補正が十分か否かを判断する動作確認手段を備えたも のである。
【0007】
本発明の請求項1、2、3および4に係る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法では、制御手段による界磁極位置の補正処理を行った後、制御手段より制御できる開閉手段として例えば継電器を設け、該継電器を開放した状態で同期電動機の誘起電圧を十分検出可能となるような所定速度で同期電動機を駆動し、該同期電動機の端子に現れる誘起電圧を検出する。この誘起電圧と電流位相補正後の電流指令とを減算して、誘起電圧と第1の電流指令との位相差である磁極検出誤差(δ2)を求め、該磁極検出誤差(δ2)と仮補正量(γ)より最終的な電流位相補正量(γ+δ2)を決定し、該電流位相補正量(γ+δ2)と仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ2)を決定し、該電流の位相(ρ2)を持つ第2の電流指令により同期電動機を制御するので、第1の電流指令による駆動制御における界磁極位置補正よりもより確実な界磁極位置補正を行うことができ、例えば、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合でも確実な界磁極位置補正を行い、適切な同期電動機の制御を実現できる。また、誘起電圧と電流位相補正後の第1の電流指令による界磁極位置の再補正を、同期電動機を制御する前の最終段階としているため、界磁極位置の誤補正を判断することも可能である。
また、請求項5、6、7および8に係る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法では、制御手段による界磁極位置補正ステップ終了後、動作確認ステップとして、正方向の推力指令、速度指令または位置指令で同期電動機を駆動して、負方向に可動子が所定移動量以上動いた場合、または、正方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動かない場合には、界磁極位置補正ステップをやり直し、正方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動いた場合には、負方向の推力指令、速度指令または位置指令で同期電動機を駆動して、正方向に可動子が所定移動量以上動いた場合、または、負方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動かない場合には、界磁極位置補正ステップをやり直し、負方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動いた場合には、界磁極位置補正ステップの電流の位相(ρ1)を持つ電流指令により同期電動機を制御するので、界磁極位置の誤補正を判断して確実な界磁極位置補正を行うことができ、適切な同期電動機の制御を実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法の実施の形態について、〔第1の実施形態〕、〔第2の実施形態〕の順に図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の制御装置の構成図である。同図において、図6(従来例)と重複する部分には同一の符号を附する。同図において、本実施形態の同期電動機の制御装置は、CPU(制御手段)101、D/A変換器102、パワーアンプ103、継電器(開閉手段)104、同期電動機105、位置センサ(位置検出手段)106、カウンタ107、相電圧検出回路(電圧検出手段)108およびコンパレータ109を備えて構成されている。位置センサ106は、同期電動機105の回転位置を検出する。CPU101は、マイクロプロセッサ等であって、トルク指令iとカウンタ107で検出された同期電動機105の位置情報(計数値)とを用いて演算を行い、電流指令IUref,IVref,IWrefをそれぞれD/A変換器102によってデジタル/アナログ変換して電流指令Iu,Iv,Iwに変換し、パワーアンプ103に供給する。パワーアンプ103は、これら電流指令Iu,Iv,Iwに対応した電流IU,IV,IWを継電器104を介して同期電動機105に供給して同期電動機105を起動する。継電器104は、CPU101からの開閉コントロール信号によって開閉制御され、継電器104を開放することにより、同期電動機105の端子に現れる誘起電圧が相電圧検出回路108によって検出される。相電圧検出回路108は、例えばU相の相電圧検出値euを出力し、コンパレータ9において接地電位GNDとの比較により生成される方形波EUがカウンタ107に供給される。カウンタ107では、この方形波EUの立ち上がりエッジのタイミングで位置検出値(計数値)がラッチされ、CPU101のメモリ内に記憶される。
