JP3911073B2 - コンクリ−ト杭およびその遠心成形用型枠 - Google Patents
コンクリ−ト杭およびその遠心成形用型枠 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、螺旋状のつばを有するコンクリート杭およびこれを製造するための遠心成形用型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
杭基礎を構築するための基礎杭として用いられるコンクリート杭の一つに、円筒状の本体とその周囲を螺旋状に取り巻くつばとを有するものがある。
【0003】
従来、このつば付きのコンクリート杭の形成について、つばを有しない円筒状のコンクリート杭と同様、互いに突き合わされた一対の半円筒状体(半割体)からなるいわゆる二つ割りの型枠を用いる遠心成形によって行うことが提案されていた。しかし、つば付きのコンクリート杭の成形においては、つばなしのコンクリート杭の遠心成形とは異なり、前記型枠とその内部に成形された成形体におけるつばとの間に、180度の角度的間隔をおいて生じる相互干渉(引掛り)のため、脱型の際、前記成形体から各半割体を引き剥がすことができないという問題があった。
【0004】
このような事情のもと、つば付きコンクリート杭のための遠心成型用型枠として、周方向に関して等分割された4つの枠体を有する遠心成形用型枠(特公昭60−29608号参照)が提案された。
【0005】
この型枠によれば、遠心成形の後、前記4つの枠体のうちの互いに相対する2つの枠体は成形体の軸線と直角な方向へ移動させることにより前記成形体から分離することができる。他方、前記干渉位置に位置する他の2つの枠体は、それぞれ、前記軸線に対して非直角の方向へ移動させることにより前記成形体から分離することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、二対の枠体を前記直角方向および非直角方向のそれぞれに移動させて行う脱型作業には時間と労力とを要し、また、二対の枠体の組立作業にも時間と労力とを要するという問題があり、このために、前記コンクリート杭の製造能率は低く、その向上が望まれていた。
【0007】
したがって、本発明の目的は螺旋状のつばを有するコンクリート杭の製造能率を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンクリート杭は、円筒状の周面を有する本体と該本体を取り巻くつばとを有し、該つばは台形または三角形の横断面形状を取り得る。前記コンクリート杭のつばは、前記本体の周面上を伸びる螺旋からなる2つの底縁と、前記本体と同軸の仮想円筒面上を螺旋状に伸びる2つ(台形の断面形状を有する場合)または1つ(三角形の断面形状を有する場合)の頂縁とにより規定された二つの側面を有する。本発明の特徴は、前記本体の軸線を含む基準縦断面と平行な任意の縦断面内において、前記本体の軸線に直交しかつ各側面に相対する各横断面から前記底縁までの軸線方向距離が前記頂縁までの軸線方向距離より小さいことにある。
【0009】
前記つばの頂縁は、交互に連なる螺旋部と非螺旋部とからなる。前記非螺旋部は、前記任意の縦断面内における、各横断面から前記底縁までの軸線方向距離(Z0)と各横断面から前記螺旋部の延長までの距離(Z1)との差(Z0-Z1) の絶対値の大きさを軸線方向距離として前記仮想円筒面上を前記螺旋部の延長線から他の底縁の側へ隔てた点を含む。距離(Z0-Z1) の差は、式(P/360)・[ θ0 - sin−1{(r0/r1) ・ sin θ0}] - aで表わされる。ここで、Pは前記つばのピッチ、θ0 は前記基準縦断面から前記任意の縦断面と前記つばの底縁との交点までの前記軸線の周りの角度、r0は前記軸線から前記交点までの距離、r1は前記軸線から前記任意の縦断面と前記螺旋部の延長線との交点までの距離であり、また、aは前記基準断面内に置ける前記底縁および頂縁間の軸線方向距離である。
【0010】
前記台形状および前記三角形状の断面のつばを有するコンクリート杭の遠心成形用型枠は、それぞれ、半円筒状の2つの外枠と、各外枠内に配置されかつ該外枠に固定された1または複数の内枠部材からなる内枠とを備え、両外枠および両内枠の双方、または前記内枠のみが前記コンクリート杭の表面すなわち前記本体の周面と、前記つばの周面および両側面とを規定する。
