JP3908057B2 - 液晶駆動用半導体集積回路装置 - Google Patents

液晶駆動用半導体集積回路装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶駆動用半導体集積回路装置に関し、特に液晶パネルのデータ線を駆動する液晶駆動用半導体集積回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置において、液晶パネルのデータ線を駆動する従来のデータ線ドライバICについて、64階調の階調表示能力を有し、正極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成を図5に示して説明する。データ線ドライバICは、ラッチ回路11と、レベルシフト回路12と、インバータ13、14と、P型ROMデコーダ15と、階調電圧発生回路16と、出力バッファ17とを有している。n=6ビットの階調データD0〜D5の各ビットがラッチ回路11の各段に供給され、ラッチ回路11からラッチ信号LAに同期して同時にレベルシフト回路12の各段に供給される。そして、レベルシフト回路12で電圧レベルを高め、各段のインバータ13、14を介してP型ROMデコーダ15に供給される。そして、P型ROMデコーダ15で階調電圧発生回路16からの階調数=2の6乗=64階調の正極性階調電圧VP0〜VP63のうち階調データD0〜D5に対応する1つの階調電圧が選択され、出力バッファ17を介して出力される。
【0003】
P型ROMデコーダ15は、図6に示すように、Pチャネルエンハンスメント形トランジスタ1とPチャネルデプレッション形トランジスタ2(常時オン状態)とを所定位置で64行と12列にマトリックス配置している。各行はトランジスタ1とトランジスタ2(常時オン状態)とがトランジスタ1のドレイン及びトランジスタ2のソース又はトランジスタ1のソース及びトランジスタ2のドレインで直列接続されたものを1対としてそれらが更に6対組み合わされトランジスタ直列回路3を構成している。各行の各対は各対のトランジスタの一方のゲートが列毎に共通接続されたゲート列4aと、他方のゲートが列毎に共通接続されたゲート列4bとでゲート列対4を構成している。各トランジスタ直列回路3の一端側である第1列目のトランジスタ1又は2のソースには階調電圧発生回路16から64階調の正極性階調電圧VP0〜VP63がそれぞれ供給される。各ゲート列対4にはレベルシフト回路12から液晶表示パネルのデータ線に対応する6ビットの階調データD0〜D5がゲート列4aに各段のインバータ13を介して逆相D0バー〜D5バーで供給され、ゲート列4bに各段のインバータ13、14を介して正相D0〜D5で供給される。各トランジスタ直列回路3の他端側である第12列目のトランジスタ1又は2のドレインは共通接続され、出力バッファ17に正極性階調電圧VP0〜VP63のうち階調データD0〜D5に対応する1つの階調電圧が出力される。
【0004】
つぎにP型ROMデコーダ15の動作を説明する。各トランジスタ直列回路3の一端側である第1列目のトランジスタ1又は2のソースに64階調の階調電圧VP0〜VP63が与えられる。この状態で各ゲート列対4に”H(ハイレベル)”又は”L”の所定のデータ信号D0〜D5が、ゲート列4aに逆相D0バー〜D5バーで供給され、ゲート列4bに正相D0〜D5でそれぞれ供給されると各トランジスタ直列回路3の内選択された1つのトランジスタ直列回路3のトランジスタ1がすべてオン状態(トランジスタ2は常時オン状態)となり、そのトランジスタ直列回路3に与えられている階調電圧が取り出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、P型ROMデコーダ15に供給される階調データD0〜D5が一水平期間前に供給されたデータから変化すると、6ビットデータのうち変化するビットデータが入力されるP型ROMデコーダ15のゲート列対4には、例えば、ゲート列4aに“L”から“H”に変化するビットデータが供給されるとともに、ゲート列4bにゲート列4aとは反対のH”から“L”に変化するビットデータが供給され、ゲート列4aに充電電流が流れるとともに、ゲート列4bから放電電流が流れる。液晶パネルの階調表示がn=6ビットの階調データによる64階調より高階調になり、例えば、n=8ビットの階調データによる256階調になると、P型ROMデコーダは、ゲート列として接続されるトランジスタ数が64個から4倍の256個となり、各ゲート列の容量は4倍に増加するため、前後で変化するビットデータが入力されるゲート列対では充放電電流も増加する。