JP4156824B2 - トンネル内消火システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、消火剤をトンネル内に放出する放出口と、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を放出口に対して供給する供給手段とを有し、トンネル内で火災が発生した場合に、放出口から消火剤を放出することによって消火をおこなうトンネル内消火システムに関し、特に、常温帯域の近傍に沸点があるなどの物性を有する消火剤に対応した消火活動を実行することができるトンネル内消火システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、道路トンネルや列車トンネルなどのトンネル内で発生した火災を消火するトンネル内消火システムとして、トンネル内で火災が発生した場合に、トンネル内に配置した噴霧ヘッド、消火ロボット、消火栓などの放出口から消火剤を放出するシステムが知られている。
【0003】
図7は、かかる従来技術に係るトンネル内消火システムの一般的な構成を示すシステム構成図である。同図に示すように、この従来技術に係るトンネル内消火システムは、トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンク20と、トンネル内の複数の区画ごとに配置されて消火剤をトンネル内に放出する複数の放出口(複数の噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25)と、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を配管2を介して放出口に対して供給する消火剤供給部21と、各放出口の近傍にそれぞれ配置されて放出口の開閉を実行するバルブ22と、トンネル内の複数の区画ごとに配置されて火災の発生を検知する火災検知器10と、トンネル内の空気をトンネル外に排気する空調ファン11と、これらの各機器と配線1により接続されて各機器を制御する制御装置50とから構成される。
【0004】
ここで、上記した放出口について説明すると、噴霧ヘッド23は、トンネル内の天井に設置されて消火剤を空間的に一様に放出するものである。また、消火ロボット24は、トンネル内の天井や側面に設置され、火災位置センサ24aにより火源をモニタしながらアーム24bにより消火剤の放出方向を調整することによって、消火剤をノズル24cから火源に対して集中的に放出するものである。さらに、消火栓25は、トンネル内の天井や側面に設置され、作業員によるホース25cの操作により消火剤の放出方向を調整することによって、消火剤をノズル25dから火源に対して集中的に放出するものである。
【0005】
このように、図7に示したトンネル内消火システムは、噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25といった複数の放出口を有し、かかる放出口から消火剤を放出することによって消火処理を実行するが、このトンネル内消火システムによる消火処理は、以下に示す手順にしたがって実行される。
【0006】
まず、図7に示したトンネル内消火システムは、火災が発生していない定常状態において、各バルブ22は閉鎖状態にあり、消火剤供給部21は停止状態にあるが、空調ファン11は運転状態にあり、火災の発生を監視する。
【0007】
そして、制御装置50は、かかる定常状態において、いずれかの区画に配置された火災検知器10から火災信号を受信した場合、または消火栓25から起動信号を受信した場合に、火災が発生したものとして、空調ファン11の停止、バルブ22の開放、消火剤供給部21の起動をそれぞれ実行する。
【0008】
具体的には、制御装置50は、空調ファン11に停止信号を送信し、また、火災が検知された区画および当該区画に隣接する区画(若しくは全ての区画)にそれぞれ配置された噴霧ヘッド23および消火ロボット24に隣接する各バルブ22に開放信号を送信し、さらに、消火剤供給部21に起動信号を送信する。なお、消火栓25においては、作業員により開放レバー25bが操作されることによって、バルブ22に開放信号が送信される。
【0009】
そして、停止信号を受信した空調ファン11は、消火剤による消火効果を高めるために排気処理を停止し、また、開放信号を受信した各バルブ22はそれぞれ開放され、さらに、起動信号を受信した消火剤供給部21は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を配管2を介して各放出口に供給する処理を開始する。
【0010】
このように、制御装置50によって空調ファン11の停止、バルブ22の開放、消火剤供給部21の起動がそれぞれ実行されることによって、トンネル内消火は消火処理を開始する。すなわち、噴霧ヘッド23、消火ロボット24および消火栓25から継続的に消火剤が放出されることとなる。
【0011】
図7に示したトンネル内消火システムは、上記したような手順で消火処理を実行するが、この消火処理に用いられる消火剤としては、水や泡薬剤が一般的である。すなわち、消火剤タンク20に水や泡薬剤を蓄え、放出口からトンネル内に水や泡薬剤が放出するトンネル内消火システムが一般的であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トンネル内消火システムにおいては、以下に述べるような問題点から、水や泡薬剤を消火剤として用いることが必ずしも最適ではなかった。
【0013】
すなわち、消火剤としての水は、放出後に燃焼物に付着しないため、放出後の事後処理は容易である。しかし、トンネル内での火災は車の燃料であるガソリンや軽油、車の内装材である樹脂やゴムが燃焼することによって発生する車両火災が主であるため、水による冷却作用のみでは、車両火災を消火することは困難であり、延焼抑制の効果しか期待できないという問題点があった。
【0014】
一方、消火剤としての泡薬剤は、泡が燃焼物の表面を覆うことによって、冷却作用のみならず窒息作用をもたらすものであるため、上記した車両火災に対して大きな消火効果を期待できる。しかし、放出後の泡が燃焼物に付着するため、水と異なり放出後の事後処理が困難であり、下水道設備の整った都市部のトンネルにおいてしか利用することができないという問題点があった。
【0015】
ところで、最近になって、CF3CF2C(O)CF(CF32という示性式で表され、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと呼ばれるフッ素系化学物質が開発された。このフッ素系化学物質は、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近く、絶縁性があるなどの物性の他に、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるという物性を有する。
【0016】
ここで、図7に示したトンネル内消火システムの消火剤として上記のフッ素系化学物質を利用することも考えられるが、ただ単純に水や泡薬剤の代替物として利用するだけでは、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの物性に対応しきれず、以下に述べるような種々の問題点が考えられる。
【0017】
すなわち、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、トンネル内の温度や気圧の変化に左右されて、液体状態として放出口(噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25)から放出されたり、気体状態として放出口から放出されるおそれがある。このように、放出口から放出される消火剤の状態をコントロールできなくなってしまうと、トンネル内の火災を効果的に消火することが困難になるという問題点が考えられる。
【0018】
一方、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるという物性を利用して、トンネル内の火災を効果的に消火することができるようにしたトンネル内消火システムも存在していなかった。
【0019】
また、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、上記したように低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、消火剤タンク20に蓄えられている段階で気体状態になるおそれがある。このように、消火剤が貯蔵段階で気体状態になってしまうと、消火剤タンク20に過度な圧力がかかって事故を誘発するという問題点だけでなく、消火剤タンク20による消火剤の貯蔵効率が低下するという問題点が考えられる。
【0020】
さらに、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、炎に触れるとHF(フッ化水素)という毒性の生成物を発生させる可能性があるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、フッ化水素によって人体に害を及ぼすおそれがあるという問題点が考えられる。
【0021】
このようなことから、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤としてトンネル内消火システムに用いる場合に、かかる物性に対応したトンネル内消火システムをいかに構築するかが極めて重要な課題になっている。
【0022】
