JP3907465B2 - プラスチック・スキージ、及び該プラスチック・スキージを備えたスクリーン印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被印刷基板を覆った開口部を有するスクリーン上を摺動し、前記スクリーン上に置かれた印刷剤をスキージング(拡布)して前記開口部に所定量の印刷剤を充填するスキージ、及び該スキージを使用して被印刷基板上に印刷剤を転写するスクリーン印刷装置に関し、より具体的にはプリント基板にクリーム半田を転写するためのスキージ、及び該スキージを備えたクリーム半田印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子機器におけるプリント基板は、電子部品実装前に電極、ランド等にクリーム半田印刷を行ない、その上に電子部品を載せ、その後加熱により前記クリーム半田を溶かして電子部品の端子部を接合している。
【0003】
図6は、クリーム半田印刷装置の全体概要を示す。図において、クリーム半田印刷装置10は、プリント基板を装置内に搬入して保持する基板搬入保持部11と、搭載したスキージを移動させてプリント基板上にクリーム半田を印刷するヘッド部12と、ヘッド部12を図のY方向に搬送するロボット13とから主に構成されている。ヘッド部12にはスキージ・アセンブリ14が取り付けられ、スキージ・アセンブリ14は、基板搬入保持部11から搬入された図示しないプリント基板が位置決め固定されているスクリーンの上を図のY方向に往復移動し、プリント基板にクリーム半田を転写して印刷する。
【0004】
図7は、ヘッド部12に取り付けられたスキージ・アセンブリ14と、プリント基板16、スクリーン18との関係の概要を示す。図において、すでに回路網を形成したプリント基板16が、クリーム半田印刷装置10内に搬入され、回路を構成する電子部品の電極やランド等に対応して開口部17を開けたスクリーン18の下面に位置決め固定される。スクリーン18の上にクリーム半田19が置かれた後、スキージ・アセンブリ14がスクリーン18の表面に所定圧力で押し付けられ、図のY方向に移動してクリーム半田19をスキージングし、スクリーン18の開口部17からクリーム半田19がプリント基板16上に供給され、所定位置に所要厚の半田層が形成される。その後、印刷された半田層に、図示しない電子部品の端子を接合させ、リフロー炉内において加熱によって半田層を溶融後、冷却して半田を硬化させ、電子部品の端子をプリント基板16に接着させる。
【0005】
図8は、スキージ・アセンブリ14を、その長手方向の中央部分で切断した断面を示している。図示のように、スキージ・アセンブリ14は、スキージ21と、ホルダ22と、ホルダ・カバー23とから主に構成され、スキージ21はホルダ22とホルダ・カバー23との間に挟まれて固定されている。スキージ21は図示の形状が図面に垂直方向に所定長さ延びた帯状を呈し、その1つのエッジ部24がスクリーン18の表面に線接触(接触部は図面に垂直な方向に延びる)している。
【0006】
以上のように構成されたスキージ・アセンブリ14の動作時、エッジ部24をスクリーン18に線接触させて当接した状態のスキージ・アセンブリ14が、図の下方に向けて所定圧力を加えられ、ヘッド部12が移動することによって矢印25に示す方向にエッジ部24がスクリーン18上を摺動し、これによってスクリーン18上に置かれたクリーム半田19をスキージングして開口部17へ充填する。プリント基板16はスクリーン18の下面に位置決め固定されているため、開口部17に充填されたクリーム半田19はプリント基板16上に転写され、印刷される。
【0007】
クリーム半田19の充填を円滑にするため、スキージ21は、図のようにスクリーン18に対してやや傾斜して(例えば、スクリーン面に対して約60°傾斜して)取り付けられている。矢印25に示す方向に移動して印刷を終えたスキージ21は上方に引き上げられ、次に反対側に傾斜した同一又は別のスキージ・アセンブリ14が下降してスキージ21のエッジ部24をスクリーン18に接触させ、これを矢印25と反対の方向に移動させることにより次のプリント基板16へのクリーム半田19の印刷を行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
