JP3912291B2 - 無端金属ベルト用リングの疲労試験装置および疲労試験方法 - Google Patents

無端金属ベルト用リングの疲労試験装置および疲労試験方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板片状の多数のエレメントを互いに対面させて環状に配置し、それらのエレメントに金属帯であるリングを通して各エレメントを環状に結束して構成した無端金属ベルトの疲労試験技術に関し、特に、リング単体の疲労試験技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、トランスミッションの変速比を車両の走行状況に応じて無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が搭載されることがある。このCVTは、エンジン出力を効率的に引き出すことが可能であり、燃費および走行性能の向上に優れる。実用化されたCVTの1つとして、金属ベルトと一対のプーリとを用いて、油圧によってプーリの有効径を変化させることで連続的に無段の変速を実現するものがある。無端金属ベルトが、入力軸に取付けられた入力側プーリおよび出力軸に取付けられた出力側プーリに巻き掛けられて使用される。入力側プーリおよび出力側プーリは、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブをそれぞれ備え、溝幅を変えることで、無端金属ベルトの入力側プーリおよび出力側プーリに対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸と出力軸との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0003】
この無端金属ベルトは、厚さの異なる複数の種類のエレメントを準備し、これら複数の種類のエレメントを予め定められた個数の比率でランダムに組合せる。組合せたエレメントに金属帯を通すことにより無端金属ベルトが製造される。このような金属帯であるリングの疲労強度は無端金属ベルトの耐久性に大きな影響を与えることから、リングの疲労試験が行なわれている。
【0004】
特開2002−327801公報(特許文献1)は、このようなリングの疲労試験を開示する。特許文献1に開示されたリングの疲労試験方法は、リングが車両に実際に用いられる態様、すなわち、一組のプーリと、操作回路および制御回路とを含んで、トランスミッションを組み立てする試験装置上で行なわれる。このリング疲労試験は、固定されたオーバドライブ(OD)比にて行なわれ、これは、リングを、一定の相対的に高い一次トルクで、一定の最大速度でといった最も必要な条件にて試験するためである。このような試験設定は、オーバロード設定と呼ばれる。このリング耐久性は、耐久時間がオーバロード状態で正常作動条件下にて、統計的に誘導される長い耐久時間に相当することを考慮して、リング破損が生じるまで行なわれる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−327801公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された疲労試験では、複数のリングと複数のエレメントとを含む無端金属ベルトを一対のプーリに巻き掛けて実際の使用状態下でリングの疲労試験を行なうので、リングの疲労破断がリングの疲労強度以外の要因によっても生じる。このため、リング単体の疲労強度を評価できない。一方、リング単体を駆動ローラに巻き掛けて疲労試験を行なっても、無段変速機に組み込まれたときには、リングが駆動プーリに直接巻き掛けられているのではなく、リングはエレメントを介して駆動プーリに接触しているので、リング単体を駆動ローラに巻き掛けた疲労試験では正確な疲労強度を判定できない。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、実際の使用状況を模擬して無端金属ベルトを構成するリングの疲労強度を正確に判定できる、無端金属ベルト用リングの疲労試験装置および疲労試験方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る疲労試験装置は、リングが掛けられるとともに軸間力が付与される複数のローラと、複数のローラの中の少なくとも1つのローラを回転させるための回転手段とを含む。複数のローラは、リング断面における疲労起点の位置を、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合における疲労起点の位置に対応させるための調整手段を含む。
【0009】
第1の発明によると、この疲労試験装置は、サドル部、頂部およびこれらをつなぐ首部とから構成されるとともにサドル部と首部との間に窪みが設けられた複数のエレメントをその板厚方向に並べて、エレメントのサドル部および頂部の間に環状のリングを通すことにより構成された無端金属ベルトにおけるリングに適用される。回転手段は少なくとも1つのローラを回転させる。調整手段は、リング断面における疲労起点の位置を、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合における疲労起点の位置に対応させる。この調整手段の1つとして、複数のローラに設けられた、エレメントに設けられた窪みを模擬した溝がある。このような調整手段により、リング断面における疲労起点が、実際の疲労起点と同じ位置になるので、疲労試験を行なうと、実際の疲労起点に基づいて疲労破断する。このとき、リングの疲労破断はリングの疲労強度のみの要因によって生じる。その結果、実際の使用状況を模擬して無端金属ベルトを構成するリングの疲労強度を正確に判定できる無端金属ベルト用リングの疲労試験装置を提供することができる。
