JP3903418B2 - 熱伝導性シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性シートに関する。さらに詳しくは、各種の電気及び電子機器の発熱性部品から発生する熱を効率よく放熱するための放熱材として用いられる熱伝導性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電気および電子機器においては、発熱性部品から発生する熱を効率よく放熱することが、誤作動を防止したり、製品寿命を延ばしたりする上で重要である。したがって、従来、発熱を伴う部品を有する電気および電子機器においては、発生する熱を放熱するための放熱材が用いられている。
【0003】
上記の放熱材の一つとして、黒鉛シートの少なくとも片面に、シリコーンゴムを塗布した熱伝導性シートが特公平3−51302号において開示されている。この熱伝導性シートは、その形状からして取り扱いが容易であり、また少なくとも片面にシリコーンゴムを有していて、取り付け対象部との密着性も良く、電気および電子機器の放熱材として便利なものとされている。しかしながら、この熱伝導性シートは、黒鉛シートにシリコーンゴムを塗布しただけであるので、黒鉛シートとシリコーンゴムとの密着が不十分となって剥離を起こしたり、密着面に気泡や空隙を生じることがあった。また、その放熱性能も十分に高いとはいえず、改良の余地があった。
さらに、取り付け対象部に沿って熱伝導性シートを変形させる結果、黒鉛シートに劈開を生じたり、場合によっては黒鉛が劈開片として欠落する等、使用時における信頼性の点でも問題があった。また、その製造時においても、連続シートとして製造しようとする場合に、黒鉛シートがちぎれる恐れがあるため十分な巻取りテンションを掛け難く、量産性にも課題を残していた。
【0004】
そこで本発明者は、上記課題を解決する新規な熱伝導性シートを開発し、既に特許出願を行っている(特願2000−340460号、特願2000−341026号、及び特願2000−341029号)。これらの発明では、シート状黒鉛層とシート状エラストマー層とを積層させ、そのシート状エラストマー層に軟磁性フェライト等の熱伝導性充填材を配合することにより全体の熱伝導性(放熱性)を大幅に向上させている。また、シート状エラストマー層を積層させる際に特定の圧力で加圧したり、あるいはシート状黒鉛層に孔を穿ち、その孔にシート状エラストマー層の一部を嵌入させることによって、黒鉛層とエラストマー層とを強力に密着させ、層間の剥離等を防止している。
さらに、織布又は不織布を、シート状黒鉛層に貼着する等してエラストマー層中に埋設することにより、シート状黒鉛層を補強し、黒鉛がちぎれたり劈開するするのを防止して、信頼性を大きく向上させている。
【0005】
しかし、上記のように織布又は不織布を埋設させた場合、織布又は不織布の介在により熱伝導性は低下するため、全体の熱伝導性の向上には限界があった。そのため、熱伝導性充填材を配合する利点が十分に生かされず、改善の余地があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、織布又は不織布による利点、すなわち変形に対する劈開等の欠陥が防止され、量産性にも優れるという利点を維持しつつ、高い熱伝導性を有し、さらに黒鉛層とエラストマー層とが強力に密着して剥離等を起こさない、新規な熱伝導性シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の熱伝導性シートは、請求項1として、シート状黒鉛層の一方の面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記織布又は不織布と、前記シート状黒鉛層の他方の面との両方にシート状エラストマー層が積層され、前記両方のシート状エラストマー層の少なくとも一方に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2は、シート状黒鉛層の一方の面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記シート状黒鉛層の他方の面にはシート状エラストマー層が積層され、前記シート状エラストマー層に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3は、シート状黒鉛層の一方の面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記織布又は不織布にシート状エラストマー層が積層され、前記シート状エラストマー層に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4は、シート状黒鉛層の両面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記両面に貼着された織布又は不織布の両方にシート状エラストマー層が積層され、前記両方のシート状エラストマー層の少なくとも一方に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項5は、シート状黒鉛層の両面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記両面に貼着された織布又は不織布の一方にシート状エラストマー層が積層され、前記シート状エラストマー層に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする。
【0012】
上記請求項1〜5の構成によれば、織布又は不織布によってシート状黒鉛層が補強され、全体の変形に対してシート状黒鉛層が柔軟に追従し、黒鉛の劈開等を生じない。また、織布又は不織布が介在することによる熱伝導率の低下を、接着剤中の添加材が補い、全体の熱伝導性が高く維持される。
【0013】
また、請求項6は、請求項1〜5のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、シート状黒鉛層と織布又は不織布とに連通して厚さ方向に孔が穿たれ、前記孔の中にシート状エラストマー層から突出したエラストマーの突起が嵌入されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7は、請求項1又は4記載の熱伝導性シートにおいて、シート状黒鉛層と織布又は不織布とを貫通して厚さ方向に孔が穿たれ、前記孔の中にシート状エラストマー層から突出したエラストマーの突起が嵌入され、前記突起を介して両方のシート状エラストマー層が一体に結合されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項8は、請求項6又は7記載の熱伝導性シートにおいて、織布又は不織布が、シート状黒鉛層に穿たれた孔に沿って入り込んでいることを特徴とする。