【0011】
【発明の作用および効果】
本発明によれば、前記基準縦断面と平行な任意の縦断面内において、前記つばの各側面と相対する各横断面から当該側面を規定する底縁までの軸線方向距離が当該横断面から当該側面を規定する頂縁までの軸線方向距離以下であることから、コンクリート杭をその軸線と直角な方向から見たとき、前記つばの頂縁のいずれの箇所も前記底縁から前記横断面の側に位置しない。このため、本発明のコンクリート杭は、従来における型枠と成形品との間の相互干渉の原因、すなわち前記つばの頂縁の一部が前記底縁よりも前記横断面の側に位置することとなる外形を有しない。
【0012】
このことから、本発明のコンクリート杭は、いわゆる二つ割りの型枠すなわち半円筒状の2つの外枠と、各外枠内に配置されかつ固定された1または複数の内枠部材からなる内枠とを有する本発明に係る遠心成形用型枠を用いての製造が可能であり、また、各外枠およびこれと一体の各内枠とをこれらの軸線に対して直角な方向へ移動しての脱型が可能である。また、前記型枠は、前記内枠と一体である2つの外枠を互いに突き合わせることにより組み立てることができるため、型枠の組立および脱型の各作業を短時間でまた容易に行うことができ、これにより、つばを有するコンクリート杭の製造能率を高めることができる。
【0013】
前記コンクリート杭の表面は、その成形の際、各外枠および前記内枠の双方により、または前記内枠のみにより規定される。
【0014】
前記コンクリート杭のつばの頂縁は、前記仮想円筒面上を交互に連なる螺旋部と非螺旋部とからなる。前記非螺旋部は、前記任意の縦断面内における、前記各横断面から前記底縁までの軸線方向距離(Z0)と前記各横断面から前記螺旋部の延長までの距離(Z1)との差(Z0-Z1)の絶対値の大きさを軸線方向距離として前記仮想円筒面上を前記螺旋部の延長線から他の底縁の側へ隔てた点の集合として定めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、コンクリート杭10と、コンクリート杭10を遠心成形するために用いられた脱型状態の遠心成形用型枠12とが示されている。
【0016】
コンクリート杭10は、円筒状の本体13と、該本体を螺旋状に取り巻く、台形の断面形状を有するつば14とを備える。コンクリート杭10については後に詳述する。
【0017】
型枠12は、半円筒状の上下一対の外枠15と、各外枠15内に配置されかつ該外枠に固定された内枠16とを有する。
【0018】
図2〜図4に示すように、両外枠15は、両外枠15を互いに突き合わせることにより、円筒状に組み立てられる。
【0019】
また、各内枠16は、外枠15の軸線方向に互いに間隔をおいて配置されかつ該外枠に溶接され各外枠15の内周面に沿って螺旋方向へ伸びる複数の内枠部材18からなる。両外枠15が円筒状に組み立てられるとき、両内枠16の内枠部材18の端部同士が互いに突き合わされ、これにより両内枠16が螺旋状を呈するように組み立てられる。
【0020】
各内枠部材18は全体に台形の断面形状を有し、また、各外枠15の内周面から該外枠の軸線側である内方へ張り出しており、コンクリート杭10の成形の際、該コンクリート杭の表面の一部である本体13の外周面19(図1参照)およびつば14の両側面20,21を規定する。また、内枠部材18相互間にあって螺旋状に伸びる外枠15の内周面15aの一部が、コンクリート杭10の表面の残りの一部であるつば14の頂面22を規定する。
【0021】
図示の例では、両外枠15と両内枠16とが互いに共同して成形体であるコンクリート杭10の表面を規定する。これに代えて、両内枠のみで前記成形体の表面を規定するようにすることができる。この場合には、各内枠における各内枠部材がさらにコンクリート杭10の頂面22を規定する部分を有し、これらの内枠部材は前記外枠の軸線方向に互いに接して配置される。各内枠の互いに接する前記内枠部材は、個々に分割されていない一体のものとすることができる。
【0022】
