JP3905622B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷装置の一例として、版胴と、この版胴に接離自在に対向配置された圧胴或いはプレスローラ等の押圧部材とを設け、製版済みのマスタを版胴に巻き付け、給紙された用紙を版胴の回転運動にタイミングを合わせて回転するレジストローラにより版胴と押圧部材との間に搬送し、用紙が搬送されたことを用紙検知手段により検知し、この検知信号を基に押圧部材を移動させてこの押圧部材で版胴上のマスタに用紙を押し付け、等しい周速度で回転する版胴と圧胴とにより用紙を搬送する過程で版胴内のインキを版胴及びマスタから滲み出させて用紙に転写するようにした孔版印刷装置がある。
【0003】
しかし、用紙の先端が用紙検知手段に到達した後に何らかの不具合により用紙が途中で引っ掛かりジャムが発生すると、用紙の先端が押圧部材に到達していない状態であるにも拘らず押圧部材が版胴に当接することがある。このような場合には、版胴内のインキが押圧部材に転移し、押圧部材を汚してしまう。この状態で印刷を続行すると押圧部材に転移したインキが用紙の裏面に付着して裏汚れが発生するので、押圧部材を清掃する必要がある。
【0004】
この場合、版胴と押圧部材との間に複数枚のヤレ紙を通紙することにより押圧部材の表面を清掃する方法があるが、この方法はインキを確実に除去することができず、また、ヤレ紙の紙粉が押圧部材の表面に付着し長期の間に堆積してしまう。この紙粉の堆積により押圧部材の表面に凹凸が生じ、用紙の全面を均一に版胴上のマスタに押し付けることができなくなり、印刷時にインキの濃度にムラが生ずる。
【0005】
このために、版胴を駆動軸から取り外して押圧部材の周囲を開放した状態で押圧部材の表面をクリーナ等で清掃することが行われている。一般に、版胴は駆動軸を一定の回転位置に停止させた状態で着脱が許容されるように構成されている。例えば、実開昭64−36170号公報に記載された例では、版胴を着脱自在に支持する版胴支持軸(駆動軸)をホームポジションに位置させて非駆動状態に維持してロックし、この状態で版胴支持軸に版胴を着脱するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、用紙を版胴に押し付ける押圧部材には、版胴との摩擦により追従回転するプレスローラと、レジストローラから受け渡される用紙の先端をくわえるくわえ爪を外周に備えて回転方向に駆動される圧胴とがあるが、圧胴を用いる場合には版胴の周速度と等しい周速度で回転させる必要があるので、一般には共通の駆動モータにより版胴及び圧胴を駆動するようにしている。
【0007】
このような孔版印刷装置では、駆動軸を定位置に停止させて版胴を外すように構成しても、清掃のために圧胴を回転させると版胴を駆動する駆動軸まで回転するため、清掃後に版胴を装着するときに駆動軸の回転位置を調整する必要があるが、この調整作業は面倒である。駆動軸の回転位置が定位置からずれた状態で版胴を孔版印刷装置の本体に装着すると、場合によっては駆動軸と版胴との連結部にダメージを与え、正常な連結状態を得られぬまま無理に駆動軸を回転させようとすると、版胴や孔版印刷装置の本体にまでダメージを与えるおそれがある。
【0008】
本発明は、版胴が外された駆動軸に再度版胴を連結するときに、駆動軸の回転位置合わせを極めて容易に行い得る孔版印刷装置等の印刷装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、版胴に巻き付けたマスタに用紙を圧胴により押し付け、前記版胴と前記圧胴とを共通の駆動モータで回転させながら前記マスタの画像を用紙に転写する印刷装置において、前記駆動モータにより駆動されるとともに定位置で停止したときに前記版胴が着脱自在に連結される駆動軸と、この駆動軸が一定の回転位置である定位置に位置する状態を検知する回転位置検知器と、前記駆動軸から前記版胴が外れている版胴未装着状態を検知する版胴未装着状態検知手段と、版胴未装着状態のときに前記駆動モータを駆動する駆動入力手段と、版胴未装着状態のときに前記駆動軸の回転位置が前記回転位置検知器の出力により定位置でないと判断された状態で前記駆動入力手段から駆動命令入力があったときに前記駆動軸を定位置に達するまで前記駆動モータを駆動する駆動軸回転位置調整手段と、前記版胴の前記駆動軸方向への接近動作を検知する接近動作検知手段と、版胴未装着状態であり、前記駆動軸の回転位置が定位置でない状態で前記駆動軸に前記版胴が接近する状態を検知したときに警告を発する警告手段と、を備える。