そこで、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、常温帯域の近傍に沸点があるなどの物性を有する消火剤に対応した消火活動を実行することができるトンネル内消火システムを提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1の発明に係るトンネル内消火システムは、トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、前記消火剤をトンネル内に放出する放出口と、前記消火剤タンクに蓄えられた前記消火剤を前記放出口に対して供給する供給手段とを有し、トンネル内で火災が発生した場合に、前記放出口から前記消火剤を放出することによって消火をおこなうトンネル内消火システムであって、前記消火剤を前記放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する状態指示手段と、前記状態指示手段による指示に応じて前記消火剤が前記放出口から液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する状態調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、消火剤を放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が放出口から液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する。したがって、放出口から放出される消火剤、すなわち常温の帯域では液体状態であって当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤(例えば、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能になる。したがって、消火剤が液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすため、水に比較して車両火災に対して大きな消火効果を得ることが可能になるとともに、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、泡薬剤に比較して放出後の事後処理を容易にすることが可能になる。
【0025】
また、請求項2の発明に係るトンネル内消火システムは、トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、前記消火剤をトンネル内に放出する放出口と、前記消火剤タンクに蓄えられた前記消火剤を前記放出口に対して供給する供給手段とを有し、トンネル内で火災が発生した場合に、前記放出口から前記消火剤を放出することによって消火をおこなうトンネル内消火システムであって、前記消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤を前記トンネル内に放出する中和手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
これは、炎に触れることによって人体に有害な生成物を発生させる可能性があるという消火剤の物性に対応したトンネル内消火システムの具体的構成を示すものである。この発明によれば、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤をトンネル内に放出する。したがって、人体に有害な生成物を中和して、生成物による人体への悪影響を除去することが可能になる。
【0027】
また、請求項3の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1又は2の発明に係るトンネル内消火システムにおいて、前記消火剤は、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備えるものであり、前記常温の近傍帯域は、前記常温以外の温度帯域であって、前記消火剤の沸点を含む帯域であることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、トンネル内で火災が発生した場合に、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤を放出口から放出することによって消火をおこなう。
【0029】
また、請求項4の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項3の発明に係るトンネル内消火システムにおいて、前記消火剤は、フルオリネィティドケトンまたはハイドロフルオロエーテルを主成分とするものであって、前記常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるものであることを特徴とする。
【0030】
これは、請求項3に記載の消火剤の一例を示すものであり、この発明によれば、フルオリネィティドケトンまたはハイドロフルオロエーテルを主成分とする消火剤をスプリンクラヘッドから放出することによって消火をおこなう。このフルオリネィティドケトンまたはハイドロフルオロエーテルは、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備えるので、これを消火剤として用いることによって、請求項3に記載された効果と同様の効果が得られる。
【0031】
また、請求項5の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜3のいずれか一つの発明に係るトンネル内消火システムにおいて、前記消火剤は、CF CF C(O)CF(CF 、C OCH またはC OC を主成分とするものであることを特徴とする。
【0032】
これは、請求項1〜3に記載の消火剤の一例を示すものであり、この発明によれば、トンネル内で火災が発生した場合に、CF CF C(O)CF(CF 、C OCH またはC OC を主成分とする消火剤を放出口から放出することによって消火をおこなう。例えば、このCF CF C(O)CF(CF の示性式で表されるドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近く、常温で液体の状態にあり(沸点が48℃)、絶縁性があり、放っておくと蒸発して痕跡が残らないといった物性を備えるフッ素系の化学物質である。したがって、これを消火剤として用いることによって、水を消火剤として用いる場合よりも車両火災に対して大きな消火効果を得ることが可能になり、また、泡薬剤を消火剤として用いる場合よりも放出後の事後処理を容易にすることが可能になり、さらに、消火剤による環境への影響を低減することも可能になる。なお、C OCH またはC OC を主成分とする消火剤を用いた場合も、同様の効果が得られる。
【0033】
また、請求項6の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整することを特徴とする。
【0034】
これは、請求項1に記載の状態調整手段による状態調整原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を冷却することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を加熱することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能になる。
【0035】
また、請求項7の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整することを特徴とする。
【0036】
これは、請求項6と同様、請求項1に記載の状態調整手段による状態調整原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を加圧することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を減圧することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能になる。
【0037】
また、請求項8の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1、6、又は7に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記消火剤タンクの近傍に配置され、当該消火剤タンクから前記放出口に対して前記消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整することを特徴とする
【0038】
これは、請求項1、6、又は7に記載の状態調整手段による状態調整タイミングの一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクの近傍にて、消火剤タンクから放出口に対して消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤の放出に際して各放出口で消火剤の状態を調整する態様に比較して簡便な態様で、各放出口から同様の状態の消火剤を放出することが可能になる。
【0039】
また、請求項9の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1、6、又は7に記載の発明において、前記状態調整手段は、前記放出口の近傍に配置され、当該放出口から前記消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整することを特徴とする
【0040】
これは、請求項8と同様、請求項1、6、又は7に記載の状態調整手段による状態調整タイミングの一例を示すものであり、この発明によれば、放出口の近傍にて、当該放出口から消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤が消火剤タンクから放出口まで運ばれてくる段階で消火剤の状態が変化したような場合でも、放出口から放出される消火剤の状態を確実にコントロールすることが可能になる。
【0041】
