JP3905274B2 - 光重合性組成物及びそれを用いた記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外光のみならず可視光〜赤外光を用いても容易に記録を行うことができ、平板印刷、樹脂凸版、フォトレジスト等をはじめとする広い分野で好適に使用できる光重合性組成物、及びこれを用いた記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
光重合性組成物は、基本的には、光重合開始剤と、分子中にエチレン性不飽和結合を2個以上有する付加重合可能な化合物(「多官能性モノマー」)を含み、光が照射されると硬化し、粘着性が変化したり、溶剤に不溶化したりするものである。この様な性質を有することから、光重合性組成物は、従来、写真、印刷、金属表面加工、インキ等の分野に広く利用されている。
【0003】
近年、光重合性組成物の前記性質を利用した画像形成も盛んであり、例えば、該光重合性組成物を内包するマイクロカプセル(感光性マイクロカプセル)を利用した画像形成システムが提案されている。また、近年、前記光重合性組成物を可視光領域にまで分光増感し、レーザーを光源としてデジタル画像を形成する試み(日本写真学会誌49巻5号210頁(1986)等)や、フルカラー感光材料への応用も検討されている(特開昭59−189340号公報等)。更に、有機カチオン性色素の有機硼素アニオン塩を用いた新規な光重合性組成物も提案されている(ヨーロッパ特許第223,587A1号明細書等)。
【0004】
しかしながら、これらの光重合性組成物の場合、紫外光には感光するが可視光〜赤外光には感光しない、あるいは感光してもその感度が十分でない場合がある。それ故、これらの光重合性組成物を記録材料に用いると、高感度に画像形成を行うことができない等の問題がある。一方、画像形成を行う際、紫外光、短波可視光のみならず、安価な赤外レーザー、緑〜赤色光を利用できれば有利である。また、前記記録材料を用いたカラープルーフ方式としては、オーバーレイ方式、サープリント方式、カラーペーパー方式等が知られているが、これらの方式の場合、廃棄物が発生する、明室での取扱いが困難である、現像液を使う現像システムが必要である等の問題があり、廃棄物の発生等がない、完全ドライの方式が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、紫外光のみならず可視光〜赤外光に高感度に感光し得る、平板印刷、樹脂凸版、フォトレジスト等をはじめとする広い分野に使用可能な光重合性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記光重合性組成物を用いることにより、不要な廃棄物の発生がなく、完全ドライの画像を容易に形成し得る記録材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 重合可能な化合物と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物とを含有する光重合性組成物。
【0010】
【化6】
【0011】
一般式(2)中、Q3は2価の連結基または単結合を表し、Z1およびZ2は、各々独立して、5または6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、R1およびR2は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、−COR’、−COOR’、−CONR’R''、−SO2R’または複素環基を表し、R’およびR''は各々独立して、水素原子、アルキル基、または複素環基を表し、L1〜L8は各々独立してメチン基を表し、Y1は−NR3またはカルコゲン原子を表し、Y2はNR4またはカルコゲン原子を表し、R3およびR4は、各々独立して、アルキル基またはアリール基を表す。n1は0〜4の整数を表し、n2は0〜4の整数を表し、p1は0または1を表し、p2は0または1を表す。M2は電荷均衡対イオンを表し、m2は分子の電荷を中和するのに必要な0〜10の数を表す。
【0012】
【化7】
【0013】
一般式(3)中、Q4は2価の連結基または単結合を表し、Z3およびZ4は、各々独立して、酸性核を形成するのに必要な原子群を表し、R7およびR8は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、−COR’、−COOR’、−CONR’R''、−SO2R’または複素環基を表し、R’およびR''は各々独立して、水素原子、アルキル基、または複素環基を表し、L9〜L14は各々独立してメチン基を表す。n3は0〜4の整数を表し、n4は0〜4の整数を表し、M3は電荷均衡対イオンを表し、m3は分子の電荷を中和するのに必要な0〜10の数を表す。
【0014】
<2> エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物と、ラジカル発生剤とを含有する<1>に記載の光重合性組成物。
<3> ラジカル発生剤が下記一般式(4)で表される有機ホウ素化合物アニオンを少なくとも含有する<2>に記載の光重合性組成物。
【0015】
【化8】
【0016】
一般式(4)中、Ra 1 、Ra 2 、Ra 3 及びRa 4 は、各々独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、及びこれらの誘導体から選択されるいずれかの基を表し、これらの内の2個以上が直接又は置換基を介して連結して含硼素ヘテロ環を形成していてもよい。M4は電荷均衡対イオンを表し、m4は分子の電荷を中和するのに必要な0〜10の数を表す。
【0017】
<4> 支持体上に記録層を有してなる記録材料であって、前記記録層が、発色成分を内包するマイクロカプセルと、<1>から<3>までのいずれかに記載の光重合性組成物とを少なくとも含有し、重合可能な化合物が、前記発色成分と反応して、前記発色成分を発色させる部位を有する記録材料。
<5> 支持体上に記録層を有してなる記録材料であって、前記記録層が、発色成分を内包するマイクロカプセルと、前記発色成分と反応して、前記発色成分を発色させる発色化合物と、<1>から<3>までのいずれかに記載の光重合性組成物とを少なくとも含有し、重合可能な化合物が、前記発色成分と前記発色化合物との反応を抑制する部位を有する記録材料。
<6> 中心波長λ1の光に感光する第1の記録層、中心波長λ2の光に感光し第1の記録層と異なる色に発色する第2の記録層、・・・、中心波長λiの光に感光し第1、第2、・・・、及び第i−1の記録層と異なる色に発色する第iの記録層の順に積層された多層構造を有する<4>または<5>に記載の記録材料。
【0018】
前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物はビス型の色素であるので、モノ型の色素と比較して、高い分光増感機能を有する。また、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物を含有する光重合性組成物は、吸収がシャープであり、モル吸光係数が大きく、高感度化の点で好ましい。従って、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物を含有する本発明の光重合性組成物の感度は向上し、紫外光のみならず可視光〜赤外光にも高い感光性を有する。また、本発明の記録材料は、本発明の光重合性組成物を記録層中に含有しているので、紫外光のみならず可視光〜赤外光による画像書き込みによって、完全ドライ方式により画像を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光重合性組成物及び記録材料について詳述する。
本発明の光重合性組成物は、少なくとも、重合可能な化合物と、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物とを含有する。該化合物は、所望の波長の光を照射すると、重合可能な化合物の重合が開始する様に、光重合性組成物の感光波長を調整する分光増感色素として機能する。
【0020】
前記一般式(2)中、Q 3 は各々独立して、2価の連結基または単結合を表す。Q 3 は、2価の連結基を表すのが好ましい。Q 3 が表す2価の連結基は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のうち、少なくとも1種を含む原子又は原子団からなる基であるのが好ましい。具体的には、アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン)、アルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、アルキニレン基(例えば、エチニレン、プロオピニレン)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、−N(Ra)−(Raは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基を表す。)、複素環2価基(例えば、6−クロロ−1,3、5−トリアジン−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)を1つ、またはそれ以上組み合わせて構成される2価の連結基が挙げられる。2価の連結基は、総炭素原子数1以上20以下であるのが好ましい。
【0021】
Q 3 が表す2価の連結基は、さらに置換されていてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1から10、好ましくは炭素原子数2から8、さらに好ましくは炭素原子数2から5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカルボニル)、炭素原子数0から10、好ましくは炭素原子数2から8、さらに好ましくは炭素原子数2から5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルホニル)、ニトロ基、炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2ーメトキシエトキシ、2ーフェニルエトキシ)、炭素原子数6から20、好ましくは炭素原子数6から12、さらに好ましくは炭素原子数6から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、
【0022】
炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数2から12、さらに好ましくは炭素原子数2から8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数2から12、さらに好ましくは炭素原子数2から8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数2から12、さらに好ましくは炭素原子数2から8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素1から20、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、炭素1から20、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素1から20、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から8のスルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなど)、
【0023】
アミノ基、炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数1から12、さらに好ましくは炭素原子数1から8の置換アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、炭素原子数0から15、好ましくは炭素原子数3から10、さらに好ましくは炭素原子数3から6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基)、炭素原子数0から15、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素原子数1から15、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から6のウレイド基(例えばウレイド基、N、Nージメチルウレイド基)、炭素原子数1から15、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数1から12、さらに好ましくは炭素原子数1から8のアルキルまたはアリールチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、カルボキシエチルチオ、スルホブチルチオ、フェニルチオなど)、炭素原子数2から20、好ましくは炭素原子数2から12、さらに好ましくは炭素原子数2から8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル)、炭素原子数6から20、好ましくは炭素原子数6から12、さらに好ましくは炭素原子数6から8のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、
