JP3911250B2 - タンクコック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を貯留したタンクと、配管とを流体的に接続し、該配管への液体燃料の供給、及びその停止を行うように構成したタンクコックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ガソリンや軽油等の液体燃料を貯留するタンクと配管とを接続するとともに、タンクから配管に向けて流れる液体燃料の流通を遮断するコック機構を備えたタンクコックがある。
【0003】
該タンクコックには、種々形態のものがあり、その一つとして、タンクに設けられた接続口と、該接続口の穴中心に対して交差方向に延びるように配設された配管とを接続できるようにしたもの等がある。
【0004】
該タンクコックは、タンクの壁面に内部と連通して設けられた接続口に一端部が嵌着される筒状のコック本体に対し、該コック本体の軸心と交差方向に筒状の接続部が一体的に突設され、互いの穴を連通させて流路を形成した、いわゆるエルボ型をなしたものである。
【0005】
該タンクコックのコック機構は、コック本体の穴に軸心方向に進退可能に棒状の挿入体を備えており、該挿入体を軸心方向に進退させることで、コック本体と接続部との接続部位よりもタンク側で流路を連通、及び遮断し、液体燃料の接続部側への供給、及びその停止を行うことができるようになっている。
【0006】
かかるタンクコックは、コック本体の一端部にシールテープを巻いたり、パッキンを挟んだりした状態で、コック本体の一端部を前記接続口にねじ込んだ(嵌着した)後に、接続部に配管を外嵌することで、タンクと配管を接続するようになっているものや、コック本体の一端部を前記接続口に嵌入して位置決めした状態で溶接した(嵌着した)後に、接続部に配管を外嵌することで、タンクと配管を接続するようになっているもの等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の如く、コック本体と接続部が一体的に形成されているため、コック本体をタンクの接続部にねじ込んで取り付ける場合には、接続部とコック本体との嵌着部分が液密状態になるまでコック本体をタンクにねじ込むと、コック本体のねじ込み回転量によっては、接続部が配管の中心からずれて配管を接続することができない場合がある。
【0008】
その為、配管の接続できる位置に接続部を配置することができ、且つタンクの接続口とコック本体との嵌着部分が液密状態となるように、コック本体をタンクから取り外してシールテープを巻き直したり、パッキンを代えたりするといった作業を要し、タンクに対する取り付け作業が煩雑であるといった問題があった。
【0009】
また、コック本体をタンクの接続口に嵌入して溶接する場合、接続部が配管の配置に対応した配置となるように、コック本体を嵌入方向に延びる軸線周りに回転させて確実に位置決めした状態で溶接しなければならない。すなわち、コック本体を溶接してタンクに取り付ける場合には、一度取り付けてしまうと取り外すことが困難なため、位置決め作業に精度が要求され、このような作業においても煩雑であった。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、タンクの接続口、又は該接続口の穴中心に交差方向に配設された配管の何れか一方に嵌着した状態で、他方に容易に接続することのできるタンクコックを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるタンクコックは、上記課題を解決すべくなされたものであり、請求項1記載の如く、液体燃料の貯留されるタンクに設けられた接続口又は配管の何れか一方に液密状態で嵌着される第一接続体と、他方に液密状態で嵌着されるとともに、第一接続体の前記接続口又は配管への嵌入方向に延びる軸線周りに液密状態で回転できるように該第一接続体に連結されて、タンクと配管とを流体的に接続する流路を形成する第二接続体と、前記流路を開閉可能に構成されるコック機構とを備えるタンクコックであって、前記第一接続体は、一端部が前記接続口又は配管の何れか一方に嵌着可能な筒状体で構成されるとともに、軸心と交差する方向で内部に連通する貫通穴が穿設され、前記第二接続体は、第一接続体