【0009】
本実施形態の同期電動機の制御装置においては、「通常制御モード」と「磁極検出モード」の2つのモードを有しており、図2のフローチャートに示すように、電源投入後、まず、磁極検出モード(ステップS200)において、界磁極位置の補正処理(ステップS210〜S227)を行い、該処理が完了した後、通常制御モード(ステップS230)で同期電動機105を制御するシーケンスとなっている。
まず、磁極検出モードにおける界磁極位置の補正処理ついて説明する。ステップS210〜212では、従来例として示したソフトウェアによる界磁極位置補正方法により、仮の界磁界位置補正処理を行い、仮電流位相補正量γ(=δ1)を求める。
すなわち、ステップS211の仮界磁界位置補正処理は、図7に示したフローチャートの処理を実行するものであり、印加する電流の位相(ρ)の補正量(γ)を変化させて、印加する電流の大きさに関わらず発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ0)を、発生電磁力の極性を加速度の極性より判定して求め、この電流位相補正量(δ0)を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ1)を導出し、この電流の位相の補正量(δ1)と位置検出器で検出された仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ)を決定して電動機を制御するものであって、電磁力指令を仮の目標値まで単調増加させて、加速度が大きいときは目標値を小さく、また加速度が小さいときは目標値を大きくするものである。
図7において、ステップS701では初期値を設定する。すなわち、電流位相補正量γ=0[゜]、推定回数j=1、トルク指令iの計算や加速度の測定等の処理の基準となる時間t=−m・Δt(mは正整数)とする。ステップS702ではトルク指令iを計算する。
ステップS703では時間tを判定する。時間t=0の場合には、ステップS704に進んで加速度Acc1を測定し、さらにステップS705に進んで、加速度Acc1と予め設定している加速度Acc2(>0)とを比較して大きいほうを基準加速度Acc0(>0)として、ステップS711に進む。
また、時間t=k・Δtの場合には、ステップS706に進んで加速度Acc3を測定し、さらにステップS707に進んで、加速度Acc3の絶対値と基準加速度Acc0を比較して、加速度Acc3の絶対値が基準加速度Acc0より大きいときはステップS709へ、そうでないときはステップS711に進む。
また時間t=t1maxの場合には、ステップS708に進んで加速度Acc3を測定し、さらにステップS709に進んで位置補正量(γ)の更新を行い、ステップS710でトルク指令iを作成する基準時間t1をt1=tとした後、ステップS711に進む。ここで、tは加速度Acc3の絶対値が基準加速度Acc0より大きくなった時間か或いはt1maxである。
また、時間t=t8(t8=8・t1max)の場合には、ステップS712に進んで、時間を初期値に戻すべくt=−m・Δtとして、ステップS713に進む。さらに、ステップS703のtの判定で、上記以外のその他の場合には、ステップS711に進んで、t=t+Δtとして時間を更新して、ステップS702に戻る。
次に、ステップS713では、推定回数jと最大推定回数jmaxとを比較する。推定回数jが最大推定回数jmaxより小さいときは、ステップS714に進んでj=j+1として推定回数を更新する。また、推定回数jが最大推定回数jmaxに達したときは、ステップS715に進んで、仮の電流位相補正量(δ1)を決定する。
尚、上記説明中、トルク指令iの計算(ステップS702)、電流位相補正量(γ)の更新(ステップS709)および仮の電流位相補正量(δ1)の決定(ステップS715)の各処理についての詳細は、特開平8−182399号公報に記載のものと同等であり、ここでは省略する。
つまり、磁極検出モードでは、この仮電流位相補正量(γ)に相当する第0計数値CN0と位置センサ106で検出された第1計数値CN1(仮の界磁極位置(θ))とにより、以下に示す(5)式で印加する電流の位相(ρ)を決定し、同期電動機105を駆動する。
ρ=θ+γ+δ2 …(5)
ここで、δ2は後述する誘起電圧と仮界磁極位置補正後電流指令との界磁極位置検出誤差であり、初期値は零である。