また、請求項10の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項9に記載の発明において、前記放出口および状態調整手段は、トンネル内の複数の区画ごとに対応づけて配置されるものであって、前記状態指示手段は、前記複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与えることを特徴とする
【0042】
これは、請求項1に記載の状態指示手段による状態指示態様の一例を示すものであり、この発明によれば、複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与える。したがって、例えば、火災が検知された区画に対しては消火剤を液体状態で放出し、当該区画に隣接する区画に対しては消火剤を気体状態で放出するなど、各区画の火災状況に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能になる。
【0043】
また、請求項11の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1、6〜10のいずれか一つに記載の発明において、前記状態指示手段は、前記火災が発生してからの時間経過に応じて、前記消火剤を前記放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示することを特徴とする
【0044】
これは、請求項10と同様、請求項1に記載の状態指示手段による状態指示態様の一例を示すものであり、この発明によれば、火災が発生してからの時間経過に応じて、消火剤を液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する。したがって、例えば、消火処理の初期段階では消火剤を液体状態で放出し、その後に消火剤を気体状態で放出するなど、火災発生からの時間経過に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能になる。
【0045】
また、請求項12の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜11のいずれか一つに記載の発明において、前記消火剤タンクが前記消火剤を液体状態で蓄えるよう当該消火剤の状態を維持する状態維持手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0046】
これは、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという消火剤の物性に対応したトンネル内消火システムの具体的構成を示すものである。この発明によれば、消火剤タンクが消火剤を液体状態で蓄えるよう当該消火剤の状態を維持する。したがって、消火剤を常に液体状態で貯蔵して、消火剤タンクに過度な圧力がかかることによる事故の誘発を防止することが可能になるとともに、消火剤タンクによる貯蔵効率の低下を防止することが可能になる。
【0047】
また、請求項13の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を加熱することを特徴とする。
【0048】
これは、請求項1に記載の供給手段による供給原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を加熱することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤を加熱するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能になる。また、消火剤を気体状態にして放出口に供給するため、簡便な構成によって消火剤を気体状態で放出することが可能になる。
【0049】
また、請求項14の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤をポンプで加圧することを特徴とする。
【0050】
これは、請求項13と同様、請求項1に記載の供給手段による供給原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤をポンプで加圧することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤をポンプで加圧するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能になる。
【0051】
また、請求項15の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の気体で加圧することを特徴とする。
【0052】
これは、請求項13および14と同様、請求項1に記載の供給手段による供給原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の気体で加圧することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤を気体で加圧するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能になる。
【0053】
また、請求項16の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の液体である水で加圧することを特徴とする。
【0054】
これは、請求項13〜15と同様、請求項1に記載の供給手段による供給原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の液体である水で加圧することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤をで加圧するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能になる。
【0055】
また、請求項17の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を重力落差によって前記放出口に対して供給することを特徴とする。
【0056】
これは、請求項13〜16と同様、請求項1に記載の供給手段による供給原理の一例を示すものであり、この発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を重力落差によって供給する。したがって、重力落差を利用するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能になる。
【0057】
また、請求項18の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜17のいずれか一つに記載の発明において、前記放出口は、噴霧ヘッドとして形成されることを特徴とする。
【0058】
これは、請求項1に記載の放出口に関して、その具体的構成の一例を示すものであり、この発明によれば、噴霧ヘッドからトンネル内に消火剤を放出する。したがって、噴霧ヘッドから放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能になる。
【0059】
また、請求項19の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜17のいずれか一つに記載の発明において、前記放出口は、スプリンクラヘッドとして形成されることを特徴とする。
【0060】
これは、請求項18と同様、請求項1に記載の放出口に関して、その具体的構成の一例を示すものであり、この発明によれば、スプリンクラヘッドからトンネル内に消火剤を放出する。したがって、スプリンクラヘッドから放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能になる。
【0061】
また、請求項20の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜17のいずれか一つに記載の発明において、前記放出口は、消火栓の一部として形成されることを特徴とする。
【0062】
これは、請求項18および19と同様、請求項1に記載の放出口に関して、その具体的構成の一例を示すものであり、この発明によれば、消火栓の一部からトンネル内に消火剤を放出する。したがって、消火栓の一部から放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能になる。
【0063】
また、請求項21の発明に係るトンネル内消火システムは、請求項1〜17のいずれか一つに記載の発明において、前記放出口は、放出方向の調整が可能な消火ロボットの一部として形成されることを特徴とする。
【0064】
これは、請求項18〜20と同様、請求項1に記載の放出口に関して、その具体的構成の一例を示すものであり、この発明によれば、放出方向の調整が可能な消火ロボットの一部からトンネル内に消火剤を放出する。したがって、消火ロボットの一部から放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能になる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るトンネル内消火システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態に係るトンネル内消火システムは、図7に示した従来技術に係るトンネル内消火システムと同様、トンネル内で火災が発生した場合に、トンネル内に消火剤を放出することを基本的な処理内容とするものであるため、図7に示したトンネル内消火システムと同様の基本的な構成を有する。
【0066】
