JP3906585B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3906585B2
JP3906585B2 JP31402598A JP31402598A JP3906585B2 JP 3906585 B2 JP3906585 B2 JP 3906585B2 JP 31402598 A JP31402598 A JP 31402598A JP 31402598 A JP31402598 A JP 31402598A JP 3906585 B2 JP3906585 B2 JP 3906585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intermediate transfer
transfer member
image
toner
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31402598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000122442A5 (ja
JP2000122442A (ja
Inventor
剛次 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP31402598A priority Critical patent/JP3906585B2/ja
Publication of JP2000122442A publication Critical patent/JP2000122442A/ja
Publication of JP2000122442A5 publication Critical patent/JP2000122442A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3906585B2 publication Critical patent/JP3906585B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、電子写真記録、静電記録、イオノグラフィー、磁気記録等の方法を利用した画像形成装置に係り、特に、像担持体上に形成されたトナー像を一旦中間転写体上に転写した後、さらに記録媒体に転写する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数色のトナー像を重ね合わせ、記録媒体上にカラー画像を形成するカラー画像形成装置には、いくつかの方式が提案されており、その一つに、像担持体上で形成したトナー像を順次同じ記録媒体上に重ねて転写するものがある。このような画像形成装置には、一つの像担持体上に次々に異なる色のトナー像を形成し、記録媒体への転写をくり返すものと、四つの作像ユニットを有し、各色のトナー像を記録媒体上に重ねて転写するものがある。
しかし、いずれの方式も、記録媒体上にトナー像を最適の条件で転写するとともに複数のトナー像を位置ずれが生じることなく転写するには、困難をともなう場合が多い。つまり、記録媒体には、様々な材料や厚さのものが想定され、常に同じ条件で転写を行なうことができないからである。
【0003】
これに対し、トナー像を一旦中間転写体に転写するものとし、この中間転写体上で複数色のトナー像を重ね合わせる方式では、常にほぼ同一の条件で転写を行なうことができ、高画質のカラー画像を得るためには有利な点が多い。
このような中間転写体を用いる場合には、その構成及び表面層等を形成する材料の物性は次の点を考慮して定められる。
(1)トナーが飛び散る、いわゆる“ブラー”を防止することができること。
(2)一旦転写されたトナーが像担持体に戻るリトランスファーを防止できること。
(3)転写効率が良好であること。
【0004】
上記条件のうち、ブラーの防止に関しては、転写される側の材料の表面抵抗が高いほどよいことが知られている。これは、中間転写体の表面を形成する材料の表面抵抗が高い場合には、転写されたトナーの電荷が中間転写体中又は表面に流れずに保持され、トナーの拘束力がよく働くことによると考えられる。
【0005】
一方、転写効率を良好なものとするためには、転写部において有効な電界を効率よく作用させる必要があり、そのための技術として、特開平8−30109号公報又は特開平8−50419号公報に開示されるものがある。
この技術は、中間転写体を2層構造とし、外側の層の抵抗を内側よりも高く設定するものである。このような構成によってより高い転写効率がえられるのは、中間転写体の下層から電源により供給されるトナーと逆極性の電荷をできるだけ表層近くで滞留させることにより、効率よく転写電界が得られるからである。
【0006】
また、転写効率を向上させる手段として、特開平02−051168号公報に開示されるように球形トナーを用いる技術がある。球形トナーは、不定形のトナーに比べて感光体や中間転写体との接触面積が小さいため、付着力が低減され、電界によるトナーの移動を容易にするという効果がある。さらに、特開平9−212010号公報には、ある種の微粒子を感光体、中間転写体の表面に分散付着させることにより転写効率が飛躍的に増大することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、転写効率については、上記のような手段を採るだけでは十分ではない場合がある。特にクリーナを持たない、いわゆるクリーナレスのシステムにおいては、転写残留トナーをほぼゼロとしなければならない。残留トナーが存在する場合には、次の作像サイクルにおいて、残留トナーがそのまま転写され、画像にポジゴーストが発生するためである。ポジゴーストは、残留トナーの現像器による回収が行われない中間転写体から他の中間転写体または記録媒体への転写において、より発生しやすい。また、感光体からの転写においては、残留トナーが像露光を遮ることによってネガゴーストも発生する。したがって、上記クリーナレスのシステムにおいては、100%に近い転写効率が必要とされ、本発明の発明者による実験で、感光体からの転写においてネガゴーストの発生を回避するのに必要な転写率は99.2%程度、中間転写体からの転写においてポジゴーストの発生を回避するのに必要な転写率は99.8%程度であることが明らかになっている。このような条件は、上記従来の技術に基づく構成のみでは達成することが困難である。
【0008】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、リトランスファー、ブラーを防止するとともに、高い転写効率が得られ、良好な転写画像が得られる画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、 潜像が無端状の周面に形成される像担持体と、 前記潜像にトナーを転移して可視化する現像装置と、 周回移動する無端状の周面を備え、前記像担持体上に形成されたトナー像が該周面上に転移される中間転写体とを有し、 前記中間転写体から記録媒体に、トナー像を転写し定着する画像形成装置において、 前記像担持体は、周面上に電気抵抗層を有し、 前記中間転写体は、トナー像が転写される周面に少なくとも2層が積層された電気抵抗層を有し、 前記中間転写体の前記電気抵抗層の表面層が弾性を有する材料からなり、該表面層の硬度が微小硬度計による測定で6以下であり、 前記中間転写体の前記電気抵抗層の背面に接触している導電体と、この中間転写体が圧接された前記像担持体の導電性基体との間に電圧を印加したときの前記像担持体の電気抵抗層と、前記表面層を含む前記中間転写体の電気抵抗層とによる時定数が、前記中間転写体が前記像担持体と圧接される転写ニップの幅をW(mm)、周回駆動される前記像担持体の周速度をv(mm/s)としたときのW/v以下となるように前記電気抵抗層が形成されているものとする。
