JP3904930B2 - カーテン用ウェイトテープの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイル地やレース地など薄手のカーテンの下端に取り付けられ、自重によりカーテンを伸長するとともに、カーテンの波打ち状態を良好に保つカーテン用ウェイトテープの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーテン用ウェイトテープ(以下、ウェイトテープと言うことがある。)は、紐や糸などに円柱状の鉛小片が圧着され、間隔をおいて連なっている構造を有していた。該ウェイトテープの製造方法は、線状の鉛に溝を刻設し、該溝に紐や糸などを装入した後、線状の鉛を圧着するとともに短く切断する方法であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
人体に対する鉛の有毒性が懸念される中、代替金属によるウェイトテープの要求が高まってきた。鉛と同程度の硬度を有する金属がなく、鉛を他の金属に代替すると、既存の製造方法による生産が困難であった。すなわち、代替金属の硬度が高いため、代替金属線に溝を刻設することや代替金属線を切断することに困難があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、スリーブ紐の中に、複数のウェイト片が長手方向に挿入されていることを特徴とするカーテン用ウェイトテープを採用した。
【0005】
スリーブ紐は、1本または複数本の糸を編んで製造され、断面が中空である構造を有し、長手方向に伸ばすと断面方向に収縮する性質を有していればよい。例えば、1本の糸から編まれるリリアン編紐、複数本の糸から編まれる綾組紐などがある。
【0006】
したがって、スリーブ紐の内部に複数のウェイト片を挿入した後、スリーブ紐を伸ばすと断面方向の収縮によりウェイト片を固定することができる。しかも、間隔をおいて、ウェイト片を配置することにより、ウェイトテープに狭窄部が形成され、当該狭窄部が屈曲することにより、従来と変わらない柔軟性を確保することができる。その結果、カーテンの波打ち状態を良好に保つことができる。
【0007】
ウェイト片の材質は、鉛を除く金属の他、ガラス、石材等が使用でき、比重がなるべく大きいほうが好適である。また、ウェイト片の形状は特に限定されず、円柱状の他、回転楕円体状、球状などであれば、スリーブ紐内部への挿入が容易となる。特に、直径が1〜3mmで、かつ、長さが3〜10mmである円柱状のウェイト片であれば、同直径の金属線を切断することにより容易に製造できる。なお、防錆の観点から、金属製のウェイト片の場合、ステンレス、真鍮、アルミニウムなどであることが好ましい。
【0008】
スリーブ紐を編み、編む速度に応じて、編み開口部よりウェイト片を前記スリーブ紐内に挿入するカーテン用ウェイトテープの製造方法を採用することができる。
【0009】
スリーブ紐を編み終えた後、スリーブ紐の一端からウェイト片を挿入する方法でも構わないが、ウェイト片をスリーブ紐内部に押し込むので、完成するウェイトテープの長さが制限される。スリーブ紐を編みながら、スリーブ紐内にウェイト片を挿入する方法を採用すると、予めスリーブ紐を編んだ後にウェイト片を挿入するよりも容易であり、しかも、スリーブ紐の長さに制限されずにウェイト片を挿入することができる。
【0010】
かかる製造方法は、スリーブ紐を編む製紐手段と、編む速度に応じて編み開口部よりウェイト片を前記スリーブ紐内に挿入する手段を有することを特徴とするカーテン用ウェイトテープの製造装置により実現される。
【0011】
更に、スリーブ紐の解糸や損傷によるウェイト片の脱離を防止するために、第2のスリーブ紐を被着したカーテン用ウェイトテープを採用することができる。かかる構造では、スリーブ紐が二重になっているので、外側のスリーブ紐の解糸や損傷があっても、内部のウェイト片の脱離が起こることはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係るカーテン用ウェイトテープの実施形態を示す概略断面図である。1はウェイトテープ、2はスリーブ紐であり、3はウェイト片である。
【0013】
多数のウェイト片3がスリーブ紐2内に挿入されている。ウェイト片3は円柱状を有している。スリーブ紐2は、断面中空であるため、長手方向に伸長すると、断面が収縮する性質を有する。すなわち、図1において、A方向(長手方向)にスリーブ紐を伸長すると、B方向(断面方向)に収縮されるので、ウェイト片3を固定することができる。また、間隔をおいてウェイト片3を配置することにより、狭窄部4ができる。その結果、狭窄部4によりウェイトテープは自在に曲げることができるので、カーテン下端に取り付け、該カーテンの波打ち状態を保持することができる。
