JP3908086B2 - 非ハロゲン系樹脂加工布 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、耐久性に優れ、環境にやさしい非ハロゲン系樹脂加工布に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハッチカバー、トラックシート、野積みシート、屋形テント、フロア−シート、床材、壁紙、広告看板用シート等の各種樹脂加工布は、布帛に対して軟質塩化ビニル樹脂を処理したものが広く一般的に使用されている。しかしこれらの軟質塩化ビニルからなる樹脂加工布は、その廃棄焼却時のダイオキシン発生の問題や、樹脂中に配合されている可塑剤流出に伴う環境ホルモンの問題があり、かかる問題がない環境にやさしい樹脂加工布の開発が望まれている。
【0003】
環境にやさしい樹脂加工布としては、従来、ポリエステルに代表される繊維からなる布帛とポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂等に代表されるオレフィン系樹脂膜を接着し、一体化したものが提案され、実用されている。その一例としては、布帛を有機溶剤で溶解した変性オレフィン樹脂液で処理した後、オレフィン系樹脂膜と接着し、一体化する方法が提案されている。この方法により得られる樹脂加工布は、布帛と樹脂との接着性には優れているが、変性オレフィン樹脂液が引火性の有機溶剤系であるために特殊な防爆型の処理機が必要となり、また、その処理剤も高価であるため、得られる樹脂加工布はコスト高となる。このため付加価値の高い一部の用途にのみ実用化されているのが現状である。
【0004】
一方、上記問題点を解決するための方法として、織編密度を粗にした布帛を用い、その布帛の両面にオレフィン系樹脂を貼り合せ、布帛中に形成される繊維間の比較的大きな空隙を介してオレフィン系樹脂を架橋させることによって、布帛とオレフィン系樹脂を一体化する方法が提案、実施されている。この方法は、上記した有機溶剤等による処理上の問題がないので、得られる製品は比較的安価であるが、使用可能な布帛の織編密度が粗いので、屈曲、摩耗等に対する疲労性があまり要求されない用途に限定され、また、一体化するオレフィン系樹脂膜の膜厚を厚くしなければならず、その結果得られる樹脂加工布の重量が重くなるという欠点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような問題点から、布帛の強度等の基本物性を保持しながら、織編密度が高密度な布帛であってもオレフィン系樹脂による処理が安価である樹脂加工布の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々の検討を行った結果、鞘成分にポリオレフィン系ポリマーを鞘成分とする芯鞘複合繊維と繊維強度5cN/dtex以上の主体繊維との混紡・紡績糸から、得られた布帛とオレフィン系樹脂とを積層し熱圧着させることにより、芯鞘複合繊維中の鞘成分であるポリオレフィン系ポリマーが溶融して主体繊維と熱融着した布帛を構成させ、さらに該布帛と上記のオレフィン系樹脂とを熱接着・一体化させることにより、安価でしかも強度に優れた樹脂加工布が得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、芯鞘複合繊維と繊維強度5cN/dtex以上の主体繊維からなる混紡糸で構成され、さらに該芯鞘複合繊維の鞘部が該主体繊維と熱融着されてなる布帛の少なくとも片面にオレフィン系樹脂層が熱接着されてなる非ハロゲン系樹脂加工布であり、該布帛を構成する芯鞘複合繊維および、芯鞘複合繊維と主体繊維からなる混紡糸が、以下の(1)〜(4)を全て満足する非ハロゲン系樹脂加工布である。
(1)芯鞘複合繊維を構成する芯部と鞘部の比が80/20〜20/80であること、
(2)芯鞘複合繊維を構成する鞘部がオレフィン系ポリマーからなること、
