JP3907721B2 - 2−アラルキルオキシピリジン類の製造法 - Google Patents

2−アラルキルオキシピリジン類の製造法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬および農薬の製造中間体として有用な2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類の製造原料となる、2−アラルキルオキシピリジン類の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬および農薬の製造中間体として有用な2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類の一般的な製造法として、置換ピリジン類より誘導する方法と2−ヒドロキシピリジン環あるいは2(1H)−ピリドン環を合成する方法が挙げられる
【0003】
置換ピリジン類より誘導する方法としては、2−クロロピリジン類を三級アルコール中アルカリで処理することにより2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類を得る方法(独国特許3,814,358)、または、2−クロロピリジン類より得られる2−メトキシピリジン類をナトリウム トリメチルシランチオラートにより2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類へと変換するヘテロサイクルズ(Heterocycles,1993年,323頁)記載の方法が挙げられる。これらの方法において原料となる2−クロロピリジン類は、ピリジン類をテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters,1971年,2807頁)記載の方法により酸化して得られるピリジン N−オキシド類を、ケミストリー オブ ヘテロサイクリック コンパウンズ(Chemistry of Heterocyclic Compounds,14巻,補巻2,1974年)記載の方法により塩素化して得られる。従って、2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類はピリジン類より3工程を経て製造されるため、工程全体としては低収率であり、また、塩素化に用いるオキシ塩化リンの廃液処理が必須である。
【0004】
2−アミノピリジン類を酸性条件下亜硝酸ナトリウムで処理した後に加水分解することにより2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類へと導く方法が知られているが[ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry,1995年,259頁)]、その原料となる2−アミノピリジン類は例えばジャーナル オブ ロシアン フィジカル ケミカル ソサイエティー(Journal of Russian Physical Chemical Society,1915年,835頁)記載のピリジン類のアミノ化により合成されるため、工程全体としては低収率である。
【0005】
ピリジン−2−カルボン酸 N−オキシド類を無水酢酸により酸無水物とした後、アルカリ加水分解するスイス国特許644,847、および、特開昭60−61,567記載の方法が挙げられるが、原料となるピリジン−2−カルボン酸類は例えば2−メチルピリジン類を過マンガン酸塩などの酸化剤により酸化することにより製造されるため[ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry,1946年,14巻,14頁)]、工程全体としては低収率であり、また、酸化剤の廃棄処理が問題となる。さらに、硫酸銅存在下150℃から700℃で加熱することにより3−メチルピリジン類の2位に水酸基を導入する方法がテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters,1977年, 2193頁)、および、ポーランド国特許102,246に記載されているが、実用的な反応ではない。
【0006】
また、2−ベンジルオキシピリジンをエタノール中パラジウム炭素を触媒として用いナトリウムエトキシドで処理することにより2−ヒドロキシピリジンあるいは2(1H)−ピリドンを製造する方法[ジャーナル オブ インディアン ケミストリー セクション B(Journal of Indian Chemistry.,Section B,1984年,295頁)]が知られているが低収率でありより効率の良い製造法が求められている。
【0007】
2−ヒドロキシピリジン環あるいは2(1H)−ピリドン環を合成する方法としては、2−ペンテノン酸メチルとビス(N,N−ジメチルアミノ)メトキシメタンを反応させた後にナトリウムメチラートおよびアンモニアにより処理することにより2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンあるいは5−メチル−2(1H)−ピリドンを製造する方法(欧州特許592,896)、5−オキソヘキサン酸メチルをパラジウム存在下にアンモニアおよび水素と反応させることにより2−ヒドロキシピリジンあるいは2(1H)−ピリドン類を製造する方法(欧州特許123,362)、2,4−ペンタジエナミドをテトラクロロパラジウム(II)酸リチウムで処理することにより2−ヒドロキシピリジンあるいは2(1H)−ピリドン類を製造する方法(特開昭51−143,672、および、ケミストリー アンド インダストリー,1975年,745頁)、および、2,4−ヘキサジエン酸にクロロ炭酸エチルおよびアジ化ナトリウムを作用させることにより得られる1,3−ペンタジエニルイソシアネートを加熱し2−ヒドロキシ−6−メチルピリジンあるいは6−メチル−2(1H)−ピリドンを製造するキミカ セラピューティカ(Chimica Therapeutica,1970年,5巻,6号,416頁)記載の方法が挙げられるが、いずれも低収率であり実用に耐える製造法ではない。