なお、上記微小硬度計による測定は、稜線角度 115 度を有する三角錐圧子を使用し、 試験荷重 0.25gf 負荷速度 0.0145gf/sec で測定したものである。
【0010】
上記構成は、次のような技術的思想に基づくものである。
転写効率については、トナー層にかかる有効電界が支配的な要因であるが、その場合、ただ分圧としてトナー層に作用する電界の強さを考えるだけでは不十分である。最も重要なことは、中間転写体が転写ニップをある時間で通過する場合、瞬時にトナー層に所定の電界がかかることである。言い換えれば、転写効率において支配的な要因は、ニップ滞在中のトナーにかかる電界の時間積分であるということができる。
【0011】
上記のような考えに基づくと、トナー像を中間転写体に転写しようとするときには、トナー像を担持した部材と中間転写体とが圧接されるニップ部を通過する短い時間内に有効な電界を長く作用させる必要がある。しかし、ニップ部に電気抵抗層が介挿されることによって、電荷の注入にある程度の時間がかかり、上記任意の点で作用する転写電界が、ニップ部に突入する瞬間の前後から、時間の経過にともなって立ち上げられることになる。そして、この立ち上げ時間が長くなると短いニップ部通過時間内に充分な転写電界が作用しないことになる。
したがって、図9中の曲線Lで示すように電界の強さが急速に立ち上げられ、斜線で示す面積Aを大きくする必要があるということである。
【0012】
このような必要性に対し、上記のようにニップ部に電圧を印加したときの時定数を小さく設定することにより、ニップ部での転写電界が短い時間で立ち上げられ、ニップ部通過時間内に強い電界を長く作用させることができる。
これは次の様に考えることができる。
中間転写体上における任意の一点がニップ部へ突入したときに、この点に作用する電界に過渡状態が発生することと、ニップ部に電圧を印加したときに過渡状態が生じることとは、全く同じ現象とはいえない。しかし、これらは相関関係を有するものであり、本請求項に係る発明の構成にあるように、ニップ部に電圧を印加したときの時定数を適切な範囲とすることによって、ニップ部の電界を急速に立ち上げ、有効な転写電界が得られる。そして、上記適切な範囲は、実験の結果より転写が行なわれるニップ部の通過に要する時間以下となり、この範囲に上記時定数を設定するものである。
【0013】
像担持体から中間転写体へトナー像が転写されるニップ部では、転写電界を形成するための電圧が印加される導電体間に、中間転写体の表面の電気抵抗層だけでなく、像担持体上の感光体層等の電気抵抗層が存在する。また、これらの間には転写するトナー層もある。したがって、転写が行なわれるニップ部で生じる電界の過渡現象は、上記像担持体側の電気抵抗層やトナー層の影響も受けることになる。本請求項に係る発明の構成は、このような影響にも考慮して中間転写体上の電気抵抗層の諸数値が定められたものである。つまり、中間転写体と像担持体とを圧接し、中間転写体側の導電体と像担持体の導電性基体との間に電圧を印加したときの時定数を測定し、この値が中間転写体の任意の一点がニップを通過する時間W/v(W:ニップ幅、v:中間転写体の周速)以下となるように設定する。これにより、強い転写電界がニップ部通過時間内に有効に作用し、高い転写効率が得られる。
【0014】
なお、2層からなる電気抵抗層を有するとき、これらの層の両側に導電体を当接して電圧を印加するときの等価回路は図10に示すとおりとなる。
この等価回路における電気抵抗の値をR1 、R2 、コンデンサの容量をC1 、C2 とすると、この回路に電圧を印加したときの時定数τは、
τ=R1 ・R2 ・(C1 +C2 )/(R1 +R2
と表わすことができる。これを、各層の体積抵抗率ρ1 ,ρ2 、比誘電率εr1,εr2、厚さd1 ,d2 で書き直すと
τ=ρ1 ・ρ2 ・(εr1ε02 +εr2ε01 )/(d1 ρ1 +d2 ρ2
・・・・・・・・・・・・・・(1)
となる。ここで、ε0は真空の誘電率である。
したがって、時定数τをある値τc以下とする場合には、各層の物性値を、
ρ1 ・ρ2 ・(εr1ε02 +εr2ε01 )/(d1 ρ1 +d2 ρ2 )≦τc
なる関係を満たすように選択すればよい。
【0015】
一方、リトランスファーについては、一定以上に強い電界がトナー層にかかることを避ける必要がある。一定以上に強い電界がかかると、微小な空隙における放電によって一部のトナーの電荷が反転し、このようなトナーがリトランスファーの原因になると考えられるからである。
しかし、上記構成の画像形成装置では、転写する側の部材と中間転写体との間には、過度に強い電圧を印加しなくても、転写電界はニップ部突入後急速に立ち上げられ、長い時間有効に作用することになって、高い転写率とリトランスファーの防止とが両立されることになる。
【0016】
また、このような構成の画像形成装置では、表面層が弾性材料で形成されているので、ニップ部でトナー層を挟み込むことによって表面に微小な変形が生じる。この変形が表面と平行な方向にトナーが移動するのを拘束することになり、トナーの飛び散り、すなわちブラーが生じにくくなる。このような変形が有効に機能するためには、表面層が微小硬度計による測定で6以下とするのが望ましく、6以上ではブラーを防止する効果が小さくなる。
ここで、上記表面層は、前記電気抵抗層の最も外側に形成された層であってもよいし、二層以上の電気抵抗層の上に形成された層であってもよい。
なお、上記のようにブラーを抑止する効果は機械的なものであり、表面の抵抗がある程度(107 Ωcm)まで低くても有効に作用する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、 潜像が無端状の周面に形成される像担持体と、
前記潜像にトナーを転移して可視化する現像装置と、 周回移動する無端状の周面を備え、前記像担持体上に形成されたトナー像が該周面上に転移される一次中間転写体と、
前記一次中間転写体と圧接され、該一次中間転写体上のトナー像が転写される二次中間転写体とを備え、 前記二次中間転写体から記録媒体にトナー像を転写し定着する画像形成装置において、 前記一次中間転写体及び二次中間転写体は、トナー像が転写される周面に少なくとも2層が積層された電気抵抗層を有し、 前記像担持体からトナー像が転写される一次中間転写体の電気抵抗層の背面に接触する導電体と、前記二次中間転写体の電気抵抗層の背面に接触する導電体との間に電圧を印加したときの時定数が、 前記二つの中間転写体が圧接される転写ニップの幅をW(mm)、周回駆動される前記一次中間転写体の周速度をv(mm/s)としたときのW/v以下となるように前記一次中間転写体および二次中間転写体の電気抵抗層が形成されており、 前記一次中間転写体及び二次中間転写体における電気抵抗層の表面層が弾性材料からなるものであり、