そして、このとき、ゲート列対は6対から8対に増加し、前後で変化するビットデータの数が増加するほどこの電流は大きくなり、全ビットデータが変化するとこの電流は最大になる。また、液晶パネルが大型化するに従い、出力数も増加し、ラッチ信号LAの立ち上がりに同期して、同一タイミングで全出力に対応する階調データがラッチ回路から一括出力されるため、上述の電流も増加し、ICに供給される電源電流のピーク値が大きくなり、IC電源の配線抵抗による電圧降下も大きくなる。そのため、ラッチ回路やレベルシフト回路が動作しなくなり、ICが誤動作を起こす虞があるという問題があった。尚、上記説明では、正極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成で説明したが、データ線ドライバICは、通常、各データ線に正極性階調電圧と負極性階調電圧を一水平期間ごとに交互に出力するものであり、負極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成として、P型ROMデコーダの替わりにN型ROMデコーダで構成され、その場合についても上述の問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、階調データが入力されるROMデコーダの各ゲート列対のゲート列間をラッチ動作前にショートさせることにより、電源電流のピーク値を低くしてICの誤動作を防止した液晶駆動用半導体集積回路装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の液晶駆動用半導体集積回路装置は、一水平期間ごとにnビットの階調データの各ビットが正相および逆相で供給される2列のゲート列からなるn対のゲート列対で構成されたROMデコーダで、階調データに基づき2のn乗の階調数の階調電圧のうちの1つの階調電圧が選択され、この選択された階調電圧により液晶パネルのデータ線を駆動する液晶駆動用半導体集積回路装置において、 ROMデコーダに階調データが供給される前に前記各ゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせることを特徴とする。
(2)本発明の液晶駆動用半導体集積回路装置は、上記(1)項において、前記階調データが一水平期間前の階調データに対してnビットのうち所定ビット以上異なるときのみショートさせることを特徴とする。
(3)本発明の液晶駆動用半導体集積回路装置は、上記(1)項において、一水平期間ごとに常にショートさせることを特徴とする請求項1記載の液晶駆動用半導体集積回路装置。
(4)本発明の液晶駆動用半導体集積回路装置は、一水平期間ごとにnビットの階調データの各ビットが正相および逆相で供給される2列のゲート列からなるn対のゲート列対で構成されたROMデコーダで、階調データに基づき2のn乗の階調数の階調電圧のうちの1つの階調電圧が選択され、この選択された階調電圧により液晶パネルのデータ線を駆動する液晶駆動用半導体集積回路装置において、 前記各ゲート列対を構成する2列のゲート列への階調データの供給を阻止する第1スイッチと、前記各ゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせる第2スイッチとを有する電荷回収回路を、前記ROMデコーダの前段に設け、ROMデコーダに階調データが供給される前に第1スイッチをOFF制御し、このOFF制御の期間に第2スイッチをON制御することを特徴とする。
(5)本発明の液晶駆動用半導体集積回路装置は、上記(4)項において、前記階調データが一水平期間前の階調データに対してnビットのうち所定ビット以上異なるときのみ前記第1スイッチをOFF制御および第2スイッチをON制御させることを特徴とする。
(6)本発明の液晶駆動用半導体集積回路装置は、上記(4)項において、一水平期間ごとに常に前記第1スイッチをOFF制御および第2スイッチをON制御させることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に基づき、第1実施例のデータ線ドライバICについて、256階調の階調表示能力を有し、正極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成を図1に示して説明する。データ線ドライバICは、制御回路21と、ラッチ回路22と、レベルシフト回路23と、インバータ24、25と、電荷回収回路26と、P型ROMデコーダ27と、階調電圧発生回路28と、出力バッファ29とを有している。
