JP3908150B2 - シリンジポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンジ(注射器)に充填された薬液を、設定された流量で持続的に注出するシリンジポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリンジポンプには、記憶手段と、制御手段と、プランジャー押圧手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。通常、このようなシリンジポンプの記憶手段には、該シリンジポンプが製造されている時点で市販されているシリンジの容量や、シリンジの最大目盛位置からシリンジの先端位置(最小目盛位置)までのプランジャーの移動距離等からなる所定のデータが記憶されている。
【0003】
このようなシリンジポンプは、例えば、以下のように操作する。まず、操作者により入力部からシリンジの容量を入力する。入力された容量は、対応付けされたシリンジのデータを記憶手段から選択するために利用される。選択されたシリンジのデータをもとに、制御手段により、設定された流量でシリンジから薬液を注出するようプランジャー押圧手段を制御しながら、シリンジに挿着されたプランジャーをプランジャー押圧手段により軸線方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を注出する。
【0004】
しかしながら、従来のシリンジポンプでは、シリンジポンプの記憶手段に記憶されているシリンジのデータは、そのシリンジポンプが製造された時点で市販されているシリンジに限定されてしまう。このため、従来のシリンジポンプは、その後に新しく販売されたシリンジや設計変更・改良などにより寸法が変わったシリンジには使用できない不都合があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−316971号公報(第4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記背景を鑑みてなされたものであり、新しく販売されたシリンジや設計変更・改良などにより寸法が変わったシリンジに対応することができるシリンジポンプを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のシリンジポンプは、内部に充填された薬液量を確認する目盛を周壁に備えたシリンジを保持する保持部と、該保持部に保持されたシリンジに挿着されたプランジャーを軸線方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を注出するプランジャー押圧手段と、該プランジャー押圧手段を所定の速度で持続的に押圧するよう制御する制御手段とを備えるシリンジポンプにおいて、プランジャーの移動量を検出するための移動量検出手段と、プランジャーがシリンジの先端まで移動したことを検出する先端検出手段と、該移動量検出手段と、該先端検出手段とに基づいて、プランジャーの移動距離を計測する距離計測手段と、シリンジの容量を入力自在な入力手段と、前記距離計測手段によって計測されたプランジャーの移動距離と、入力手段により入力されたシリンジの容量とを記憶自在な記憶手段とを設け、前記制御手段は、該プランジャーの移動距離と該シリンジの容量とに基づいて前記プランジャー押圧手段を介しシリンジ内の薬液の注出を制御し、前記保持部に保持されたシリンジの外径を検出する外径検出手段と、該外径検出手段により検出されたシリンジの外径と前記距離計測手段により計測されたプランジャーの移動距離とに基づいてシリンジの容量を算出する容量算出手段と、該容量算出手段により算出されたシリンジの容量と、前記入力手段により入力されたシリンジの容量との差を算出する差分算出手段と、該差分算出手段により算出されたシリンジの容量の差が所定範囲内であれば、前記記憶手段に記憶することを認める登録手段とを備えることを特徴とする
【0008】
かかる発明によれば、保持部にシリンジをセットし、シリンジの容量を入力する。次いで、プランジャーの先端をシリンジの最大目盛位置に合わせる。
【0009】
次いで、前記プランジャー押圧手段によりプランジャーを軸線方向に押圧する。プランジャーがシリンジ先端まで移動すると前記先端検出手段によりシリンジの先端を検出する。そして、該移動量検出手段と該先端検出手段との出力に基づいて、前記距離計測手段により、プランジャーの移動距離が計測される。
