JP3911280B2 - 残渣乾燥設備 - Google Patents

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Description

本発明は残渣乾燥設備に関するものである。
近年「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」が施行され、食品の製造、加工または調理などの過程において副次的に得られた物品であって、そのままの形態では食用に供することができない食品廃棄物のうち、有用なもの(食品循環資源)を脱水、乾燥、粉砕などの処理を行なって肥料、飼料、その他製品の原材料に再生利用し、食品廃棄物の減量を図ることが、事業者の責務となった。
また、食品循環資源である醤油粕に湿潤化処理と乾燥処理を逐次行なって醤油粕の異臭成分を取り去り、配合飼料や肥料の原材料に醤油粕を再生利用できるようにする処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
リンゴなどの果実から果汁を絞り取った後の残渣は、糖分を多く含んでいるので家畜の飼料に適しているが、果汁を絞り取る加工地と家畜の飼育地が離れていたり、果実の収穫時期だけにしか残渣を得ることができないなどの事由によって、家畜に果実の残渣を給餌することはあまり行なわれていない。
特開2003−19471号公報
糖分を多く含んでいる植物性の残渣を通年にわたって家畜に給餌するためには、脱水、乾燥などの処理を充分に施し、腐敗を防ぐとともに重量を減らして保管や輸送の取り扱いを容易にする必要がある。
ところが、特許文献1に例示されている多段円盤乾燥器を用いて、果実の残渣を熱風で乾燥させると、水分の蒸発に伴って糖分の相対的な割合が増え、当該乾燥器の構成部材に残渣が付着して取り出せなくなってしまう。
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、糖分を含んだ残渣を効率よく乾燥できるようにすることを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、処理板に置かれた残渣を平らに均し且つ引き剥がすスクレーパ、及び該スクレーパで引き剥がした残渣を表裏が反転するように処理板に向けて順に切り落とすカッタを有する前段乾燥機構と、この前段乾燥機構の処理板に置かれた残渣を加熱し且つ燃焼ガスを送出し得る輻射乾燥手段と、前記燃焼ガスから熱エネルギーを得て後段乾燥機構の筒体内に溜めてある残渣に熱風を送給する通気乾燥手段とを備えている。
請求項2に記載の発明は、通気乾燥手段が送出する熱風の一部を、前段乾燥機構の処理板に置いてある残渣へ送るように構成している。
請求項3に記載の発明は、前段乾燥機構の処理板と輻射乾燥手段との間に除湿用空気を水平に流す通気除湿手段を備えている。
請求項1に記載の発明においては、処理板に置いた残渣を輻射乾燥手段により加熱して脱水する前段工程と、当該前段工程が済んだ残渣を筒体に入れ、熱エネルギーを燃焼ガスから得た適当な温度の熱風を通気乾燥手段により筒体内へ送給して、筒体内にある残渣を熱風に晒して脱水する後段工程とを同時に行なう。
請求項2に記載の発明においては、処理板に置いてある残渣へ通気乾燥手段が送出する熱風の一部を送り、蒸発により発生する水膜を取り除く。
請求項3に記載の発明においては、通気除湿手段が送出する除湿用空気を処理板と輻射乾燥手段との間へ流し、残渣から生じた水蒸気を大気中へ逃がす。
本発明の残渣乾燥設備によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
(1)請求項1に記載の発明では、筒体内に溜めてある残渣を、燃焼ガスから熱エネルギーを得た適当な温度の熱風に晒して脱水するので、熱エネルギーを有効に活用しつつ残渣を効率よく乾燥させることができる。
(2)請求項2に記載の発明では、輻射乾燥手段とは別途に、処理板に置かれた前段工程の残渣を、通気乾燥手段が送出する熱風の一部により加熱して水膜を取り除くので、熱エネルギーを有効に活用しつつ残渣を効率よく乾燥させることができる。