【0008】
制御回路21は、クロック信号CLK、ストローブ信号STBおよび判別信号DSが供給され、それに基づき、ラッチ信号LAとスイッチ制御信号SW1、SW2が生成出力される。判別信号DSは、ドライバIC外部、または、内部で生成され、P型ROMデコーダに供給されるn=8ビットの階調データD0〜D7の前後で変化するビット数が、所定ビット数、本実施例では、n=8ビットの半分より多い5ビット、以上の場合“H”レベルとなり、所定数未満、本実施例では4ビット以下、の場合“L”レベルとなる。以下、判別信号DSが“H”レベルの場合と“L”レベルの場合に分けて、ラッチ信号LAとスイッチ制御信号SW1、SW2の生成出力を説明する。尚、ドライバICとして、制御回路21のクロック信号CLK、ストローブ信号STBおよびラッチ信号LAの入出力は、ドライバIC全出力に対して共通入出力であるが、制御回路21の判別信号DSおよびスイッチ制御信号SW1、SW2の入出力は、ドライバIC出力数分の入出力が必要である。
(a)判別信号DSが“H”レベルの場合について、図2(a)を参照して説明する。時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がると、電荷回収回路26に、その時点t1からクロック信号CLKをカウントして、1クロック目の立ち下がり時点t2でスイッチ制御信号SW1のOFF信号(図では、“L”レベルで示す)が出力され、2クロック目の立ち上がり時点t3でスイッチ制御信号SW2のON信号(図では、“H”レベルで示す)が出力され、7クロック目の立ち上がり時点t4でスイッチ制御信号SW2のOFF信号が出力され、7クロック目の立ち下がり時点t5でスイッチ制御信号SW1のON信号が出力される。そして、ラッチ回路22に、8クロック目の立ち下がり時点t6でラッチ信号の“H”レベルが出力され、10クロック目の立ち上がり時点t7でラッチ信号の“L”レベルが出力される。
(b)判別信号DSが“L”レベルの場合について、図2(b)を参照して説明する。時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がっても、電荷回収回路26には、スイッチ制御信号SW1のON信号およびスイッチ制御信号SW2のOFF信号が出力されたままである。そして、ラッチ回路22には、8クロック目の立ち下がり時点t6でラッチ信号の“H”レベルが出力され、10クロック目の立ち上がり時点t7でラッチ信号の“L”レベルが出力される。
【0009】
ラッチ回路22は、第1段から第8段にn=8ビットの階調データD0〜D7が供給され、供給された階調データD0〜D7をラッチ信号LAに同期して同一タイミングで、レベルシフト回路23の第1段から第8段に1水平期間ごとにそれぞれ一括出力する。
【0010】
レベルシフト回路23は、ラッチ回路22から供給された階調データD0〜D7の電圧レベルを高めてインバータ24を介して逆相D0バー〜D7バーで、インバータ24および25を介して正相D0〜D7で電荷回収回路26に1水平期間ごとに出力する。
【0011】
電荷回収回路26は、8段の各段が制御回路21からのスイッチ制御信号SW1、SW2により制御される2個のスイッチSW1a、SW1bと1個のスイッチSW2とで構成されている。スイッチSW1aがインバータ24の出力とP型ROMデコーダ27の入力間に接続されるとともに、スイッチSW1bがインバータ25の出力とP型ROMデコーダ27の入力間に接続され、スイッチSW1aとSW1bの出力間にスイッチSW2が接続されている。以下、判別信号DSが“H”レベルの場合と“L”レベルの場合に分けて、スイッチSW1、SW2の制御動作を説明する。
(a)判別信号DSが“H”レベルの場合について、図2(a)を参照して説明する。スイッチSW1a、SW1bは、スイッチ制御信号SW1のOFF信号が供給される時刻t2からt5までOFF制御され、スイッチSW2は、スイッチ制御信号SW2のON信号が供給される時刻t3からt4までON制御される。(b)判別信号DSが“L”レベルの場合について、図2(b)を参照して説明する。時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がっても、スイッチ制御信号SW1のON信号およびスイッチ制御信号SW2のOFF信号が供給されたままのため、スイッチSW1a、SW1bはON制御、および、スイッチSW2はOFF制御されたままである。