【0016】
上記請求項6〜8の構成によれば、シート状黒鉛層に穿たれた孔に、織布又は不織布、あるいはシート状エラストマー層が入り込み、層間の密着性がより強固となって剥離等が防止される。
【0017】
また、請求項9は、請求項1〜8のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、接着剤に含まれる添加材が、炭素粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる一以上であることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、熱伝導性や、電気絶縁性、接着剤への分散性等を考慮して、接着剤に含まれる添加材の具体的な種類が特定される。
【0019】
また、請求項10は、請求項1〜9のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、熱伝導性充填材が、軟磁性フェライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナから選ばれる一以上であることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、熱伝導性や、シート状エラストマー層への分散性等を考慮して、熱伝導性充填材の具体的な種類が特定される。
【0021】
また、請求項11は、請求項1〜10のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、シート状エラストマー層が、シリコーンゴムから構成されることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、種々のエラストマー物質の中で特にシリコーンゴムが選択される。シリコーンゴムは、電子部品等の取り付け対象部、及びシート状黒鉛層に対して柔軟に密着し、また、耐熱性を有するため、熱伝導性シートとして最適である。
【0023】
さらに、請求項12は、請求項1〜11のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、織布又は不織布の目付が、10〜30g/m2であることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、熱伝導性を低下させずに、補強効果を十分に発揮させる観点から、織布又は不織布の目付の範囲が最適化される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1に、本発明の実施の形態(1)を示す。図1の熱伝導性シート1は、まず、シート状黒鉛層10の一方の面に、織布又は不織布11が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。そして、織布又は不織布11と、シート状黒鉛層10の他方の面との両方にはシート状エラストマー層14、14’がそれぞれ積層され、それらのシート状エラストマー層14、14’の少なくとも一方には熱伝導性充填材15が配合されて概略構成されている。
【0026】
まず、シート状黒鉛層10としては、従来知られた各種の黒鉛シートを適宜選択して用いることができる。例えば、天然黒鉛から誘導されたものや、高分子化合物を黒鉛化して誘導されたもの等を挙げることができ、その製造由来は問わない。なお、シート状黒鉛層は可撓性を有することが好ましい。シート状黒鉛層の厚さは、必要に応じて適宜設定することができるが、一般に、0.1〜1.6mmが適当である。また、シート状黒鉛層の密度についても、特に限定されるものではないが、取り付け対象部に沿って変形させる場合に加わる応力を考慮して、一般的な黒鉛よりも密度が小さい方が好ましい。具体的には、0.5〜1.5g/cm3、就中0.6〜0.8g/cm3程度とすることが好ましい。
【0027】
また、シート状黒鉛層10の表面には、必要に応じて、織布又は不織布11あるいはシート状エラストマー層14’との接着性を向上させるために、予めプライマーを塗布しておくことができる。このプライマーの例として、プライマーC(商品名;信越シリコーン社製)、プライマーX(商品名;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、プライマーY(商品名;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ME151(商品名;東芝シリコーン社製)等を挙げることができる。
【0028】
シート状黒鉛層10に貼着させる織布又は不織布11としては、使用時の耐熱性を考慮して、種々の合成繊維、天然繊維、ガラス繊維、金属繊維等の織布、不織布の中から適宜選択し用いることができる。ただし、織布又は不織布11を貼着した側(図1ではシート状エラストマー層14側)を電気・電子機器等へ取り付ける側とする場合には、織布又は不織布11は電気絶縁性を有することが好ましい。このような織布・不織布の好適な例として、メタ・アラミドペーパー(商品名;デュポン帝人アドバンスドペーパー社製)等のアラミド系繊維からなる不織布を挙げることができる。また、織布又は不織布の厚さは、厚過ぎると熱伝導性シート全体の熱伝導率が低下し、逆に薄過ぎるとシート状黒鉛層10に対する補強効果が十分に得られないので、これらを考慮して適宜設定される。具体的には、目付にして10〜30g/m2、就中12〜18g/m2が適当である。
【0029】
続いて、上記織布又は不織布11を、接着剤13によりシート状黒鉛層10に貼着させるが、本発明ではこの接着剤13中に、熱伝導性の添加材12を含有させることを特徴とする。これにより、添加材12が熱の伝導を担うので、織布又は不織布11が存在しても全体の熱伝導率が低下せず、高い放熱性を得ることができる。添加材12としては、接着剤13中に分散できて熱伝導率が比較的高い物質であればいずれも用いることができる。具体例としては、カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等を挙げることができ、これらに限定されるものではないが、それらの粒径は、織布又は不織布11の厚さ程度の粒径を有することが好ましい。