スキージ21の材質は、スクリーン18上を摺動するに十分な耐摩耗性、クリーム半田などの印刷剤に対する耐溶剤性などが要求され、従来では一般にウレタンゴムが使用されている。スキージ21の材質が硬すぎる場合にはスクリーン18に接触するエッジ部24がスクリーン18表面の湾曲や波打ちに追従せずにクリーム半田のスキージング洩れを生じ、また柔らかすぎる場合にはクリーム半田19の充填圧力にスキージ21が負けてしまい、エッジ部24からクリーム半田がくぐり抜けてスキージング洩れを生ずる。このため、通常はゴム硬度90°ほどの硬質のウレタンゴムが使用されている。このゴム硬度は、現状ではウレタンゴムによって得られる実用上最も高い硬度である。
【0009】
スキージ21の材料としてこのようなウレタンゴムを使用した場合、図9に示すように、ウレタンゴムの弾性によってスクリーン18の開口部17内にスキージ21のエッジ部24が撓んで入り込み、そのままの状態でエッジ部24が移動することによって開口部17内に充填されるべきクリーム半田19が掻き取られ、所定量のクリーム半田が転写できないという現象が生じる。
【0010】
この問題を解決するため、メタル(スチール)製のスキージが提案されている。図10はこのメタル・スキージを備えたスキージ・アセンブリ14aを示したもので、図において、薄板からなるメタル・スキージ27がウレタンゴム製のバックアップ材28と共にホルダ22とホルダ・カバー23との間に固定され、スクリーン18に対してはこのメタル・スキージ27のエッジ部24aのみが接するよう構成されている。このような構成とすることにより、メタル・スキージ27の縦弾性係数がウレタンゴム製のスキージ21に比較してはるかに大きいことから(ウレタンゴムの8N/mm2に対し、メタル・スキージは210,000N/mm2)、メタル・スキージ27のエッジ部24aが弾性変形して開口部17内へ入り込むことはほとんどなく、したがって開口部17からのクリーム半田19の掻き取りを最小限に抑えることができる。
【0011】
ところで、メタル・スキージ27を厚板とした場合にはその高い剛性のためにプリント基板16もしくはその上を覆うスクリーン18の湾曲や波打ちにメタル・スキージ27のエッジ部24aが追従できなくなり、クリーム半田19のスキージング洩れを生ずる。このため、メタル・スキージ27は一般に薄板状(例えば、約0.5mm)に形成され、必要な柔軟性を確保すると共に、この薄板状のメタル・スキージ27にバックアップ材28を重ね合わせて配置することにより、スキージ・アセンブリ14a全体として必要な強度、剛性を保っている。
【0012】
しかしながら、このようなメタル・スキージ27を使用した場合、上述のようにクリーム半田19の掻き取り現象は回避されるものの、メタル・スキージ27が摺動する相手側のスクリーン18が通常はステンレス鋼で形成されているため、印刷時にメタル・スキージ27とスクリーン18との間でメタル同士が摺動することとなり、スクリーン18の損傷が激しくなるという問題が生ずる。スクリーン18が損傷すると印刷品質が低下し、この取替えのために生産効率が低下し、コスト的に不利益が生ずるなどの要因となる。
【0013】
したがって本発明は、上述の問題を解消し、スクリーンの開口部内に充填された印刷剤(クリーム半田)を掻き取ることなく、スクリーンもしくは被印刷基板の湾曲や波打ちにも追従できる十分な柔軟性を備え、かつ、スクリーンの激しい損傷を回避することができる印刷用スキージ、及び該スキージを備えたスクリーン印刷装置、クリーム半田印刷装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、スキージの材料としてプラスチックを使用することにより上述の課題を解決するもので、具体的には以下の内容を含む。なお、本明細書において「プラスチック」という場合には、ウレタンゴムなどのゴム状弾性を有する物質(エラストマ)は含まれない。ゴムは一般に、室温(18〜29℃)においてその長さを2倍に延ばして1分間保持した後に解放し、1分以内に元の長さの1.5倍以下に収縮する性質を有するものと定義されており、本明細書でいうプラスチックにはそのような弾性体は含まれない。
【0015】
本発明にかかる1つの態様は、開口部を有するスクリーン上を摺動し、前記スクリーン上に置かれた印刷剤をスキージングして前記開口部に印刷剤を充填させる帯状のスキージであって、プラスチック材料により形成されていることを特徴とするスキージに関する。前記プラスチック材料で形成されたスキージは、プラスチック板を切断、もしくは打ち抜き加工して容易に形成することができる。前記プラスチック材料としては、縦弾性係数が1,000N/mm2から10,000N/mm2の範囲、好ましくは4,000N/mm2から6,000N/mm2の範囲にあるもので、具体的にはポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、超高分子ポリエチレンからなる群の中から選択され得る。