【0014】
スリーブ紐には、1本の糸から編まれるリリアン編紐、複数本の糸から編まれる綾組紐などがある。ウェイト片の材質は、鉛を除く金属の他、ガラス、石材等が使用でき、比重がなるべく大きいほうが好適である。また、ウェイト片の形状は特に限定されず、円柱状の他、回転楕円体状、球状などであれば、スリーブ紐内部への挿入が容易となる。特に、直径が1〜3mmで、かつ、長さが3〜10mmである円柱状のウェイト片であれば、同直径の金属線を切断することにより容易に製造できる。なお、防錆の観点から、金属製のウェイト片の場合、ステンレス、真鍮、アルミニウムなどであることが好ましい。
【0015】
スリーブ紐2が解糸したり、スリーブ紐2が損傷を受けたりすることにより、ウェイト片3が脱離するおそれがある。かかる場合、図2に示すように、更に第2のスリーブ紐5を被着して、スリーブ紐2とスリーブ紐5とによる二重構造にすることにより、外側のスリーブ紐5の解糸や損傷等があっても、内部のウェイト片3の脱離を防止できる。
【0016】
図3はウェイトテープをカーテンに取り付けた様子を示す図である。ウェイトテープ1は、カーテン20の下端に糸22で縫い付けられている。図では、オーバーロック縫いで縫い付けられているが、他の縫い付け方法でも構わない。
【0017】
なお、スリーブ紐の代わりに、ゴムチューブや熱収縮チューブも使用することもできる。すなわち、ゴムチューブを断面方向に拡張したままでウェイト片を挿入し、ゴムの収縮により、ウェイト片を固定することができる。また、熱収縮チューブにウェイト片を挿入した後、加熱により該熱収縮チューブを収縮させ、ウェイト片を固定することができる。
【0018】
次に、製造方法について説明する。図4は、本発明に係るカーテン用ウェイトテープの製造方法を示す概念図である。
【0019】
7はリリアン編み機で、略円筒状の形状をしている。リリアン編み機7の上部には複数の針7aが配置されている。糸6をリリアン編み機7の針7aに掛けることにより、リリアン編紐8が編まれる。そして、リリアン編紐8は、リリアン編み機7の内部を通り、下方に延出する。なお、糸6の掛け方は特に限定されず、公知の方法で構わない。また、図では、針7aは6本であるが、例えば8本でも構わず、6〜8本が好適である。
【0020】
リリアン編紐8が編まれる速度に応じて、編み開口部8aよりウェイト片3をリリアン編紐8の内部に挿入する。編まれた直後は、リリアン編紐8の編み開口部8aが拡がっているのでウェイト片3の挿入も容易である。挿入後、リリアン編紐8が伸長されることにより、リリアン編紐8が断面方向に収縮するのでウェイト片3が固定され、ウェイトテープ1ができる。
【0021】
このように、スリーブ紐を編みながら、編む速度に応じて、編み開口部よりスリーブ紐内にウェイト片を挿入する方法を採用すると、予めスリーブ紐を編んだ後にウェイト片を挿入するよりも容易であり、しかも、スリーブ紐の長さに制限されずにウェイト片を挿入することができる。
【0022】
更に、ウェイト片3を挿入した後、ウェイトテープ1を加振すると、ウェイト片3が間隔をおいて固定されるので、狭窄部9ができる。当該狭窄部9により、ウェイトテープ1に柔軟性を持たせることができ、その結果、カーテンの波打ち状態を良好に維持できる。
【0023】
リリアン編紐で説明したが、綾組紐など他のスリーブ紐でも同様の方法でウェイトテープが製造できる。
【0024】
次に、製造装置について説明する。図5は、本発明に係るカーテン用ウェイトテープの製造装置の断面を示す概略図を示す図である。
【0025】
回転体15にリリアン編み機17が固定されている。回転体15の上部はリリアン編み機17を覆う構造となっている。回転体15の上部より管部15aが延出し、糸6が巻かれたボビン12が回転自在に取り付けられている。糸6は糸ガイド16を通って、リリアン編み機17の上部に配置された針17aに掛けられている。そして、外部動力(図では省略)により回転体15が回転されることにより、リリアン編紐8が編まれ、回転体15の下部から下方に延出される。
【0026】
管11の一端はウェイト片供給装置10に接続され、他端11aは編み上がったリリアン編紐8の編み開口部8aに挿入されている。ウェイト片3は、ウェイト片供給装置10から管11を通って、編む速度に応じて、リリアン編紐8の内部に挿入され、ウェイトテープ1ができる。なお、ウェイト片供給装置10は、公知の装置で構わず、振動や空気圧などによりウェイト片を供給できればよい。
【0027】
更に、ウェイトテープ1は、プーリー13を介して、ボビン14に巻き取られる。プーリー13とボビン14との間では、巻き取りに伴い、ウェイトテープ1が伸長されながら加振されるので、ウェイト片3が間隔をおいて固定される。