【0010】
次いで、入力されたシリンジの容量と、計測されたプランジャーの移動距離とが前記記憶手段に記憶される。少なくとも、シリンジの容量とプランジャーの移動距離とが分かれば、全体のプランジャーの移動距離と現在のプランジャーの移動距離とを比較することによってシリンジから注出された薬液の量も判断することができる。よって、入力されたシリンジの容量と、計測されたプランジャーの移動距離とに基づいてシリンジの先端から薬液を設定流量で持続的に注出することができる。
【0011】
本発明のシリンジポンプを使用する際には、シリンジを前記保持部に保持し、前記入力手段によりシリンジの容量を入力する。次いで、前記制御手段が、前記記憶手段から該シリンジの容量に対応付けされた該プランジャーの移動距離を特定する。次いで、該シリンジの容量と、該プランジャーの移動距離とに基づいて、該制御手段により前記プランジャー押圧手段を制御してシリンジの先端から薬液を設定流量で持続的に注出する。
【0012】
これにより、本発明のシリンジポンプは、新しく販売されたシリンジや設計変更・改良などにより寸法が変わったシリンジであっても使用することができる。
【0013】
また、本発明のシリンジポンプは、操作者によってシリンジのデータの記憶を自由にできるようにしたため、操作者が誤ったシリンジのデータをシリンジポンプに記憶する虞れが懸念される。具体的には、例えば、シリンジを記憶する際にプランジャーを最大目盛位置に合わせていなかったためにプランジャーの移動距離に誤差が生じる場合や、シリンジの容量の入力を誤ってしまう場合などがある。
【0014】
このため、本発明のシリンジポンプは、前記保持部に保持されたシリンジの外径を検出する外径検出手段と、該外径検出手段により検出されたシリンジの外径と前記距離計測手段により計測されたプランジャーの移動距離とに基づいてシリンジの容量を算出する容量算出手段と、該容量算出手段により算出されたシリンジの容量と、前記入力手段により入力されたシリンジの容量との差を算出する差分算出手段と、該差分算出手段により算出されたシリンジの容量の差が所定範囲内であれば、前記記憶手段に記憶することを認める登録手段とを備える。
【0015】
前記外径測定手段は、保持部に保持されたシリンジの外径を測定する。前記容量算出手段は、該外径検出手段により検出されたシリンジの外径と前記距離計測手段により計測されたプランジャーの移動距離とに基づいてシリンジの容量を算出する。このとき、シリンジの容量を算出するには、シリンジの外径からシリンジの肉厚を引いてシリンジの内径を算出する必要がある。該シリンジの肉厚は、どのシリンジもほぼ一定であるため、予め決定しておく。
【0016】
前記差分算出手段は、前記容量算出手段により算出された容量と、前記入力手段により入力された容量とを比較し、容量の差を算出する。前記登録手段は、該差分算出手段により算出された容量の差が所定範囲内であれば、前記外径測定手段により測定されたシリンジの外径と、前記距離計測手段により計測されたプランジャーの移動距離と、該入力手段により入力されたシリンジの容量とを前記記憶手段に記憶することを認める。これにより、操作者が誤ったシリンジのデータを記憶手段に記憶する虞れを防止することができる。
【0017】
また、前記記憶手段は、予め定められた複数種のシリンジの外径と、各外径のシリンジに対応付けされた少なくともシリンジの容量とプランジャーの移動距離とを予め記憶している初期シリンジデータ記憶部を備えることが好ましい。
【0018】
これにより、すでに販売されているシリンジについては、メーカー側で初期シリンジデータ記憶部に記憶させることができる。従って、操作者自ら、すでに販売されているシリンジを記憶手段に記憶する作業を省略することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1から図5を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態のシリンジポンプの基本構造を示す説明図、図2は本実施形態の外径検出手段をシリンジ先端方向から見た説明的断面図、図3は本実施形態の記憶手段と制御手段との構成を示すブロック図、図4は本実施形態のシリンジポンプへシリンジを記憶させる工程を説明するフローチャート、図5は本実施形態のシリンジポンプを使用してシリンジから薬液を注出させる操作を説明するフローチャートである。