【0016】
本発明にかかる他の態様は、単数もしくは複数のバックアップ材と重ね合わせて使用されることを特徴とする、プラスチック材料より形成されたスキージに関する。前記バックアップ材の材料としては、プラスチック材料あるいは金属材料のものを任意に組み合わせて使用可能である。この内、プラスチック材料としてはポリアミドが、金属材料としてはステンレス鋼が使用可能である。前記バックアップ材の前記スクリーンに対向する縁が、前記スクリーンに対して前記スキージの先端よりも後退する出しろを設けた状態で前記スキージと前記バックアップ材とを重ね合わせることで、スクリーンの湾曲や波打ちに追従する柔軟性をスキージに持たせることができる。
【0017】
本発明にかかるさらに他の態様は、被印刷基板を搬入して位置決め固定する基板搬入保持部と、スキージを保持するヘッド部と、前記ヘッド部を移動させるロボットとから構成され、開口部を有するスクリーン上に置かれた印刷剤を、前記スクリーン上を摺動する前記スキージによりスキージングして前記開口部に充填させ、前記スクリーンの下面に位置決め固定された前記被印刷基板上に印刷剤を転写して印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージが、上述した構成にかかるプラスチック・スキージであることを特徴とするスクリーン印刷装置に関する。
【0018】
前記スクリーン印刷装置は、前記構成要素の内の被印刷基板としてプリント基板を、印刷剤としてクリーム半田を使用するクリーム半田印刷装置であってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるスキージ、及び該スキージを備えたクリーム半田印刷装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、従来技術で説明した構成要素と同一の構成要素に対しては、同一の符号を付するものとする。図1は、本実施の形態にかかるスキージ・アセンブリ1を示している。このスキージ・アセンブリ1を備えたクリーム半田印刷装置の全体構成は、図6を参照して説明した従来技術にかかるクリーム半田印刷装置と同様であるため、以下は本実施の形態にかかるスキージ・アセンブリ1の構成を主体に説明する。
【0020】
図1において、本実施の形態に係るスキージ・アセンブリ1は、プラスチック材料から形成されたスキージ2と、スキージ2に重ね合わされてこれを補強するバックアップ材3と、これらスキージ2、バックアップ材3を共に挟持して固定するホルダ22及びホルダ・カバー23とから構成されている。スキージ2は図面に垂直な方向に所定長さ延びた帯状を呈し、その1つのエッジ部4がスクリーン18に線接触(接触部は図面に垂直方向に延びる)している。この状態でスキージ2がスクリーン18上を摺動し、スクリーン18上に置かれたクリーム半田19をスキージングしてスクリーン18の開口部17にこれを充填し、スクリーン18の下面に位置決め固定されたプリント基板16に前記充填したクリーム半田19を転写して印刷する。
【0021】
スキージ2を構成するプラスチック材料は、耐摩耗性、耐溶剤性に優れ、スクリーン18の材料(一般にステンレス鋼)を損傷することなく、かつ、縦弾性係数がウレタンゴムより高いものであることが好ましい。本実施の形態における実施例では、0.8mm厚のポリアミドイミド板材を加工し、スキージとして使用している。ポリアミドイミドは、上述のいずれの条件をも満たし、かつ加工が容易であることから、例えば市販のポリアミドイミドの薄板を切断し、もしくは打ち抜き、必要に応じてスクリーン18との接触面となるエッジ部4を研削などの機械加工で形成することによって容易に入手することができる。
【0022】
但し、本実施の形態にかかるプラスチック材料からなるスキージ2は、このポリアミドイミド板材を利用したものに限定されず、上述の条件が満たされるものであれば他のプラスチック材料を使用しても勿論よい。代替の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、超高分子ポリエチレンなどが使用可能である。
【0023】
