JP3906072B2 - 板状アルミナ粒子及びそれを用いた化粧料並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規アルミナ粒子並びにその製造方法、さらに前記アルミナ粒子を配合してなる化粧料に関する。さらには扁平アルミナ粒子の結晶面の粗さを変化させ、その粒子表面光沢を調整するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ファンデーションや口紅等のメークアップ化粧料には、タルクやカオリナイト、マイカ等の無機質の板状粒子が肌への付着性、カバー力等を付与する為に添加されている。これら板状粒子は、屈折率が1.5〜1.6前後であり、適度な透明性を付与し、塗布膜に艶を与える仕上がりとするために用いられている。
【0003】
一方艶を押さえてマット感を与える仕上がりを出す場合、上記板状粒子は減らして、球状粒子を増やし光の乱反射を増加させている。具体的には球状粒子としてナイロン、ポリスチレン、アクリル系等の球状有機系粉体やシリカ等の球状無機系粉体が使用されている。
【0004】
【発明が解決する課題】
しかし、上記球状粉体を添加する場合、プレス性に難点が有り大量配合は難しく、また、肌への付着性やカバー力が低下するといった問題がある。
【0005】
化粧料に含まれる板状、薄片状粒子が光沢感や艶を出したりするのは、その粒子が外部からの光を反射するからであり、特に粉体表面の反射機構が影響している。たとえば扁平な粒子が表面粗さのない平滑面を持っている場合、粉体は光を正反射する傾向が強い。一方、粒子が光沢のない場合は、粒子が微細であったり、平滑な表面を持っていないため、光を乱反射する傾向が強いためである。従来から肌上の塗布膜の艶をコントロールする際、化粧料として板状粒子の他、微粒子や球状粒子を添加する技術があったが、球状粒子を添加した際には肌への付きやカバー力を犠牲にしていた。また、微粒子を添加した際には分散されない凝集粒子が板状粒子とは局部的に分離して存在する場合が多く、添加した割に艶を減らせなかったりする問題点があった。ゆえに板状粒子の持つ肌への付着性、カバー力を損なうことなく粒子の持つ反射機構をコントロールすることは、化粧持ちが良く、不自然な艶のない化粧料を提供する上で必要な技術だった。
【0006】
以上、化粧料を例に詳細を説明したが、特に光沢性については塗料用顔料、インク用顔料、陶磁器、ガラス用材料等においても同様に重要な要素である。
【0007】
そこで、本発明は、塗料用顔料、インク用顔料、陶磁器、ガラス用材料、化粧料粉体として使用した時、その光沢性が良好にコントロールができるアルミナ粒子並びにその製造方法、さらに化粧料に関して今までの化粧品用粉体にはない光沢を備え、マット感、肌への伸び及び滑り性が良好で、肌への付着性、カバー力を損なうことのない化粧料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑み、本発明者等は上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、水酸化アルミニウムを水熱合成する際、添加材として加えるリン酸系のアニオンを合成前に水酸化アルミニウム粒子表面に固着させ、その量を総添加量に対して調整することに依り、水熱合成後に生成する板状または薄片状のα−アルミナの広大な面の平滑性を変化させることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。特に、平滑性を変化させることによって、粒子の艶やマット感で表現される光沢性をコントロールすることができる。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の構成よりなる。
(1)板状α−アルミナの結晶を基本構成とし、結晶を構成するc面の表面粗さが算術平均粗さ:Ra=1.0nm〜5.0×102nmである板状アルミナ粒子。
(2)平均粒子径0.2〜25μm、平均厚み0.01〜2.0μmである上記(1)記載の板状アルミナ粒子。
(3)c面上の凸部を形成する成分が、α-アルミナ、その他の遷移アルミナに代表される無水アルミナまたはアルミナ水和物である上記(1)又は(2)記載の板状アルミナ粒子。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか記載の板状アルミナ粒子を1〜90wt%で配合してなる化粧料。
(5)水酸化アルミニウム1モルに対しリン酸イオン換算で1.0×10-3〜2.0×10-1モルのリン酸系アニオンを添加する際、そのリン酸系成分の10〜100%を水酸化アルミニウムに乾燥して付着させ、水熱合成する板状アルミナ粒子の製造方法。
(6)残りのリン酸系成分は水に添加して、その混合スラリーを水熱合成する上記(5)記載の板状アルミナ粒子の製造方法。
【0010】