両外枠15は、コンクリート杭10の遠心成形に先立ち、複数のボルト23と複数のナット24との螺合により、互いに解除可能に締結される。ボルト23は一方(上方)の外枠15の各側部に固定され該側部に沿って伸びるアングル25に設けられた孔(図示せず)に通され、また、ナット24は他方(下方)の外枠15の各側部に固定され該側部に沿って伸びるアングル26に設けられた孔(図示せず)と整合するように該アングルに固定されている。ナット24が固定された下方のアングル26には該アングルと上方のアングル25との間の隙間を埋める鋼板27が張り付けられている。各鋼板27には各ボルト23を通すための孔(図示せず)が設けられている。
【0023】
コンクリート杭10の遠心成形は、両外枠15の相互締結に先立ち、一方の外枠15内にコンクリート(図示せず)を投入し、その後、型枠12をその軸線の周りに回転させることにより行われる。型枠12にはリング状の鉄輪からなる複数のタイヤ28が設けられており、型枠12はタイヤ28を介して複数対の回転駆動ローラ(図示せず)上に載置される。前記駆動ローラの回転に伴い、型枠12はタイヤ28と共にその軸線の周りに回転され、遠心成形が行われる。
【0024】
型枠12には、さらに、コンクリート杭10にプレストレスを導入するために配置される複数のPC鋼材(図示せず)を緊張させ、該緊張状態を維持するための緊張維持手段30が設けられている。緊張維持手段30は、両外枠15の一方(右方)の端部に配置された2つ割りの円板状の口金32と、両外枠15の他方(左方)の端部に配置された2つ割りの環状の板部材からなる定着板34とを含む。口金32および定着板34は、それぞれ、両外枠15の両端部にそれぞれ設けられた一対のフランジ36に固定されている。
【0025】
緊張維持手段30は、さらに、口金32の中央部を貫通しかつ型枠12の軸線方向へ伸びるテンションバー38と、型枠12内に配置されかつテンションバー38の一端に固定された緊張板40とを備える。口金32に対するテンションバー38の前記軸線方向への移動により、前記PC部材を緊張させまたこれを解除することができる。テンションバー38の他端部にはナット42が螺合されており、該ナットの口金32に対する当接により、型枠12内の緊張板40の前記軸線方向位置、したがって緊張状態が維持される。緊張板40は、両外枠15の内部に配置されかつ該外枠に固定された筒状の2つ割りの案内部材44に接しており、テンションバー38を軸線方向へ移動させるとき、案内部材44の円筒面に沿って移動する。図示の例では、案内部材44とこれに隣接する内枠部材18とが1の板材を折り曲げて形成されている。
【0026】
緊張板40には、二つ割りのリング46を介して、前記成形体の一方(図上右方)の端面を規定するための環状の端板48が連結されている。前記成形体の他方の端面を規定するための環状の端板50は、フランジの一方(図上左方)に解除可能に保持されている。前記PC鋼材は、その両端部において、両端板48,50に固定され該端板を前記軸線方向へ貫通する複数の定着部材52を介して両端板48,50にそれぞれ固定されている。したがって、テンションバー38を前記軸線方向へ移動させることにより、前記PC鋼材に引張り力を与えることができる。
【0027】
再び図1を参照すると、コンクリート杭10のつば14の両側面20,21は、本体13の外周面19上を伸びる螺旋からなる2つの底縁54,56と、本体13と同軸でありかつ外周面19より大径の仮想円筒面上を螺旋状に伸びる2つの頂縁58,60とにより規定され、また、円筒面の一部からなる頂面22は両頂縁58,60により規定されている。
【0028】
本発明のコンクリート杭10にあっては、本体13の軸線61を含む基準縦断面Aと平行な任意の縦断面内A1 における、本体の軸線61に直交しかつ一方の側面20に相対する横断面Bから該側面を規定する底縁54までの軸線方向距離L1 が横断面Bから側面20を規定する頂縁58までの軸線方向距離L2 以下(L1 ≦L2 )に設定されている。この関係は、もう一方の側面21に相対する他の横断面(図示せず)と、側面21を規定する底縁56および頂縁60との間のそれぞれの軸線方向距離についても同様である。
【0029】
ところで、螺旋のみからなる頂縁を有する従来のつば付きコンクリート杭の場合、脱型の際に支障をきたすこととなる原因は、各頂縁の一部(後記螺旋部62,64の延長に相当する部分)が各縦断面内において各底縁の一部よりも各横断面に近接し、各横断面に向けて張り出していることにある。
【0030】