その一方、本実施の形態に係るトンネル内消火システムは、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤として用いることを主たる特徴とし、この消火剤の物性に対応した種々の特徴的な構成を有する。そこで、以下に示す本実施の形態では、トンネル内消火システムの基本的構成、トンネル内消火システムによる消火処理の基本的手順を説明した後、トンネル内消火システムの特徴および当該特徴に係る構成について説明することとする。
【0067】
[トンネル内消火システムの基本的な構成]
まず最初に、本実施の形態に係るトンネル内消火システムの基本構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るトンネル内消火システムの構成を示すシステム構成図である。同図に示すトンネル内消火システムは、トンネル内で火災が発生した場合に、トンネル内に消火剤を放出することを基本的な処理内容とするものである。
【0068】
そして、かかる基本的な処理内容を実現するための基本的な構成として、このトンネル内消火システムは、同図に示すように、消火剤タンク20と、供給手段としての消火剤供給部21と、配管2を介して消火剤タンク20に繋がる放出口(複数の噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25)と、バルブ22と、火災検知器10と、空調ファン11と、配線1を介して所定の機器(消火剤供給部21、バルブ22、火災検知器10、空調ファン11および消火栓25)と接続されて各機器を制御する制御装置40とを有する。以下に、この基本的な構成についてそれぞれ具体的に説明する。
【0069】
まず、消火剤タンク20は、所定の場所に設置され、トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えるものである。消火剤供給部21は、消火剤タンク20に付属して設置され、制御装置40の制御によって、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を配管2を介して放出口(複数の噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25)に対して供給するものである。具体的には、制御装置40から起動信号を受信すると、消火剤の供給を開始する一方、制御装置40から停止信号を受信すると、消火剤の供給を停止する。
【0070】
放出口は、トンネル内の複数の区画ごとに配置され、消火剤をトンネル内に放出するものであり、図1に示すように、噴霧ヘッド23、消火ロボット24および消火栓25がある。このうち、噴霧ヘッド23は、トンネル内の天井に設置され、消火剤を空間的に一様に放出するものである。具体的には、制御装置40の制御によって近傍のバルブ22が開放されると、消火剤の放出を開始する一方、制御装置40の制御によって近傍のバルブ22が閉鎖されると、消火剤の放出を停止する。
【0071】
消火ロボット24は、トンネル内の天井や側面に設置され、火災位置センサ24aにより火源をモニタしながらアーム24bにより消火剤の放出方向を調整することによって、消火剤をノズル24cから火源に対して集中的に放出するものである。なお、消火ロボット24による消火剤の放出開始および放出停止も、上記の噴霧ヘッド23と同様に、制御装置40の制御による近傍のバルブ22の開放および閉鎖によって実行される。
【0072】
消火栓25は、トンネル内の天井や側面に設置され、作業員によるホース25cの操作により消火剤の放出方向を調整することによって、消火剤をノズル25dから火源に対して集中的に放出するものである。ただし、この消火栓25については、上記の噴霧ヘッド23および消火ロボット24と相違し、作業員により開放レバー25bが操作されて近傍のバルブ22に開放信号および閉鎖信号が送信されることによって、消火剤の放出開始および放出停止が実行される。なお、消火栓25には放出スイッチ25aが備えられ、作業員により放出スイッチ25aが押下されると、起動信号または停止信号が制御装置40を介して消火剤供給部21に送信される。
【0073】
バルブ22は、各放出口の近傍にそれぞれ配置され、制御装置40の制御によって放出口の開閉を実行するものである。具体的には、制御装置40から開放信号を受信すると、バルブ22を開放して消火剤の放出が可能な状態にする一方、制御装置40から閉鎖信号を受信すると、バルブ22を閉鎖して消火剤の放出が不可能な状態にする。
【0074】
火災検知器10は、トンネル内の複数の区画ごとに配置され、火災の発生を検知するものであり、具体的には、火災の発生を検知すると、制御装置40に対して火災信号を送信する。空調ファン11は、トンネル内の複数の区画ごとに配置され、トンネル内の空気をトンネル外に排気するものであり、具体的には、制御装置40から起動信号を受信すると、排気を開始する一方、制御装置40から停止信号を受信すると、排気を停止する。
【0075】
制御装置40は、所定の機器(消火剤供給部21、バルブ22、火災検知器10、空調ファン11および消火栓25)を配線1を介して制御するものである。具体的には、消火剤供給部21に対して起動信号または停止信号を送信し、バルブ22に対して開放信号または閉鎖信号を送信し、火災検知器10から火災信号を受信し、空調ファン11に対して起動信号または停止信号を送信し、消火栓25から起動信号または停止信号を受信することによって、各機器を制御する。
【0076】
[トンネル内消火システムによる消火処理の基本的な手順]
次に、図1に示したトンネル内消火システムによる消火処理の基本的な手順について説明する。図2は、本実施の形態に係るトンネル内消火システムによる消火処理の手順を示すフローチャートである。
【0077】
このトンネル内消火システムは、火災が発生していない定常状態において、各バルブ22は閉鎖状態にあり、消火剤供給部21は停止状態にあるが、空調ファン11は運転状態にある。そして、トンネル内消火システムは、図2に示すように、定常状態において火災の発生を監視する(ステップS201)。
【0078】
かかる定常状態において、制御装置40は、いずれかの区画に配置された火災検知器10から火災信号を受信した場合、または消火栓25から起動信号を受信した場合に、火災が発生したものと判定して(ステップS201)、消火を開始するための処理、すなわち空調ファン11の停止、バルブ22の開放、消火剤供給部21の起動をそれぞれ実行する(ステップS202)。
【0079】
具体的には、制御装置40は、空調ファン11に停止信号を送信し、また、火災が検知された区画および当該区画に隣接する区画(若しくは全ての区画)にそれぞれ配置された噴霧ヘッド23および消火ロボット24に隣接する各バルブ22に開放信号を送信し、さらに、消火剤供給部21に起動信号を送信する。なお、消火栓25においては、作業員により開放レバー25bが操作されることによって、バルブ22に開放信号が送信される。
【0080】
そして、停止信号を受信した空調ファン11は、消火剤による消火効果を高めるために排気処理を停止し、また、開放信号を受信した各バルブ22はそれぞれ開放され、さらに、起動信号を受信した消火剤供給部21は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を配管2を介して各放出口に供給する処理を開始する。
【0081】
このように、制御装置40によって空調ファン11の停止、バルブ22の開放、消火剤供給部21の起動がそれぞれ実行されることによって、トンネル内消火システムは消火処理を開始し、消火処理を実行する(ステップS203)。すなわち、噴霧ヘッド23、消火ロボット24および消火栓25から継続的に消火剤が放出されることとなる。
【0082】
かかる消火剤の放出によって火災が消火されると、制御装置40は、消火を終了するための処理、すなわちバルブ22の閉鎖、消火剤供給部21の停止をそれぞれ実行する(ステップS204)。
【0083】
具体的には、制御装置40は、消火開始処理によって開放された各バルブ22に閉鎖信号を送信し、また、消火剤供給部21に停止信号を送信する。なお、消火栓25においては、作業員により開放レバー25bが操作されることによって、バルブ22に閉鎖信号が送信される。
【0084】
そして、閉鎖信号を受信したバルブ22はそれぞれ閉鎖され、また、停止信号を受信した消火剤供給部21は、消火剤の供給を停止する。このように、制御装置40によってバルブ22の閉鎖、消火剤供給部21の停止がそれぞれ実行されることによって、トンネル内消火システムは消火処理を終了する。すなわち、噴霧ヘッド23、消火ロボット24および消火栓25からの消火剤の放出が停止される。
【0085】
[トンネル内消火システムの特徴および特徴的構成]
次に、図1に示したトンネル内消火システムの特徴について説明する。このトンネル内消火システムの特徴としては、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと呼ばれるフッ素系化学物質を消火剤として用いる点(特徴1)、消火剤を放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する点(特徴2)、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持する点(特徴3)、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤をトンネル内に放出する点(特徴4)がある。以下に、これらの特徴および当該特徴に係る構成について具体的に説明する。
【0086】
(特徴1)
まず最初に、上記した特徴1について説明する。この特徴1は、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン(以下、単に「本消火剤」という)を消火剤として用いる点にある。
【0087】