【0020】
図1に示すように、本発明の本実施形態のシリンジポンプ1は、シリンジポンプ本体2とシリンジポンプ本体2の側面に設けられたシリンジ保持部3とからなる。シリンジ保持部3は、図2に示すように、断面略半円状の窪み3aを本体側面に平行するように有し、窪み3aの上にシリンジ4を載せることができる。シリンジ4は、図1に示すように、先端にガスケット4aを備えたプランジャー4bが挿着されている。シリンジ4の先端には、先端に穿刺器具4cを備えたチューブ4dが接続されている。また、シリンジ4は外筒基端にフランジ4eを備える。
【0021】
シリンジ保持部3の外側縁部には、外径検出手段としてのシリンジサイズセンサ5が設けられている。シリンジサイズセンサ5は、図2(a)(b)に示すように、アーム部5aと、シャフト5bと、支持体5cとからなる。アーム部5aの基端は、シャフト5bによりシリンジ4の軸に直交するように回転自在に支持体5cと連結している。アーム部5aとシリンジ保持部3との間にシリンジ4が挟まれる。シリンジサイズセンサ5は、シャフト5bの回転角度によって、シリンジ4の外径を検出する。
【0022】
また、図1に示すように、本体側面には、長方形状の開口部2aがシリンジ4の軸方向と平行するように設けられている。開口部2aには、先端にプランジャークランプ6aを備えたプランジャー押さえ6が基端から挿入されている。プランジャークランプ6aはプランジャー4bの後端に係合自在である。
【0023】
プランジャー押さえ6の基端部には、ネジ孔6bが開口部2aと平行する向きに設けられている。ネジ孔6bには、ボールネジ部材7が螺合されている。ボールネジ部材7と開口部2aとは平行に位置するように設けられている。また、開口部2aは、ボールネジ部材7の軸方向へ移動するようにプランジャー押さえ6を案内する。このため、プランジャー押さえ6は、ボールネジ部材7を軸とする回転が阻止されている。ボールネジ部材7の先端には歯車8aが取り付けられている。歯車8aには、モーター9に取り付けられた歯車8bが噛合する。ボールネジ部材7はモーター9により歯車8a,8bを介して回転する。モーター9の回転運動は、ボールネジ部材7を介してネジ孔6bにより、プランジャー押さえ6がボールネジ部材7の軸方向へ移動する直線運動に変換される。
【0024】
本実施形態においては、開口部2aと、プランジャー押さえ6と、ボールネジ部材7と、歯車8a,8bと、モーター9とによりプランジャー押圧手段が構成されている。
【0025】
本実施形態の移動量検出手段10は、接触子10aと直線形ポテンショメータ10bとからなる。プランジャー押さえ6の基端部には、接触子10aが突出して設けられている。また、直線形ポテンショメータ10bは、ボールネジ部材7の軸と平行に、かつ、接触子10aと接触するようにシリンジポンプ本体2内に設けられている。プランジャー押さえ6によって、プランジャー4bが押圧されると共に、プランジャー押さえ6に設けられた接触子10aが直線形ポテンショメータ10b上を摺動する。接触子10aの位置に応じて、直線形ポテンショメータ10bの電気抵抗が変化し、プランジャー4bの移動量を検出する。
【0026】
ボールネジ部材7の先端部には、先端検出手段として負荷センサ11が設けられている。ガスケット4aがシリンジ4の先端まで移動すると、プランジャー4bは、シリンジ4の先端方向に移動することができず、モーター9によるボールネジ部材7の回転に負荷がかかる。負荷センサ11は、この負荷によりガスケット4aがシリンジ4の先端まで移動したことを検出する。
【0027】
シリンジポンプ本体2には表示部12が設けられている。表示部12は、設定画面メニュー、シリンジ保持部3に保持されているシリンジ4の外径、メーカー名、プランジャー4bの移動距離、シリンジ4の容量等を表示する。シリンジポンプ本体2には、入力手段として、入力部13が設けられている。入力部13は、シリンジ4の容量とメーカー名とを入力することができる。
【0028】
