JP3905346B2 - スプリンクラ消火設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、屋内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、消火剤を屋内に放出するスプリンクラヘッドと、消火剤タンクに蓄えられた消火剤をスプリンクラヘッドに対して供給する供給手段とを有し、スプリンクラヘッドから消火剤を放出することによって消火をおこなうスプリンクラ消火設備に関し、特に、常温帯域の近傍に沸点があるなどの物性を有する消火剤に対応した消火活動を実行することができるスプリンクラ消火設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物の屋内で発生した火災を消火する消火設備として、屋内に設置されたスプリンクラヘッドから消火剤を放出するスプリンクラ消火設備が知られている。そして、かかるスプリンクラ消火設備は、設置対象物や設置場所などによって複数の方式に細分化されており、具体的には、湿式、乾式、予作動式、開放式などがある。以下に、各方式のスプリンクラ消火設備について説明する。
【0003】
まず最初に、従来技術に係る湿式スプリンクラ消火設備について、その構成および消火処理手順を説明する。図15は、従来技術に係る湿式スプリンクラ消火設備の一般的な構成を示す構成図である。同図に示すように、この湿式スプリンクラ消火設備は、二つの消火剤タンク20と、複数の閉鎖型スプリンクラヘッド4aと、本管1と、分岐管2と、湿式流水検知装置3aと、圧力タンク21と、消火剤供給部22と、受信盤10と、警報器11とから構成される。
【0004】
このうち、消火剤タンク20は、建築物の最下階や最上階に設置され、所定の消火剤を蓄えるものである。なお、高架用の消火剤タンク20は、本管1に消火剤を常時充填するために設置されるものである。閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、屋内の複数の区画ごとに配置され、火災の熱によって自動的に放出口を開放して消火剤を放出するものである。
【0005】
本管1は、建築物の垂直方向において2つの消火剤タンク20の間に配管され、消火剤タンク20から供給される消火剤の経路となるものである。分岐管2は、本管1から閉鎖型スプリンクラヘッド4aに対して分岐して配管され、本管1と同様、消火剤タンク20から供給される消火剤の経路となるものである。
【0006】
湿式流水検知装置3aは、分岐管2に配置されて消火剤の流れを検知するものであり、消火剤の流れを検知すると、受信盤10に対して流水信号を送信する。圧力タンク21は、本管1に接続されて本管1の管内圧力を規定圧以上に維持するものであり、管内圧力が規定圧以下になると、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する。
【0007】
消火剤供給部22は、消火剤タンク20の近傍に設置され、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を本管1および分岐管2を介して閉鎖型スプリンクラヘッド4aに対して供給するものであり、圧力タンク21から起動信号を受信すると、消火剤の供給を開始するとともに、消火剤の供給を開始した旨を示す起動信号を受信盤10に送信する。
【0008】
受信盤10は、建築物の所定箇所に設置され、湿式流水検知装置3aや消火剤供給部22から流水信号や起動信号を受信すると、流水が検知された旨や消火剤の供給が開始された旨を表示するとともに、警報器11に対して警報信号を送信するものである。警報器11は、建築物の屋内に配置され、受信盤10から警報信号を受信すると、火災が発生した旨を警報するものである。
【0009】
そして、上記したように構成される湿式スプリンクラ消火設備は、以下に示す手順にしたがって消火処理を実行する。すなわち、図15に示した湿式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、消火剤タンク20から閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間、すなわち本管1および分岐管2の全てに消火剤が充填されている。
【0010】
かかる定常状態において火災が発生すると、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが作動し、これによって消火処理が開始される。具体的には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、火災の熱によって自動的に放出口を開放して消火剤の放出を開始する。続いて、湿式流水検知装置3aは、分岐管2の管内における消火剤の流れを検知して、受信盤10に対して流水信号を送信し、また、圧力タンク21は、本管1の管内圧力が規定圧以下になったことを検知して、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する。
【0011】
一方、起動信号を受信した消火剤供給部22は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を本管1および分岐管2を介して閉鎖型スプリンクラヘッド4aに対して供給する処理を開始し、これによって、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから消火剤が連続して放出される。また、消火剤供給部22は、消火剤の供給を開始した旨を示す起動信号を受信盤10に送信する。
【0012】
続いて、湿式流水検知装置3aから流水信号を受信するとともに消火剤供給部22から起動信号を受信した受信盤10は、流水が検知された旨や消火剤の供給が開始された旨を表示するとともに、警報器11に対して警報信号を送信する。そして、受信盤10から警報信号を受信した警報器11は、火災が発生した旨を警報する。
【0013】
次に、従来技術に係る乾式スプリンクラ消火設備について、その構成および消火処理手順を説明する。図16は、従来技術に係る乾式スプリンクラ消火設備の一般的な構成を示す構成図である。同図に示すように、この乾式スプリンクラ消火設備は、図15に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、湿式流水検知装置3aに代えて乾式流水検知装置3bを有する点と、分岐管2に加圧気体(例えば、空気、窒素ガスなど)を供給するための空気コンプレッサ5を有する点が相違するものである。
【0014】
そして、かかる乾式スプリンクラ消火設備は、以下に示す手順にしたがって消火処理を実行する。すなわち、図16に示した乾式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、消火剤タンク20から乾式流水検知装置3bの間に配管される本管1および分岐管2には、消火剤が充填されているが、乾式流水検知装置3bから閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間に配管される分岐管2には、空気コンプレッサ5によって加圧気体が充填されている。
【0015】
かかる定常状態において火災が発生すると、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが作動し、これによって消火処理が開始される。具体的には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、火災の熱によって自動的に放出口を開放して、加圧気体を放出した後に消火剤の放出を開始する。続いて、乾式流水検知装置3aは、分岐管2の管内における消火剤の流れを検知して、受信盤10に対して流水信号を送信し、また、圧力タンク21は、本管1の管内圧力が規定圧以下になったことを検知して、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する。そして、消火剤供給部22、受信盤10および警報器11は、上記の湿式スプリンクラ消火設備と同様の処理を実行する。
【0016】
次に、従来技術に係る予作動式スプリンクラ消火設備について、その構成および消火処理手順を説明する。図17は、従来技術に係る予作動式スプリンクラ消火設備の一般的な構成を示す構成図である。同図に示すように、この予作動式スプリンクラ消火設備は、図15に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、湿式流水検知装置3aに代えて、制御盤50の制御によって開閉される予作動弁3dを備えた予作動式流水検知装置3cを有する点と、分岐管2に加圧気体を供給するための空気コンプレッサ5、火災を検知して制御盤50に火災信号を送信する火災検知器41、および火災検知器41から火災信号を受信して予作動弁3dに開放信号を送信する制御盤50を有する点が相違するものである。
【0017】
そして、かかる予作動式スプリンクラ消火設備は、以下に示す手順にしたがって消火処理を実行する。すなわち、図17に示した予作動式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、予作動弁3dは閉鎖状態にあり、消火剤タンク20から予作動式流水検知装置3cの間に配管される本管1および分岐管2には、消火剤が充填されているが、予作動式流水検知装置3cから閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間に配管される分岐管2には、空気コンプレッサ5によって加圧空気が充填されている。
【0018】
かかる定常状態において火災が発生すると、火災検知器41は、火災を検知して制御盤50に火災信号を送信し、火災信号を受信した制御盤50は、予作動弁3dに対して開放信号を送信して、予作動弁3dを開放させる。これによって、予作動式流水検知装置3cから閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間に配管される分岐管2にも、消火剤が充填されることとなる。
【0019】