本発明のコンクリート杭10にあっては、前記両軸線方向長さの関係についてL1 ≦L2 としたことから、図上においてこれを上方からすなわち本体13の軸線61に直角な方向から見たとき、各頂縁58,60が各底縁54,56から張り出す部分はない。このため、脱型の際におけるコンクリート杭10の成形体と型枠12との間に引掛かりすなわち相互干渉が生じることはなく、したがって、各外枠15およびこれに固定された各内枠16を軸線61と直角な方向へ移動して、前記成形体から引き剥すことができる。これにより、つばを有しないコンクリート杭の成形におけると同様、短時間でまた少ない労力で脱型することができる。また、このいわゆる2つ割りの型枠12は、短時間でかつ少ない労力で組み立てることができる。
【0031】
前記L1 ≦L2 なる関係を得るため、図示の例では、各頂縁58,60が、それぞれ、交互に連なる複数の螺旋部62,64と複数の非螺旋部66,68とからなる。各螺旋部62,64は螺旋の一部からなり、また、各非螺旋部66,68は非螺旋の曲線からなり、各非螺旋部66,68は本体13の軸線61の周りに180度の角度的間隔をおいてあらわれる。
【0032】
各非螺旋部66,68の位置およびその曲線の形態は、次のようにして定めることができる。まず、図5を参照して、次に掲げる符号を以下のように定義する。
【0033】
A:軸線61を含む基準縦断面
A1 ,A2 :基準縦断面Aと平行な任意の縦断面
B1 :軸線61に直交する横断面であって、つば14の側面20に相対する横断面
B2 :軸線61に直交する横断面であって、つば14の側面21に相対する横断面
Z0 :縦断面A1 内における、横断面B1 から底縁54までの軸線方向距離、または、縦断面A2 内における、横断面B2 から底縁56までの軸線方向距離
Z1 :縦断面A1 内における、横断面B1 から頂縁58の螺旋部62またはその延長70までの軸方向距離、または、縦断面A2 内における、横断面B2 から頂縁60の螺旋部64またはその延長74までの軸方向距離
θ0 :基準縦断面Aから任意の縦断面A1 と底縁54との交点q0 までの軸線61の周りの角度、または、基準縦断面Aから任意の縦断面A2 と底縁56との交点q0 までの軸線61の周りの角度(0≧θ0 ≧180)
θ1 :基準縦断面Aから任意の縦断面A1 と螺旋部62またはその延長70との交点q1 までの軸線61の周りの角度、または、基準縦断面Aから任意の縦断面A2 と螺旋部64またはその延長74との交点q1 までの軸線61の周りの角度(0≧θ1 ≧180)
a:基準縦断面A内における底縁54と螺旋部62またはその延長70との間の軸線方向距離、または、基準縦断面A内における底縁56と螺旋部64またはその延長74との間の軸線方向距離
P:つば14のピッチ
【0034】
図5を参照すると、軸線距離Z0 およびZ1 は、それぞれ、Z0 =(P/360)・θ0 、および、Z1 =a+(P/360)・θ1 である。ここで、軸線61から交点q0 ,q1 までの距離(半径)をそれぞれr0 (つば14の半径),r1 (本体13の外周面の半径)とすると、r1 ・ sinθ1 =r0 ・ sinθ0 である。この関係から、Z0 −Z1 =(P/360)・{ θ0 - sin-1(r0 /r1 ・ sin θ0)} - aなる式が導かれる。
【0035】
ここで、前記L1 ≦L2 なる関係が満たされるための条件は、Z0 −Z1 ≦0である。したがって、この条件を充足しないθ0 の角度範囲に非螺旋部66が設けられる。また、非螺旋部66を規定する曲線は、Z0 −Z1 の絶対値の大きさを軸線方向距離として頂面22すなわち前記仮想円筒面上を点q1 から他方の底縁56または他方の側面21の側へ隔てた点q2 の集合からなる。非螺旋部66と底縁54とが規定する側面部分72(斜線を付した部分)は、各縦断面A1 内にあって非螺旋部66上の各点q2 から底縁54に伸びる直線を含む。また、非螺旋部68と底縁56とが規定する側面部分73(斜線を付した部分)は、各縦断面A2 内にあって非螺旋部68上の各点q2 から底縁56に伸びる直線を含むむ。
【0036】
例えば、r0 =40cm、r1 =50cm、P=57.3cmおよびa=2.89cmのコンクリート杭の場合、前記式から、Z0 −Z1 >0である角度範囲は、ほぼ155°≧θ0 ≧180°である。
【0037】
