JP3911818B2 - 車両のシートベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の例えば後部座席のような3人掛け座席に対し用いられる車両のシートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両のシートベルト装置として、後部座席用のシートベルト装置のリトラクタをリアフェンダ内に配設したものが知られている(例えば、特開平6−263005号公報参照)。このものでは、厚板に形成されているストラットサスペンションのストラットトップにリトラクタを取り付けることにより、上記リトラクタ取付のためのレインフォースメント部材を省略するようにしている。
【0003】
また、例えば後部座席のように3人掛けに構成されている座席における従来のシートベルト装置においては、上記後部座席の左右両側に着座する各乗員に対しては3点式のシートベルト装置に構成されている一方、中央に着座する乗員に対しては2点式のシートベルト装置に構成されているのが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記中央席の乗員用のシートベルト装置を2点式のものから3点式のものにして中央席の乗員に対する安全性を向上させたいという要請がある。
【0005】
そこで、3人掛けの後部座席の中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置として、図9に示すように、ウエビング42aに第1及び第2タング42b,42cの2つを設けたものを用いて、上記ウエビング42aの先端に設けられた第1タングを上記中央席の着座者の左側に配設された第1バックルに係合させ、上記ウエビングの第1タング42bとアンカー43との間に取り付けられた第2タング42cを上記着座者の右側に配設された第2バックルに係合させるようにすることが考えられる。
【0006】
ところが、上記中央席用のシートベルト装置を3点式に構成した場合にはウエビングは乗員の肩口から前方に引き出すようにする必要があるため、その配設位置が問題となる。
【0007】
そこで、中央席用のシートベルト装置のリトラクタを上記中央席のシートバックの後方位置、あるいは、左側もしくは右側の座席用のシートベルト装置のリトラクタと同様にリアフェンダ内に配設すること等が考えられる。
【0008】
このうち中央席用のリトラクタをリアフェンダ内に配設する場合には上記左側もしくは右側の座席用と中央席用とのリトラクタの2つがリアフェンダ内に配設され、それぞれにブラケットを設けることになるため、レイアウトスペースが悪化したり、部品点数が増えることによるコスト及び重量の増大という不都合が生じることになる。さらに、上記各リトラクタのウエビングの引き出し方向が前方のほぼ同じ方向になった場合は、上記各ブラケットが配設されるリアフェンダ内の車体部分に作用する荷重の方向がほぼ同じになってしまうことになるため、上記車体部分の強度を上記荷重に対し十分耐えうるように補強する必要があり、その結果、コスト及び重量が増大してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両後部座席の中央席用のシートベルト装置を3点式に構成する上で、レイアウトスペースを向上しつつ、そのリトラクタを確実に保持し得るようその配設形態の最適化を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ウエビングを巻き取るリトラクタが車体のリアフェンダ内に配設された車両のシートベルト装置を前提としている。このものにおいて、複数のウエビングと、この複数のウエビングに対し個別に接続された第1と第2との一対のリトラクタとを備え、この一対のリトラクタを共に同一のブラケットを介して上記車体に固定する構成とするものである。
【0011】
そして、上記第1リトラクタを上記ブラケットの前部位置においてそのウエビングの引 き出し方向が前方となるように配設する一方、 上記第2リトラクタを上記ブラケットに対し上記第1リトラクタよりも後方の後部位置においてそのウエビングの引き出し方向が上方となるように配設する構成とするものである。
【0012】
上記の構成の場合、2つのリトラクタを同一のブラケットを介して車体に固定することにより、レイアウトスペースの向上が図られるとともに、上記2つのリトラクタに作用する荷重を上記1つのブラケットに集中させることが可能になる。このため、上記2つのリトラクタ毎に補強を行わなくても上記ブラケットと車体との接合部分の一箇所のみを補強すればよく、これにより、上記ブラケットの補強を簡易かつ有効に行うことが可能になる。その結果、上記2つのリトラクタを確実に保持しつつ、3人掛けの座席の中央席の乗員を3点式のシートベルト装置により保護することが可能になる。