【0030】
また、添加材12の添加量は、シート状黒鉛層10に対する織布又は不織布11の接着性を損なわない範囲で適宜設定することができる。ただし、上記のカーボンブラックのような、導電性を有する添加材を用いる場合は、添加量が多過ぎると、熱伝導性は高くなるが一方で電気絶縁性が低下し、電子部品等に取り付けるシートとしては望ましくないのが一般的なので、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、添加材12の種類によっても異なるが、例えばカーボンブラックの場合、接着剤13に対して20〜40重量%、就中25〜35重量%程度とすることが好ましい。
【0031】
接着剤13としては、種々の接着剤を適宜選択して行う。また、用いる接着剤は、耐熱性を有し、熱膨張率が小さいことが好ましい。このような接着剤の例としては、ユピタイト(商品名;宇部興産社製)、カプトン(商品名;東レ・デュポン社製)等のポリイミド系接着剤、KE1800T(商品名;信越シリコーン社製)、YR3232(商品名;GE東芝シリコーン社製)等のシリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
織布又は不織布11をシート状黒鉛10に貼着する際は、一般的な方法により行うことができる。すなわち、予め添加材12を分散させておいた接着剤13を、シート状黒鉛層10の表面に塗布し、その後に織布又は不織布11を積層させ、必要に応じてロールや平板プレス等で加圧しつつ接着剤を硬化させれば良い。あるいは、添加材12を含む接着剤13を、織布又は不織布11に塗布するか又は含浸させ、それをシート状黒鉛層10に積層させて貼着しても良い。
【0033】
織布又は不織布11を貼着することにより、シート状黒鉛層10が補強され、その結果、熱伝導性シート1を変形させたときに生じるシート状黒鉛10の劈開あるいは欠落を防止することができる。また、熱伝導性シート1の製造過程において、例えば巻取りテンション等の外力を加えた際に、シート状黒鉛層10がちぎれる等の事態を回避することができる。したがって、熱伝導性シート1を連続シートとして製造することが可能となり量産性が向上する。なお、上述したように、織布又は不織布11を貼着させるにもかかわらず、添加材12のために全体の熱伝導性は高く維持される。
【0034】
次に、シート状エラストマー層14(特に断らない限り、シート状エラストマー層14’を含む)について説明する。シート状エラストマー層14を構成するエラストマーとしては、従来知られた各種のエラストマーを適宜選択して用いることができる。具体例として、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れるシリコーンゴムが特に好ましく用いられる。
【0035】
シリコーンゴムとしては、例えば、加熱硬化型あるいは常温硬化型のもの、硬化機構が縮合型あるいは付加型のものなど、いずれも用いることができる。また、ケイ素原子に結合する基も特に限定されるものではなく、その例として、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基のほか、これらの基の水素原子が部分的に他の原子または結合基で置換されたものを挙げることができる。上記各種のシリコーンゴムの中でも、硬化機構が付加型のものは、硬化に際して副生成物が生成されず、この点で好ましく用いられる。
【0036】
また、シリコーンゴムは、ゲル状態のものでもよく、例えば、硬化後におけるJIS K2207−1980(50g荷重)の針入度が、後述の熱伝導性充填材を配合しない状態で5〜200、就中80〜120のものを用いることが好ましい。この程度の柔らかさのシリコーンゴムを用いると、シート状エラストマー層14の密着性が増し、熱伝導性シートの取り付けに際し便利である。
【0037】
なお、一般に、シリコーンゴム等の市販のエラストマーには、充填材、可塑材、その他の添加材等を含んだ形で市場に出荷されるものがあるが、これらのエラストマーも、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜用いることができる。
【0038】
そして、シート状エラストマー層14及び14’の少なくとも一方には、熱伝導性充填材15を配合する。すなわち、図1では、シート状エラストマー層14、14’の両方に対して配合した例を示しているが、シート状エラストマー層14のみに配合しても良いし、シート状エラストマー層14’のみに配合しても良い。熱伝導性充填材15としては、従来知られた各種の熱伝導性の物質から適宜選択して用いることができる。その例として、軟磁性又は硬軟磁性フェライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウムの等の窒化物、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸素チタン、酸化ジルコニウム等の酸化物、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、純鉄、金属ケイ素、アルミニウム、金、銀、銅等が挙げられる。これらの熱伝導性充填材は、必要に応じて複数種併用することができる。ただし、電子部品等に取り付ける側のシート状エラストマー層に対して熱伝導性充填材を配合させる場合には、電気絶縁性の熱伝導性充填材(上記のうちではフェライト、窒化物、酸化物等)を選択して配合することが好ましい。熱伝導性充填材の配合量は、必要に応じて適宜設定することができるが、一般に、シート状エラストマー層に十分な熱伝導性を付与し、かつ良好な成形性を確保するため、シート状エラストマー層の総重量に対して20〜90重量%が適当である。
【0039】
なお、上記の軟磁性フェライトについては、Mn−Mg系、Ni−Zn系、Cu−Zn系等の軟磁性フェライトが知られており、これらのいずれも適用可能であるが、その中でも、Ni−Zn系の軟磁性フェライトは、相応に熱伝導性が高く、シリコーンゴムを用いた場合にその硬化阻害を起こし難く、シリコーンