JP3911235B2 - 改質ナノ複合材組成物およびそれを作成および使用する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、一般に、改質ナノ複合材組成物およびそれを作成および使用する方法に関する。さらに詳細には、本発明は、改善された物理的特性を示すナノ複合材に関する。本発明は、例えば、被覆剤、シーラント材、コーキング材、接着剤、およびプラスチック用接着剤としての改善されたナノ複合材組成物の使用にも関する。
【0002】
ポリマー特性を改善する1つの方法は、複合材料を形成するために、ポリマーに粘土材料を添加することによるものである。しかし、ポリマーに粘土を組込むことで、ポリマーの物理的特性、特に機械的特性における望ましい改善を提供できない。これは、例えば、材料内の粘土とポリマーとの界面、または境界で、粘土とポリマーとの親和性を欠くためでありうる。これに関連して、粘土とポリマーとの親和性は、粘土材料をポリマー中に均質に分散させることによって、得られたナノ複合材の物理的特性を改善しうる。均一に分散される場合、粘土の比較的大きな表面領域は、粘土とポリマーとのさらなる界面を提供でき、続いて、これらの界面でポリマー鎖の可動性を減じることにより、物理的特性を改善しうる。対照的に、粘土とポリマーとの親和性の欠如は、均一に分散されるよりむしろ、ポリマー中に濃縮された粘土のポケットを有することにより、組成物の強度に有害な影響を及ぼしうる。粘土とポリマーとの親和性は、本質的に、粘土が一般に親和性であるのに対して、前述の用途で使用されたポリマーのようなポリマーは、一般に疎水性であるという事実に関連する。
【0003】
粘土鉱物は、一般に、微細に破砕され、板状性質を有する水和珪酸アルミニウムから構成される。典型的な粘土鉱物の結晶質構造は、AlO(OH)2八面体の層に結合されるSiO4四面体の層の組合せから構成される多層構造である。本明細書で用いられている、語句「ギャラリー」は、層状粘土鉱物の層間空間を示す。本明細書で用いられている、語句「d−間隔」または「基本間隔」は、単層厚み、および多層鉱物の反復単位である層間またはギャラリーの厚みの総計を規定する。粘土鉱物によって、ギャラリーは、水および/またはカリウム、ナトリウム、またはカルシウム陽イオンのような他の構成要素を含みうる。粘土鉱物は、それらの構成要素層および陽イオンの組合せに基づいて変化する。四面体ネットワーク中でSi4+イオンを置換するAl3+またはFe3+、または八面体ネットワーク中で他の陽イオンを置換するAl3+、Mg2+またはFe2+のような、粘土鉱物の陽イオンの同形置換は、一般に起こり、粘土構造での実効負電荷を付与しうる。水分子またはナトリウムまたはカリウム陽イオンのような粘土のギャラリー内で天然に生じる要素は、この実効負電荷により、粘土層の表面に付着される。
【0004】
ナノ複合材は、その構成要素、たとえば長さ、幅または厚み、の少なくとも1つがナノメートルサイズ範囲である1つ以上の寸法を有する組成物である。本明細書で用いられている、語句「ナノ複合材」は、ポリマー分子が、少なくとも部分的に剥脱された粘土層の中で存在する物質の状態を示す。最近、ポリマー性マトリックス内に分散される約1ナノメートルの厚みのシリケート層を有するモンモリロナイトのような層状粘土材料を含むナノ複合材は、ポリマーの物理的特性を改善する手段として開発されてきた。物理的または機械的特性を有効に改善するために、粘土は、粘土とポリマーとの界面をいっそう促進し、これらの界面でのポリマーに対する粘土の親和性を強化するために、ポリマー中に一般に均質に分散される。さらに、粘土は、ポリマー中に均一に分散される場合、少量の粘土材料が、ナノ複合材の物理的特性に有害な影響を及ぼさずに、ナノ複合材組成物に添加されうる。
【0005】
ポリマー/粘土ナノ複合材は、数種の一般的型:挿入ナノ複合材、剥脱ナノ複合材、またはそれらの組合せの内の1つであると特徴付けられうる。本明細書で用いられている、語句「挿入ナノ複合材」は、粘土層間内のポリマーの常時の挿入から構成されるナノ複合材を示す。本明細書で用いられている、語句「剥離ナノ複合材」は、1nm厚の粘土の層が、微量スケールで複合材構造を形成するマトリックス中に分散されるナノ複合材を示す。後者の型の複合材、または剥離ナノ複合材は、ポリマー/粘土相互作用を極大化し、それにより粘土層の全表面をポリマーについて利用可能にする。この改質は、結果物のポリマーの機械的および物理的特性における最も劇的な変化に導きうる。対照的に、本明細書で用いられている、語句「従来の複合材」は、粘土が従来のフィラーとして作用し、ナノスケールでは分散されない複合材を示す。これらの複合材は、一般に、剥離ナノ複合材で見られる機械的および物理的特性における改善を享受しない。本発明の特定の実施形態では、ポリマー/粘土ナノ複合材中の粘土のある程度の部分が、剥離または挿入複合材より大きな構造として存在しうる。
【0006】
界面で粘土とポリマーとの間で親和性をいっそう促進し、ポリマー内の粘土の均一な分散を提供するために、粘土の層間表面化学は、シリケート層の親水性を低下させるように改質されうる。粘土の層間表面化学を変える先の方法としては、ポリマーへの組込みの前の、粘土分散液を調製するための界面活性剤またはシランのような改質剤の使用が挙げられる。例えば、界面活性剤は、一般に、親水性機能(水または粘土のような極性媒質に親和性を示す)および有機親和性機能(油またはポリマーのような有機分子に親和性を示す)を示す分子を含みうる。界面活性剤の使用により、ポリマー中に粘土を分散させる。本明細書で用いられている、語句「疎水的に改質された粘土」は、界面活性剤、シラン、または他の改質剤のような剤の使用を通して改善されるその表面化学を示しうる粘土を表す。本明細書で用いられている、語句「非改質粘土」は、改質剤により疎水的に改質されなかったか、またはその自然の状態で使用される粘土を表す。
【0007】
粘土に親水性を低下させるために使用される典型的な改質剤は、これらに限定されないが、アミノ酸、アルキルアンモニウムイオン、シラン、アミノメチルスチレン、またはリビングフリーラジカル重合開始剤(「LFRP」)が挙げられる。ナノ複合材合成のための他の適切な剤のさらに制限なしの例は、文献M.Ogawaらの「積層シリケートへの有機アンモニウムイオンの挿入を通しての無機−有機ナノ複合材の製造(Preparation of inorganic−organic nanocomposites through intercalation of organoammonium ions into layered silicates)」,Bull.Chem.Soc.Jpn.、70巻、2593−2619頁(1997年)で提供される。
【0008】
アミノ酸界面活性剤は、塩基性アミノ基(−NH2)および酸性カルボキシル基(−COOH)から構成されうる分子である。酸性媒質への導入時に、プロトンは、−COOH基から、分子間−NH2基に移行されうる。陽イオン交換は、形成される−NH3+官能基と、粘土層の間に存在する自然に生じる陽イオン(すなわち、Na+、K+など)との間に起こると思われる。これは、−NH3+官能基が、自然に生じる陽イオンを置換する個々の層の間で「挟み込まれる」挿入状態を生じる。本明細書で用いられている、語句「挿入する」は、粘土材料の層の間に外来分子、原子、またはイオンを組込むことを言及する。この挿入状態の結果として、粘土は疎水性になる。アミノ酸界面活性剤は、それらの酸官能基が、層間に挿入されるε−カプロラクタムと重合しうるので、ポリアミド6−粘土ハイブリッドの製造に一般に使用される。結果として、ギャラリー間重合は、ポリマーマトリックス中の粘土を離層し、それによりナノ複合材を形成する。
【0009】
オニウム塩のようなアルカリアンモニウムイオン界面活性剤は、一般に、ナノ複合材材料用の粘土分散液を調製するために使用される。典型的なアルキルアンモニウムイオンについての基本式は、CH3−(CH2)n−NH3+(式中、nは、1〜18である)である。アルキルアンモニウムイオンは、挿入状態を生じる、粘土小板の間に存在する自然に生じる陽イオンとも容易に交換しうると考えられる。さらに、アルキルアンモニウムイオンは、粘土層の間のd−間隔を増加でき、粘土の表面エネルギーを低下させて、それにより様々の極性を示す有機種を、粘土層の間に挿入することになりもしうると考えられる。
【0010】
シランも、不飽和ポリエステル−粘土ナノ複合材の合成に使用されうる。シランは、式R−SiX3(式中、Rは、加水分解安定な手段でシリコンに結合した有機官能基であり、Xは、加水分解によりシラノール基に変換されうる加水分解可能な基を示す)によって特徴づけうる有機シリコンモノマーのファミリーである。シランは、主としてシリコン又はアルミニウムに結合するヒドロキシ基を有する粘土のような無機表面と相互作用し、それにより無機表面との結合を形成すると考えられる。
【0011】
疎水的に改質された粘土は、ナノ複合材材料の製造にしばしば使用されてきた。Xavier Kornmannによる記事「熱硬化性粘土ナノ複合材の合成および特徴付け(Synthesis and Characterization of Thermoset−Clay Nanocomposites)」(ここで「Kornmann」と称される)は、その場重合、溶融体挿入、または溶液基本の重合方法を用いて、疎水的に改質された粘土を用いてナノ複合材を合成するいくつかの例を提供する。その場合成方法では、その記事で、「有機粘土」と称される疎水的に改質された粘土をモノマー中で膨潤させ、その後、硬化剤を添加すること、または温度を上昇させることにより、重合反応が開始されて、ナノ複合材を形成する。重合反応が、粘土の離層に至ると考えられる。溶融体挿入方法では、溶融熱可塑性樹脂を疎水的に改質された粘土と混合し、その後、そのポリマーのガラス転移温度より上の温度でアニールされて、ナノ複合材を形成する。最後に、溶液重合方法では、疎水的に改質された粘土を、最初に、トルエンまたはN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中で膨潤させた。その後、ポリマーを、それが粘土層の間に挿入する溶媒中に溶解させる。その後、溶媒は蒸発により生じたナノ複合材から除去される。
【0012】
Kormannは、極性溶媒が、脱イオン水である非改質粘土を含む溶液重合を用いて、ナノ複合材を調製することも検討する。しかし、Kormannは、水性系に多価陽イオンを添加することを検討していない。
【0013】
疎水的に改質された粘土を用いて、水性分散液中でナノ複合材を調製するときに、直面する顕著な加工上の困難が存在する。これに関連して、Elspassらに対して刊行された米国特許第5,883,173号(以降、「Elspass」)は、積層(粘土)材料の分散液の存在下でラテックスポリマーを重合または混合することにより、単段ゴム状ナノ複合材料を調製する方法を記述している。提供された水性ラテックス方法で、Elspassは、積層材料を、層を分離するためのオミウム塩のような界面活性剤と共に水中に分散させ、その後、モノマーをおよそ46時間重合して、そのポリマーを層の間に挿入させることを開示する。
【0014】
層を剥離させるために界面活性剤を添加する工程は、時間のかかるものである(例えば、Elspassは、さらに26時間重合する前に、20時間、粘土、界面活性剤、およびモノマースラリーを混合することを開示する)。さらに、剥離粘土分散液は非常に粘性であり、それにより加工上の問題を引起す傾向にある。本発明の方法は、添加された界面活性剤で粘土を剥離させることを要求せず、従って、Elspassにより開示されたものより早く、低粘度である。
【0015】
文献、Huangら、「懸濁および乳化重合によるPMMAナノ複合材の合成および特徴付け(Synthesis and Characterization of PMMA Nanocomposites by Suspension and Emulsion Polymerization)」、Amer.Chem.S.(2000)(「Huang」)は、乳化重合を介してPMMAナノ複合材を形成するための疎水的に改質された粘土の使用を記述する。乳化重合の間に、界面活性剤は乳化剤として使用され、非改質粘土が重合の後に添加された。結果として生じるナノ複合材のTgは、ここに開示される用途の多くに有用であるには高すぎる。さらに、ナノ複合材は、水性系ではなく「溶融加圧」加工によって形成される。
【0016】
疎水的に改質された粘土を用いることの別の欠点は、粘土を改質するために使用される界面活性剤、特に陰イオン性界面活性剤が、ポリマーラテックスエマルションを不安定化する可能性があることである。粘土を分散させるために使用されるオニウム塩のような界面活性剤の多くは、乳化剤でもある。いくつかの場合には、このようなオニウム塩改質粘土の存在下での安定なポリマーラテックスを調製にする際に、極度の困難さに直面する可能性がある。このようなオニウム塩の存在下で、このようなエマルションを安定に維持するために、多量の乳化剤が一般に必要とされる。多量の乳化剤は、それの最終用途でポリマーの特性を下げうる(例えば、より不十分な耐水性)。さらに、多量の乳化剤は、ポリマーラテックス粒子の形成に破壊的に影響しうる。不均一なポリマーラテックス粒子形成は、不均一なポリマー粒子サイズを生じるエマルション液滴サイズにおける変動を導きうる。多量の乳化剤は、さらに、粒子サイズ分布を広げる可能性のある「二次粒子」の形成をも導きうる。同様に、しばしば、エマルションの剪断不安定性、ポリマーの分子量における変動性(ポリマー加工および特性における変動を導く)、および粉末に乾燥される場合の特性の分解(例えば、小型ポリマー粒子の存在から生じる塵)のような広範な粒子サイズ分布に関連した問題がある。
【0017】
前述の問題は、乳化重合プロセスを用いたラテックスポリマー粒子の形成を悪化させる。さらに詳細には、前述の問題は、多段ラテックスポリマー粒子の形成を悪化させる。これらの問題に影響されやすい多段ポリマー加工の例としては、「コア−シェル」ポリマー粒子の製造、漸次モノマー添加、または「漸次添加」プロセスを使用することが挙げられる。
【0018】