本実施形態においては、図3に示すように、記憶手段14として、例えば、RAMディスク14aがシリンジポンプ本体2に内蔵されている。RAMディスク14aは、シリンジ4の外径と、プランジャー4bの移動距離と、シリンジ4の容量と、シリンジ4のメーカー名とを記憶することができる。また、RAMディスク14aは、バッテリーを備え、シリンジポンプ1の電源をOFFにしても記憶を保持する。
【0029】
また、モーター9は、モーターエンコーダ15によって回転数が制御される。
【0030】
本実施形態においては、シリンジポンプ本体2内にROM17とCPU18とRAM19とが設けられている。
【0031】
ROM17には、CPU18とRAM19とを用いてそれぞれ実行される距離算出プログラム17aと、容量算出プログラム17bと、差分算出プログラム17cと、登録プログラム17dと、制御プログラム17eとが書き込まれている。
【0032】
距離算出プログラム17aは、移動量検出手段10と負荷センサ11とから出力される移動量(本実施形態においては、最大目盛位置からシリンジ先端位置までの位置情報。)に基づき、プランジャー4bの最大目盛位置からシリンジ先端位置までの移動距離を算出する。
【0033】
容量算出プログラム17bは、次の数式(1)によって、距離算出プログラム17aによって算出されたプランジャー4bの移動距離と、シリンジサイズセンサ5によって測定されたシリンジ4の外径とに基づき、シリンジ4の容量を算出する。tはシリンジ4の肉厚分を考慮して定めた一定の値である。
【0034】
V=(D−2×t)2×π×L/4 ・・・(1)
V:算出された容量
D:測定された外径
t:予め定められたシリンジの肉厚データ
L:プランジャーの移動距離
差分算出プログラム17cは、入力部13により入力されたシリンジ4の容量と、容量算出プログラム17bにより算出されたシリンジ4の容量とを比較して容量の差を算出する。
【0035】
登録プログラム17dは、差分算出プログラム17cにより算出された容量の差が所定範囲内であれば、シリンジ4の外径と、プランジャー4bの移動距離と、シリンジ4の容量と、シリンジ4のメーカー名とをRAMディスク14aに記憶することを認める。容量の差が所定範囲外であれば、RAMディスク14aへのシリンジ4の外径と、プランジャー4bの移動距離と、シリンジ4の容量と、シリンジ4のメーカー名との記憶を拒否する。
【0036】
制御プログラム17eは、入力部13により入力された設定流量に基づいてシリンジ4から薬液を持続的に注出するようにモーターエンコーダ15を制御する。
【0037】
また、ROM17には、初期シリンジデータ記憶部14bとして、複数のシリンジ4の外径と、外径に対応付けされたプランジャー4bの移動距離と、シリンジ4の容量と、シリンジ4のメーカー名とからなる所定のデータが、予め書き込まれている。つまり、本実施形態においては、ROM17の一部が記憶手段14の一部を構成している。
【0038】
本実施形態においては、モーターエンコーダ15と、ROM17と、CPU18と、RAM19とで、制御手段16が構成されている。
【0039】
次いで、本実施形態のシリンジポンプ1にシリンジ4を記憶させる工程について、図1と図3と図4とを参照して説明する。
【0040】
まず、シリンジポンプ1の電源をONにする。次いで、STEP1に進み、設定モードを選択する。次いで、STEP2に進み、入力部13により、シリンジ4の目盛に記載されている容量とシリンジ4のメーカー名とを入力する。
【0041】
次いで、STEP3に進み、プランジャー4bを介してガスケット4aを最大目盛位置以上に引く。次いで、STEP4に進み、シリンジ4をシリンジ保持部3に保持させる。次いで、STEP5に進み、シリンジサイズセンサ5により、シリンジ4の外径を測定する。
【0042】
次いで、STEP6に進み、入力部13の操作によって、ガスケット4aの先端をシリンジ4の最大目盛位置に合わせる。入力部13の操作を誤ってプランジャー4bの先端が最大目盛位置を越えた場合は、STEP3に戻る。プランジャー4bの先端を最大目盛位置に合わせた後は、STEP7に進み、最大目盛位置がRAM19に記憶される。そして、モーター9がモーターエンコーダ15に制御されながら歯車8a,8bを介してボールネジ部材7を回転させ、プランジャー押さえ6がプランジャー4bを押圧する。次いで、STEP8に進み、負荷センサ11により、ボールネジ部材7の負荷を監視することによって、ガスケット4aがシリンジ4の先端まで移動したか否かを検出する。
【0043】