(3)芯鞘複合繊維の単繊維直径と主体繊維の単繊維直径の比が1/2〜5/1であること、
(4)混紡糸中の芯鞘複合繊維と主体繊維の質量比が10/90〜60/40であること、
そして本発明は、好ましくは芯鞘複合繊維の鞘部を構成するポリオレフィン系ポリマーの融点が80〜180℃であり、かつ溶融指数が0.1〜30g/10minである上記の非ハロゲン系樹脂加工布であり、さらに好ましくは芯鞘複合繊維と主体繊維からなる混紡糸で構成される布帛の少なくとも片面に熱接着されるオレフィン系樹脂が酢酸ビニル含有率5〜40質量%のエチレン−酢酸ビニル系樹脂である上記の非ハロゲン系樹脂加工布であり、より好ましくは芯鞘複合繊維と主体繊維からなる混紡糸で構成される布帛のカバーファクターKが、18≦K≦35である上記の非ハロゲン系樹脂加工布である。
【0008】
本発明により得られる樹脂加工布の最大の特長は、布帛が繊維強度5cN/dtex以上の主体繊維と鞘成分がポリオレフィン系ポリマーで構成される芯鞘複合繊維からなり、該布帛とオレフィン系樹脂とを積層し熱圧着処理して、該布帛中の芯鞘複合繊維中の鞘成分のポリオレフィン系ポリマーと主体繊維を熱融着させるとともに、該布帛にオレフィン系樹脂を熱接着させることにより、布帛とオレフィン系樹脂とを一体化した、耐久性に優れ、かつ環境にやさしい樹脂加工布が得られることを可能にする点にある。
【0009】
本発明の樹脂加工布の布帛を構成する繊維の一部に用いられる芯鞘複合繊維は、オレフィン系樹脂との熱圧着による一体化を容易に行う点から、芯部と鞘部の比が80/20〜20/80の範囲である必要がある。芯部の比が80を上回ると、紡績工程において芯部と鞘部の剥離が生じやすくなったり、さらには布帛とオレフィン系樹脂との熱圧着処理において、熱溶融による接着に寄与する鞘成分の比率が少ないため、オレフィン系樹脂との接着性が低くなり、結果として樹脂加工布としての強度が低くなる。逆に芯部の比が20を下回ると紡績糸の強度が低くなりすぎるため、布帛としての強度が不十分となったり、さらには熱圧着処理工程において布帛の寸法安定性に問題が生じる。好ましくは70/30〜30/70の範囲であり、より好ましくは60/40〜40/60の範囲である。なお、芯部と鞘部の比は、例えば顕微鏡を用いて芯部および鞘部の面積を測定することにより求めることができる。
【0010】
また本発明の芯鞘複合繊維では、複合繊維全体の横断面形状および芯成分の横断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、方形、三角形、多角形の任意の形状であり得るが、通常全体および芯成分の横断面形状を円形とするのが、均一な物性を得るうえで好ましい。
【0011】
さらに、本発明の樹脂加工布の布帛を構成する芯鞘複合繊維の単繊維直径と主体繊維の単繊維直径の比(前者/後者)が1/2〜5/1の範囲である必要がある。該芯鞘複合繊維の単繊維直径と該主体繊維の単繊維直径の比が1/2を下回ると、オレフィン系樹脂との接着性に重要な役割を果たす芯鞘複合繊維が布帛表面に存在する割合が低下する。逆に5/1を上回ると芯鞘複合繊維と主体繊維の繊維直径の差が大きくなりすぎて、芯鞘複合繊維と主体繊維の繊維間の絡みが減少するため、得られる紡績糸自体の強度が低下する。好ましくは1/1〜3/1の範囲であり、より好ましくは6/5〜2/1の範囲である。
【0012】
また、本発明の樹脂加工布の布帛を構成する芯鞘複合繊維と主体繊維の質量比は10/90〜60/40の範囲であることが必要である。主体繊維の質量比が90を上回ると、かかる紡績糸から製織編された布帛はオレフィン系樹脂との接着性が不十分となり、逆に質量比が40を下回ると布帛自体の強度が弱くなる。好ましくは20/80〜50/50の範囲である。
【0013】