非螺旋部66を設けることは、実質的に、つば14の一部の厚さ寸法すなわち両側面20,21間の距離を減少させることになる。しかし、前記した具体例におけるZ0 −Z1 の最大値は約3cmであり、つば14の強度を損なうほどのものではない。また、非螺旋部66を規定する前記曲線は、前記軸線方向に関して、点q2 からさらに他方の側面21の側に位置するように設定することができる。
【0038】
他方の頂縁60についても、頂縁58におけると同様にして、非螺旋部68を定めることができる。説明の重複を避けるため、任意の縦断面および横断面を除き、頂縁58に関して使用した符号と同じ符号を付すに止め、その詳細を省略する。なお、図示の例では、符号aの値が両側面20,21の側において同一であるが、これに限らず、異なる値であってもよい。異なる値の場合、両側面20,21は異なる傾斜角度を有する。
【0039】
図示の例では、型枠12、特に内枠16の製作の便宜のためあるいは製作を容易にするため、非螺旋部66,68の終点すなわち基準縦断面Aから時計回りに180度を隔てた点が両外枠15または両内枠16の相互突き合わせ面内にあるように設定されている。しかし、これに代えて、前記突き合わせ面が非螺旋部66,68の始点および終点間にあってもよい。
【0040】
次に、図6〜図9を参照すると、前記つばの断面形状が三角形であるコンクリート杭80と、該コンクリート杭を遠心成形するために用いられる型枠82とが示されている。
【0041】
コンクリート杭80は、そのつば84の形状が異なることを除き、図1〜図5に示すコンクリート杭10と同様である。また、遠心成形用型枠82は、コンクリート杭80の表面の一部またはその全部を規定する内枠86の形状を除き、図1〜図4に示す型枠12と同様である。したがって、コンクリート杭80およびその型枠82については、相違点についてのみ説明し、共通点については、コンクリート杭10およびその遠心成形用型枠12の説明に用いたと同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、各内枠86は、外枠15の軸線方向に互いに間隔をおいて配置されかつ該外枠に溶接され各外枠15の内周面に沿って螺旋方向へ伸びる複数の内枠部材88からなる。両外枠15が円筒状に組み立てられるとき、両内枠86の内枠部材88の端部同士が互いに突き合わされ、これにより両内枠86が螺旋状を呈するように組み立てられる。
【0043】
各内枠部材88は全体に台形の断面形状を有し、各外枠15の内周面から該外枠の内方へ張り出している。これらの内枠部材88は、コンクリート杭80の成形の際、該コンクリート杭の表面の一部である本体13の外周面19(図6参照)およびつば14の両側面90,92を規定する。また、内枠部材88相互間を螺旋状に伸びる外枠15の内周面15bの一部が、コンクリート杭10の表面の残りの一部であるつば14の頂部95を規定する。
【0044】
図示の例では、両外枠15と両内枠86とが互いに共同して成形体であるコンクリート杭80の表面を規定する。これに代えて、両内枠86のみで前記成形体の表面を規定するようにすることができる。この場合、各内枠における各内枠部材がさらにコンクリート杭80の頂部95を規定する部分を有し、これらの内枠が同士が互いに接して配置される。互いに接するこれらの内枠部材は、個々に分割されていない一体のものとすることができる。
【0045】
図6を参照すると、コンクリート杭80のつば84の両側面90,92は、本体13の外周面19上を伸びる螺旋からなる2つの底縁94,96と、本体13と同軸でありかつ外周面19より大径の仮想円筒面上を螺旋状に伸びる一つの頂縁からなる頂部95とにより規定されている。
【0046】
コンクリート杭80のつば84についても、本体13の軸線61を含む基準縦断面Aと平行な任意の縦断面内A1 における軸線方向距離L1 ,L2 が次のような関係に設定されている。すなわち、本体の軸線61に直交しかつ一方の側面90に相対する横断面Bから該側面を規定する底縁94までの軸線方向距離L1 が、横断面Bから側面90を規定する頂縁95までの軸線方向距離L2 以下(L1 ≦L2 )に設定されている。この関係は、もう一方の側面92に相対する他の横断面と、該側面を規定する底縁96および頂縁95との間のそれぞれの軸線方向距離についても同様である。
【0047】