粘土材料の層間表面化学を変化させ、ポリマーに対する粘土の親和性を結果的に改善するさらに別の方法は、粘土の剥離を促進するイオン−双極子の作成に関与する。記事「新規イオン−双極子粘土表面改質を利用して製造したナノ複合材(Nanocomposites Produced Utilizing a Novel Ion−Dipole Clay Surface Modification)」、G.W.BeallおよびS.J.Tsipursky、Chem.Technol.Polym.Addit.(1999年)、第15章、266−280頁は、ナトリウムモンモリロナイト粘土のギャラリー内で水分子を置換するために部分的に負の荷電を有する官能基を保有する有機分子またはポリマーの使用を教示する。これらの官能基の負の荷電が、粘土層の表面上の交換可能なナトリウムイオンとイオン−双極子結合を形成すると思われる。粘土のギャラリー内のこれらの官能基の存在は、粘土鉱物の剥離を支援しうる。代わりに、粘土は、これらの官能基で挿入されたままであり、その後剥離され、その結果、官能基は重合反応に参加しうる。しかし、特定の目的のために、これらの官能基を重合に関与させ、ナノ複合材の構造内に残らせることは望ましくない可能性がある。
【0019】
Tsipurskyらに対して発行された米国特許第5,998,528号(以降、「Tsipursky」)は、粘土スラリーの粘度を増加させるために粘土鉱物の挿入の間またはその後に、二価または三価陽イオンを添加することを開示する。粘土スラリーは、1つまたはそれ以上のポリマー、特に水溶性ポリマー、および有機溶媒と混合されて、粘性担体組成物を生成する。先に明記されるとおり、Tsipurskyにおいて開示される粘性担体組成物のような粘性スラリーは、ナノ複合材組成物を形成する上で加工上の問題を導く可能性がある。さらに、ナノ複合材組成物に溶媒を導入することは、望ましくない可能性がある。
【0020】
本発明は、粘土とポリマーとのその界面での親和性を向上させ、ナノ複合材の全体としての機械的特性を改善するために、追加のポリマー、溶媒、または他の手段の使用を要求しない。従って、ナノ複合材の機械的特性が、そこに含まれる粘土内の第一の陽イオンのイオン交換を容易にし、ナノ複合材組成物内のそれらの界面でポリマーと粘土との親和性を大きく促進する第二の陽イオン、典型的には多価陽イオンの添加を通して改善されうることは、驚くべきであり、予想外である。
【0021】
本発明は、一部には、改質複合材組成物、およびそれを製造する方法に向けられる。特に、1つの実施形態では、少なくとも1つの第一のエチレン性不飽和モノマーを供給する工程、少なくとも部分的に剥離した水性粘土、および任意に、少なくとも1つの第二のエチレン性不飽和モノマーを含む水性粘土分散液を供給する工程であって、前記粘土が、第一の交換可能な陽イオンを有する工程、前記水性粘土分散液に第二の陽イオンを添加する工程であって、第二の陽イオンの少なくとも一部が、第一の陽イオンの少なくとも一部と交換して、改質された水性粘土分散液を形成する工程、第一のエチレン性不飽和モノマーと、改質された水性粘土分散液を混合する工程、および前記第一または第二のモノマーの少なくとも一部を重合させて、少なくとも1つの第一または第二のエチレン性不飽和モノマーが極性モノマーを含む、前記水性ナノ複合材分散液を形成する工程とを含む、水性ナノ複合材分散液を製造する方法が提供される。特定の実施形態では、第一のエチレン性不飽和モノマーおよび第二のエチレン性不飽和モノマーは、同じモノマーである。他の実施形態では、第一および第二のエチレン性不飽和モノマーは、異なるモノマーである。
【0022】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明からいっそう明らかになる。
【0023】
本発明は、そこに含まれるポリマーと粘土との親和性を向上することにより、ナノ複合材組成物の物理的特性を改善する方法に向けられる。本発明のナノ複合材組成物は、先行技術の方法によって調製されたナノ複合材組成物に比較して、改善されたバランスの特性を有利に示しうる。特に、本発明のナノ複合材組成物は、好ましくは、追加の加工工程を受けることなく、または追加の粘土、ポリマー、または溶媒を組成物に添加することなく、改善された強度特性を示しうる。本発明は、第二の、典型的には多価の陽イオンの添加を通して、乳化、懸濁、溶媒、凝塊、または他の重合方法により製造される多様なナノ複合材組成物を改善する方法をも提供する。ナノ複合材組成物内のポリマーと粘土との親和性は、第二の陽イオンが、系の重合の前後に添加されるかどうかに係わらず、改善されうる。
【0024】
ポリマーと、第一の陽イオン、特に天然由来の陽イオンを含む粘土を含むナノ複合材組成物への第二の陽イオン、典型的には金属イオンの添加が、それらの界面でポリマーと粘土との親和性を望ましく増強しうることがここで分かった。ポリマーと粘土との増強された親和性は、増強された引張強度のような改善された物理的特性を示すナノ複合材を生じる。本発明は、エマルションベースのポリマーまたは水性ナノ複合材分散液に関して検討されるが、本発明の方法が、溶液または懸濁液重合技術のような多様な重合方法、これらに限定されないが、に適することが分かった。実際に、本発明は、部分的に、または完全に負に荷電されたモノマー、オリゴマー、または安定化剤が、第二の陽イオンの正の荷電に付着され、重合に関与されうる任意の重合技術に適している。
【0025】
本発明のある種の実施形態では、ナノ複合材が、エマルションベースの重合技術を介して調製される。例えば、水性ナノ複合材分散液の調製に関連して、2つの別個の水性反応混合液が最初に調製され、反応混合液内のモノマーの多段乳化重合に続く。本発明の用途は、主として2段階として多段重合を検討が、2段階より多いモノマーの重合が、さらに意図されることが分かる。本明細書で用いられている、語句「段階」、「多段」、および「コアシェル」は、例えば、「段階」および「多段」ポリマーを達成する種々の方法を開示する米国特許第3,793,402号、第3,971,835号、第5,534,594号、および第5,599,854号で伝達される意味のような、その最も広範な可能性のある意味を含むことが意図される。第一の水性反応混合液は、一般にモノマー混合物を含むのに対して、第二の水性反応混合液は、水性粘土分散液、および任意にモノマー混合物を含む。しかし、特定の実施形態では、第一の水性反応混合液は、水性粘土分散液をも含みうる。語句「水性ナノ複合材分散液」は、さらに水性、または水相を含む粘土およびポリマーナノ複合材に関する。特定の実施形態では、第一および/または第二の水性反応混合液中のモノマー混合物は、乳化されうる。これらの実施形態では、第一および第二の水性反応混合液中のモノマー混合物は、同じモノマーを含むか、または異なるモノマーを含みうる。本発明の1つの実施形態では、水性ナノ複合材分散液内のモノマーの総量に対する粘土の重量百分率は、0.05%〜20%、好ましくは0.1%〜15%、より好ましくは0.1%〜10%、さらにいっそう好ましくは0.5%〜5%の範囲にありうる。
【0026】
水性ナノ複合材分散液は、少なくとも1つの型のエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合単位を含む。本明細書で用いられている、語句「から誘導される単位」は、ポリマーが、その構成要素モノマー「から誘導される単位」を含む既知重合技術により合成されるポリマー分子をいう。好ましくは、水性ナノ複合材分散液内の重合単位が水不溶性である、すなわち水溶性が低いか、または水溶性がないことを示すようなエチレン性不飽和モノマーが選択される。「水不溶性」とは、25℃〜50℃で、150ミリモル/リットル以下のモノマーの水溶性を有することを意味する。
【0027】
モノマー混合物の調製は、一般に、水、および任意に乳化剤と、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーとの激しい混合を含む。本発明の他の実施形態では、モノマーが、「そのまま」、すなわち水なしで添加されうる。モノマー混合物中のモノマー、水、および乳化剤の量は、例えば、選択される特定のモノマーおよび/または乳化剤、意図される最終用途、重合技術等によって変化しうる。特定の実施形態では、モノマー混合物中のモノマーの量は、好ましくは、25〜100、好ましくは40〜90、さらにいっそう好ましくは60〜80重量%の範囲内にある。水性である場合、モノマー混合物中の水の量は、乳化モノマー混合物(例えば、モノマー、乳化剤、および水)の総重量を基準として、0.1〜75、より好ましくは10〜60、さらにいっそう好ましくは20〜40重量%の量にある。添加される場合、モノマー混合物中の乳化剤の量は、好ましくは、0.01〜10、好ましくは0.05〜2、さらにいっそう好ましくは0.1〜1重量%の範囲内にある。疎水的に改質されるか、または界面活性剤で処理された粘土が使用される特定の実施形態では、系内の乳化剤の量は、界面活性剤も乳化剤である場合には、典型的には、低い量に調整されうる。
【0028】
重合されうるモノマーとしては、ポリマーハンドブック(The Polymer Handbook)、第3版、BrandrupおよびImmergut編、ウィリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、第2章、(1989年)に列挙されるもののような、当業界で一般に知られるいずれかのエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。適切なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、C1〜C18アルキル(メタ)アクリレートモノマー(例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、n−ブチル−、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル−、イソボルニル−、ヘキシル−、ヘプチル−、n−オクチル−、2−エチルヘキシル−、デシル−、ウンデシル−、ドデシル−、ラウリル、セチル、およびステアリル−(メタ)アクリレート等);ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、アルファ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ジビニルベンゼン等);ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル;ビニルバーサテート等);ビニル不飽和カルボン酸モノマー(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸);窒素含有ビニル不飽和モノマー(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびC1〜C18アルキル(メタ)アクリルアミド等);ジエン(例えば、ブタジエンおよびイソプレン);エチレン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。本明細書で用いられている、語句「アルキル(メタ)アクリレート」は、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートの両方のエステルをいう。
【0029】
風化に対する望ましい耐性を示すナノ複合材組成物を調製する目的のために、アルキル(メタ)アクリレートのクラスから選択されるモノマーを使用することが好ましい。費用が安くて、市販可能な水性ナノ複合材分散液を提供する目的のために、エチレン性不飽和モノマーが、C1〜C18アルキルメタクリレート、C1〜C18アルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ブタジエン、ビニル芳香族モノマー等から成る群から選択されることが好ましい。被覆剤および接着剤を調製するための水性ナノ複合材分散液を使用する目的のために、C1〜C18アルキル(メタ)アクリレートモノマー;アクリル酸;メタクリル酸;イタコン酸;酢酸ビニル;ビニルバーサテート;ビニル芳香族モノマー等を使用することが好ましい。それらが比較的安価で市販で入手可能なことにより、多様な用途での水性ナノ複合材分散液を提供する目的のために、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、ブタジエン、アクリル酸、およびメタクリル酸モノマーを使用することがさらにいっそう好ましいであろう。
【0030】
ポリマーおよび/またはグラフト結合多段ポリマー(例えば、コア−シェル2段ポリマー粒子を調製するために)を共有結合で架橋することが望ましい場合、架橋剤および/またはグラフトリンカーも、モノマー混合物中に含まれうる。本明細書で用いられている、語句「架橋剤」は、同じ型のポリマー分子の間に2つ以上の共有結合を形成できる多官能モノマーを言及する。本明細書で用いられている、語句「グラフトリンカー」は、1つの型のポリマー分子と、別の型のポリマー分子との間に2つ以上の共有結合を形成できる多官能モノマーを言及する。適切なクロスリンカーまたはグラフトリンカーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ブチレングリコールジメタクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロール−プロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロール−プロパントリアクリレート(「TMPTA」)またはトリメチロールプロパントリメタクリレートのようなアルカンポリオール−ポリアクリレートまたはアルカンポリオール−ポリメタクリレート、およびアリルアクリレート、ジアリルマレート、および特にアリルメタクリレートのような不飽和カルボン酸アリルエステル等が挙げられる。
【0031】