【0024】
炭素原子数1から18、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から5の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素原子数1から18、好ましくは炭素原子数1から10、さらに好ましくは炭素原子数1から5の置換アルキル基(ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、また、ここでは好ましくは炭素原子数2から18、さらに好ましくは炭素原子数3から10、特に好ましくは炭素原子数3から5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基、1ーシクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする。)、炭素原子数6から20、好ましくは炭素原子数6から15、さらに好ましくは炭素原子数6から10の置換または無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3、5ージクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル)、
【0025】
炭素原子数1から20、好ましくは炭素原子数2から10、さらに好ましくは炭素原子数4から6の置換されていてもよいヘテロ環基(例えばピリジル、5ーメチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)が挙げられる。また、置換基に含まれるベンゼン環、ナフタレン環、およびアントラセン環等がさらに縮合した構造の基であってもよい。また、これらの置換基は、前記例示した置換基によって、さらに置換されていてもよい。
【0026】
Q 3 が表す2価の連結基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、スルホニル基、及びベンゼン環縮合環基が好ましく、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、スルホニル基、及びベンゼン環縮合環基がより好ましく、メチル基、フェニル基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、沃素原子、及びベンゼン環縮合環基が特に好ましい。最も好ましくは、フェニル基、塩素原子、臭素原子、沃素原子である。
【0029】
前記一般式(2)中、M 2 は電荷均衡対イオン、即ち、前記一般式(2)の化合物のイオン電荷を中性にするために必要な対イオンを表す。M 2 は陽イオンを表す場合もあり、陰イオンを表す場合もある。陽イオンとしては、水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンとしては、無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよい。
尚、本明細書においては、スルホ基をSO3 -と表記しているが、対イオンとして水素イオンを有する場合は、SO3Hと表記することも可能である。
【0030】
前記一般式(2)中、m 2 は前記一般式(2)で表される化合物の電荷を均衡させるのに必要な0〜10の数を表わし、好ましくは0〜4の数である。分子内で塩を形成する場合にはm 2 =0である。
【0033】
前記一般式(2)中、Z1およびZ2は、各々独立して、5または6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表す。前記5または6員の複素環のうち、含窒素複素環が好ましい。具体的には、チアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3、3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、ピロリン核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核を挙げることができる。中でも、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、チアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、ピロリン核、セレナゾール核、ベンズセルナゾール核、インドレニン核、および1,3−ジチオール核であるのが好ましく、オキサゾリン核、チアゾリン核、イミダゾリン核、イミダゾール核、ピロリン核、および1,3−ジチオール核であるのがより好ましく、チアゾリン核および1,3−ジチオール核であるのが特に好ましい。
【0034】
Z1およびZ2が表す5または6員環は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記一般式(2)のQ 3 が2価の連結基を表す場合に、例示した置換基と同様なものが挙げられ、好ましい例も同様である。
【0035】
前記一般式(2)中、R1およびR2は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、−COR’、−COOR’、−CONR’R''、−SO2R’または複素環基を表す。R1およびR2が表すアルキル基には、無置換のアルキル基および置換基を有するアルキル基が含まれる。R1およびR2が無置換のアルキル基を表す場合、炭素原子数1〜18の無置換アルキル基が好ましく、炭素原子数1〜7の無置換アルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)が特に好ましい。また、R1およびR2が置換基を有するアルキル基を表す場合、炭素原子1〜18の置換アルキル基が好ましく、炭素原子数1〜7の置換アルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4の置換アルキル基が特に好ましい。置換基としては、前記一般式(2)のQ 3 が2価の連結基を表す場合に、該連結基の置換基として例示したものが挙げられ、好ましい例も同様である。
【0036】
R1およびR2が表すアルキル基の好ましい例としては、アラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル)、不飽和炭化水素基(例えばアリル基)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2−フェノキシエチル、2−(1−ナフトキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボニルメチル、2−ベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3−フェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば2−アセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば2−モルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−〔3−スルホプロポキシ〕エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル)、スルホアルケニル基(例えば、スルホプロペニル基)、スルファトアルキル基(例えば、2ースルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、テトラヒドロフルフリル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル基)}が挙げられる。
【0037】
R1およびR2が表すアリール基には、無置換のアリール基および置換基を有するアリール基が含まれる。R1およびR2が無置換のアリール基を表す場合、炭素原子数6〜20の無置換のアリール基が好ましく、炭素原子数6〜10のアリール基がより好ましく、炭素原子数6〜8のアリール基が特に好ましい。具体的には、フェニル基、1−ナフチル基などが挙げられる。R1およびR2が置換基を有するアリール基を表す場合、炭素原子数6〜20の置換アリール基が好ましく、炭素原子数6〜10の置換アリール基がより好ましく、炭素原子数6〜8の置換アリール基がより好ましい。置換基としては、例えば、前記一般式(2)のQ 3 が2価の連結基を表す場合に、該連結基の置換基として例示した置換基が挙げられ、好ましい置換基も同様である。具体的には、p−メトキシフェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基などが挙げられる。
【0038】
R1およびR2が表す複素環基には、無置換の複素環基および置換基を有する複素環基が含まれる。R1およびR2が無置換の複素環基を表す場合、炭素原子数1〜20の無置換の複素環基が好ましく、炭素原子数3〜10の無置換の複素環基がより好ましく、炭素原子数4〜8の無置換の複素環基が特に好ましい。具体的には、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピラゾリル、3−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、2−チアゾリル、2−ピリダジル、2−ピリミジル、3−ピラジル、2−(1,3,5−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5ーテトラゾリルなどが挙げられる。R1およびR2が置換基を有する複素環基を表す場合、炭素原子数1〜20の置換複素環基が好ましく、炭素原子数3〜10の置換複素環基がより好ましく、炭素原子数4〜8の置換複素環基が特に好ましい。置換基としては、例えば、前記一般式(2)のQ 3 が2価の連結基を表す場合に、該連結基の置換基として例示した置換基が挙げられ、好ましい置換基も同様である。具体的には、5−メチル−2−チエニル基、4−メトキシ−2−ピリジル基などが挙げられる。
【0039】
R1およびR2が−COR’、−COOR’、−CONR’R''、または−SO2R’を表す場合、R’およびR''は各々独立して、水素原子、アルキル基、または複素環基を表す。R’およびR''が表すアルキル基および複素環基については、R1およびR2が表すアルキル基および複素環基と各々同義であり、好ましい例も同様である。
【0040】
中でも、R1およびR2としては、メチル、エチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、フェニル、2−ピリジル、2−チアゾリルが好ましく、エチル、2−スルホエチル、カルボキシメチル、フェニル、2−ピリジルがさらに好ましい。また、R1およびR2が互いに結合して、Q3と同様の2価の連結基を形成していてもよい。
【0041】
前記一般式(2)中、L1〜L8は各々独立してメチン基を表す。L1〜L8が表すメチン基は置換基を有していてもよい。L1、L2、L7、およびL8が置換基を有するメチン基を表す場合、置換基としては、前記一般式(2)のQ 3 が2価の連結基を表す場合に、該連結基の置換基として例示した置換基が挙げられる。L1、L2、L7、およびL8は無置換のメチン基を表すのが好ましい。
【0042】
L3〜L6が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基としては、例えば置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15、好ましくは炭素原子数1〜10、さらに好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基(例えばメチル、エチル、2ーカルボキシエチル)、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜20、好ましくは炭素原子数6〜15、さらに好ましくは炭素原子数6〜10のアリール基(例えばフェニル、o−カルボキシフェニル)、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜20、好ましくは炭素原子数4〜15、さらに好ましくは炭素原子数6〜10の複素環基(例えばN,N−、ジエチルバルビツール酸基)、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素、沃素)、炭素原子数1〜15、好ましくは炭素原子数1〜10、さらに好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、炭素原子数1〜15、好ましくは炭素原子数1〜10、さらに好ましくは炭素原子数1〜5のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ)、炭素原子数6〜20、好ましくは炭素原子数6〜15、さらに好ましくは炭素原子数6〜10のアリールチオ基(例えばフェニルチオ)、炭素原子数0〜15、好ましくは炭素原子数2〜10、さらに好ましくは炭素原子数4〜10のアミノ基(例えば、N,N−ジフェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−メチルピペラジノ)などが挙げられる。