本発明において製造される薄片状アルミナ粒子の形状は図1のようになる。本発明の薄片状粒子は(n,c)面でのみ構成される。板状粒子の粒子径とは、電子顕微鏡(SEM)にてランダムに選出した10枚の粒子のc面長軸径を平均した値である。また、厚み(L)は図1で2つのc面間で表され、これも電子顕微鏡にてランダムに選出した10枚の粒子の平均値をとる。さらに、c面の表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM)でランダムに選出した10枚の粒子の測定可能な1方の面を測定し平均値をとる。なお、前記平均値はJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さRaである。
【0011】
本発明において原料である水酸化アルミニウムはとくに限定されるものではなく、バイヤー法工程より得られたギブサイト型水酸化アルミニウムやアモルファス状のものが使用できる。これらの原料はあらかじめ粒度調整を行ない、平均粒径は2μm以下、さらに好ましくは平均粒径は0.5μm〜1.5μmにするとよい。原料の微細化(平均粒径<0.5μm)は、合成後の粒子径が小さくなりすぎるため、光沢性の低下及び肌へのすべりや伸びが向上しなくなり好ましくない。平均粒径5μmを超えた原料を使用した場合、合成後に薄片状粒子が強固に凝集した二次粒子が発生し板状粒子の特有の感触を損なってしまうため好ましくない。
原料粉体の粒度調整方法はボールミル、媒体攪拌ミルが主に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明は上記原料を水熱合成する際、リン酸系のアニオンを結晶形制御剤として添加する。リン酸系の制御剤としてオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸の水溶液を添加するが必ずしもこれに限られるものではない。ホスホン酸、ホスフィン酸や、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素アンモニウム等のリン酸塩であっても構わない。
【0013】
この時、添加するリン酸の全部または一部を水酸化アルミニウム表面(固相)に付着させることによって、合成後の板状アルミナ粒子の結晶面c面の表面粗さを算術平均粗さ:Ra=1.0nm〜5.0×102nmの範囲で変化させることができる。リン酸系制御剤が水酸化アルミニウム表面に付着する比率が大きい程、c面の表面粗さは小さくなる傾向に有る。表面粗さを粗くするには水(液相)にリン酸系添加剤を加える比率を上げた方が良いが、全体の90%以上液相に添加すると、表面粗さが大きくなりすぎ光沢性が失われ、さらに場合によって、合成後に板状粒子の他に独立した粒状の微細粒子が発生する為、液相へのリン酸系制御剤は全体の90%以下で添加するのが好ましい。
【0014】
付着方法としては、原料とリン酸系の制御剤を水系スラリーにして、噴霧乾燥法等熱風中で乾燥させたり、回転ロール等の加熱媒体に噴霧してスクレバー等で掻き取る等の加熱乾燥が普通であるが、真空乾燥等の乾燥方法を実施しても良い。リン酸の付着を確実に行う為に、原料中の含水率(水分量/乾燥質量)は1wt%以下にするのが望ましい。さらに、水分率を下げ、リン酸の付着を強固にする為に再加熱しても構わない。但し加熱する場合は、水酸化アルミニウム(三水和物)が無水アルミナやアルミナ一水和物に構造変化しない様に150℃以下で加熱を行うとよい。
【0015】
水酸化アルミニウム1モルに対しリン酸イオン換算で1.0×10-3〜2.0×10-1モルの範囲内でリン酸添加量を増やすと、水熱合成後に生成する板状粒子の厚さを薄くすることができる。原料1モルに対しリン酸添加量が1.0×10-3モル未満では、表面粗さのない平滑面となるとともに、合成後の板状粒子は厚みがあり、化粧料として使用した場合、皮膚に対する伸びやすべりのない粒子になってしまう。原料1モルに対しリン酸添加量が2.0×10-1モルを超えると合成後に薄片状粒子の凝集した二次粒子が多くなり、同じく伸びやすべりを失ってしまう。
【0016】
上記リン酸付着原料と水または残りのリン酸イオンが含まれる水溶液を混合してスラリーを作製し水熱合成を行う。水熱合成の反応温度は400℃以上であり好ましくは450℃以上である。スラリーの最高温度が400〜450℃になる場合、板状形に結晶成長させるために昇温後の温度保持時間を24時間以上とする必要がある。また、板状粒子表面の凸部をなす成分が、遷移アルミナに代表される無水アルミナまたはベーマイト等のアルミナ水和物になる。更に合成圧力は10MPa〜25MPa好ましくは15MPa〜20MPaとする。合成温度・圧力の関係はAl2O3−H2O系状態図でα−Al2O3(コランダム)の範囲で行う必要が有る。合成圧力10MPa以上を要するのは、この範囲を外れた低圧下では、薄片状粒子の他に粒状形をした粒子の混在状態で合成され、粒子径のばらつきが大きくなるからである。また合成圧力25MPaを越えると板状粒子は厚肉化の傾向を示すので好ましくない。