【0013】
また、上記の構成の場合、2つのリトラクタのウエビングの引き出し方向を前方と上方とに互いに異ならせているため、上記ブラケットと車体との接合部への作用荷重が効果的に分散される。このため、上記荷重が全て同じ方向に作用する場合に比べて、ブラケットと車体との接合部への応力集中を緩和させることが可能になり、複数のリトラクタを同一のブラケットに取り付けるようにしても、そのブラケットを車体に対し簡易に保持させることが可能になる。
【0014】
また、上記2つのリトラクタをブラケットに対し前後方向に配設することにより、上記2つのリトラクタをブラケットに対し車幅方向に並設する場合に比べて、シートベルト装置としてコンパクトな構成にすることが可能になる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ブラケットに、ウエビングの引き出し方向を変換するアンカーを取り付ける取付部を設定する構成するものである。
【0016】
上記の構成の場合、アンカー用のブラケットをリトラクタ用のブラケットとは別個に設ける必要がなく、レイアウトスペースの向上を図りつつ、車両のシートベルト装置の構造の簡略化が図られる。また、上記アンカーによりウエビングの引き出し方向を変換することだけで、上記ブラケットに作用する荷重の分散を達成することが可能になる。さらに、複数のリトラクタとアンカーとが同一のブラケットを介して車体に固定されることにより、上記ブラケットと車体との接合部分の一箇所のみを補強して、上記ブラケットの補強を有効に行うことが可能になる。その結果、上記複数のリトラクタ及びアンカーを十分な取付強度を有した状態で車体に対し取り付けることが可能になる。
【0017】
請求項3記載の発明は、ウエビングを巻き取るリトラクタが車体のリアフェンダ内に配設された車両のシートベルト装置を前提としている。このものにおいて、複数のウエビングと、この複数のウエビングに対し個別に接続された複数のリトラクタとを備え、この複数のリトラクタを共に同一のブラケットを介して上記車体に固定する構成とするものである。
【0018】
そして、上記ブラケットに、上記ウエビングの引き出し方向を変換するアンカーを取り付ける取付部を設定し、上記ブラケットを、リアピラーと、このリアピラーの下部から連続してリアサイドウインドウの下縁に沿って前方に延びるリアフェンダ部分との双方にまたがるように、リアピラーとリアフェンダ部分とのコーナー部に配設して、上記リアピラーのピラーレインフォースメントを構成するように形成し、上記複数のリトラクタ及びアンカーを、この各リトラクタ及びアンカーの取り付け部分に作用する荷重を互いに相殺させるようにそれぞれ配設する構成とするものである。
【0019】
上記の構成の場合、ブラケットのリアピラー側に配設された部分をこのリアピラーのピ ラーレインフォースメントとすることが可能になる。このため、上記リアピラーの剛性を高めるとともに上記ブラケット自体の剛性を高めることが可能になる。これにより、上記ブラケットに入力される荷重を確実に受け止めて各リトラクタ及びアンカーの車体への取付強度をより一層向上させることが可能になる。また、ブラケットの内、リアフェンダ部分に対し位置する部分にリトラクタを配設する一方、リアピラーに対し位置する部分にアンカーを配設すれば、上記リトラクタ及びアンカーを都合よく配設することが可能になる。
【0020】
さらに、1つのブラケットに対し複数のリトラクタ及びアンカーを取り付ける場合であっても、その各リトラクタ及びアンカーを介して上記ブラケットに入力する作用荷重が互いに相殺されるため、上記ブラケット自体の耐荷重強度が低減され、上記ブラケットと車体との接合部への応力集中を緩和させることが可能になる。その結果、上記各リトラクタ及びアンカーをそれぞれ車体に対し十分な取付強度を有する状態に固定することが可能になる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、ブラケットを、リアピラーとリアフェンダ部分とのコーナー部から上記リアピラーに沿って上方に延びるリアピラー部と、上記コーナー部からリアフェンダ部分に沿って前方に延びるリアフェンダ部とを一体に形成し、第1リトラクタを上記ブラケットのリアフェンダ部の前部位置に配設し、第2リトラクタを上記ブラケットのリアフェンダ部の後部位置に配設し、上記第2リトラクタのアンカーを上記ブラケットのリアピラー部の上部位置であって上記第2リトラクタよりも前方位置に配設する。そして、上記第1リトラクタのウエビングの引き出し方向を前方に設定し、上記第2リトラクタのウエビングの引き出し方向を上記アンカーに向けて設定し、上記アンカーを上記第2リトラクタのウエビングの引き出し方向を前方の下方に変換するように設定する構成とするものである。