【0043】
L1〜L8が表すメチン基は、他のメチン基と環を形成してもよく、あるいはZ1、Z2、R3(Y1が−NR3を表す場合)、およびR4(Y2が−NR4を表す場合)の各々とともに、環を形成していてもよい。
【0044】
前記一般式(2)中、Y1は−NR3またはカルコゲン原子を表し、Y2はNR4またはカルコゲン原子を表す。前記カルコゲン原子とは、酸素族元素の原子をいい、酸素、イオウ、セレン、テルル、およびボロニウムが含まれる。Y1およびY2がカルコゲン原子を表す場合、硫黄、セレンが好ましい。R3およびR4は、各々独立して、アルキル基またはアリール基を表す。R3およびR4が表すアルキル基としては、R1およびR2が表すアルキル基と同義であり、好ましい例も同様である。R3およびR4が表すアリール基としては、R1およびR2が表すアリール基と同義であり、好ましい例も同様である。R3およびR4は、メチル、エチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、カルボキシメチルであるのが好ましく、エチル、3−スルホプロピル、カルボキシメチルであるのがより好ましい。
【0045】
前記一般式(2)中、n1は0〜4の整数を表し、n2は0〜4の整数を表す。n1およびn2は、各々、0〜3の整数であるのが好ましく、0〜2の整数であるのがより好ましく、2であるのが特に好ましい。n1およびn2が2以上の場合、メチン基((L3=L4)および(L5=L6))が各々2以上繰り返されるが、2以上のメチン基((L3=L4)および(L5=L6))は同一であっても、異なっていてもよい。
【0046】
前記一般式(2)中、p1は0または1を表し、p2は0または1を表す。p1およびp2は好ましくは1である。
【0048】
前記一般式(3)中、Q4は2価の連結基または単結合を表す。中でも、Q4は2価の連結基を表すのが好ましい。Q4が表す2価の連結基としては、前記一般式(2)のQ 3 が表す2価の連結基と同義であり、好ましい例も同様である。
【0049】
前記一般式(3)中、Z3およびZ4は、各々独立して、酸性核を形成するのに必要な原子群を表す。ここでいう酸性核とは、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory ofthe Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、198貢により定義される。具体的には、米国特許第3,567,719号、第3,575,869号、第3,804,634号、第3,837,862号、第4,002,480号、第4,925,777号、特開平3−167546号等に記載されているものが挙げられる。
【0050】
Z3およびZ4が表す酸性核としては、炭素、窒素、およびカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる5員又は6員の含窒素複素環が好ましい。具体的には、2−ピラゾリン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソオキサゾリン−5−オン、2−チアゾリン−4−オン、チアゾリジン−4−オン、チアゾリジン−2,4−ジオン、ローダニン、チアゾリジン−2,4−ジチオン、イソローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリニウム、3−オキソインダゾリニウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6、ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クロマン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド〔1,2−a〕ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロ〔1,5−a〕ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリドン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−2,4−ジオン、3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ〔d〕チオフェンー1,1−ジオキサイド、3−ジシアノメチン−2,3−ジヒドロベンゾ〔d〕チオフェン−1,1−ジオキサイドの核が挙げられる。
【0051】
Z3およびZ4は、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2,4−ジオン、ローダニン、チアゾリジン−2,4−ジチオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸の酸性核であるのが好ましく、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン、5−オン、ローダニン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸であるのがより好ましく、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、ローダニン、2−チオバルビツール酸であるのが特に好ましい。
【0052】
前記一般式(3)中、R7およびR8は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、−COR’、−COOR’、−CONR’R''、−SO2R’または複素環基を表す。R7およびR8が表すアルキル基としては、前記一般式(2)中のR1およびR2が表すアルキル基と同義であり、好ましい例も同様である。R7およびR8が表すアリール基としては、前記一般式(2)中のR1およびR2が表すアリール基と同義であり、好ましい例も同様である。R7およびR8が表す複素環基としては、前記一般式(2)中のR1およびR2が表す複素環基と同義であり、好ましい例も同様である。また、R7およびR8が−COR’、−COOR’、−CONR’R''、または−SO2R’を表す場合、R’およびR''は各々独立して、水素原子、アルキル基、または複素環基を表す。R’およびR''が表すアルキル基または複素環基としては、前記一般式(2)中のR1およびR2が表すアルキル基および複素環基と各々同義であり、好ましい例も同様である。
【0053】
前記一般式(3)中、L9〜L14はメチン基を表す。L9〜L14が表すメチン基には、無置換のメチン基および置換基を有するメチン基が含まれる。L9〜L14が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基としては、前記一般式(2)のL3〜L6が表すメチン基が置換基を有する場合の置換基と同様のものが挙げられ、好ましい例も同様である。
【0054】
前記一般式(3)中、n3は0〜4の整数を表し、n4は0〜4の整数を表す。n3およびn4は、各々、0〜3の整数であるのが好ましく、0〜2の整数であるのがより好ましく、2であるのが特に好ましい。n3およびn4が2以上の場合、メチン基((L10=L11)および(L12=L13))が各々2以上繰り返されるが、2以上のメチン基((L10=L11)および(L12=L13))は同一であっても、異なっていてもよい。
【0055】
前記一般式(3)中、M3は電荷均衡対イオンを表す。M3が表す電荷均衡対イオンとしては、前記一般式(2)中のM 2 が表す電荷均衡対イオンと同義であり、好ましい例も同様である。また、前記一般式(3)中、m3は分子の電荷を中和するのに必要な0〜10の数を表す。m3は、好ましくは0〜4の数である。分子内で塩を形成する場合にはm3=0である。
【0056】
以下に、前記一般式(2)〜一般式(3)で表される化合物の具体的例示化合物を挙げるが、本発明は以下の化合物によって、限定されるものではない。
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
前記一般式(2)〜(3)で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨークなどに記載の方法に基づいて合成することができる。
【0070】
例えば、例示化合物(7)は、以下の合成ルートで合成できる。
【0071】
【化21】
【0072】
(a)2g(0.00483mol)、エタノール30mlに、(b)0.21g(0.00241mol)を加えて、蒸気浴上で1時間加熱環流した。放冷後、析出した結晶を吸引ろ過でろ別し、得られた粉末をメタノール100ml/クロロホルム100mlに加熱環流させて溶解させ、自然ろ過後、溶媒を100ml常圧下留去した。放置後析出した結晶を吸引ろ過によりろ別し乾燥した。得られた例示化合物(7)は黄色粉末であり、収量0.95g、収率61%、λmax=449nm、ε=114000(メタノール)であった。また、融点280℃以上で分解した。
【0073】
本発明の光重合性組成物は、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物を0.01〜20重量%含有するのが好ましく、0.1〜5重量%含有するのがより好ましい。
【0074】
本発明の光重合性組成物の感光波長を調整するために、前記光重合性組成物は前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物以外の分光増感色素を含有していていもよい。前記分光増感色素としては、例えば、Research Disclosure,Vol.200,1980年12月,Item20036や、「増感剤」(徳丸克巳・大河原信/編 講談社 1987年)の160〜163ページ等の記載の化合物を用いることができる。前記分光増感色素の具体例としては、特開昭58−15503号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報のそれぞれに記載のメロシアニン化合物などが挙げられる。
【0075】
本発明の光重合性組成物は、重合可能な化合物を含有する。重合可能な化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましい。前記エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物は、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。前記エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリールエーテル類、アリルエステル類、などが挙げられる。
【0076】
重合効率(硬化速度)を有利にする観点からは、重合可能な化合物としては、分子内に複数のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物が好ましく、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、アクリレート又はメタクリレート末端エポキシ樹脂、アクリレート又はメタリレート末端ポリエステル、などが挙げられる。これらの中で特に好ましい具体例としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
【0077】
本発明の光重合性組成物は、前記色素と相互作用してラジカルを発生し得るラジカル発生剤を含有する。前記ラジカル発生剤は、前記光重合組成物中に含有される重合可能な化合物の重合を開始し得るラジカル発生剤の中から、1種または2種以上を選択して使用できる。具体的には、芳香族ケトン類として、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドンなどが挙げられる。
【0078】
ベンゾイン及びベンゾインエーテル類として、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどが挙げられる。
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体として、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などが挙げられる。
【0079】
ポリハロゲン化合物として、例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、特公昭57−6096号公報、米国特許第3615455号明細書中に記載の化合物、特開昭58−29803号公報に記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体として、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の化合物などが挙げられる。
【0080】
特開昭59−189340号公報に記載の有機過酸化物として、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、α,α’−ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物などが挙げられる。
【0081】
米国特許第4743530号明細書に記載のアジニウム塩化合物、ヨーロッパ特許第0223587号明細書に記載の有機ホウ素化合物として、例えば、トリフェニールブチルボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニールブチルボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニール)ブチルボレートのテトラメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体、(ビス)アシルホスフィンオキシド、チタノセン等の光重合開始剤が挙げられる。
【0082】
これらの光重合開始剤の中でも、前記ラジカル発生剤としては、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物、(ビス)アシルホスフィンオキシド、チタノセン、アジニウム塩化合物及び有機ホウ素化合物が特に好ましい。
【0083】
前記ラジカル発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、2種以上を併用する場合は、例えば、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノン又はベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールとの組合せ、また、特開昭57−23602号公報に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンとの組合せ、また、特開昭59−78339号公報に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物との三種の組合せ、などが好適に挙げられる。これらの中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの組合せ、2,4−ジエチルチオキサントンと4−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組合せ、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組合せが好ましい。
【0084】
前記ラジカル発生剤としては、前記一般式(4)で表される有機ホウ素化合物を少なくとも含有するのが特に好ましい。前記一般式(4)で表される有機ホウ素化合物は、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物が光を吸収した場合に、該化合物と相互作用して、効率よくラジカルを発生するので好ましい。即ち、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物と組み合わせて使用することで、本発明の光重合性組成物の光に対する感度が向上するので好ましい。
【0085】
前記一般式(4)中、Ra 1 、Ra 2 、Ra 3 及びRa 4 は、各々独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、及びこれらの誘導体から選択されるいずれかの基を表す。前記アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基は置換されていてもよいし、無置換であってもよい。Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換又は無置換のアルキル基を表す場合、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状又は環状のものが好ましい。Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換又は無置換のアリール基を表す場合、アリール基は単環であっても、縮合環であってもよい。具体的には、置換又は無置換のフェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基が好ましい。Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換又は無置換のアラルキル基を表す場合、アラルキル基は単環であっても、縮合環であってもよい。具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、3−フェニルプロピル基等が挙げられる。
【0086】
Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換又は無置換のアルケニル基を表す場合、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、ビニル基又は炭素数2〜8の置換ビニル基が特に好ましい。Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換又は無置換のアルキニル基を表す場合、アルキニル基としては、炭素原子数2〜18のアルキニル基が好まし。具体的には、エチニル基、2−フェニルエチニル基、2−メチルエチニル基等が挙げられる。Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換又は無置換の複素環基を表す場合、複素環基は単環であっても、縮合環であってもよい。具体的には、2−キノリン、1−イソキノリン、9−アクリジン、4−ピリジン、4−ピラン、2−チアゾール、2−オキサゾール等が挙げられる。
【0087】
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基の誘導体とは、例えば、置換基を有するもの、直接または置換基を介して連結し環を形成したものをいい、具体的には、以下に説明するものである。Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4が置換基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または複素環基を表す場合、置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基等が挙げられる。
【0088】
前記一般式(4)中、Ra 1、Ra 2、Ra 3、およびRa 4のうちの2以上が直接または置換基を介して連結し、環を形成していてもよい。環を形成している場合、該環としては、下記の(C1)〜(C3)の環より選ばれるいずれかの環が好ましく、中でも、(C2)の環が好ましい。
【0089】
【化22】
【0090】
前記(1)の環において、Rbは、以下の2価基をあらわす。
【0091】
【化23】
【0092】
前記一般式(4)で表される化合物の中でも、感度および保存性の点で、トリアリールアルキルホウ素化合物が特に好ましい。
【0093】
前記一般式(4)の有機ホウ素アニオン部の具体例としては、例えば、テトラメチルボレート、テトラエチルボレート、テトラブチルボレート、トリイソブチルメチルボレート、ジ−n−ブチル−ジ−t−ブチルボレート、テトラ−n−ブチルボレート、テトラフェニルボレート、テトラ−p−クロロフェニルボレート、テトラ−m−クロロフェニルボレート、トリ−m−クロロフェニル−n−ヘキシルボレート、トリフェニルメチルボレート、トリフェニルエチルボレート、トリフェニルプロピルボレート、トリフェニル−n−ブチルボレート、トリメシチルブチルボレート、トリトリルイソプロピルボレート、トリフェニルベンジルボレート、テトラフェニルボレート、テトラベンジルボレート、トリフェニルフェネチルボレート、トリフェニル−p−クロロベンジルボレート、トリフェニルエテニルブチルボレート、ジ(α−ナフチル)−ジプロピルボレート、トリフェニルシリルトリフェニルボレート、トリトルイルシリルトリフェニルボレート、トリ−n−ブチル(ジメチルフェニルシリル)ボレート等が挙げられる。
【0094】
前記一般式(4)中、M4は電荷均衡対イオンを表し、即ち、前記一般式(4)で表される化合物のイオン電荷を中和するために必要な対イオンを表す。M4としては、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級ピリジニウムカチオン、4級キノリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン等が挙げられる。4級アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン)、テトラアリールアンモニウムカチオン(例えば、テトラフェニルアンモニウムカチオン)等が挙げられる。
【0095】
前記4級ピリジニウムカチオンとしては、N−アルキルピリジニウムカチオン(例えば、N−メチルピリジニウムカチオン)、N−アリールピリジニウムカチオン(例えば、N−フェニルピリジニウムカチオン)、N−アルコキシピリジニウムカチオン(例えば、4−フェニル−N−メトキシ−ピリジニウムカチオン)、N−ベンゾイルピリジニウムカチオン等が挙げられる。前記4級キノリニウムカチオンとしては、N−アルキルキノリニウムカチオン(例えば、N−メチルキノリニウムカチオン)、N−アリールキノリニウムカチオン(例えば、N−フェニルキノリニウムカチオン)等が挙げられる。前記ホスホニウムカチオンとしては、テトラアリールホスホニウムカチオン(例えば、テトラフェニルホスホニウムカチオン)等が挙げられる。前記ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオン(例えば、ジフェニルヨードニウムカチオン)等が挙げられる。前記スルホニウムカチオンとしては、トリアリールスルホニウムカチオン(例えば、トリフェニルスルホニウムカチオン)等が挙げられる。
【0096】
前記カチオン性化合物の例示化合物において、アルキル基としては、炭素数が1〜12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル等の無置換アルキル基や、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基アルキル基が好ましい。特に、ブチル、ヘキシルが好ましい。前記カチオン性化合物の例示化合物において、アリール基としては、例えば、フェニル、ハロゲン(例えば、クロロ)置換フェニル、アルキル(例えば、メチル)置換フェニル、アルコキシ(例えば、メトキシ)置換フェニルが好ましい。
【0097】
前記一般式(4)中、m4は分子の電荷を中和するのに必要な0〜10の数を表す。m4が0である場合、一般式(4)で表される化合物は、内部塩を形成していてもよいし、もしくは、光重合性組成物中にともに含有されるカチオン性化合物と塩を形成していてもよい例えば、一般式(4)のアニオン部が、一般式(2)〜一般式(3)中の、M 2 〜M3であってもよい。
【0098】
前記一般式(4)で表される有機ホウ素アニオンの具体例としては、米国特許第3,567,453号明細書、同4,343,891号明細書に記載されている化合物のアニオン部、および以下に例示するアニオンが挙げられる。但し、本発明に用いられる光重合開始剤は、これに限定されるものではない。
【0099】
【化24】
【0100】
【化25】
【0101】
また、本発明の光重合性組成物において、前記一般式(4)で表される有機ホウ素アニオンと、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物とが塩を形成していてもよい。その様な場合は、前記一般式(2)中のM2および前記一般式(3)中のM 3 が、前記一般式(4)で表される有機ホウ素アニオンになる。
【0102】
本発明の光重合性組成物中に、光重合開始剤は、0.01〜20重量%含有させるのが好ましく、0.2〜15重量%含有させるのがより好ましく、1〜10重量%含有させるのが特に好ましい。前記含有量が、0.01重量%未満であると感度が不足することがあり、20重量%を越えると感度の増加が期待できないことがある。前記一般式(4)で表される有機ホウ素アニオンを含有させる場合は、光重合性組成物の全重量中、通常、0.05〜20重量%含有させるのが好ましく、1〜10重量%含有させるのがより好ましい。