本発明の芯鞘複合繊維の鞘部を構成するオレフィン系ポリマーとはメチレン基あるいはメチル基がポリマー中に90モル%以上含有するものであり、具体的には低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、カルボン酸変性ポリエチレン、エチレンーαオレフィン共重合体等が挙げられ、10モル%を越えない範囲でカルボン酸、スルホン酸等の変性があってもよい。また2種以上のポリオレフィン系ポリマーから形成されていてもよい。さらには、鞘構成ポリマー中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等を含有してもよい。
【0014】
また鞘部を構成するオレフィン系ポリマーは融点が80〜180℃のものが好ましい。融点が80℃よりも低い場合、紡績、製織工程等における摩擦発熱により粘着が生じ、それら工程通過性に支障をきたす恐れがある。逆に180℃よりも高い場合、布帛とオレフィン系樹脂との熱圧着工程において高熱を必要とするため好ましくない。より好ましくは90〜160℃であり、さらに好ましくは100〜150℃である。
特に芯鞘複合繊維の構成としては、強度および熱圧着性の面から鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリエステルである場合が好ましい。
【0015】
また鞘部を構成するオレフィン系ポリマーの溶融指数は0.1〜30g/10minであることが好ましい。0.1g/10minを下回ると紡糸性が低下するばかりでなく、得られた布帛とオレフィン系樹脂との接着性に支障を生じ、逆に30g/10minを超えると鞘部が脆くなり、紡績工程等で芯鞘複合繊維中の鞘部の剥離が起こる問題が生じる。より好ましくは2〜10g/10minの範囲である。
【0016】
また、本発明の樹脂加工布を構成する主体繊維としては、繊維強度が5cN/dtex以上、好ましくは6cN/dtex以上の繊維であり、例えばポリビニルアルコール系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアリレート系、ポリアラミド系等が挙げられる。繊維強度が5cN/dtexよりも低い繊維を主体繊維として用いると、得られる樹脂加工布は強度の劣ったものとなる。また主体繊維の横断面形状も芯鞘複合繊維の場合と同様、円形とするのが、均一な物性を得るうえで好ましい。
【0017】
本発明の上記した芯鞘複合繊維と主体繊維で構成される布帛の少なくとも片面に熱接着されるオレフィン系樹脂は、主としてフィルム、シートあるいは成形物などの形態で使用され、酢酸ビニル含有率が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%であるエチレンー酢酸ビニル共重合体が、特にトラックシートに代表される防水シートにおいて好適である。また、その他のオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0018】
さらに本発明の芯鞘複合繊維と主体繊維の混紡糸で構成される布帛とオレフィン系樹脂を熱接着して高い補強効果を得るためには、布帛のカバーファクターKが、18≦K≦35の範囲であることが好ましい。18を下回ると補強効果を十分に発揮せず、逆に35を超えると製織編コストが高くなる。かかる点から、より好ましいカバーファクターKの範囲は20≦K≦33であり、さらに好ましくは23≦K≦30の範囲である。
【0019】
本発明の芯鞘複合繊維と主体繊維の混紡糸で構成される布帛中の芯鞘複合繊維の鞘成分を溶融させて主体繊維と熱融着させ、かつ該布帛とオレフィン系樹脂を熱接着するための装置としては、熱圧着式ラミネ−ターが最適であるが、カレンダー加工機や押出ラミネート加工機による熱接着も可能である。
【0020】