負荷センサ11によって、ボールネジ部材7の負荷を検出すると、STEP9に進み、モーター9が停止してプランジャー押さえ6によるプランジャー4bの押圧が停止する。負荷センサ11によりボールネジ部材7の負荷が検出されない場合は、STEP7に戻り、プランジャー4bの押圧を続ける。
【0044】
次いで、STEP10に進み、負荷センサ11によりガスケット4aがシリンジ4の先端まで移動したことを検出したときのプランジャー4bの位置が、接触子10aと直線形ポテンショメータ10bとによって出力される。次いで、距離算出プログラム17aにより、RAM19に記憶された最大目盛位置と、負荷センサ11により出力された位置とに基づいて、プランジャー4bの移動距離が算出される。次いで、STEP11に進み、容量算出プログラム17bにより、シリンジサイズセンサ5によって測定されたシリンジ4の外径と、距離算出プログラム17aによって算出されたプランジャー4bの移動距離とに基づいて、シリンジ4の容量が算出される。次いで、STEP12に進み、差分算出プログラム17cにより、容量算出プログラム17bによって算出された容量と、操作者がSTEP2で入力部13によって入力した容量とを比較し、容量の差を算出する。
【0045】
次いで、登録プログラム17dにより、差分算出プログラム17cによって算出された容量の差が所定の範囲内である場合には、シリンジサイズセンサ5によって測定されたシリンジ4の外径と、シリンジ4の外径にそれぞれ対応付けされたSTEP2で入力されたシリンジ4の容量と、同じくSTEP2で入力されたメーカー名と、距離算出プログラム17aによって算出されたプランジャー4bの移動距離とを、RAMディスク14aに記憶することを認める。逆に、容量の差が所定の範囲外である場合には、RAMディスク14aへのシリンジ4の外径と、シリンジ4の外径にそれぞれ対応付けされたシリンジ4の容量と、メーカー名と、プランジャー4bの移動距離とをRAMディスク14aに記憶することを拒否する。
【0046】
次いで、表示部12に、シリンジ4の外径と、シリンジ4の外径にそれぞれ対応付けされたシリンジ4の容量と、シリンジ4のメーカー名と、プランジャー4bの移動距離とがRAMディスク14aに記憶されたか否かの結果を表示する。
【0047】
そして、シリンジポンプ1へシリンジ4を記憶する工程が終了する。
【0048】
次いで、本実施形態のシリンジポンプ1を使用して患者に薬液を注入させる場合について、図1と図5とを参照して、説明する。
【0049】
まず、シリンジポンプ1の電源をONにする。次いで、STEP21に進み、薬液の入ったシリンジ4をシリンジ保持部3に保持させる。次いで、STEP22に進み、入力部13により、シリンジ4のメーカー名を選択する。次いで、STEP23に進み、シリンジサイズセンサ5がシリンジ4の外径を測定する。測定されたシリンジ4の外径に対応付けされたシリンジ4の容量と、プランジャー4bの移動距離とが表示部12に表示される。次いで、STEP24に進み、入力部13により、シリンジ4から注出させる薬液の所定時間当たりの流量を設定する。次いで、STEP25に進み、穿刺器具4cを患者に接続する。次いで、STEP26に進み、入力部13の操作により注出を開始する。
【0050】
本実施形態のシリンジポンプによれば、新しく販売されたシリンジや設計変更・改良などにより寸法が変わったシリンジを記憶することができる。また、一度シリンジ4をRAMディスク14aに記憶させると、次回からはRAMディスク14aに記憶した情報を読み出すことができるため、煩雑な設定・調整の操作無しに記憶したシリンジを使用することができる。また、本実施形態のシリンジポンプによれば、製造時にすでに市販されているシリンジ4の外径と、外径に対応付けされた容量を予めROM17に記憶しておくことにより、操作者の入力負担の軽減を図ることができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、記憶手段14として、例えば、RAMディスク14aを使用したシリンジポンプ1について説明しているが、書き込み可能であれば他のものでもよく、例えば、磁気ディスク、フラッシュメモリー、光ディスク等でもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、初期シリンジデータ記憶部14bをROM17に設けたシリンジポンプ1について説明しているが、初期シリンジデータ記憶部14bは他の場所に設けてもよく、例えば、RAMディスク14aに設けてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、移動量検出手段として、接触子10aと直線形ポテンショメータ10bとを備えるシリンジポンプ1について説明しているが、接触子10aと直線形ポテンショメータ10bとを備える代わりに、モーターエンコーダ15によりモーターの回転数を検出させて、プランジャーの移動量を検出してもよい。