(3)請求項3に記載の発明では、残渣から生じた水蒸気を、通気除湿手段が送出する除湿用空気により大気中へ逃がすので、筒体内へ送る熱風の低湿度化を図ることができ、残渣の乾燥に要する時間が短縮される。
(4)請求項1乃至請求項3に記載の発明のいずれにおいても、残渣を乾燥させることによって腐敗の防止と重量の削減が達成され、糖分が多い残渣の保管や輸送の取り扱いが容易になり、果汁の製造過程で副次的に得られる果実の残渣を、食品循環資源として健康食品の素材や家畜の有用な飼料などの広い分野にわたって再生利用することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1乃至図6は本発明の残渣乾燥設備の実施の形態の一例を示すもので、この残渣乾燥設備は、前段乾燥機構Aと後段乾燥機構Bに区分される。
前段乾燥機構Aは、残渣Zが置かれる処理板11と、当該処理板11を幅方向に挟んで向き合うようにフレーム12と、前記処理板11に置かれた残渣Zを平らに均し且つ皮状に引き剥がすスクレーパ13と、当該スクレーパ13により引き剥がされた残渣Zを処理板11に向けて順に切り落とすためのカッタ14と、当該カッタ14を組み込んだドラム15と、前記処理板11に置かれた残渣Zを加熱する輻射乾燥手段としての赤外線ヒータ16とを備え、フレーム12、スクレーパ13、カッタ14、並びにドラム15によって反転ユニット22を構成している(図1乃至図4参照)。
処理板11は、正逆双方向に周回可能なベルトコンベヤ方式のもの、あるいは長手方向に往復移動可能なテーブル方式のもののいずれであってもよい。
スクレーパ13は、長辺が処理板11全幅と同程度の細長い形状で、処理板11の上方に位置するようにフレーム12の間に配置してある。
スクレーパ13の一方の長辺は、処理板11幅方向に水平に延びるシャフト18によりフレーム12に枢支され、スクレーパ13の他方の長辺が、処理板11の上面(残渣Zを置く面)に接触し得るようになっている。
更に、スクレーパ13の他方の長辺を処理板11に向かって付勢するために、シャフト18端部にアーム19の下端部を固着し、当該アーム19の上端部とフレーム12の所定箇所との間に、引っ張り方向に作用するコイルばね20を設けている。
すなわち、残渣Zが置いてある処理板11をシャフト18下方を経てスクレーパ13側へ進む矢印C方向に移動させると、スクレーパ13が処理板11上の残渣Zを薄く平らに均し、処理板11をスクレーパ13側へ進む矢印D方向に移動させると、スクレーパ13が処理板11上から残渣Zを皮状に引き剥がす。
赤外線ヒータ16は、LPG、LNGなど気体燃料Fを使う燃焼方式のヒータであり、スクレーパ13によって均された残渣Zに輻射熱を付与し得るように、処理板11の上方に配置してある。
ドラム15は、両端部にあるフランジの間隔が処理板11全幅と同程度で、スクレーパ13の残渣Z均し方向上流側(図2において左側)に位置するようにフレーム12の間に配置してある。
ドラム15の胴部は、処理板11幅方向に水平に延び且つモータ(図示せず)から回転が伝達されるシャフト21によりフレーム12に枢支され、ドラム15のフランジ間には複数のカッタ14が、シャフト21に対して平行に張設してある。
すなわち、カッタ14が上方からスクレーパ13に向かって近付き且つ当該スクレーパ13の残渣Z均し方向上流側へ進む矢印E廻り(図2において時計廻り)にドラム15を回転させ、前述したように薄く平らに均した残渣Zが載っている処理板11を矢印D方向へ移動させると、ドラム15の回転に応じてカッタ14がスクレーパ13によって皮状に引き剥がされた残渣Zを、処理板11に向けて順に小片状に切り落とす。
小片状の残渣Zは、カッタ14が食い込む断ち切り部分がスクレーパ13の残渣Z均し方向上流側へ向かって振り飛ばされることになるので、表裏が反転した状態で処理板11に落下する。
残渣Zの表裏を確実に反転させるためには、カッタ14を線状とすることが望ましく、また、カッタ14への残渣Zの付着も抑制することができる。
この後、処理板11を前述したように矢印C方向に移動させて、表裏が反転した残渣Zをスクレーパ13で薄く平らに均したうえ、再度、赤外線ヒータ16により加熱すれば、糖分の焦げ付きを発生させずに残渣Zを効率よく乾燥させることができる。