本発明の樹脂加工布は繊維強度5cN/dtex以上の主体繊維と鞘成分がオレフィン系ポリマーからなる芯鞘複合繊維を混紡、紡績した糸から構成される布帛を用い、オレフィン系樹脂と積層し、熱圧着して布帛中の芯鞘複合繊維の鞘部を溶融させて主体繊維と熱融着させるとともに、該布帛とオレフィン系樹脂を熱接着させて、該布帛と樹脂との接着性を向上させることにより耐久性に優れ、かつ環境にやさしいものとなる。本発明の樹脂加工布はハッチカバー、トラックシート、野積みシート、屋形テント、フロア−シート、床材、壁紙、広告看板用シート等の用途に使用可能である。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお本発明において、芯鞘複合繊維の芯部と鞘部の比、鞘部の融点、溶融指数、芯鞘複合繊維/主体繊維の繊維直径比、混紡質量比、布帛のカバーファクター、および樹脂加工布の防水耐久性他の各種性能は以下の方法により求められたものを示す。
【0022】
[芯鞘複合繊維の芯部と鞘部の比]
芯鞘複合繊維の単繊維をn=20以上採取し、各々について、長さ方向に対してほぼ直角に鋭利な刃で裁断し、その裁断断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S−510」)で撮影して芯部の面積S1、鞘部の面積S2を測定する。芯部と鞘部の面積比S1/S2を測定n数全てについて算出し、その平均値を芯鞘複合繊維の芯部と鞘部の比として定義した。
【0023】
[芯鞘複合繊維中の鞘部の融点 ℃]
芯鞘複合繊維から鞘部のみを分離し、その分離物を示差熱分析装置(島津製作所製「DTG−50」)により窒素ガス中で測定して最大吸熱ピークを示す温度を融点とした。
【0024】
[芯鞘複合繊維中の鞘部の溶融指数 g/10min]
上記の融点測定用に分離したポリマーをJIS K7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」試験6(試験温度190℃、試験荷重98.07N)に準拠して測定されるメルトフロー値を溶融指数とした。
【0025】
[芯鞘複合繊維/主体繊維の繊維直径比]
混紡された紡績糸の断面を上記した芯鞘複合繊維の芯部と鞘部の比の測定方法と同様に走査型電子顕微鏡で撮影して、その芯鞘複合繊維と主体繊維の外径を各々n=20以上測定し、各々の平均値から下式で算出される値を芯鞘複合繊維/主体繊維の単繊維直径比として測定し、求めた。
芯鞘複合繊維の単繊維直径/主体繊維の単繊維直径比=D1/D2
ここで、D1:芯鞘複合繊維の平均直径(外径寸法)
D2:主体繊維の平均直径
【0026】
[主体繊維/芯鞘複合繊維の混紡質量比]
走査型電子顕微鏡観察により主体繊維/芯鞘複合繊維の本数比率γを測定し、下式から主体繊維/芯鞘複合繊維の混紡質量比を算出し、求めた。
主体繊維/芯鞘複合繊維の混紡質量比=(γ×D ×ρ)/(D ×ρ
【0027】
[布帛のカバーファクターK]
製織編された布帛を構成する経糸および緯糸の綿番手およびインチ間の打込み密度を測定し、下式により布帛のカバーファクターKを算出した。
布帛のカバーファクターK=n/N 1/2+n/N 1/2
ここで、n:布帛の経糸のインチ間打込み本数 N:同左経糸の綿番手
:布帛の緯糸のインチ間打込み本数 N:同左緯糸の綿番手
【0028】
[樹脂加工布の引張強さ kN/3cm]
JIS K1096ラベルストリップ法に準拠して測定した。
【0029】
[樹脂加工布の布帛/樹脂間接着力 N/3cm]
2枚の樹脂加工布同士を高周波ウエルダーで接合後、JIS K6328に準拠して、剥離強さを測定した。
【0030】
[樹脂加工布のscott屈曲]
JIS K6328に準拠し、押圧1kgでシートに損傷(基布と樹脂層間の剥離、加工布の破れ等)が発生するまでの屈曲回数を測定した。
【0031】
[樹脂加工布の耐水度 mm・HO]
JIS L1092A法に準拠して測定した。
【0032】
[樹脂加工布の手揉耐水度 mm・HO]
樹脂加工布を16cm×16cmに裁断後、タテ、ヨコおよび表裏を各25回、計100回手揉みし、それを供試験体として、JIS L1092A法に準拠して耐水度を測定した。
【0033】
[手揉み漏水 ml]