【0017】
本発明の製造方法によって、算術平均粗さがRa=1.0nm〜5.0×102nmの範囲に制御された板状アルミナ粒子が得られ、このようにして得られた板状アルミナ粒子は光沢性をコントロールすることができ、塗料用、インク用顔料や陶磁器、ガラス用材料として使用した場合、素地の風合いを残しながら白みをつけたり、素地の持つ光沢に変化を持たせる等、従来の白色顔料とは異なる使用が可能である。
【0018】
また、化粧料として本発明のアルミナ粒子からなる粉体を使用した場合、今までの板状粉体にない艶とマット感の調整、並びに伸びやすべりの感触の調整が、肌への付きやカバー力を損なわず可能になる。
【0019】
本発明品のアルミナ粒子を化粧料として配合する場合、配合量は1〜90wt%で、望ましくは10〜80wt%である。90wt%を超えると化粧料の成形性が悪くなる。また、1wt%未満では開発品の特徴である肌に対する良好な付着性、カバー力が発揮されなくなる。10wt%以上の添加であれば本発明の特色である艶とマット感等が充分に期待できる化粧料を提供することができる。
【0020】
又、本発明に記載する化粧料の用途は任意であり、ファンデーション、口紅、アイシャドー、マスカラ等のメークアップ化粧料だけでなく、乳液、クリーム等のフェーシャル化粧料に用いることができる。
【0021】
本発明に記載する化粧料に於いては上記板状アルミナ粒子の他に、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、エステル油、パラフィン油、ワックス等の油分、エチルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース等のアルコール類、ムコ多糖類、コラーゲン類、乳酸塩等の保湿剤、各種界面活性剤、増粘剤、酸化防止剤、pH緩衝剤、防腐剤、香料等の通常化粧料に用いられる原料が適宜選択され配合される。
【0022】
【作用】
本発明により、板状形を有するα−アルミナの結晶を基本構成とし、結晶を構成するc面の表面粗さが算術平均粗さ:Ra=1.0〜5.0×102nmである板状アルミナ粒子を合成することが出来る。その為本アルミナ粒子を塗料用、インク用顔料や陶磁器、ガラス用材料として使用した場合、光沢性のコントロールができるので、素地の風合いに変化をつけたりできる白色顔料として機能する。適用される板状アルミナ粒子は、板状粒子としての配向性、分散性等を考慮した場合、平均粒子径0.2〜25μm、平均厚み0.01〜2.0μmとすることが好ましく、さらには、平均粒子径0.5〜15μm、平均厚み0.01〜1.0μmとすることが好ましい。また、アスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、前記と同様な理由より15〜2000とすることが好ましい。さらには、アスペクト比15〜200とすることが好ましい。
【0023】
また、本発明のアルミナ粒子を化粧料に利用した際には特徴的な効果を発揮する。本粒子は凝集粒子が少なく扁平性を持ち、化粧料としてファンデーション等の用途に使用した時、肌に対する付着性、カバー力が非常に良好である。さらに、本粒子の特徴として、リン酸イオンの総添加量に対する原料への付着リン酸イオン量を制御することに依り、表面粗さが上記範囲で制御できる為、従来の化粧料粉体で使用されていた板状粒子、薄片状粒子では実現出来なかった光の正反射と乱反射のコントロールを実現することが可能である為、艶とマット感のコントロールができる。さらに肌への伸び、滑り感といった塗布時の感触も制御することが可能である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
バイヤー法にて得られたギブサイト型水酸化アルミニウムを湿式粉砕し、平均粒径0.9μmに調整し、原料1モルに対しオルトリン酸3.0×10-3モルを添加したスラリーにした。そのスラリーをスプレードライ(大川原化工機:FL-12型)で乾燥温度140℃にて造粒乾燥し、原料中の水分を1wt%未満にした。この粉末は50wt%濃度の水系スラリーにしてから、合成温度600℃、合成圧力15Mpaにて水熱合成を行い、水洗、乾燥後白色の粉体を得た。
【0025】
合成後の粉体はSEM(島津:スーパースキャン)による分析の結果、粒子径4.5μm、厚み0.10μm、アスペクト比は45の板状粒子であった。また、AFM(SII:SPA300)による表面粗さ測定の結果、Ra=5.2nm、Rz=9.8nmであった。なお、Rzは、JIS B 0601−1994に規定される十点平均粗さを示す。
また、粒子の化粧料特性評価として、1)反射光強度特性、2)粉体感能をそれぞれ評価した。
【0026】
1)黒色板の上に両面テープを貼り付け、片面に合成後の粉体を塗布し、その反射光を3次元変角光度計(村上色材研究所製)を使用して、入射角−45°に設定し反射角 +45°、+20°、+70°それぞれの反射光強度を測定した。