これに続いて、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが作動すると、実際に消火処理が開始される。具体的には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、火災の熱によって自動的に放出口を開放して消火剤の放出を開始する。続いて、予作動式流水検知装置3cは、分岐管2の管内における消火剤の流れを検知して、受信盤10に対して流水信号を送信し、また、圧力タンク21は、本管1の管内圧力が規定圧以下になったことを検知して、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する。そして、消火剤供給部22、受信盤10および警報器11は、上記した湿式スプリンクラ消火設備と同様の処理を実行する。
【0020】
次に、従来技術に係る開放式スプリンクラ消火設備について、その構成および消火処理手順を説明する。図18は、従来技術に係る開放式スプリンクラ消火設備の一般的な構成を示す構成図である。同図に示すように、この開放式スプリンクラ消火設備は、図15に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、閉鎖型スプリンクラヘッド4aに代えて、放出口が常時開放された開放型スプリンクラヘッド4bを有する点と、分岐管2に配置されて制御盤50の制御によって開閉される一斉開放弁6、火災を検知して制御盤50に火災信号を送信する火災検知器41、および火災検知器41から火災信号を受信して一斉開放弁6に開放信号を送信する制御盤50を有する点が相違するものである。
【0021】
そして、かかる開放式スプリンクラ消火設備は、以下に示す手順にしたがって消火処理を実行する。すなわち、図18に示した開放式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、一斉開放弁6は閉鎖状態にあり、消火剤タンク20から一斉開放弁6の間に配管される本管1および分岐管2には、消火剤が充填されているが、一斉開放弁6から開放型スプリンクラヘッド4bの間に配管される分岐管2には、自然の空気が充填されている。
【0022】
かかる定常状態において火災が発生すると、火災検知器41は、火災を検知して制御盤50に火災信号を送信し、火災信号を受信した制御盤50は、一斉開放弁6に対して開放信号を送信して、一斉開放弁6を開放させる。これによって、開放型スプリンクラヘッド4bから消火剤の放出が開始される。
【0023】
これに続いて、湿式流水検知装置3cは、分岐管2の管内における消火剤の流れを検知して、受信盤10に対して流水信号を送信し、また、圧力タンク21は、本管1の管内圧力が規定圧以下になったことを検知して、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する。そして、消火剤供給部22、受信盤10および警報器11は、上記した湿式スプリンクラ消火設備と同様の処理を実行する。
【0024】
これまで説明してきたように、従来技術に係るスプリンクラ消火設備には、湿式、乾式、予作動式、開放式などがあり、それぞれが異なる構成および異なる手順によって消火処理を実行するものである。しかし、消火処理に用いられる消火剤としては、いずれも異なることなく、一般的に水や泡薬剤が用いられている。すなわち、従来技術に係るスプリンクラ消火設備は、消火剤タンク20に水や泡薬剤を蓄え、閉鎖型スプリンクラヘッド4aおよび開放型スプリンクラヘッド4b(以下、単に「スプリンクラヘッド」という)から水や泡薬剤が放出するものが一般的であった。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スプリンクラ消火設備においては、以下に述べるような問題点から、水や泡薬剤を消火剤として用いることが必ずしも最適ではなかった。
【0026】
すなわち、消火剤としての水は、放出後に燃焼物に付着しないため、放出後の事後処理は容易である。しかし、樹脂、ゴム、油などの高燃焼性物質の火災が屋内で発生したような場合には、水による冷却作用のみでは、かかる高燃焼性物質の火災を消火することは困難であり、延焼抑制の効果しか期待できないという問題点があった。
【0027】
一方、消火剤としての泡薬剤は、泡が燃焼物の表面を覆うことによって、冷却作用のみならず窒息作用をもたらすものであるため、上記した高燃焼性物質の火災に対して大きな消火効果を期待できる。しかし、放出後の泡が燃焼物に付着するため、水と異なり放出後の事後処理が困難であり、下水道設備の整った都市部の建築物においてしか利用することができないという問題点があった。
【0028】
さらに、最近になって金融機関などにおいては、ガソリンなどの引火性物質を撒き散らすような強盗が多発しており、このような事態に対しては、ガソリンなどが着火される以前に消火剤を放出すれば火災を未然に防止することができるとも考えられるが、コンピュータなどの精密機械に対する消火剤の水損が想定されるため、消火剤の放出を躊躇せざるを得ないという問題点もあった。
【0029】
ところで、最近になって、CF3CF2C(O)CF(CF32という示性式で表され、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと呼ばれるフッ素系化学物質が開発された。このフッ素系化学物質は、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近く、絶縁性があるなどの物性の他に、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるという物性を有する。
【0030】
ここで、図15〜図18に示したスプリンクラ消火設備の消火剤として、上記のフッ素系化学物質を主として利用することも考えられるが、ただ単純に水や泡薬剤の代替物として利用するだけでは、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの物性に対応しきれず、以下に述べるような種々の問題点が考えられる。
【0031】
すなわち、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、屋内の温度や気圧の変化に左右されて、液体状態としてスプリンクラヘッドから放出されたり、気体状態としてスプリンクラヘッドから放出されるおそれがある。このように、スプリンクラヘッドから放出される消火剤の状態をコントロールできなくなってしまうと、屋内の火災を効果的に消火することが困難になるという問題点が考えられる。
【0032】
一方、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるという物性を利用して、屋内の火災を効果的に消火することができるようにしたスプリンクラ消火設備も存在していなかった。
【0033】
また、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、上記したように低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、消火剤タンク20に蓄えられている段階で気体状態になるおそれがある。このように、消火剤が貯蔵段階で気体状態になってしまうと、消火剤タンク20に過度な圧力がかかって事故を誘発するという問題点だけでなく、消火剤タンク20による消火剤の貯蔵効率が低下するという問題点が考えられる。
【0034】
さらに、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、炎に触れるとHF(フッ化水素)という毒性の生成物を発生させる可能性があるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、フッ化水素によって人体に害を及ぼすおそれがあるという問題点が考えられる。
【0035】
このようなことから、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤としてスプリンクラ消火設備に用いる場合に、かかる物性に対応したスプリンクラ消火設備をいかに構築するかが極めて重要な課題になっている。
【0036】
そこで、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、常温帯域の近傍に沸点があるなどの物性を有する消火剤に対応した消火活動を実行することができるスプリンクラ消火設備を提供することを目的とする。
【0043】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るスプリンクラ消火設備は、所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、前記消火剤を放出するスプリンクラヘッドと、前記消火剤タンクから前記スプリンクラヘッドに配管された消火剤管を介して前記消火剤を供給する供給手段とを有し、前記スプリンクラヘッドから前記消火剤を放出することによって消火をおこなうスプリンクラ消火設備であって、前記消火剤は、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備え、前記消火剤を前記スプリンクラヘッドから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する状態指示手段と、前記状態指示手段による指示に応じて前記消火剤が液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する状態調整手段と、を備えたことを特徴とする
【0044】
この発明によれば、火災が発生した場合または火災が発生しそうな場合(例えば、引火性の物質であるガソリンなどを撒かれたような場合)に、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤をスプリンクラヘッドから放出することによって消火をおこなう。したがって、消火剤が液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすため、水に比較して、樹脂、ゴム、油などの高燃焼性物質の火災に対して大きな消火効果を得ることが可能になり、また、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、泡薬剤に比較して、放出後の事後処理を容易にすることが可能になる。特に、水に弱い精密機械が存在するコンピュータルームなどで発生した火災を消火する場合、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、精密機械に対する影響を低減することも可能になり、さらに、ガソリンなどの引火性物質を撒き散らされたような事態に対しても、ガソリンなどが着火される以前に躊躇なく消火剤を放出することも可能になる。