特定の好ましい実施形態では、モノマー混合物内の少なくとも1つのモノマーは、極性モノマーである。本明細書で用いられている、語句「極性モノマー」は、部分的に、または完全に負の荷電を有するモノマーを示す。これらのモノマーの例としては、これらに限定されないが、カルボン酸、リン酸、または硫酸官能基を含むモノマーが挙げられる。極性モノマーのさらに別の例は、水酸基、エステル、エーテル、アルデヒドおよびケトン官能基を含むモノマーである。好ましくは、極性モノマーは、カルボン酸含有モノマーである。本明細書で用いられている、語句「酸含有モノマー」は、1つまたはそれ以上の酸官能基、または無水物、例えば、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物、またはイタコン酸無水物のような酸を形成することができる官能基を含む任意のエチレン性不飽和モノマーを言及する。酸含有モノマーの例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸のようなカルボン酸担持エチレン性不飽和モノマー;アクリルオキシプロピオン酸および(メタ)アクリルオキシプロピオン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、エチルメタクリレート−2−スルホン酸、または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなスルホン酸担持モノマー;ホスホエチルメタクリレート;酸含有モノマーの対応する塩;またはこれらの組合せが挙げられる。本発明の他の実施形態では、極性モノマーは、部分的に、または完全に負の荷電を有し、末端不飽和のような1つまたはそれ以上の点の不飽和化を有する、トリマーのような極性オリゴマーまたは不飽和オリゴマーに関する。本発明の特定の他の実施形態では、極性モノマーは、塩基に溶解性でありうる(すなわち、多くのCO2H基を含み、アルカリ溶解性である)低分子量のポリマー性安定化剤に関する。これらの極性のポリマー性安定化剤のある種の限定されない例としては、登録商標モレズ(MOREZ)101または登録商標タモール(TAMOL)731が挙げられ、その両方は、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia,PA)のローム・アンド・ハース,インク.(Rohm and Haas,Inc.)によって製造される。これらの実施形態で、系内の極性安定化剤の量は、15〜50重量%の範囲でありうる。
【0032】
特定の実施形態では、水性粘土分散液、または第二の反応混合液は、陰イオン性モノマーである少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーのモノマー混合物を含みうる。好ましくは、陰イオン性モノマーは、酸含有モノマーである。これらの実施形態では、陰イオン性モノマーの一部が「段階化される」、すなわち、陰イオン性モノマーの一部、50%以下、好ましくは25%以下、さらにいっそう好ましくは10%以下が、粘土を含まない第一の水性反応混合液に添加され、残りの陰イオン性モノマーは、第二の水性反応混合液に添加される。酸含有モノマーに関与する実施形態では、酸含有モノマー、酸官能基を粘土ギャラリー内で平衡にさせ、重合プロセスの間そこに留めると考えられる。酸含有モノマーは、粘土を含む水性反応混合液の粘度を低下させる助けとなり、粘土表面に対するポリマーの親和性を増強しうる。この陰イオン性モノマー添加の段階化方法は、第一の水性反応混合液に陰イオン性モノマーを直接添加するのに比べて、物理的特性における改善を有益に生じうる。
【0033】
酸添加モノマーが段階化される実施形態では、粘土を含む第二の水性反応混合液で段階化される酸の量は、水性ナノ複合材分散液内に添加された総酸の0%より多く100%未満の範囲に入りうる。第二の水性反応混合液は、水性ナノ複合材分散液内に1%〜50%、好ましくは5%〜25%、さらにいっそう好ましくは5%〜15%の酸含有モノマーを含みうる。高濃度の酸(すなわち、水性ナノ複合材分散液内の総モノマーの10%以上は、酸含有モノマーである)を利用する実施形態のものについて、またはポリマー分散液の安定化のために陰イオン性界面活性剤を使用する実施形態のものについては、低い百分率の酸含有モノマーが、第二の水性反応混合液に組込まれる。最適な量の酸含有モノマーは、反応混合液の組成、および酸の型により変化するが、しかし、酸含有モノマーの量は、一般に、粘土のCECと、もしあれば、第二の水性反応混合液に添加された二価(またはより高い価数)イオンの量と等モルとなる量である。従って、ポリマーと粘土との親和性を増強するための最適な量は、1つの粘土酸基、1つの二価イオン、および1つの酸含有モノマーを含む。最適な量は、ポリマーで粘土を改質するために、第二の水性反応混合液中で必要な限り多くの酸含有モノマーのみを使用し;その後、第一の水性反応混合液内の残りの量の酸含有モノマーは、成長中のポリマー/粘土ナノ複合材粒子を安定化する助けとなる。
【0034】
例えば、アルキルエトキシ化界面活性剤のような非イオン性重合性安定化剤が使用される実施形態では、第一の水性反応モノマーに対する、第二の水性反応混合液内の酸含有モノマーの相対的量が、ナノ複合材中の酸含有混合物の総量に対してより高い百分率となる傾向にある。これらの実施形態では、酸含有モノマーは、ポリマー粒子の安定化のためでなく、粘土の挿入および剥離に、具体的に助けとなることが意図される。
【0035】
モノマー混合物が乳化される実施形態では、適切な乳化剤としては、これらに限定されないが、アルキル−、アリール−、アラルキル−、アルカリール−スルフェートまたはスルホネートの塩;アルキル−、アリール−、アラルキル−、アルカリール−ポリ(アルコキシアルキル)エーテル;アルキル−、アリール−、アラルキル−、アルカリール−ポリ(アルコキシアルキル)スルフェート;オレイン酸カリウム、特にアルキルジフェニルオキシドジスルホネートのような長鎖脂肪酸のアルカリ性塩等のような、乳化重合に従来的に使用されるものが挙げられうる。好ましい乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホネートおよびジオクチルスルホスクシネートが挙げられうる。
【0036】
第二の水性反応混合液は、水性粘土分散液を含む。水性粘土分散液は、水性ナノ複合材分散液中のモノマーの重量を基準として、少なくとも0.05、典型的には0.1〜20、より典型的には0.1〜15、さらにいっそう典型的には0.1〜10、最も典型的には0.5〜5重量%の粘土を含む。水性粘土分散液中に存在する水の量は、70〜ほぼ100重量%である。特定の実施形態では、水性粘土分散液は、ここに開示されるモノマーのような少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物をも含みうる。好ましくは、混合物内の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーは、極性モノマーである。モノマー混合物が、水性粘土分散液に添加される実施形態では、水性粘土分散液内のモノマーの重量%は、0.01%〜100重量%でありうる。
【0037】
本発明の特定の実施形態では、水相中の粘土の重量%は、それが、水性ナノ複合材分散液のナノ複合材/ポリマー相に組込まれるようになるにつれて、減少しうる。粘土濃度におけるこの減少は、ポリマーが形成され、粘土(すなわち、剥離粘土層および/または非剥離粘土粒子)が、ナノ複合材粒子に組込まれるにつれて、重合工程の間に起こりうる。
【0038】
水性粘土分散液のための適切な粘土としては、挿入または剥離されることのできる任意の天然または合成積層鉱物が挙げられる。このような粘土の例としては、例えば、積層シリケート鉱物が挙げられる。使用されうる積層シリケート鉱物としては、層間化合物を形成することのできる天然および合成鉱物が挙げられる。ある種の自然に生じる鉱物の例としては、これらに限定されないが、スメクタイト、フィロシリケート、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、モントロナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、バーミキュライト、カオリナイトおよびハロサイトとして知られるものが挙げられる。好ましくは、これらの鉱物の中でも、モンモリロナイトがある。合成鉱物、または合成フィロシリケートのある種の限定なしの例としては、ノースカロナイナ州シャルロッテ(Charlotte,North Carolina)のラポルテ・インダストリーズ,リミテッド(Laporte Industries,Ltd.)によって製造される登録商標ラポナイト(LAPONITE)、マガジイテ(magadiite)、およびフルオロヘクトライトが挙げられうる。
【0039】
粘土は、一般に、粘土表面の実効負電荷に引きつけられる、それらのギャラリー内に存在するカリウム、カルシウム、またはナトリウムのような少なくとも1つの天然に生じる陽イオン、または第一の陽イオンを有する。例えば、モンモリロナイトのような粘土は、ナトリウムまたはカルシウムのような天然に生じるか、または第一の陽イオンと共に利用されうる。語句「ナトリウム形態」または「カルシウム形態」は、それぞれ、ナトリウムまたはカルシウムである第一の陽イオンを有する粘土に該当する。
【0040】
粘土の陽イオン交換許容量(「CEC」)は、コロイド粒子の単位質量当たりの正の荷電として表現される、粘土のイオン交換容量、または粘土表面に吸着されうる正の荷電の総量に関する。例示の粘土鉱物についてのある種のCEC値は、以下の通りである:モンモリロナイト粘土は、70〜150meq/100gの範囲にある;ハロサイト粘土は、40〜50meq/100gの範囲にある;およびカオリナイト粘土は、1〜10meq/100gの範囲にある。本発明の特定の実施形態では、選択される粘土は、好ましくは、高いCEC値を有する。好ましい形態では、本発明に使用される粘土は、約40meq/100g以上のCEC許容量、好ましくは約70meq/100g以上のCEC許容量、より好ましくは約90meq/100g以上のCEC許容量、さらにいっそう好ましくは約100meq/100g以上のCEC許容量を有しうる。本発明の特定の実施形態では、モノマーの少なくとも一部の重合の前に、粘土を電気化学的に還元することによって、ナノ複合材分散液内のポリマーに対する粘土の親和性を向上させる粘土のCEC許容量を、増加しうる。
【0041】
本発明では、水性粘土分散液内の粘土は、部分的または完全にのいずれかで剥離されうる。好ましくは、粘土は、少なくとも部分的に剥離された粘土である。本明細書で用いられている、語句「少なくとも部分的に剥離された粘土」は、一般に、層が、互いから完全にまたは部分的に分離された粘土に該当する。対照的に、語句「非剥離粘土」は、一般に、分離された層として存在しない粘土の物理的状態に該当する。語句「挿入」は、一般に、ポリマーが、系内の粘土の層の間に差し挟まれる状態に該当する。語句「部分的に挿入される」は、一般に、系内の粘土層のいくつかが層の間にポリマーを有し、他の粘土層は有しない状態に該当する。ポリマーおよび粘土系の種々の状態のいずれもが、本発明に使用されうる。
【0042】
一般に、完全に(「十分に」)剥離した粘土の水性分散液は、数%以上の粘土濃度で非常に粘性および/またはゼラチン性である。このような非常に粘性のゲルを形成する粘土の正確な重量%(濃度)は、これらに限定されないが、粘土の型、温度、pH等を含めた多数の因子によることは、当業者に予想されるに違いない。典型的には、粘土分散液は粘性ゲルよりむしろ自由流動体を形成する。
【0043】
本発明で、100%完全未満までに剥離の程度を限定すること、すなわち、部分的剥離(100%未満)は、一般に、減少された粘性および/または非ゲル化流動体状態を粘土分散液を提供する。従って、粘土層に剥離される粘土の一部は、一般に、粘性増加に対して主要な寄与を提供する一方で、非剥離部分(すなわち、粘土粒子)は、粘性増加に対して僅かな寄与を供する。従って、水性粘土分散液中の部分的に剥離した粘土の総量は、一般に、分散液の総重量を基準として、約数重量%未満、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらにいっそう好ましくは3重量%以下である。粘土のさらなる剥離は、乳化重合の工程のような連続処理の間に起こりうる。水性粘土分散液の粘性の減少が、これらに限定されないが、ポリリン酸のような分散剤によって支援されうることが予想される。これらは、重合プロセスの間、または重合製品に添加されうる。
【0044】
しばしば、高剪断を要求しない中程度の機械的混合は、水中の少なくとも部分的に剥離された粘土の分散を提供するのに適切でありうる。十分に剥離した粘土は、反応媒質中の高粘性および/またはゲルの存在に関連した加工上の問題を引起す場合、剥離の程度は、完全より少くすべきである。同様に、所望の化学的および物理的特性を達成させるために、粘土は、少なくとも部分的に剥離されるべきである。同様に、水性環境で粘土を剪断する工程は、一般に、水性環境の粘度増加を生じる。通常には、剥離の程度が大きくなればなるほど、粘性の増加も大きくなる。
【0045】
粘土の剥離の程度を増大させるほかに、水性ナノ複合材分散液内の粘土濃度を増大させることも、粘度の増大を生じうる。このために、粘度は、反応媒質および/または粘土分散液の、水のような適切な液体による希釈により制御されうる。典型的に、反応媒質および/または粘土分散液の粘度を、重合工程の前の希釈により制御することが望ましい可能性がある。例えば、本発明のナノ複合材中で高濃度の粘土富化(例えば、水性ナノ複合材分散液内の総重量ポリマーを基準として、5%より大きな粘土量)を得るために、反応媒質は、連続重合工程より前に十分量の水で希釈され、粘度を減少させうる。特定の粘度レベルを達成するために必要である希釈の量は、当業者によって容易に決定されうる。一般に、引き続く反応体の添加の前に十分な粘度範囲を得るために、反応媒質の固形分濃度は、50%未満、典型的に10%〜40%の間、いっそうさらに典型的には20%〜30%の間に制御されうる。特定の実施形態では、反応体を添加する前の水性分散液の粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)の粘度計を用い、分当たり60回転(「rpm」)で、3番スピンドルを使用して測定され場合に、5,000センチポイズ(「cps」)までの範囲に入る。
【0046】
水性粘土分散液は、少なくとも1つの非改質粘土を含む水性粘土混合物を、粘土を部分的におよび/または十分に剥離させる機械的混合によるような、剪断力にかけることによって製造されうる。界面活性剤のような改質剤を要求せずに、粘土を少なくとも部分的に剥離させるために、水中の粘土粒子の物理的に完全な状態を破壊する種々の高剪断方法も予想される。これらの方法としては、それに制限されないが、超音波、メガソニケーション(megasonication)、粉砕/破砕、高速混合、均質化等が挙げられる。水性粘土分散液は、粘土層を剥離させる上でさらに助けになるために、10〜150℃、好ましくは20〜100℃、より好ましくは20〜90℃の範囲にある温度で剪断力にもかけられうる。このような高剪断方法は、本発明の方法で使用されうるが、これらの方法は、少なくとも部分的に剥離された状態を達成するために要求されはしない。本発明の種々の実施形態では、粘土は、剥離粘土層と非剥離粘土粒子の両方を含みうる。本発明の特定の実施形態では、粘土分散液の均質化は要求されない。実際に、本発明の特定の実施形態では、分散液内の粘土の量によって、引張強度のような物理的特性での望ましい改善を提供するために、均質化が必要ではない。
【0047】