具体的に説明すると、本消火剤は、CF3CF2C(O)CF(CF32という示性式で表され、図3(a)に示すような構造式を有し、同図(b)に示すような物性を備えるフッ素系の化学物質である。すなわち、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近く、常温で液体の状態にあり(沸点が48℃)、絶縁性があり、放っておくと蒸発して痕跡が残らないといった物性を備える。
【0088】
そこで、本実施の形態に係るトンネル内消火システムにおいては、本消火剤を消火剤として用いることを特徴とし、これによって、水を消火剤として用いる場合よりも車両火災に対して大きな消火効果を得ることができ、また、泡薬剤を消火剤として用いる場合よりも放出後の事後処理を容易にすることができるようにしている。
【0089】
すなわち、本消火剤は、液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすため、水に比較して車両火災に対して大きな消火効果を得ることができるとともに、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、泡薬剤に比較して放出後の事後処理を容易にすることができる。なお、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近いという物性を備えるので、消火剤による環境への影響を低減することもできる。
【0090】
この特徴1に関連して、トンネル内消火システムは、以下のような特徴的な構成を備える。すなわち、図1に示すトンネル内消火システムは、消火剤タンク20に本消火剤を蓄え、これを放出口(噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25)から放出するが、消火剤タンク20から放出口に対して消火剤を供給する消火剤供給部21は、本消火剤の物性に対応した構成を備える。以下に、消火剤供給部21の具体的な構成について説明する。
【0091】
図4は、図1に示した消火剤供給部21の具体的な構成例を示す図である。この消火剤供給部21としては、図4に示すように、(a)加熱方式、(b)ポンプ加圧方式、(c)空気加圧方式、(d)水加圧方式、(e)重力落差方式などを採用することができる。以下に、それぞれの具体的な構成について説明する。
【0092】
図4(a)に示す加熱方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を加熱装置21aにより加熱(例えば、高周波誘導加熱、ヒーター加熱など)することによって、消火剤を気体状態にして放出口に供給するものである。なお、本方式は、本消火剤の沸点が低いこと(大きなエネルギーを消費することなく気体状態にできること)を利用したものであるが、放出口から消火剤を気体状態で放出する場合に有効であると考えられる。
【0093】
図4(b)に示すポンプ加圧方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤をポンプ21bにより吸引することによって、消火剤を液体状態で放出口に供給するものである。なお、本方式を採用する場合には、ポンプ21bの運動熱によって消火剤が気体状態にならぬよう、ポンプ21bを冷却する手段を設けることが望ましいと考えられる。
【0094】
図4(c)に示す空気加圧方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を空気コンプレッサ21cから供給される加圧空気により押し出すことによって、消火剤を液体状態で放出口に供給するものである。なお、ここでは、空気コンプレッサ21cにより加圧空気を供給する場合を示しているが、N2ガスやCO2ガスなどの気体を補填したガスボンベ、N2ガスなどの気体を発生させるガス発生器を用いて加圧空気を供給するものでもよい。
【0095】
図4(d)に示す水加圧方式は、消火剤タンク20に蓄えられた消火剤を水タンク(水などの液体を蓄えたタンク)からポンプ21dを介して供給される加圧水により押し出すことによって、消火剤を液体状態で放出口に供給するものである。なお、本方式は、本消火剤の比重が水よりも高いことを利用したものであるが、消火剤タンク20の消火剤が欠如した場合でも、水が消火剤として放出口から放出されることからも有効であると考えられる。
【0096】
図4(e)に示す重力落差方式は、消火剤タンク20の下方に開閉可能なバルブ21eを設け、重力落差を利用することによって消火剤を液体状態で放出口に供給するものである。なお、本方式を採用する場合には、重力落差を利用することができるよう、消火剤タンク20自体を放出口よりも高い位置に設置する必要がある。
【0097】
(特徴2)
次に、上記した特徴2について説明する。この特徴2は、消火剤を放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する点にある。
【0098】
具体的に説明すると、本消火剤は、図3(b)に示したように、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、トンネル内の温度や気圧の変化に左右されて、液体状態として放出口(噴霧ヘッド23、消火ロボット24、消火栓25)から放出されたり、気体状態として放出口から放出されるおそれがある。このように、放出口から放出される消火剤の状態をコントロールできなくなってしまうと、トンネル内の火災を効果的に消火することが困難になる。
【0099】
そこで、本実施の形態に係るトンネル内消火システムにおいては、本消火剤を放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整することを特徴とし、これによって、放出口から放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することができるようにしている。
【0100】
この特徴2に関連して、トンネル内消火システムは、以下のような特徴的な構成を備える。すなわち、図1に示すトンネル内消火システムは、制御装置40からの指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する状態調整手段としての状態調整部27と、消火剤を放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを状態調整部27に指示する状態指示手段としての制御装置40とを備える。以下、かかる制御装置40および状態調整部27についてそれぞれ具体的に説明する。
【0101】
制御装置40は、消火剤を液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する。これは、放出口から放出される消火剤の状態をコントロールすることができるようにするためであり、具体的には、消火剤の冷却作用による消火を期待する場合には、消火剤を液体状態で放出し、消火剤の窒息作用による消火を期待する場合には、消火剤を気体状態で放出することなどが考えられる。
【0102】
なお、本消火剤は低沸点であり、液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすので、この冷却作用および窒息作用によって車両火災に対して大きな消火効果を得ることができるように、常に消火剤が液体状態で放出されるよう指示することもできる。
【0103】
また、制御装置40は、各放出口から消火剤が放出される際に指示をおこなう。すなわち、図1に示すように、状態調整部27は複数の区画ごとに各放出口の近傍に配置され、放出口から放出される消火剤の状態を調整する。これは、消火剤の状態が消火剤タンク20から放出口まで運ばれてくる段階で変化するおそれがあるところ、各放出口の近傍で(放出口から消火剤が放出される際に)状態を調整することによって、放出口から放出される消火剤の状態を確実にコントロールすることができるようにするためである。
【0104】
また、制御装置40は、各状態調整部27に対して同一または異なる状態指示信号を送信する。すなわち、各状態調整部27に対して同一の状態指示信号を送信するだけでなく、異なる状態指示信号を送信することもできる。これは、例えば、火災が検知された区画に対しては消火剤を液体状態で放出し、当該区画に隣接する区画に対しては消火剤を気体状態で放出するなど、各区画の火災状況に応じた多種多様な消火処理を実現することができるようにするためである。
【0105】
また、制御装置40は、図2に示した消火開始処理および消火処理(ステップS202およびS203)の一つとして状態指示信号を送信する。すなわち、消火開始処理に際して状態指示信号を送信するだけでなく、消火処理の最中に状態指示信号を送信することもできる。これは、例えば、消火処理の初期段階では消火剤を液体状態で放出し、その後に消火剤を気体状態で放出するなど、火災発生からの時間経過に応じた多種多様な消火処理を実現することができるようにするためである。なお、制御装置40は、図2に示した消火終了処理(ステップS204)の一つとして、状態調整を終了すべき旨を状態調整部27に指示する。
【0106】
このように、制御装置40は各状態調整部27に対して状態指示信号を送信するが、消火栓25の近傍に配置された状態調整部27については、図1に示すように、制御装置40からの状態指示信号ではなく、消火栓25に設けられた状態指示スイッチ25eからの状態指示信号に基づいて消火剤の状態を調整する。これは、消火活動をおこなっている作業員の意図にしたがって、消火剤の状態を調整することができるようにするためである。なお、状態調整を終了すべき旨の指示も、消火栓25に設けられた状態指示スイッチ25eの操作によっておこなわれる。
【0107】
状態調整部27は、制御装置40からの指示に応じて消火剤が液体または気体状態で放出されるよう消火剤の状態を調整する。本消火剤の沸点は、上記したように48℃であるので、状態調整部27によって消火剤の状態を調整する方式としては、消火剤の温度を調整する方式や、消火剤の圧力を調整する方式を採用することができる。
【0108】
