JP3910676B2 - 型締装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型締装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、溶融させられた樹脂を、射出装置の射出ノズルから射出して金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、固化させることによって成形品を得ることができるようになっている。そして、前記金型装置は、固定金型、該固定金型に対して進退自在に配設された可動金型、及び該可動金型を移動させて前記金型装置の型閉じ、型締め及び型開きを行う型締装置を有する。
【0003】
該型締装置には、油圧シリンダに油を供給することによって駆動される油圧式の型締装置、及び電動機によって駆動される電動式の型締装置があるが、該電動式の型締装置は、制御性が高いだけでなく、クリーンであり、エネルギー効率が高いことから次第に使用されつつある。
この場合、電動機を駆動することによってボールねじを回転させて推力を発生させ、該推力をトグル機構によって拡大し、大きな型締力を発生させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の型締装置においては、トグル機構の特性上、成形中に型締力を変更すると、応答性及び安定性が低下してしまう。
また、トグル機構のトグル倍率特性が、トグル機構のガタ、摩擦、熱膨張等の影響を大きく受けるので、型締力を精度良く発生させることができない。
【0005】
本発明は、前記従来の型締装置の問題点を解決して、成形中に型締力を変更しても応答性及び安定性が低下することがなく、型締力を精度良く発生させることができる型締装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の型締装置においては、固定プラテンと、該固定プラテンに取り付けられた固定金型と、前記固定プラテンと所定の間隔を置いて配設され、固定プラテン及びタイバーによって連結された第1の電磁石を備えた第1の電磁石フレームと、前記固定プラテンと第1の電磁石フレームとの間に架設されたタイバーに沿って進退自在に配設された可動プラテンと、該可動プラテンに取り付けられた可動金型と、前記第1の電磁石と対向させて配設された第2の電磁石を備え、前記固定プラテンと前記第1の電磁石フレームとの間で該第1の電磁石フレームに対して移動自在に配設された第2の電磁石フレームと、型締め時に、前記第1、第2の電磁石間に反発力を発生させる制御装置と、前記可動プラテンと第2の電磁石フレームとを連結し、前記反発力を可動プラテンに伝達する反発力伝達手段とを有する。
【0007】
本発明の他の型締装置においては、さらに、前記反発力伝達手段は、前記第2の電磁石フレームと前記可動プラテンとの間に連結されたリンク機構である。
そして、該リンク機構に、正方向及び逆方向に駆動されて型閉じ及び型開きを行う電動機が連結される。
本発明の更に他の型締装置においては、さらに、前記電動機は前記第2の電磁石フレームに配設される。
本発明の更に他の型締装置においては、さらに、型厚を調整するための型厚調整ナットが前記第1の電磁石フレームに配設される。
本発明の更に他の型締装置においては、さらに、前記制御装置は、型開き時、型閉じ時及び型厚調整時に、前記第1、第2の電磁石間に吸引力を発生させる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における型締装置の第1の状態図、図2は本発明の実施の形態における型締装置の第2の状態図である。
図において、11は固定プラテンであり、該固定プラテン11と所定の間隔を置いて第1の電磁石フレーム13が配設され、前記固定プラテン11と第1の電磁石フレーム13との間に4本のタイバー14(図においては、2本のタイバー14だけを示す。)が架設される。そして、該タイバー14に沿って固定プラテン11と対向させて可動プラテン12が進退(図における左右方向に移動)自在に配設される。
【0009】
また、前記固定プラテン11には固定金型15が、前記可動プラテン12には可動金型16がそれぞれ固定され、前記可動プラテン12の進退に伴って固定金型15と可動金型16とが接離させられる。なお、固定金型15と可動金型16とが接触させられると、固定金型15と可動金型16との間に図示しないキャビティ空間が形成され、図示しない射出装置の射出ノズルから射出された樹脂が前記キャビティ空間に充填される。
【0010】
前記第1の電磁石フレーム13は、前面(図における右面)に第1の電磁石18を備え、該第1の電磁石18は、電磁積層鋼板19、及び起磁力を発生させるコイル21から成る。そして、前記第1の電磁石フレーム13に対して移動自在に第2の電磁石フレーム20が配設される。該第2の電磁石フレーム20は、背面(図における左面)に前記第1の電磁石18と対向させて第2の電磁石22を備え、該第2の電磁石22は、電磁積層鋼板23、及び起磁力を発生させるコイル24から成る。
【0011】
また、第2の電磁石フレーム20の前面には電動機としての減速機付サーボモータ27が固定され、該減速機付サーボモータ27と可動プラテン12との間にはリンク機構としてのシングルトグル式のトグル機構31が連結される。該トグル機構31は、前記減速機付サーボモータ27の出力軸28に固定された第1リンク32、前記可動プラテン12に対して揺動自在に支持された第2リンク33、該第2リンク33の中心軸になるシャフト35、及び前記第1リンク32と第2リンク33とを連結するピン36から成る。したがって、減速機付サーボモータ27を駆動することによってトグル機構31を伸縮させ、可動プラテン12及び可動金型16を進退させて型開き及び型閉じを行うことができる。
【0012】