次に、バックアップ材3の材料としては、プラスチック・スキージ2を補強し得る十分な強度を有し、かつ耐溶剤性に優れたものが好ましく、本実施の形態における実施例ではプラスチック材料、より具体的にはポリアミドを使用している。スキージ2は一般に、スクリーン18の面に対して約0.5N/mmほどの圧力で押し付けられるため、薄板のプラスチック・スキージ2のみではこれに対する十分な強度を有していない場合がある。この強度不足の状態で印刷動作を行うとクリーム半田19の充填圧力にスキージ2が負けてしまい、クリーム半田19のスキージング洩れが発生するため、バックアップ材3を使用してこれを補強している。すなわち、バックアップ材3はスキージ2を補強するためのものであってスクリーン18に直接接触することがない。このためスキージ2ほどの耐摩耗性はバックアップ材3には要求されず、スキージ2に対してより安価な材料を選択することができる。
【0024】
図1において、バックアップ材3のスクリーン18に対向する先端部は、スクリーン18に対してスキージ2の先端よりも後退しており、これによってバックアップ材3がスキージ2に被さっていない領域(以下、これを「出しろ」という。)Aが設けられている。これは、スクリーン18やプリント基板16の湾曲、波打ちに対してスキージ2が良好に追従し得るよう柔軟性を持たせるためであり、ユーザはこの出しろAを印刷条件に合せて適切に選択することができる。例えば、厚さ0.8mmのポリアミドイミド製スキージ2を使用した場合、スクリーン18に対する傾斜が60°、スキージ2のスクリーン18上での移動速度を100mm/秒未満とした場合、出しろAは約5mm、同じくスキージ2の移動速度を100mm/秒以上とした場合、出しろAは約1mmにセットすることが好ましい。
【0025】
さらに本願発明者らが、厚さ0.5mmのメタル・スキージと厚さ0.8mmのプラスチック・スキージとを使用して行った比較テストによれば、メタル・スキージによるスクリーン開口部17へのクリーム半田19の充填率(後述する転写率)を1とした場合、これに対するプラスチック・スキージを使用したときの充填率の比率は、出しろAが0.5mmから20mmの間の幅で0.98から1.00を示した。すなわち、プラスチック・スキージは、ほぼメタル・スキージに匹敵するクリーム半田の充填率が得られるという結果を得た。
【0026】
バックアップ材3は、出しろAを設けた後、スクリーン18から離れる方向に板厚が順次増す傾斜部Bと、板厚一定となる厚板部Cとを有している。傾斜部Bの長さ(すなわち、傾斜部の勾配)は使用条件に応じて0(傾斜部なし)から任意の大きさとすることができる。このように、印刷条件に応じて同一のスキージ2を用いながらスクリーン18への追従性が調整できる特性は、従来のウレタンゴム一体型のスキージでは得られなかった本発明特有の効果といえる。
【0027】
図2は、以上のように構成されたプラスチック・スキージ2を用いてクリーム半田印刷を行った場合のスクリーン18の開口部17へのクリーム半田充填率を、他の材料のスキージを使用した場合の充填率と比較したものである。図において、縦軸の半田転写率は、
充填質量/(スクリーン開口部容積×クリーム半田密度)×100
で表される。すなわち、この半田転写率が高いほど開口部17からの半田の掻き取り量が少ないことを意味し、半田転写率100%の場合には開口部17がクリーム半田19で丁度満たされた状態となる。
【0028】
図の横軸は、スクリーン18上のクリーム半田19をスキージ2で全て移動させ得る時のスキージ2の押し下げ圧を基準の0g/mm(スキージ2のエッジ部4の長さに対する押し下げ力の比率)とした場合の相対的押し下げ力(印圧)を示している。
【0029】
図2からも明らかなように、本実施例のポリアミドイミド製のスキージ2を利用した場合、従来技術によるウレタンゴムのスキージに比較してはるかに高い半田転写率を示し、その値はメタル・スキージに匹敵するものとなっている。さらにプラスチック・スキージ2はメタル・スキージに比較して硬度が低いためにスクリーン18を損傷させることが少なく、しかもプラスチック・スキージ2自身の耐久性も優れているため、スクリーン18、スキージ2のいずれもが長期間の繰り返し使用に耐えることができる。
【0030】
図3は、本実施の形態の実施例で使用するポリアミドイミドの縦弾性係数を、他のスキージ材料の縦弾性係数と比較したものである。クリーム半田の掻き取り現象を回避するには、ウレタンゴムに比較してできるだけ高い縦弾性係数を有することが有利である。すなわち、スキージに使用されるプラスチック材料の縦弾性係数をE N/mm2とした場合、Eは:
1,000 < E < 10,000
を満足するものであることが好ましく、さらには