【0022】
上記の構成の場合、請求項3記載の発明の具体的な態様が特定され、第2リトラクタのウエビングの引き出しを上記第2リトラクタの前方の上方に配設したアンカーに向けて行い、このアンカーにより上記ウエビングの引き出し方向を前方の斜め下方に変換することにより、上記第2リトラクタとアンカーとに作用する荷重の内、上下方向の荷重を互いに相殺させることが可能になる。このため、ブラケットに対し前後方向の荷重のみが作用することになるため、上記ブラケットに作用する荷重を低減させることが可能になる。これにより、ブラケットと車体との接合部への応力集中を緩和させることが可能になり、その結果、上記各リトラクタ及びアンカーをそれぞれ車体に対し十分な取付強度を有する状態に固定することが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る車両のシートベルト装置が取り付けられる5ドアハッチバック車両を示し、上記車両のシートベルト装置は、例えば図10に示すように、3人掛けの後部座席51,52,53の内、中央席52及び左右一側の座席(図例では左席53)のそれぞれに対するものとして構成されている。なお、図10では、右側席の乗員に対する3点式シートベルト装置の図示を省略している。そして、上記車両のシートベルト装置は、上記車両のリアサイドウインドウ2の下縁に沿って前後方向に延びるリアフェンダ部分としてのリアフェンダ21のベルトライン21aと車両左側のリアピラー22とのコーナー部に配設されるようになっている。そして、図2は、上記車両のリアボデーの後部側面についてアウタパネルを省略した状態で示したものであり、1はブラケットであり、このものには、第1及び第2の一対のリトラクタと、アンカーとがともに配設されるようになっている。なお、図2中31はリアタイヤのホイールハウス、32はリアサスペンションのサスペンションタワー、33は燃料タンクの注入口である。
【0025】
上記ブラケット1は、図3に示すように、リアフェンダ21のベルトライン21aに沿って前方に延びるリアフェンダ部としてのベルトライン部1aと、上記リアピラー22に沿って斜め上方に延びるリアピラー部1bとにより、図4に示すように、側面視で略L字状の形状を有するように形成されている。また、上記ブラケット1のベルトライン部1aは、図5及び図6に示すように、リアフェンダ21のインナパネル21bに沿ってこのインナパネル21bに平行な板材により構成されている一方、上記リアピラー部1bは、上記ベルトライン部1aに対し直交して接合しており、図7に示すように、リアピラー22のインナピラー22aに沿って車幅方向内方の上方に拡がるように板材によって構成されている。このようなブラケット1は一枚の板材を曲げ加工して形成すればよい。
【0026】
そして、上記ベルトライン部1aは、図6に示すように、リアフェンダ21のインナパネル21bとアウタパネル21cとの間であって、上記インナパネル21bに沿って配設されるようになっている一方、上記リアピラー部1bは、インナピラー22aとアウタピラー22bとの間であって上記インナピラー22aに沿うように配設されるようになっている。そして、上記ブラケット1のベルトライン部1aはインナパネル21bに対しスポット溶接により固定されるようになっている(図2の×印参照)。一方、上記リアピラー部1bは、図7に示すように、その車幅方向の両端部においてインナピラー22a及びアウタピラー22bと重なっており、この重なった部分がスポット溶接されることにより、上記インナピラー22a及びアウタピラー22bに対し固定されるようになっている。
【0027】
そして、上記ベルトライン部1aには、図3に示すように、左側座席に着座する乗員のシートベルト装置の第1リトラクタ41と、中央座席に着座する乗員のシートベルト装置の第2リトラクタ42とが取り付けられるようになっている。上記第1リトラクタ41は、図4及び図6に示すように、上記ベルトライン部1aの前部位置であってリアフェンダ21のインナパネル21bと車室トリム23との間に配設される一方、上記第2リトラクタ42が上記ベルトライン部1aに対し上記第1リトラクタ41よりも後方の後部位置であって上記インナパネル21bと車室トリム23との間にそれぞれ配設されている。一方、上記リアピラー部1bは、上記第2リトラクタ42のウエビング42aの引き出し方向を変換するアンカー43が取り付けられる取付部となっており、このアンカー43は上記リアピラー部1bの上部位置であってトリム23の車内側の面に取り付けられるようになっている。
【0028】