【0103】
尚、本発明の光重合性組成物は、目的に応じて、その他の成分を含有していてもよい。例えば、重合を促進するための助剤として、還元剤、例えば、酸素除去剤(oxygen scavenger)及び活性水素ドナーの連鎖移動剤、連鎖移動的に重合を促進するその他の重合促進剤等を含有していてもよい。
【0104】
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1錫塩及び酸素により容易に酸化されるその他の化合物が有用であり、具体的には、例えば、N−フェニルグリシン、トリメチルバルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン等が好ましい。前記重合促進剤としては、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物等が好ましい。
【0105】
本発明の光重合性組成物は、熱重合禁止剤を含有していてもよい。前記熱重合禁止剤は、前記光重合性組成物の熱的な重合や経時的な重合を防止する機能を有し、この熱重合禁止剤を前記光重合性組成物に添加しておくと、該光重合性組成物の調製時乃至保存時における化学的な安定性を高めることができる点で有利である。前記熱重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、p−トルイジン等が挙げられる。
前記熱重合禁止剤は、前記光重合性組成物の全重量に対し、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。前記添加量が、0.001重量%未満であると熱安定性が劣ることがあり、5重量%を越えると感度が低下することがある。
【0106】
本発明の光重合性組成物を利用した記録材料の一実施形態としては、ポジ型の感熱記録材料が挙げられる。この感熱記録材料は、支持体と、該支持体上に、発色成分を内包するマイクロカプセルと、本発明の光重合性組成物とを少なくとも含有する記録層を有する感熱記録材料である。前記光重合性組成物は、少なくとも、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物と、前記発色成分を発色させる部位を有する重合可能な化合物と、光を照射されることによってラジカルを発生して、前記重合可能な化合物の重合を開始させる重合開始剤とを含有する。
【0107】
前記記録材料を用いた画像形成方法の一例を以下に説明する。
前記記録材料を、記録層中に含有される前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物が吸収する波長の光によって画像様に露光すると、記録層中にともに含有される光重合開始剤からラジカルが発生し、重合可能な化合物の重合が開始される。露光部のみが重合により硬化し、露光部に潜像が形成される。その後、前記記録材料の全面を加熱すると、未露光部に存在する重合可能な化合物がマイクロカプセル内に浸入し(および/またはマイクロカプセル内の発色成分がマイクロ外に放出され)、発色成分と反応して、未露光部の発色成分を発色させる。一方、露光部の重合可能な化合物は、硬化しているので、その位置から移動することができず、露光部は発色せず、ポジ画像が形成される。その後、全面に光を照射して、未露光部の前記光重合開始剤を失活させて形成画像を定着させることができる。
【0108】
本発明の光重合性組成物を利用した記録材料の他の実施形態としては、ネガ型の記録材料がある。この記録材料は、支持体と、該支持体上に、発色成分を内包するマイクロカプセルと、該発色成分と反応して、該発色成分を発色させる発色化合物と、本発明の光重合性組成物とを少なくとも含有する記録層を有する。前記光重合性組成物は、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物と、前記発色成分と前記発色化合物との反応を抑制する部位を有する重合可能な化合物と、光を照射されることによってラジカルを発生して、前記重合可能な化合物の重合を開始させる重合開始剤とを含有する。
【0109】
前記記録材料を用いた画像形成方法の一例を以下に説明する。
前記記録材料を、記録層中に含有される前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物が吸収する波長の光によって画像様に露光すると、記録層中にともに含有される光重合開始剤からラジカルが発生し、重合可能な化合物の重合が開始される。露光部のみが重合により硬化し、露光部に潜像が形成される。その後、前記記録材料の全面を加熱すると、露光部の前記発色化合物がマイクロカプセル内浸入し(および/またはマイクロカプセル内の発色成分がマイクロカプセル外に放出され)、発色成分と反応して、露光部の発色成分を発色させる。一方、未露光部では、前記発色化合物とともに、前記重合可能な化合物がマイクロカプセル内に移動し、前記発色成分と前記発色化合物との反応を抑制するので、未露光部の発色成分は発色せず、ネガ画像が形成される。その後、全面に光を照射して、未露光部の前記光重合開始剤を失活させて形成画像を定着させることができる。
【0110】
発色成分と該発色成分と反応して該発色成分を発色させる発色化合物との組み合わせとしては、例えば、下記(ア)〜(ツ)の組合せが挙げられる(下記例において、それぞれ前者が発色成分、後者が発色化合物を表す)。
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
【0111】
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
【0112】
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤および/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸または塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
【0113】
前記ポジ型およびネガ型の感熱記録材料において、記録層に含有される発色成分としては、電子供与性無色染料、およびジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0114】
前記電子供与性無色染料としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げられる。
【0115】
特に、以下に記載の化合物を挙げることができる。
フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号、米国特許第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号および同第3,509,174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド等が挙げられる。
【0116】
フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−(ジペンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソプチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ビペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0117】
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
【0118】
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0119】
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0120】
スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0121】
ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載の化合物が挙げられる。
【0122】
フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号等に記載の化合物が挙げられる。
【0123】
本発明の記録材料をフルカラー記録材料に用いる場合、シアン、マゼンタ、イエローの各発色色素用の電子供与性無色染料を使用すればよい。
シアン、マゼンタ、イエロー発色色素としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各色素を使用することができる。
さらに、イエロー発色色素用電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,148号等に記載の色素を使用することができ、シアン発色色素用電子供与性無色染料としては、特開平63−53542号等に記載の色素を使用することができる。
【0124】
発色成分としては、ジアゾニウム塩化合物も好ましい。中でも、下記一般式で表されるジアゾニウム塩化合物(式中Arは芳香族部分を示し、X-は酸アニオンを示す)が好ましい。
Ar−N2 +X-
【0125】
前記ジアゾニウム塩化合物は、加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色したり、光によって分解する化合物である。これらは、Ar部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0126】
前記一般式において、Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0127】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられ、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの基は、さらに、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0128】
発色成分として、好適に使用し得るジアゾ化合物としては、特開平07−276808号公報の第44段落欄〜第49段落欄に例示されるジアゾ化合物が挙げられる。但し、発色成分は前記化合物に限定されるものではない。尚、発色成分として、ジアゾ化合物は、単独で用いてもよいし、色相調整等の諸目的に応じて2種以上を用いてもよい。
【0129】
前記ジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmax は、450nm以下であることが効果の点から好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。また、前記ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で、水に対する溶解度が1%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが好ましい。
【0130】
本発明において、前記ジアゾニウム塩化合物は、1種単独で用いてもよいし、さらに色相調整等の諸目的に応じて、2種以上を併用してもよい。前記ジアゾニウム塩化合物は、前記記録層中に0.01〜3g/m2 含有されることが好ましく、0.02〜1.0g/m2 が更に好ましい。
【0131】
前記発色成分は、マイクロカプセル中に内包される。発色成分のマイクロカプセル化の手法としては、例えば、米国特許第2800457号明細書、同28000458号明細書におけるような親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、英国特許第990443号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報におけるような界面重合法、米国特許第3418250号明細書、同3660304号明細書におけるようなポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書におけるようなイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書におけるようなイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号明細書、同4087376号明細書、同4089802号明細書におけるような尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号明細書におけるようなメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号公報、特開昭51−9079号公報におけるようなモノマーの重合によるイン・シツ(in situ)法、英国特許第952807号公報、同965074号公報に見られる電解分散冷却法、米国特許第3111407号公報、英国特許第930422号公報におけるようなスプレードライング法、などが挙げられる。