特に、消火剤をスプリンクラヘッドから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤がスプリンクラヘッドから液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する。したがって、スプリンクラヘッドから放出される消火剤、すなわち常温の帯域では液体状態であって当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤(例えば、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)の状態をコントロールして、屋内の火災を効果的に消火することが可能になる。
【0045】
また、請求項2の発明に係るスプリンクラ消火設備は、請求項1に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整することを特徴とする。
【0046】
これは、請求項1に記載の状態調整手段による状態調整原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を冷却することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を加熱することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能になる。
【0047】
また、請求項3の発明に係るスプリンクラ消火設備は、請求項1に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整することを特徴とする。
【0048】
これは、請求項2と同様、請求項1に記載の状態調整手段による状態調整原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を加圧することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を減圧することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能になる。
【0049】
また、請求項4の発明に係るスプリンクラ消火設備は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記消火剤タンクの近傍に配置され、当該消火剤タンクから前記スプリンクラヘッドに対して前記消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整することを特徴とする。
【0050】
これは、請求項1に記載の状態調整手段による状態調整タイミングの一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクの近傍にて、消火剤タンクからスプリンクラヘッドに対して消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤の放出に際して各スプリンクラヘッドで消火剤の状態を調整する態様に比較して簡便な態様で、各スプリンクラヘッドから同様の状態の消火剤を放出することが可能になる。
【0051】
また、請求項5の発明に係るスプリンクラ消火設備は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記スプリンクラヘッドの近傍に配置され、当該スプリンクラヘッドから前記消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整することを特徴とする。
【0052】
これは、請求項4と同様、請求項1に記載の状態調整手段による状態調整タイミングの一例を示すものであり、この発明によれば、スプリンクラヘッドの近傍にて、当該スプリンクラヘッドから消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤が消火剤タンクからスプリンクラヘッドまで運ばれてくる段階で消火剤の状態が変化したような場合でも、スプリンクラヘッドから放出される消火剤の状態を確実にコントロールすることが可能になる。
【0053】
また、請求項6の発明に係るスプリンクラ消火設備は、請求項5に記載の発明において、前記スプリンクラヘッドおよび状態調整手段は、屋内の複数の区画ごとに対応づけて配置されるものであって、前記状態指示手段は、前記複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与えることを特徴とする。
【0054】
これは、請求項1に記載の状態指示手段による状態指示態様の一例を示すものであり、この発明によれば、複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与える。したがって、例えば、水に弱い精密機械が存在する区画に対しては消火剤を気体状態で放出し、樹脂、ゴム、油などの高燃焼性物質が存在する区画に対しては消火剤を液体状態で放出するなど、各区画の消火対象物に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能になる。
【0055】
また、請求項7の発明に係るスプリンクラ消火設備は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記状態指示手段は、前記火災が発生してからの時間経過に応じて、前記消火剤を前記スプリンクラヘッドから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示することを特徴とする。
【0056】
これは、請求項6と同様、請求項1に記載の状態指示手段による状態指示態様の一例を示すものであり、この発明によれば、火災が発生してからの時間経過に応じて、消火剤を液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する。したがって、例えば、消火処理の初期段階では消火剤を液体状態で放出し、その後に消火剤を気体状態で放出するなど、火災発生からの時間経過に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能になる。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るスプリンクラ消火設備の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を湿式スプリンクラ消火設備に適用した場合を説明することとするが、後に説明するように、乾式、予作動式、開放式、制御盤を用いない加圧開型や減圧開型など、あらゆる方式のスプリンクラ消火設備に適用することができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備は、図15に示した従来技術に係るスプリンクラ消火設備と同様、火災が発生した場合に、閉鎖型スプリンクラヘッドから消火剤を放出することを基本的な処理内容とするものであるため、図15に示した湿式スプリンクラ消火設備と同様の基本的な構成を有する。
【0085】
その一方、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備は、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤として用いることを主たる特徴とし、この消火剤の物性に対応した種々の特徴的な構成を有する。そこで、以下に示す本実施の形態では、湿式スプリンクラ消火設備の基本的構成、湿式スプリンクラ消火設備による消火処理の基本的手順を説明した後、湿式スプリンクラ消火設備の特徴および当該特徴に係る構成について説明することとする。
【0086】
[湿式スプリンクラ消火設備の基本的な構成]
まず最初に、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備の基本構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備の構成を示す構成図である。同図に示す湿式スプリンクラ消火設備は、火災が発生した場合に、閉鎖型スプリンクラヘッドから消火剤を放出することを基本的な処理内容とするものである。
【0087】
そして、かかる基本的な処理内容を実現するための基本的な構成として、この湿式スプリンクラ消火設備は、同図に示すように、二つの消火剤タンク20と、複数の閉鎖型スプリンクラヘッド4aと、消火剤管としての本管1および分岐管2と、湿式流水検知装置3aと、圧力タンク21と、供給手段としての消火剤供給部22と、受信盤10と、警報器11とを有する。以下に、この基本的な構成についてそれぞれ具体的に説明する。
【0088】
まず、消火剤タンク20は、建築物の最下階や最上階に設置され、所定の消火剤を蓄えるものである。なお、高架用の消火剤タンク20は、本管1に消火剤を常時充填するために設置されるものである。閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、屋内の複数の区画ごとに配置され、火災の熱によって自動的に放出口を開放して消火剤を放出するものである。
【0089】
本管1は、建築物の垂直方向において2つの消火剤タンク20の間に配管され、消火剤タンク20から供給される消火剤の経路となるものである。分岐管2は、本管1から閉鎖型スプリンクラヘッド4aに対して分岐して配管され、本管1と同様、消火剤タンク20から供給される消火剤の経路となるものである。
【0090】
湿式流水検知装置3aは、分岐管2に配置されて消火剤の流れを検知するものであり、消火剤の流れを検知すると、受信盤10に対して流水信号を送信する。圧力タンク21は、本管1に接続されて本管1の管内圧力を規定圧以上に維持するものであり、管内圧力が規定圧以下になると、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する。
【0091】
消火剤供給部22は、消火剤タンク20の近傍に設置され、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を本管1および分岐管2を介して閉鎖型スプリンクラヘッド4aに対して供給するものであり、圧力タンク21から起動信号を受信すると、消火剤の供給を開始するとともに、消火剤の供給を開始した旨を示す起動信号を受信盤10に送信する。
【0092】