前記と同様に手揉みした供試験体について、JIS L1092漏水法に準拠して、水圧400mm・HO付加し、24時間放置後の漏水水量を測定した。
【0034】
[実施例1〜4、比較例1〜2、従来技術例]
(1)芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分が融点110℃、溶融指数3g/10minの高密度ポリエチレンからなる2.2dtex(繊維径15μm)、繊維長51mm、芯部と鞘部の比が1/1の横断面形状が円形の芯鞘複合繊維((株)クラレ製「ソフィットPN711」)とポリエチレンテレフタレート単独からなる1.1dtex(繊維径10.6μm)、繊維長51mm、繊維強度5.6cN/dtexである主体繊維((株)クラレ製「P−802」)を表1に示す混紡比となるように混紡して紡績し、20綿番手の混紡糸を得た。
なお従来技術例として、表1に示すように主体繊維のみからなる20綿番手の紡績糸を作製した。
(2)上記(1)で得られた混紡糸および主体繊維のみからなる紡績糸を経、緯各々48本/インチ、42本/インチ打込み、カバーファクターK=28.5の平織組織からなる布帛とした。
(3)この布帛を150℃で熱セットした後、酢酸ビニル含有率が20質量%のエチレンー酢酸ビニル樹脂からなる200μm厚さのフィルムを布帛両面に積層し、170℃熱プレスによる熱処理を施して布帛中の芯鞘複合繊維の鞘部を溶融させて主体繊維に融着させるとともにフィルムを布帛に熱接着させて貼り合せ、樹脂加工布を作製した。
(4)上記(3)で作製した樹脂加工布の各種性能を測定した。測定結果を表2に示す。
【0035】
実施例1〜4の芯鞘複合繊維と主体繊維との混紡比の布帛を用いて得られた樹脂加工布のscott屈曲による損傷発生回数は、比較例1〜2、従来技術例のscott屈曲による損傷発生回数よりも大幅に上回っており、耐久性に優れていた。また実施例1〜4の樹脂加工布の手揉耐水度、手揉漏水は比較例1〜2、従来技術例の樹脂加工布の手揉耐水度、手揉漏水よりも優れていた。
【0036】
[実施例5〜6、比較例3]
(1)表1に示すような、芯部と鞘部の比を変更した横断面形状が円形の芯鞘複合繊維を作製し、それ以外は前記実施例2と同一条件にて、布帛および樹脂加工布を作製した。
(2)上記(1)で作製した樹脂加工布の各種性能を測定した。結果を表2に示す。
【0037】
実施例5〜6の芯部と鞘部の比である芯鞘複合繊維を用いた樹脂加工布は繊維損傷が少なく、しかも布帛/樹脂層間接着力は実施例5の樹脂加工布が21N/3cm、実施例6の樹脂加工布が26N/3cmであり、鞘部の比が10%である芯鞘複合繊維を用いた比較例3の樹脂加工布の布帛/樹脂層間接着力10N/3cmに比べて優れていた。実施例5〜6の芯鞘複合繊維と主体繊維との混紡比の布帛を用いた樹脂加工布のscott屈曲による損傷発生回数は、比較例3のscott屈曲による損傷発生回数よりも大幅に上回っており、耐久性に優れていた。また実施例5〜6の樹脂加工布の手揉耐水度、手揉漏水は比較例3の手揉耐水度、手揉漏水よりも優れていた。
【0038】
[実施例7〜8]
(1)表1に示すような、単糸繊度が各々1.1dtex、4.4dtexの芯鞘複合繊維を用い、芯鞘複合繊維/主体繊維の単繊維直径比が各々1.0、2.0であり、それ以外は前記実施例2と同一の条件にて布帛および樹脂加工布を作製した。
(2)上記(1)で作製した樹脂加工布の各種性能を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
実施例7〜8の樹脂加工布のscott屈曲による損傷発生回数は、各々3000回、3500回であり、耐久性に優れていた。また手揉耐水度、手揉漏水においても優れた値を示していた。
【0040】
[実施例9、比較例4]
(1)表1に示すように、実施例9では鞘部を形成する高密度ポリエチレンの溶融指数を15g/10min、比較例4では鞘部を形成する高密度ポリエチレンの溶融指数を35g/10min、かつ芯部と鞘部の比が10/90に変更した芯鞘複合繊維を用い、それ以外は前記実施例2と同一の条件にて布帛および樹脂加工布を作製した。