すなわち、消火剤の温度が48℃未満になるように消火剤を冷却することによって、消火剤を液体状態で放出する方式、消火剤の温度が48℃以上になるように消火剤を加熱することによって、消火剤を気体状態で放出する方式、消火剤の温度が変化しても沸点が消火剤の温度以上になるように消火剤を加圧することによって、消火剤を液体状態で放出する方式、消火剤の温度が変化しても沸点が消火剤の温度未満になるように消火剤を減圧することによって、消火剤を気体状態で放出する方式などを採用することができる。
【0109】
ここで、かかる状態調整部27の具体的な構成例について説明する。図6は、図1に示した状態調整部27の具体的な構成例を示す図である。例えば、図6(a)に示すように、放出口の近傍の配管2に加熱装置27aを配置し、この加熱装置27aによって、消火剤タンク20から供給される液体状態の消火剤を加熱すれば、消火剤を気体状態で放出することができ、一方、加熱装置27aによる加熱を停止すれば、消火剤を液体状態で放出することができる。
【0110】
また、図6(b)に示すように、放出口の近傍の配管2に減圧装置27bを配置し、この減圧装置27bによって、消火剤タンク20から供給される液体状態の消火剤を減圧すれば、消火剤を気体状態で放出することができ、一方、減圧装置27bによる減圧を停止すれば、消火剤を液体状態で放出することができる。
【0111】
なお、図6(a)および(b)では、消火剤タンク20から消火剤が液体状態で供給されることを前提に説明し、加熱の停止や減圧の停止といった簡単な処理によって消火剤を液体状態で放出することとしたが、これを確実に実現するためには、図6(c)に示すように、消火剤が通過する配管2について、二重構造などの冷却構造や加圧構造を採用することによって、消火剤タンク20から消火剤が確実に液体状態で供給されるようにすることが望ましい。
【0112】
また、図6(d)に示すように、消火剤タンク20から消火剤が液体状態または気体状態のいずれかで供給されても対応できるように、消火剤を確実に気体状態にする加熱装置27aまたは減圧装置27bと、消火剤を確実に液体状態にする冷却装置27cまたは加圧装置27dとを併設するといった方式を採用することもできる。
【0113】
このように、状態調整部27の具体的な構成例として、複数の構成例を挙げることができるが、放出口が設置される環境の気温や気圧など、消火剤の状態に影響を与える要因を考察して最適な構成例を採用することが望まれる。例えば、気温の高い熱帯では、消火剤が常に気体状態で放出されるようなことにならないように、図6(c)または(d)に示した方式を採用することが望ましいと考えられる。
【0114】
(特徴3)
次に、上記した特徴3について説明する。この特徴3は、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持する点にある。
【0115】
具体的に説明すると、本消火剤は、図3(b)に示したように、沸点が常温帯域の近傍の48℃と低沸点であるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、消火剤タンク20に蓄えられている段階で気体状態になるおそれがある。このように、消火剤が貯蔵段階で気体状態になってしまうと、消火剤タンク20に過度な圧力がかかって事故を誘発するだけでなく、消火剤タンク20による消火剤の貯蔵効率も低下することとなる。
【0116】
そこで、本実施の形態に係るトンネル内消火システムにおいては、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持することを特徴とし、これによって、消火剤を常に液体状態で貯蔵して、消火剤タンク20に過度な圧力がかかることによる事故の誘発を防止するとともに、消火剤タンク20による貯蔵効率の低下を防止することができるようにしている。
【0117】
この特徴3に関連して、トンネル内消火システムは、図1に示すように、消火剤タンク20が消火剤を液体状態で蓄えるよう消火剤の状態を維持する状態維持手段としての状態維持部26を備える。
【0118】
そして、本消火剤の沸点は、上記したように48℃であるので、状態維持部26によって消火剤を液体状態に維持する方式としては、上記した状態調整部27と同様、消火剤の温度が48℃以下になるように消火剤の温度を調整する方式や、消火剤の温度が48℃以上になっても沸点がこれ以上になるように消火剤の圧力を調整する方式を採用することができる。
【0119】
ここで、状態維持部26の具体的な構成例について説明する。図5は、図1に示した状態維持部の具体的な構成例を示す図である。例えば、図5(a)に示すように、消火剤タンク20を二重構造にして、空気26aを補填し、この空気26aにより消火剤を冷却することによって、消火剤の温度が48℃以下になるように消火剤の温度を調整することができる。
【0120】
また、これと同様に、図5(b)および(c)に示すように、冷却剤26bまたは断熱材26cにより消火剤を冷却することによって、消火剤の温度が48℃以下になるように消火剤の温度を調整することができる。
【0121】
さらに、図5(d)に示すように、消火剤タンク20に加圧空気26dを補填し、この加圧空気26dにより消火剤の圧力を加圧することによって、沸点が消火剤の温度以上になるように消火剤の圧力を調整することができる。
【0122】
このように、状態維持部26の具体的な構成例として、複数の構成例を挙げることができるが、上記した状態調整部27と同様、消火剤タンク20が設置される環境の気温や気圧など、消火剤の状態に影響を与える要因を考察して最適な構成例を採用することが望まれる。例えば、気温の低い寒冷地帯では、図5(a)に示した空気26aによる冷却方式を採用することで十分であるが、気温の高い熱帯では、図5(b)に示した冷却剤26bによる冷却方式を採用することが望ましいと考えられる。
【0123】
(特徴4)
次に、上記した特徴4について説明する。この特徴4は、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤をトンネル内に放出する点にある。
【0124】
具体的に説明すると、本消火剤は、図3(b)に示したように、炎に触れるとHF(フッ化水素)という毒性の生成物を発生させる可能性があるため、これを単純に消火剤として用いたのでは、フッ化水素によって人体に害を及ぼしてしまうおそれがある。
【0125】
そこで、本実施の形態に係るトンネル内消火システムにおいては、本消火剤が炎に触れることによって発生するフッ化水素を中和するための中和剤をトンネル内に放出することを特徴とし、これによって、フッ化水素による人体への悪影響を除去することができるようにしている。
【0126】
この特徴4に関連して、トンネル内消火システムは、図1に示すように、所定の場所に設置されて中和剤を蓄えた中和剤タンク30と、トンネル内の複数の区画ごとに配置され、配管2を介して消火剤タンク20から供給される中和剤をトンネル内に放出する中和剤ヘッド33と、中和剤タンク30に付属して設置され、制御装置40の制御(起動信号および停止信号)によって、中和剤タンク30に蓄えられた中和剤を配管2を介して中和剤ヘッド33に対して供給する中和剤供給部31と、各中和剤ヘッド33の近傍にそれぞれ配置され、制御装置40の制御(開放信号および閉鎖信号)によって放出口の開閉を実行するバルブ32とを有する。
【0127】
そして、トンネル内消火システムは、上記の構成によって、図2に示した消火終了処理(ステップS204)の一つとして中和処理を実行する。具体的には、制御装置40は、消火剤が放出された区画および当該区画に隣接する区画(若しくは全ての区画)にそれぞれ配置された中和剤ヘッド33に隣接する各バルブ32に対して開放信号を送信することによって、バルブ32をそれぞれ開放するとともに、中和剤供給部31に対して起動信号を送信することによって、中和剤タンク30に蓄えられた中和剤を配管2を介して各中和剤ヘッド33に対して供給する。これによって、中和剤ヘッド33からトンネル内に中和剤が放出され、フッ化水素が中和される。
【0128】
そして、中和が終了すると、制御装置40は、開放された各バルブ32に対して閉鎖信号を送信することによって、バルブ32をそれぞれ閉鎖するとともに、中和剤供給部31に対して停止信号を送信することによって、中和剤の供給を停止させる。これによって、中和剤ヘッド33からの中和剤の放出が停止される。
【0129】
なお、中和剤としては、Ca(OH)2の化学式で表される消石灰スラリー、NH3の化学式で表されるアンモニアなど、フッ化水素を中和するあらゆる化学物質を採用することができる。
【0130】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてもよいものである。
【0131】
例えば、本実施の形態では、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを消火剤として用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを主成分として含んだものを消火剤として用いる場合にも同様に適用することができる。
【0132】
また、本実施の形態では、消火剤としてドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンという化学物質を用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、常温の帯域では液体状態であって当該常温の近傍帯域では気体状態であるなど、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと同様の物性を有する化学物質(例えば、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンと同じくフルオリネィティドケトンに属する化学物質、C49OCH3やC49OC25など、ハイドロフルオロエーテルに属する化学物質)を消火剤として用いる場合にも同様に適用することができる。