受信盤10は、建築物の所定箇所に設置され、湿式流水検知装置3aや消火剤供給部22から流水信号や起動信号を受信すると、流水が検知された旨や消火剤の供給が開始された旨を表示するとともに、警報器11に対して警報信号を送信するものである。警報器11は、建築物の屋内に配置され、受信盤10から警報信号を受信すると、火災が発生した旨を警報するものである。
【0093】
[湿式スプリンクラ消火設備による消火処理の基本的な手順]
次に、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備による消火処理の基本的な手順について説明する。図2は、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。
【0094】
この湿式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、消火剤タンク20から閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間、すなわち本管1および分岐管2の全てに消火剤が充填されている。
【0095】
かかる定常状態において火災が発生すると(ステップS201)、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが作動し、これによって消火処理が開始される(ステップS202)。具体的には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、火災の熱によって自動的に放出口を開放して消火剤の放出を開始する(ステップS203)。
【0096】
この消火剤の放出に対応して、分岐管2の管内には流水が生じ(ステップS204)、また、本管1の管内圧力は減圧する(ステップS205)。このため、湿式流水検知装置3aが作動し、分岐管2の管内における消火剤の流れを検知して、受信盤10に対して流水信号を送信する(ステップS206)。また、圧力タンク21も作動し、本管1の管内圧力が規定圧以下になったことを検知して、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する(ステップS207)。
【0097】
一方、消火剤供給部22は圧力タンク21から起動信号を受信して作動し、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を本管1および分岐管2を介して閉鎖型スプリンクラヘッド4aに対して供給する処理を開始するとともに、消火剤の供給を開始した旨を示す起動信号を受信盤10に送信する(ステップS208)。なお、この消火剤の供給開始によって、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから消火剤が連続して放出され(ステップS211)、消火へと導かれる(ステップS212)。
【0098】
続いて、受信盤209は湿式流水検知装置3aから流水信号を受信するとともに消火剤供給部22から起動信号を受信して作動し、流水が検知された旨や消火剤の供給が開始された旨を表示するとともに、警報器11に対して警報信号を送信する(ステップS209)。そして、警報器11は受信盤10から警報信号を受信して作動し、火災が発生した旨を警報する(ステップS210)。
【0099】
[湿式スプリンクラ消火設備の特徴および特徴的構成]
次に、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備の特徴について説明する。この湿式スプリンクラ消火設備の特徴としては、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと呼ばれるフッ素系化学物質を消火剤として用いる点(特徴1)、消火剤を閉鎖型スプリンクラヘッド4aから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する点(特徴2)、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持する点(特徴3)、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤を放出する点(特徴4)がある。以下に、これらの特徴および当該特徴に係る構成について具体的に説明する。
【0100】
(特徴1)
まず最初に、上記した特徴1について説明する。この特徴1は、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン(以下、単に「本消火剤」という)を消火剤として用いる点にある。
【0101】
具体的に説明すると、本消火剤は、CF3CF2C(O)CF(CF32という示性式で表され、図3(a)に示すような構造式を有し、同図(b)に示すような物性を備えるフッ素系の化学物質である。すなわち、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近く、常温で液体の状態にあり(沸点が48℃)、絶縁性があり、放っておくと蒸発して痕跡が残らないといった物性を備える。
【0102】
そこで、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備おいては、本消火剤を消火剤として用いることを特徴とし、これによって、水を消火剤として用いる場合よりも高燃焼性物質の火災に対して大きな消火効果を得ることができ、また、泡薬剤を消火剤として用いる場合よりも放出後の事後処理を容易にすることができるようにしている。
【0103】
すなわち、本消火剤は、液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすため、水に比較して高燃焼性物質の火災に対して大きな消火効果を得ることができるとともに、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、泡薬剤に比較して放出後の事後処理を容易にすることができる。
【0104】
特に、水に弱い精密機械が存在するコンピュータルームなどで発生した火災を消火する場合、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、精密機械に対する影響を低減することもできる。さらに、ガソリンなどの引火性物質を撒き散らされたような事態に対しても、ガソリンなどが着火される以前に躊躇なく消火剤を放出することもできる。なお、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近いという物性を備えるので、消火剤による環境への影響を低減することもできる。
【0105】
この特徴1に関連して、湿式スプリンクラ消火設備は、以下のような特徴的な構成を備える。すなわち、図1に示す湿式スプリンクラ消火設備は、消火剤タンク20に本消火剤を蓄え、これを閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出するが、消火剤タンク20から閉鎖型スプリンクラヘッドに対して消火剤を供給する消火剤供給部22は、本消火剤の物性に対応した構成を備える。以下に、消火剤供給部22の具体的な構成について説明する。
【0106】
図4は、図1に示した消火剤供給部22の具体的な構成例を示す図である。この消火剤供給部22としては、図4に示すように、(a)加熱方式、(b)ポンプ加圧方式、(c)空気加圧方式、(d)水加圧方式、(e)重力落差方式などを採用することができる。以下に、それぞれの具体的な構成について説明する。
【0107】
図4(a)に示す加熱方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を加熱装置22aにより加熱(例えば、高周波誘導加熱、ヒーター加熱など)することによって、消火剤を気体状態にして閉鎖型スプリンクラヘッド4aに供給するものである。なお、本方式は、本消火剤の沸点が低いこと(大きなエネルギーを消費することなく気体状態にできること)を利用したものであるが、閉鎖型スプリンクラヘッドから消火剤を気体状態で放出する場合に有効であると考えられる。
【0108】
図4(b)に示すポンプ加圧方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤をポンプ22bにより吸引することによって、消火剤を液体状態で閉鎖型スプリンクラヘッド4aに供給するものである。なお、本方式を採用する場合には、ポンプ22bの運動熱によって消火剤が気体状態にならぬよう、ポンプ22bを冷却する手段を設けることが望ましいと考えられる。
【0109】
図4(c)に示す空気加圧方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を空気コンプレッサ22cから供給される加圧空気により押し出すことによって、消火剤を液体状態で閉鎖型スプリンクラヘッド4aに供給するものである。なお、ここでは、空気コンプレッサ22cにより加圧空気を供給する場合を示しているが、N2ガスやCO2ガスなどの気体を補填したガスボンベ、N2ガスなどの気体を発生させるガス発生器を用いて加圧気体を供給するものでもよい。
【0110】
図4(d)に示す水加圧方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を水タンク(水などの液体を蓄えたタンク)からポンプ22dを介して供給される加圧水により押し出すことによって、消火剤を液体状態で閉鎖型スプリンクラヘッド4aに供給するものである。なお、本方式は、本消火剤の比重が水よりも高いことを利用したものであるが、消火剤タンク20の消火剤が欠如した場合でも、水が消火剤として閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出されることからも有効であると考えられる。
【0111】
図4(e)に示す重力落差方式は、消火剤タンク20の下方に開閉可能なバルブ22eを設け、重力落差を利用することによって消火剤を液体状態で閉鎖型スプリンクラヘッドに供給するものである。なお、本方式を採用する場合には、重力落差を利用することができるよう、消火剤タンク20自体を閉鎖型スプリンクラヘッドよりも高い位置(図1に示した高架用の消火剤タンク20の位置)に設置する必要がある。
【0112】
(特徴2)
次に、上記した特徴2について説明する。この特徴2は、消火剤を閉鎖型スプリンクラヘッド4aから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する点にある。
【0113】
具体的に説明すると、本消火剤は、図3(b)に示したように、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、屋内の温度や気圧の変化に左右されて、液体状態として閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出されたり、気体状態として閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出されるおそれがある。このように、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出される消火剤の状態をコントロールできなくなってしまうと、屋内の火災を効果的に消火することが困難になる。
【0114】
そこで、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備においては、本消火剤を閉鎖型スプリンクラヘッド4aから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整することを特徴とし、これによって、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出される消火剤の状態をコントロールして、屋内の火災を効果的に消火することができるようにしている。
【0115】
この特徴2に関連して、湿式スプリンクラ消火設備は、以下のような特徴的な構成を備える。すなわち、図1に示す湿式スプリンクラ消火設備は、制御盤40からの指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する状態調整手段としての状態調整部24と、消火剤を閉鎖型スプリンクラヘッド4aから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを状態調整部24に指示する状態指示手段としての制御盤40とを備える。以下、かかる制御盤40および状態調整部24についてそれぞれ具体的に説明する。
【0116】
制御盤40は、消火剤を液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する。これは、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出される消火剤の状態をコントロールすることができるようにするためであり、具体的には、消火剤の冷却作用による消火を期待する場合には、消火剤を液体状態で放出し、消火剤の窒息作用による消火を期待する場合には、消火剤を気体状態で放出することなどが考えられる。
【0117】
なお、本消火剤は低沸点であり、液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすので、この冷却作用および窒息作用によって高燃焼性物質の火災に対して大きな消火効果を得ることができるように、常に消火剤が液体状態で放出されるよう指示することもできる。
【0118】
また、制御盤40は、各閉鎖型スプリンクラヘッド4aから消火剤が放出される際に指示をおこなう。すなわち、図1に示すように、状態調整部24は複数の区画ごとに各閉鎖型スプリンクラヘッド4aの近傍に配置され、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出される消火剤の状態を調整する。
【0119】
これは、消火剤の状態が消火剤タンク20から閉鎖型スプリンクラヘッド4aまで運ばれてくる段階で変化するおそれがあるところ、各閉鎖型スプリンクラヘッド4aの近傍で(閉鎖型スプリンクラヘッド4aから消火剤が放出される際に)状態を調整することによって、閉鎖型スプリンクラヘッド4aから放出される消火剤の状態を確実にコントロールすることができるようにするためである。
【0120】
また、制御盤40は、各状態調整部24に対して同一または異なる状態指示信号を送信する。すなわち、各状態調整部24に対して同一の状態指示信号を送信するだけでなく、異なる状態指示信号を送信することもできる。これは、例えば、水に弱い精密機械が存在する区画に対しては消火剤を気体状態で放出し、樹脂、ゴム、油などの高燃焼性物質が存在する区画に対しては消火剤を液体状態で放出するなど、各区画の消火対象物に応じた多種多様な消火処理を実現することができるようにするためである。
【0121】
また、制御盤40は、図1に示すように、湿式流水検知装置3aから流水信号を受信し、この受信に応じて状態指示信号を送信するが、火災が発生してからの時間経過に応じて状態指示信号を送信することもできる(図2に示すステップS213およびステップS214)。すなわち、流水信号の受信に応じて状態指示信号を送信するだけでなく、消火処理の最中に状態指示信号を送信することもできる。
【0122】
これは、例えば、消火処理の初期段階では消火剤を液体状態で放出し、その後に消火剤を気体状態で放出するなど、火災発生からの時間経過に応じた多種多様な消火処理を実現することができるようにするためである。なお、制御盤40は、消火終了後に(図2に示すステップS212)、状態調整を終了すべき旨を状態調整部24に指示する。
【0123】
状態調整部24は、制御盤40からの指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する。ここで、本消火剤の沸点は、上記したように48℃であるので、状態調整部24によって消火剤の状態を調整する方式としては、消火剤の温度を調整する方式や、消火剤の圧力を調整する方式を採用することができる。
【0124】
すなわち、消火剤の温度が48℃未満になるように消火剤を冷却することによって、消火剤を液体状態で放出する方式、消火剤の温度が48℃以上になるように消火剤を加熱することによって、消火剤を気体状態で放出する方式、消火剤の温度が変化しても沸点が消火剤の温度以上になるように消火剤を加圧することによって、消火剤を液体状態で放出する方式、消火剤の温度が変化しても沸点が消火剤の温度未満になるように消火剤を減圧することによって、消火剤を気体状態で放出する方式などを採用することができる。
【0125】
ここで、かかる状態調整部24の具体的な構成例について説明する。図6は、図1に示した状態調整部24の具体的な構成例を示す図である。例えば、図6(a)に示すように、閉鎖型スプリンクラヘッド4aの近傍の分岐管2に加熱装置24aを配置し、この加熱装置24aによって、消火剤タンク20から供給される液体状態の消火剤を加熱すれば、消火剤を気体状態で放出することができ、一方、加熱装置24aによる加熱を停止すれば、消火剤を液体状態で放出することができる。
【0126】
また、図6(b)に示すように、閉鎖型スプリンクラヘッド4aの近傍の分岐管2に減圧装置24bを配置し、この減圧装置24bによって、消火剤タンク20から供給される液体状態の消火剤を減圧すれば、消火剤を気体状態で放出することができ、一方、減圧装置24bによる減圧を停止すれば、消火剤を液体状態で放出することができる。
【0127】
なお、図6(a)および(b)では、消火剤タンク20から消火剤が液体状態で供給されることを前提に説明し、加熱の停止や減圧の停止といった簡単な処理によって消火剤を液体状態で放出することとしたが、これを確実に実現するためには、図6(c)に示すように、消火剤が通過する分岐管2、さらには本管1について、二重構造などの冷却構造や加圧構造を採用することによって、消火剤タンク20から消火剤が確実に液体状態で供給されるようにすることが望ましい。
【0128】
また、図6(d)に示すように、消火剤タンク20から消火剤が液体状態または気体状態のいずれかで供給されても対応できるように、消火剤を確実に気体状態にする加熱装置24aまたは減圧装置24bと、消火剤を確実に液体状態にする冷却装置24cまたは加圧装置24dとを併設するといった方式を採用することもできる。
【0129】
このように、状態調整部24の具体的な構成例として、複数の構成例を挙げることができるが、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが設置される環境の気温や気圧など、消火剤の状態に影響を与える要因を考察して最適な構成例を採用することが望まれる。例えば、気温の高い熱帯では、消火剤が常に気体状態で放出されるようなことにならないように、図6(c)または(d)に示した方式を採用することが望ましいと考えられる。
【0130】
(特徴3)
次に、上記した特徴3について説明する。この特徴3は、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持する点にある。
【0131】
具体的に説明すると、本消火剤は、図3(b)に示したように、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、消火剤タンク20に蓄えられている段階で気体状態になるおそれがある。このように、消火剤が貯蔵段階で気体状態になってしまうと、消火剤タンク20に過度な圧力がかかって事故を誘発するだけでなく、消火剤タンク20による消火剤の貯蔵効率も低下することとなる。
【0132】
そこで、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備においては、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持することを特徴とし、これによって、消火剤を常に液体状態で貯蔵して、消火剤タンク20に過度な圧力がかかることによる事故の誘発を防止するとともに、消火剤タンク20による貯蔵効率の低下を防止することができるようにしている。
【0133】
この特徴1に関連して、湿式スプリンクラ消火設備は、図1に示すように、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持する状態維持手段としての状態維持部23を備える。
【0134】
そして、本消火剤の沸点は、上記したように48℃であるので、状態維持部23によって消火剤を液体状態に維持する方式としては、上記した状態調整部24と同様、消火剤の温度が48℃以下になるように消火剤の温度を調整する方式や、消火剤の温度が48℃以上になっても沸点がこれ以上になるように消火剤の圧力を調整する方式を採用することができる。
【0135】
ここで、状態維持部23の具体的な構成例について説明する。図5は、図1に示した状態維持部の具体的な構成例を示す図である。例えば、図5(a)に示すように、消火剤タンク20を二重構造にして、空気23aを補填し、この空気23aにより消火剤を冷却することによって、消火剤の温度が48℃以下になるように消火剤の温度を調整することができる。