に対して軸心周りで回転可能に外嵌される外嵌部と、該外嵌部に突設されて前記接続口又は配管の何れか他方に嵌着される筒状の接続部とを備えて構成されるとともに、前記外嵌部には、前記貫通穴と前記接続部とを連通させる接続穴が穿設され、前記コック機構は、第一接続体の一端から他端にかけて貫通した穴内で軸心方向に進退させることにより前記流路を開閉する挿入体と、第一接続体の他端部に螺合されて前記挿入体を液密状態で軸心方向に案内する抜止体とを備えて構成され、前記抜止体を締め付けることにより、第二接続体を回転不能にして位置決めする一方、抜止体を緩めて取り外すことにより、第二接続体を第一接続体の他端側から取り外し可能に構成されることを特徴とする。なお、嵌着とは、単に嵌め入れることのみで接続する(取り付ける)他に、前記接続口又は配管に、ねじ込み(螺合)によって嵌め入れた状態にして接続することや、接続口又は配管に、嵌め込んだ状態で溶接して接続すること等を含む概念である。
【0012】
上記構成のタンクコックによれば、前記接続口又は配管の何れか一方に液密状態で嵌着される第一接続体と、前記接続口又は配管の何れか他方に液密状態で嵌着される第二接続体とを備え、前記第二接続体が、第一接続体の前記接続口又は配管への嵌入方向に延びる軸線周りに液密状態で回転できるように該第一接続体に連結されているので、第一接続体を、接続口又は配管の何れか一方に嵌着(接続)した状態で、第二接続体を前記軸線周りで回転させれば、当該第二接続体をタンクの接続口又は配管の何れか他方と接続可能な位置に配置することができ、タンクと配管とを容易に接続することができる。
【0013】
また、第二接続体が第一連結体に対して液密状態で連結されているので、液体燃料の漏れを防止した流路を形成することができる。さらに、前記コック機構が、第一接続体と第二接続体とで形成した流路を、開閉可能に構成されているので、配管への液体燃料の供給、及びその停止を確実に行うことができる。また、第一接続体に軸心と交差する方向で内部に連通する貫通穴が穿設され、第二接続体の外嵌体に接続穴が穿設されているので、第二接続体を第一接続体の軸心周りに回転させても、貫通穴と接続穴とを介してタンクから配管へ燃料を供給する流路を確保することができる。なお、前記貫通穴は、第一接続体に周方向に所定間隔を有して複数穿設することが好ましく、このようにすれば、第二接続体を第一接続体の軸心周りに回転させることで、接続穴に連通していた貫通穴の配置位置からずれたとしても、当初連通していた貫通穴に隣接する他の貫通穴と接続穴とが連通して流路を確保することができる。
【0014】
また、貫通穴の形成位置に対応するように、第一接続体の外周、及び外嵌体の内周面の少なくとも何れか一方に、周方向(第二接続体の回転方向)に延びる溝を形成すれば、貫通穴を複数穿設しなくても、貫通穴が溝を介して接続穴に連通することになり、流路を確保することができる。勿論、この場合においても貫通穴を複数穿設してもよい。
【0015】
前記タンクコックは、請求項2記載の如く、前記第一接続体の外周面及び前記第二接続体の外嵌部の内周面の少なくとも何れか一方に、第一接続体の前記貫通穴又は第二接続体の外嵌部の前記接続穴を底面に有する所定幅の流路形成用溝が全周に亘って形成されるとともに、流路形成用溝の両側に、該流路形成用溝との間に鍔が形成されるようにして一対の溝が全周に亘って形成され、一対の溝のそれぞれに、第二接続体の前記外嵌部と第一接続体との間を液密にするための環状のシールが外嵌されてもよい。
【0016】
そして、請求項3記載の如く、前記第一接続体は、前記接続体又は配管の何れか一方が嵌着される一端側よりも小径に設定され、他端側から第二接続部の外嵌部が外嵌される被外嵌部と、該被外嵌部の他端側に形成され、前記抜止体を螺合してコック機構が取り付けられるコック取付部とが形成され、被外嵌部の一端側と外嵌部とに挟まれるように、前記被外嵌部に皿バネが外嵌されることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるタンクコックについて、添付図面を参酌しつつ説明する。なお、本実施形態おいて、液体燃料を貯留するタンクの壁面に、内部と連通するように設けられた接続口と、該接続口の穴中心と交差(直交)方向に配設された配管とを接続するものを一例に挙げて説明する。