【0010】
したがって、清掃作業を含むメンテナンスに際し駆動軸から版胴を外し、版胴を再び装着するときに、駆動入力手段により駆動モータを駆動すると、駆動軸の回転位置が定位置でないと判断された状態では、駆動軸を定位置に達するまで駆動モータが駆動される。また、版胴未装着状態であり、駆動軸の回転位置が定位置でない状態で駆動軸に版胴を装着しようとすると警告が発するため、版胴の装着操作に対して直接警告することが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、駆動入力手段は、印刷開始時に操作するスタート釦を兼用する。この場合、版胴未装着状態検知手段が認識する版胴未装着でスタート釦が操作されるため、通常の印刷処理のためのスタート釦からの入力とは区別して判断可能である。したがって、版胴未装着状態で操作する駆動入力手段として別個に操作キーを設ける必要性をなくすことが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、駆動入力手段は、印刷装置のカバーの閉塞動作時にオンとなるカバースイッチを兼用する。この場合、版胴未装着状態検知手段が認識する版胴未装着でカバースイッチが作動するため、版胴が装着された状態での通常のカバー閉塞動作とは区別して判断可能である。したがって、版胴未装着状態で操作する駆動入力手段として別個に操作キーを設ける必要性をなくすことが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明において、版胴未装着状態のときに駆動軸の回転位置が定位置でない場合に警告を発する警告手段を備える。したがって、駆動軸の回転位置が定位置でない状態を警告し、この状態で版胴を装着する間違いをオペレータに知らせることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図5に基づいて説明する。製版済みのマスタ1を巻き付ける版胴2が回転自在に設けられている。この版胴2の周囲には、マスタ1を加熱穿孔して製版し、マスタ1を版胴2へ給版する製版部3と、給紙部(図示せず)から給紙された用紙Sを版胴2に巻き付けたマスタ1の進行にタイミングを合わせて搬送する一対のレジストローラ4と、このレジストローラ4から給紙された用紙Sを版胴2上のマスタ1に押し付ける圧胴5と、印刷済みの用紙Sを排紙トレイ6に向けて搬送する排紙ベルト7とが配置されている。排紙ベルト7の内方には、この排紙ベルト7に用紙Sを引きつける吸引ファン7aが設けられている。
【0016】
製版部3は、マスタ1の搬送路8に沿って、回転駆動されるプラテン9、このプラテン9に対して接離自在に支持されたサーマルヘッド10、マスタ1を切断する固定刃11及び可動刃12、一対の搬送ローラ13,14等を配置することにより形成されている。マスタ1のロール芯1a、プラテン9、搬送ローラ13,14等は、製版部3のフレームを構成する側板(図示せず)に回転自在に支持されている。
【0017】
版胴2には非開口部2aと開口部2bとが形成され、開口部2bには樹脂又は金属の網体により形成されたメッシュスクリーンが設けられている。この版胴2は、中心に版胴軸15が固定されたフランジを両端部に有し、この版胴2の版胴軸15はフレームF(図3参照)に設けた軸受(図示せず)により回転自在に支持されるように構成されている。また、版胴2の内部にはインキパイプ16が設けられているとともに、版胴2の内周面に接触するインキローラ17と、ドクターローラ18とが僅かの隙間を開けて回転自在に設けられ、これらのインキローラ17とドクターローラ18との間の楔状の空間にインキパイプ16の下端に形成された供給穴(図示せず)から滴下するインキを受けるインキ溜め19を形成している。インキパイプ16には、版胴2の内部に設けられたインキパック(図示せず)からインキが供給される。また、版胴2の外周面には、非開口部2aの部分で前記マスタ1の先端を挟持するステージ20とクランパ21とが取り付けられている。ステージ20は磁性体により形成されて版胴2の軸心方向に沿う長さを有する。クランパ21は、ステージ20の長手方向に沿って配置されたクランパ軸22を支軸として回転自在に支持されている。
【0018】