【0010】
第2の発明に係る疲労試験装置においては、第1の発明の構成に加えて、調整手段は、複数のローラに設けられた、エレメントに設けられた窪みを模擬した溝である。
【0011】
第2の発明によると、ローラには、エレメントに設けられた窪みを模擬した溝が設けられる。無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合、エレメントのサドル部と首部との間に設けられた窪みにリング端部が位置するようになる。リング単体での疲労試験において、この窪みの有無でリング断面における疲労起点が異なる。このため、疲労試験装置のローラに設けられた窪みにより、リング単体での疲労試験における疲労起点が、実際の疲労起点と同じ位置になる。このため、実際の疲労起点に基づいて、リングの疲労強度のみの要因により疲労破断するようにリング単体での疲労試験を行なうことができる。
【0012】
第3の発明に係る疲労試験装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、軸間力は、リングに付与される引張り応力が、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される引張り応力を模擬するように設定されるものである。
【0013】
第3の発明によると、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合にリングに付与される引張り応力が模擬されるように軸間力が設定される。これにより、実際の無段変速機における無端金属ベルトの動作状態を模擬して疲労試験を行なうことができる。
【0014】
第4の発明に係る疲労試験装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、ローラ径は、リングに付与される曲げ応力が、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される曲げ応力を模擬するように設定されるものである。
【0015】
第4の発明によると、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合にリングに付与される曲げ応力が模擬されるようにローラ径が設定される。これにより、実際の無段変速機における無端金属ベルトの動作状態を模擬して疲労試験を行なうことができる。
【0016】
第5の発明に係る疲労試験方法は、リングを、エレメントに設けられた窪みを模擬した溝が設けられている複数のローラに掛けるステップと、ローラに軸間力を付与することにより、リングに引張り応力を付与する引張りステップと、複数のローラの少なくとも1つのローラを回転させることにより、リングに繰返し曲げ応力を付与する曲げステップとを含む。
【0017】
第5の発明によると、サドル部、頂部およびこれらをつなぐ首部とから構成されるとともにサドル部と首部との間に窪みが設けられた複数のエレメントをその板厚方向に並べて、エレメントのサドル部および頂部の間に環状のリングを通すことにより構成された無端金属ベルトにおけるリングに適用される。ローラには、エレメントに設けられた窪みを模擬した溝が設けられる。引張りステップにて、ローラに軸間力を付与することにより、リングに引張り応力が付与され、曲げステップにて、複数のローラの少なくとも1つのローラを回転させることにより、リングに繰返し曲げ応力が付与される。ローラに設けられた窪みにより、リング単体での疲労試験における疲労起点が、実際の疲労起点と同じ位置になる。このため、実際の疲労起点に基づいて、リングの疲労強度のみの要因により疲労破断するようにリング単体での疲労試験を行なうことができる疲労試験方法を提供することができる。
【0018】
第6の発明に係る疲労試験方法においては、第5の発明の構成に加えて、引張りステップは、リングに付与される引張り応力が、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される引張り応力を模擬するようにローラに軸間力を付与するステップを含む。
【0019】
第6の発明によると、引張りステップにおいて、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合にリングに付与される引張り応力が模擬されるように軸間力が付与される。これにより、実際の無段変速機における無端金属ベルトの動作状態を模擬して疲労試験を行なうことができる。
【0020】
第7の発明に係る疲労試験方法においては、第5または6の発明の構成に加えて、曲げステップは、リングに付与される繰返し曲げ応力が、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される繰返し曲げ応力を模擬するように少なくとも1つのローラを回転させるステップを含む。
【0021】
第7の発明によると、曲げステップにおいては、無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合にリングに付与される繰返し曲げ応力が模擬されるようにローラ径が設定されるなどして、ローラが回転される。これにより、実際の無段変速機における無端金属ベルトの動作状態を模擬して疲労試験を行なうことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