【0021】
本実施形態にかかるタンクコックは、図1に示す如く、液体燃料Fを貯留するタンクTの壁面に設けられた接続口Oに流体的に接続される第一接続体1と、前記接続口Oの穴中心線と直交する方向で垂下状態で配設された配管Pの下端部に流体的に接続される第二接続体2と、配管Pへの液体燃料Fの供給、及びその停止を行うコック機構3とを備えている。なお、配管Pは、銅管や鋼管等によるものでもよいが、本実施形態にかかる配管Pは、弾性変形可能なフレキシブルホースが採用されている。
【0022】
前記第一接続体1は、両端が開口した筒状体で構成されており、一端から他端に向けて前記接続口Oにねじ込まれる雄ネジ部10、該雄ネジ部10をねじ込むためのトルク伝達部11、前記第二接続体2の後述する外嵌部21が外嵌される被外嵌部12、及び前記コック機構3が取り付けられるコック取付部13が形成されている。したがって、該第一接続体1は、当該第一接続体1の軸心と、雄ネジ部10のねじ込み軸心とが一致していることになる。
【0023】
前記トルク伝達部11は、タンクTの接続口Oに対し、一端側に形成された雄ネジ部10を所定の締め付けトルクで螺合させるべく、スパナレンチ、モンキレンチ等の工具により第一接続体1の軸心周りの回転力を付与できるように、断面六角形状に形成されている。
【0024】
前記被外嵌部12は、前記トルク伝達部11よりも小径で断面円形に設定されており、第一接続体1の軸心と直交する方向で内部に貫通した貫通穴15が穿設されている。具体的には、被外嵌部12は、全周に亘って所定幅の流路形成用溝14が形成されており、該流路形成用溝14の底面(第一接続体1の外面)に、前記貫通穴15が穿設されている(本実施形態においては、貫通穴15は周方向に所定間隔を有して複数穿設されている)。
【0025】
また、被外嵌部12は、流路形成用溝14の両側に一対の溝16,16が全周に亘って形成されており、流路形成用溝14と一対の溝16,16との間に鍔が形成された状態をなしている。前記一対の溝16,16のそれぞれには、シールとしてのOリング17,17が外嵌されている。なお、シールは、該Oリング17の他に角リング等も採用することができる。すなわち、シールは、環状のスクイーズパッキンであればよい。
【0026】
前記コック取付部13は、外周面に雄ネジ18が形成されており、前記コック機構3の後述する抜止体32が螺合されるようになっている。
【0027】
かかる第一接続体1は、上述の如く筒状体で構成されており、内部の穴19が段付き穴状に形成されている。具体的には、第一接続体1の貫通した内部の穴19は、一端から前記貫通穴15近傍までが小径の穴19aに設定され、貫通穴15から他端にかけて大径の穴19bに設定された段付き穴である。前記小径の穴19aと大径の穴19bとを接続する内周面は、テーパ状に形成されている。また、該大径の穴19bを形成する他端側の内周面には、後述する挿入体30の雄ネジ部30bが螺合される雌ネジ部19cが形成されている。
【0028】
前記第二接続体2は、前記被外嵌部12に対し軸心周りで回転できるように外嵌される前記外嵌部21と、該外嵌部21に一端が連設され、配管Pが接続(嵌着)される筒状の接続部20とで構成されている。
【0029】
前記接続部20は、配管Pが外嵌されるように構成されており、他端部には、外嵌した配管Pの抜けを抑制すべく拡径部22が形成されている。該拡径部22は、他端部における一部を他の部分の外径よりも大きくなるように設定されており、外嵌した配管Pが部分的に押し広げられるようになっている。
【0030】
前記外嵌部21は、略六角柱状に形成されており、前記第一接続体1の被外嵌部12に外嵌すべく、貫通した円形の穴が軸心に沿って形成されている。また、該外嵌部21には、当該外嵌部21の軸心と直交する方向に貫通するように、接続穴23が穿設されている。接続穴23は、被外嵌部12に外嵌した状態で、貫通穴15及び流路形成用溝14に対応した配置となるように形成されている。該接続穴23は、内周面側の穴が小径に設定されており、外周面側の穴が大径に設定された段付き穴であり、該大径の穴(外周面側の穴)は、前記接続部20の一端部が位置決め状態で内嵌されるようになっている。なお、接続穴23に内嵌された接続部20は、外嵌部21と溶接されて当該接続部分が液密状態になっている。