また、この時点で、仮界磁極位置補正後のU相電流指令立ち上がり方向のゼロクロスの計数値(第0計数値CN0+第1計数値CN1)は、CPU101のメモリ内に記憶される。尚、ストロークが同期電動機105の極ピッチの2倍(電気角360[゜])以上ある場合には、計数値は少なくとも1つ以上あるため、その分だけCPU101のメモリ内に記憶することとなる。
次に、同期電動機105を駆動し、速度が電動機誘起電圧のゼロクロスが検出可能な基準速度以上となった(ステップS221)時点で、CPU101から開閉コントロール信号を発して継電器104が開放となるよう制御する(ステップS222)。継電器104を開放することにより、同期電動機105の端子には誘起電圧が表れ、この誘起電圧は3相各相の相電圧を検出する相電圧検出回路108に入力される。相電圧検出回路108は、例えばU相の相電圧検出値euを出力し、コンパレータ109により方形波EUに変換される。またカウンタ107は、この方形波EUの立ち上がりエッジのタイミングで位置検出値をラッチし、第2計数値CN2としてCPU101のメモリ内に記憶される。
CPU101は、位置センサ106で検出された第1計数値CN1(仮の界磁極位置(θ))と第0計数値CN0(仮電流位相補正量(γ))より(5)式で求められる電流位相(ρ1)を持つ第1の電流指令により同期電動機105を駆動する。
方形波EUの立ち上がりエッジのタイミングで第2計数値CN2がメモリ内に記憶された時点で、(ステップS223において第2計数値CN2がラッチされたと判断されて、)ステップS225に進んで、第2計数値CN2と先にメモリ内に記憶した仮界磁極位置補正後のU相電流指令立ち上がり方向のゼロクロスの計数値(第0計数値CN0+第1計数値CN1)(=θ+γ)との差δ2を算出する。ここで、仮界磁極位置補正後のU相電流指令立ち上がり方向のゼロクロスの計数値が複数ある場合は、第2計数値CN2に最も近い仮界磁極位置補正後のU相電流指令立ち上がり方向のゼロクロスの計数値を用いてδ2を算出する。このδ2が、誘起電圧と仮界磁極位置補正後の電流指令との界磁極位置検出誤差となる。尚、ステップS223の判断において第2計数値CN2がラッチされていない場合には、ステップS224で継電器104が閉成制御された後、ステップS221に戻って処理を繰り返す。
さらにステップS226では、算出された界磁極位置検出誤差δ2と仮電流位相補正量(γ)から最終的な電流位相補正量(γ+δ2)を求め、(5)式により印加する電流の位相(ρ2)を決定する。また、ステップS227では、CPU101から開閉コントロール信号を発して継電器104が閉成となるよう制御して、通常制御モード(ステップS230)に備える。
以上のようにして最終的に求められた印加すべき電流の位相(ρ2)は、等価的にU相誘起電圧euの立ち上がりとU相電流指令の立ち上がりとを一致させることができる。
また、誘起電圧と仮電流位相補正後の電流指令による界磁極位置補正量(δ2)が求まらない場合(第2計数値CN2がラッチしない)、例えば、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合は、磁極検出モードを終了せず、最初からもしくはソフトウェアによる仮界磁極位置補正後から処理を繰り返すシーケンスとする。
次に、通常制御モード(ステップS230)について説明する。上記のように磁極検出モード下における界磁極位置の補正処理により、最終的な電流位相補正量(γ+δ2)を求めることができ、(5)式により印加すべき電流の位相(ρ2)が決定された。通常制御モード(ステップS230)では、この電流位相(δ)に応じた各相の電流指令(第2の電流指令)を、D/A変換器102より出力し、パワーアンプ103でパワー変換し、同期電動機105を制御することとなる。
最後に、図3の説明図を参照して、本実施形態における界磁極位置の補正処理を概念的に説明する。U相の誘起電圧波形eu{eu(sinφ)}、コンパレータ109の出力である方形波EU、並びに、仮界磁極位置補正処理前の検出した界磁極位置(θ)によるU相電流指令Iref’{Iref’(sinθ)}が、図3のように表される場合、仮界磁極位置補正処理(ステップS211)後の検出した界磁極位置(θ)と仮電流位相補正量(γ)によるU相電流指令は、Iref{Iref(sin(θ+γ))}となる。さらに、磁極検出モードの最終段階として、誘起電圧と仮界磁極位置補正後のU相電流指令との界磁極位置検出誤差δ2から電流位相補正量(δ2+γ)とするU相電流指令は、等価的にU相の誘起電圧波形euの位相と一致したものとなる。
【0010】