4,000 < E < 6,000
を満足するものであることがより好ましい。
【0031】
図4は、本実施の形態の代替となる他の態様のスキージ・アセンブリを示している。図において、本態様のスキージ・アセンブリ1aは、プラスチック・スキージ2と、金属材料製の第1のバックアップ材3aと、プラスチック製の第2のバックアップ材3bとが重ね合わされ、これらが共にホルダ22及びホルダ・カバー23に挟持して固定されている。いずれのバックアップ材3a、3bも耐溶剤性に優れたものが好ましく、これらを重ね合わせることによってプラスチック・スキージ2に所望の強度と剛性を与えることができるものを選択する。
【0032】
本代替案の実施例では、第1のバックアップ材3aの材料としてステンレス鋼を、第2のバックアップ材3bとしてポリアミドを使用しているが、これに限定するものではない。また、図示の例ではプラスチック・スキージ2と第1のバックアップ材3aとの間には、上述した適切な大きさの出しろAを、また第1、第2のバックアップ材3a、3bの間にはスクリーン18から離れる方向に段差部Bがそれぞれ設けられている。これらA、Bの長さは使用条件に応じて任意に選択することができる。また、各バックアップ材3a、3bには板厚が変化する傾斜部を設けるようにしてもよい。
【0033】
なお、図4に示すスキージ・アセンブリ1aのバックアップ材の組合せは単なる1例であって、プラスチック・スキージ2を適切に補強するために任意の組合せを利用することができる。例えば、スキージ2に重なる第1のバックアップ材をプラスチック製とし、第2のバックアップ材を金属製としてもよい。また、これらのバックアップ材のいずれか、もしくは双方の数をさらに増やすことであってもよい。要は薄板状のプラスチック・スキージ2を補強し、かつスクリーン18に接するプラスチック・スキージ2がプリント基板16やスクリーン18の湾曲・波打ちに追従できる十分な柔軟性を保つことができる構成が実現されるものであればよい。
【0034】
図5は、本実施の形態の代替となるさらに他の態様を示している。図において、本代替案では、プラスチック・スキージ2bがバックアップ部分も含めて一体に形成されている。図示のプラスチック・スキージ2bの例では、これまでの態様で説明した出しろに相当する薄板部Aと、バックアップの板厚が増加する傾斜部Bと、板厚が一定となる厚板部Cとから形成されている。これら各部分A、B、Cのそれぞれの長さ、傾斜部Bの勾配などの構成は印刷条件によって任意の組み合せに変更が可能である。また、例えば薄板部Aを設ける代わりに、傾斜部Bの板厚変化を直線的ではなく凹状に曲線的に増加するような断面形状とし、この曲線的に厚さが増加する部分で出しろAと同等の効果を持たせるようにしてもよい。
【0035】
本代替の態様によれば、先に説明した態様におけるスキージ2とバックアップ材3(3a、3b、…)との複数の部材を位置合わせしてホルダ22に取り付ける煩わしさがなくなり、特に、安価な樹脂材を使用してスキージ2aを形成する場合には有利となる。また、このようにスキージを一体型とする態様は、メタル・スキージであった場合には剛性が高すぎてスクリーンに追従する柔軟性を保つことができず、またウレタンゴムであった場合には低い縦弾性係数のためにクリーム半田のスキージング洩れや開口部内からの掻き取りが激しくなって安定した印刷を得ることができない。したがって本代替案は、両者の中間的な性質を持つプラスチック・スキージによって初めて実現可能となる構成である。
【0036】
なお、本実施の形態における各態様において、スキージとバックアップ材(バックアップ部)との合計の厚さを従来のウレタンゴム製スキージの厚さと同一とすれば、従来技術によるウレタンゴム製スキージ用のホルダ22、ホルダ・カバー23との互換性が保たれて好ましい。あるいは逆に、薄板のスキージのみで十分な強度、合成を持ち、かつスクリーンの湾曲・波打ちに追従し得る柔軟性を備えている場合においては、バックアップ材もしくはバックアップ部を用いず、単なる薄板状のスキージのみを使用することであっても良い。
【0037】
以上、本発明の実施の形態にかかる各種プラスチック・スキージについて述べてきたが、本実施の形態は、これらのプラスチック・スキージを備えたクリーム半田印刷装置をも包含している。このようなクリーム半田印刷装置によれば、従来のウレタンゴム製スキージを備えた印刷装置と比較した場合、スクリーン開口部からのクリーム半田の掻き取りが少なく、安定した品質のクリーム半田印刷を実現することができる。また、メタル製スキージを備えた印刷装置と比較した場合、メタル接触によるスクリーンの損傷を回避することができ、スクリーン寿命を向上させ、コスト削減につなげることができる。本発明にかかるクリーム半田印刷装置は、上述した通りスキージ部分の構成が異なるのみで、その全体概要は図6を参照して説明した従来技術にかかるクリーム半田印刷装置と同様である。