コンクリート杭80においても、L1 ≦L2 としたことから、本体13の軸線61に直角な方向から見たとき、頂縁95が各底縁94,96から張り出す部分を有しない。このため、脱型の際におけるコンクリート杭80の成形体と型枠82との間に引掛かりが生じることはなく、各外枠15およびこれに固定された各内枠86を軸線61と直角な方向へ移動して、前記成形体から引き剥すことができる。これにより、つばを有しないコンクリート杭の成形におけると同様、短時間でまた少ない労力で脱型することができ、また、この2つ割りの型枠82を短時間でかつ少ない労力で組み立てることができる。
【0048】
コンクリート杭80における前記L1 ≦L2 なる関係を得るため、コンクリート杭10におけると同様、頂縁95が、それぞれ、複数の螺旋部98,100と複数の非螺旋部102,104とからなる。各螺旋部98,100は螺旋の一部からなり、また、各非螺旋部102,104は非螺旋の曲線からなる。この例では、両螺旋部98,100が互いに連なり、また、両非螺旋部102,104が互いに連なっている。したがって、螺旋方向に関して、両螺旋部98,100と、両非螺旋部102,104とが交互にあらわれる。
【0049】
各非螺旋部102,104の位置およびその曲線の形態も、また、コンクリート杭12におけるとほぼ同様にして定めることができる。このことを説明するため、同様に、図10を参照して、次に掲げる符号を以下のように定義する。
【0050】
A:軸線61を含む基準縦断面
A1 ,A2 :基準縦断面Aと平行な任意の縦断面
B1 :軸線61に直交する横断面であって、つば84の一方の側面90に相対する横断面
B2 :軸線61に直交する横断面であって、つば84の他方の側面92に相対する横断面
Z0 :縦断面A1 内における、横断面B1 から底縁94までの軸線方向距離、または、縦断面A2 内における、横断面B2 から底縁96までの軸線方向距離
Z1 :縦断面A1 内における、横断面B1 から頂縁の螺旋部98またはその延長106までの軸方向距離、または、縦断面A2 内における、横断面B2 から頂縁の螺旋部100またはその延長108までの軸方向距離
θ0 :基準縦断面Aから縦断面A1 と底縁94との交点q0 までの軸線61の周りの角度、または、基準縦断面Aから縦断面A2 と底縁96との交点q0 までの軸線61の周りの角度(0≧θ0 ≧180)
θ1 :基準縦断面Aから縦断面A1 と螺旋部98またはその延長106との交点q1 までの軸線61の周りの角度、または、基準縦断面Aから縦断面A2 と螺旋部100またはその延長108との交点q1 までの軸線61の周りの角度(0≧θ1 ≧180)
a:基準縦断面A内における底縁94と螺旋部98またはその延長106との間の軸線方向距離、または、基準縦断面A内における底縁96と螺旋部100またはその延長108との間の軸線方向距離
P:つば84のピッチ
【0051】
前記L1 ≦L2 なる関係が満たされるための条件は、コンクリート杭10におけると同様、Z0 −Z1 ≦0であり、この条件を充足しないθ0 の角度範囲が非螺旋部102の範囲および非螺旋部104の範囲である。また、各非螺旋部を規定する曲線は、Z0 −Z1 の絶対値の大きさを軸線方向距離として前記仮想円筒面上を点q1 から他方の底縁または他方の側面の側へ隔てた点q2 の集合からなる。非螺旋部102と底縁94とが規定する側面部分(斜線を施した部分)110は、各縦断面A1 内における、非螺旋部102上の各点q2 から底縁94に伸びる直線を含み、また、非螺旋部104と底縁96とが規定する側面部分(斜線を施した部分)112は、各縦断面A1 内における、非螺旋部104上の各点q2 から底縁96に伸びる直線を含む。
【0052】
この例においても、内枠86の製作の便宜のため、非螺旋部102,104の終点すなわち基準縦断面Aから時計回りに180度を隔てた点が両外枠15または両内枠86の相互突き合わせ面内にあるように設定されている。しかし、これに代えて、前記突き合わせ面が非螺旋部102,104の始点および終点間にあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】台形の横断面形状を有するコンクリート杭と、脱型状態の型枠とを示すこれらの正面図である。
【図2】型枠の縦断面図である。
【図3】図2の線3−3に沿って得た横断面図である。