疎水的に改質されるのも、本発明の方法に使用されうる。本発明の特定の実施形態では、粘土は、少なくとも部分的に疎水的に改質されうる。先に明記されるとおり、界面活性剤のような改質剤は、例えば、粘土内に存在する天然に生じる陽イオンを用いたイオン交換によって、粘土の表面化学を改質する。これは、界面活性剤が、天然に生じる陽イオンを置換する個々の層の間に「挟みこまれる」「挿入」状態を生じる。例示の界面活性剤としては、親水性頭部基、および尾部が、水素、および約4個〜約30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、およびアルキニル基から選択されることを特徴とする少なくとも1つの油脂親和性尾部を有する陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性界面活性剤が挙げられうる。好ましくは、本発明の方法で使用される界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤である。本明細書で用いられている、語句「陽イオン性界面活性剤」は、疎水性または親水性部分、好ましくは親水性部分は、水性媒質中で溶解される時に、正の荷電を担持することを特徴とする界面活性剤を示す。代表的陽イオン性界面活性剤は、例えば、第四アンモニウム、第四ホスホニウム、または第三スルホニウム陽イオンを含む塩、または脂肪酸およびロジン酸から誘導される脂肪族モノ−、ジ−、およびポリアミンのようなオニウム塩が挙げられる。提供された代表的界面活性剤で、正の荷電は、一般にアミノまたは第四窒素に存在する。
【0048】
先に明記されるとおり、ナノ複合材分散液内に存在する粘土材料、またはそこに含まれる粘土分散液としては、粘土層の間にある第一の陽イオンが挙げられる。代わりに、第一の陽イオンは、界面活性剤内の陰イオンに対する対イオンとして存在しうる。この第一の陽イオンは、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム陽イオン、および/または界面活性剤、好ましくは陽イオン性界面活性剤のような、粘土鉱物のギャラリー内に存在する天然に生じる陽イオンを含みうる。例えば、第一の陽イオンは、好ましくは、粘土の乾燥重量の0から20重量%、またはより好ましくは0〜50重量%の陽イオンを含みうる。特定の好ましい実施形態では、ナトリウム型で疎水的に改質された粘土が、さらに好ましい。
【0049】
第二の陽イオン、好ましくは多価陽イオン、より好ましくは少なくとも1つの二価または三価陽イオン、さらにいっそう好ましくは、これらに限定されないが、Ca、Mg、Cu、Mg、Fe、またはZrのような少なくとも1つの二価または三価金属陽イオンが、水性ナノ複合材分散液または粘土分散液に添加される。好ましくは、第二の陽イオンは、オニウム陽イオンまたは陽イオン性界面活性剤を包含しない。水性粘土分散液への第二の陽イオンの添加は、改質水性粘土分散液を生じる。水性ナノ複合材分散液への第二の陽イオンの添加は、その場で改質される粘土を生じる。陽イオンは好ましくは溶解性であり、すなわち、陽イオンの全てが溶媒に溶解しうるような濃度で存在する。好ましい実施形態では、溶媒は水であり、陽イオンは水溶性である。
【0050】
第二の陽イオンは、好ましくは、スラリーまたは溶液の形態で添加されうる。本発明の特定の実施形態では、第二の陽イオンは、少なくとも1つの二価および/または三価陽イオンを含む金属塩を含む溶液の形態で添加される。好ましくは、金属塩は、水または他の溶媒に溶解される。このような金属塩の例としては、これらに限定されないが、Ca(OH)2、Mg(OH)2、またはMg(SO4)が挙げられる。二価または三価陽イオンを含む金属塩のさらに限定なしの例としては、米国特許第5,998,538号で提供される。第二の陽イオンの選択は、ナノ複合材の最終用途によって影響されうるのに対して、陰イオンの選択は、溶解度に影響しうる。水性ナノ複合材または粘土分散液に添加される第二の陽イオンの量は、ナノ複合材または粘土分散液内の粘土の乾燥重量を基準として、0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%、さらにいっそう好ましくは0.1〜1重量%の範囲にある。高温が、第一の交換可能な陽イオンとの第二の陽イオンの交換を有利にするために好ましい。しかし、第二の陽イオンは、室温で、すなわち、25℃以上の温度で、第一の交換可能な陽イオンと交換し合いうる。
【0051】
本発明によって、第二の陽イオンの少なくとも一部は、第一の陽イオンの少なくとも一部と有効にイオン交換する。第二の陽イオンは、第一の陽イオンと完全に交換する必要はない。交換の程度は、例えば、ラテックスでは水相からポリマーを単離し、例えば定量的原子吸光度のような標準技術によってその水相を分析することにより決定されうる。
【0052】
ナノ複合材系または粘土分散液に添加されるべき第二の陽イオンの選択は、例えば、所望の特性または意図される最終用途に依存する。好ましくは、第二の陽イオンの少なくとも一部は、有効にイオン交換するために、第一の陽イオンの少なくとも一部と異なるべきである。例えば、第一の陽イオンが、ナトリウム、カルシウム、および陽イオン性界面活性剤を含む系では、カルシウムのような二価陽イオンは、一般に、最初にナトリウム陽イオンと、次に陽イオン性界面活性剤と交換する。第一のカルシウム陽イオンは、第二のカルシウム陽イオンと交換することは予想されず、それどころか、平衡状態に達する。従って、第一の陽イオンが、完全にカルシウムから構成される場合、交換は明確には起こらない。例えば、文献「第四アルキルアンモニウム陽イオンと、モンモリロナイトのナトリウムおよびカルシウム形態とのイオン交換相互作用(Ion Exchange Interaction of Quaternary Alkylammonium Cations with Sodium and Calcium Forms of Montmorillonite)」,A.I.Zhukovaら、Ukr.Khim.Zh.、1975年、41(7)巻、696−699頁は、モンモリロナイト粘土中の天然に生じるカルシウム陽イオンが、界面活性剤陽イオンMe4N+またはBuNH3+よりいっそう固く結合されることを記述する。イオン交換の比は、系内の第一および第二の陽イオンの相対量、交換されるべき陽イオンの相対的サイズ、および/またはギャラリー内に存在する水分子の量のような多様な因子によって変化する。第一および第二の陽イオンの交換は、可逆的であるので、本発明の特定の好ましい実施形態では、順行反応、または第二の陽イオンを第一の陽イオンに交換する反応は、好ましくは、逆反応よりも起こる。
【0053】
第二の陽イオンは、系内の粘土に対するポリマーの親和性を増強し、ナノ複合材の物理的特性を改善するために重合プロセスの間またはその後のあらゆる時点で、粘土分散液に添加されうる。好ましくは、第二の陽イオンは、ナノ複合材分散液を形成するモノマーの重合の前または間に、水性粘土分散液に添加されうる。添加のこの状態は、一般に、重合の後に第二の陽イオンを添加することに比べて、ナノ複合材の物理的特性で非常な改善を生じる。改善された特性は、第二の陽イオンが、石鹸非イオン性界面活性剤、水酸化カルシウム、または水などの存在下で、第一の交換可能な陽イオンと交換する場合にも見られうる。非イオン性界面活性剤の存在は、第二の陽イオンを第一の交換可能な陽イオンと交換する程度、およびナノ複合材の引張強度のような結果産物の物理的特性を増強するように見える。
【0054】
改質水性粘土ナノ複合材分散液、または第二の陽イオンが添加された水性粘土分散液は、そのような改質がされていない水性ナノ複合材分散液より低い粘度を示しうる。ナノ複合材分散液の組成により、粘度の減少が、数桁、すなわち、数千のセンチポイズから数百のセンチポイズまででありうる。粘度のこの減少は、粘土表面上で交換された陽イオンに対するポリマーの負の部分の誘引に起因しうる。
【0055】
本発明の特定の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第一のエチレン性不飽和モノマーを供給する工程、少なくとも部分的に剥離した粘土、および任意に、少なくとも1つの第二のエチレン性不飽和モノマーを含む水性粘土分散液を供給する工程であって、前記粘土が、第一の交換可能な陽イオンを有する工程、前記水性粘土分散液に第二の陽イオンを添加する工程であって、第二の陽イオンの少なくとも一部が、第一の陽イオンの少なくとも一部と交換して、改質された水性粘土分散液を形成する工程、第一のエチレン性不飽和モノマーと、改質された水性粘土分散液を合せる工程、および前記第一または第二のモノマーを重合させて、少なくとも1つの第一または第二のエチレン性不飽和モノマーが極性モノマーを含む、前記水性ナノ複合材分散液を形成する工程とを含む、水性ナノ複合材分散液を製造する方法が提供される。特定の実施形態では、ナノ複合材分散液のモノマーは、添加工程の後に重合される。これらの工程は多様な異なる順序で行われうる。例えば、1つの実施形態では、第二の供給工程および添加工程は、重合工程の前または後のいずれかで行われうる。
【0056】
本発明の1つの実施形態の第三工程では、第一および第二の水性反応混合液、または水性混合液および水性粘土分散液は、多段階で乳化重合される。このような多段乳化重合は、好ましくは、第一のモノマー混合物のモノマーが、ポリマー粒子分散液を形成するために80%より大きい、好ましくは90%より大きい、さらにいっそう好ましくは95%より大きい転化度まで重合される、2つまたはそれ以上のモノマー混合物の逐次重合に関与する。この重合では、好ましくは、ポリマー粒子とともに別のポリマー(例えば、周囲のポリマーシェルまたはポリマー粒子内のドメイン)、および/または別のポリマー粒子を形成するために、ポリマー粒子分散液の存在下で、粘土分散液を含む第二のモノマー混合物の重合が続いて行われる。
【0057】
本発明の別の態様では、水性分散液は、組成が異なる少なくとも2つの段階が、逐次形態で重合される、多段乳化重合工程により調製されうる。このような工程は、通常少なくとも2つの相互に非相溶性のポリマー組成物の形成を生じ、それにより、水性ナノ複合材分散液中のポリマー粒子内に少なくとも2つの相の形成を生じる。このような粒子は、例えば、コア/シェルまたはコア/シース粒子、コアを不完全に封入するシェル相を有するコア/シェル粒子、多様なコアを有するコア/シェル粒子、および貫入ネットワーク粒子のような種々の構造の2つまたはそれ以上の相から構成される。これらの場合の全てにおいて、粒子の過半の表面領域は、少なくとも1つの外側相によって占有され、粒子の内側は、少なくとも1つの内側相によって占有される。水性ナノ複合材分散液内の多段エマルションポリマーの段の各々は、エマルションポリマーについて上でここに開示されるのと同じモノマー、界面活性剤、酸化還元開始系、連鎖移動剤などを含みうる。例えば、米国特許第4,325,856号;第4,654,397号;および第4,814,373号のようなこのような多段エマルションポリマーを調製するために使用される重合技術は、当業界でよく知られている。
【0058】
この工程の間に、第一および第二の水性反応混合液が、いずれかの順で、多段重合にかけられうると認識されるべきである。乾燥粉末の形態でナノ複合材組成物を調製するために、粘土含有混合液、または第二の水性反応混合液内のモノマーが、第一の水性反応混合液内のモノマーの後に重合されることが好ましい。
【0059】
本発明の1つの実施形態では、粘土は、モノマーおよび粘土を含む第二の反応混合液中のモノマーの重合の間に少なくとも部分的に剥離されうる。この実施形態では、粘土/モノマー混合物は、多段重合の第一の段階であってよく、その結果、多段ポリマーの内側ポリマーコア部分は、好ましくは、粘土の少なくとも一部を含む。別の実施形態では、この粘土/モノマー混合物は、多段重合の第二の段階であってよく、その結果、多段ポリマーの外側ポリマーシェル部分は、一般に、粘土の少なくとも一部を含む。別の実施形態では、両方の段階が粘土を含みうる。
【0060】
乳化重合工程は、一般に、適切な反応器で行われ、そこでは反応体(モノマー、開始剤、任意の乳化剤、水性粘土分散液、および任意の連鎖移動剤)が適切に合せられ、混合され、水性媒質中で反応され、そして熱が反応器に移動され、放出されうる。反応体は、好ましくは、反応器に、時間をかけてゆっくりと(半バッチ方法で、徐々に)、継続的に、または「ショット」(バッチ様)として早く添加される。典型的には、反応体は、反応器に徐々に添加(「漸次添加」される。
【0061】
本発明の他の実施形態では、本発明のナノ複合材分散液は、乳化重合以外の技術を通して重合されうる。例えば、ナノ複合材分散液は、塊状重合技術、すなわち、添加溶媒または水なしの重合を介して重合されうる。他の実施形態では、溶液重合技術は、モノマーの重合の熱、またはポリマーの粘度が高すぎる場合に、使用されうる。好ましくは、この重合は水性媒質内で起こるが、しかし他の媒質または溶媒が使用されうる。しかし、溶液重合に伴うある種の欠点は、反応の完了時の溶媒の除去、および分子量を限定しうる溶媒による連鎖移動反応でありうる。
【0062】
本発明の他の実施形態では、ナノ複合材内のモノマーは、懸濁重合により重合されうる。これらの実施形態では、モノマーは、液体媒質、好ましくは水中に機械的に分散され、液滴として重合される。
【0063】
種々の開始剤系が、フリーラジカル開始の業界で知られており、ここに記述される方法で使用されうる。開始剤系の選択は、使用される重合技術によって変化しうる。これらに限定されないが、過硫酸塩のような熱開始剤が、使用されうる。代わりに、フリーラジカル酸化還元開始剤系も使用されうる。このような系の例としては、例えば、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸、2−ヒドロキシスルホナト酢酸等のような還元剤または還元体と組合せた、過硫酸塩、アゾ、過酸化物(例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド)のような酸化剤または酸化体等が挙げられる。
【0064】
種々の工程の方法で一般に使用されるフリーラジカル開始剤は、10℃〜100℃、好ましくは20℃〜95℃、より好ましくは55℃〜90℃の温度範囲で行われるフリーラジカル酸化還元重合で従来的に利用されるものである。100℃より高い温度は、高圧用に設計された設備を使用して可能である。酸化還元開始に関与するある種の実施形態では、開始温度は、好ましくは、酸化還元開始のために85℃未満、より好ましくは55℃未満に維持される。過硫酸塩を用いた熱開始に関与する他の実施形態では、80℃〜90℃の範囲の温度が使用される。
【0065】