【0031】
このように構成された外嵌部21は、被外嵌部12に外嵌した状態で、当該外嵌部21の内周面と、溝16,16に外嵌したOリング17,17の外周面とが摺接状態となるようになっている。
【0032】
前記コック機構3は、前記第一接続体1の大径の穴19bに挿入される棒状の挿入体30と、該挿入体30を軸心周りに回転させる棒状のハンドル31と、外装部21の抜け止めするとともに、挿入体30を液密状態で軸心方向に案内する抜止体32とで構成されている。
【0033】
前記挿入体30は、一端から他端に向けて、小径部30a、前記雄ネジ部30b、大径部30cが形成されて段付き棒状に形成されている。該挿入体30の小径部30aは、第一接続体1の大径の穴19bよりも小径に設定されるとともに、一端部がテーパー状に形成されている。該一端部がテーパー状に形成されることで、第一接続体1の小径の穴19aと大径の穴19bを接続するテーパー状の内周面と、挿入体30の一端部の外周面とが密接状態になるようになっている。
【0034】
前記雄ネジ部30bは、前記第一接続体1の雌ネジ部19cと螺合可能に形成され、大径部30cは、小径部30aよりも大径で、且つ雄ネジ部30bよりもやや小径に設定されている。また、大径部30cには、前記ハンドル31を取り付ける(嵌入する)穴33が軸心と直交する方向に貫通して穿設されている。
【0035】
該挿入体30は、一端部が第一接続体1のテーパー状の内周面と密接状態となった状態で、他端側が外部に突出する長さに設定されている。
【0036】
前記抜止体32は、ナット状に形成されており、前記第一接続体1の他端部の雄ネジ18に螺合可能に構成されている。また、該抜止体32の一端開口縁部には、穴中心に向けて延出した内鍔部34が形成されている。
【0037】
該内鍔部34の内周面には、全周に亘って溝35が形成されており、該溝35には、シール用のOリング36が内嵌されており、該Oリング36の内周面に摺接状態で前記挿入体30の大径部30cが挿通されている。なお、該シール用のOリング36に代えて、角リング等を採用することもできる。すなわち、内鍔部34の溝35内に内嵌するシールは、環状のスクイーズパッキンであればよい。
【0038】
上記構成のタンクコックを組み立てるには、まず、第一接続体1の被外嵌部12に環状の皿バネ40を嵌め込み、その状態で、第一接続体1の溝16,16にOリング17,17を外嵌する。そして、第二接続体2の外嵌部21を被外嵌部12に外嵌し、トルク伝達部11と、外嵌部21との間に皿バネ40が挟まれた状態にする。この状態において、Oリング17,17を介して当該外嵌部21と被外嵌部12(第一接続体1)との間が液密状態になって、液体燃料Fの漏れが阻止された状態になっている。なお、本実施形態にかかる皿バネ40は、トルク伝達部11と外嵌部21に挟まれる両面に複数の溝が放射状に形成されている。
【0039】
挿入体30の一端側(小径部30a)を第一接続体1に他端側から挿入して雄ネジ部30bを第一接続体1の雌ネジ部19cに螺合する。そして、銅製のパッキン41を第一接続体1のコック取付部13に外嵌し、溝35にOリング36を内嵌した抜止体32(内鍔部34(Oリング36))に挿入体30の大径部30cを挿通した後、抜止体32を第一接続体1の他端部(コック取付部13)に螺合し、その後に、挿入体30の穴33にハンドル31を嵌入することで組み立てが完了する。この状態で、タンクコックは、図2に示す如く、第二接続体2が、第一接続体1の軸心、すなわち、雄ネジ部10のねじ込み軸心(タンクTの接続口Oへの嵌入方向に延びる軸線)周りに回転可能となっている。
【0040】
このように組み立てられてタンクコックを用いてタンクTと配管Pとを接続するには、第一接続体1の雄ネジ部10に環状のパッキン50を外嵌し、この状態で雄ネジ部10をタンクTにねじ込んで嵌着させ、その状態で、配管Pの配設位置に対応するように、第二接続体2を第一接続体1の穴中心周りに回転させて配管Pを接続部20に外嵌し、該接続部20に配管Pを嵌着(接続)する。なお、雄ネジ部10に外嵌したパッキン50は、タンクTの接続口Oと該タンクコックとの接続部分から液体燃料が漏れるのを防止するために設けられたものである。
【0041】