【図4】図2の線4−4に沿って得た横断面図である。
【図5】コンクリート杭のつばの非螺旋部の設定方法を説明する図である。
【図6】三角形の横断面形状を有するコンクリート杭と、脱型状態の型枠とを示すこれらの正面図である。
【図7】図6に示すコンクリート杭の遠心成形用型枠の縦断面図である。
【図8】図6の線8−8に沿って得た横断面図である。
【図9】図2の線9−9に沿って得た横断面図である。
【図10】図6に示すコンクリート杭のつばの非螺旋部の設定方法を説明する図である。
【符号の説明】
10,80 コンクリート杭
12 遠心成形用型枠
13,14 コンクリート杭の本体およびつば
15 外枠
16,86 内枠
20,21,90,92 つばの側面
22 つばの頂面
54,56,94,96 底縁
58,60,95 頂縁
61 コンクリート杭の軸線
A,A1 ,A2 軸線を含む縦断面およびこれに平行な任意の縦断面
B,B1 ,B2 軸線に直交する横断面
L1 ,L2 ,Z1 ,Z2 軸線方向距離
Claims (8)
- 円筒状の本体と、前記本体を取り巻くつばであって前記本体の周面上を伸びる螺旋からなる2つの底縁と、前記本体と同軸の仮想円筒面上を螺旋状に伸びる2つの頂縁とにより規定された2つの側面を有するつばとを備えるコンクリート杭であって、前記本体の軸線を含む基準縦断面と平行な任意の縦断面内における、前記本体の軸線に直交しかつ各側面に相対する各横断面から各底縁までの軸線方向距離が各横断面から各頂縁までの軸線方向距離以下である、コンクリート杭。
- 円筒面からなる周面を有する本体と、前記本体を取り巻くつばであって前記本体の周面上を伸びる螺旋からなる2つの底縁と、前記本体と同軸の仮想円筒面上を螺旋状に伸びる1つの頂縁とにより規定された2つの側面を有するつばとを備えるコンクリート杭であって、前記本体の軸線を含む基準縦断面と平行な任意の縦断面内における、前記本体の軸線に直交しかつ各側面に相対する各横断面から各底縁までの軸線方向距離が各横断面から前記頂縁までの軸線方向距離以下である、コンクリート杭。
- 前記頂縁は、交互に連なる複数の螺旋部と複数の非螺旋部とからなる、請求項1または2に記載のコンクリート杭。
- 前記非螺旋部は、前記任意の縦断面内における、各横断面から一方の底縁までの軸線方向距離(Z0)と各横断面から前記螺旋部の延長までの軸線方向距離(Z1)との差(Z0-Z1) の絶対値の大きさを軸線方向距離として前記仮想円筒面上を前記螺旋部の延長から他方の底縁の側へ隔てた点を含み、前記距離の差(Z0-Z1) が式(P/360)・[ θ0 - sin−1 {(r0/r1) ・ sinθ0}] - aで表わされ、ここに、Pは前記つばのピッチ、θ0 は前記基準縦断面から前記任意の縦断面と前記一方の底縁との交点までの前記軸線の周りの角度、r0は前記軸線から前記交点までの距離、r1は前記軸線から前記任意の縦断面と前記螺旋部の延長との交点までの距離であり、また、aは前記基準縦断面内における前記底縁および頂縁間の軸線方向距離である、請求項3に記載のコンクリート杭。
- 請求項1に記載のコンクリート杭を成形するための遠心成形用型枠であって、半円筒状の一対の外枠と、各外枠内に配置されかつ該外枠に固定された1または複数の内枠部材からなる内枠とを含み、両外枠と両内枠とが共同して前記コンクリート杭の表面を規定する、遠心成形用型枠。
- 請求項1に記載のコンクリート杭を成形するための遠心成形用型枠であって、半円筒状の一対の外枠と、各外枠内に配置されかつ該外枠に固定された1または複数の内枠部材からなる内枠とを含み、両内枠が前記コンクリート杭の表面を規定する、遠心成形用型枠。
- 請求項2に記載のコンクリート杭を成形するための遠心成形用型枠であって、半円筒状の一対の外枠と、各外枠内に配置されかつ該外枠に固定された1または複数の内枠部材からなる内枠とを含み、両外枠と両内枠とが共同して前記コンクリート杭の表面を規定する、遠心成形用型枠。
- 請求項2に記載のコンクリート杭を成形するための遠心成形用型枠であって、半円筒状の一対の外枠と、各外枠内に配置されかつ該外枠に固定された1または複数の内枠部材からなる内枠とを含み、両内枠が前記コンクリート杭の表面を規定する、遠心成形用型枠。
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