【0012】
P型ROMデコーダ27は、図示しないが、図6に示す6ビット構成のP型ROMデコーダ15を8ビット構成としたもので、図6に示すPチャネルエンハンスメント形トランジスタ1とPチャネルデプレッション形トランジスタ2(常時オン状態)とを所定位置で256行と16列にマトリックス配置している。図6に示すゲート列対4に対応する各ゲート列対にはレベルシフト回路23から液晶表示パネルのデータ線に対応する8ビットの階調データD0〜D7が図6に示すゲート列4aに対応するゲート列に各段のインバータ24およびスイッチSW1aを介して逆相D0バー〜D7バーで供給され、図6に示すゲート列4bに対応するゲート列に各段のインバータ24、25およびスイッチSW1bを介して正相D0〜D7で供給される。P型ROMデコーダ27は、階調電圧発生回路28からの階調数=2の8乗=256階調の正極性階調電圧VP0〜VP255のうち階調データD0〜D7に対応する1つの階調電圧を選択し、出力バッファ29を介してデータ線1出力分の駆動電圧として出力する。
【0013】
次に、上記構成のデータ線ドライバICの動作について説明する。n=8ビットの階調データD0〜D7の各ビットがラッチ回路22の各段に供給され、クロック信号CLK、ストローブ信号STBおよび判別信号DSが制御回路21に供給されている。以下、判別信号DSが“H”レベルの場合と“L”レベルの場合に分けて、動作を説明する。
(a)判別信号DSが“H”レベルの場合について、図2(a)を参照して説明する。時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がると、制御回路21で時刻t2からt5のタイミングでスイッチ制御信号SW1のOFF信号および時刻t3からt4のタイミングでスイッチ制御信号SW2のON信号が生成され、電荷回収回路26に供給される。スイッチ制御信号SW1、SW2が電荷回収回路26に供給されると、スイッチSW1a、SW1bが時刻t2からt5までOFF制御されるとともに、スイッチSW2が時刻t3からt4までON制御されて、時刻t3からt4までROMデコーダ27の各ゲート列対のゲート列間がショートする。ゲート列対は、ショートする前、ゲート列対を構成する2列のゲート列のどちらか一方が“H”レベルおよび他方が“L”レベルであるため、それらのゲート列間がショートすると、“H”レベルのゲート列から“L”レベルのゲート列へ電荷が回収され、各ゲート列は“H”レベルと“L”レベルの中間レベルの電位となる。そして、時刻t6にラッチ信号LAが立ち上がると、その立ち上がりに同期して階調データD0〜D7がレベルシフト回路23の各段に供給される。階調データD0〜D7がレベルシフト回路23に供給されると、レベルシフト回路23で電圧レベルを高め、図6に示すゲート列4aに対応するゲート列に各段のインバータ24およびスイッチSW1aを介して逆相D0バー〜D7バーで供給されるとともに、図6に示すゲート列4bに対応するゲート列に各段のインバータ24、25およびスイッチSW1bを介して正相D0〜D7で供給される。このとき、データが変化する場合、従来例では、ゲート列対を構成する2列のゲート列のどちらか一方が“L”レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルから“L”レベルまで充放電されるが、本発明では、ラッチ動作の前にゲート列の電位を“H”レベルと“L”レベルの中間レベルにしているため、ゲート列のどちらか一方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“L”レベルまでの充放電となり、充放電電流のピークは8ビット全部が変化する場合の半分以下とすることができる。階調データD0〜D7がP型ROMデコーダ27に供給されると、階調電圧発生回路28からの階調数=256階調の正極性階調電圧VP0〜VP255のうち階調データD0〜D7に対応する1つの階調電圧が選択され、出力バッファ29を介して出力される。