前記圧胴5は偏心軸23に回転自在に支持され、この偏心軸23を回転させることにより版胴2に対して接離するように設けられている。この圧胴5の外周の一部には版胴2のクランパ21等との干渉を避ける凹部24が形成され、この凹部24の端部には、支軸25を中心に回動するくわえ爪26が設けられている。このくわえ爪26は閉止動作で用紙Sの先端をくわえ、開放動作で用紙Sを離す機能を有する。
【0019】
くわえ爪26を開閉させる構造は種々あるが、例えば、くわえ爪26を閉じ方向に付勢し、このくわえ爪26と一体に回動する支軸25の端部にカムフォロワを有するレバー(図示せず)を固定的に設け、カムフォロワに干渉してレバーの回動運動を制御する溝カムを圧胴5の端面と対向する固定面に配設する等の構成により、図1において圧胴5が反時計方向に回転し、くわえ爪26がレジストローラ4と対向する位置に達したときに、それまで開放状態に維持されていたくわえ爪26をレジストローラ4からの用紙Sの搬送タイミングに合わせて徐々に閉じて用紙Sの先端をくわえ、くわえた用紙Sの先端がインキローラ17の真下を通過して排紙爪27に達するまでの間にくわえ爪26を開くことにより用紙Sを離すことができるように構成されている。圧胴5から用紙Sを剥がして排紙ベルト7に導く排紙爪27は先端が圧胴5の外周に近接して設けられている。
【0020】
なお、圧胴5の外周には、耐油性のニトリルゴム等の弾性部材5aが貼着され、その表層部には紙粉等が付着しにくいように、或いは、紙粉が付着しても直ぐに脱落し易いように0.05〜0.2mm程度のフッ素樹脂のフィルムが貼着されている。
【0021】
版胴2の一端のフランジから突出する一方の版胴軸15は駆動カップ軸28に着脱自在に連結されている。すなわち、図2に示すように、版胴軸15にはピン15aが立設され、駆動カップ軸28にはピン15aが嵌合される切欠28aが形成されている。
【0022】
版胴2の版胴軸15を回転自在に支持するフレームFには、電源を受けるためのコネクタ29が設けられ、このコネクタ29が接続される本体コネクタ30は孔版印刷装置の本体(図示せず)に設けられている(図3参照)。この場合、電源はインキパイプ16にインキを供給するインキ供給ポンプ(図示せず)や、各種のセンサに供給するものである。
【0023】
次に、図4を参照し電気的構成について説明する。CPU31と、記憶部32と、I/Oインターフェース33とがバスライン34により接続されている。記憶部32は、図示しないがCPU31が実行するプログラム等の固定データが書き込まれているROM、ワークデータ等の可変データを更新自在に書き込むRAM等により形成されている。
【0024】
I/Oインターフェース33には、本体コネクタ30、孔版印刷装置の本体に対する版胴2の装着状態及び装着の過程を検知する挿入センサ35、駆動カップ軸28が一定の回転位置(ホームポジション)に位置する状態を検知する回転位置検知器としての駆動カップ軸センサ36、版胴2の前方を覆うカバー(図示せず)の開閉動作を検知するカバースイッチ37、警告を発するブザー38、操作パネル39、駆動カップ軸28及び圧胴5並びにレジストローラ4等の回転系の部材を駆動する駆動モータ40等が接続されている。
【0025】
挿入センサ35は、孔版印刷装置の本体に版胴2を完全に装着したときに全て作動するように複数個配設するとともに、該本体に版胴2を装着する過程では少なくとも一つが作動するように配設することにより、駆動カップ軸28から版胴2の版胴軸15が外れている版胴未装着状態の検知信号を出力する機能と、版胴2が駆動カップ軸28方向に接近する状態の検知信号を出力する機能とを果たすが、それぞれの機能を果たすセンサを独立的に配設してもよい。
【0026】
また、操作パネル39は、種々の動作状態を表示する表示器(図示せず)と、印刷枚数等の各種の設定をする設定キー(図示せず)と、印刷開始時に操作するスタート釦41とを有し、このスタート釦41は版胴未装着状態のときに駆動モータ40を駆動する駆動入力手段として兼用されている。
【0027】
次に、図5に示すフローチャートを参照し、孔版印刷装置の動作について説明する。CPU31は所定の周期で挿入センサ35の出力を監視し、孔版印刷装置の本体への版胴2の装着状態を検知する(S1)。版胴2が装着されているものと判断した(S1のY)場合には、版胴2を覆うカバーが閉じられているか否かをカバースイッチ37の状態によって判断する(S2)。カバーが閉じられているものと判断した(S2のY)後に、スタート釦41がオン状態か否かを判断し(S3)、オン状態であると判断した(S3のY)ときに、通常の印刷処理(S4)を実行する。
【0028】