一方、第1の電磁石フレーム13の背面には型厚調整ナット25が配設され、該型厚調整ナット25と前記タイバー14の後端に形成された型厚調整ねじ14aとがそれぞれ螺(ら)合させられる。また、前記型厚調整ナット25は、軸方向において第1の電磁石フレーム13に拘束され、該第1の電磁石フレーム13と共に移動させられる。したがって、トグル機構31を伸展させ、固定金型15と可動金型16とを接触させた状態で、固定金型15及び可動金型16の厚さに対応させて、図示しないモータ、ギヤ等を介して前記型厚調整ナット25を回転させることによって、型厚を調整することができる。
【0013】
なお、本実施の形態においては、リンク機構としてシングルトグル式のトグル機構31を使用しているが、ダブルトグル式のトグル機構を使用することもできる。また、本実施の形態においては、減速機付サーボモータ27の回転を直接トグル機構31に伝達するようにしているが、プーリーベルト、ボールねじ等の別の伝動手段を使用することもできる。
【0014】
そして、型締め時においては、図示しない制御装置によって前記各コイル21、24に、互いに逆向きの電流が供給される。このとき、前記第1、第2の電磁石18、22が同じ極性になって反発力を発生させ、該反発力は、トグル機構31を介して型締力として可動プラテン12に伝達され、型締めが行われる。なお、型締め時においてトグル機構31は反発力伝達手段として機能する。また、型閉じ時及び型開き時においては、前記制御装置によって、コイル21、24に互いに同じ向きの電流が供給される。このとき、前記第1、第2の電磁石18、22が異なる極性になって吸引力が発生し、該吸引力は前記第1、第2の電磁石18、22が互いに離れない状態にする。この場合、必要な吸引力は、前記型締力に比べて十分小さくてもよい。したがって、前記コイル21、24の一方だけに電流を供給し、第1、第2の電磁石18、22の一方を吸着板として使用することもできる。
【0015】
次に、前記構成の型締装置の動作について説明する。
まず、前記制御装置は、コイル21、24に同じ向きの電流を供給し、吸引力を発生させ、第1、第2の電磁石18、22が互いに離れない状態にするとともに、前記減速機付サーボモータ27を正方向に駆動し、トグル機構31を伸展状態に置いて、型厚調整ナット25を回転させ、第1、第2の電磁石フレーム13、20、可動プラテン12及び可動金型16を前進させて固定金型15と可動金型16とを接触させる。このようにして、型厚を調整することができる。
【0016】
次に、減速機付サーボモータ27を逆方向に駆動し、トグル機構31を収縮状態に置いて、可動プラテン12及び可動金型16を高速で所定位置まで後退させる。このとき、前記制御装置は、コイル21、24に同じ向きの電流を供給して吸引力を発生させ、第1、第2の電磁石18、22が可動プラテン12及び可動金型16の加減速による慣性力によって離れないようにする。
【0017】
続いて、減速機付サーボモータ27を正方向に駆動し、トグル機構31を伸展状態に置いて、可動プラテン12及び可動金型16を前進させる。その結果、図2に示すように、固定金型15と可動金型16とが接触させられ、型閉じが行われる。このとき、前記制御装置は、コイル21、24に同じ向きの電流を供給して吸引力を発生させ、第1、第2の電磁石18、22が可動プラテン12の加減速による慣性力によって離れないようにする。
【0018】
なお、前記可動プラテン12及び可動金型16を前進させるのに必要な力は型締力と比べて十分に小さい。したがって、前記減速機付サーボモータ27に大きな負荷が加わることはない。
次に、前記制御装置は、コイル21、24に逆向きの電流を供給し、前記第1、第2の電磁石18、22を同じ極性にして反発力を発生させる。このとき、トグル機構31は伸展状態に置かれるので、前記反発力はトグル機構31を介して可動プラテン12に型締力として伝達され、可動金型16を固定金型15に押し付け、型締めを行う。この状態は型開きが行われるまで保持される。
【0019】
この場合、前記コイル21、24に供給される電流の値を変更することによって、成形中において型締力を変更することができる。しかも、このとき、応答性及び安定性が低下することはない。
なお、前記反発力をFとし、コイル21、24に供給する電流をIとしたとき、前記第1、第2の電磁石18、22を線形領域で使用すると、反発力Fと電流Iとは次の関係にある。
【0020】
F∝I2
そして、前記反発力Fは、トグル機構31が伸展状態に置かれたときに発生させられるので、トグル機構31のトグル倍率特性が、トグル機構31のガタ、摩擦、熱膨張等の影響を受けることが少なくなる。したがって、型締力を精度良く発生させることができる。
【0021】
続いて、前記キャビティ空間に溶融させられた樹脂が充填され、冷却されて固化すると、前記制御装置によって、コイル21、24に供給されていた電流は遮断され、反発力F及び型締力は無くなる。次に、この状態で減速機付サーボモータ27を逆方向に駆動し、トグル機構31を収縮させると、可動プラテン12及び可動金型16が後退させられる。そして、図1に示すように、固定金型15と可動金型16とが離され、型開きが行われる。このとき、前記制御装置は、コイル21、24に同じ向きの電流を供給して吸引力を発生させ、第1、第2の電磁石18、22が可動プラテン12の加減速による慣性力によって離れないようにする。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、型締装置においては、固定プラテンと、該固定プラテンに取り付けられた固定金型と、前記固定プラテンと所定の間隔を置いて配設され、固定プラテン及びタイバーによって連結された第1の電磁石を備えた第1の電磁石フレームと、前記固定プラテンと第1の電磁石フレームとの間に架設されたタイバーに沿って進退自在に配設された可動プラテンと、該可動プラテンに取り付けられた可動金型と、前記第1の電磁石と対向させて配設された第2の電磁石を備え、前記固定プラテンと前記第1の電磁石フレームとの間で該第1の電磁石フレームに対して移動自在に配設された第2の電磁石フレームと、型締め時に、前記第1、第2の電磁石間に反発力を発生させる制御装置と、前記可動プラテンと第2の電磁石フレームとを連結し、前記反発力を可動プラテンに伝達する反発力伝達手段とを有する。