上述した前段乾燥機構Aでは、反転ユニット22を位置固定として残渣Zが載る処理板11を移動させるような構成にしてあるが、これとは逆に、処理板11を位置固定にして反転ユニット22を移動させるような構成を採っても、同様な作用効果が得られる。
後段乾燥機構Bは、縦列に配置され且つ下端から上端に向けて内径が拡がる筒体31,32と、これら筒体31,32の上端全周に密着して上下に延びる処理塔33と、各筒体31,32内部を縦通するシャフト34と、該シャフト34に装着され且つ各筒体31,32の下端にそれぞれ向き合って間隙を形成する笠状の受板35,36と、前記シャフト34を回転させるモータ37と、前段乾燥機構Aの赤外線ヒータ16で生じた燃焼ガスGから熱エネルギーを得て処理塔33下部に熱風Hを送給する通気乾燥手段としてのファン38及びミキサ39とを備えている(図1、図5、図6参照)。
ミキサ39は燃焼ガスGに空気を混合して、燃焼ガスGよりも温度が低く、後段乾燥機構Bに適した熱風Hをつくる。
処理塔33は、残渣Zが溜まる回収箱40、筒体31を内装した外殻41、筒体32を内装した外殻42、残渣Zを受け入れる外殻43、モータ37を内装した機器室44を順に積み重ねて接続したものであり、外殻43には、前段乾燥機構Aでの乾燥処理が済んだ残渣Zを処理塔33内部に投入するためのフィーダ45が設けてある。
フィーダ45は、図5に示すようなプッシャー方式のものの他に、残渣Zを連続的に投入可能なスクリュー方式のものであってもよい。
また、機器室44の上端部には、微細な固形分を捕集するためのサイクロンセパレータ46が組み込んである。
回収箱40には、シール機能を有するスクリューコンベヤ(図示せず)が付帯しており、残渣Zを連続的に外部へ送出できるようにしてある。
シャフト34は、外殻41の下端部、筒体31の上端部、並びに筒体32に上端部に、ブラケット47,48,49により枢支されている。
受板35,36には、熱風Hの通過を許容し且つ残渣Zの通過を阻止し得る形状の多数の通気孔50が穿設してある。
筒体31,32の下端部には、当該筒体31,32の内部に溜まった残渣Zを受板35,36の回転によって切り出すための案内板51,52が取り付けてある。
この案内板51,52は筒体31,32内方への差込み量が調整可能で、残渣Zの切り出し量は、案内板51,52の差込み量が深くなるほど増加する。
また、上方の筒体32内部での熱風Hの流速が、下方の筒体31内部での熱風Hの流速よりも高くなるように、下方にある筒体31の下端開口断面積は、上方にある筒体32の下端開口断面積に比べて大きく設定してある。
更に、シャフト34には、筒体31,32の内部に位置するようブレード53,54が装着してある。
この後段乾燥機構Bによって残渣Zを乾燥する場合には、フィーダ45から処理塔33内部に残渣Zを投入して筒体32に溜め、熱風Hを処理塔33の下部に送給するとともに、モータ37を作動させてシャフト34を回転させる。
これにより、処理塔33内部を上方へ向かう熱風Hの流れが、筒体32に溜まっている残渣Zの中を通り抜け、熱風Hで乾燥した残渣Zが、受板36の回転により切り出されて筒体31の内部へと落下し、同様に処理塔33内部へ上方へ向かう熱風Hの流れが、筒体31に溜まった残渣Zの中を通り抜け、熱風Hで更に乾燥した残渣Zが受板35の回転により切り出されて回収箱40へと落下する。
熱風Hの流速は、筒体31,32上端に近付くほど内径の拡大に応じて低くなるため、筒体31,32に溜まっている残渣Zは熱風Hより吹き上げられるものの、残渣Zの上層部分が下層部分の飛散を抑える役割を果たし、その中間部分では残渣Zが僅かに浮上する状態となる。
筒体31,32の内面に残渣Zが塊状に付着した場合、当該残渣Zは、シャフト34と一体的に回転するブレード53,54によって切り崩され、熱風Hの流通が確保される。
乾燥した残渣Z中に含まれている微細な固形分は、サイクロンセパレータ46によって捕集されるが、この微細な固形分も回収箱40に落下した残渣Zと合わせて、健康食品の素材や家畜の飼料などに再生利用することができる。
このように、後段乾燥機構Bでは、筒体31,32に入れた残渣Zを、熱風Hに晒して乾燥するので、糖分による筒体31,32や受板35,36への残渣Zの付着を防ぐことができる。