前記一次中間転写体の弾性材料からなる表面層が、前記二次中間転写体の弾性材料からなる表面層より、下記条件における微小硬度計によって測定される硬度が大きくなっている画像形成装置を提供する。
なお、上記微小硬度計による測定は、稜線角度 115 度を有する三角錐圧子を使用し、
試験荷重 0.25gf 負荷速度 0.0145gf/sec で測定したものである。
【0018】
このような構成の画像形成装置では、像担持体から中間転写体に転写されたトナー像は、さらに二次中間転写体に転写される。上記像担持体からトナー像が転写される中間転写体(一次中間転写体)と上記二次中間転写体を圧接し、双方の導電体間に電圧を印加したときの時定数を測定し、この値がW/v以下となるように双方の中間転写体の電気抵抗層を設定する。これにより、双方の間に形成される電界は短い時間で立ち上げられ、ニップ部通過時間内に有効な転写電界が作用することになる。
また、一次中間転写体の表面層が二次中間転写体の表面層より、微小硬度計で測定した硬度が大きくなっていることにより、ニップ部でトナー粒子は転写される側の部材の表面層で強く拘束され、ブラーが有効に防止される。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、 前記中間転写体は、導電性の円柱体又は円筒体の周面を、少なくとも2層の電気抵抗層で被覆したものとする。
【0020】
このような構成では、中間転写体が変形しにくい部材であり、安定した駆動ができる。
したがって複数色のトナー像を重ね合わせるときに色ずれを生じないように正確に駆動制御することが容易となる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置において、 前記中間転写体の表面層下に形成された層の少なくとも一つが弾性を有する材料からなり、この層の硬度が、アスカーC(JIS S 6050)により測定した値で70以下であるものとする。
【0022】
このような構成により、表面層下にある弾性材料からなる層がニップ部で変形し、充分なニップ幅とニップ部内での圧力の均一性が確保される。このとき、弾性材料からなる層がアスカーCで測定した硬度で70以上であると、転写ニップの幅が充分に確保できず、転写効率が低下してしまう。また、転写ニップでのトナーの凝集が起こりやすくなり、これに起因する文字画像やライン画像での転写抜けが発生しやすくなる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置において、 前記中間転写体の表面に、トナー粒子より平均粒径が小さく、無機材料からなる微粒子がほぼ一様に付着しているものとする。
【0024】
このような構成では、トナー粒子が無機微粒子を介して中間転写体に付着することになり、他の中間転写体又は記憶媒体に再転写する際に電界の作用でトナー粒子が容易に中間転写体から離脱し、転写効果率が向上する。したがって、請求項1、請求項2又は請求庫3に記載の構成を組み合わせることによって、99.8%程度の転写効率を得ることも可能となる。また、上記構成に加えて、球形トナーを用いることも転写効率を大きくするのに有効である。
なお、上記無機微粒子は、たとえば、TiO2 やSiO2 の粒状体を用いることができる。この無機微粒子は感光体等の像担持体にほぼ一様に付着させておくこともでき、これによって像担持体から中間転写体への転写効率を向上することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置において、 前記像担持体上に形成されたトナー像が、前記記録媒体に転写されるまでの複数の転写部の少なくとも一つで、トナー像を転写する側の部材の周速と、トナー像が転写される側の部材の周速又はトナー像が転写される記録媒体の移動速度とが微小差を有するように駆動されるものとする。
【0026】
このような構成とすることにより、ニップ部でトナー像を挾む二つの部材が微小なずれを生じ、トナー像を転写する側の部材の表面からトナー粒子を容易に離脱させることができる。したがって、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の構成と併せて用いることによって極めて高い転写効率が得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明が適用可能な画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、それぞれ異なる色のトナー像を形成する4つの画像形成ユニット1a,1b,1c,1dと、これらの画像ユニットが有する感光体ドラム11a,11b,11c,11dに像光を照射する像書き込み装置2と、第1及び第2の画像形成ユニット1a,1bで形成されたトナー像が重ねて転写される第1の中間転写体3と、第3及び第4の画像形成ユニット1c,1dで形成されたトナー像が重ねて転写される第2の中間転写体4と、第1の中間転写体3上のトナー像と第2の中間転写体4上のトナー像とが重ねて転写される第3の中間転写体5と、第3の中間転写体5上のトナー像を記録媒体8に転写する転写バイアスローラ6と、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱加圧して定着する定着装置7とで主要部が構成されている。
【0028】
上記像書き込み装置2は、デジタルの画像情報に基づいて点滅するレーザービームを生成するレーザー発生装置21と、レーザーを各画像形成ユニット1の感光体ドラム11に導くプリズム22,23、ミラー24,25,26、レンズ27,28と、レーザーを感光体ドラムの幅方向に走査させるポリゴンミラー29とを備えており、回転する感光体ドラム11の周面上に像光を照射するようになっている。
【0029】
上記四つの画像形成ユニット1a,1b,1c,1dは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を形成するものであり、それぞれが感光体ドラム11の周囲にイレーズランプ12と、プリチャージ用の帯電器13と、現像装置14とを有している。
上記感光体ドラム11は、電気的に接地された金属製のドラムの周面に、有機感光体層を形成したものであり、一様に帯電した後、光が照射されることにより、その部分のみの電位が減衰するようになっている。この感光体ドラム11の外径は20mmであり、軸方向の長さは320mmである。
【0030】
イレーズランプ12は、感光体ドラム11に光を照射して感光体ドラム上に残留している電荷を消去するものである。帯電器13は、ステンレススチールのシャフトの周囲にカ−ボンを分散させたEPDM等の弾性層を形成したものであり、さらにその表面にアクリル樹脂等のオーバーコート層を有するものである。そして、このローラ状の部材が感光体ドラム11と当接され、回転可能に支持されている。シャフトには帯電用の電位が付与され、感光体ドラム11との微小間隙で生じる放電により、感光体ドラム11の周面が一様に帯電されるようになっている。
