JP3906400B2 - マスタシリンダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のブレーキ機構やクラッチ機構等に用いられるマスタシリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマスタシリンダの一例として図11及び図12に示すものがある。図11及び図12において、マスタシリンダ1は、ピストン(図示省略)により画成される2つの液室を有しペダル(図示省略)の踏力を液圧に変えるマスタシリンダ本体2と、マスタシリンダ本体2上に載置されてこのマスタシリンダ本体2用の液を貯留する樹脂製のリザーバタンク3とから、大略構成されている。
リザーバタンク3は、液を貯留するタンク本体4と、タンク本体4の開口部5を閉じるキャップ6とから大略構成されている。
【0003】
タンク本体4の底面部(リザーバタンク3の底面部)には、マスタシリンダ本体2との固定のための正面視略三角形の2枚の固定用板部(以下、タンク側固定用板部という。)7が相対向して(図11紙面表裏方向に配置して対面した状態で)立設されている。さらに、タンク本体4の底面部には、タンク側固定用板部7を間にしてマスタシリンダ本体2との連通用の2つの筒状のボス部(以下、タンク側ボス部という。)8が形成されている。タンク側固定用板部7の先端側には、スプリングピン等の軸部材9が挿通される長孔10が形成されている。
【0004】
2枚のタンク側固定用板部7間には、それぞれの基端部を挿通するようにして、図11紙面表裏方向(後述する矢印Nと直交する方向)に延びる筒部11が形成されており、両タンク側固定用板部7の対向面間はこの筒部11によって一体的に連結されている。この筒部11にはリザーバタンク3内の液量を検出する液面センサ(図示省略)が嵌合され保持される。この液面センサを嵌合して保持する筒部11は、タンク本体4の底面部の略中央部分、すなわちタンク側固定用板部7によってマスタシリンダ本体2に対して固定支持されるタンク本体4の底面部分に設けられ、リザーバタンク3の振動による液面変動の影響が少ないように配置されており、液面センサの検出精度の向上が図れるようにしている。
【0005】
マスタシリンダ本体2の上部における長手方向(図11矢印N方向)の略中央部分には前記リザーバタンク3のタンク側固定用板部7に対する固定用板部(以下、シリンダ側固定用板部という。)12が立設されている。シリンダ側固定用板部12には前記軸部材9が挿通される孔13が形成されている。
マスタシリンダ本体2の上部には、タンク側ボス部8をグロメットシール部材(図示省略)を介して嵌装する筒状のボス部(以下、シリンダ側ボス部という。)14がマスタシリンダ本体2の長手方向(図11矢印N方向)に沿って2つ形成されている。前記シリンダ側固定用板部12は2つのシリンダ側ボス部14の間における略中央部分に配置されている。
【0006】
上記のように構成されるリザーバタンク3のマスタシリンダ本体2に対する固定は、タンク側ボス部8をシリンダ側ボス部14に嵌合させ、かつ、シリンダ側固定用板部12の孔13及びタンク側固定用板部7の長孔10に前記軸部材9を挿通させてリザーバタンク3がマスタシリンダ本体2に固定されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したマスタシリンダ1では、リザーバタンク3に外力が作用した場合、ボス部8,14同士間にはグロメットシール部材が介在するのに対し、軸部材9によってシリンダ側固定用板部12に固定されたタンク側固定用板部7は、リザーバタンク3に作用した外力が伝達されて変形し、これに伴ってタンク側固定用板部7と一体的の筒部11が変形する虞があった。そして、筒部11の変形により筒部11内に保持された液面センサが損傷してしまうことが起こり得た。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、液面センサの検出精度を損なうことなく、液面センサの損傷を簡易な構成で抑制できるマスタシリンダを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リザーバタンクの底面部に設けられたタンク側接続部を、マスタシリンダ本体に設けられた前記タンク側接続部に対応する本体側接続部に接続し、前記リザーバタンク内と前記マスタシリンダ本体内との間で液を連通可能にすると共に、前記リザーバタンクの底面部には、前記マスタシリンダ本体に対するタンク側支持部を立設し、該タンク側支持部を前記マスタシリンダ本体に形成された該タンク側支持部に対応する本体側支持部に結合部材を介して取り付けたマスタシリンダにおいて、
前記リザーバタンクの底面部には、該底面部における前記タンク側支持部を立設した部分により規定される領域に平面視略重なり合うようにして、かつ、力伝達上前記タンク側支持部と前記底面部以外の面で連続した空隙をもって独立させて、前記リザーバタンク内の液量を検出する液面センサを嵌合して保持する筒部を設けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態のマスタシリンダ1を図1ないし図5に基づいて説明する。なお、図11及び図12に示す部材、部分と同等の部材、部分については、同一の符号で示し、その説明は、適宜、省略する。