上記第1リトラクタ41のウエビング41aは、図8に示すように、トリム23に設けられたスリット23aから車内側に出るようになっており、ベルトライン21aに沿って前方に引き出されるようになっている。一方、上記第2リトラクタ42のウエビング42aは、トリム23に設けられたスリット23bから車内側に出るようになっており、上記アンカー43に向かって上向きに引き出されるようになっている。上記第2リトラクタ42のウエビング42aは、上記アンカー43により前方斜め下方に引き出し方向が変換されるようになっている。また、上記第2リトラクタ42のウエビング42aには、図9に示すように、第1及び第2タング42b,42cの2つのリトラクタが取り付けられており、上記第1タング42bは上記ウエビング42aの先端位置に、第2タング42cは上記第1タング42bとアンカー43との中間位置にそれぞれ取り付けられている。そして、図10に示すように、上記第2リトラクタ42のウエビング42aをその左肩から前方に引き出し、中央座席52の乗員の左側位置に設けられた第1バックル52aに上記第1タング42bを係合させ、次いで、上記乗員の右側位置に設けられた第2バックル52bに上記第2タング42cを係合させることにより、上記中央座席52の乗員が保護されるようになっている。一方、左側座席53の乗員に対しては、上記第1リトラクタ41のウエビング41aの先端が、上記座席の左側下方の車体に固定されており、上記ウエビング41aに取り付けられたタング41bをその左肩から前方に引き出し、上記左側の乗員の右側位置の座席に設けられたバックル53aに上記タング42bを係合させることにより、上記左側座席53の乗員が保護されるようになっている(図10参照)。
【0029】
つぎに、上記実施形態の作用・効果を説明する。
【0030】
第1及び第2リトラクタ41,42とアンカー43とが同一のブラケット1を介して車体に固定されることにより、レイアウトスペースの向上が図られるとともに、上記ブラケット1とインナパネル21b及びリアピラー22との接合部分のみを補強することにより、上記ブラケット1の取付補強を簡易にかつ有効に行うことができるようになる。その結果、上記第1及び第2リトラクタ41,42及びアンカー43を十分な取付強度を有した状態で車体に対して取り付けることができるようになり、3人掛けの後部座席の中央席の乗員を3点式のシートベルト装置により保護することができるようになる。
【0031】
また、上記第1及び第2リトラクタ41,42を上記ブラケット1に対し前後方向に並べて配設することにより、上記第1及び第2リトラクタ41,42をブラケット1に対し車幅方向に配設する場合に比べて、車両のシートベルト装置を車幅方向にコンパクトな構成にすることができるようになる。
【0032】
さらに、上記第1及び第2リトラクタ41,42と、アンカー43との取付部に対し作用する荷重はそれぞれ、図4に示すように、上記第1リトラクタ41の取付部に対し前方に作用し(同図の矢印F1参照)、上記第2リトラクタ42の取付部に対し上記アンカー43の方向、つまり、前方の上方に作用し(同図の矢印F2参照)、上記アンカー43の取付部に対し前方の下方に作用するようになる(同図の矢印F3参照)。そして、上記第1及び第2リトラクタ41,42とアンカー43との取付部に作用する荷重を合力すると、上記第2リトラクタ42とアンカー43との上下方向の荷重が互いに相殺されるようになり(同図の矢印F2及び矢印F3′参照)、上記ブラケット1に作用する荷重は、上記第1リトラクタ41の取付部に作用する前方の荷重F1と、第2リトラクタ42とアンカー43との取付部にそれぞれ作用する荷重の合力(同図の矢印F4参照)とになる。このため、例えば、上記第1及び第2リトラクタ41,42とアンカー43とが全てその各取付部に対し前方への荷重が作用するように配設されていた場合に比べて、上下方向荷重が相殺される分だけ上記ブラケット1とインナパネル21b及びリアピラー22との接合部に作用する荷重を低減させることができるようになる。その結果、上記第1及び第2リトラクタ41,42とアンカー43とをそれぞれ車体に対し十分な取付強度を有する状態に固定することができるようになる。
【0033】
加えて、上記ブラケット1のリアピラー部1bはリアピラー22のピラーレインフォースメントとしての機能を有し、上記ブラケット1をリアピラー22と一体に設けることにより、上記リアピラー22の剛性を高めるとともに上記ブラケット1の剛性を高めることができるようになる。このため、上記ブラケット1に入力される荷重を確実に受け止めて第1及び第2リトラクタ41,42及びアンカー43の車体への取付強度をより一層向上させることができるようになる。
【0034】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、車両のシートベルト装置を5ドアハッチバック車両に配設するようにしているが、これに限らず、例えば車室とトランクとが互いに仕切られているようなセダン車両等に上記車両のシートベルト装置を配設するようにしてもよい。