【0031】
上記現像装置14は、磁性キャリアと非磁性の球形トナーとを混合した二成分現像剤を用いるものであり、回転可能に支持された円筒状のスリーブと、この内側において同軸に固設されたマグネットロールと、その後方に現像剤を攪拌混合するパドルとを有している。パドルで撹拌された現像剤は摩擦帯電されるとともに、スリーブの周面上に供給され、上記マグネットロールが生成する磁界によって二成分現像剤の磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシはスリーブの回転によって感光体ドラム11の周面に接触され、トナーを感光体ドラム上の静電潜像に転移して可視化する。
【0032】
上記第1の中間転写体3、第2の中間転写体4及び第3の中間転写体5は、いずれも円柱状の部材であり、第1の中間転写体3は、第1の画像形成ユニット1a及び第2の画像形成ユニット1bが有する感光体ドラム11a,11bの双方に当接され、第2の中間転写体4は、第3の画像形成ユニット1c及び第4の画像形成ユニット1dが有する感光体ドラム11c,11dの双方に当接するように配置されている。また、第3の中間転写体5は、第1の中間転写体3と第2の中間転写体4との双方に当接するように配置される。そして、上記第1、第2及び第3の中間転写体は、それぞれ回転駆動されるものであり、それぞれの導電性材料からなるシャフトには転写用のバイアス電位が付与される。
なお、中間転写体の詳細な構成は後述する。
【0033】
上記転写バイアスローラ6は、ステンレススチールのシャフトの周囲に、カーボンを分散させて導電化したウレタン等の弾性層が形成されたものであり、外径が10mm、軸方向の長さが320mmである。この転写バイアスローラ6は、第3の中間転写体5と圧接するように配置され、回転駆動されるとともに所定の電位が付与されるものである。したがって、第3の中間転写体5との間に電界を形成し、これらの間を通過する記録媒体8に第3の中間転写体5上のトナー像を転写するようになっている。
【0034】
上記のような構成の画像形成装置は次のように動作する。
プリチャージ用の帯電器13によって感光体ドラム11aの表面を一様に負(−650[V])に帯電した後、像書き込み装置2から画像信号に対応するレーザービームが照射され、1色目(K)に対応した静電潜像が第1の画像形成ユニット1aの感光体ドラム11a上に形成される。形成された静電潜像は、感光体ドラム11aに対向するように配置された現像装置14によって可視化される。この現像は、現像剤の磁気ブラシを担持したスリーブと感光体ドラムとの間に交流成分が重畳された−500[V]の現像バイアス電圧を印加し、形成される電界内でトナーを転移させるものである。これによって感光体ドラム11aの上にブラックのトナー像が形成される。
【0035】
このトナー像は、感光体ドラム11aの回転により第1の中間転写体3とのニップ部へ搬送され、第1の中間転写体3のシャフトには転写用の電位が付与されており、ニップ部に形成される電界の作用によってトナー像が第1の中間転写体3に転写される。また、感光体ドラム11aは、トナー像の転写後に残留する静電潜像がイレーズランプ12による露光で消去される。
ここまでが第1色つまりブラックのトナー像を形成するサイクルである。
【0036】
一方、第2の画像形成ユニット1bでは、所定のタイミングだけ遅れて第2色つまりイエローのトナー像が同様にして形成され、感光体ドラム11bが第1の中間転写体3と対向するニップ部で、先に形成されたブラック像と重ね合わすように転写される。
また、第3及び第4の画像形成ユニット1c,1dでも、それぞれ、マゼンタ、シアンのトナー像が所定のタイミングで形成され、第2の中間転写体4上に重ねて転写される。
【0037】
上記のようにして、第1の中間転写体3及び第2の中間転写体4上に形成されたトナー像は、ともに第3の中間転写体5に重ねて転写され、4色が重ねあわされたフルカラーのトナー像が形成される。このトナー像は、第3の中間転写体5の回転により、転写バイアスローラ6との対向位置に搬送される。また、これとともにトレイ(図示しない)からは記録媒体8が所定のタイミングで搬送され、第3の中間転写体5と転写バイアスローラ6との間に送り込まれる。そして、転写バイアスローラ6に所定の電位が付与されていることによる電界の作用で、トナー像は一括して記録媒体8に転写される。この記録媒体8は定着装置7によって加熱・加圧され、トナーが記録媒体8に融着してフルカラーの定着像が得られる。
【0038】
次に、上記画像形成装置で用いられている中間転写体の構成及びトナー像が転写される状態について詳しく説明する。
第1の中間転写体3と第2の中間転写体4は、同じ構成を有するものであり、外径30mmのステンレススチールからなるシャフトの回りに、図2に示すように、3層の電気抵抗層を設けたものである。
シャフト34の上に積層された第3層33は、カーボンを分散して体積抵抗率が105 Ωcmとなるように調整されたEPDMからなるもので、10mmの層厚となっている。この第3層33の上に積層された第2層32は、体積抵抗率が1014Ωcmとなるように微量のカーボンが分散されたポリイミドで形成され、層厚が20μmとなっている。さらに、第2層32の上に積層された第1層31は、体積抵抗率が1014Ωcmとなるようにカーボンが分散されたフッ素ゴムラテックスからなり、層厚は20μmとなっている。これら3層の比誘電率は、いずれも3となっている。
なお、第1層31を構成するフッ素ゴムラテックスは、ブラーを防止するため、弾性変形を生じる材料として用いたものであり、その硬度は微小硬度計による測定値で6以下となっている。
【0039】
このような第1の中間転写体3の外周面に導電体を密着させ、シャフト34との間に電圧を印加したときの時定数は約10-5秒となる。
一方、第1又は第2の中間転写体3,4が画像形成ユニット1の感光体ドラム11と圧接されるニップ部の幅は1mmとなっており、本装置のプロセススピードすなわち第1の中間転写体3の周速は100mm/秒に設定されているので、中間転写体の任意の一点がニップ部を通過するのに要する時間は10-2秒となる。
また、第1又は第2の中間転写体3,4が第3の中間転写体5と圧接されるニップ部の幅は、2mmとなっており、第1又は第2の中間転写体の任意の一点がこのニップ部を通過するのに要する時間は2×10-2秒となる。
したがって、上記第1又は第2の中間転写体の電気抵抗層に電圧を印加したときの時定数は、ニップを通過する時間よりも充分に小さいことになる。
【0040】
第3の中間転写体5は、第1又は第2の中間転写体と同じシャフトを用い、その周囲に同じ材料で3層の電気抵抗層を設けたものであるが、第3層であるカーボンを分散したEPDMからなる層の厚さが1mmとなっている。その他の構成は第1又は第2の中間転写体3,4と同じである。
このような第3の中間転写体5の外周面に導電体を密着させ、シャフトとの間に電圧を印加したときの時定数は約10-6秒となる。これは、第1又は第2の中間転写体3,4とのニップ部を任意の一点が通過するのに要する時間より充分に小さい値となっている。
【0041】