特定の実施形態では、本発明は、粘土表面の改質を開始し、粘土の層の間のモノマーの重合を助けるために酸化還元法を使用しうる。粘土の重量の比較的大きな百分率、特に2重量%以上は、ギャラリー内および/または粘土の表面層内に存在する、鉄、銅、マンガン等のような酸化還元活性の多価金属イオンを含む。粘土内で固有であるか、または系に添加されたこれらの酸化還元活性多価金属イオンは、酸化還元活性開始剤成分からラジカル発生を促進させるために使用されうる。酸化還元法では、FeIIまたはFeIIIのような金属イオンを含む粘土を、それぞれ、酸化体または還元体のいずれかの存在下で反応させて、ラジカルを形成させうる。酸化還元誘導ラジカルは、粘土層の間の空間に、または粘土表面で形成され、粘土の挿入および/または剥離を助長する。さらに、酸化還元法は、酸化還元のない場合より、高度のフィルム透明性を示すポリマー粘土ナノ複合材を発生しうる。
【0066】
FeIIを有する粘土が、酸化体の存在下で反応される酸化還元法では、化学的還元体は、それの自然なFeII形態での粘土、任意に界面活性剤を含む水性反応混合液に添加される。好ましくは、添加される還元体の量は、粘土内に含まれるあらゆる鉄のモル数を減少させるのに十分な量にある。それのFeIIIからFeIIへの粘土の還元の確認は、水性反応混合液の色の変化を観察することによって行われうる。水性反応混合液は、外観で灰色/緑色になりうる。いったん鉄が還元されたら、化学的酸化体は、1つまたはそれ以上のモノマーと一緒に水性反応混合液に添加される。酸化体とのFeIIの相互作用は、粘土と会合した鉄から、酸化体への電子の移動を生じる電気化学的反応を起こす。酸化体の還元は、酸化体を、陰イオン、およびその後、粘土の表面で、または粘土層の間のギャラリー空間でのいずれかで、ポリマー連鎖を開始させうる、酸化還元で誘導されたラジカルに分解される。この手段では、酸化還元開始系は、ポリマー/粘土ナノ複合材の挿入および/または剥離で助けとなりうる。この酸化還元方法は、全ナノ複合材形成の間じゅう重合を開始および/または重合を維持するために使用されうる。さらに、酸化還元方法は、粘土のCEC値を変えるために使用されうる。
【0067】
代替的実施形態では、FeIII型粘土は還元体の存在下で反応され、見られるモノマー乳状物は、その天然のFeIII型で粘土を含む水性反応混合液に添加される。還元体は粘土のFeIII基と相互作用し、酸化され、それは、粘土の表面で、またはその付近でラジカル形成および連続ポリマー連鎖開始を引起しうる。いったん種形成が完了すると、ナノ複合材ラテックスは、ここに開示される標準方法によって形成される。この酸化還元方法も、全ナノ複合材形成の間じゅう重合を開始および/または重合を維持するために使用されうる。さらに、酸化還元方法は粘土のCEC値を変えるために使用されうる。
【0068】
酸化還元系が、ラジカルの唯一の起源である特定の実施形態では、ポリマー鎖成長は、鉄が粘土板に、または粘土の表面上の変換空間にのいずれかにのみ閉じこめられている限りにおいて、粘土表面付近の領域で現れ続く可能性がある。粘土に見られるか、または別個に添加される酸化還元活性多価金属イオンと一緒の、還元体(ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、イソアルコビン酸等のような)および酸化体(過硫酸アンモニウム、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド等のような)の使用も、本発明のポリマー/粘土ナノ複合材を調製する有用な方法である。
【0069】
本発明の1つの実施形態では、モノマーは、反応器に、バッチ様(「ショット」で添加されるか、または時間をかけて継続的に供給されうる。0.5〜18時間、好ましくは1〜12時間、さらにいっそう好ましくは2〜6時間の時間をかけて、水性反応混合液を反応器に徐々に添加することによる継続的供給は、反応温度を制御するのに有用である。
【0070】
緩衝剤も、乳化混合の間に反応混合液中に存在しうる。緩衝剤は、一般に、これらに限定されないが、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのような弱酸の塩である。添加される場合は、反応混合液中に存在しうる緩衝剤の量は、重合に利用される総モノマーを基準として、0.01〜5重量%の範囲に入りうる。一般に、アンモニアまたは水酸化ナトリウムのような低濃度の強塩基は、重合のpHを制御するためにも使用されうる。これらの剤は、重合工程の前、間、または後のいずれかの時に添加されうる。緩衝剤は、特定のモノマーの加水分解を制御し、重合(N−メチロアクリルアミドモノマーが使用される場合のような)中に早すぎる架橋の程度に影響を与えるか、開始剤の分解の速度に影響するか、および/またはコロイド安定性を制御するために、カルボン酸モノマーおよび界面活性剤の解離の程度に影響を及ぼすためにさらに使用されうる。
【0071】
任意に、少なくとも1つの連鎖移動剤が、ポリマーの分子量を制御するために、重合中に組込まれうる。連鎖移動剤の例としては、これらに限定されないが、メルカプタン、ポリメルカプタン、およびポリハロゲン化合物が挙げられる。さらに、連鎖移動剤の限定なしの例としては、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−アミルメルカプタン、イソアミルメルカプタン、t−アミルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン;メチルメルカプトプロピオネートおよび3−メルカプトプロピオン酸のようなメルカプトカルボン酸およびそれらのエステル;イソプロパノール、イソブタノール、ラウリルアルコール、およびt−オクチルアルコールのようなアルコール;および四塩化炭素、テトラクロロエチレン、およびトリクロロ−ブロモエタンのようなハロゲン化化合物が挙げられる。一般に、モノマー混合物の重量を基準として、0〜10重量%が使用されうる。ポリマー分子量は、モノマーに対する開始剤の比を選択することのような他の技術によっても制御されうる。
【0072】
安定化界面活性剤は、ポリマー性ラテックス粒子の凝集を妨げるために反応混合液の一方または両方に添加されうる。一般に、成長中のラテックス粒子は、陰イオン性または非イオン性界面活性剤のような1つまたはそれ以上の界面活性剤、またはその混合物により、乳化重合の間、安定化される。乳化重合に適する界面活性剤の例は、毎年刊行されるマカッチャンの洗剤および乳化剤(McCutcheon's Detergents and Emulsifiers)(ニュージャージー州グレン・ロック(Glen Rock,N.J.)のエムシー・パブリッシング・シーオー.(MC Publishing Co.))で提供される。保護的コロイドのような他の安定化剤が使用されうる。
【0073】
モノマーの第一の混合物は、所望の粒子サイズを制御するために、予備形成ポリマー分散液(「シード」ラテックス)の存在下で重合されうる。シードは、一般に、生じるポリマーの構造および/または形態を制御するためにも使用される。「シード」ラテックスは、200nm未満、好ましくは100nm未満、さらにいっそう好ましくは65nm未満の平均直径を示す小型粒子を含みうる。一般的なシードラテックス粒子は、第一の段階の多段ナノ複合材または第一の段階のシードされた単段ナノ複合材ポリマーを製造する上で使用されるモノマーの組成に類似するか、または異なる組成を示しうる。予備形成ポリマー分散液は、ゴム状材料のポリマー粒子を包含し得て、コアポリマーの組成と類似であるか、または異なりうる。本明細書で用いられている、語句「ゴム状」は、それのガラス転移温度より上のポリマーの熱力学的状態を示す。代わりに、シードとしては、Myersら、米国特許第3,971,835号で教示されるとおり、屈折率を調節するために使用されうる硬質非ゴム状ポリマー粒子(例えば、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレート)が挙げられる。
【0074】
本発明は、先の重合または追加の重合段階で形成されるナノ複合材ポリマー粒子をも含む。これらの段階は、粘土を含む段階の形成の前、間、または後に起こりうる。
【0075】
本発明の別の方法は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、および第二の陽イオンを添加することにより改質された層状粘土を含む水性分散液を1つまたはそれ以上のエマルションポリマーシードに徐々に添加し、重合することに関与する。この方法で、エマルションポリマーシードは、好ましくは20〜500nm、より好ましくは30〜400nm、さらにいっそう好ましくは40〜300nmの粒子直径を有する。エマルションポリマーシードは、該ナノ複合材分散液中の総ポリマー重量の乾燥重量を基準として、0.1〜10%、好ましくは0.5%〜8%、さらにいっそう好ましくは1%〜5%である。ポリマーシードが、一般に粘土を含まなくてよい一方で、この実施形態ではさらに、ポリマーシードが、該ナノ複合材分散液中の総ポリマー重量の乾燥重量を基準として、20%までの粘土、好ましくは10%までの粘土、より好ましくは5%までの粘土を含みうると意図している。
【0076】
この方法での水性分散液は、該ナノ複合材分散液中の総ポリマー重量の乾燥重量を基準として、80〜99.95%、好ましくは85〜99.9%、さらにいっそう好ましくは90〜99.9%の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、および該ナノ複合材分散液中の総ポリマー重量の乾燥重量を基準として、0.05%〜20%、好ましくは0.1%〜15%、さらにいっそう好ましくは0.1%〜10%の層状粘土を含む。
【0077】
各段階の重合の後、モノマーの重量を基準として、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、さらにいっそう好ましくは99%は、逐次重合段階が始められる前に、反応器中で重合されることが望ましい。
【0078】
エマルションポリマーシードは、モノマーが重合されるものと同じ反応容器で形成されることができ、および/または別の反応容器で製造され、モノマーが重合される反応容器に連続的に導入されうる。特定の実施形態では、水性エマルションのポリマーシードは、モノマーが重合されるものと同じ反応容器で形成される。これらの実施形態では、水性粘土分散液は、乾燥重量を基準として200重量%までの層状粘土を含みうる。反応容器内の低い固形分百分率により、利用可能な粘度を維持しつつ、誰でも高い粘土濃度を得ることができる。代替の実施形態では、ポリマーシードは、乾燥重量を基準として、少なくとも部分的に剥離した層状粘土を含みうる。この実施形態では、粘土の量は、ポリマーシード中の総乾燥ポリマー重量の0.05%〜20%、好ましくは0.1%〜15%、さらにいっそう好ましくは0.1%〜10%の範囲にある。
【0079】
本発明の別の方法は、水性エマルションポリマーと、該エマルションポリマーの乾燥重量を基準として0.1〜10%の、第二の陽イオンの添加によって改質された層状粘土とを混合させることによって、水性ナノ複合材分散液を調製することに関与する。この方法では、水性エマルションポリマーは、好ましくは、乳化重合の技術によってエマルションポリマーを調製する種々の公知方法のいずれかによって調製される。この方法の1つの実施形態では、ナノ複合材分散液が、徐徐な添加「漸次添加(grad−add)」方法を使用して調製されることが好ましい。この実施形態では、ナノ複合材ポリマーがゴムコアおよび硬質シェルを有するコア−シェルポリマー粒子のような、多段重合により調製されることも好ましい。
【0080】
この実施形態での改質層状粘土の混合工程は、好ましくは、粘土界面活性剤の必要性なしに完了される。別の実施形態では、第二の陽イオンが添加される粘土は、水中に予め分散され、水性エマルションポリマーと混合される。粘土粒子が、少なくとも部分的に剥離される限り、あらゆる機械的混合装置が適しうる。より好ましくは、粘土粒子を混合して、ナノ複合材分散液内に粘土を均一に分散させる。例えば、登録商標カウレス(COWLES)機械的混合機は、20%までの粘土を含む改質水性粘土分散液を調製するために使用されうる。しかし、0.1〜10%の粘土を含む水性粘土分散液を調製するために機械的ホモジナイザーを使用することがさらに好ましい。
【0081】
本発明の水性ナノ複合材粘土−ポリマー分散液は、逆相乳化重合を利用しても調製される。例えば、米国特許第3,284,393号、第3,826,771号、第4,745,154号で、そこに付随する文献で記述される方法は、酸含有ポリマー(高いまたは低い濃度の酸)を作るために使用するときに、これらの重合の水相に、粘土および第二の陽イオンを組込むのに利用されうる。逆相乳化重合方法は、そこに含まれる水溶性モノマーおよび混合物に基く、高分子量のポリマーまたはコポリマーを生じうる。これらのモノマーの水性溶液は、油中水乳化剤の手段により油相に分散され、引き続いてフリーラジカル形成条件下で連続して重合されうる。
【0082】
水性ナノ複合材粘土−ポリマー分散液は、例えば、被覆剤、シーラント材、コーキング材、接着剤、およびプラスチック添加剤として有用でありうる。水性ナノ複合材粘土−ポリマー分散液を含む被覆剤組成物は、対ブロック性、耐プリント性およびダートピックアップ性のような改善された特性、向上されたバリア特性、および向上された難燃性を示しうる。さらに、本発明の水性ナノ複合材を含む被覆剤組成物は、フィルム形成のための追加の融合剤(溶媒)の必要性なしに、より柔軟なバインダーを利用する能力を示し、乾燥フィルム中に十分な硬度、靭性、および低い粘着性をなお維持しうる。本発明の被覆剤組成物について適切な用途としては、建築用被覆剤(特に、半光沢および光沢のための低VOC用途);工場用被覆剤(金属および木、熱可塑性および熱硬化性);補修用被覆剤(例えば、金属の上);自動車用被覆剤;コンクリート屋根タイル被覆剤;エラストマー性屋根用被覆剤;エラストマー性壁用被覆剤;外部絶縁仕上げシステム;およびインクが挙げられる。本発明の水性ナノ複合材分散液は、添加剤、分散剤、アルカリ溶解性樹脂、酸官能性粘度付与剤として有用でありうる。被覆剤用途に対する添加剤として供される場合に、水性ナノ複合材分散液は、硬度を付与しうることが、さらに意図される。水性ナノ複合材分散液についての別の用途は、不透明ポリマーおよび中空球体顔料用である。水性ナノ複合材分散液の混入は、例えば、より硬く、より破壊耐性のシェルを提供しうるか、または繊維の改質のために適切でありうる。水性粘土−ポリマーナノ複合材分散液のための用途のいっそう別の制限なしの例としては、艶出剤;バインダー(不織布、紙用被覆剤、顔料印刷、またはインクジェット用のバインダーのような);接着剤(感圧接着剤、凝固接着剤、または他の水性接着剤のような);プラスチック用接着剤;イオン交換樹脂;整髪用固定剤;コーキング材;およびシーラント材である。水性粘土−ポリマーナノ複合材分散液は、前述の用途に対して強度および靭性を付与しうる。