この印刷処理は通常行われている処理であるので、図5のフローチャートを用いずに概略について説明する。オペレータが図示しない原稿読取部に原稿をセットした後にスタート釦41を押すと、この操作によりスタート信号が出され、駆動モータ40により版胴軸15が版胴2とともに反時計方向に駆動される。この過程で、それまでに版胴2に巻き付けられていたマスタ1が排版装置(図示せず)により剥離されて廃棄され、版胴2はクランパ21が略真上に達したときに停止される。この停止時では、クランパ21がクランパ軸22を中心に開放方向に回動し給版待機状態に維持される。
【0029】
画像データがサーマルヘッド10に出力されるとマスタ1には画像データに基づいて穿孔によるドットが形成される。マスタ1はプラテン9、搬送ローラ13,14の回転により版胴2側に搬送される。このとき、搬送ローラ13,14はプラテン9の周速度よりやや速い周速度で回転することにより、マスタ1に必要なテンションを付与する。そして、プラテン9、搬送ローラ13,14を駆動するステッピングモータのステップ数をカウントすることにより、マスタ1の先端がクランパ21に届いたと判断すると、図示しない開閉装置によりクランパ21が閉じられ、マスタ1の先端がクランパ21と版胴2上のステージ20との間で挾持される。続いて、版胴2がマスタ1の搬送速度と略等しい周速度をもって今度は時計方向に駆動されて、版胴2の外周へのマスタ1の巻き付けが行われる。そして、ステッピングモータのステップ数より製版が完了したと判断されると、可動刃12が作動しマスタ1が切断されるとともに、プラテン9及び搬送ローラ13,14が停止される。そして、版胴2がさらに回転することにより、版胴2へのマスタ1の巻き付けが完了する。
【0030】
このように、版胴2へのマスタ1の巻き付けが完了すると、図示しない給紙トレイに積載されている用紙Sが分離給紙装置(図示せず)により給紙され、その用紙Sが版胴2の回転運動に同期して回転するレジストローラ4により版胴2と圧胴5との間に搬送される。印刷に際しては圧胴5により用紙Sを版胴2の外周に押し付けるように構成されているので、版胴2内のインキがマスタ1の穿孔から滲み出されて用紙Sに転写され、これにより印刷が行われる。
【0031】
通常の印刷処理を終了した後は、駆動カップ軸センサ36の検知信号を監視するCPU31が駆動カップ軸28が定位置(ホームポジション)に達したときに駆動モータ40を停止させる。
【0032】
再び図5に示すフローチャートを参照して説明する。印刷の過程でジャムが発生したとき、或いはメンテナンスのために、カバーを開き、孔版印刷装置の本体から版胴2を外したしたときは、CPU31は挿入センサ35の検知信号を基に版胴2が未装着であると判断する(S1のN)。このときは、操作パネル39の表示器にその旨の表示をする(S5)。版胴2を外した状態では圧胴5の上部空間が広く開放されるため、圧胴5をクリーナ等によりきれいに清掃することができる。この清掃に際し、圧胴5を回してしまうと、版胴2を駆動する駆動カップ軸28と圧胴5とは共通の駆動モータ40に連結されているので駆動カップ軸28が回ってしまい定位置からずれることがある。
【0033】
CPU31は駆動カップ軸センサ36の検知信号を監視し、駆動カップ軸28の回転位置が定位置であるか否かを検知し(S6)、定位置であると判断したとき(S6のY)はS16のステップに移行するが、定位置でないと判断したとき(S6のN)は、その旨の表示を操作パネル39の表示器に出力する(S7)とともに、ブザー38を駆動して警告を発する(S8)。この表示及び警告を無視してオペレータが版胴2の版胴軸15を駆動カップ軸28に連結しようとして孔版印刷装置の本体に挿入すると、CPU31は挿入センサ35の検知信号を基に版胴2が該本体に挿入されたものと判断し(S9)、ブザー38を駆動し警告を発する(S10)。この場合、S8の警告とS10の警告とでブザー38の駆動状態に変化をつけ、S10での警告を特に強調することが望ましい。S10での警告は、駆動カップ軸28の回転位置が定位置でない状態で駆動カップ軸28に版胴2の版胴軸15を装着しようとする操作に対して直接警告することになるので、オペレータに対して強く注意を喚起する効果がある。
【0034】
オペレータがスタート釦41を押すと、CPU31はスタート釦41がオンであると判断する(S11のY)が、挿入センサ35の出力により版胴2が装着されていない状態であることを認識した上でスタート釦41の操作を認識するので、S3におけるスタート釦41からの駆動入力命令は通常の操作による入力とは区別して判断し、通常の印刷処理に移行しない。続いて、カバースイッチ37の状態によりカバーが閉じられているか否かを判断する(S12)。カバーが閉じられていると判断したときは(S12のY)、駆動モータ40を駆動し駆動カップ軸28を回転させる(S13)。そして、駆動カップ軸センサ36の検知信号を基に駆動カップ軸28が定位置(ホームポジション)に達したものと判断したとき(S14のY)に、駆動モータ40への通電をきり駆動カップ軸28を停止させ(S15)、駆動カップ軸28が定位置(ホームポジション)に達した旨の表示を操作パネル39の表示器に出力する(S16)。
【0035】
この表示を見て、オペレータは版胴2を装着するためにカバーを開放するが、CPU31は、カバースイッチ37の状態によりカバーが閉じられたものと判断し(S17のY)、オペレータにより版胴2が装着(駆動カップ軸28に連結)されたか否かを判断する(S18)。版胴2が装着されたものと判断したとき(S18のY)は、オペレータによりカバーが閉じられたか否かをカバースイッチ37の状態によって判断し(S19)、カバーが閉じられているものと判断したとき(S19のY)は、S1のステップに移行する。
【0036】
なお、S11のステップを省略し、カバーを閉じたとき(S12のY)のカバースイッチ37のオン入力信号により駆動モータ40を駆動するようにしてもよい。これはカバースイッチ37を駆動入力手段として兼用する例である。
【0037】
以上のように、駆動カップ軸28から版胴2を外した場合には、スタート釦41或いはカバースイッチ37からの駆動入力命令により駆動カップ軸28を定位置まで回転させることができる。この定位置とは駆動カップ軸28が切欠28aを真上に向けた位置であり、切欠28aと版胴軸15のピン15aとを黙視確認できる状態で、版胴軸15を駆動カップ軸28に確実に且つ容易に連結することができる。なお、S5及びS7における表示内容として、次にオペレータが行うべき操作をガイダンスとして表示することにより、より一層オペレータの負担を軽減することができる。
【0038】
ここで、図5に示すフローチャートにおけるS1は、駆動カップ軸28から版胴2が外れている版胴未装着状態を検知する版胴未装着状態検知手段に相当する。
S6,S11〜S15は、駆動カップ軸28の回転位置が定位置でないと判断された状態で駆動入力手段から駆動する旨の入力があったときに駆動カップ軸28を定位置に達するまで駆動モータ40を駆動する駆動軸回転位置調整手段に相当する。
S8は、版胴未装着状態のときに駆動カップ軸28の回転位置が定位置でない場合に警告を発する警告手段に相当する。
S9は、版胴2の駆動カップ軸28方向への接近動作を検知する接近動作検知手段に相当する。
S10は、版胴未装着状態であり、駆動カップ軸28の回転位置が定位置でない状態で駆動カップ軸28に版胴2が接近する状態を検知したときに警告を発する警告手段に相当する。
【0039】
なお、警報手段は、バッテリーを内蔵し、電源が切られている場合でもカバーを開いたときであって、駆動カップ軸28が定位置に位置していない状態を検知したときに、警告を発するようにしてもよい。警告はブザー38を鳴らすことに限定されるものではなく、LEDを点灯させるようにしてもよい。
【0040】
また、版胴軸15と駆動カップ軸28との脱着に際しては、版胴2を軸方向に移動させる動作を伴うが、図6に示すように、ソレノイド42等のアクチュエータにより駆動されるストッパ43を版胴2の端面と対向する領域に進退自在に設け、駆動カップ軸28の回転位置が定位置の場合には、ストッパ43を版胴2の端面と対向する領域の外側に後退させて、駆動カップ軸28に対する版胴2の脱着操作を許容し、駆動カップ軸28の回転位置が定位置でない場合には、ソレノイド42への通電を切ってストッパ43を版胴2の端面と対向する領域に進出させることにより、版胴2の脱着操作を不可能にすることができる。すなわち、ソレノイド42及びストッパ43により警告手段を構成することもできる。この場合には、警告を無視して版胴2の着脱を行うことができないため、最も効果的な警告手段となる。