【0038】
さらに、上述のプラスチック・スキージの実施の形態では、クリーム半田印刷に使用される場合を例にして説明しているが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、接着剤、インキ等を塗布する他のスクリーン印刷に適用しても同様の効果を奏することができる。したがって、本発明は、上述の実施の形態で説明した各プラスチック・スキージを備えたスクリーン印刷装置をも包含している。この場合、スクリーン上には接着剤やインキ等の印刷剤が塗布され、またスクリーンの下面にはこれらの印刷材を塗布すべき被印刷基板が位置決め固定される。
【0039】
【発明の効果】
本発明にかかるプラスチック・スキージの実施によれば、スクリーン印刷時におけるクリーム半田などの印刷剤の掻き取り現象を回避でき、スクリーンの湾曲や波打ちにも追従し、かつ耐久性に優れたスキージを提供することができる。
【0040】
また、本発明にかかるプラスチック・スキージを備えたクリーム半田印刷装置などのスクリーン印刷装置の実施によれば、転写率の高い高品質の印刷が可能であり、かつスキージの優れた耐久性とスクリーンの損傷回避により生産効率を向上させる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる実施の形態のプラスチック・スキージを示す側面断面図である。
【図2】 本発明にかかる実施の形態のプラスチック・スキージと、他の材料のスキージとの半田転写率の比較を表す表である。
【図3】 本発明にかかる実施の形態のプラスチック・スキージと、他の材料のスキージとの縦弾性係数の比較を表す表である。
【図4】 本発明にかかる実施の形態のプラスチック・スキージの他の態様を示す側面断面図である。
【図5】 本発明にかかる実施の形態のプラスチック・スキージのさらに他の態様を示す側面断面図である。
【図6】 クリーム半田印刷装置の概観を示す斜視図である。
【図7】 クリーム半田印刷装置の主要構成要素を示す部分斜視図である。
【図8】 従来技術によるスキージを示す側面断面図である。
【図9】 図8に示すスキージによるクリーム半田の掻き取り現象を示す側面部分断面図である。
【図10】従来技術による他のスキージを示す側面断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b.スキージ・アセンブリ、 2、2b.スキージ、 3、3a、3b.バックアップ材、 4.エッジ部、 10.半田印刷装置、 16.プリント基板、 17.開口部、 18.スクリーン、 19.クリーム半田、 22.ホルダ、 23.ホルダ・カバー
A.出しろ
Claims (3)
- 開口部を有するスクリーン上を摺動し、前記スクリーン上に置かれた印刷剤をスキージングして前記開口部に印刷剤を充填させる帯状のスキージであって、
前記スキージが薄板のプラスチック材料と単数もしくは複数のバックアップ材とにより形成され、
前記バックアップ材の前記スクリーンに対向する縁が、前前記スクリーンに対して前記スキージの先端よりも後退する出しろを設けた状態で前記スキージと前記バックアップ材とが重ね合わされ、
前記出しろは印刷条件に合わせて適切に選択することができるスキージ。 - 前記バックアップ材は、出しろを設けた後、スクリーンから離れる方向に板厚が順次増す傾斜部と、板厚一定となる厚板部とを有し、傾斜部の長さは使用条件に応じた大きさとすることを特徴とする、請求項1記載のスキージ。
- 被印刷基板を搬入して位置決め固定する基板搬入保持部と、
スキージを保持するヘッド部と、
前記ヘッド部を移動させるロボットとから構成され、
開口部を有するスクリーン上に置かれた印刷剤を、前記スクリーン上を摺動する前記スキージによりスキージングして前記開口部に充填させ、前記スクリーンの下面に位置決め固定された前記被印刷基板上に印刷剤を転写して印刷するスクリーン印刷装置において、
前記スキージが、請求項1または請求項2に記載のスキージであることを特徴とするスクリーン印刷装置。
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