【0083】
本発明の1つの実施形態では、水性ナノ複合材分散液は、乾燥によりフィルムを形成することができる(例えば、被覆剤および接着剤)。この実施形態では、ナノ複合材のポリマーが、−80℃〜50℃の範囲内のガラス転移温度を有することが好ましい。ガラス転移温度は、フォックス(Fox)方程式を使用して計算されうる(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.、第1巻、刊行番号3号、123頁(1956年)参照)。
【0084】
本発明の別の実施形態は、水性ナノ複合材分散液を含む被覆剤組成物を調製することを意図する。本発明の被覆剤組成物としては、例えば、建築用被覆剤、補修用被覆剤、工場用途の被覆剤、自動車用被覆剤、エラストマー性壁用または屋根用被覆剤、外装絶縁仕上系被覆剤、紙または厚紙用被覆剤、塗料上塗剤、織物用被覆剤および裏打被覆剤、皮革用被覆剤、セメント状屋根タイル被覆剤、および道路用塗料として当業者で記述されうる被覆剤または塗料組成物が挙げられる。代わりに、被覆剤または塗料組成物は、透明被覆剤、艶消被覆剤、サテン被覆剤、半光沢被覆剤、光沢被覆剤、プライマー、風合加工被覆剤等として記述されうる。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーが、0℃〜70℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。
【0085】
本発明の被覆剤組成物は、さらに、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、有機および無機着色顔料、および層状粘土以外の粘土のような顔料および/またはフィラーを含みうる。このような顔料着色された組成物は、一般に、容積基準で、3〜70%、またはより好ましくは容積基本で15〜60%の二酸化チタンを含む。
【0086】
被覆剤組成物は、被覆剤技術でよく知られる技術によって調製されうる。第一に、任意により少なくとも1つの顔料が、登録商標カウレス(COWLES)混合機によって付与されるような高剪断下で、水性媒質内で分散されるか、代わりに、少なくとも1つのあらかじめ分散された顔料が、使用されうる。その後、水性ナノ複合材分散液は、所望の場合、他の被覆剤アジュバントと一緒に、低剪断攪拌下で添加されうる。代わりに、水性ナノ複合材分散液は、任意の顔料分散工程に含められうる。被覆剤組成物は、例えば、粘着剤、乳化剤、融合剤、可塑剤、緩衝剤、中和剤、増粘剤またはレオロジー改質剤、保湿剤、熱−、湿度−、光−、および他の化学的−またはエネルギー−硬化剤を含めた架橋剤、湿潤剤、殺生物剤、可塑剤、消泡剤、着色剤、ワックス、撥水剤、滑りまたは耐擦傷剤、抗酸化剤等のような従来の被覆剤アジュバントをも含みうる。ここに記述される水性ナノ複合材分散液に加えて、被覆剤組成物は、少なくとも1つの別のポリマー、好ましくは、これらに限定されないが、固形粒子、単独空隙を有する粒子、または多空隙粒子のような重合性顔料を含めたフィルム形成性およびフィルム非形成性エマルションポリマーから選択される追加のエマルションポリマーを含みうる。これらの追加のポリマーは、本発明の被覆剤組成物に添加される場合、乾燥重量を基準として、ナノ複合材分散液中の総乾燥ポリマー重量の0〜200%の量で存在しうる。
【0087】
被覆剤組成物の固形分含量は、10容積%〜70容積%でありうる。被覆剤組成物の粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)の粘度計を用いて測定される場合に、0.05〜100パスカル−秒(Pa.s)、または50〜100,000センチポイズ(cP)でありうる;異なる使用方法に適切な粘度は、相当に変化する。
【0088】
被覆剤組成物は、例えば、ロールコーター、ドクターブレード塗布のようなブラシ掛けおよびスプレー方法、印刷方法、空気噴霧スプレー、エアーアシストスプレー、エアレススプレー、高容積低圧スプレー、エアアシスト・エアレススプレー、エアナイフ塗布、トレーリングブレード塗布、カーテン塗布、および押出のような従来の使用方法によって塗布されうる。
【0089】
被覆剤組成物は、例えば、紙または厚紙;圧縮木製製品;ガラス;プラスチック;木材;金属;下塗りまたは予め塗装された表面;風化表面;アスファルト性基体;セラミックス;皮革;および「生」または硬化形態でのセメント、コンクリート、石膏およびスタッコのような水硬性基体のような基体に塗布されうる。基体に塗布される被覆剤組成物は、10℃〜95℃の温度で、一般に乾燥されるか、または乾燥させる。
【0090】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含む接着剤組成物が提供される。前述の被覆剤組成物の種々の成分、方法、および使用は、好ましくは、これらのナノ複合材含有接着剤組成物に使用可能である。
【0091】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含むコーキング材およびシーラント材組成物が提供される。前述の被覆剤組成物の種々の成分、方法、および使用は、好ましくは、これらのナノ複合材含有コーキング材およびシーラント材組成物に使用可能である。さらに、コーキング材およびシーラント材組成物は、好ましくは、ペースト様またはゲル様稠度を有し、好ましくは、被覆剤が示すより高い粘度を有する。従って、コーキング材およびシーラント材は、エマルションポリマーからコーキング材およびシーラント材を調製するのに当業界で知られる一般的配合に従って、本発明の水性ナノ複合材分散液を使用して調製されうる。この実施形態では、コーキング材およびシーラント材は、当業界で知られる方法によって、水性ナノ複合材分散液とフィラーを混合することによって調製されうる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態では、水性ナノ複合材分散液は、可塑剤または凝集剤(例えば、被覆剤および接着剤)の添加と共に、またはなしに、乾燥によりフィルムを望ましく形成する。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーは、−80℃〜100℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。
【0093】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含む接着剤組成物が意図される。接着剤組成物としては、例えば、感圧接着剤、積層接着剤、包装用接着剤、ホットメルト接着剤、反応性接着剤、凝固接着剤、および柔軟性または硬質工業用接着剤として当業界で知られるものが挙げられる。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーが、−80℃〜80℃の範囲にあるガラス転移温度を示すことが好ましい。接着剤は、一般に、任意の顔料、および被覆剤アジュバントとして上にここで列挙される任意のアジュバントを混合することによって調製される。接着剤組成物は、一般に、フィルム、シート、および強化プラスチック複合材のようなプラスチック基体;金属箔;織布;金属;ガラス;セメント状基体;および木材または木材複合材を含めた基体に塗布される。基体に対する塗布は、一般に、移動ロールコーターにより、または手動塗布装置により機械上で遂行される。
【0094】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含むコーキング材またはシーラント材が検討される。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーが、−80℃〜0℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。コーキング材またはシーラント材は、一般に、顔料、および適切な場合、被覆剤アジュバントとして上にここで列挙される任意のアジュバントを混合することによって調製される。コーキング材またはシーラント材組成物は、一般に、乾燥での収縮を最小限にするために、70重量%およびそれ以上のような高固形分含有濃度で調製され、結果的に、ゲル様またはペースト様稠度を有しうる。コーキング材またはシーラント材組成物は、一般に、金属;ガラス;セメント状基体;木材または木材複合材;およびそれの組合せを含めた基体の充填および/またはシール接合部に塗布され、一般に、周囲条件下で、乾燥させられる。
【0095】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含むインク組成物が検討される。インク組成物としては、例えば、フレキソ印刷インキ、グラビアインク、インクジェットインク、および顔料印刷ペーストとして当業界で知られるものが挙げられうる。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーが、−50℃〜50℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。インクは、一般に、任意の顔料、あらかじめ分散された顔料、または染料、および被覆剤アジュバントとして上にここで列挙される任意のアジュバントを混合することによって製造される。インク組成物は、一般に、フィルム、シート、および強化プラスチック複合材のようなプラスチック基体;紙または厚紙;金属箔;織布;金属;ガラス;布;および木材または木材複合材を含めた基体に塗布される。基体に対する塗布は、一般に、フレキソ印刷ブランケット、グラビアロール、シルクスクリーンにより機械上で遂行される。
【0096】
本発明の別の態様では、水性ナノ複合材分散液および/またはナノ複合材粒子を組込むデジタル画像組成物が意図される。本明細書で用いられている、語句「デジタル画像」は、一般に基体上に画像の複写をさせる組成物に関する。デジタル画像組成物のための適切な使用は、ゼログラフィーのような電子写真技術用のトナー、またはインクジェットプリンターまたは類似の用途のための組成物が挙げられる。デジタル画像組成物についてのTgおよび粒子サイズは、その方法または用途の系によって変化する。一般に、インクジェト用途のデジタル画像組成物は、電子写真用途のためのデジタル画像組成物についての粒子サイズおよびTgに比べて、小さい粒子サイズおよび低いTgを有しうる。例えば、インクジェット用途の一般的Tg値は、45℃〜60℃の範囲に入りうるのに対して、電子写真技術用途についてのTg値は、55℃〜85℃の範囲に入りうる。さらに、デジタル画像組成物のこのような粘度、表面張力、およびpHのような限定されない変数も、組成物の最終用途に基づいて調整されうる。
【0097】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含む不織布バインダーが意図される。不織布バインダー組成物は、例えば、拭き取り繊維および芯地のような消費者用および工業用不織布のためのバインダー、繊維充填物およびガラス繊維のような絶縁不織布のためのバインダー、および油用濾紙のような不織布および紙のためのバインダー/強化剤として知られるものが挙げられる。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーは、−60℃〜50℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。不織布バインダーは、一般に、任意の顔料、および適切な場合、被覆剤アジュバントとして上にここで列挙される任意のアジュバントを混合することによって調製される。不織布バインダー組成物は、紙およびレーヨンのようなセルロース性繊維;ポリエステル、アラミド、およびナイロンのような合成繊維;ガラス繊維およびその混合物から形成される不織布をはじめとする基体に適用される。基体への塗布は、一般に、飽和浴、回転塗布機、スプレー等により機械上で遂行される。
【0098】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含む艶出剤が意図される。艶出剤組成物としては、例えば、床用艶出剤、家具用艶出剤、および自動車用艶出剤として当業界で知られるものが挙げられる。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーは、0℃〜50℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。艶出剤は、一般に、任意の顔料、および適切な場合、被覆剤アジュバントとして上にここで列挙される任意のアジュバント、特にワックスを混合することによって調製される。艶出剤組成物は、一般に、材木、ビニルまたはポリウレタンフローリング、セラミックスタイル、塗装金属等を含めた基体に塗布される。基体への塗布は、一般に、スプレー、ローラー、モップ等により遂行される。
【0099】
本発明の別の実施形態では、水性ナノ複合材分散液を含むプラスチック添加剤が意図される。プラスチック添加剤組成物としては、例えば、加工助剤および衝撃改質剤として当業界に知られるものが挙げられうる。これらの実施形態では、ナノ複合材のポリマーは、−50℃〜50℃の範囲にあるガラス転移温度を有することが好ましい。プラスチック添加剤は、一般に、任意の顔料、および適切な場合、被覆剤アジュバントとして上にここで列挙される任意のアジュバントを混合し、一般に、その組成物を粉末形態まで乾燥させることによって調製される。プラスチック添加剤組成物は、一般に、破砕または押出により、例えば、ポリビニルクロリド、ポリメチルメタクリレートおよびポリプロピレンのようなプラスチックと混合されうる。
【0100】
本発明の別の態様では、ナノ複合材のエマルションポリマーは、組成が異なる少なくとも2つの段階が、連続形態で重合されることを特徴とする多段乳化重合方法によって調製されうる。このような方法は、通常、少なくとも2つの相互に非相溶性ポリマー組成物の形成を生じ、それにより、ポリマー粒子内に少なくとも2つの相の形成を生じる。このような粒子は、例えば、コア/シェルまたはコア/シース粒子、コアを不完全に封入するシェル相を有するコア/シェル粒子、複数のコアを有するコア/シェル粒子、および貫入ネットワーク粒子のような種々の形状寸法の2つまたはそれ以上の相から構成される。これらの場合の全てにおいて、粒子の表面領域の過半が、少なくとも1つの外側相に占有され、粒子の内側は、少なくとも1つの内側相に占有される。多段エマルションポリマーの段階の各々は、エマルションポリマーについて上にここに開示されるとおり同じモノマー、界面活性剤、連鎖移動剤などを含みうる。多段ポリマー粒子の場合に、本発明の目的のためのTgは、そこにある段階または相の数に関係なく、エマルションポリマーの全体としての組成を使用してフォックス方程式によって計算されるものである。このような多段エマルションポリマーを調製するために使用される重合技術は、例えば、米国特許第4,325,856号;第4,654,397号;および第4,814,373号のような当業界でよく知られている。