【0008】
本発明者らは、2−ヒドロキシピリジン類を工業的にかつ安価に製造し得る方法について検討した結果、2−アラルキルオキシピリジン類の触媒存在下の接触水素化分解により、2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類が生成することを見いだした。
【0009】
この新たな製造法において原料となる、2−アラルキルオキシピリジン類の製造法としては、2−クロロ−4−メチルピリジンに塩基存在下ベンジルアルコールを作用させることにより2−ベンジルオキシ−4−メチルピリジンへと変換する製造法[ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティー パーキン トランスアクション II(Journal of Chemical Society Perkin Transaction II,1988年, 2791頁)が報告されているが、先に述べたとおり2−クロロピリジン類はピリジン類より2工程を経て製造されるため、全行程としては収率が低く、医薬および農薬の製造中間体としての2−アラルキルオキシピリジン類の工業的製造のためには、より効率の良い製造法の開発が必要とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、医薬および農薬の製造中間体として有用な2−ヒドロキシピリジン類あるいはその互変異性体である2(1H)−ピリドン類の製造原料となる、2−アラルキルオキシピリジン類の製造法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために種々の検討を行った結果、2−アラルキルオキシピリジン類を、特定の方法で得られ2−スルホニルピリジン類から高収率かつ簡便に製造しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、下記の一般式(III)
【化5】
Figure 0003907721
(式中、Rは、低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、または、置換されてもよいアラルキル基を表す。)
で示されるスルホニルシアニドと、下記の一般式(IV)
【化6】
Figure 0003907721
(式中、Rは、アシロキシ基、低級アルキルチオ基、アリールチオ基、または、トリ低級アルキルシロキシ基を表し、Xはメチル基または水素原子を表す。)
で示されるジエンとの反応により得られ、下記の一般式(I)
【0013】
【化7】
Figure 0003907721
【0014】
(式中、R およびXは前記定義のとおりである。)
で示される2−スルホニルピリジン類に、一般式:ROM(式中、Rは置換されてもよいアラルキル基を表し、Mはアルカリ金属原子またはアンモニウム基を表す。)で示されるアラルキルアルコールの塩を作用させることを特徴とする、下記の一般式(II)
【0015】
【化8】
Figure 0003907721
【0016】
(式中、RおよびXは前記定義のとおりである。)で示される2−アラルキルオキシピリジン類の製造法に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
上記一般式中、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。また、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、これらはメチル基、エチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、プロポキシ基などの低級アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などにより適宜置換されていてもよい。そして、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられ、これらはメチル基、エチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、プロポキシ基などの低級アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などにより適宜置換されていてもよい。
【0018】
本発明の2−アラルキルオキシピリジン類の製造法は下記のスキームで示される。
【0019】
【化9】
Figure 0003907721
【0020】
(式中、 R1、R2、および、Xは上記と同じである。 )
【0021】
アラルキルアルコールとしては、ベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、o−ニトロベンジルアルコール、および、p−クロロベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0022】
アルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子などが挙げられ、アンモニウム基としては、アンモニウム基(−NH4)、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム基などのアルキルアンモニウム基、ジ−n−ブチルアンモニウム基などのジアルキルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基などのトリアルキルアンモニウム基、テトラ−n−ブチルアンモニウム基などのテトラアルキルアンモニウム基、ベンジルアンモニウム基などのアラルキルアンモニウム基、ジベンジルアンモニウム基などのジアラルキルアンモニウム基、ベンジルメチルアンモニウム基などのアラルキルアルキルアンモニウム基、ベンジルジメチルアンモニウム基などのアラルキルジアルキルアンモニウム基、そして、ベンジルトリメチルアンモニウム基などのアラルキルトリアルキルアンモニウム基が挙げられる。
【0023】
アラルキルアルコールの塩として、好ましくはアルカリ金属塩が用いられ、より好ましくはナトリウム塩が用いられる。アラルキルアルコールの塩は、常法に従い、アラルキルアルコールと対応するアルカリ金属またはアンモニウム塩との反応、あるいは、アラルキルアルコールと対応する低級アルコールの塩との塩交換反応などによって製造しうる。塩は単離して用いることもできるが、簡便にはアラルキルアルコール溶液として用いることができる。
【0024】
反応に際して、溶媒を用いることもできる。溶媒としては反応に関与しないものであればいかなるものでも用いうるが、例えば、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0025】
反応は、一般に、20℃から120℃で行われ、より好ましくは、60℃から80℃で行われる。
【0026】
本発明の製造法における出発物質である一般式(I)で示される2−スルホニルピリジンは、シンセシス(Synthesis,1989年,623頁)記載の方法、あるいは、下記の反応により製造することができる(参考例1〜5参照)。
【0027】
【化10】
Figure 0003907721
【0028】
(式中、 R1、R2、および、Xは上記と同じであり、 R3は、アシロキシ基、低級アルキルチオ基、アリールチオ基、または、トリ低級アルキルシロキシ基を表す。)
【0029】
上記一般式中、アシロキシ基としてはアセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられ、低級アルキルチオ基としてはメチルチオ基、プロピルチオ基などが挙げられる。また、アリールチオ基としてはフェニルチオ基、2−ナフチルチオ基などが挙げられ、トリ低級アルキルシロキシ基としてはトリメチルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基などが挙げられる。
【0030】
出発物質である化合物(III)は、対応するスルフィン酸ナトリウムよりオーガニック シンセシス(Organic Synthesis,57巻,88頁,1977年)記載の方法で得ることができる。他方の出発物質である化合物(IV)は、例えば、インダストリアル アンド エンジニアリング ケミストリー(Industrial and Engineering Chemistry,41巻,12号,2920頁,1949年)記載の方法で得ることができる。
【0031】
上記一般式(III)で示されるスルホニルシアニドと上記一般式(IV)で示されるジエンとの反応は、ディールス−アルダー反応条件下に行うことができ、溶媒および重合禁止剤の存在下、あるいは、非存在下に一般に、20℃から120℃で行われ、より好ましくは60℃から100℃で行われる。
【0032】
重合禁止剤としては、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール類、ヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノンなどのヒドロキノン類、1−ナフトール、2−ナフトールなどのナフトール類、そして、カテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのカテコール類などが挙げられる。重合禁止剤の添加量はジエンの重量の10ppmから1,000ppmであり、好ましくは100ppmから500ppmである。溶媒としては反応に関与しないものであればいかなるものでも用いうるが、例えば、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
【0033】
本発明の製造法で得られる2−アラルキルオキシピリジン類は、触媒存在下の水素化分解反応により、2−ヒドロキシピリジン類あるいはその互変異性体である2(1H)−ピリドン類に簡便に変換される(参考例6、7参照)。
【0034】
【発明の効果】
本発明の方法により、2−アラルキルオキシピリジン類を、2−スルホニルピリジン類から高収率かつ安価に製造することができる。本製造法により得られる2−アラルキルオキシピリジン類は、触媒存在下水素化分解反応に付することにより、医薬、農薬の製造中間体である2−ヒドロキシピリジン類あるいは2(1H)−ピリドン類に簡便に変換しうる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および参考例により本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0036】
参考例1
5−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンの合成