以上述べたように、本実施形態の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法によれば、CPU101の制御による界磁極位置の補正処理を行った後、継電器104を開放した状態で同期電動機105の誘起電圧を十分検出可能となるような所定速度で同期電動機を駆動し、同期電動機105の端子に現れる誘起電圧を検出し、この誘起電圧と電流位相補正後の電流指令とを減算して、誘起電圧と第1の電流指令との位相差である磁極検出誤差(δ2)を求め、該磁極検出誤差(δ2)と仮補正量(γ)より最終的な電流位相補正量(γ+δ2)を決定し、該電流位相補正量(γ+δ2)と仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ2)を決定し、該電流の位相(ρ2)を持つ第2の電流指令により同期電動機を制御するので、磁極検出モードの最終段階として、誘起電圧と仮電流位相補正後の電流指令による界磁極位置を補正し、新たな電流位相補正量を得ることにより、等価的にU相誘起電圧euの立ち上がりと電流指令の立ち上がりとを一致させることができ、第1の電流指令による駆動制御における界磁極位置補正よりもより確実な界磁極位置補正を行うことができ、例えば、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合でも確実な界磁極位置補正を行い、適切な同期電動機の制御を実現できる。
また、磁極検出モードにおいて、誘起電圧と電流位相補正後の第1の電流指令による界磁極位置の再補正を、同期電動機を制御する前の最終段階としているため、界磁極位置の誤補正を判断することも可能である。
以上、直動形の同期電動機について説明したが、発生電磁力Tを発生推力として扱っていたところを発生トルクとして扱うこととすれば、回転形の同期電動機においても同様の構成および方法により、同等の効果を得ることができる。
【0011】
〔第2の実施形態〕
図4は本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の制御装置の構成図である。同図において、図1(第1の実施形態)と重複する部分には同一の符号を附する。同図において、本実施形態の同期電動機の制御装置は、CPU(制御手段)401、D/A変換器102、パワーアンプ103、同期電動機105、位置センサ(位置検出手段)106およびカウンタ407を備えて構成されている。
位置センサ106は、同期電動機105の回転位置を検出する。CPU101は、マイクロプロセッサ等であって、トルク指令iとカウンタ407で検出された同期電動機105の位置情報(計数値)とを用いて演算を行い、電流指令IUref,IVref,IWrefをそれぞれD/A変換器102によってデジタル/アナログ変換して電流指令Iu,Iv,Iwに変換し、パワーアンプ103に供給する。パワーアンプ103は、これら電流指令Iu,Iv,Iwに対応した電流IU,IV,IWを同期電動機105に供給して同期電動機105を起動する。
【0012】
本実施形態の同期電動機の制御装置においても、「通常制御モード」と「磁極検出モード」の2つのモードを有しており、図5のフローチャートに示すように、電源投入後、まず、磁極検出モード(ステップS500)において、界磁極位置の補正処理(ステップS510〜S512)を行い、該補正処理が終了した後、動作確認処理(ステップS520〜S535)により同期電動機105の駆動制御が可能かどうかの判断を行い、可能と判断された場合のみ通常制御モード(ステップS540)で同期電動機105を制御するシーケンスとなっている。
まず、磁極検出モードにおける界磁極位置の補正処理ついて説明する。ステップS510〜512では、従来例として示したソフトウェアによる界磁極位置補正方法により、仮の界磁界位置補正処理を行い、仮電流位相補正量γ(=δ1)を求める。ステップS511の界磁界位置補正処理は、図7に示したフローチャートの処理を実行するもので、第1の実施形態で説明した通りである。
次に、動作確認処理(ステップS520〜S535)により同期電動機105の駆動制御が可能かどうかの判断を行うが、まず、ステップS521では、動作確認処理の開始として、正方向の推力指令f_refをα、例えば50[N]として同期電動機105を駆動し、ステップS522に進む。ここでの推力指令f_refは、可動子が静止摩擦力に打ち勝って動くことができる最低の推力以上の推力指令とする。
次に、ステップS522では、現在のサンプリング時にカウンタ407から読み込んだ計数値を現在検出位置x_fbとし、前回のサンプリング時に所定メモリ領域に格納しておいたカウンタ407から読み込んだ計数値をx_fb_preとしたとき、これらの減算結果を可動子移動量acc_checkとしてメモリに格納し、ステップS523に進む。