【0132】
これらのマイクロカプセル化の手法の中でも、芯物質を乳化した後マイクロカプセル壁として高分子膜を形成する手法が好ましい。このマイクロカプセル化の手法としては、特に油滴内部からのリアクタントの重合によるマイクロカプセル化が好ましい。この場合、短時間で、均一な粒径を持ち生保存性に優れ、記録材料に好適なマイクロカプセルを形成することができる点で有利である。
【0133】
例えば、ポリウレタンをマイクロカプセルのカプセル壁材として用いる場合、多価イソシアネート及び必要に応じてそれと反応しカプセル壁を形成する第2の物質(例えばポリオール、ポリアミン)をカプセル化すべき油性液体中に混合し、水中に乳化分散し、次に温度を上昇することにより、油滴界面で高分子形成反応を起こしてカプセル壁を形成し、マイクロカプセルを得ることができる。なお、このとき、前記油性液体中に低沸点の溶解力の強い補助溶剤を用いることができる。
【0134】
この場合、前記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンについては、例えば、米国特許第3281383号明細書、同3773695号明細書、同3793268号明細書、特公昭48−40347号公報、同49−24159号公報、特開昭48−80191号公報、同48−84086号公報に記載されたものを使用することもできる。
【0135】
前記多価イソシアネートとしては、例えば、m−フエニレンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフエニル−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフエニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフエニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフエニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物等のイソシアネートプレポリマーが挙げられる。
なお、前記多価イソシアネートは、水と反応して高分子物質を形成することもできる。
【0136】
前記ポリオールとしては、例えば、脂肪族、芳香族の多価アルコール、ヒドロキシポリエステル、ヒドキシポリアルキレンエーテル等が挙げられる。また、前記ポリオールとして、特開昭60−49991号公報に記載されたポリオール、即ちエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、2,3−ジヒドロキシブタン、1,2−ジヒドロキシブタン、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、2−フエニルプロピレングリコール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物、グリセリンエチレンオキサイド付加物、グリセリン、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシノールジヒドロキシエチルエーテル等の芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合生成物、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、α,α’−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフエニルメタン、2−(p,p’−ジヒドロキシジフェニルメチル)ベンジルアルコール、ビスフェノールAにエチレンオキサイドの付加物、ビスフェノールAにプロピレンオキサイドの付加物等も使用することができる。
【0137】
前記ポリオールは、前記多価イソシアネートにおけるイソシアネート基1モルに対し、該ポリオールにおける水酸基の割合が0.02〜2モルで使用するのが好ましい。
【0138】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フエニレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化合物のアミン付加物等が挙げられる。
【0139】
マイクロカプセル化の際、水溶性高分子を用いることができる。前記水溶性高分子としては、水溶性のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子のいずれでもよい。前記アニオン性高分子としては、例えば、天然のものでも合成のものでも用いることができ、例えば−COO- 基、−SO2 - 基、等を有するものが挙げられる。前記アニオン性高分子の具体的としては、例えば、天然物としてアラビヤゴム、アルギン酸、ペクチン等が挙げられ、半合成品としてカルボキシメチルセルローズ、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルローズ、リグニンスルホン酸等が挙げられ、合成品として無水マレイン酸系(加水分解したものも含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系も含む)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0140】
前記ノニオン性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
前記両性高分子としては、例えば、ゼラチン等が挙げられる。
【0141】
これらの水溶性高分子の中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。前記水溶性高分子は、0.01〜10重量%の水溶液として用いられる。
【0142】
前記マイクロカプセルの平均粒径としては、通常、20μm以下であり、特に解像度の点で5μm以下が好ましい。前記マイクロカプセルの平均粒径が小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり、マイクロカプセルのカプセル壁剤が多量に必要となる。このため、前記マイクロカプセルの平均粒径の下限値は、0.1μm以上が好ましい。
【0143】
前記マイクロカプセル中において、前記発色成分は、溶液状態で存在してもよいし、また、固体の状態で存在してもよい。
【0144】
前記マイクロカプセル中において、前記発色成分を溶液状態で存在させる場合、前記発色成分を溶媒に溶解した状態でマイクロカプセル化を行えばよい。このとき、前記溶媒の量としては、前記発色成分100重量部に対し、1〜500重量部であるのが好ましい。なお、前記マイクロカプセル化の際、前記発色成分を溶解させるための補助溶剤として、揮発性の溶媒を併用してもよい。前記揮発性の溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0145】
前記ポジ型の記録材料において、前記マイクロカプセルに内包される前記発色成分が前記電子供与性無色染料である場合には、重合可能な化合物として、重合性基を有する電子受容性化合物を用いるのが好ましく、前記発色成分がジアゾニウム塩化合物ある場合には、重合可能な化合物として重合性基を有するカプラー化合物を用いるのが好ましい。
【0146】
前記重合性基を有する電子受容性化合物としては、例えば、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。中でも、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
【0147】
【化26】
【0148】
前記一般式において、Xは、ハロゲン原子を表し、塩素原子が好ましい。Yは、重合性エチレン基を有する1価の基を表し、ビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素原子数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素原子数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基がより好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシル基を表す。
【0149】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0150】
また、前記重合性基を有する電子受容性化合物としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0151】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げられる。
【0152】
前記重合性基を有するカプラー化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択するすることができる。前記重合性基を有するカプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することが可能である。前記重合性基を有するカプラー化合物の具体例としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などが挙げられる。これらは、本発明の目的に合致する範囲で適宜、選択して使用される。
【0153】
前記重合性基を有するカプラー化合物におけるカプラー骨格化合物(カプラー)としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、
【0154】
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が特に好ましく挙げられる。
【0155】
前記カプラー骨格化合物としては、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平5−278608号、特開平5−297024号、特開平6−18669号、特開平6−18670号、特開平7−316280号、特開平09−216468号、特開平09−216469号、特開平09−319025号、特開平10−35113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号等の公報に記載されている化合物が挙げられる。
【0156】
前記重合性基を有するカプラー化合物は、その他の成分とともに水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化物として用いることもできる。固体分散方法及び乳化方法に関しては特に限定されるものではなく、従来公知の方法を使用することができる。これらの方法の詳細については、特開昭59−190886号公報、特開平2−141279号公報、特開平7−17145号公報に記載されている。
【0157】
本発明においては、前記重合性基を有するカプラー化合物のカップリング反応を促進する目的で、記録層に第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を含有させるのが好ましい。
【0158】
これらの有機塩基の具体例としてはN,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。これらの詳細については、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−94381号公報、特願平7−228731号、特願平7−235157号、特願平7−235158号等に記載されている。これらの有機塩基は、単独でも2種以上併用でも用いることができる。本発明に用いられる有機塩基の使用量については、特に限定されるものではないが、ジアゾニウム塩化合物1モルに対して1〜30モルの範囲で使用することが好ましい。
【0159】
ジアゾ塩化合物とカプラーとの発色反応を促進させる観点から、前記記録層中に、発色助剤を含有させてもよい。前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
【0160】
前記ネガ型の記録材料においては、前記マイクロカプセルに内包される前記発色成分が前記電子供与性無色染料である場合には、発色化合物としてはは、電子受容性化合物を用いるのが好ましく、前記発色成分がジアゾニウム塩化合物ある場合には、発色化合物としてカプラー化合物を用いるのが好ましい。
【0161】
前記電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ペントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。具体的には、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等に記載されている。