(2)上記(1)で作製した樹脂加工布の各種性能を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
実施例9の樹脂加工布のscott屈曲による損傷発生回数は、比較例4のscott屈曲による損傷発生回数よりも大幅に上回っており、耐久性に優れていた。また比較例4の樹脂加工布で用いられた芯鞘複合繊維は損傷が大きかった。さらに実施例9の樹脂加工布の手揉耐水度、手揉漏水は比較例4の手揉耐水度、手揉漏水よりも優れていた。
【0042】
[実施例10〜11、比較例5]
(1)表1に示すように、実施例10〜11は主体繊維および芯鞘複合繊維の構成、主体繊維/芯鞘複合繊維の直径比、混紡比は実施例2と同一条件で、布帛密度および布帛のカバーファクターを変更した布帛および樹脂加工布、比較例5は芯鞘複合繊維の単糸繊度0.65dtex、主体繊維/芯鞘複合繊維の直径比が0.46とし、布帛密度および布帛のカバーファクターを変更した布帛および樹脂加工布を作製した。
(2)上記(1)で作製した樹脂加工布の各種性能を測定した。結果を表2に示す。
【0043】
実施例10〜11の樹脂加工布のscott屈曲による損傷発生回数は、比較例5のscott屈曲による損傷発生回数よりも大幅に上回っており、耐久性に優れていた。また実施例10〜11の樹脂加工布の手揉耐水度、手揉漏水は比較例5の手揉耐水度、手揉漏水よりも優れていた。
【0044】
【表1】
Figure 0003908086
【0045】
【表2】
Figure 0003908086
【0046】
【発明の効果】
本発明の樹脂加工布は繊維強度5cN/dtex以上の主体繊維と鞘成分がオレフィン系ポリマーからなる芯鞘複合繊維を混紡、紡績した糸から構成される布帛を用い、オレフィン系樹脂と積層し、熱圧着して布帛中の芯鞘複合繊維中の鞘部を溶融させて布帛と樹脂との接着性を向上させることにより耐久性に優れるものとなる。また、本発明の樹脂加工布は廃棄焼却時のダイオキシン発生の問題や、樹脂中に配合されている可塑剤流出に伴う環境ホルモンの問題がなく、環境にやさしいものとなる。

Claims (4)

  1. 芯鞘複合繊維と繊維強度5cN/dtex以上の主体繊維からなる混紡糸で構成され、さらに該芯鞘複合繊維の鞘部が該主体繊維と熱融着されてなる布帛の少なくとも片面にオレフィン系樹脂層が熱接着されてなる樹脂加工布であり、該布帛を構成する芯鞘複合繊維、および芯鞘複合繊維と主体繊維からなる混紡糸が以下の(1)〜(4)を全て満足する非ハロゲン系樹脂加工布。
    (1)芯鞘複合繊維を構成する芯部と鞘部の比が80/20〜20/80であること、
    (2)芯鞘複合繊維を構成する鞘部がオレフィン系ポリマーからなること、
    (3)混紡糸中の芯鞘複合繊維の単繊維直径と主体繊維の単繊維直径の比が1/2〜5/1であること、
    (4)混紡糸中の芯鞘複合繊維と主体繊維の質量比が10/90〜60/40であること、
  2. 芯鞘複合繊維の鞘部を構成するポリオレフィン系ポリマーの融点が80〜180℃であり、かつ溶融指数が0.1〜30g/10minである請求項1に記載の非ハロゲン系樹脂加工布。
  3. 芯鞘複合繊維と主体繊維からなる混紡糸で構成される布帛の少なくとも片面に熱接着されるオレフィン系樹脂が、酢酸ビニル含有率5〜40質量%のエチレン−酢酸ビニル系樹脂である請求項1または請求項2に記載の非ハロゲン系樹脂加工布。
  4. 芯鞘複合繊維と主体繊維からなる混紡糸で構成される布帛のカバーファクターKが、18≦K≦35である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非ハロゲン系樹脂加工布。
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