次に、ステップS523では、可動子移動量acc_checkが、正方向の推力指令f_refとは逆の負方向に、所定移動量β、例えば10[パルス]より多く移動した場合には、界磁極位置補正が不十分として、ステップS511に戻る。また、可動子移動時間time_checkが、所定時間ε、例えば50[サンプリング]より長く経過した場合にも、界磁極位置補正が不十分として、ステップS511に戻る。尚、サンプリング時間が1[ms]であれば、可動子移動時間を判定するための所定時間εは50[ms]となる。
一方、ステップS523において、可動子移動量acc_checkが、正方向の推力指令f_refと同じ正方向に移動する場合、正方向の推力指令f_refとは逆の負方向の移動が所定移動量β以内の場合、あるいは、可動子移動時間time_checkが所定時間ε以内の場合には、ステップS524に進む。
ステップS524では、可動子移動量acc_checkが、正方向の推力指令f_refと同じ正方向に所定移動量κ、例えば10[パルス]より少なく移動した場合には、ステップS523に戻って、再度、所定移動量βまたは所定時間εに基づく判定を行う。一方、ステップS524において、可動子移動量acc_checkが、正方向の推力指令f_refと同じ正方向に所定移動量κ以上だけ、可動子移動時間が所定時間ε以内で移動した場合には、界磁極位置補正が十分として、ステップS531に進む。
ステップS531からステップS534の処理は、同期電動機105を駆動する推力指令f_refを負方向とした場合であり、一連の流れは正方向の推力指令f_refで同期電動機105を駆動する場合と同様である。
すなわち、ステップS531では、負方向の推力指令f_refを−α[N]として同期電動機105を駆動し、ステップS532では、現在の計数値(現在検出位置)x_fbと前回の計数値x_fb_preとの減算結果を可動子移動量acc_checkとしてメモリに格納し、ステップS533に進む。
ステップS533では、可動子移動量acc_checkが負方向の推力指令f_refとは逆の正方向に所定移動量β以上移動した場合、あるいは、可動子移動時間time_checkが所定時間εより長く経過した場合には、界磁極位置補正が不十分として、ステップS511に戻る。一方、ステップS533において、可動子移動量acc_checkが、負方向の推力指令f_refと同じ負方向に移動する場合、負方向の推力指令f_refとは逆の正方向の移動が所定移動量β以内の場合、あるいは、可動子移動時間time_checkが所定時間ε以内の場合には、ステップS534に進む。
ステップS534では、可動子移動量acc_checkが、負方向の推力指令f_refと同じ負方向に所定移動量κより少なく移動した場合には、ステップS533に戻って、再度、所定移動量βまたは所定時間εに基づく判定を行う。一方、ステップS534において、可動子移動量acc_checkが、負方向の推力指令f_refと同じ負方向に所定移動量κ以上だけ、可動子移動時間が所定時間ε以内で移動した場合には、界磁極位置補正が十分として、ステップS535に進む。
以上のようにして、正負両方向の推力指令f_refで同期電動機105を駆動し、界磁極位置補正が十分と判断された場合のみ動作確認処理終了(ステップS535)とし、通常制御モード(ステップS540)へ進む。
ここで、最終的に界磁極位置補正が十分と判断される条件について、上記具体例における値を用いて説明する。正負各方向の推力指令f_refで同期電動機105を駆動し、界磁極位置補正が十分として判断される最低条件は、与える推力指令f_refと同方向に可動子移動量acc_checkとして所定移動量κ(=10[パルス])だけ、可動子移動時間time_checkとして所定時間ε(=50[ms])で移動した場合である。これは、位置センサ106の分解能が1[μm/パルス]とすると、可動子移動時間time_check=50[ms]の時点で、可動子速度が0.4[mm/s](=2×10[パルス]/50[ms])となる、すなわち、可動子の質量が5[kg]とすると、可動子加速度が0.008[m/s2 ]、推力が少なくとも0.04[N]出たことを意味する。しかし、実際の同期電動機の制御装置では、CPU401が電流指令を払い出すまでの演算時間および電流制御系等の遅れが存在するため、設定される可動子移動時間time_checkの所定時間ε(=50[ms])よりも短い時間で、設定される可動子移動量acc_checkの所定移動量κ(=10[パルス])以上動いている、すなわち、計算上の実際の推力最低0.04[N]よりも多く出ていることになる。