【0162】
これらの中でも、例えば、フェノール誘導体としては、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
【0163】
サリチル酸誘導体としては、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられる。
【0164】
前記電子受容性化合物を使用する場合は、用いる電子供与性無色染料の使用量に対して5〜1000重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0165】
前記カプラーとしては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
一般式(5)
E1−CH2−E2
前記一般式(5)中、E1およびE2で表される電子吸引性基は、Hammettのσ値が正である置換基をさし、これらは同一であっても異なっていてもよく、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニルカルバモイル基、N−2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基、シアノ基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のスルホニル基、ジエチルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基が好ましい。
【0166】
また、E1とE2が、結合して環を形成していてもよい。E1とE2で形成される環としては、5ないし6員の炭素環あるいは複素環が好ましい。
【0167】
一般式(5)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるカプラーはこれらに限定されるものではない。
【0168】
【化27】
【0169】
【化28】
【0170】
【化29】
【0171】
【化30】
【0172】
【化31】
また、前記カプラーとしては、前記重合性基を有するカプラーのカプラー骨格化合物として例示したものを使用することもできる。
【0173】
前記ネガ型の記録材料では、重合可能な化合物として、前記発色成分と前記発色化合物との発色反応を抑制する部位を有する抑制化合物を使用する。この様な抑制化合物としては、例えば、発色成分と発色化合物との組み合わせが、電子供与性無色染料と電子受容性化合物である場合、エステル基を有する重合性モノマー等が挙げられる。また、発色成分と発色化合物との組み合わせがジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物である場合、酸性基を有する重合性モノマー等が挙げられる。
【0174】
前記エステル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0175】
これらの中でも、分子内に複数のビニル基を有する光重合性モノマー、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フエノール類やビスフエノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;および、アクリレートまたはメタクリレート末端エポキシ樹脂、アクリレートまたはメタクリレート末端ポリエステル等が好ましく、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート及びジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0176】
前記エステル基を有する重合性モノマーの分子量としては、約100〜約5000が好ましく、約300〜約2000がより好ましい。
【0177】
前記酸性基を有する重合性モノマーとしては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0178】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等が好適に挙げられる。
【0179】
前記記録材料(ポジ型およびネガ型を含む、以下、同様である。)において、前記記録層はバインダーを含有しているのが好ましい。バインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類などを使用することができる。水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変成物等が挙げられ、ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0180】
前記記録材料には、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
【0181】
更に、前記記録材料には、感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0182】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0183】
これらの酸化防止剤および各種添加剤の添加量は、ジアゾ化合物1重量部に対して0.05〜100重量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜30重量部であることが好ましい。このような公知の酸化防止剤および各種添加剤はジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカプラーや有機塩基、その他の発色助剤と共に、固体分散物として、もしくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、あるいはその両方の形態で用いることもできる。また、酸化防止剤および各種添加剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、記録層の上に保護層を設け、該保護層に添加または存在させることもできる。
【0184】
これらの酸化防止剤および各種添加剤は同一層に添加しなくてもよい。更にこれらの酸化防止剤および各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、りん化合物、硫黄化合物の様に構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
【0185】
前記記録材料には、記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ジアゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジアゾ化合物1重量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5重量部が好ましい。
【0186】
また同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーは発色成分1重量部に対して0.2〜20重量部の割合で用いるのが好ましい。前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、発色成分と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0187】
前記記録材料には、以上の成分の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
【0188】
前記感熱記録材料には、記録層中に、あるいはその他の層中に顔料を含有させてもよい。顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。また、前記感熱記録材料の記録層中に、あるいは他の層中に、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体など各種添加剤を使用することができる。
【0189】
前記記録材料は、発色成分を内包するマイクロカプセル、本発明の光重合性組成物、その他所望により、種々の成分を含有する塗布液を調製し、該塗布液を支持体上に塗布し、乾燥することによって作製できる。塗布の方法としては、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、ロールドクターコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等を用いた塗布方法が挙げられる。前記塗布の方法としては、例えば、Research Disclosure,Vol.200,1980年12月,Item 20036 XV項を参考にしてもよい。
尚、記録層の厚みは、0.1〜50μmが適当である。
【0190】
前記光重合性組成物は、乳化分散して、塗布液中に含有させることができる。光重合性組成物を乳化分散する際に用いる溶媒としては、例えば、天然油又は合成油を用いることができ、その具体例としては、綿実油、灯油、脂肪族ケトン、脂肪族エステル、パラフィン、ナフテン油、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン及び1−フェニル−1−キシリルエタン、1−フェニル−1−p−エチルフェニルエタン、1,1’−ジトリルエタン等のジアリールエタン、フタール酸アルキルエステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等)、燐酸エステル(ジフエニルホスフェート、トリフエニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート等)、クエン酸エステル(例えばアセチルクエン酸トリブチル)、安息香酸エステル(例えば安息香酸オクチル)、アルキルアミド(例えばジエチルラウリルアミド)、トリメシン酸エステル(例えばトリメシン酸トリブチル)、酢酸エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸s−ブチル等)、プロピオン酸エステル(例えばプロピオン酸エチル)、酪酸(イソ酪酸)エステル(例えば酪酸メチル)、アクリル酸(メタクリル酸)エステル(例えばアクリル酸メチル)、アルキルハライド(メチレンクロライド、四塩化炭素等)、三級ブチルアルコール、チメルイソブチルケトン、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0191】
これらの中でも、脂肪酸エステル類、アルキルハライド類が好ましく、特に水への溶解度が10体積%以下のものがより好ましい。
【0192】
また、前記光重合性組成物を乳化分散する際に、水溶性高分子を使用してもよい。前記水溶性高分子としては、例えば、25℃の水に対して5重量%以上溶解する化合物が好ましく、具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、デンプン類(変成デンプンを含む)等の糖誘導体、アラビアゴムやポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体の鹸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の合成高分子が好適に挙げられる。これらの中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。
【0193】
前記記録層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。また、前記記録層は、単色の所謂白黒(B/W)の画像記録用の記録層であってもよいし、多色の画像記録用の記録層であってもよい。
なお、前記記録層は、通常、該記録層の各成分を含有する記録層用塗布液を前記支持体上あるいは前記その他の層上に塗設等することにより、該支持体上あるいは該その他の層上に設けられる。該記録層においては、前記本発明の光重合性組成物は、前記マイクロカプセルの外に存在している。
【0194】
前記多色の画像記録用の記録材料としては、例えば、互いに異なる色相に発色する発色成分を内包したマイクロカプセルと、互いに異なる波長の光に感光する前記光重合性組成物とを含む複数の層による多層構造の記録材料などが挙げられる。このような記録材料の具体例としては、シアンに発色する発色成分を内包したマイクロカプセルと、波長λ1に感光する前記光重合性組成物とを含有する記録層を支持体上に設け、その上に、マゼンタに発色する発色成分を内包したマイクロカプセルと、波長λ2に感光する光重合性組成物とを含有する記録層を設け、その上に、イエローに発色する発色成分を内包したマイクロカプセルと、波長λ3に感光する前記光重合性組性物とを含有する記録層を支持体上に設けた態様が挙げられる。
更に各記録層の間に、バリア機能を有する中間層を設けてもよい。また、前記中間層に紫外線吸収剤を含有させてもよいし、紫外線吸収剤を含有させた光吸収層を別途設けてもよい。