そして、抜止体32を工具等で締め付けることで、タンクTと配管Pとの接続が完了する。このように抜止体32を締め付けた際に、皿バネ40のバネ力が第一接続体1の軸心方向に作用することになり、第二接続体2が強固に位置決めされるとともに、抜止体32の緩み止めとして機能する。また、外嵌部21と抜止体32との間に挟まれた銅製のパッキン41の存在により、外嵌部21と抜止体32との間にシール性が向上することになる。
【0042】
以上のように、上記構成のタンクコックによれば、第一接続体1に対し、タンクTの接続口Oへのねじ込み軸心(嵌入方向に延びる軸線)周りに回転可能に第二接続体2を連結したので、第一接続体1をタンクTに接続した状態であっても、第二接続体2を動かせば(回転させれば)、第二接続体2の接続部20を垂直状態にすることができ、タンクTの壁面に沿って垂下した配管Pに対応して配設することができる。したがって、第一接続体1におけるタンクTへのねじ込み回転量に関係なく、配管Pを第二接続体2の接続部20に容易に接続することができる。
【0043】
また、第一接続体1を筒状に形成して円筒状の被外嵌部12を形成し、第二接続体2の一端部に、前記被外嵌部に外嵌する外嵌部21を設け、被外嵌部12の外周面の全周に流路形成用溝14を形成したので、第二接続体2を如何なる回転角度で第一接続体1の軸心周りに回転させても、常に外嵌部21に穿設した穴(接続穴23)、第一接続体1の貫通穴15を介して第一接続体1の穴19と第二接続体2の接続部20の穴とを連通させることができる。つまり、第二接続体2の回転範囲が制限されることなく、常に液体燃料を一定の流量で流すことのできる流路を確保することができる。
【0044】
また、第一接続体1と第二接続体2との接続部分(外嵌部21と被外嵌部との間)にOリング17を介装したので、第二接続体2の回転を阻害することなく、液密状態を維持(シール性を担保)することができる。
【0045】
また、トルク伝達部11と外嵌部21との間に皿バネ40を介装したので、当該皿バネ40の弾性力により当該タンクコックをタンクTに取り付けた後における第二接続体2の位置決め、及び抜止体32の緩み止めを確実なものにすることができる。また、皿バネ40の両面に複数の溝を形成したので、外嵌部21とトルク伝達部11とが相対的に回転するのを抑制することができ、これによって皿バネ40の弾性力を作用させた状態で維持することができる。したがって、当該タンクコックは、振動の大きいディーゼルエンジンを搭載したトラックやバス等のメインタンク(燃料タンク)とサブタンクとをホース(配管)を介して接続するのに好適である。
【0046】
また、第一接続体1の段付き穴19に挿入体30を挿入し、当該挿入体30を軸心方向に進退可能に構成したコック機構3を採用したので、簡易機構で流路の開閉、遮断を確実に行うことができる。
【0047】
また、銅製のパッキン41を外嵌部21と抜止体32との間に介装したので、抜止体32を締め込むことで、前記皿バネ40のバネ力がパッキン41に作用しても、当該パッキン41が変形したり、潰れたりせずに外嵌部21及び抜止体32の端面に密着し、外嵌部21と抜止体32との間を液密状態で維持することができる。
【0048】
また、当該パッキン41は、抜止体32の締め付けによる変形や潰れがなく、また、長期に亘ってタンクコックを使用してもパッキンに劣化やへたりが生じないので、ゴムパッキン等の弾性材料からなるパッキンのように劣化して、外装部21と抜止体32との間に隙間ができ、抜止体32が弛んでしまうといった事態となるのを防止することができる。
【0049】
すなわち、コック機構3を挿入体30を備えたものを採用したので、挿入体30の小径部30a側で流動する液体燃料Fが、挿入体30の雄ネジ部30b及び大径部30cと、第一接続体1の段付き穴19大径の穴19bを形成する内周面との間を介し、外嵌部21と抜止体32との間から漏れる虞があるが、銅製のパッキン41を介装することで、抜止体32の緩みを防止した状態で液体燃料Fの漏れを確実に防止することができる。
【0050】