実際の推力値fは、界磁極位置検出誤差δと推力指令f_refより
f=f_ref×COSδ …(6)
と計算できる。(6)式は、界磁極位置補正処理(ステップS511)による界磁極位置検出誤差δを例えば10[゜]とすると、実際の推力値fは、最大で推力指令f_refの約98[%]となり、約2[%]の推力低下となることを意味している。
ここで、上記の具体例の場合、推力指令f_ref=50[N]に対して、実際の推力値fは最低0.04[N]である。この数値だけをみると、大幅な推力低下に見えるが、界磁極位置補正処理は、別手法(例えば、第1の実施形態におけるような相誘起電圧と界磁極位置補正処理後の相電流指令の比較)にて、界磁極位置検出誤差δが10[゜]以下となることが確認されている。
また、多くの同期電動機の制御装置を用いるシステムにおいては、界磁極位置検出を行う際に、可動子の移動量ができるだけ少ない方が望まれる。よって、多くの界磁極位置補正処理を用いる同期電動機の制御装置の動作確認処理は、上記の具体例のように、少なくとも推力指令方向と逆の方向には動かず、ある程度の最低推力で同じ方向に動くことを十分条件とした設定値としている。
しかし、界磁極位置補正処理による界磁極位置検出誤差δが、例えば10[゜]以下であることを確認しなければならない場合には、動作確認処理の設定値を上記の具体例より厳しい値、例えば可動子移動量acc_checkを12.3[mm](=12300[パルス])にすれば、推力指令f_ref=50[N]に対して、実際の推力値fは最低49[N]となり、その界磁極位置検出誤差δは10[゜]以下であることを確認できる。
以上、動作確認処理の際、正負両方向の推力指令f_refで同期電動機105を駆動する場合について説明したが、正負両方向の位置指令x_refで同期電動機105を駆動し、位置決め時の偏差パルス(位置指令と位置検出値との差)を設定値として界磁極位置補正が十分として判断する場合でも同様のことがいえる。また、正負両方向の速度指令v_refで同期電動機105を駆動する場合でも同様のことがいえる。
次に、通常制御モードについて説明する。上述のように、磁極検出モード下の界磁極位置補正処理(ステップS511)により電流位相補正量(γ)を求めることができ、印加する電流の位相(ρ)が決定される。また、動作確認処理(ステップS520〜ステップS535)で界磁極位置補正が十分とされたときの印加する電流の位相(ρ)に応じた各相の電流指令を、D/A変換器102を介して出力し、パワーアンプ103でパワー変換した後、同期電動機105を制御する。
【0013】
以上述べたように、本実施形態の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法によれば、CPU101の制御による界磁極位置補正処理終了後、動作確認処理として、正方向の推力指令で同期電動機105を駆動して、負方向に可動子が所定移動量以上動いた場合、または、正方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動かない場合には、界磁極位置補正処理をやり直し、正方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動いた場合には、負方向の推力指令で同期電動機105を駆動して、正方向に可動子が所定移動量以上動いた場合、または、負方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動かない場合には、界磁極位置補正処理をやり直し、負方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動いた場合には、界磁極位置補正処理による電流の位相を持つ電流指令により同期電動機105を制御するので、界磁極位置の誤補正を判断して確実な界磁極位置補正を行うことができ、適切な同期電動機の制御を実現できる。