【0136】
また、これと同様に、図5(b)および(c)に示すように、冷却剤23bまたは断熱材23cにより消火剤を冷却することによって、消火剤の温度が48℃以下になるように消火剤の温度を調整することができる。
【0137】
さらに、図5(d)に示すように、消火剤タンク20に加圧空気23dを補填し、この加圧空気23dにより消火剤の圧力を加圧することによって、沸点が消火剤の温度以上になるように消火剤の圧力を調整することができる。
【0138】
このように、状態維持部23の具体的な構成例として、複数の構成例を挙げることができるが、上記した状態調整部24と同様、消火剤タンク20が設置される環境の気温や気圧など、消火剤の状態に影響を与える要因を考察して最適な構成例を採用することが望まれる。例えば、気温の低い寒冷地帯では、図5(a)に示した空気23aによる冷却方式を採用することで十分であるが、気温の高い熱帯では、図5(b)に示した冷却剤23bによる冷却方式を採用することが望ましいと考えられる。
【0139】
(特徴4)
次に、上記した特徴4について説明する。この特徴4は、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤を屋内に放出する点にある。
【0140】
具体的に説明すると、本消火剤は、図3(b)に示したように、炎に触れるとHF(フッ化水素)という毒性の生成物を発生させるという物性を有するため、これを単純に消火剤として用いたのでは、フッ化水素によって人体に害を及ぼしてしまうおそれがある。
【0141】
そこで、本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備おいては、本消火剤が炎に触れることによって発生するフッ化水素を中和するための中和剤を屋内に放出することを特徴とし、これによって、フッ化水素による人体への悪影響を除去することができるようにしている。
【0142】
この特徴4に関連して、湿式スプリンクラ消火設備は、図1に示すように、所定の場所に設置されて中和剤を蓄えた中和剤タンク30と、消火剤タンク20から供給される中和剤を屋内に放出する中和剤ヘッド32と、中和剤ヘッド32の近傍にそれぞれ配置され、制御盤40の制御(開放信号および閉鎖信号)によって中和剤供給の開始終了(バルブ開閉)を実行するバルブ31とを有する。
【0143】
そして、湿式スプリンクラ消火設備は、上記の構成によって、図2に示すように、中和剤を放出して、屋内のフッ化水素を中和する(ステップS215およびステップS216)。具体的には、制御盤40は、消火剤が放出された区画に配置された中和剤ヘッド32に隣接するバルブ31に対して開放信号を送信することによって、バルブ31を開放する。このバルブ31の開放によって、中和剤タンク30から中和剤ヘッド32へ中和剤が供給され、続いて、中和剤ヘッド32から屋内に中和剤が放出され、フッ化水素が中和される。
【0144】
そして、中和が終了すると、制御盤40は、開放されたバルブ31に対して閉鎖信号を送信することによって、バルブ31を閉鎖する。このバルブ31の閉鎖によって、中和剤の供給が停止され、中和剤ヘッド32からの中和剤の放出も停止される。
【0145】
なお、中和剤としては、Ca(OH)2の化学式で表される消石灰スラリー、NH3の化学式で表されるアンモニアなど、フッ化水素を中和するあらゆる化学物質を採用することができる。
【0146】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてもよいものである。
【0147】
例えば、本実施の形態では、本発明を湿式スプリンクラ消火設備に適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乾式スプリンクラ消火設備、予作動式スプリンクラ消火設備、開放式スプリンクラ消火設備など、あらゆる方式のスプリンクラ消火設備に適用することができる。以下に、本発明を適用した各方式のスプリンクラ消火設備について説明する。
【0148】
まず最初に、本発明を乾式スプリンクラ消火設備に適用した場合を説明する。図7は、本発明を乾式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。同図に示すように、この乾式スプリンクラ消火設備は、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、湿式流水検知装置3aに代えて乾式流水検知装置3bを有する点と、分岐管2に加圧空気を供給するための空気コンプレッサ5を有する点が相違するが、上記した特徴1〜4を有する点は共通する。
【0149】
すなわち、消火剤タンク20は、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤として蓄え(特徴1)、制御盤40は、消火剤を閉鎖型スプリンクラヘッド4aから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、状態調整部24は、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整し(特徴2)、状態維持部23は、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持し(特徴3)、中和剤ヘッド32は、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤を放出する(特徴4)。
【0150】
図8は、図7に示した乾式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。この湿式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、消火剤タンク20から乾式流水検知装置3bの間に配管される本管1および分岐管2には、消火剤が充填されているが、乾式流水検知装置3bから閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間に配管される分岐管2には、空気コンプレッサ5によって加圧空気が充填されている。
【0151】
かかる定常状態において火災が発生すると(ステップS801)、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが作動し、これによって消火処理が開始される(ステップS802)。具体的には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、火災の熱によって自動的に放出口を開放して、加圧空気を放出した後に消火剤の放出を開始する(ステップS803およびステップS804)。
【0152】
この消火剤の放出に対応して、分岐管2の管内には流水が生じ(ステップS805)、また、本管1の管内圧力は減圧する(ステップS806)。このため、乾式流水検知装置3bが作動し、受信盤10および制御盤40に対して流水信号を送信する(ステップS807)。また、圧力タンク21も作動し、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する(ステップS808)。
【0153】
そして、消火剤供給部22、受信盤10、警報器11、制御盤40、状態調整部24および中和剤ヘッド32は、図2に示した湿式スプリンクラ消火設備による消火処理と同様の処理を実行する(ステップS809〜ステップS817)。
【0154】
次に、本発明を予作動式スプリンクラ消火設備に適用した場合を説明する。図9は、本発明を予作動式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。同図に示すように、この予作動式スプリンクラ消火設備は、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、湿式流水検知装置3aに代えて、制御盤40の制御によって開閉される予作動弁3dを備えた予作動式流水検知装置3cを有する点と、分岐管2に加圧空気を供給するための空気コンプレッサ5、火災を検知して制御盤40に火災信号を送信する火災検知器41、および火災検知器41から火災信号を受信して予作動弁3dに開放信号を送信する制御盤40を有する点が相違するが、上記した特徴1〜4を有する点は共通する。
【0155】
図10は、図9に示した予作動式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。この予作動式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、予作動弁3dは閉鎖状態にあり、消火剤タンク20から予作動式流水検知装置3cの間に配管される本管1および分岐管2には、消火剤が充填されているが、予作動式流水検知装置3cから閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間に配管される分岐管2には、空気コンプレッサ5によって加圧空気が充填されている。
【0156】
かかる定常状態において火災が発生すると(ステップS1001)、火災検知器51が作動し、制御盤40に対して火災信号を送信する(ステップS1002)。そして、火災信号を受信した制御盤40は、予作動弁3dに対して開放信号を送信して、予作動弁3dを開放させる(ステップS1003およびステップS1004)。これによって、予作動式流水検知装置3cから閉鎖型スプリンクラヘッド4aの間に配管される分岐管2にも、消火剤が充填されることとなる(ステップS1005)。
【0157】
これに続いて、閉鎖型スプリンクラヘッド4aが作動すると、実際に消火処理が開始される(ステップS1006)。具体的には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aは、火災の熱によって自動的に放出口を開放して消火剤の放出を開始する(ステップS1007)。
【0158】
この消火剤の放出に対応して、分岐管2の管内には流水が生じ(ステップS1008)、また、本管1の管内圧力は減圧する(ステップS1009)。このため、予作動式流水検知装置3cが作動し、受信盤10に対して流水信号を送信する(ステップS1010)。また、圧力タンク21も作動し、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する(ステップS1011)。
【0159】