なお、発明者は、シール(Oリング17)による液密状態(シール性)を確認すべく、コック機構3で流路を全開状態(開放状態)にするとともに、接続部20の他端開口を密封した状態で、上記構成のタンクコックの第一接続体1の一端側から第二接続体2に向けて流路内に約0.4Mpaの圧力で液体燃料(軽油)を流し込んで24時間放置した後、液体燃料Fの漏れを確認したが、流路からの液体燃料Fの漏れは認められなかった。また、コック機構3で流路を閉塞状態(遮断状態)にし、第一接続体1の一端側から流路(穴19)内に約0.4Mpaの圧力で液体燃料(軽油)を流し込んで24時間放置したが、接続部20や、外嵌部21と抜止体32との間からの液体燃料Fの漏れは認められなかった。
【0051】
尚、本発明のタンクコックは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
上記実施形態において、第一接続体1の被外嵌部12(溝16)に外嵌したOリング17に外嵌部21の内周面を摺接させてシール性(液密状態)を担保するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記皿バネ40に代えてトルク伝達部11と外嵌部21との間に、外嵌部21と抜止体32との間に介装した銅製のパッキン41と同様にパッキンを介装して液密状態(シール性)を担保するようにしてもよい。また、該パッキン(外嵌部21と抜止体32との間に介装したパッキン41も含む)は、銅製に代えて例えばゴム製のパッキン等を採用してもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、流路形成用溝14を第一接続体1(被外嵌部12)の全周に形成したが、これに限定されるものではなく、第二接続体2の回転範囲を規制する場合等においては、流路形成用溝14は、被外嵌部12の外周の一部にのみ形成するようにしてもよい。また、流路形成用溝14は、第一接続体1に形成したものに限定されるものではなく、例えば、第一接続体1の外周面、及び外嵌部21の内周面の両方に、流路形成溝を形成したり、第一接続体1の外周面に流路形成用溝14を設けずに、外嵌部21の内周面にのみ流路形成用溝を形成したりしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態において、第一接続体1(被外嵌部12)の外周面に流路形成用溝14を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、流路形成用溝14を形成することなく、貫通穴15を接続穴23より大径に設定し、貫通穴15と接続穴23とが連通できる範囲内で、第二接続体2を第一接続体1に対して回転できるようにしてもよい。
【0055】
また、流路形成用溝14を形成することなく、貫通穴15を周方向に所定間隔を有して複数穿設すれば、第二接続体2を第一接続体1の軸心周りに回転させることで、接続穴23に連通していた貫通穴15の配置位置からずれたとしても、当初連通していた貫通穴15に隣接する他の貫通穴15と接続穴23とが連通して流路を確保することができる。したがって、複数の貫通穴15は、できるかぎり接近させた状態で設けることが好ましい。
【0056】
上記実施形態において、第一接続体1の雄ネジ部10をタンクTにねじ込み、第一接続体1をタンクに嵌着したが、これに限定されるものではなく、例えば、配管Pの端部を第一接続体1の雄ネジ部10がねじ込め得るようにして、該第一接続体1を配管Pに嵌着して接続し、その後に第二接続体2を第一接続体1のねじ込み軸心(嵌入方向に延びる軸線)周りに回転させて接続部20をタンクTに形成された接続口Oに対応した配置にし、当該接続部20をタンクTの接続口Oに嵌入状態にして溶接し、液密状態で嵌着するようにしてもよい。つまり、上記タンクコックは、第一接続体1を配管Pに接続し、第二接続体2をタンクTの接続口Oに接続するように用いても勿論よい。
【0057】