以上、直動形の同期電動機について説明したが、発生電磁力Tを発生推力として扱っていたところを発生トルクとして扱うことにより、回転形の同期電動機においても同様の構成および方法により、同等の効果を得ることができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法によれば、制御手段による界磁極位置の補正処理を行った後、開閉手段を開放した状態で同期電動機の誘起電圧を十分検出可能となるような所定速度で同期電動機を駆動し、該同期電動機の端子に現れる誘起電圧を検出し、該誘起電圧と電流位相補正後の電流指令とを減算して、誘起電圧と第1の電流指令との位相差である磁極検出誤差(δ2)を求め、該磁極検出誤差(δ2)と仮補正量(γ)より最終的な電流位相補正量(γ+δ2)を決定し、該電流位相補正量(γ+δ2)と仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ2)を決定し、該電流の位相(ρ2)を持つ第2の電流指令により同期電動機を制御するので、第1の電流指令による駆動制御における界磁極位置補正よりもより確実な界磁極位置補正を行うことができ、例えば、可動子が固定された状態あるいは可動子がなく固定子のみの状態(即ち、位置検出値が固定)の場合でも確実な界磁極位置補正を行い、適切な同期電動機の制御を実現し得る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法を提供することができる。また、誘起電圧と電流位相補正後の第1の電流指令による界磁極位置の再補正を、同期電動機を制御する前の最終段階としているため、界磁極位置の誤補正を判断することも可能である。
また、本発明の同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法によれば、制御手段による界磁極位置補正ステップ終了後、動作確認ステップとして、正方向の推力指令、速度指令または位置指令で同期電動機を駆動して、負方向に可動子が所定移動量以上動いた場合、または、正方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動かない場合には、界磁極位置補正ステップをやり直し、正方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動いた場合には、負方向の推力指令、速度指令または位置指令で同期電動機を駆動して、正方向に可動子が所定移動量以上動いた場合、または、負方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動かない場合には、界磁極位置補正ステップをやり直し、負方向に可動子が一定時間内に所定移動量以上動いた場合には、界磁極位置補正ステップの電流の位相を持つ電流指令により同期電動機を制御するので、界磁極位置の誤補正を判断して確実な界磁極位置補正を行うことができ、適切な同期電動機の制御を実現し得る同期電動機の制御装置および界磁極位置補正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の制御装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態の同期電動機の制御装置における磁極検出モードおよび通常制御モードにおける動作を説明するフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における界磁極位置の補正処理を概念的に説明する説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の制御装置の構成図である。
【図5】第2の実施形態の同期電動機の制御装置における磁極検出モードおよび通常制御モードにおける動作を説明するフローチャートである。
【図6】従来の界磁極位置補正処理が適用される同期電動機(3相)のベクトル制御による駆動装置の構成図である。
【図7】従来の同期電動機の制御装置における界磁極位置の補正方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
101,401 CPU(制御手段)
102 D/A変換器
103 パワーアンプ
104 継電器(開閉手段)
105 同期電動機
106 位置センサ(位置検出手段)
107,407 カウンタ
108 相電圧検出回路(電圧検出手段)
109 コンパレータ
IUref,IVref,IWref 電流指令
Iu,Iv,Iw 電流指令
IU,IV,IW 電流
eu U相の相電圧検出値
GND 接地電位
EU 方形波

Claims (7)

  1. 同期電動機の位置を検出する位置検出手段と、印加する電流の位相(ρ)の補正量(γ)を変化させて、印加する電流の大きさに関わらず発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ 0 )を、発生電磁力の極性を加速度の極性より判定して求め、該電流位相補正量(δ 0 )を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ 1 )を導出し、該電流位相の補正量(δ 1 )と前記位置検出手段で検出された仮の界磁極位置(θ)より印加する電流の位相(ρ 1 )を決定する界磁極位置補正処理をし、該電流の位相(ρ 1 )を持つ電流指令により前記同期電動機を制御する制御手段と、を備えた同期電動機の制御装置において、