【0133】
また、本実施の形態では、状態調整部27を複数の区画ごとに各放出口の近傍に配置する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、状態調整部27を消火剤タンク20の近傍に配置し、消火剤タンク20から消火剤が供給される際に、消火剤の状態を調整する場合にも同様に適用することができる。この場合には、放出口ごとに消火剤を異なる状態で放出したりすることはできないが、消火剤の放出に際して各放出口で消火剤の状態を調整する態様に比較して簡便な態様で、各放出口から同様の状態の消火剤を放出することができる点で有効と考えられる。
【0134】
また、本実施の形態では、消火剤を放出する放出口として、噴霧ヘッド23、消火ロボット24および消火栓25を用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、スプリンクラヘッドなど、消火剤の放出が可能な機構を有するあらゆる消火用機器を用いる場合にも同様に適用することができる。
【0135】
また、本実施の形態では、消火処理の終了段階で中和剤を放出する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、あらかじめ消火剤と中和剤を混合して放出するなど、消火処理のあらゆる段階で中和剤を放出する場合にも同様に適用することができる。
【0136】
また、本実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0137】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具合的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0138】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、消火剤を放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示し、この指示に応じて消火剤が放出口から液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する。したがって、放出口から放出される消火剤、すなわち常温の帯域では液体状態であって当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤(例えば、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能になる。したがって、消火剤が液体状態から急速に気体状態になるところ、急速に熱を奪うことによる冷却作用および気体として燃焼物を覆うことによる窒息作用をもたらすため、水に比較して車両火災に対して大きな消火効果を得ることが可能になるとともに、放出後には蒸発して痕跡が残らないため、泡薬剤に比較して放出後の事後処理を容易にすることが可能になる。
【0139】
また、請求項2の発明によれば、消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤をトンネル内に放出する。したがって、人体に有害な生成物を中和して、生成物による人体への悪影響を除去することが可能になる。
【0140】
また、請求項3の発明によれば、トンネル内で火災が発生した場合に、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備える消火剤を放出口から放出することによって消火をおこなう。
【0141】
また、請求項4の発明によれば、フルオリネィティドケトンまたはハイドロフルオロエーテルを主成分とする消火剤をスプリンクラヘッドから放出することによって消火をおこなう。このフルオリネィティドケトンまたはハイドロフルオロエーテルは、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備えるので、これを消火剤として用いることによって、請求項3に記載された効果と同様の効果が得られる。
【0142】
また、請求項5の発明によれば、トンネル内で火災が発生した場合に、CF CF C(O)CF(CF 、C OCH またはC OC を主成分とする消火剤を放出口から放出することによって消火をおこなう。例えば、このCF CF C(O)CF(CF の示性式で表されるドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンは、ODP(オゾン層破壊係数)が0であり、GWP(地球温暖化係数)が1に近く、常温で液体の状態にあり(沸点が48℃)、絶縁性があり、放っておくと蒸発して痕跡が残らないといった物性を備えるフッ素系の化学物質である。したがって、これを消火剤として用いることによって、水を消火剤として用いる場合よりも車両火災に対して大きな消火効果を得ることが可能になり、また、泡薬剤を消火剤として用いる場合よりも放出後の事後処理を容易にすることが可能になり、さらに、消火剤による環境への影響を低減することも可能になる。なお、C OCH またはC OC を主成分とする消火剤を用いた場合も、同様の効果が得られる。
【0143】
また、請求項6の発明によれば、消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を冷却することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を加熱することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0144】
また、請求項7の発明によれば、消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤を加圧することによって消火剤を液体状態で放出し、消火剤を減圧することによって消火剤を気体状態で放出するという簡便な原理を採用して、消火剤の状態を調整することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0145】
また、請求項8の発明によれば、消火剤タンクの近傍にて、消火剤タンクから放出口に対して消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤の放出に際して各放出口で消火剤の状態を調整する態様に比較して簡便な態様で、各放出口から同様の状態の消火剤を放出することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0146】
また、請求項9の発明によれば、放出口の近傍にて、当該放出口から消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整する。したがって、消火剤が消火剤タンクから放出口まで運ばれてくる段階で消火剤の状態が変化したような場合でも、放出口から放出される消火剤の状態を確実にコントロールすることが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0147】
また、請求項10の発明によれば、複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与える。したがって、例えば、火災が検知された区画に対しては消火剤を液体状態で放出し、当該区画に隣接する区画に対しては消火剤を気体状態で放出するなど、各区画の火災状況に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0148】
また、請求項11の発明によれば、火災が発生してからの時間経過に応じて、消火剤を液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する。したがって、例えば、消火処理の初期段階では消火剤を液体状態で放出し、その後に消火剤を気体状態で放出するなど、火災発生からの時間経過に応じた多種多様な消火処理を実現することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0149】
また、請求項12の発明によれば、消火剤タンクが消火剤を液体状態で蓄えるよう当該消火剤の状態を維持する。したがって、消火剤を常に液体状態で貯蔵して、消火剤タンクに過度な圧力がかかることによる事故の誘発を防止することが可能になるとともに、消火剤タンクによる貯蔵効率の低下を防止することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0150】
また、請求項13の発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を加熱することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤を加熱するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。また、消火剤を気体状態にして放出口に供給するため、簡便な構成によって消火剤を気体状態で放出することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0151】
また、請求項14の発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤をポンプで加圧することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤をポンプで加圧するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0152】