また、上記実施形態において、第一接続体1をタンクTの接続口Oにねじ込んで嵌着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、タンクTの接続口Oに第一接続体1を嵌入し、この状態で第一接続体1と接続口Oとを溶接して液密状態で嵌着するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、接続部20を第一接続体1の軸心(タンクに対するねじ込み軸心)に対して直交方向に突出するように設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、接続部20を第一接続体1の軸心と交差する方向に外嵌部21に突設してもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるタンクコックによれば、液体燃料の貯留されるタンクに設けられた接続口と、配管とを接続可能に構成されるとともに、タンクから流出する液体燃料の流通、及び遮断を行うコック機構を備えたタンクコックであって、前記接続口又は配管の何れか一方に液密状態で嵌着される第一接続体と、他方に液密状態で嵌着される第二接続体とを備え、前記第二接続体が、第一接続体の前記接続口又は配管への嵌入方向に延びる軸線周りに液密状態で回転できるように該第一接続体に連結されて、タンクと配管とを流体的に接続する流路を形成し、コック機構が前記流路を開閉可能に構成されているので、タンクの接続口、又は該接続口の穴中心に交差方向に配設された配管の何れか一方に嵌着した状態で、他方に容易に嵌着して接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるタンクコックの断面図を示す。
【図2】図1のX−X断面図を示す。
【符号の説明】
1…第一接続体、2…第二接続体、3…コック機構、10…雄ネジ部、11…トルク伝達部、12…被外嵌部、13…コック取付部、14…流路形成用溝、15…貫通穴、16…溝、17…Oリング、18…雄ネジ、19…穴(19a…小径の穴、19b…大径の穴、19c…雌ネジ部)、20…接続部、21…外嵌部、22…拡径部、23…穴、30…挿入体、30a…小径部、30b…雄ネジ部、30c…大径部、31…ハンドル、32…抜止体、33…穴、34…内鍔部、35…溝、36…Oリング、40…皿バネ、41…パッキン、50…パッキン、F…液体燃料、O …接続口、P…配管、T…タンク

Claims (3)

  1. 液体燃料の貯留されるタンクに設けられた接続口又は配管の何れか一方に液密状態で嵌着される第一接続体と、他方に液密状態で嵌着されるとともに、第一接続体の前記接続口又は配管への嵌入方向に延びる軸線周りに液密状態で回転できるように該第一接続体に連結されて、タンクと配管とを流体的に接続する流路を形成する第二接続体と、前記流路を開閉可能に構成されるコック機構とを備えるタンクコックであって、前記第一接続体は、一端部が前記接続口又は配管の何れか一方に嵌着可能な筒状体で構成されるとともに、軸心と交差する方向で内部に連通する貫通穴が穿設され、前記第二接続体は、第一接続体に対して軸心周りで回転可能に外嵌される外嵌部と、該外嵌部に突設されて前記接続口又は配管の何れか他方に嵌着される筒状の接続部とを備えて構成されるとともに、前記外嵌部には、前記貫通穴と前記接続部とを連通させる接続穴が穿設され、前記コック機構は、第一接続体の一端から他端にかけて貫通した穴内で軸心方向に進退させることにより前記流路を開閉する挿入体と、第一接続体の他端部に螺合されて前記挿入体を液密状態で軸心方向に案内する抜止体とを備えて構成され、前記抜止体を締め付けることにより、第二接続体を回転不能にして位置決めする一方、抜止体を緩めて取り外すことにより、第二接続体を第一接続体の他端側から取り外し可能に構成されることを特徴とするタンクコック。
  2. 前記第一接続体の外周面及び前記第二接続体の外嵌部の内周面の少なくとも何れか一方に、第一接続体の前記貫通穴又は第二接続体の外嵌部の前記接続穴を底面に有する所定幅の流路形成用溝が全周に亘って形成されるとともに、流路形成用溝の両側に、該流路形成用溝との間に鍔が形成されるようにして一対の溝が全周に亘って形成され、一対の溝のそれぞれに、第二接続体の前記外嵌部と第一接続体との間を液密にするための環状のシールが外嵌される請求項1に記載のタンクコック。
  3. 前記第一接続体は、前記接続体又は配管の何れか一方が嵌着される一端側よりも小径に設定され、他端側から第二接続部の外嵌部が外嵌される被外嵌部と、該被外嵌部の他端側に形成され、前記抜止体を螺合してコック機構が取り付けられるコック取付部とが形成され、被外嵌部の一端側と外嵌部とに挟まれるように、前記被外嵌部に皿バネが外嵌される請求項1又は2記載のタンクコック。
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