このような中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の両側に電圧を印加したときの時定数は、例えば第3層すなわちカーボンを分散したEDPMからなる層の厚さ又は体積抵抗率を調整することによって適切な値に設定することが可能である。
図3は、上記中間転写体の第3層を構成する材料の体積抵抗率ρ3 と時定数τとの関係を示すものであり、図中の実線は第3層の厚さが1mm、破線は第3層の厚さが10mmの場合について示すものである。
なお、時定数の値は、第1層及び第2層が電気的な物性が同じであるため、これらを一層として(1)式で計算したものである。
【0042】
この図に示されるように、第3層が10mmの場合、第3層の体積抵抗率が105 Ωcmであると時定数τは約10-5秒であり、体積抵抗率を小さくすることによって時定数τを小さくすることができる。また、第3層が1mmで体積抵抗率が105 Ωcmであると時定数τは約10-6秒となり、第3層の厚さを小さくするにしたがって時定数も小さくなることが分かる。
【0043】
次に、このような中間転写体のニップ部における転写時の状態について説明する。
トナー像を感光体ドラム11から第1又は第2の中間転写体3,4に転写するために、第1の中間転写体ドラム3のシャフト34及び第2の中間転写体のシャフトに、トナーと逆極性の電圧(ここでは+500V)を印加する。このとき、感光体ドラム11a,11b上のトナー像のある一点が第1の中間転写体3とのニップ部を通過する間に受ける電界の状態を図4に示す。この図からわかるように、時定数が充分小さい場合(例えばτ=10-5)には、短い時間で電界が定常状態に達するためにトナーに充分な電界がほぼニップ滞在時間の間働くことになる。したがって、トナー層に効率よく充分な電界が作用するために、高い転写効率が得られる。
【0044】
また、感光体ドラムの導電性基体と中間転写体のシャフトとの間に印加する電圧を過度に大きくしなくても、ニップ領域通過中に、転写に必要な電界が安定して作用する。このため、トナー層への電荷注入、微小ギャップでの放電などは極めて発生しにくい。したがってトナー電荷の反転が起こらず、リトランスファーは発生しない。
【0045】
これに対し、中間転写体ドラムの電気抵抗層に電圧を印加したときの時定数が大きい場合(τ=10-1)には、図4に示すように、ニップ領域滞在中に電界が定常状態に達することができず、そのためトナーには充分な転写電界が働かない。このように、時定数が大きく充分な電界が作用しない場合に、高い電圧を印加することによって転写効率と改善することも考えられるが、このような場合には、図4中に破線で示すように、ニップ部内で必要以上に高い電界が作用してしまう。これは、トナー層への電荷注入、微小ギャップでの放電などの原因となり、この結果、トナーの電荷反転が発生し、リトランスファーの原因となる。しかも、この場合転写電界の時間積分としてはさほど大きい値は得られず、転写効率も充分ではない。
【0046】
一方、第1又は第2の中間転写体(一次中間転写体)3,4から第3の中間転写体(二次中間転写体)5へのトナー像の転写についても同様に、双方の中間転写体の時定数が小さくなっているのでニップ部分での電界は有効に作用し、高い転写効率が得られる。
【0047】
ただし、第1又は第2の中間転写体3,4及び第3の中間転写体5の双方が弾性材料からなる柔らかい表面層を有しており、このような場合は、硬い表面層(例えばカーボンを分散したポリイミド)を有する二つの中間転写体間での転写より効率がやや劣ることがあり、これを補うために、本実施形態の画像形成装置では、次のような構成を併せて備えるものとなっている。
【0048】
(1) 感光体ドラム11及び中間転写体3,4,5の表面に無機材料からなる微粒子をほぼ一様に付着しておく。
微粒子は一次粒子の平均粒径が20nmのSi O2 であり、その表面は疎水化処理が施されている。微粒子の体積抵抗率は約1014Ωcmである。微粒子は、10μmのメッシュを通して感光体ドラム11および中間転写体3,4,5ヘあらかじめ分散付着させておく。このように付与された微粒子は感光体ドラム11および中間転写体3,4,5の間を循環し、一部は記録媒体への転写時に転写されていくが、トナーに外添されているまったく同種の微粒子が現像時に感光体ドラム11に転移され、さらに中間転写体3,4,5にも転移されるため、量的にはほぼ一定の微粒子が感光体ドラム11および中間転写体3,4,5の表面に維持されている。この微粒子はトナーと感光体11の表面、あるいは中間転写体3,4,5の表面との間に微小なギャップを生じさせることにより、両者の間の付着力を下げ、転写効率を増大させる。
【0049】
(2) 第1及び第2の中間転写体の表面層は第3の中間転写体の表面層より硬いものとする。
表面層が弾性材料で形成されている場合、硬い材質の側から柔らかい材質の側への転写がより行われやすいことが実験から明らかになっており、したがって、一次中間転写体すなわち第1及び第2の中間転写体3,4の表面層の弾性は、二次中間転写体すなわち第3の中間転写体の表面層の弾性よりも小さく、すなわち硬く設定している。具体的には、分子量と架橋密度を変化させることにより、微小硬度計による測定で1.0程度の差を設けている。
【0050】
(3) 第1の中間転写体及び第2の中間転写体と、第3の中間転写体との間に周速差を設ける。
さらに転写効率を向上させるため、一次中間転写体3,4と二次中間転写体5との周速には約1%の周速差が設けられている。周速差は、感光体ドラム11と一次中間転写体3,4との間、二次中間転写体5と転写バイアスローラ6との間にもそれぞれ設けられている。このように周速差を設けることにより、転写効率の向上だけでなく、文字やラインの中抜けも防止することができる。
【0051】
なお、上記実施形態の画像形成装置では、中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の材料は、上記のものに限定されるものではなく、他の材料を用いることができる。例えば、第1層はフッ素ゴムラテックスに代えて、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(商標名:テフロン)等を用いることができる。
【0052】
次に一次中間転写体から二次中間転写体への転写について、中間転写体の外周面に形成される電気抵抗層の構成と転写効率との関係を調査した実験の結果について説明する。
この実験では、二次中間転写体つまり転写される側の中間転写体は、全ての場合について同じものを用い、一次中間転写体つまり転写する側の中間転写体の電気抵抗層を変えて転写効率を測定する。そして、この測定値と、一次中間転写体の電気抵抗層の両側に導電体を当接して電圧を印加したときの時定数(計算値)との関係を調査したものである。なお、二次中間転写体の電気抵抗層のデータは表1に示すとおりであり、三つの一次中間転写体の電気抵抗層のデータはそれぞれ表2、表3又は表4に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003906585
【0054】
【表2】
Figure 0003906585
【0055】
【表3】
Figure 0003906585
【0056】
【表4】