【0037】
【化11】
Figure 0003907721
【0038】
室温下、4−メトキシフェノール(5.2mg,0.04mmol)を加えた1−アセトキシイソプレン(17.3g,137.1mmol)にベンゼンスルホニルシアニド(14.4g,85.7mmol)を加え80℃で1時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え溶液をアルカリ性とし室温まで放冷した後、生じた固体を水(200ml)で二度洗浄し、続いて、ジエチルエーテル(200ml)で洗浄し、減圧下に溶媒を溜去することにより下記の物性値を有する5−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンを白色固体(19.0g,収率95.2%)として得た。
【0039】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ :2.40(s,3H,−CH3),7.52−7.60(m,3H,Ar−H),7.70(dd,1H,J=1.8,8.6Hz,H−4),8.03−8.07(m,2H,Ar−H),8.09(d,1H,J=8.6Hz,H−3),8.49(d,1H,J=1.8Hz,H−6)
CIMS(m/z):234(M++1),169(M+−SO2
融点:118℃〜120℃
【0040】
参考例2
5−メチル−2−メチルスルホニルピリジンの合成
【0041】
【化12】
Figure 0003907721
【0042】
参考例1においてベンゼンスルホニルシアニドに代えメタンスルホニルシアニドを用いることにより下記の物性値を有する5−メチル−2−メチルスルホニルピリジンを白色固体(収率69.3%)として得た。
【0043】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ :2.47(s,3H,−CH3), 3.21(s,3H,−SO2−CH3),7.75(dd,1H,J=1.9,8.0Hz,H−3),7.99(d,1H,J=8.0Hz,H−3),8.56(d,1H,J=1.9Hz,H−6)
融点:85.5℃〜86.5℃
【0044】
参考例3
4−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンの合成
【0045】
【化13】
Figure 0003907721
【0046】
参考例1において1−アセトキシイソプレンに代え1−アセトキシ−3−メチル−1,3−ブタジエンを用いることにより下記の物性値を有する4−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンを白色固体(収率85.0%)として得た。
【0047】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ :2.47(s,3H,−CH3),7.25(dd,1H,J=1.6,4.8Hz,H−5),7.53−7.62(m,3H,Ar−H),8.04−8.08(m,2H,Ar−H),8.10(d,1H,J=1.6Hz,H−3),8.52(d,1H,J=4.8Hz,H−6)
融点:128℃〜129℃
【0048】
参考例4
6−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンの合成
【0049】
【化14】
Figure 0003907721
【0050】
参考例1において1−アセトキシイソプレンに代え4−アセトキシ−1,3−ペンタジエンを用いることにより下記の物性値を有する6−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンを黄色半固体(収率25.8%)として得た。
【0051】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ :2.74(s,3H,−CH3), 7.35(dd,1H,J=4.6,7.4Hz,H−4),7.57(dd,1H,J=1.2,7.4Hz,H−3),7.61−7.64(m,3H, Ar−H),8.00−8.04(m,2H,Ar−H),8.40(dd,1H,J=1.2,4.6Hz,H−5)
IR(KBr)νmax / cm-1:3075,1760,1455,1315(SO2),1165(SO2),730,600
【0052】
参考例5
2−フェニルスルホニルピリジンの合成
【0053】
【化15】
Figure 0003907721
【0054】
参考例1において1−アセトキシイソプレンに代え1−アセトキシ−1,3−ブタジエンを用いることにより下記の物性値を有する2−フェニルスルホニルピリジンを白色固体(収率85.5%)として得た。
【0055】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ :7.48(dt,1H,J=1.8,7.7Hz,H−4),7.54−7.62(m,3H, Ar−H),7.65(dt,1H,J=1.6,7.7Hz,H−5),8.05−8.10(m,2H,Ar−H),8.22(dd,1H,J=1.6,7.7Hz,H−3),8.67(dd,1H,J=1.8,7.7Hz,H−6)
融点:91.5℃〜92.5℃
【0056】
実施例1
2−ベンジルオキシピリジンの合成
【0057】
【化16】
Figure 0003907721
【0058】