この場合、距離算出プログラムは回転数からボールネジ部材7のネジピッチを基にプランジャーの移動距離を算出する。また、接触子10aと直線形ポテンショメータ10bとを備える代わりに、モーター9に替えてステップモーターを用い、パルス数を検出することにより、プランジャーの移動量を検出してもよい。この場合、距離算出プログラムはパルス数からステップモーターの回転数を求めることによりプランジャーの移動距離を算出する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施形態のシリンジポンプの基本構造を示す説明図。
【図2】本実施形態の外径測定手段をシリンジ先端方向から見た説明的断面図。
【図3】本実施形態の記憶手段と制御手段との構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態のシリンジポンプへシリンジを記憶させる工程を説明するフローチャート。
【図5】本実施形態のシリンジポンプを使用してシリンジから薬液を注出させる操作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
1…シリンジポンプ、 2…シリンジポンプ本体、 3…シリンジ保持部、 4…シリンジ、 4a…ガスケット、 4b…プランジャー、 5…シリンジサイズセンサ、 6…プランジャー押さえ、 7…ボールネジ部材、 8a,8b…歯車、 9…モーター、 10…移動量検出手段、 11…負荷センサ、 12…表示部、 13…入力部、 14…記憶手段、 15…モーターエンコーダ、16…制御手段、 17…ROM、 18…CPU、 19…RAM。

Claims (2)

  1. 内部に充填された薬液量を確認する目盛を周壁に備えたシリンジを保持する保持部と、
    該保持部に保持されたシリンジに挿着されたプランジャーを軸線方向に押圧移動させてシリンジ内の薬液を注出するプランジャー押圧手段と、
    該プランジャー押圧手段を所定の速度で持続的に押圧するよう制御する制御手段とを備えるシリンジポンプにおいて、
    プランジャーの移動量を検出するための移動量検出手段と、
    プランジャーがシリンジの先端まで移動したことを検出する先端検出手段と、
    該移動量検出手段と、該先端検出手段とに基づいて、プランジャーの移動距離を計測する距離計測手段と、
    シリンジの容量を入力自在な入力手段と、
    前記距離計測手段によって計測されたプランジャーの移動距離と、入力手段により入力されたシリンジの容量とを記憶自在な記憶手段とを設け、
    前記制御手段は、該プランジャーの移動距離と該シリンジの容量とに基づいて前記プランジャー押圧手段を介しシリンジ内の薬液の注出を制御し、
    前記保持部に保持されたシリンジの外径を検出する外径検出手段と、
    該外径検出手段により検出されたシリンジの外径と前記距離計測手段により計測されたプランジャーの移動距離とに基づいてシリンジの容量を算出する容量算出手段と、
    該容量算出手段により算出されたシリンジの容量と、前記入力手段により入力されたシリンジの容量との差を算出する差分算出手段と、
    該差分算出手段により算出されたシリンジの容量の差が所定範囲内であれば、前記記憶手段に記憶することを認める登録手段とを備えることを特徴とするシリンジポンプ。
  2. 前記記憶手段は、予め定められた複数種のシリンジの外径と、各外径のシリンジに対応付けされた、少なくともシリンジの容量とプランジャーの移動距離とを含む所定のデータとを予め記憶している初期シリンジデータ記憶部を備えることを特徴とする請求項記載のシリンジポンプ。
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