また、残渣Zが溜まる筒体31,32を縦列に配置し、熱風Hにより脱水が進捗した残渣Zを、上方の筒体32から下方の筒体31へ順に移して水分を逐次減らす構成としたので、限られた設備据付面積で残渣Zを効率よく乾燥させることができる。
更に、前段乾燥機構Aの処理板11に置かれた残渣Zに水膜除去用の熱風Hを送給する通気乾燥手段としてのファン55及びミキサ56を、後段乾燥機構Bのファン38の吸気経路に接続した構成を採用すれば、燃焼ガスGの熱エネルギーを有効に活用して残渣Zを効率よく乾燥させることができる。
このミキサ56は、先述したミキサ39から送出される熱風Hに空気を混合して、熱風Hの温度を水膜除去に適した温度に下げる。
図7は通気除湿手段を備えた前段乾燥機構Aを示すもので、図中、図1及び図2などと同一の符号を付した部分は同一物を表している。
通気除湿手段は、大気を吸引するファン57と、当該ファン57が送り出す除湿用空気Jを、処理板11よりも上側で且つ赤外線ヒータ16よりも下側の空間に流す導風ノズル58とを有している。
導風ノズル58の姿勢は、除湿用空気Jが水平に且つ処理板11移動方向に対して交差する向きに流れるように定めてある。
また、赤外線ヒータ16で生じた燃焼ガスGは、先に述べた通気乾燥手段のファン38の吸引力により、赤外線ヒータ16に並ぶフード59を経てミキサ39に到達するようにしてある。
つまり、赤外線ヒータ16の輻射熱によって残渣Zを加熱する際に、ファン57を作動させて処理板11と赤外線ヒータ16との間に除湿用空気Jを流すと、当該除湿用空気Jが残渣Zから生じた水蒸気を随伴して大気中へ逃がすことなる。
従って、フード59を経てミキサ39へと流れる燃焼ガスGの水分量が著しく減少し、ファン38から処理塔33(図5参照)の下部へ送給される熱風Hの低湿度化を図られ、後段乾燥機構Bでの残渣Zの乾燥に要する時間を短縮できる。
なお、本発明の残渣乾燥設備は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、残渣を溜める筒体の数を変更すること、後段乾燥機構だけで残渣を乾かすようにすること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
本発明の残渣乾燥設備は、様々な食品循環資源に適用できる。
本発明の実施の形態の一例における前段乾燥機構の燃焼乾燥手段と後段乾燥機構の通気乾燥手段の関係を示す概念図である。 本発明の実施の形態の一例における前段乾燥機構を示す概念図である。 図2のIII−III矢視図である。 図3におけるスクレーパの支持構造を示す概念図である。 本発明の実施の形態の一例における後段乾燥機構を示す概念図である。 図5のVI−VI矢視図である。 通気除湿手段を備えた前段乾燥機構を示す概念図である。
符号の説明
11 処理板
16 赤外線ヒータ(輻射加熱手段)
31 筒体
32 筒体
38 ファン(通気乾燥手段)
39 ミキサ(通気乾燥手段)
55 ファン(通気除湿手段)
A 前段乾燥機構
B 後段乾燥機構
G 燃焼ガス
H 熱風
J 除湿用空気
Z 残渣

Claims (3)

  1. 処理板に置かれた残渣を平らに均し且つ引き剥がすスクレーパ、及び該スクレーパで引き剥がした残渣を表裏が反転するように処理板に向けて順に切り落とすカッタを有する前段乾燥機構と、この前段乾燥機構の処理板に置かれた残渣を加熱し且つ燃焼ガスを送出し得る輻射乾燥手段と、前記燃焼ガスから熱エネルギーを得て後段乾燥機構の筒体内に溜めてある残渣に熱風を送給する通気乾燥手段とを備えてなることを特徴とする残渣乾燥設備。
  2. 通気乾燥手段が送出する熱風の一部を、前段乾燥機構の処理板に置いてある残渣へ送るように構成した請求項1に記載の残渣乾燥設備。
  3. 前段乾燥機構の処理板と輻射乾燥手段との間に除湿用空気を水平に流す通気除湿手段を備えた請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の残渣乾燥設備。
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