室温下、2−フェニルスルホニルピリジン(5.0g,22.8mmol)のテトラヒドロフラン(300ml)溶液に、ナトリウム ベンジラートのベンジルアルコール溶液(1.5M,16.7ml,25.1mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を室温まで放冷後、析出したベンゼンスルフィン酸ナトリウムを濾過し、濾液を水、飽和食塩水で洗浄した後、減圧蒸留に付しベンジルアルコールを溜去することにより、残査として下記の物性値を有する2−ベンジルオキシピリジン(3.1g,16.8mmol,収率73.8%)を無色液体として得た。
【0059】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ:5.38(s,2H,−CH2−Ph),6.81(dd,1H,J=1.8,7.7Hz,H−3),6.92(dt,1H,J=1.8,7.7Hz,H−5),7.31−7.50(m,5H,Ar−H),7.59(dt,1H,J=1.9,7.7Hz,H−4),8.18(dd,1H,J=1.9,7.7Hz,H−6)
EIMS(m/z):185(M+),91(PhCH2 +),79(C55+
IR(KBr)νmax / cm-1:3050,1610,1570,1480,1440
【0060】
実施例2
4−メチル−2−ベンジルオキシピリジンの合成
【0061】
【化17】
Figure 0003907721
【0062】
実施例1において2−フェニルスルホニルピリジンに代え4−メチル−2−フェニルスルホニルピリジンを用いることにより下記の物性値を有する4−メチル−2−ベンジルオキシピリジンを無色液体(収率91.3%)として得た。
【0063】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ:2.30(s,3H,−CH3),5.36(s,2H,−CH2−Ph),6.63(d,1H,J=0.9Hz,H−3),6.72(dd,1H,J=0.9,5.3Hz,H−5),7.30−7.48(m,5H,Ar−H),8.03(d,1H,J=5.3Hz,H−6)
EIMS(m/z):199(M+),91(Ph−CH2 +),79(C55+
IR(KBr)νmax / cm-1:3075,1750,1620,1570,1460,1425
【0064】
参考例6
2(1H)−ピリドン(2−ヒドロキシピリジン)の合成
【0065】
【化18】
Figure 0003907721
【0066】
窒素雰囲気下、2−ベンジルオキシピリジン(4.4g,23.8mmol)のメタノール(50ml)溶液にパラジウム−炭素(10%w/w,440mg,10wt%)を加え、水素1気圧下、25℃において接触水素化分解反応を行った。反応器を窒素置換した後、触媒を濾別し、濾液を濃縮することにより下記の物性値を有する2(1H)−ピリドン(1.64g,19.3mmol,収率81.1%)を白色固体として得た。
【0067】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ:6.29(dt,1H,J=1.0,7.7Hz,H−5),6.59(dd,1H,J=1.0,7.7Hz,H−3),7.38(dt,1H,J=2.1,7.7Hz,H−4),7.48(dd,1H,J=2.1,7.7Hz,H−6),13.09(br−s,1H,−NH−CO)
EIMS(m/z):95(M+
融点:103℃〜105℃
【0068】
参考例7
4−メチル−2(1H)−ピリドン(2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン)の合成
【0069】
【化19】
Figure 0003907721
【0070】
参考例6において2−ベンジルオキシピリジンに代え4−メチル−2−ベンジルオキシピリジンを用いることにより下記の物性値を有する4−メチル−2(1H)−ピリドンを白色固体(収率89.8%)として得た。
【0071】
1H NMR(200MHz,CDCl3)δ:2.22(s,3H,−CH3),6.12(dd,1H,J=1.6,6.8Hz,H−5),6.37(d,1H,J=1.6Hz,H−3),7.24(d,1H,J=6.8Hz,H−6),13.10(br−s,1H,−NH−CO)
EIMS(m/z):109(M+
融点:127℃〜131℃

Claims (1)

  1. 下記の一般式(III)
    Figure 0003907721
    (式中、Rは、低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、または、置換されてもよいアラルキル基を表す。)
    で示されるスルホニルシアニドと、下記の一般式(IV)
    Figure 0003907721
    (式中、Rは、アシロキシ基、低級アルキルチオ基、アリールチオ基、または、トリ低級アルキルシロキシ基を表し、Xはメチル基または水素原子を表す。)
    で示されるジエンとの反応により得られ、下記の一般式(I)
    Figure 0003907721
    (式中、RおよびXは前記定義のとおりである。)
    で示される2−スルホニルピリジン類に、一般式:ROM(式中、Rは置換されてもよいアラルキル基を表し、Mはアルカリ金属原子またはアンモニウム基を表す。)で示されるアラルキルアルコールの塩を作用させることを特徴とする、下記の一般式(II)
    Figure 0003907721
    (式中、RおよびXは前記定義のとおりである。)で示される2−アラルキルオキシピリジン類の製造法。
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