    前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令で前記同期電動機を駆動して、可動子移動量または可動子移動時間に基づいて、前記界磁極位置補正処理が十分か否かを判断する動作確認手段を備え、
    前記動作確認手段が前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断した場合のみ、再度、前記界磁極位置補正処理をすることを特徴とする同期電動機の制御装置。
  2. 所定方向の前記推力指令で前記同期電動機を駆動した際、前記動作確認手段が、前記可動子移動量が前記所定方向とは逆方向の所定移動量より大きい場合、または、前記可動子移動時間が所定時間より長い場合、前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断し、
    前記可動子移動量が前記所定方向に所定移動量以上、かつ、可動子移動時間が所定時間以内の場合、前記界磁極位置補正処理が十分であると判断することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の制御装置。
  3. 前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令に代わり、正方向および負方向の位置指令で前記同期電動機を駆動することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の制御装置。
  4. 前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令に代わり、正方向および負方向の速度指令で前記同期電動機を駆動することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の制御装置。
  5. 同期電動機の位置を検出する位置検出手段と、電流の位相(ρ 1 )を持つ電流指令により前記同期電動機を制御する制御手段とを備え、印加する電流の位相(ρ)の補正量(γ)を変化させて、印加する電流の大きさに関わらず発生電磁力が零になる電流位相補正量(δ 0 )を、発生電磁力の極性を加速度の極性より判定して求め、該電流位相補正量(δ 0 )を用いて発生電磁力が最大になる電流位相の補正量(δ 1 )を導出し、該電流位相の補正量(δ 1 )と前記位置検出手段で検出された仮の界磁極位置(θ)より印加する前記電流の位相(ρ 1 )を決定する界磁極位置補正処理をする同期電動機の制御装置の界磁極位置補正方法において、
    前記界磁極位置補正処理後、前記電流指令に基づく正方向および負方向の推力指令で前記同期電動機を駆動して、可動子移動量または可動子移動時間に基づいて、前記界磁極位置補正処理が十分か否かを判断する動作確認処理をし、
    前記動作確認処理で前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断した場合のみ、再度、前記界磁極位置補正処理をすることを特徴とする同期電動機の制御装置の界磁極位置補正方法。
  6. 所定方向の前記推力指令で前記同期電動機を駆動した際、前記動作確認処理は、前記可動子移動量が前記所定方向とは逆方向の所定移動量より大きい場合、または、前記可動子移動時間が所定時間より長い場合、前記界磁極位置補正処理が十分でないと判断し、
    前記可動子移動量が前記所定方向に他の所定移動量以上、かつ、可動子移動時間が所定時間以内の場合、前記界磁極位置補正処理が十分であると判断することを特徴とする請求項5に記載の同期電動機の制御装置の界磁極位置補正方法。
  7. 同期電動機の位置を検出する位置検出手段と、ソフトウェアによって界磁極位置補正した界磁極位置に基づいて前記同期電動機を制御する制御手段と、を備えた 同期電動機の制御装置において、
    所定方向の位置指令、速度指令、推力指令のうち、いずれか1つの指令で前記同期電動機を駆動して、可動子移動量または可動子移動時間に基づいて、前記界磁極位置補正が十分か否かを判断する動作確認手段を備えたことを特徴とする同期電動機の制御装置。
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