【0041】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、清掃作業を含むメンテナンスに際し駆動軸から版胴を外し、版胴を再び装着するときに、駆動入力手段により駆動モータを駆動すると、駆動軸の回転位置が定位置でないと判断された状態では、駆動軸を定位置に達するまで駆動モータを駆動することができる。したがって、版胴装着時に駆動軸の回転位置がずれている場合でも、駆動軸の回転位置を極めて容易に調整することができる。また、版胴未装着状態であり、駆動軸の回転位置が定位置でない状態で駆動軸に版胴を装着しようとすると警告が発するため、版胴の装着操作に対して直接警告することができる。
【0042】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、駆動入力手段は、印刷開始時に操作するスタート釦を兼用する。この場合、版胴未装着状態検知手段が認識する版胴未装着でスタート釦が操作されるため、通常の印刷処理のためのスタート釦からの入力とは区別して判断することが可能である。したがって、版胴未装着状態で操作する駆動入力手段として別個に操作キーを設ける必要性をなくすことができる。
【0043】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、駆動入力手段は、印刷装置のカバーの閉塞動作時にオンとなるカバースイッチを兼用する。この場合、版胴未装着状態検知手段が認識する版胴未装着でカバースイッチが作動するため、版胴が装着された状態での通常のカバー閉塞動作とは区別して判断可能である。したがって、版胴未装着状態で操作する駆動入力手段として別個に操作キーを設ける必要性をなくすことができる。
【0044】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明において、版胴未装着状態のときに駆動軸の回転位置が定位置でない場合に警告を発する警告手段を備えるので、駆動軸の回転位置が定位置でない状態を警告し、この状態で版胴を装着する間違いをオペレータに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における孔版印刷装置の概略を示す縦断正面図である。
【図2】版胴の版胴軸と駆動カップ軸との連結構造を示す斜視図である。
【図3】版胴を支持するフレームに設けたコネクタと孔版印刷装置の本体側に設けた本体コネクタとの関係を示す説明図である。
【図4】電気的構成を示すブロック図である。
【図5】フローチャートである。
【図6】版胴の着脱操作を禁止するストッパを設けた例を示す一部の縦断正面図である。
【符号の説明】
1 マスタ
2 版胴
5 圧胴
28 駆動軸
40 駆動モータ
36 回転位置検知器
37,41 駆動入力手段
42,43 警告手段
S1 版胴未装着状態検知手段
S6,S11〜S15 駆動軸回転位置調整手段
S8 警告手段
S9 接近動作検知手段
S10 警告手段

Claims (4)

  1. 版胴に巻き付けたマスタに用紙を圧胴により押し付け、前記版胴と前記圧胴とを共通の駆動モータで回転させながら前記マスタの画像を用紙に転写する印刷装置において、
    前記駆動モータにより駆動されるとともに定位置で停止したときに前記版胴が着脱自在に連結される駆動軸と、
    この駆動軸が一定の回転位置である定位置に位置する状態を検知する回転位置検知器と、
    前記駆動軸から前記版胴が外れている版胴未装着状態を検知する版胴未装着状態検知手段と、
    版胴未装着状態のときに前記駆動モータを駆動する駆動入力手段と、
    版胴未装着状態のときに前記駆動軸の回転位置が前記回転位置検知器の出力により定位置でないと判断された状態で前記駆動入力手段から駆動命令入力があったときに前記駆動軸を定位置に達するまで前記駆動モータを駆動する駆動軸回転位置調整手段と
    前記版胴の前記駆動軸方向への接近動作を検知する接近動作検知手段と、
    版胴未装着状態であり、前記駆動軸の回転位置が定位置でない状態で前記駆動軸に前記版胴が接近する状態を検知したときに警告を発する警告手段と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 駆動入力手段は、印刷開始時に操作するスタート釦を兼用する請求項1記載の印刷装置。
  3. 駆動入力手段は、印刷装置のカバーの閉塞動作時にオンとなるカバースイッチを兼用する請求項1記載の印刷装置。
  4. 版胴未装着状態のときに駆動軸の回転位置が定位置でない場合に警告を発する警告手段を備える請求項1,2又は3記載の印刷装置。
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