また、請求項15の発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の気体で加圧することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤を気体で加圧するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0153】
また、請求項16の発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の液体で加圧することによって消火剤の供給をおこなう。したがって、消火剤を液体で加圧するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0154】
また、請求項17の発明によれば、消火剤タンクに蓄えられた消火剤を重力落差によって供給する。したがって、重力落差を利用するという簡便な原理を採用して、消火剤タンクから消火剤を供給することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0155】
また、請求項18の発明によれば、噴霧ヘッドからトンネル内に消火剤を放出する。したがって、噴霧ヘッドから放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0156】
また、請求項19の発明によれば、スプリンクラヘッドからトンネル内に消火剤を放出する。したがって、スプリンクラヘッドから放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0157】
また、請求項20の発明によれば、消火栓の一部からトンネル内に消火剤を放出する。したがって、消火栓の一部から放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【0158】
また、請求項21の発明によれば、放出方向の調整が可能な消火ロボットの一部からトンネル内に消火剤を放出する。したがって、消火ロボットの一部から放出される消火剤の状態をコントロールして、トンネル内の火災を効果的に消火することが可能なトンネル内消火システムが得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るトンネル内消火システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本実施の形態に係るトンネル内消火システムによる消火処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態に係るトンネル内消火システムに用いられる消火剤を説明するための説明図である。
【図4】図1に示した消火剤供給部の具体的な構成例を示す図である。
【図5】図1に示した状態維持部の具体的な構成例を示す図である。
【図6】図1に示した状態調整部の具体的な構成例を示す図である。
【図7】従来技術に係るトンネル内消火システムの一般的な構成を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
1 配線
2 配管
10 火災検知器
11 空調ファン
20 消火剤タンク
21 消火剤供給部
22、32 バルブ
23 噴霧ヘッド
24 消火ロボット
25 消火栓
26 状態維持部
27 状態調整部
30 中和剤タンク
31 中和剤供給部
33 中和剤ヘッド
40 制御装置

Claims (21)

  1. トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、前記消火剤をトンネル内に放出する放出口と、前記消火剤タンクに蓄えられた前記消火剤を前記放出口に対して供給する供給手段とを有し、トンネル内で火災が発生した場合に、前記放出口から前記消火剤を放出することによって消火をおこなうトンネル内消火システムであって、
    前記消火剤を前記放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示する状態指示手段と、
    前記状態指示手段による指示に応じて前記消火剤が前記放出口から液体または気体状態で放出されるよう当該消火剤の状態を調整する状態調整手段と、
    を備えたことを特徴とするトンネル内消火システム。
  2. トンネル内の火災を消火する所定の消火剤を蓄えた消火剤タンクと、前記消火剤をトンネル内に放出する放出口と、前記消火剤タンクに蓄えられた前記消火剤を前記放出口に対して供給する供給手段とを有し、トンネル内で火災が発生した場合に、前記放出口から前記消火剤を放出することによって消火をおこなうトンネル内消火システムであって、
    前記消火剤が加熱されることによって発生する生成物を中和するための中和剤を前記トンネル内に放出する中和手段、
    を備えたことを特徴とするトンネル内消火システム。
  3. 前記消火剤は、常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるという物性を備えるものであり、
    前記常温の近傍帯域は、前記常温以外の温度帯域であって、前記消火剤の沸点を含む帯域であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル内消火システム。
  4. 前記消火剤は、フルオリネィティドケトンまたはハイドロフルオロエーテルを主成分とするものであって、前記常温の帯域では液体状態であって、当該常温の近傍帯域では気体状態であるものであること、
    を特徴とする請求項3に記載のトンネル内消火システム。
  5. 前記消火剤は、CF CF C(O)CF(CF 、C OCH またはC OC を主成分とするものであること、
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  6. 前記状態調整手段は、前記消火剤を冷却または加熱することによって当該消火剤の状態を調整すること、
    を特徴とする請求項1に記載のトンネル内消火システム。
  7. 前記状態調整手段は、前記消火剤を加圧または減圧することによって当該消火剤の状態を調整すること、
    を特徴とする請求項1に記載のトンネル内消火システム。
  8. 前記状態調整手段は、前記消火剤タンクの近傍に配置され、当該消火剤タンクから前記放出口に対して前記消火剤が供給される際に、当該消火剤の状態を調整すること、
    を特徴とする請求項1、6、又は7に記載のトンネル内消火システム。
  9. 前記状態調整手段は、前記放出口の近傍に配置され、当該放出口から前記消火剤が放出される際に、当該消火剤の状態を調整すること、
    を特徴とする請求項1、6、又は7に記載のトンネル内消火システム。
  10. 前記放出口および状態調整手段は、トンネル内の複数の区画ごとに対応づけて配置されるものであって、前記状態指示手段は、前記複数の区画ごとに配置される各状態調整手段に対して同一または異なる指示を与えること、
    を特徴とする請求項9に記載のトンネル内消火システム。
  11. 前記状態指示手段は、前記火災が発生してからの時間経過に応じて、前記消火剤を前記放出口から液体状態で放出するかまたは気体状態で放出するかを指示すること、
    を特徴とする請求項1、6〜10のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  12. 前記消火剤タンクが前記消火剤を液体状態で蓄えるよう当該消火剤の状態を維持する状態維持手段をさらに備えたこと、
    を特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  13. 前記供給手段は、前記消火タンクに蓄えられた消火剤を加熱すること、
    を特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  14. 前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤をポンプで加圧すること、
    を特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  15. 前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の気体で加圧すること、
    を特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  16. 前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を当該消火剤とは異なる物性の液体である水で加圧すること、
    を特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  17. 前記供給手段は、前記消火剤タンクに蓄えられた消火剤を重力落差によって前記放出口に対して供給すること、
    を特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  18. 前記放出口は、噴霧ヘッドとして形成されること、
    を特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  19. 前記放出口は、スプリンクラヘッドとして形成されること、
    を特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  20. 前記放出口は、消火栓の一部として形成されること、
    を特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
  21. 前記放出口は、放出方向の調整が可能な消火ロボットの一部として形成されること、
    を特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載のトンネル内消火システム。
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