(b)判別信号DSが“L”レベルの場合について、図2(b)を参照して説明する。時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がっても、制御回路21から電荷回収回路26にスイッチ制御信号SW1のON信号およびスイッチ制御信号SW2のOFF信号が供給されたままである。そのため、スイッチSW1a、SW1bはON制御、および、スイッチSW2はOFF制御されたままである。そして、時刻t6にラッチ信号LAが立ち上がると、その立ち上がりに同期して階調データD0〜D7がレベルシフト回路23の各段に供給される。階調データD0〜D7がレベルシフト回路23に供給されると、レベルシフト回路23で電圧レベルを高め、図6に示すゲート列4aに対応するゲート列に各段のインバータ24およびスイッチSW1aを介して逆相D0バー〜D7バーで供給されるとともに、図6に示すゲート列4bに対応するゲート列に各段のインバータ24、25およびスイッチSW1bを介して正相D0〜D7で供給される。このとき、ラッチ動作の前にゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせていないので、データが変化する場合、従来例と同様に、ゲート列対を構成する2列のゲート列のどちらか一方が“L”レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルから“L”レベルまで充放電されるが、この場合、変化するのは4ビット以下であり、充放電電流のピークは8ビット全部が変化する場合の半分以下とすることができる。階調データD0〜D7がP型ROMデコーダ27に供給されると、階調電圧発生回路28からの階調数=256階調の正極性階調電圧VP0〜VP255のうち階調データD0〜D7に対応する1つの階調電圧が選択され、出力バッファ29を介して出力される。
【0014】
以上のように、P型ROMデコーダ27に供給される階調データD0〜D7が一水平期間前のデータに対して変化する場合、変化するビット数が所定ビット数以上の場合、ラッチ動作の前にP型ROMデコーダ27の各ゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせる構成とすることにより、ラッチ動作の前に2列のゲート列の電位レベルを“H”レベルと“L”レベルとの中間レベルにしているため、ラッチ動作により階調データD0〜D7がP型ROMデコーダ27に供給されたとき、ゲート列のどちらか一方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“L”レベルまでの充放電となり、充放電電流のピークは8ビット全部が変化する場合の半分以下とすることができ、ICに流れる電源電流のピーク値を抑えることができ、ICが誤動作する虞を低減することができる。
【0015】
次に、第2実施例のデータ線ドライバICについて、256階調の階調表示能力を有し、正極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成を図3に示して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点のみ説明する。図1と異なる点は、制御回路21を制御回路31とした点である。
【0016】
制御回路31は、クロック信号CLK、ストローブ信号STBが供給され、ラッチ信号LAとスイッチ制御信号SW1、SW2が出力される。図4に示すように、時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がると、電荷回収回路26に、その時点t1からクロック信号CLKをカウントして、1クロック目の立ち下がり時点t2でスイッチ制御信号SW1のOFF信号(図では、“L”レベルで示す)が出力され、2クロック目の立ち上がり時点t3でスイッチ制御信号SW2のON信号(図では、“H”レベルで示す)が出力され、7クロック目の立ち上がり時点t4でスイッチ制御信号SW2のOFF信号が出力され、7クロック目の立ち下がり時点t5でスイッチ制御信号SW1のON信号が出力される。そして、ラッチ回路22に、8クロック目の立ち下がり時点t6でラッチ信号の“H”レベルが出力され、10クロック目の立ち上がり時点t7でラッチ信号の“L”レベルが出力される。尚、ドライバICとして、制御回路31のクロック信号CLK、ストローブ信号STB、ラッチ信号LAおよびスイッチ制御信号SW1、SW2の入出力は、ドライバIC全出力に対して共通入出力となる。
【0017】
電荷回収回路26のスイッチSW1a、SW1bは、スイッチ制御信号SW1のOFF信号が供給される時刻t2からt5までOFF制御され、スイッチSW2は、スイッチ制御信号SW2のON信号が供給される時刻t3からt4までON制御される。