その結果、強度は35(+45°)、13(+20°)、11(+70°)となった。
【0027】
2)上記粉体60部に、酸化鉄粉末15部,二酸化チタン5部をヘンシルミキサーにて混合し粉体成分とした。また、スクワラン8部,流動パラフィン6部,ソルビタンセスキオレート6部を混合し80℃に溶解した油相中に、上記粉体成分を徐々に加えた後ホモミキサーで充分均一分散させ、室温まで冷却した。この混合物を金皿に充填して油性ファンデーション100部を得た。このファンデーションを塗布した時の「肌への伸び」、「滑り感」、「付着後の艶」、「付着後のマット感」4項目を専門パネラー5名により5段階で感能評価した。その平均値は伸び:4.6、滑り3.4、艶4.2、マット感2.4となった。
【0028】
実施例2
上記実施例1において、原料1モルに対しオルトリン酸の添加量を1.0×10-3モル添加し加熱乾燥して付着させ、残りのオルトリン酸2.0×10-3モルを水熱合成時に水(液層)に添加して、合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径4.1μm、厚み0.09μm、アスペクト比は45の板状粒子であった。また、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra=39nm、Rz=67nmであった。1)反射光強度は24(+45°)、12(+20°)、10(+70°)となり、実施例1よりも 正反射成分が減り、反射成分の角度依存性が小さくなった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:3.8、滑り2.8、艶2.2、マット感4.6となり、艶が減りマット感が増したことが確認された。
【0029】
実施例3
上記実施例1において、原料1モルに対しオルトリン酸の添加量を1.0×10-2モルに増量して添加し加熱乾燥して付着させ、水熱合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径3.2μm、厚み0.03μm、アスペクト比は110の板状粒子であった。また、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra=8.8nm、Rz=19nmであった。1)反射光強度は33(+45°)、14(+20°)、13(+70°)となった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:4.8、滑り4.6、艶3.6、マット感1.2となり、艶のある化粧料になっていることが確認された。
【0030】
実施例4
上記実施例2において、原料1モルに対しオルトリン酸の添加量を3.0×10-3モル添加し加熱乾燥して付着させ、残りのオルトリン酸7.0×10-3モルを水熱合成時に水(液層)に添加して、合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径2.9μm、厚み0.03μm、アスペクト比は100の板状粒子であった。また、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra=59nm、Rz=100nmとなった。1)反射光強度は19(+45°)、12(+20°)、10(+70°)となり、実施例3よりも 正反射成分が減り、反射成分の角度依存性が小さくなった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:3.8、滑り2.8、艶2.4、マット感4.8となり、艶が減りマット感が増したことが確認された。
【0031】
実施例5
上記実施例1において、バイヤー法で得られたギブサイト型水酸化アルミニウム原料を湿式粉砕を行い、平均粒径を1.8μmになるよう調整し、以下は同様に合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径11.5μm、厚み0.40m、アスペクト比は30の板状粒子であった。また、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra=10nm、Rz=23nmであった。1)反射光強度は42(+45°)、15(+20°)、13(+70°)となり、正反射成分が大きくなった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:4.2、滑り3.0、艶4.6、マット感1.8となり、艶が特徴の化粧料であることが確認された。
【0032】
実施例6