Figure 0003906585
【0057】
実験に用いたトナーは球形トナーであり、一次中間転写体3,4および二次中間転写体5の表面には、一次粒子の平均粒径が20nmのSi O2 からなる微粒子が分散付与されている。また、外部電源から中間転写体間に印加した電圧は800Vである。この実験の結果は表5に示す。
【表5】
Figure 0003906585
【0058】
上記実験結果において注目すべき点は、定常状態に達したあとの分圧として考えれば、全体の抵抗が最も小さい構成3の一次中間転写体を用いた場合において、トナー層にかかる電界( 分圧に比例) が最も大きくなるにもかかわらず、転写効率としては、構成1の中間転写体を用いた場合よりもはるかに低いということである。これは、構成3の中間転写体においては時定数が5.3×10-2と大きいために、転写ニップ通過中には定常状態に達することができず、結果として得られる転写電界が小さくなることを示している。
【0059】
さらに、別の実験として、一次中間転写体として表3に示す構成2のものを用い、表1にデータを示す二次中間転写体に転写を行うときの、プロセスピード(v) と転写効率との関係を調べた。その結果は表6に示すとおりである。
【表6】
Figure 0003906585
【0060】
ここで、ニップ部通過時間は、ニップ幅をW(この実験では2mm)とするとW/vとなり、プロセススピードが30mm/秒のときにはニップ部を通過するのに要する時間は6.6×10-2秒となる。一方、一次中間転写体を表3に示す構成2としているので、周面の電気抵抗層に両側から電圧を印加したときの時定数は6.6×10-2秒であり、上記ニップ部を通過するのに要する時間と等しい。
【0061】
このような条件では、トナー像の転写を行なったときの転写効率が99.2%であり、これは、たとえば感光体ドラムからの転写においてネガゴーストが発生しない転写効率であるが、現像装置による残留トナーの回収がない条件ではポジゴーストが発生する値である。このことから、一次中間転写体3,4の周面に形成された電気抵抗層の両側に電圧を印加したときの時定数は、少なくともニップ通過時間以下でなければならず、望ましくはニップ通過時間より2ケタ以上小さくする。
【0062】
以上に記載した二つの実験結果を、ニップ部通過時間と時定数との関係で示すと、図5のようになり、図中に示す実線(τ=W/v)より時定数が小さい領域で十分な転写効率が得られる。
【0063】
以上に説明した画像形成装置は、中間転写体に導電体を当接し、この導電体と中間転写体のシャフトとの間に電圧を印加したときの実測による時定数が、ニップ部の通過所要時間より小さくなるように設定したもの、または中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の物性から計算された時定数τがニップ部の通過所要時間より小さくなるように設定したものである。しかし、実際にトナー像が転写されるニップ部では、転写する側の部材と転写される側の部材とのそれぞれが電気抵抗層を有しており、さらにトナー層もニップ部での電界の過渡現象に影響する。したがって、これらを考慮するために、感光体ドラムと一次中間転写体とを圧接し、感光体ドラムの導電性基体と一次中間転写体のシャフトとの間に電圧を印加して、その時定数の実測値がニップ部の通過所要時間より小さくなるように設定することができる。なお、上記感光体ドラムの周面にはトナー層を形成しておいてもよい。
このように設定した画像形成装置が、請求項1に記載の発明の一実施形態である。
【0064】
また、一次中間転写体と二次中間転写体との転写についても、これらの双方の電気抵抗層を考慮するために、双方の中間転写体を圧接し、シャフト間に電圧を印加したときの時定数を測定し、ニップ部の通過所要時間より小さくなるように設定することができる。
このように設定した画像形成装置は、請求項2に記載の発明の一実施形態である。
【0065】
次に本願に係る発明が適用可能な画像形成装置の他の例について説明する。
図6に、概略構成を示す画像形成装置は、一つの感光体ドラム41の周囲に帯電器42と、像書き込み装置43と、現像器44と、中間転写体45とを有するものであり、中間転写体45上に転写されたトナー像は、さらに転写ローラ46との対向部で記録媒体47に転写されるようになっている。
【0066】
上記現像器44は、異なる色のトナー像を形成する4台が回転体に支持されており、順次感光体ドラムと対向する位置に移動して、それぞれの色に対応する潜像を可能化するものである。
上記中間転写体45は、感光体ドラム41上に形成される4色のトナー像が順次重ねて転写されるものであり、ステンレススチールのシャフトの周囲にカーボンを分散したEDPMからなる第3層、カーボンを分散したポリイミドからなる第2層、カーボンを分散したフッ素ゴムラテックスからなる第1層を有するものである。そして、感光体ドラム41と圧接されたニップ部を形成し、シャフトと感光体ドラムの導電性基体との間に電圧を印加することによって感光体ドラム41上のトナー層が転写される。
【0067】
また、図7は、本願発明の別の実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、4つの画像形成ユニット51a,51b,51c,51dと、これらの画像形成ユニットが有する感光体ドラム61a,61b,61c,61dと対向するように張架された中間転写体ベルト52とを備えるものであり、それぞれの感光体ドラム上で形成されたトナー像が中間転写体ベルト52上に順次重ねて転写されるようになっている。また、中間転写体ベルト52上で重ね合わされたフルカラーのトナー像は、二次転写ローラ54が上記中間転写体ベルト52と対向する部分で記録媒体に一括して転写される。
【0068】
上記画像形成ユニット51は、感光体ドラム61の周囲に帯電器62、像書き込み装置63、現像器64をそれぞれ有しており、4色のトナー像を所定のタイミングで形成するものである。
上記中間転写体ベルト52は、駆動ローラ71及び支持ローラ72,73,74によって張架されており、ポリイミド等のベルト基体上に電気抵抗層が形成されたものである。
上記感光体ドラム61から中間転写体ベルト52への転写は、中間転写体ベルト52を挾んでそれぞれの感光体ドラム61a,61b,61c,61dと対向するように配置された四つの転写ローラ53a,53b,53c,53dに転写用の電圧を印加することによって行なわれる。
【0069】
この転写位置では、図8に示すように、感光体ドラム61が中間転写体ベルト52と圧接されるニップ部が形成されており、このニップ部に形成される転写電界に過渡現象が生じる。この過渡現象の時定数を小さく設定することによって有効な転写電界が長く作用し、転写効率が向上する。
【0070】
上記過渡現象の時定数は、転写ローラ53と感光体ドラム61の導電性基体との間に電圧を印加したときの時定数を測定する。そして、この値がニップ部の通過に要する時間より小さくなるように設定することができる。
【0071】
なお、本願に係る発明の特定及び説明において用いた、各材料の物性値は次のようにして測定したものである。
「各種物性測定方法」
< 体積抵抗率>