【0035】
上記実施形態では、ブラケット1を車両の左側のベルトライン21aとリアピラー22とのコーナー部に配設するようにしているが、これに限らず、例えば車両の右側のベルトラインとリアピラーとのコーナー部に配設して、後部座席の右側席と中央席との乗員用のシートベルト装置のリトラクタをそれぞれ上記車両の右側のブラケットに配設するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における車両のシートベルト装置によれば、2つのリトラクタを同一のブラケットを介して車体に固定することにより、レイアウトスペースの向上を図ることができるとともに、上記2つのリトラクタに作用する荷重を上記1つのブラケットに集中させることができる。このため、上記2つのリトラクタ毎に補強を行わなくても上記ブラケットと車体との接合部分の一箇所のみを補強すればよく、これにより、上記ブラケットの補強を簡易かつ有効に行うことができる。その結果、上記2つのリトラクタを確実に保持しつつ、3人掛けの座席の中央席の乗員を3点式のシートベルト装置により保護することができる。
【0037】
また、2つのリトラクタのウエビングの引き出し方向が互いに異なるようにブラケットを介して車体に対し固定することにより、各リトラクタの取付部分からブラケットに作用する荷重を分散させて作用させることができる。このため、上記荷重が全て同じ方向に作用する場合に比べて、ブラケットと車体との接合部への応力集中を緩和させることができ、2つのリトラクタを同一のブラケットに取り付けるようにしても、そのブラケットを車体に対し簡易に保持させることができる。
【0038】
特に、2つのリトラクタのウエビングの引き出し方向を前方と上方とに互いに異ならせているため、上記ブラケットと車体との接合部への作用荷重を効果的に分散させることができる。また、上記2つのリトラクタをブラケットに対し前後方向に配設することにより、上記2つのリトラクタをブラケットに対し車幅方向に並設する場合に比べて、シートベルト装置としてコンパクトな構成にすることができる。
【0039】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、アンカー用のブラケットをリトラクタ用のブラケットとは別個に設ける必要がなく、レイアウトスペースの向上を図りつつ、車両のシートベルト装置構造の簡略化を図ることができる。また、上記アンカーによりウエビングの引き出し方向を変換することだけで、上記ブラケットに作用する荷重の分散を達成することができる。さらに、複数のリトラクタとアンカーとが同一のブラケットを介して車体に固定されることにより、上記ブラケットと車体との接合部分の一箇所のみを補強して、上記ブラケットの補強を有効に行うことができる。その結果、上記複数のリトラクタ及びアンカーを十分な取付強度を有した状態で車体に対して取り付けることができる。
【0040】
請求項3記載の発明によれば、ブラケットのリアピラー側に配設された部分をこのリアピラーのピラーレインフォースメントとすることができる。このため、上記リアピラーの剛性を高めるとともに上記ブラケット自体の剛性を高めることができる。これにより、上記ブラケットに入力される荷重を確実に受け止めて各リトラクタ及びアンカーの車体への取付強度をより一層向上させることができる。また、ブラケットの内、リアフェンダ部分に対し位置する部分にリトラクタを配設する一方、リアピラーに対し位置する部分にアンカーを配設すれば、上記リトラクタ及びアンカーを都合よく配設することができる。
【0041】
さらに、1つのブラケットに対し複数のリトラクタ及びアンカーを取り付ける場合であっても、その各リトラクタ及びアンカーを介して上記ブラケットに入力する作用荷重が互いに相殺されるため、上記ブラケット自体の耐荷重強度が低減され、上記ブラケットと車体との接合部への応力集中を緩和させることができる。その結果、上記各リトラクタ及びアンカーをそれぞれ車体に対し十分な取付強度を有する状態に固定することができる。
【0042】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明による効果に加えて、請求項3記載の発明の具体的な態様を特定することができ、第2リトラクタのウエビングの引き出しを上記第2リトラクタの前方の上方に配設したアンカーに向けて行い、このアンカーにより上記ウエビングの引き出し方向を前方の斜め下方に変換することにより、上記第2リトラクタとアンカーとに作用する荷重の内、上下方向の荷重を互いに相殺させることができる。このため、ブラケットに対し前後方向の荷重のみが作用することになるため、上記ブラケットに作用する荷重を低減させることができる。これにより、ブラケットと車体との接合部への応力集中を緩和させることができ、その結果、上記各リトラクタ及びアンカーをそれぞれ車体に対し十分な取付強度を有する状態に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両のシートベルト装置が配設される車両を示す側面図である。