上記実施例5において、原料1モルに対しオルトリン酸の添加量を1.0×10-3モル添加し加熱乾燥して付着させ、残りのオルトリン酸2.0×10-3モルを水熱合成時に水(液層)に添加して、合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径9.8m、厚み0.30μm、アスペクト比は30の板状粒子であった。また、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra=48nm、Rz=98nmであった。1)反射光強度は28(+45°)、16(+20°)、14(+70°)となり、実施例5よりも正反射成分が減り、反射成分の角度依存性が小さくなった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:3.6、滑り2.8、艶3.8、マット感3.8となり、艶が減りマット感が増したことが確認された。
【0033】
比較例1
上記実施例5において、合成の際添加するオルトリン酸3.0×10-3モルは原料に乾燥付着させずに、水熱合成時に全量水(液層)に添加して、合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径7.5μm、厚み0.35μm、アスペクト比は25と算出できるが、SEMによる観察の結果、板状粉体と微粒子の混合状態で得られることがわかった。そこで沈降分離を行い板状粒子のみを選択し、AFMによる表面粗さ測定を行った結果、Ra=6.2×102nm、Rz=1.2×103nmであった。1)反射光強度は16(+45°)、10(+20°)、8(+70°)となった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:1.4、滑り1.2、艶1.2、マット感4.0となり、肌に対する伸びや滑り感の乏しく、肌上でもたつく様な感触の化粧料になっていることが確認された。また付着性に乏しく化粧持ちが悪かった。
【0034】
比較例2
上記実施例5において、リン酸を添加せずに水熱合成を行い白色の粉体を得た。
粉体は粒子径8.2μm、厚み1.1μm、アスペクト比は8の肉厚のある板状粒子であった。また、AFMによる表面粗さ測定の結果、Ra=0.8nm,Rz=2.5nmであった。1)反射光強度は43(+45°)、7(+20°)、8(+70°)となった。2)感能評価の結果、平均値は伸び:1.2、滑り1.8、艶4.6、マット感2.2となった。この化粧料塗布後の肌は不自然な光沢感があった。また肌に塗付した時に引っ掛かる感触があった。
【0035】
各種粉体の製造条件を表1に、粉体の粒子形状、平均粗さ、反射光強度を表2に、各実施例、比較例にて合成された粉体を化粧料にした際の感能評価結果を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】
以上の様に本発明製造方法によれば、板状形を有するα―アルミナの結晶を基本構成とし、かつ結晶を構成するc面の表面粗さが算術平均粗さ:Ra=1.0〜5.0×102nmである板状アルミナ粒子を合成することが出来る。その為、本発明のアルミナ粒子を塗料用、インク用顔料や陶磁器、ガラス用材料として使用した場合、光沢性を良好にすることができる。さらには、素地の風合いや光沢を調整できる白色顔料として機能する。
【0040】
特に化粧料として使用した場合、化粧料に肌への付着時にマット感を増す為従来から添加していた粉体とは異なり、本粒子は扁平性を持つ為化粧料としてファンデーション等の用途に使用した時、肌への付着性やカバー力が良好になる。また本粒子の特徴として、表面粗さが上記範囲で制御できる為、従来の化粧料粉体で使用されていた板状粒子、薄片状粒子では実現出来なかった光の正反射と乱反射のコントロールを実現することが可能である。ゆえに、艶とマット感のコントロールを良好なものとすることができる。さらに本粒子を使用した場合、肌へ付着させた時に伸びや滑り等で表現される感触も良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される薄片状粒子の形状を表す摸式図である。
Claims (6)
- 板状α−アルミナの結晶を基本構成とし、結晶を構成するc面の表面粗さが算術平均粗さ:Ra=1.0nm〜5.0×102nmであることを特徴とする板状アルミナ粒子。
- 平均粒子径0.2〜25μm、平均厚み0.01〜2.0μmである請求項1記載の板状アルミナ粒子。
- c面上の凸部を形成する成分が、α−アルミナ、その他の遷移アルミナに代表される無水アルミナまたはアルミナ水和物である請求項1又は2記載の板状アルミナ粒子。
- 上記請求項1乃至3のいずれか記載の板状アルミナ粒子を1〜90wt%で配合してなることを特徴とする化粧料。
- 水酸化アルミニウム1モルに対しリン酸イオン換算で1.0×10-3〜2.0×10-1モルのリン酸系アニオンを添加する際、そのリン酸系成分の10〜100%を水酸化アルミニウムに乾燥して付着させ、水熱合成することを特徴とする板状アルミナ粒子の製造方法。
- 残りのリン酸系成分は水に添加して、その混合スラリーを水熱合成する請求項5記載の板状アルミナ粒子の製造方法。
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