【0101】
本発明の他の態様では、ナノ複合材のエマルションポリマーは、米国特許第4,247,438号;第4,657,966号;および第5,498,655号で教示されるとおりの、バイモーダルまたはマルチモーダルの粒子サイズ分布、米国特許第4,501,845号および第5,990,228号で教示されるとおりの、バイモーダルまたはマルチモーダルの分子量分布、または米国特許第5,369,163号で教示されるとおりの、例えばロッドのような非球状粒子、および米国特許第4,791,151号で教示されるとおりの、多重ローブの粒子を生じるような方法で実行される乳化重合方法によって調製されうる。
【0102】
本発明の別の態様では、ナノ複合材のエマルションポリマーは、乾燥時に、例えば、単独空隙を有する粒子、多空隙粒子、および空隙およびポリマーの貫入ネットワーク(ポリマー「スポンジ」)を有する粒子のような少なくとも1つの空隙を含む粒子を生成する方法によって調製されうる。
【0103】
本発明の別の態様では、ナノ複合材のエマルションポリマーが、バインダー官能性を供する代わり、またはそのことに加えた態様で機能しうる粒子を生成する方法によって調製されうる。意図されるのは、アルカリ溶解性、酸溶解性、および疎水的に改質されたエマルションポリマーのような顔料分散剤または増粘剤/レオロジー改質剤として機能するエマルションポリマーである。
【0104】
本発明の特定の態様では、水性ナノ複合材分散液は、高濃度の酸官能性を組込むポリマー組成物で使用されうる。これらのポリマー組成物は、増粘剤(例えば、米国特許第4,421,902号およびその中の参考文献)、分散剤(例えば、米国特許第5,326,843号および第3,037,952号およびその中の参考文献)およびバインダー(例えば、米国特許第5,326,843号および米国特許第4,876,313号およびその中の参考文献)、並びに被覆剤、インク、接着剤等として水性系での添加剤として有用である。本発明の方法によって調製されるナノ複合材組成物が、高酸ポリマー組成物に組み込まれるときに、結果として生じるポリマーは、硬度において増大する可能性がある。これは、塗料組成物中に使用されるときに、向上した耐ブロック性(すなわち、被覆剤が、それ自身または他の物品に付着しない)のような特性を付与する。全体的に、または部分的に高酸ポリマーから構成されるインクバインダーは、ナノ複合材組成物が、バインダー組成物に添加されるときに、増強された耐ヒートシール性(高温での耐ブロック性)および靭性を示す。高酸ポリマーを利用するさらに別の実施形態では、本発明のナノ複合材組成物は、乾燥粉末ポリマーセメント改質剤(例えば、欧州特許第0654454号およびその中の参考文献に記述されるような)として使用されうる。
本発明は以下の態様を包含する。
1)少なくとも1つの第一のエチレン性不飽和モノマーを供給する工程、
少なくとも部分的に剥離した粘土、および任意に、少なくとも1つの第二のエチレン性不飽和モノマーを含む水性粘土分散液を供給する工程であって、前記粘土が、第一の交換可能な陽イオンを有する工程、
前記水性粘土分散液に第二の陽イオンを添加する工程であって、第二の陽イオンの少なくとも一部が、第一の陽イオンの少なくとも一部と交換して、改質された水性粘土分散液を形成する工程、
第一のエチレン性不飽和モノマーと、改質された水性粘土分散液を合せる工程、および
前記第一または第二のモノマーの少なくとも一部を重合させて、少なくとも1つの第一または第二のエチレン性不飽和モノマーが極性モノマーを含むことを特徴とする、前記水性ナノ複合材分散液を形成する工程、
とを含む、水性ナノ複合材分散液を製造する方法。
2)第一または第二のいずれかの少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、添加工程の前に重合される項1)に記載の方法。
3)第一または第二のいずれかのエチレン性不飽和モノマーが、添加工程の後に重合される項1)に記載の方法。
4)前記極性モノマーが、酸含有モノマーを含む項1)に記載の方法。
5)50重量%以下の酸含有モノマーが、水性粘土分散液内に存在し、残りの酸含有モノマーが、第一の水性反応混合物または第二の乳化モノマー混合物のいずれかの中に存在する項4)に記載の方法。
6)25重量%以下の酸含有モノマーが、水性粘土分散液内に存在し、残りの酸含有モノマーが、第一の水性反応混合物または第二の乳化されたモノマー混合物のいずれかの中に存在する項5)に記載の方法。
7)前記酸含有モノマーが、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、スチレンスルホン酸、エチルメタクリレート−2−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;ホスホエチルメタクリレート;酸含有モノマーの対応する塩;およびこれらの組合せから成る群から選択される項4)に記載の方法。
8)前記極性モノマーが、極性オリゴマーを含む項1)に記載の方法。
9)前記極性モノマーが、低分子量のポリマー性安定化剤を含む項1)に記載の方法。
10)水性粘土分散液が、ナノ複合材分散液内のモノマーの重量を基準として、0.1〜20重量%の範囲内の粘土濃度を有する項1)に記載の方法。
11)粘土が、スメクタイト、フィロシリケート、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、モントロナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、バーミキュライト、カオリナイト、ハロサイト、合成フィロシリケート、およびそれの組合せから成る群から選択される項1)に記載の方法。
12)第二の陽イオンが、多価陽イオンを含む項1)に記載の方法。
13)第二の陽イオンが、少なくとも1つの二価または三価陽イオンを含む項12)に記載の方法。
14)第一の交換可能な陽イオンの少なくとも一部が、一価陽イオンである項1)に記載の方法。
15)第一の交換可能な陽イオンの少なくとも一部が、ナトリウムまたはカリウム陽イオンである項1)に記載の方法。
16)粘土が、界面活性剤により少なくとも部分的に疎水的に改質される項1)に記載の方法。
17)第一の陽イオンの少なくとも一部が、界面活性剤陽イオンである項16)に記載の方法。
18)水性粘土ポリマーナノ複合材分散液中のポリマーが、水不溶性である項1)に記載の方法。
19)前記重合が、乳化重合を含む項1)に記載の方法。
20)前記重合が、溶液重合を含む項1)に記載の方法。
21)前記重合が、懸濁重合を含む項1)に記載の方法。
22)前記重合が、ミニ乳化重合を含む項1)に記載の方法。
23)粘土分散液が、酸化還元活性多価金属イオンを含む項1)に記載の方法。
24)酸化体が、粘土分散液に添加される項23)に記載の方法。
25)還元体が、粘土分散液に添加される項23)に記載の方法。
26)酸化体および還元体が、粘土分散液に添加される項23)に記載の方法。
【0105】
実施例
実施例1
(カルシウム/MAA/Na2CO3添加順序で2%粘土−均質化なし)
水性ナノ複合材、粘土ポリマー分散液を、以下の方法を介して合成した:空の反応器ケトルに、612.00gの脱イオン(「DI」)水、5.08gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、および20.40gのPGVモンモリロナイト粘土(Na+形態)(「PGV」は、イリノイ州アーリントン・ハイツ(Arlington Heights,Illinois)のナノコール(Nanocor)によって販売されるナトリウム・モンモリロナイト粘土のための取引名である)を充填した。混合物を、85℃に加熱し、その後、5.00gのDI水中のCa(OH)2の1.84g量を添加した。そのケトルに、酸含有モノマーの半分、または7.55gのメタクリル酸を充填し、続いて3.10gの緩衝液、炭酸ナトリウムを添加し、その結果、発泡が観察された。別個の容器で、426.60gの水、36.90gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、662.00gのブチルアクリレート、342.70gのメチルメタクリレート、および7.55gのメタクリル酸を含むモノマーエマルションを形成した。55.80g量のモノマーエマルションをケトルに添加して、ポリマーシードを形成した。その後、4.03gの過硫酸アンモニウム(28g水中に溶解された)を添加し、重合を開始した。モノマー乳状剤を、85℃の反応器温度が維持されるようにケトルに供給した。モノマー供給が完了された後、バッチを65℃に冷却した。65℃に達すると、ケトルに5.58gの硫酸第一鉄(0.15%水性)を添加した。その後、20.00gの水中の1.12g量の70%tert−ブチルヒドロペルオキシドを、20.00gの水中の0.56g量のイソアスコルビン酸と一緒に添加した。温度は、45℃より下に下げた。バッチのpHを、水酸化アンモニウム(28%水性)を用いて、7.5に上昇させ、殺細菌剤(6.20g水を用いて製造された、4.77gのケーソンLX(KATHON LX)(1.4%水性))が添加された。結果として生じる水性ナノ複合材分散液の粘度は、174センチポイズであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、陽イオン交換の工程を含むが、しかし改質されない水性ナノ複合材分散液に比較して低い(上記実施例8参照)。サンプルを、100メッシュのスクリーンを通して濾過させて、すべての凝集物の大きな片を除去した。
【0106】
実施例2
(カルシウム/MAA/Na2CO3添加順序で2%粘土−均質化あり)
ケトル内容物(粘土、界面活性剤、水)を、PRO250ホモジナイザー(コネチカット州モンロー(Monroe,Connecticut)のプロ・サイエンティフィック(Pro Scientific)により製造された)を使用して20分間均質化させた以外は、実施例1の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。
【0107】
実施例3
(MAA/カルシウム/Na2CO3添加順序で2%粘土)
酸含有モノマーの半分、または7.55gのメタクリル酸を、5.00gのDI水中の1.84g量のCa(OH)2の添加の前に添加した以外は、実施例1の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。
【0108】
実施例4
(MAA/カルシウム/Na2CO3添加順序で2%粘土−均質化あり)
酸含有モノマーの半分、または7.55gのメタクリル酸を、5.00gのDI水中の1.84g量のCa(OH)2の添加の前に添加した以外は、実施例2の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。
【0109】
実施例5
(MAA−Na2CO3添加で2%粘土;Ca2+後添加)
水性ナノ複合材分散液を、以下の方法を介して合成した:空の反応器ケトルに、612.00gのDI水、5.08gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、および20.40gのモンモリロナイト粘土(Na+形態)を充填した。混合物を85℃に加熱した。その後、ケトルに、7.55gのメタクリル酸を充填し、続いて3.10gの炭酸ナトリウムを充填した(発泡が観察された)。別個の容器に、426.60gの水、36.90gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、662.00gのブチルアクリレート、342.70gのメチルメタクリレート、および7.55gのメタクリル酸を含むモノマーエマルションを形成した。55.80g量のモノマーエマルションを、ケトルに添加して、ポリマーシードを形成した。その後、4.03gの過硫酸アンモニウム(28g水中に溶解された)を添加して、重合を開始した。モノマーエマルションを、85℃の反応器温度が維持されるようにケトルに供給した。モノマー供給が完了した後、バッチを65℃に冷却し、65℃に達すると、5.58gの硫酸第一鉄(0.15%水性)を、反応器に添加した。その後、20.00gの水中の1.12g量の70%tert−ブチルヒドロペルオキシドを、20.00gの水中の0.56g量のイソアスコルビン酸と一緒に添加した。温度を45℃より下に下げた。バッチのpHを、水酸化アンモニウム(28%水性)を用いて7.5に上昇させ、殺細菌剤(6.20g水を用いて製造された、4.77gのケーソンLX(KATHON LX)(1.4%水性))を添加した。サンプルを、100メッシュのスクリーンを通して濾過させて、すべての凝集物の大きな片を除去した。5.00gのDI水中の1.84g量のCa(OH)2を、ラテックスにゆっくりと添加した。
【0110】
実施例6
(MAA−Na2CO3添加で粘土なし;Ca2+後添加)
粘土が含まれないこと以外は、実施例4の重合方法によってラテックスを調製した。
【0111】
実施例7
(添加粘土またはCa2+なし)
カルシウム後添加が含まれないこと以外は、実施例5の重合方法によってラテックスを調製した。さらに、全メタクリル酸投入量を、モノマーエマルションに組込んだ。
【0112】
実施例8
(2%PGV;添加Ca2+なし)
2%PGV粘土(モノマーの重量を基準として)をモノマーエマルションに組込み、重合前に20分間、均質化させた以外は、実施例6の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。結果として生じる水性ナノ複合材分散液の粘度は、480センチポイズであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、陽イオン交換の工程を含むか、または改質された水性ナノ複合材分散液と比較して高かった(実施例1参照)。
【0113】