そして、消火剤供給部22、受信盤10、警報器11、制御盤40、状態調整部24および中和剤ヘッド32は、図2に示した湿式スプリンクラ消火設備による消火処理と同様の処理を実行する(ステップS1012〜ステップS1019)。
【0160】
次に、本発明を開放式スプリンクラ消火設備に適用した場合を説明する。図11は、本発明を開放式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。同図に示すように、この開放式スプリンクラ消火設備は、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、閉鎖型スプリンクラヘッド4aに代えて、放出口が常時開放された開放型スプリンクラヘッド4bを有する点と、分岐管2に配置されて制御盤40の制御によって開閉される一斉開放弁6、火災を検知して制御盤40に火災信号を送信する火災検知器51、および火災検知器51から火災信号を受信して一斉開放弁6に開放信号を送信する制御盤40を有する点が相違するが、上記した特徴1〜4を有する点は共通する。
【0161】
図12は、図11に示した開放式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。この開放式スプリンクラ消火設備は、火災発生前の定常状態においては、一斉開放弁6は閉鎖状態にあり、消火剤タンク20から一斉開放弁6の間に配管される本管1および分岐管2には、消火剤が充填されているが、一斉開放弁6から開放型スプリンクラヘッド4bの間に配管される分岐管2には、自然の空気が充填されている。
【0162】
かかる定常状態において火災が発生すると(ステップS1201)、火災検知器51が作動し、制御盤40に対して火災信号を送信する(ステップS1202)。そして、火災信号を受信した制御盤40は、一斉開放弁6に対して開放信号を送信して、一斉開放弁6を開放させる(ステップS1203およびステップS1204)。これによって、開放型スプリンクラヘッド4bから消火剤の放出が開始される(ステップS1205)。
【0163】
この消火剤の放出に対応して、分岐管2の管内には流水が生じ(ステップS1206)、また、本管1の管内圧力は減圧する(ステップS1207)。このため、湿式流水検知装置3aが作動し、受信盤10に対して流水信号を送信する(ステップS1208)。また、圧力タンク21も作動し、消火剤供給部22に対して起動信号を送信する(ステップS1209)。
【0164】
そして、消火剤供給部22、受信盤10、警報器11、制御盤40、状態調整部24および中和剤ヘッド32は、図2に示した湿式スプリンクラ消火設備による消火処理と同様の処理を実行する(ステップS1210〜ステップS1217)。
【0165】
上述してきたように、本発明は乾式スプリンクラ消火設備、予作動式スプリンクラ消火設備および開放式スプリンクラ消火設備に適用することができるが、これらの方式に限定されるものではなく、図13および図14に示すように、あらゆる方式のスプリンクラ消火設備に適用することもできる。
【0166】
図13は、本発明を緊急停止式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。同図に示すように、この緊急停止式スプリンクラ消火設備は、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、分岐管2に配置されて制御盤40の制御によって開閉される緊急停止弁7、火災を検知して制御盤40に火災信号を送信する火災検知器41、および火災検知器41から火災信号を受信して緊急停止弁7に閉鎖信号を送信する制御盤40を有する点が相違するが、上記した特徴1〜4を有する点は共通する。
【0167】
すなわち、この緊急停止式スプリンクラ消火設備は、湿式スプリンクラ消火設備または乾式スプリンクラ消火設備(図13においては、湿式スプリンクラ消火設備)において、消火剤の放出が開始された後でも、火災検知器41によって火災が検知されなかった場合には、消火剤による屋内の水損を低減するために、緊急停止弁7を閉鎖し、消火剤の放出を緊急的に停止するものである。そして、このようなスプリンクラ消火設備においても、本発明を適用することができる。
【0168】
また、図14は、本発明を併合式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。同図に示すように、この併合式スプリンクラ消火設備は、図1に示した湿式スプリンクラ消火設備と比較すると、常時開放された開放型スプリンクラヘッド4bと、この開放型スプリンクラヘッド4bから分岐管2に配管される管に配置されて制御盤40の制御によって開閉される一斉開放弁6とを有する点が相違するが、上記した特徴1〜4を有する点は共通する。
【0169】
すなわち、この併合式スプリンクラ消火設備は、湿式スプリンクラ消火設備と開放式スプリンクラ消火設備とを併合し、火災の熱によって閉鎖型スプリンクラヘッド4aが開放されて消火剤が放出されると、一斉開放弁6を開放し、消火剤を開放型スプリンクラヘッド4bからも放出するものである。そして、このようなスプリンクラ消火設備においても、本発明を適用することができる。
【0170】
さて、これまで本発明を湿式スプリンクラ消火設備以外に、乾式スプリンクラ消火設備、予作動式スプリンクラ消火設備、開放式スプリンクラ消火設備など、あらゆる方式のスプリンクラ消火設備に適用することができる旨を説明したが、本発明はこれ以外にも、以下に述べるように、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてもよいものである。
【0171】
例えば、本実施の形態では、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤として用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを主成分として含んだものを消火剤として用いる場合にも同様に適用することができる。
【0172】
また、本実施の形態では、消火剤としてドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンという化学物質を用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、常温の帯域では液体状態であって当該常温の近傍帯域では気体状態であるなど、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと同様の物性を有する化学物質(例えば、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと同じくフルオリネィティドケトンに属する化学物質、C49OCH3やC49OC25など、ハイドロフルオロエーテルに属する化学物質)を消火剤として用いる場合にも同様に適用することができる。
【0173】
また、本実施の形態では、状態調整部24を各閉鎖型スプリンクラヘッド4aの近傍に配置する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、状態調整部24を消火剤タンク20の近傍に配置し、消火剤タンク20から消火剤が供給される際に、消火剤の状態を調整する場合にも同様に適用することができる。この場合には、閉鎖型スプリンクラヘッド4aごとに消火剤を異なる状態で放出したりすることはできないが、消火剤の放出に際して各閉鎖型スプリンクラヘッド4aで消火剤の状態を調整する態様に比較して簡便な態様で、各閉鎖型スプリンクラヘッド4aから同様の状態の消火剤を放出することができる点で有効と考えられる。
【0174】
また、本実施の形態では、消火処理の終了段階で中和剤を放出する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、消火剤とともに中和剤を放出するなど、消火処理のあらゆる段階で中和剤を放出する場合にも同様に適用することができ、また、あらかじめ中和剤を消火剤に混合して放出する場合や、プレッシャープロポーショナー方式やプレッシャーサイドプロポーショナー方式を利用して分岐管2の所定箇所で中和剤を消火剤と混合して放出する場合にも同様に適用することができる。
【0175】
また、本実施の形態では、火災が発生に応じて消火剤を放出して火災を消火する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、ガソリンなどの引火性物質が撒き散らされて火災発生のおそれがあるような場合など、火災の発生前に消火剤を放出して火災を防止する場合にも同様に適用することができる。なお、この場合には、火災の検知によらず、手動操作などによって消火剤の放出が開始されることとなる。
【0176】
また、本実施の形態では、スプリンクラヘッドとして開放型スプリンクラヘッドや閉鎖型スプリンクラヘッドを用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、火災の熱によって開閉されるON/OFF型スプリンクラヘッドなど、あらゆるスプリンクラヘッドを用いる場合にも同様に適用することができる。
【0177】
また、本実施の形態では、いわゆる一斉開放弁が火災検知器による火災検知や消火剤の放出によって開放される場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一斉開放弁が手動操作によって開放される場合にも同様に適用することができる。
【0178】
また、本実施の形態では、一般的なスプリンクラ消火設備に本発明を適用する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、消火剤を200ミクロン以下の霧状にして噴霧する微噴霧消火設備、火災延焼を防止するために消火剤をカーテン状にして放出するウォータースクリーン防火設備など、あらゆる消火設備に同様に適用することができる。
【0179】