JIS法(JIS K 6911)による。アドバンテスト社R8340Aを使用。プローブタイプはHRS( リング電極内径d2=1.1cm、主電極内径d1=0.59cmの円筒形電極) 。試料に500[V]の電圧を印加し、30秒後の抵抗値Rを読む。このとき体積抵抗率ρは、ρ=R*Fv*1/d で与えられる。ここで、Fvは体積抵抗率計算計数(=主電極面積) であり、Fv= π*(d1/2)2である。d は試料の厚さである。
【0072】
< 微小硬度>
島津製作所製のダイナミック超微小硬度計[DUH 201] において、 稜線角度115 度を有する三角錐圧子を用い、 試験荷重0.25gf、 負荷速度0.0145gf/secを用い測定した値である。
【0073】
<Asker C>
スプリング式硬さ試験器アスカーC(JIS S 6050) により測定された値。 直径5.08mm、 突出高さ2.54mmの半球の圧子を押し込んだ際の、 押し込み量(=荷重) で決定される。(荷重800gf の時=100度)。
【0074】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願発明に係る画像形成装置では、転写が行なわれる像担持体と中間転写体、又は一次中間転写体と二次中間転写体とを当接し、これらの導電性基体又は電気抵抗層下にある導電体の間に電圧を印加した時の時定数を実際に測定し、この値を適切に設定することにより、双方の部材の電気抵抗層を考慮してニップ内での電界の立ち上がり時間を短くすることができる。したがって、より確実に転写効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願に係る発明が適用可能な画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】 図1の画像形成装置で用いられている中間転写体の拡大断面図である。
【図3】 中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の構成と電気抵抗層の両側に電圧を印加したときの時定数との関係を示す図である。
【図4】 転写が行なわれるニップ部における電界の強さを時系列で示す図である。
【図5】 転写効率と、ニップ部を通過するのに要する時間および中間転写体の電気抵抗層の両側に電圧を印加したときの時定数との関係を示す図である。
【図6】 本願発明が適用可能な画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図7】 本願発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図8】 図7に示す画像形成装置における転写部の拡大断面図である。
【図9】 転写が行なわれるニップ部に生じる電界の過渡現象を示す概略図である。
【図10】 中間転写体の電気抵抗層の両側に電圧を印加したときの等価回路を示す図である。
【符号の説明】
1 画像形成ユニット
2 像書き込み装置
3 第1の中間転写体
4 第2の中間転写体
5 第3の中間転写体
6 転写バイアスローラ
7 定着装置
8 記録媒体
11 感光体ドラム
12 イレーズランプ
13 帯電器
14 現像装置
21 レーザー照射装置
22,23 プリズム
24,25,26 ミラー
27,28 レンズ
29 ポリゴンミラー
31 中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の第1層
32 中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の第2層
33 中間転写体の周面に形成された電気抵抗層の第3層
34 中間転写体のシャフト
41 感光体ドラム
42 帯電器
43 像書き込み装置
44 現像装置
45 中間転写体
46 転写ローラ
47 記録媒体
51 画像形成ユニット
52 中間転写体ベルト
53 転写ローラ
54 二次転写ローラ
61 感光体ドラム
71 駆動ローラ
72,73,74 支持ローラ

Claims (6)

  1. 潜像が無端状の周面に形成される像担持体と、
    前記潜像にトナーを転移して可視化する現像装置と、
    周回移動する無端状の周面を備え、前記像担持体上に形成されたトナー像が該周面上に転移される中間転写体とを有し、
    前記中間転写体から記録媒体にトナー像を転写し定着する画像形成装置において、
    前記像担持体は、周面上に電気抵抗層を有し、
    前記中間転写体は、トナー像が転写される周面に少なくとも2層が積層された電気抵抗層を有し、
    前記中間転写体の前記電気抵抗層の表面層が弾性を有する材料からなり、該表面層の硬度が下記条件における微小硬度計による測定で6以下であり、
    前記中間転写体の前記電気抵抗層の背面に接触している導電体と、この中間転写体が圧接された前記像担持体の導電性基体との間に電圧を印加したときの前記像担持体の電気抵抗層と、前記表面層を含む前記中間転写体の電気抵抗層とによる時定数が、前記中間転写体が前記像担持体と圧接される転写ニップの幅をW(mm)、周回駆動される前記像担持体の周速度をv(mm/s)としたときのW/v以下となるように前記電気抵抗層が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
    微小硬度計における測定の条件 : 稜線角度 115 度を有する三角錐圧子を使用、 試験荷重 0.25gf 負荷速度 0.0145gf/sec
  2. 潜像が無端状の周面に形成される像担持体と、
    前記潜像にトナーを転移して可視化する現像装置と、
    周回移動する無端状の周面を備え、前記像担持体上に形成されたトナー像が該周面上に転移される一次中間転写体と、
    前記一次中間転写体と圧接され、該一次中間転写体上のトナー像が転写される二次中間転写体とを備え、
    前記二次中間転写体から記録媒体にトナー像を転写し定着する画像形成装置において、
    前記一次中間転写体及び二次中間転写体は、トナー像が転写される周面に少なくとも2層が積層された電気抵抗層を有し、
    前記像担持体からトナー像が転写される一次中間転写体の電気抵抗層の背面に接触する導電体と、前記二次中間転写体の電気抵抗層の背面に接触する導電体との間に電圧を印加したときの時定数が、 前記二つの中間転写体が圧接される転写ニップの幅をW(mm)、周回駆動される前記一次中間転写体の周速度をv(mm/s)としたときのW/v以下となるように前記一次中間転写体および二次中間転写体の電気抵抗層が形成されており、
    前記一次中間転写体及び二次中間転写体における電気抵抗層の表面層が弾性材料からなるものであり、
    前記一次中間転写体の弾性材料からなる表面層が、前記二次中間転写体の弾性材料からなる表面層より、下記条件における微小硬度計によって測定される硬度が大きくなっていることを特徴とする画像形成装置。
    微小硬度計における測定の条件 : 稜線角度 115 度を有する三角錐圧子を使用、 試験荷重 0.25gf 負荷速度 0.0145gf/sec