【0018】
次に、上記構成のデータ線ドライバICの動作について説明する。n=8ビットの階調データD0〜D7の各ビットがラッチ回路22の各段に供給され、クロック信号CLKおよびストローブ信号STBが制御回路21に供給されている。時刻t1にストローブ信号STBが立ち上がると、制御回路31で時刻t2からt5のタイミングでスイッチ制御信号SW1のOFF信号および時刻t3からt4のタイミングでスイッチ制御信号SW2のON信号が生成され、電荷回収回路26に供給される。スイッチ制御信号SW1、SW2が電荷回収回路26に供給されると、スイッチSW1a、SW1bが時刻t2からt5までOFF制御されるとともに、スイッチSW2が時刻t3からt4までON制御されて、時刻t3からt4までROMデコーダ27の各ゲート列対のゲート列間がショートする。ゲート列対は、ショートする前、ゲート列対を構成する2列のゲート列のどちらか一方が“H”レベルおよび他方が“L”レベルであるため、それらのゲート列間がショートすると、“H”レベルのゲート列から“L”レベルのゲート列へ電荷が回収され、各ゲート列は“H”レベルと“L”レベルの中間レベルの電位となる。そして、時刻t6にラッチ信号LAが立ち上がると、その立ち上がりに同期して階調データD0〜D7がレベルシフト回路23の各段に供給される。階調データD0〜D7がレベルシフト回路23に供給されると、レベルシフト回路23で電圧レベルを高め、図6に示すゲート列4aに対応するゲート列に各段のインバータ24およびスイッチSW1aを介して逆相D0バー〜D7バーで供給されるとともに、図6に示すゲート列4bに対応するゲート列に各段のインバータ24、25およびスイッチSW1bを介して正相D0〜D7で供給される。このとき、データが変化する場合、従来例では、ゲート列対を構成する2列のゲート列のどちらか一方が“L”レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルから“L”レベルまで充放電されるが、本発明では、ラッチ動作の前にゲート列の電位を“H”レベルと“L”レベルの中間レベルにしているため、ゲート列のどちらか一方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“L”レベルまでの充放電となり、充放電電流のピークは8ビット全部が変化する場合の半分以下とすることができる。階調データD0〜D7がP型ROMデコーダ27に供給されると、階調電圧発生回路28からの階調数=256階調の正極性階調電圧VP0〜VP255のうち階調データD0〜D7に対応する1つの階調電圧が選択され、出力バッファ29を介して出力される。
【0019】
以上のように、ラッチ動作の前にP型ROMデコーダ27の各ゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせる構成とすることにより、ラッチ動作の前に2列のゲート列の電位レベルを“H”レベルと“L”レベルとの中間レベルにしているため、ラッチ動作により階調データD0〜D7がP型ROMデコーダ27に供給されたとき、ゲート列のどちらか一方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“L”レベルまでの充放電となり、充放電電流のピークは8ビット全部が変化する場合の半分以下とすることができ、ICに流れる電源電流のピーク値を抑えることができ、ICが誤動作する虞を低減することができる。尚、第2実施例では、P型ROMデコーダ27に供給される階調データD0〜D7が一水平期間前のデータに対して全く変化しない場合、従来例では、ゲート列対を構成する2列のゲート列のどちらか一方が“L”レベルのままおよび他方が“H”レベルのままで、どちらも充放電されないが、本発明では、ラッチ動作の前にゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせて電荷回収を行うことによりゲート列の電位を“H”レベルと“L”レベルの中間レベルにしているため、ゲート列のどちらか一方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“L”レベルまでの充放電となり、充放電電流が流れるが、電流ピークは8ビット全部が変化する場合の半分以下とすることができる。
【0020】