実施例1〜8のナノ複合材またはポリマーを、未配合被覆剤のサンプルフィルムに作成し、最大引張強度および伸び率の引張特性について試験した。各フィルムについての試験データは、チニウス・オルセン・ベンチトップ・ユニバーサル試験機(Tinius Olsen Benchtop Universal Testing Machine)(ペンシルベニア州ウィロー・グローブ(Willow Grove,Pennsylvania)のチニウス・オルセン・ベンチトップ・ユニバーサル・テスティング・マシーン社(Tinius Olsen Benchtop Universal Testing Machine Company))で収集した。サンプルフィルムは、5.08cm/分の速度で引っ張った。試験機は、各サンプルフィルムのフィルム厚、幅、および重量について較正された。各サンプルフィルムを支持するクランプの間の最初の距離は、2.54cmであった。22℃の温度および50%の湿度で、制御環境室で試験を行った。各フィルムについての引張測定は、以下の表Iで提供される。
表I:引張特性対、粘土添加の方法
【表1】
(1)引張最大値は、+/−3ポイスである。サンプルは、平均化されない。
【0114】
表Iでの結果が示すとおり、第二の陽イオンの添加、またはCa2+を含む多価イオンスラリーは、全体としての引張特性を改善し、組成物が粘土を含むかどうかに関係なく、組成物の最大引張強度をほぼ倍にした(実施例7を実施例6と比較する)。同様に、粘土含有組成物、またはナノ複合材分散液へのCa2+を含む多価イオンスラリーの添加も、ナノ複合材の全体としての引張特性を大いに改善した(実施例8を3と比較する)。実施例1のような本発明のいくつかの実施形態では、ナノ複合材の最大引張強度は、実施例7のように、粘土なし、Ca2+スラリーの添加なしの同様のポリマーのもののおおむね5.5倍である。
【0115】
図1は、表Iの種々のポリマーまたはナノ複合材組成物についての引張強度(psi)対伸び率を示す。図1が示すとおり、Ca2+スラリーの形態での粘土および第二の陽イオンの両方を含む場合には、強度/伸び曲線の高い最初の勾配によって立証されるとおり、この構成要素の一方または両方を欠くポリマーよりいっそう高い弾性率の材料を生じた。
【0116】
実施例9
エマルションベースのポリマー組成物並びに、同じポリマーおよびNa2+クロイサイト粘土を含む2つのナノ複合材組成物を、本発明の方法によって調製した。「ナトリウムクロイサイト」は、テキサス州ゴンザレス(Gonzales,Texas)のサザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)から入手可能なナトリウム・モンモリロナイト粘土についての商品名である。図2は、これらの組成物についての引張強度(psi)対伸び率の図示代表例を提供する。図2に表示されるナノ複合材組成物は、重合可能な極性モノマーまたは酸を添加する順で異なる。図2では、円によって表されるナノ複合材、および四角によって表されるポリマーは、標準の酸添加により、すなわち、重合可能な酸の全てが、モノマーエマルションに添加される。対照的に、三角形によって表されるナノ複合材は、酸の半分が、粘土分散液に添加され、酸の半分が、モノマーエマルションに添加される段階的酸アプローチを表す。図2が示すとおり、酸の段階的添加が行われたナノ複合材は、標準酸添加アプローチに従ったポリマーまたはナノ複合材よりいっそう高い弾性率を示した。
【0117】
実施例10−マグネシウム実施例(マグネシウム/MAA/Na2CO3添加順で2%粘土−均質化なし)
水性ナノ複合材分散液を、以下の方法を介して合成した:空の反応器ケトルに、612.00gのDI水、5.08gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、および20.40gのモンモリロナイト粘土(Na+形態)を充填した。混合物を、85℃に加熱し、その後、5.00gのDI水中の1.45g量のMg(OH)2を添加した:その後、ケトルに、7.55gのメタクリル酸を充填し、続いて3.10gの炭酸ナトリウムを充填した(発泡が観察された)。別個の容器に、426.60gの水、36.90gの陰イオン性界面活性剤(30%水性溶液)、662.00gのブチルアクリレート、342.70gのメチルメタクリレート、および7.55gのメタクリル酸を含むモノマーエマルションを形成した。55.80g量のモノマーエマルションをケトルに添加して、ポリマーシードを形成した。その後、4.03gの過硫酸アンモニウム(28g水中に溶解された)を添加して、重合を開始した。モノマーエマルションを、85℃の反応器温度が維持されるようにケトルに供給した。モノマー供給が完了した後、バッチを65℃に冷却し、65℃に達すると、5.58gの硫酸第一鉄(0.15%水性)を反応器に添加した。その後、20.00gの水中の1.12g量の70%tert−ブチルヒドロペルオキシドを、20.00gの水中の0.56g量のイソアスコルビン酸と一緒に添加した。温度を45℃より下に下げた。バッチのpHを、水酸化アンモニウム(28%水性)を用いて7.5に上昇させ、殺細菌剤(6.20g水を用いた、4.77gのケーソンLX(KATHON LX)(1.4%水性))を添加した。サンプルを、100メッシュのスクリーンを通して濾過させて、すべての凝集物の大きな片を除去した。
【0118】
実施例11
(カルシウム/MAA/Na2CO3添加順で5%粘土)
5%PGV粘土を使用した以外は、実施例1の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。実施例11のナノ複合材またはポリマーを、未配合被覆剤のサンプルフィルムに作成し、表Iおよび図1に示される方法に従って、最大引張強度の引張特性について試験した。結果として生じた引張強度は、506psiであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、294センチポイズであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、陽イオン交換の工程を含むか、または改質されない水性ナノ複合材分散液に比較して低かった(下記実施例12参照)。
【0119】
実施例12
(5%PGV;添加Ca2+なし)
5%PGV粘土を使用した以外は、実施例8の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。実施例12のナノ複合材またはポリマーを、未配合被覆剤のサンプルフィルムに作成し、表Iおよび図1に示される方法に従って、最大引張強度の引張特性について試験した。結果として生じる引張強度は、108.7psiであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、2300センチポイズであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、陽イオン交換の工程を含むか、または改質された水性ナノ複合材分散液に比較して高かった(上記実施例11参照)。
【0120】
参考例13
ラテックスを、以下の方法を介して合成した:空の反応器ケトルに、436.00gのDI水、5.08gの陰イオン性界面活性剤(30%水性溶液)、および3.10gの炭酸ナトリウムを充填した。626.60gの水、36.90gの陰イオン性界面活性剤(30%水性溶液)、654.67gのブチルアクリレート、350.00gのメチルメタクリレート、および15.10gのメタクリル酸を含むモノマーエマルションを形成した。ケトル内容物を85℃に加熱した。55.80g量のモノマーエマルションを、ケトルに添加して、ポリマーシードを形成した。その後、4.03gの過硫酸アンモニウム(28g水中に溶解された)を添加して、重合を開始した。モノマーエマルションを、85℃の反応器温度が維持されるようにケトルに供給した。モノマー供給が完了した後、バッチを65℃に冷却し、65℃に達すると、5.58gの硫酸第一鉄(0.15%水性)を反応器に添加した。その後、20gの水中の1.12g量の70%tert−ブチルヒドロペルオキシドを、20.00gの水中の0.56g量のイソアスコルビン酸と一緒に添加した。温度を45℃より下に下げた。バッチのpHを、水酸化アンモニウム(28%水性)を用いて、7.5に上昇させ、殺細菌剤(6.20g水を用いた、4.77gのケーソンLX(KATHON LX)(1.4%水性))を添加した。サンプルを、100メッシュのスクリーンを通して濾過させて、すべての凝集物の大きな片を除去した。
【0121】
実施例14
(カルシウム/MAA/Na2CO3/Na2S2O4添加順で2%粘土)
十分量の還元体ヒドロ亜硫酸ナトリウムを、水性溶液中で、反応器に添加して、粘土サンプルケトル内の鉄の全てをFeII形態に還元する以外は、実施例11の重合方法によって水性ナノ複合材分散液を調製した。反応器の内容物を、還元体溶液の添加の後に、10分間攪拌した;鉄還元を示す緑/灰色への色の変化が観察された。生じたナノ複合材を、未配合被覆剤のサンプルフィルムに作成し、表Iおよび図1に示される方法に従って、最大引張強度の引張特性について試験した。結果として生じる引張強度は、44.0psiであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、428センチポイズであった。水性ナノ複合材分散液の粘度は、陽イオン交換の工程を含むか、または改質されない水性ナノ複合材分散液に比較して低かった(上記実施例12参照)。
【0122】
実施例15(カルシウム/MAA/Na2CO3/Na2S2O4添加順で5%粘土)
水性ナノ複合材、粘土ポリマー分散液を、以下の方法を介して合成する:空の反応器ケトルに、612.00gの脱イオン(「DI」)水、5.08gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、および20.40gのPGVナトリウムモンモリロナイト粘土(Na+形態)を充填する。混合物を85℃に加熱し、その後、5.00gのDI水中の1.84g量のCa(OH)2を添加した。ケトルに、酸含有モノマーの半分、または7.55gのメタクリル酸を充填し、続いて3.10gの緩衝剤、炭酸ナトリウムを添加し、その結果、発泡が観察される。別個の容器に、426.60gの水、36.90gの極性界面活性剤(30%水性溶液)、662.00gのブチルアクリレート、342.70gのメチルメタクリレート、および7.55gのメタクリル酸を含むモノマーエマルションを形成した。55.80g量のモノマーエマルションをケトルに添加して、ポリマーシードを形成した。その後、4.03gの過硫酸アンモニウム(28g水中に溶解された)を添加して、重合を開始した。3つの部分的に分けられた入口を通して、65℃の反応器温度が維持されるように、モノマーエマルションを、40gの水中の2.0gの70%tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液、および40gの水中の2gのイソアスコルビン酸と一緒にケトルに供給する。モノマー供給が完了した後に、5.58g硫酸第一鉄(0.15%水性)を反応器に添加する。その後、20.00gの水中の1.12g量の70%tert−ブチルヒドロペルオキシドを、20.00g水中の0.56g量のイソアスコルビン酸と一緒に添加する。温度を45℃より下に下げる。バッチのpHを、水酸化アンモニウム(28%水性)を用いて7.5に上昇させ、殺細菌剤(6.20g水を用いた、4.77gのケーソンLX(KATHON LX)(1.4%水性))を、添加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表Iの種々のポリマーまたはナノ複合材組成物についての引張強度(psi)対伸び率を示す。
【図2】 これらの組成物についての引張強度(psi)対伸び率を示す。
Claims (10)
- 少なくとも1つの第一のエチレン性不飽和モノマーを供給する工程、
少なくとも部分的に剥離した粘土、および任意に、少なくとも1つの第二のエチレン性不飽和モノマーを含む水性粘土分散液を供給する工程であって、前記粘土が、第一の交換可能な陽イオンを有する工程、
前記水性粘土分散液に多価陽イオンを添加する工程であって、該多価陽イオンの少なくとも一部が、第一の陽イオンの少なくとも一部と交換して、改質された水性粘土分散液を形成する工程、
前記第一のエチレン性不飽和モノマーと、前記改質された水性粘土分散液を合せる工程、および
前記第一のモノマーの少なくとも一部、または前記第一および第二のモノマーの少なくとも一部を重合させて、水性ナノ複合材分散液を形成する工程、
とを含み、
ここで、少なくとも1つの前記第一または第二のエチレン性不飽和モノマーが部分的にまたは完全に負の電荷を有するモノマーを含む、
水性ナノ複合材分散液を製造する方法。 - 第一または第二のいずれかの少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、前記多価陽イオンを添加する前に重合される請求項1に記載の方法。
- 第一または第二のいずれかのエチレン性不飽和モノマーが、前記多価陽イオンを添加する後に重合される請求項1に記載の方法。
- 部分的にまたは完全に負の電荷を有する前記モノマーが、酸含有モノマーを含む請求項1に記載の方法。
- 50重量%以下の酸含有モノマーが、前記水性粘土分散液内に存在し、残りの酸含有モノマーが、前記第一のエチレン性不飽和モノマーまたは前記水性粘土分散液を構成する請求項4に記載の方法。
- 前記酸含有モノマーが、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、スチレンスルホン酸、エチルメタクリレート−2−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;ホスホエチルメタクリレート;酸含有モノマーの対応する塩;およびこれらの組合せから成る群から選択される請求項4に記載の方法。
- 粘土が、スメクタイト、フィロシリケート、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、モントロナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、バーミキュライト、カオリナイト、ハロサイト、合成フィロシリケート、およびそれの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記多価陽イオンが、2価または3価の陽イオンを含む請求項1に記載の方法。
- 粘土が、界面活性剤により少なくとも部分的に疎水的に改質される請求項1に記載の方法。
- 粘土分散液が、酸化還元活性多価金属イオンを含む請求項1に記載の方法。
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