なお、本実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0180】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具合的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0184】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤をスプリンクラヘッドから放出することによって消火をおこなう。したがって、消火剤が液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすため、水に比較して、樹脂、ゴム、油などの高燃焼性物質の火災に対して大きな消火効果を得ることが可能であり、また、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、泡薬剤に比較して、放出後の事後処理を容易にすることが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。特に、水に弱い精密機械が存在するコンピュータルームなどで発生した火災を消火する場合、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、精密機械に対する影響を低減することも可能であり、さらに、ガソリンなどの引火性物質を撒き散らされたような事態に対しても、ガソリンなどが着火される以前に躊躇なく消火剤を放出することも可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
特に、請求項1の発明によれば、消火剤をスプリンクラヘッドから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤がスプリンクラヘッドから液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する。したがって、スプリンクラヘッドから放出される消火剤、すなわち常温の帯域では液体状態であって当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤(例えば、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)の状態をコントロールして、屋内の火災を効果的に消火することが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【0185】
また、請求項2の発明によれば、消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を冷却することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を加熱することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【0186】
また、請求項3の発明によれば、消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を加圧することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を減圧することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【0187】
また、請求項4の発明によれば、消火剤タンクの近傍にて、消火剤タンクからスプリンクラヘッドに対して消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤の放出に際して各スプリンクラヘッドで消火剤の状態を調整する態様に比較して簡便な態様で、各スプリンクラヘッドから同様の状態の消火剤を放出することが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【0188】
また、請求項5の発明によれば、スプリンクラヘッドの近傍にて、当該スプリンクラヘッドから消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤が消火剤タンクからスプリンクラヘッドまで運ばれてくる段階で消火剤の状態が変化したような場合でも、スプリンクラヘッドから放出される消火剤の状態を確実にコントロールすることが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【0189】
また、請求項6の発明によれば、複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与える。したがって、例えば、水に弱い精密機械が存在する区画に対しては消火剤を気体状態で放出し、樹脂、ゴム、油などの高燃焼性物質が存在する区画に対しては消火剤を液体状態で放出するなど、各区画の消火対象物に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【0190】
また、請求項7の発明によれば、火災が発生してからの時間経過に応じて、消火剤を液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する。したがって、例えば、消火処理の初期段階では消火剤を液体状態で放出し、その後に消火剤を気体状態で放出するなど、火災発生からの時間経過に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能なスプリンクラ消火設備が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る湿式スプリンクラ消火設備の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示した湿式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態に用いられる消火剤を説明するための説明図である。
【図4】図1に示した消火剤供給部の具体的な構成例を示す図である。
【図5】図1に示した状態維持部の具体的な構成例を示す図である。
【図6】図1に示した状態調整部の具体的な構成例を示す図である。
【図7】本発明を乾式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図8】図7に示した乾式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明を予作動式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図10】図9に示した予作動式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明を開放式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図12】図11に示した開放式スプリンクラ消火設備による消火処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明を緊急停止式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図14】本発明を併合式スプリンクラ消火設備に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図15】従来技術に係る湿式スプリンクラ消火設備の構成を示す構成図である。
【図16】従来技術に係る乾式スプリンクラ消火設備の構成を示す構成図である。
【図17】従来技術に係る予作動式スプリンクラ消火設備の構成を示す構成図である。
【図18】従来技術に係る開放式スプリンクラ消火設備の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
1 本管
2 分岐管
3a 湿式流水検知装置
4a 閉鎖型スプリンクラヘッド
10 受信盤
11 警報器
20 消火剤タンク
21 圧力タンク
22 消火剤供給部
23 状態維持部
24 状態調整部
30 中和剤タンク
31 バルブ
32 中和剤ヘッド
40 制御盤

Claims (7)

  1. 所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、前記消火剤を放出するスプリンクラヘッドと、前記消火剤タンクから前記スプリンクラヘッドに配管された消火剤管を介して前記消火剤を供給する供給手段とを有し、前記スプリンクラヘッドから前記消火剤を放出することによって消火をおこなうスプリンクラ消火設備であって、
    前記消火剤は、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備え、
    前記消火剤を前記スプリンクラヘッドから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する状態指示手段と、
    前記状態指示手段による指示に応じて前記消火剤が液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する状態調整手段と、
    を備えたことを特徴とするスプリンクラ消火設備。
  2. 前記状態調整手段は、前記消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整することを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラ消火設備。
  3. 前記状態調整手段は、前記消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整することを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラ消火設備。
  4. 前記状態調整手段は、前記消火剤タンクの近傍に配置され、当該消火剤タンクから前記スプリンクラヘッドに対して前記消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスプリンクラ消火設備。
  5. 前記状態調整手段は、前記スプリンクラヘッドの近傍に配置され、当該スプリンクラヘッドから前記消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスプリンクラ消火設備。
  6. 前記スプリンクラヘッドおよび状態調整手段は、複数の区画ごとに対応づけて配置されるものであって、前記状態指示手段は、前記複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与えることを特徴とする請求項5に記載のスプリンクラ消火設備。
  7. 前記状態指示手段は、前記火災が発生してからの時間経過に応じて、前記消火剤を前記スプリンクラヘッドから液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のスプリンクラ消火設備。
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