また、上記第1および第2実施例では、正極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成で説明したが、データ線ドライバICは、通常、各データ線に正極性階調電圧と負極性階調電圧を一水平期間ごとに交互に出力するものであり、負極性階調電圧を出力する場合のデータ線1本分の出力構成として、P型ROMデコーダの替わりにN型ROMデコーダで構成され、その場合についても本発明が適用されるのは言うまでもない。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、階調データが供給されるROMデコーダの各ゲート列対を構成する2列のゲート列を、ラッチ動作の前にショートさせて電荷回収する構成とすることにより、ラッチ動作の前に2列のゲート列の電位レベルを“H”レベルと“L”レベルとの中間レベルにしているため、ラッチ動作により階調データがROMデコーダに供給されたとき、ゲート列のどちらか一方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“H”レベルおよび他方が“H”レベルと“L”レベルの中間レベルから“L”レベルまでの充放電となり、充放電電流のピークは全ビットが変化する場合の半分以下とすることができ、ICに流れる電源電流のピーク値を抑えることができ、ICが誤動作する虞を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例であるデータ線ドライバICの要部構成を示すブロック図。
【図2】 図1のデータ線ドライバICの動作を説明する図。
【図3】 本発明の第2実施例であるデータ線ドライバICの要部構成を示すブロック図。
【図4】 図3のデータ線ドライバICの動作を説明する図。
【図5】 従来のデータ線ドライバICの要部構成を示すブロック図。
【図6】 図5のデータ線ドライバICに用いられるP型ROMデコーダの回路図。
【符号の説明】
21、31 制御回路
22 ラッチ回路
23 レベルシフト回路
24、25 インバータ
26 電荷回収回路
27 P型ROMデコーダ
28 階調電圧発生回路
29 出力バッファ

Claims (6)

  1. 一水平期間ごとにnビットの階調データの各ビットが正相および逆相で供給される2列のゲート列からなるn対のゲート列対で構成されたROMデコーダで、階調データに基づき2のn乗の階調数の階調電圧のうちの1つの階調電圧が選択され、この選択された階調電圧により液晶パネルのデータ線を駆動する液晶駆動用半導体集積回路装置において、
    ROMデコーダに階調データが供給される前に前記各ゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせることを特徴とする液晶駆動用半導体集積回路装置。
  2. 前記階調データが一水平期間前の階調データに対してnビットのうち所定ビット以上異なるときのみショートさせることを特徴とする請求項1記載の液晶駆動用半導体集積回路装置。
  3. 一水平期間ごとに常にショートさせることを特徴とする請求項1記載の液晶駆動用半導体集積回路装置。
  4. 一水平期間ごとにnビットの階調データの各ビットが正相および逆相で供給される2列のゲート列からなるn対のゲート列対で構成されたROMデコーダで、階調データに基づき2のn乗の階調数の階調電圧のうちの1つの階調電圧が選択され、この選択された階調電圧により液晶パネルのデータ線を駆動する液晶駆動用半導体集積回路装置において、
    前記各ゲート列対を構成する2列のゲート列への階調データの供給を阻止する第1スイッチと、前記各ゲート列対を構成する2列のゲート列をショートさせる第2スイッチとを有する電荷回収回路を、前記ROMデコーダの前段に設け、
    ROMデコーダに階調データが供給される前に第1スイッチをOFF制御し、このOFF制御の期間に第2スイッチをON制御することを特徴とする液晶駆動用半導体集積回路装置。
  5. 前記階調データが一水平期間前の階調データに対してnビットのうち所定ビット以上異なるときのみ前記第1スイッチをOFF制御および第2スイッチをON制御させることを特徴とする請求項4記載の液晶駆動用半導体集積回路装置。
  6. 一水平期間ごとに常に前記第1スイッチをOFF制御および第2スイッチをON制御させることを特徴とする請求項4記載の液晶駆動用半導体集積回路装置。
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