  3. 請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写体は、導電性の円柱体又は円筒体の周面を、少なくとも2層の電気抵抗層で被覆したものであることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写体の表面層下に形成された層の少なくとも一つが弾性を有する材料からなり、この層の硬度が、アスカーC(JIS S 6050)により測定した値で70以下であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記中間転写体の表面に、トナー粒子より平均粒径が小さく、無機材料からなる微粒子がほぼ一様に付着していることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記像担持体上に形成されたトナー像が、前記記録媒体に転写されるまでの複数の転写部の少なくとも一つで、トナー像を転写する側の部材の周速と、トナー像が転写される側の部材の周速又はトナー像が転写される記録媒体の移動速度とが微小差を有するように駆動されることを特徴とする画像形成装置。
JP31402598A 1998-10-16 1998-10-16 画像形成装置 Expired - Fee Related JP3906585B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31402598A JP3906585B2 (ja) 1998-10-16 1998-10-16 画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31402598A JP3906585B2 (ja) 1998-10-16 1998-10-16 画像形成装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000122442A JP2000122442A (ja) 2000-04-28
JP2000122442A5 JP2000122442A5 (ja) 2005-04-07
JP3906585B2 true JP3906585B2 (ja) 2007-04-18

Family

ID=18048313

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31402598A Expired - Fee Related JP3906585B2 (ja) 1998-10-16 1998-10-16 画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3906585B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4645096B2 (ja) * 2004-08-18 2011-03-09 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置
JP2006106586A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Ricoh Co Ltd 中間転写体、画像形成装置、中間転写体評価装置及び中間転写体評価方法
JP2007065085A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Fuji Xerox Co Ltd 転写装置及び画像形成装置
US7761020B2 (en) 2006-12-13 2010-07-20 Sharp Kabushiki Kaisha Image forming apparatus utilizing cylindrical toner particles
JP2019060952A (ja) * 2017-09-25 2019-04-18 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000122442A (ja) 2000-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7444098B2 (en) Image forming apparatus with cleaning unit
JP2001282010A (ja) 画像形成装置
JP5744255B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
EP0840175B1 (en) An image forming apparatus
EP3048491A1 (en) Image formation device
JPS62118372A (ja) 現像装置
JP3890141B2 (ja) 画像形成装置
JP3906585B2 (ja) 画像形成装置
JP4371445B2 (ja) 画像形成装置
US6144824A (en) Image forming method for preventing an uneven potential of an image bearing member having a charge injecting layer
JP3021363B2 (ja) 画像形成装置
JP5517390B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP3342288B2 (ja) 画像形成装置
JP3186596B2 (ja) 帯電装置の制御方法、及び画像形成装置の制御方法
JP3444141B2 (ja) 画像形成装置
JP2005309073A (ja) 画像形成装置
JP2003177610A (ja) 画像形成装置
JP2001075331A (ja) カラー画像形成装置
JP3296132B2 (ja) カラー電子写真装置
JP3082546B2 (ja) 画像形成装置
JP2006301495A (ja) 画像形成装置
JP3164705B2 (ja) 画像形成装置
JPH09325575A (ja) 画像形成装置
JP2012063406A (ja) 二次転写装置および画像形成装置
JPH1184823A (ja) 接触式帯電装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040430

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060523

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060905

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110126

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130126

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130126

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140126

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees