JP3904035B2 - 耐熱マグネシウム合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、必須成分として、所定比率のZn,Ca,Zr及び1種以上の稀土類元素を含み、優れたダイカスト性とクリープ特性とを併有する耐熱マグネシウム合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、材料の軽量化へのニーズが高まり、特に、航空機材料或いは自動車材料として、実用合金中最も密度の小さいマグネシウム合金が注目されている。
しかしながら、このマグネシウム合金は、アルミニウム合金に比べ耐熱強度が低いか、或いは耐熱性を向上させるためにイットリウム(Y)、銀(Ag)などの高価な元素を添加するため非常に高価な合金になるとともに、ダイカストに使用した場合に鋳造割れが発生し易くなるので、その使用範囲が制限されるという問題を有している。
【0003】
前記問題を解決するため、種々のマグネシウム合金が提案されている。例えば、特開平7−18364号公報には、イットリウムなどの高価な元素の代わりに比較的安価なカルシウム(Ca)を添加することにより、耐熱性及びクリープ特性を向上させたMg−Zn−Ca合金が開示されている。
又、同様の合金系でも、特開平6−25791号公報には、カルシウムに加えて銅(Cu)を添加することにより、室温強度及び高温強度を向上させたMg−Zn−Ca−Cu合金が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの合金はダイカスト時に割れが発生し易く、それ故、ダイカストが困難であるという欠点を有している。又、クリープ特性は他のマグネシウム合金よりも良好であるが、イットリウムなどの高価な元素を添加した従来の耐熱マグネシウム合金よりは劣る。したがって、比較的安価に製造することができ且つ優れたダイカスト性とクリープ特性とを併有する耐熱マグネシウム合金は従来知られていなかった。
【0005】
本発明者らは、上述の如き従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験を重ねた結果、本発明を成すに至った。
本発明の目的は、優れたダイカスト性とクリープ特性とを併有する耐熱マグネシウム合金を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のダイカスト用耐熱マグネシウム合金は、重量%で亜鉛(Zn):1.0〜6.0%、カルシウム(Ca):0.5〜3.0%、ジルコニウム(Zr):0.5〜1.0%、1種以上の稀土類元素:1.5〜2.7%を含み、残部がマグネシウム(Mg)と不可避不純物とからなり、優れたダイカスト性とクリープ特性とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明者らは、上述の従来技術の問題点に対して、以下のことに着眼した。すなわち、マグネシウム製品の殆どがダイカスト製品であるが、上記のMg−Zn−Ca合金は鋳造割れが発生し易く、ダイカストすることは困難である。そこで、この合金の鋳造性を改善し、高温強度特性を向上させ、アルミニウム合金並み、すなわち、イットリウムなどの高価な元素を添加した従来の耐熱マグネシウム合金並みの高温強度にすることを意図した。
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために種々の検討を加えた結果、Mg−Zn−Ca合金にMgと共晶反応を起こさせる元素と、Mg粒微細化効果のあるMgと包晶反応を起こす元素とを複合添加すると鋳造割れを抑制することができることを見出した。更に、これらの元素について調査を進めたところ、共晶反応を起こす元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)等のMgに対して比較的固溶量が少ない稀土類元素が有効であり、これらの混合物であるミッシュメタルも有効であった。包晶反応を起こす元素としては、微細化効果も大きく結晶粒も球状化するジルコニウム(Zr)の効果が大きいことを見出した。
【0009】
本発明の耐熱マグネシウム合金が優れたダイカスト性とクリープ特性とを併有するメカニズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
本発明のマグネシウム合金は、上記のMg−Zn−Ca合金の鋳造割れ性と高温強度を改善したものである。鋳造割れ性の改善は、共晶化合物の適度な増加と、それに伴う高温強度の改善、並びにα−Mg粒の微細化と機械的性質の向上が複合的に作用することによると考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の耐熱マグネシウム合金における亜鉛は、該合金の室温強度と鋳造性を改善する元素である。亜鉛の含有率が1重量%未満の場合はその効果が不充分であり、鋳造割れも発生し易い。又、亜鉛の含有率が6%を越えるとクリープ特性が劣化する。それ故、亜鉛の添加率は1.0〜6.0重量%、好ましくは、充分に室温強度が向上し、且つクリープ特性が殆ど劣化しない2〜4重量%とするのが良い。
【0011】
カルシウムは、マグネシウムの静的強度、クリープ特性を向上させる元素である。カルシウムの含有率が0.5重量%未満の場合は、充分な強化ができない。又、カルシウムの含有率が3.0重量%を越える場合は、伸びを減少させるとともにダイカスト時に多くの鋳造割れが生じる。それ故、カルシウムの含有率は0.5〜3.0重量%、又、カルシウムの添加によるクリープ特性の向上は1.0重量%程度でほぼ飽和するので、好ましくは、0.7〜1.5重量%とするのが良い。
【0012】
ジルコニウムは微細化効果が現れるように0.5重量%以上の含有率が必要になる。しかし、ジルコニウムの含有率が1重量%を越えると本合金の融点が高くなり均一にジルコニウムが分散しないので、工業的に意味がない。それ故、ジルコニウムの含有率は0.5〜1.0%重量%とする。
【0013】
共晶化合物を作る稀土類元素は本合金のダイカスト性を改善するとともに、強度も向上させる。とりわけ、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム等のマグネシウムに対して比較的固溶量が少なく、マグネシウム側で共晶型の状態図を呈する稀土類元素の1種以上を単独又は組み合わせて使用するのが有効である。稀土類元素の含有率が合計で1.5重量%未満の場合には、鋳造割れ改善効果は小さく、2.7重量%を越えると共晶化合物の増加により合金が脆くなる。それ故、稀土類元素の含有率は1.5〜2.7重量%、好ましくは、稀土類元素の特性を充分に発揮させるためには、2.0〜2.7重量%とするのが良い。
【0014】
本発明の耐熱マグネシウム合金は、静的強度を改善するために、2.0重量%以下のアルミニウムを含んでもよい。なお、アルミニウムの比率が2.0重量%を越えるとクリープ特性が悪化するので注意する。又、本発明の耐熱マグネシウム合金は、耐蝕性及びクリープ特性を改善する目的で、1.0重量%以下のマンガンを含んでもよい。
【0015】
本発明の耐熱マグネシウム合金の製造方法の一例を簡単に示すと、以下の如くである。すなわち、本発明の合金はマグネシウム以外の各成分元素を純金属、合金又は塩化物や弗化物の形態で溶融マグネシウムに添加するか、或いはマグネシウムや各成分元素を含む各種母合金を組み合わせて製造する。
但し、ジルコニウムについては微細化効果の持続時間を考慮して、溶湯を攪拌する必要がある。なお、溶解作業中は、従来のマグネシウム合金と同様にSF6 ガスやフラクッス等による防燃や精錬を必要において行なうことが好ましい。この溶湯をダイカストすることにより、微細な組織を有する機械的特性が良好な素材を得ることができる。
【0016】
【実施例】
以下の実施例及び比較例において、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜3:
電気炉中で予熱した高クロム合金鋼(SUS430)製るつぼの内面に塩化マグネシウム系のフラックスを塗布し、その中に純マグネシウム地金を投入して溶解した。700℃に保持した溶湯に金属カルシウム、亜鉛、ミッシュメタルを添加し、更に780℃に昇温してMg−Zr合金を添加し、溶湯を攪拌した。充分に攪拌後、これらが完全に溶解したことを確認してから、精錬を行なった。精錬終了後、780℃に保持した。なお、溶解作業中は燃焼防止のために溶湯表面に炭酸ガスとSF6 ガスとの混合ガスを流速0.2L/分で吹き付けるとともに、適宜フラックスを溶湯表面に散布した。このようにして得た合金溶湯を図1に示す試験片形状にダイカストした。ダイカストしたときの鋳造割れの発生を目視、若しくはX線探傷試験で確認し、合金の鋳造割れ感受性を○と×により定性評価した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0017】
比較例1〜5及びAZ91D:
表1に示す比率で各成分を使用することにより、上記実施例と同様の方法で比較例1〜5の合金の試験片を製造し、上記実施例と同様の方法で鋳造割れ感受性を評価した。又、実用マグネシウム合金であるAZ91Dについても同様にして試験片を製造し、その鋳造割れ感受性を評価した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0018】
【表1】
【0019】
表1より、実施例1〜3のマグネシウム合金は実用マグネシウム合金であるAZ91Dと同等の鋳造割れ感受性を有することが判る。これに対して、比較例1〜5のマグネシウム合金は、何れも鋳造割れ感受性が劣っていた。すなわち、比較例1〜5のマグネシウム合金は本発明のマグネシウム合金のマグネシウム以外の必須成分のうちの少なくとも1種を含まないか(比較例1〜4のマグネシウム合金)、或いは稀土類元素の含有率が本発明の範囲外である(比較例5のマグネシウム合金)が、これらの場合の何れも鋳造割れ感受性が悪かった。それ故、本発明のマグネシウム合金において、マグネシウム以外の必須成分は有効であり、特に、稀土類元素の含有率が本発明の範囲を僅かに離れても鋳造割れ感受性が劣ることから、本発明における稀土類元素の含有率の有用性が判る。
【0020】
このようにして製造した各種マグネシウム合金のクリープ特性及び機械的性質を図2,3に示す。
図2は、各種マグネシウム合金から製造したダイカスト材(図1の試験片)のクリープ特性を示す曲線(クリープ曲線)であり、歪み率(縦軸)の経時変化(横軸;分)を示す。図2において、従来のマグネシウム合金であるAZ91,AS41及びAE42は何れも、150℃,50MPaの条件下で歪み率が大きく、且つ時間とともに歪み率が増大する。他方、Mg−2%Zn−1%Ca合金は150℃,64MPaの条件下でAE42と類似したクリープ特性を示すが、本発明合金(Mg−2%Zn−0.6%Ca−2%Mm−0.5%Zr;ここで、Mmはミッシュメタルを示す)は、150℃,64MPaの条件下で、QE22重力鋳造材と同様に歪み率が極めて低く、且つ時間とともに歪み率が殆ど増大しない。
【0021】
図3は、各種マグネシウム合金から製造したダイカスト材(図1の試験片)のσB /ρ(縦軸;破断強度/密度)の試験温度(横軸;K)による変化を表わす。本発明合金は、高温において、熱処理した従来のマグネシウム合金であるQE22−T6,ZE41−T5,AC8A−T6(ここで、T5,T6は熱処理を表わす)と同等若しくはこれらよりも優れており、又、AZ91ダイカストよりも優れているのが判る。
【0022】
【発明の効果】
本発明のダイカスト用耐熱マグネシウム合金は、ダイカスト性に優れているとともに、非常に高い高温強度を有し、クリープ特性も優れている。又、本発明のダイカスト用耐熱マグネシウム合金は稀土類の中でもイットリウムなどの高価な元素を使用せず、他の安価な稀土類で代替することができるので、比較的安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイカストした試験片の平面図である。
【図2】ダイカスト材のクリープ曲線を示す図である。
【図3】ダイカスト材の高温強度を示す図である。
Claims (1)
- 重量%で亜鉛(Zn):1.0〜6.0%、カルシウム(Ca):0.5〜3.0%、ジルコニウム(Zr):0.5〜1.0%、1種以上の稀土類元素:1.5〜2.7%を含み、残部がマグネシウム(Mg)と不可避不純物とからなり、優れたダイカスト性とクリープ特性とを併有することを特徴とするダイカスト用耐熱マグネシウム合金。
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