本実施の形態に係る疲労試験装置は、無端金属ベルトを構成する1本のリングの疲労強度を試験する。無段変速機に組み込まれたリングは、サドル部と首部との間に窪みが設けられたエレメントとともに使用される。このため、まず、以下の説明において、多数のエレメントが互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部にリングを通して各エレメントが結束されて構成された無端金属ベルトおよびその無端金属ベルトを使用したベルト式無段変速機について説明する。
【0024】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る疲労試験装置で疲労強度が試験されるリングおよびエレメントにより構成される無端金属ベルトが用いられるベルト式無段変速機100について説明する。このベルト式無段変速機100においては、無端金属ベルト106が、入力軸200に取付けられた入力側プーリ220および出力軸300に取付けられた出力側プーリ320に巻き掛けられて使用される。
【0025】
入力側プーリ220および出力側プーリ320は、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブ108をそれぞれ備え、車両の走行状態に応じて制御される油圧回路により溝幅を変えることで、無端金属ベルト106の入力側プーリ220および出力側プーリ320に対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸200と出力軸300との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0026】
図2を参照して、無端金属ベルト106は、多数のエレメント102が互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部に環状の金属帯であるリング104を通して各エレメント102が結束されて、図3に示すように、全体として、無端金属ベルト106が構成される。
【0027】
エレメント102の形状の一例を、図4および図5に示す。エレメント102の幅方向の両側の側面は、シーブ108におけるテーパ状のシーブ面110に接触する対シーブ摩擦面112であって、シーブ面110と一致するテーパ面とされている。その対シーブ摩擦面112を備えた基体部分114の幅方向での中心部に、図4での上側に延びた首部116が形成され、その首部116が、左右に広がった頂部118につながっている。その左右に広がった頂部118と基体部分114との間にスリットが形成されており、この左右2つのスリットの部分にリング104が通されている。そして、基体部分114におけるリング104が接触する面がサドル面120となっている。
【0028】
このサドル面120の高さは、基体部分114を横切るピッチ線Pからの寸法で表わされる。また、エレメント102の幅は、ピッチ線P上の寸法で表わされる。なお、頂部118のうち首部116の延長位置には、一方の面側に凸となり、他方の面側では凹となったディンプル・ホール122が形成されており、互いに隣接するエレメント102のディンプル・ホール122が互いに嵌合するようになっている。なお、ディンプル・ホール122の凸部を有する面がエレメントの表面、凹部を有する面がエレメントの裏面である。
【0029】
図4に示すように、サドル面120にはクラウニングRが付与され、上に凸の曲面形状を有する。この曲面形状に沿ってリング104が当接している。また、首部116とサドル面120との間には窪み123が形成されている。この窪み123は、単一の曲率半径(たとえばR=0.5mm)で形成されていたり、互いに異なる曲率を有する複数の部分が組合されて形成されていたりする。この窪み123があることにより、リング104の首部116への乗り上げを防止できるとともに、エレメント102における応力集中を避けることができる。
【0030】
無端金属ベルト106は、1対のシーブ108の間に挟み付けられて使用される。その場合、シーブ面110および対シーブ摩擦面112がテーパ面であるために、各エレメント102には、シーブ108による挟圧力により半径方向での外側に荷重が作用するが、各エレメント102がリング104によって結束されているので、リング104の張力により半径方向での外側への移動が規制される。その結果、シーブ面110と対シーブ摩擦面112との間に摩擦力が生じ、あるいは油膜の剪断力が生じてシーブ108と無端金属ベルト106との間でトルクが伝達される。
【0031】
リング104は、より詳しくは、図2および図4に示すように、9〜12層に積層された状態で各エレメント102を結束している(ただし、図2および図4では9〜12層ではなく3層として表わしている)。この場合、下層のリング104ほど周長が短く、上層のリングほど周長が長くされる。
【0032】
リング104に発生する応力について説明する。前述したように無段変速機に組み込まれた無端金属ベルト106を構成するリング104には、引張り応力と曲げ応力とが作用する。引張り応力は、入力側プーリ220および出力側プーリ320によりリング104に張力が付与されることにより、リング104に発生する。曲げ応力は、入力側プーリ220および出力側プーリ320によりリング104が回転されることにより、リング104に繰返し発生する。図6に示すように、回転体であるローラによりリング104が回転されると、リング104に繰返し曲げ応力が発生する。無段変速機におけるリング104は、このような応力が繰返し発生している状態で使用される。そのため、このような応力が発生するように模擬して疲労試験を行なう必要がある。
【0033】
リング104単体で疲労試験を行なう場合に、通常の円筒にクラウニングRを付与した形状の複数のローラにリング104を巻き掛けて軸間力を設定して、ローラを回転させた場合、疲労起点は、図7に示す位置104Aになる。図7は、リング104の断面を表わしており、リング104の上面中央付近に疲労起点が現れる。一方、リング104が無端金属ベルト106として無段変速機に組み込まれた場合、図8に示す位置104Bが疲労起点になる。これは、エレメント102のサドル面120と首部116との間に設けられた窪み123にリング104の端部が位置するようになるためである。この窪み123の有無により、疲労の経過状態が異なり、リング104単体での疲労試験の結果である疲労強度が、実際に無段変速機において使用される場合の疲労強度に対応したものでなくなる。本実施の形態に係る疲労試験装置は、リング104単体での疲労試験において、この疲労起点を実際の使用状態に対応させるものである。
【0034】
図9および図10を参照して、本実施の形態に係る疲労試験装置1000について説明する。疲労試験装置1000は、2つのローラにリング104を巻き掛けて、所定時間またはリング104が疲労破壊するまでの時間、ローラを回転させるものである。疲労試験装置1000は、耐疲労試験対象のリング104が巻き掛けられ、リング104を予め定められた速度および張力で回転させる第1ローラ1010および第2ローラ1020を含む。第1ローラ1010および第2ローラ1020には、クラウニングRが付与されている。第1ローラ1010は、回転力を発生させるモータ等の駆動機構より回転される。このとき、制御装置により予め定められた回転数になるように制御される。
【0035】
第2ローラ1020は、第1ローラ1010の回転力により回転する従動ローラである。この第2ローラ1020は、第1ローラ1010から離れる方向に移動される。これにより、第1ローラ1010および第2ローラ1020の間に軸間力が付与され、リング104に張力が付与される。この第2ローラ1020の移動により付与される軸間力は、リング104を構成要素とする無端金属ベルトを無段変速機に組み込んだ場合の、リング104の張力と同じになるように調節される。
【0036】
第1ローラ1010および第2ローラ1020にリング104が巻き掛けられて、これらのローラが回転することにより、図6に示すように繰返し曲げ応力が発生する。疲労試験装置1000において発生する曲げ応力は、リング104を構成要素とする無端金属ベルトを無段変速機に組み込んだ場合に、リング104に発生する曲げ応力を模擬できるように、第1ローラ1010および第2ローラ1020の径が決定される。
【0037】
第1ローラ1010および第2ローラ1020は、図11に示すように、その隅部に溝部1030を有する。この溝部1030の形状は、エレメント102の窪み123の形状を模擬するように設計されている。このような溝部1030を有する第1ローラ1010および第2ローラ1020を用いることにより、疲労起点をリング104を構成要素とする無端金属ベルトを無段変速機に組み込んだ場合の疲労起点と同じようにできる。なお、図12に従来の第1ローラ1010および第2ローラ1020を示す。
【0038】
このように、本実施の形態における疲労試験装置1000においては、リング104を構成要素とする無端金属ベルトを無段変速機に組み込んだ場合を模擬できるように構成されたり、各種設定がされたりしている。この場合、たとえば疲労試験装置1000でリング104に付与される引張り応力は、無段変速機においてリング104に発生する引張り応力と同じ値であってもよいし、所定時間内に疲労破壊しなければ良品と判定する場合であってその所要時間を短くする場合には、さらに厳しい条件として、疲労試験装置1000でリング104に付与される引張り応力を、無段変速機においてリング104に発生する引張り応力よりも大きくしてもよい。
【0039】
以上のような構造を有する疲労試験装置1000を用いた疲労試験方法について説明する。
【0040】
疲労評価対象のリング104を選定して、第1ローラ1010および第2ローラ1020に巻き掛ける。第2ローラ1020を第1ローラから離れる方向に予め定められた軸間力になるまで移動させてリング104に所定の引張り応力を与える。この引張り応力は、無段変速機におけるリング104に発生する引張り応力を模擬するものである。
【0041】
第1ローラ1010を予め定められた回転数で回転させると、従動ローラである第2ローラ1020も回転して、リング104が回転する。
【0042】
このような第1ローラ1010と第2ローラ1020とにより、所定の回転数と所定の引張り応力とでリング104を回転させると、リング104に繰返し曲げ応力が発生する。このときリング104は、図11に示す第1ローラ1010および第2ローラ1020により回転されているので、そのリング104に発生する疲労起点は図8に示すようになる。したがって、本実施の形態に係る疲労試験装置1000におけるリング104単体の疲労起点の位置を、無段変速機におけるリング104に発生する疲労起点の位置と同じにできる。