【0195】
本発明の記録材料は、紫外光から赤外光までの幅広い領域の光を用いて記録を行うことができる。
光源としては、水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電型水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、アルゴンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー等の各種レーザー、LED、蛍光灯などの幅広い領域の波長を生じ得る光源を使用できる。
【0196】
本発明の記録材料を用いて画像記録を行う場合、リスフィルムなどの原稿の密着露光、スライドや液晶画像等の拡大露光、原稿の反射光を利用した反射露光等の様々な露光方法を利用することができる。
また、本発明の記録材料を用いて多色の画像記録を行なう場合、波長の異なる光を用いて一回乃至多重回露光を行うが、該波長の異なる光は、前記光源の変更、光フィルターの変更等により得られる。
【0197】
本発明の記録材料は、像様露光と同時又はその後に熱現像処理が行なわれる。前記熱現像処理における加熱方法としては、従来公知の様々な方法を用いることができ、その加熱温度としては、通常、80〜200℃であり、100〜160℃が好ましく、その加熱時間としては、通常、1秒〜5分であり、3秒〜1分が好ましい。
【0198】
本発明の記録材料は、前記熱現像処理後に全面露光を行ない、非硬化部分も光硬化させるのが好ましい。全面露光を行うと、地肌部の発色反応と発色部の消色反応とが抑制されるため、画像の保存性が向上する点で有利である。
【0199】
本発明の記録材料は、様々な用途、例えば、コピアやファックス、プリンター、ラベル、カラープルーフ、第2原図等の用途に好適に用いることができる。
【0200】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」は「重量%」を意味し、「部」は「重量部」を意味する。
【0201】
(実施例1〜実施例20)
表1に示す有機色素、および有機ホウ素化合物を用い、下記組成の光重合性組成物を調製した。
〔光重合性組成物〕
ペンタエリスリトールテトラアクリレート・・・・・・・・1.41g
メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸・・・・・・・・・・1.29g
(モル比73/27共重合体)
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・8.62g
有機色素(表1参照)・・・・・・・・・・・・・・・・1×10-4モル
有機ホウ素化合物(表1参照)・・・・・・・・・・・・6×10-4モル
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6g
調製した光重合性組成物の各々を、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に2μmの厚みに塗布し、100℃で5分間乾燥した。さらに、下記保護層用塗布液(1)を1μmの厚みに塗布し、100℃で2分間乾燥して、実施例1〜実施例20の記録材料を作製した。
【0202】
〔保護層用塗布液(1)〕
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98g
ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.7g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース・・・・・・・・・・ 1.7g
ポリビニルピロリドン・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8.7g
【0203】
(比較例1〜比較例3)
実施例1で用いた有機色素および有機ホウ素化合物を、各々、表1に示す有機色素および有機ホウ素化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3の記録材料を作製した。表1中に示した有機色素d−1〜d−3の構造を以下に示す。
【0204】
【化32】
【0205】
作製した実施例1〜実施例20、および比較例1〜比較例3の記録材料を、真空焼枠装置を用いて露光した。記録材料への露光は、ステップウエッジ(濃度段差0.15、濃度段数1〜15段、「富士ステップガイドP」(富士写真フイルム社製)及び「SC38フィルター」(富士写真フイルム社製、380nm以下の光をカットするシャープカットフィルター))を通して、500Wキセノンランプ(ウシオ(株)製)で10秒間光を照射することにより行った。露光後、下記組成の現像液を用いて、記録材料を各々現像した。
【0206】
〔現像液〕
無水炭酸ソーダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g
ブチルセロソルブ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5g
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1l
現像すると、ステップウエッジの高い段数に相当する領域への露光量は、少ないため、該領域の光重合性組成物は現像液中に溶出し、ポリエチレンテレフタレート面が現れた。各々の実施例の記録材料について、光重合性組成物が完全に溶出した領域を調べ、最も露光量の多かった領域に相当するステップウェッジの段数(クリア段数)を求めた。求めた段数が高い程、記録材料の感度が高いことを意味する。結果を表1に示す。感度が低く、露光した全ての領域にわたって光重合性組成物が現像液中に溶出した場合は、表中に“流れ”と表示し、感度が高く、露光した全ての領域にわたって光重合性組成物が硬化し、現像後も残る場合には、表中に“ベタ”と表示した。尚、下記表1中に示した有機色素の欄の数字は前記有機色素の例示化合物No.に相当する。
【0207】
【表1】
【0208】
【化33】
【0209】
表1に示した結果から、比較例1〜3と比較して、実施例1〜20の記録材料は高感度であることが実証された。
【0210】
(実施例21)
1.〔電子供与性無色染料カプセル液の調製〕
−1−a.電子供与性無色染料(1)カプセル液の調製−
下記の電子供与性無色染料(1)8.9gを酢酸エチル16.9gに溶解し、カプセル化剤である「タケネートD−110N」(武田薬品工業株式会社製)20gと「ミリオネートMR200」(日本ポリウレタン工業株式会社製)2gを添加した。この溶液を8%のフタル化ゼラチン42gと10%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液1.4gの混合液に添加し、20℃で乳化分散し乳化液を得た。得られた乳化液に水14gと2.9%のテトラエチレンペンタミン水溶液72gを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯に内包した、平均粒径0.5μmのカプセル液を得た。
【0211】
【化34】
【0212】
2.〔光重合性組成物の乳化液の調製〕
−2−a.光重合性組成物(21)の乳化液の調製−
表2に示す有機色素0.05gと、表2に示す有機ホウ素化合物0.3gと、下記重合助剤(1)0.05gと、下記重合性の電子受容性化合物(1)4.2gに酢酸イソプロピル5.3gを添加し攪拌溶解した。
【0213】
【化35】
【0214】
この溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと、2%界面活性剤(1)水溶液0.8gと、2%界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10000回転で5分間乳化し、光重合性組成物(21)の乳化液を得た。
【0215】
【化36】
【0216】
3.〔記録層用塗布液の調製〕
−3−a.記録層(21)用塗布液の調製−
前記電子供与性無色染料(1)カプセル液4gと、光重合性組成物(21)の乳化液12gと、15%ゼラチン水溶液12gとを混合し、記録層(21)用塗布液を調製した。
【0217】
4.〔保護層用塗布液(2)の調製〕
−4−a.保護層用塗布液(2)の調製−
10%ゼラチン水溶液4.5gと、蒸留水4.5gと、2%の界面活性剤(3)水溶液0.5gと、2%界面活性剤(4)水溶液0.3gと、2%硬膜剤(1)水溶液0.5gと、「サイロイド72」(FUJI−DEVISON CHEMICALLTD.製)を塗布量が50mg/m2 となるだけの量と、「スノーテックスN」1gとを混合し、保護層用塗布液(2)を調製した。
【0218】
【化37】
【0219】
5.〔支持体〕
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ社製)を支持体として用いた。前記支持体上に、前記記録層用塗布液(21)をコーティングバーを用いて塗布層の乾燥重量が6g/m2 になるように塗布し、30℃で10分間乾燥した。この上に、前記保護層用塗布液(2)をコーティングバーを用いて塗布層の乾燥重量が2g/m2 になるように塗布し、30℃で10分間乾燥して実施例21の記録材料を得た。
【0220】
(実施例22〜実施例29)
実施例21において用いた有機色素および有機ホウ素化合物を、各々、表2に示す有機色素および有機ホウ素化合物に変更した以外は、実施例21と同様にして、実施例22〜29の記録材料を得た。
【0221】
(比較例4〜比較例5)
実施例21において用いた有機色素および有機ホウ素化合物を、各々、表2に示す有機色素および有機ホウ素化合物に変更した以外は、実施例21と同様にして、比較例4〜5の記録材料を得た。
【0222】
作製した実施例21〜実施例29の記録材料、および比較例4〜比較例5の記録材料を、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びSC38フィルターを通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射し、各々、潜像を形成した。その後、各々の記録材料を、125℃の熱板で15秒間加熱したところ、未露光部では電子供与性無色染料(1)と重合性電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じる色の発色を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。発色が起こらなかった領域を調べ、最も露光量の少なかった領域に相当するステップウェッジの段数(クリア段数)を求めた。求めた段数が高い程、記録材料の感度が高いことを意味する。結果を表2に示す。
尚、感度が高く、すべての段で発色が起きなかった場合は、表中に“クリア”と表示した。また、感度が低く、全ての段で発色が起きた場合は、表中に“ベタ”と表示した。
【0223】
【表2】
【0224】
表2に示した結果から、比較例4〜5と比較して、実施例21〜29の記録材料は、高感度であることが実証された。
【0225】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外光のみならず可視光〜赤外光に感光し得る光重合性組成物を提供することができる。また、完全ドライ方式での画像記録が可能な記録材料を提供することができる。
Claims (6)
- 重合可能な化合物と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物とを含有する光重合性組成物。
- エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物と、ラジカル発生剤とを含有する請求項1に記載の光重合性組成物。
- 支持体上に記録層を有してなる記録材料であって、前記記録層が、発色成分を内包するマイクロカプセルと、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光重合性組成物とを少なくとも含有し、重合可能な化合物が、前記発色成分と反応して、前記発色成分を発色させる部位を有する記録材料。
- 支持体上に記録層を有してなる記録材料であって、前記記録層が、発色成分を内包するマイクロカプセルと、前記発色成分と反応して、前記発色成分を発色させる発色化合物と、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光重合性組成物とを少なくとも含有し、重合可能な化合物が、前記発色成分と前記発色化合物との反応を抑制する部位を有する記録材料。
- 中心波長λ1の光に感光する第1の記録層、中心波長λ2の光に感光し第1の記録層と異なる色に発色する第2の記録層、・・・、中心波長λiの光に感光し第1、第2、・・・、及び第i−1の記録層と異なる色に発色する第iの記録層の順に積層された多層構造を有する請求項4または請求項5に記載の記録材料。
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