【0028】
前述したように、スリーブ紐の解糸や損傷等によるウェイト片の脱離のおそれがある場合、第2のスリーブ紐を被着し、スリーブ紐を二重構造とすることができる。すなわち、完成したウェイトテープを内部に挿入しながら、更にスリーブ紐を編むことにより、第2のスリーブ紐を被着することができ、スリーブ紐を二重構造とすることができる。
【0029】
図6は、第2のスリーブ紐を被着する装置の断面を示す概略図である。回転台31上には糸6が巻かれたボビン32が配置されている。例えば、16本のボビン32が配置され、半数の8本が時計回りに回転するボビンで、残りの8本が反時計回りに回転するボビンである。そして、半数に分けられたボビン32は交差するように回転することにより、綾組紐33が編まれ、ガイド35により太さを調整され、上方に延出する。なお、ボビン32の本数は、16本の他、8本や24本などの偶数であれば構わない。
【0030】
ボビン41に巻かれたウェイトテープ1は、プーリー42を介して、回転台31を貫通するガイド管45を通って、綾組紐33の編み開口部33aに挿入される。したがって、ウェイトテープ1の外側に綾組紐33が被着され、プーリー43を介して、ボビン44に巻き取られる。このようにして、図2に示した構造を有するウェイトテープができる。かかる構造であれば、外側のスリーブ紐の解糸や損傷があっても、内部のウェイト片が脱離することがない。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、人体に有害な鉛を使用していないため、人体に無害なカーテン用ウェイトテープを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるカーテン用ウェイトテープの実施形態を示す概略断面図である。
【図2】 本発明にかかるカーテン用ウェイトテープの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】 本発明にかかるカーテン用ウェイトテープをカーテンに取り付けた様子を示す図である
【図4】 本発明にかかるカーテン用ウェイトテープの製造方法を示す概念図である。
【図5】 本発明にかかるカーテン用ウェイトテープの製造装置の断面を示す概略図である。
【図6】 本発明にかかる第2のスリーブ紐を被着する装置の断面を示す概略図である。
【符号の説明】
1 カーテン用ウェイトテープ
2、5 スリーブ紐
3 ウェイト片
6 糸
7、17 リリアン編み機
8 リリアン編紐
10 ウェイト片供給装置
20 カーテン
33 綾組紐
Claims (4)
- 長手方向に伸長すると断面が収縮する性質を有するスリーブ紐を編みながら、編む速度に応じて、挿入されるウェイト片より幅の広く拡がっている編み開口部に上方から複数のウェイト片を前記スリーブ紐内に挿入し、
下方に延出され編みあがる前記スリーブ紐のプーリーを介した巻き取りに伴い、複数のウェイト片が挿入されている前記スリーブ紐を伸長し断面方向を収縮させて、間隔をおいて前記ウェイト片を前記スリーブ紐内に固定するとともに、この固定された複数のウェイト片の間に狭窄部を形成することを特徴とするカーテン用ウェイトテープの製造方法。 - 前記スリーブ紐がリリアン編紐である請求項1に記載のカーテン用ウェイトテープの製造方法。
- 請求項1又は2に記載された方法でカーテン用ウェイトテープを製造し、前記スリーブ紐の外側に第2のスリーブ紐を編むことを特徴とするカーテン用ウェイトテープの製造方法。
- 長手方向に伸長すると断面が収縮する性質を有するスリーブ紐を編む製紐手段と、編む速度に応じて、挿入されるウェイト片より幅の広い編み開口部より複数のウェイト片を前記スリーブ紐内に上方から挿入する手段と、プーリーを介して前記スリーブ紐を巻き取る手段とを有し、前記スリーブ紐がリリアン編紐であって、
前記製紐手段は、回転体と、当該回転体に固定されたリリアン編み機と、リリアン編み機の上部に配置され糸がかけられた針とを有し、回転体が回転して回転体の下部から下方に延出されて編みあがるものであり、
前記ウェイト片の挿入手段は、一端がウェイト片供給装置に接続され、他端が前記編みあがったリリアン編紐の編み開口部に上方から挿入される管を有し、ウェイト片はウェイト片供給装置から当該管を通って編む速度に応じてリリアン編紐の内部に挿入されるものであり、
前記巻き取る手段は、前記スリーブ紐を伸長して前記スリーブ紐の断面方向を収縮させ、間隔をおいて前記ウェイト片を前記スリーブ紐内に固定するとともに、この固定された複数のウェイト片の間に狭窄部を形成するものであることを特徴とするカーテン用ウェイトテープの製造装置。
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