【0043】
所定時間このような状態を維持した後、リング104が疲労破壊しなければ、そのリング104は良品と判断される。一方、所定時間の間に、リング104が疲労起点から発生したクラック等が成長して疲労破壊すれば、そのリング104は不良品と判断される。また、リング104が疲労破壊するまでこのような状態を維持するようにしてもよい。
【0044】
以上のようにして、本実施の形態に係る疲労試験装置を用いた試験方法によると、無段変速機の中で実際にリング端部がエレメントの窪みに位置する状態を、疲労試験装置の回転ローラの形状を変更して実現した。また、ローラ間の軸間力、ローラ径を調整することにより、無段変速機の中でのリングの引張り応力および曲げ応力を模擬して、疲労試験を行なうことができる。
【0045】
なお、図9および図10で示した本実施の形態に係る疲労試験装置に代えて、図13に示すように複数のローラを用いたものであってもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る疲労試験方法で評価されるリングを含む無端金属ベルトを用いたベルト式無段変速機の断面図である。
【図2】 無端金属ベルトを説明するための部分斜視図である。
【図3】 無端金属ベルトの全体構成を示す斜視図である。
【図4】 エレメントの正面図である。
【図5】 エレメントの側面図である。
【図6】 リングにおける応力の発生状態を示す図である。
【図7】 疲労起点を表わす図(その1)である。
【図8】 疲労起点を表わす図(その2)である。
【図9】 本発明の実施の形態に係る疲労試験装置の側面図である。
【図10】 本発明の実施の形態に係る疲労試験装置の上面図である。
【図11】 ローラの上面図(その1)である。
【図12】 ローラの上面図(その2)である。
【図13】 変形例に係る疲労試験装置の側面図である。
【符号の説明】
100 無段変速機、102 エレメント、104 リング、106 無端金属ベルト、108 シーブ、110 シーブ面、112 対シーブ摩擦面、114 基体部分、116 首部、118 頂部、120 サドル面、122 ディンプル・ホール、124 傾斜面、200 入力軸、220 入力側プーリ、300 出力軸、320 出力側プーリ、1000 疲労試験装置、1010 第1ローラ、1020 第2ローラ、1030 溝部。

Claims (6)

  1. サドル部、頂部およびこれらをつなぐ首部とから構成されるとともに前記サドル部と前記首部との間に窪みが設けられた複数のエレメントをその板厚方向に並べて、前記エレメントのサドル部および頂部の間に環状のリングを通すことにより構成された無端金属ベルトにおける前記リングに適用される疲労試験装置であって、
    前記リングが掛けられるとともに軸間力が付与される複数のローラと、
    前記複数のローラの中の少なくとも1つのローラを回転させるための回転手段とを含み、
    前記複数のローラは、リング断面における疲労起点の位置を、前記無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合における疲労起点の位置に対応させるための調整手段を含み、
    前記調整手段は、前記複数のローラに設けられた、前記エレメントに設けられた窪みを模擬した溝である、無端金属ベルト用リングの疲労試験装置。
  2. 前記軸間力は、前記リングに付与される引張り応力が、前記無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される引張り応力を模擬するように設定される、請求項1に記載の疲労試験装置。
  3. 前記ローラ径は、前記リングに付与される曲げ応力が、前記無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される曲げ応力を模擬するように設定される、請求項1または2に記載の疲労試験装置。
  4. サドル部、頂部およびこれらをつなぐ首部とから構成されるとともに前記サドル部と前記首部との間に窪みが設けられた複数のエレメントをその板厚方向に並べて、前記エレメントのサドル部および頂部の間に環状のリングを通すことにより構成された無端金属ベルトにおける前記リングに適用される疲労試験方法であって、
    前記リングを、前記エレメントに設けられた窪みを模擬した溝が設けられている複数のローラに掛けるステップと、
    前記ローラに軸間力を付与することにより、前記リングに引張り応力を付与する引張りステップと、
    前記複数のローラの少なくとも1つのローラを回転させることにより、前記リングに繰返し曲げ応力を付与する曲げステップとを含む、無端金属ベルト用リングの疲労試験方法。
  5. 前記引張りステップは、前記リングに付与される引張り応力が、前記無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される引張り応力を模擬するように前記ローラに軸間力を付与するステップを含む、請求項に記載の疲労試験方法。
  6. 前記曲げステップは、前記リングに付与される繰返し曲げ応力が、前記無端金属ベルトが無段変速機に組み込まれた場合においてリングに付与される繰返し曲げ応力を模擬するように前記少なくとも1つのローラを回転させるステップを含む、請求項4または5に記載の疲労試験方法。
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