【0024】
この場合、可動プラテンが前進させられ、固定金型と可動金型とが接触させられ、型閉じが行われた後、第1の電磁石のコイル及び第2の電磁石のコイルに互いに逆向きの電流を供給すると、反発力が発生させられる。このとき、該反発力は反発力伝達手段を介して可動プラテンに型締力として伝達され、可動金型を固定金型に押し付け、型締めを行う。
【0025】
したがって、前記コイルに供給される電流の値を変更することによって、成形中において型締力を変更することができる。しかも、このとき、応答性及び安定性が低下することはない。
【0026】
本発明の他の型締装置においては、さらに、前記制御装置は、型開き時、型閉じ時及び型厚調整時に、前記第1、第2の電磁石間に吸引力を発生させる。
この場合、第1、第2の電磁石が、可動プラテンの加減速による慣性力によって離れることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における型締装置の第1の状態図である。
【図2】本発明の実施の形態における型締装置の第2の状態図である。
【符号の説明】
11 固定プラテン
12 可動プラテン
13 第1の電磁石フレーム
14 タイバー
15 固定金型
16 可動金型
18 第1の電磁石
20 第2の電磁石フレーム
22 第2の電磁石
27 減速機付サーボモータ
31 トグル機構
Claims (5)
- (a)固定プラテンと、
(b)該固定プラテンに取り付けられた固定金型と、
(c)前記固定プラテンと所定の間隔を置いて配設され、固定プラテン及びタイバーによって連結された第1の電磁石を備えた第1の電磁石フレームと、
(d)前記固定プラテンと第1の電磁石フレームとの間に架設されたタイバーに沿って進退自在に配設された可動プラテンと、
(e)該可動プラテンに取り付けられた可動金型と、
(f)前記第1の電磁石と対向させて配設された第2の電磁石を備え、前記固定プラテンと前記第1の電磁石フレームとの間で該第1の電磁石フレームに対して移動自在に配設された第2の電磁石フレームと、
(g)型締め時に、前記第1、第2の電磁石間に反発力を発生させる制御装置と、
(h)前記可動プラテンと第2の電磁石フレームとを連結し、前記反発力を可動プラテンに伝達する反発力伝達手段とを有する型締装置。 - (a)前記反発力伝達手段は、前記第2の電磁石フレームと前記可動プラテンとの間に連結されたリンク機構であり、
(b)該リンク機構に、正方向及び逆方向に駆動されて型閉じ及び型開きを行う電動機が連結される請求項1に記載の型締装置。 - 前記電動機は前記第2の電磁石フレームに配設される請求項2に記載の型締装置。
- 型厚を調整するための型厚調整ナットが前記第1の電磁石フレームに配設される請求項1に記載の型締装置。
- 前記制御装置は、型開き時、型閉じ時及び型厚調整時に、前記第1、第2の電磁石間に吸引力を発生させる請求項1に記載の型締装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02798997A JP3910676B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | 型締装置 |
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JP02798997A JP3910676B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | 型締装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10225938A JPH10225938A (ja) | 1998-08-25 |
JP3910676B2 true JP3910676B2 (ja) | 2007-04-25 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02798997A Expired - Fee Related JP3910676B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | 型締装置 |
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JP (1) | JP3910676B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101327250B1 (ko) * | 2011-09-08 | 2013-11-13 | 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 | 사출성형기 |
-
1997
- 1997-02-12 JP JP02798997A patent/JP3910676B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101327250B1 (ko) * | 2011-09-08 | 2013-11-13 | 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 | 사출성형기 |
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