図1ないし図5において、リザーバタンク3の底面部3tに形成されるタンク側固定用板部(タンク側支持部)7の基端部側には、略台形状の孔(以下、基端側孔という。)15が形成されている。基端側孔15に同軸となるようにして、タンク本体4の下面部には、基端側孔15に比して小径で、かつリザーバタンク3内の液量を検出する液面センサ(図示省略)を嵌合して保持する筒部11が形成されている。筒部11は、図1紙面表裏方向に延びたものとなっている。
また、筒部11は、図5に示すように、リザーバタンク3の底面部3tにおけるタンク側固定用板部(タンク側支持部)7を立設した部分により規定される領域S〔図5にハッチングを示した部分が4か所あるがこの部分に囲まれた範囲(図5に示す縦線X、横線Yで規定される範囲)で、かつタンク側固定用板部7を立設した部分を除く部分〕に平面視少なくともその一部が重なり合うように配置されている。この場合、2枚のタンク側固定用板部7間の長さMと筒部11の長さLとは、図2及び図5に示すように同等に設定されている。
【0011】
筒部11は、その外径が基端側孔15に比して相対的に小さくて、基端側孔15の縁部との間に略コ字形の空隙16が残されるようになっている。以下、略コ字形の空隙16のうち、図1下側部分を下部空隙16aといい、図1左右側部分を側部空隙16bという。なお、本実施の形態では、タンク側ボス部8がタンク側接続部を構成し、シリンダ側ボス部14が本体側接続部を構成し、シリンダ側固定用板部12が本体側支持部を構成し、軸部材9が結合部材を構成している。
【0012】
上述したように構成したマスタシリンダ1では、タンク本体4の開口部5側で筒部11上部に相当する部分に、図3矢印Aで示すように、マスタシリンダ本体2の長手方向(以下、軸方向という。)と直交する方向(以下、軸直交方向という。)の力が作用した場合、この力の一部がタンク側固定用板部7に伝達されて、タンク側固定用板部7が軸直交方向に変形してタンク本体4からの力を吸収する。
【0013】
この際、タンク側固定用板部7が変形しても、筒部11との間に下部空隙16a及び側部空隙16bが形成されていることにより、筒部11はタンク側固定用板部7の変形力を受けることがなく(すなわち、筒部11は力伝達上、タンク側固定用板部7と独立したものになっており)、変形することがない。このため、筒部11に嵌合して保持された液面センサが、筒部11の変形による損傷を招くことがない。
タンク側固定用板部7と筒部11との間に空隙16(下部空隙16a及び側部空隙16b)を形成することにより、筒部11変形による液面センサの損傷を防止するので、液面センサの損傷防止を簡易な構成で達成できる。
【0014】
また、タンク本体4の開口部5側で筒部11上部から外れた部分に、図3矢印Bで示すように、軸直交方向の力が作用した場合、この力の一部がタンク側固定用板部7に伝達されて、タンク側固定用板部7がねじれ変形してタンク本体4からの力を吸収する。この際、タンク側固定用板部7がねじれ変形しても、筒部11との間に下部空隙16a及び側部空隙16bが形成されていることにより、筒部11はタンク側固定用板部7の変形力を受けることがなく(すなわち、筒部11は力伝達上、タンク側固定用板部7と独立したものになっており)、変形することがない。このため、筒部11に嵌合して保持された液面センサが、筒部11の変形による損傷を招くことがない。
【0015】
上述したように、本実施の形態によれば、筒部11との間に下部空隙16a及び側部空隙16bが形成されていることにより、例えばリザーバタンク3をマスタシリンダ本体2に組み付けたり、あるいはリザーバタンク3のマスタシリンダ本体2への組み付けにより一体化されたマスタシリンダ1を車両に組み付けたりする際等に、仮にタンク側固定用板部7がタンク本体4からの外力を受けて変形しても筒部11にはタンク側固定用板部7の変形力が伝達されることがなく、筒部11に嵌合して保持された液面センサが損傷するようなことがない。
【0016】
なお、仮に筒部11との間に下部空隙16aが形成されていても側部空隙16bを形成しなければ(このタイプのマスタシリンダが特開平9−286319号公報に示されている。)、タンク本体4からの外力によりタンク側固定用板部7が変形した場合、その変形力が筒部11に伝達され、筒部11が変形し液面センサの損傷を招くことが起こり得る。
【0017】
上記実施の形態では、2枚のタンク側固定用板部7間の長さMと筒部11の長さLとが同等である場合を例にしたが、これに替えて、図6及び図7に示すように、2枚のタンク側固定用板部7間の長さMに比して短くなるように筒部11の長さLを設定してもよい。この場合、筒部11は、図7に示すように、リザーバタンク3の底面部3tにおけるタンク側固定用板部(タンク側支持部)7を立設した部分により規定される領域S〔図7にハッチングを示した部分が4か所あるがこの部分に囲まれた範囲(図7に示す縦線X、横線Yで規定される範囲)で、かつタンク側固定用板部7を立設した部分を除く部分〕に平面視少なくともその一部が重なり合うように配置されている。
また、図8に示すように、2枚のタンク側固定用板部7間に入るように筒部11の長さLを設定してもよい。この場合、筒部11は、図8に示すように、リザーバタンク3の底面部3tにおけるタンク側固定用板部(タンク側支持部)7を立設した部分により規定される領域S〔図8にハッチングを示した部分が4か所あるがこの部分に囲まれた範囲(図8に示す縦線X、横線Yで規定される範囲)で、かつタンク側固定用板部7を立設した部分を除く部分〕に平面視少なくともその一部が重なり合うように配置されている。
【0018】
上記実施の形態では、タンク本体4に2枚のタンク側固定用板部7を形成した場合を例にしたが、これに替えて、図9及び図10に示すように、1枚のタンク側固定用板部7を形成し、マスタシリンダ本体2のタンク側固定用板部7に雌ねじ17を形成し、タンク側固定用板部7とタンク側固定用板部7とを重ねて雌ねじ17にボルト18を螺合するように構成(本発明の第2の実施の形態)してもよい。
第2の実施の形態でも、前記第1の実施の形態と同様に、筒部11との間に下部空隙16a及び側部空隙16bが形成されていることにより、仮にタンク側固定用板部7がタンク本体4からの外力を受けて変形しても筒部11にはタンク側固定用板部7の変形力が伝達されることがなく、筒部11に嵌合して保持された液面センサが損傷するようなことがない。
【0019】
本発明は、リザーバタンクの底面部には、該底面部における前記タンク側支持部を立設した部分により規定される領域に平面視略重なり合うようにして、かつ、力伝達上前記タンク側支持部と前記底面部以外の面で連続した空隙をもって独立させて、前記リザーバタンク内の液量を検出する液面センサを嵌合して保持する筒部を設けており、タンク側支持部がリザーバタンクからの外力により変形しても筒部がタンク側支持部の変形力を受けることがないので、筒部は変形せず、これにより筒部に嵌合して保持された液面センサが、筒部の変形による損傷を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のマスタシリンダを示す正面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1のリザーバタンクを示す斜視図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図1のタンク側固定用板部の配置部分を模式的に示す平面視の断面図である。
【図6】第1の実施の形態の筒部に替える他のタイプの筒部を用いたマスタシリンダを示す断面図である。
【図7】図6のタンク側固定用板部の配置部分を模式的に示す平面視の断面図である。
【図8】第1の実施の形態の筒部に替えるさらに他のタイプの筒部を用いたマスタシリンダを模式的に示す平面視の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態のマスタシリンダを示す正面図である。
【図10】図9のZ−Z線に沿う断面図である。
【図11】従来のマスタシリンダの一例を示す正面図である。
【図12】図11のタンク側固定用板部、シリンダ側固定用板部、タンク側ボス部及びシリンダ側ボス部の位置関係を模式的に示す下面図である。
【符号の説明】
2 マスタシリンダ本体
3 リザーバタンク
7 タンク側固定用板部(タンク側支持部)
11 筒部
16 空隙
Claims (1)
- リザーバタンクの底面部に設けられたタンク側接続部を、マスタシリンダ本体に設けられた前記タンク側接続部に対応する本体側接続部に接続し、前記リザーバタンク内と前記マスタシリンダ本体内との間で液を連通可能にすると共に、前記リザーバタンクの底面部には、前記マスタシリンダ本体に対するタンク側支持部を立設し、該タンク側支持部を前記マスタシリンダ本体に形成された該タンク側支持部に対応する本体側支持部に結合部材を介して取り付けたマスタシリンダにおいて、
前記リザーバタンクの底面部には、該底面部における前記タンク側支持部を立設した部分により規定される領域に平面視略重なり合うようにして、かつ、力伝達上前記タンク側支持部と前記底面部以外の面で連続した空隙をもって独立させて、前記リザーバタンク内の液量を検出する液面センサを嵌合して保持する筒部を設けたことを特徴とするマスタシリンダ。
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1998
- 1998-06-12 JP JP18140298A patent/JP3906400B2/ja not_active Expired - Lifetime
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