【図2】 図1に示す車両のリアボデー部分を車外から見たものであってそのアウタパネルを省略した状態の側面説明図である。
【図3】 車両のシートベルト装置を車室側からみた斜視説明図である。
【図4】 車両のシートベルト装置を示す側面説明図である。
【図5】 図4のブラケットの平面説明図である。
【図6】 図4のブラケットを後方から見た後面説明図である。
【図7】 図4のA−A断面を示す断面図である。
【図8】 車両のシートベルト装置を車室側から見た側面説明図である。
【図9】 後部座席の中央席用のシートベルト装置を示す斜視図である。
【図10】 後部座席のシートベルト装置の態様を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
1 ブラケット
2 リアサイドウインドウ
21 リアフェンダ
22 リアピラー
41 第1リトラクタ
42 第2リトラクタ
43 アンカー
1a ベルトライン部(リアフェンダ部)
1b リアピラー部
21a ベルトライン(リアフェンダ部分)
41a,42a ウエビング
Claims (4)
- ウエビングを巻き取るリトラクタが車体のリアフェンダ内に配設された車両のシートベルト装置において、
複数のウエビングと、この複数のウエビングに対し個別に接続された第1と第2との一対のリトラクタとを備え、この一対のリトラクタが共に同一のブラケットを介して上記車体に固定されており、
上記第1リトラクタは上記ブラケットの前部位置においてそのウエビングの引き出し方向が前方となるように配設されている一方、
上記第2リトラクタは上記ブラケットに対し上記第1リトラクタよりも後方の後部位置においてそのウエビングの引き出し方向が上方となるように配設されている
ことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - 請求項1において、
ブラケットには、ウエビングの引き出し方向を変換するアンカーを取り付ける取付部が設定されている
ことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - ウエビングを巻き取るリトラクタが車体のリアフェンダ内に配設された車両のシートベルト装置において、
複数のウエビングと、この複数のウエビングに対し個別に接続された複数のリトラクタとを備え、この複数のリトラクタが共に同一のブラケットを介して上記車体に固定され、
上記ブラケットには、上記ウエビングの引き出し方向を変換するアンカーを取り付ける取付部が設定され、
上記ブラケットは、リアピラーと、このリアピラーの下部から連続してリアサイドウインドウの下縁に沿って前方に延びるリアフェンダ部分との双方にまたがるように、リアピラーとリアフェンダ部分とのコーナー部に配設されて、上記リアピラーのピラーレインフォースメントを構成するように形成され、
上記複数のリトラクタ及びアンカーは、この各リトラクタ及びアンカーの取り付け部分に作用する荷重を互いに相殺させるようにそれぞれ配設されている
ことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - 請求項3において、
ブラケットは、リアピラーとリアフェンダ部分とのコーナー部から上記リアピラーに沿って上方に延びるリアピラー部と、上記コーナー部からリアフェンダ部分に沿って前方に延びるリアフェンダ部とが一体に形成され、
第1リトラクタは上記ブラケットのリアフェンダ部の前部位置に配設され、第2リトラクタは上記ブラケットのリアフェンダ部の後部位置に配設され、上記第2リトラクタのアンカーは上記ブラケットのリアピラー部の上部位置であって上記第2リトラクタよりも前方位置に配設され、
上記第1リトラクタのウエビングの引き出し方向は前方に設定され、上記第2リトラクタのウエビングの引き出し方向は上記アンカーに向けて設定され、上記アンカーは上記第2リトラクタのウエビングの引き出し方向を前方の下方に変換するように設定されている
ことを特徴とする車両のシートベルト装置。
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1998
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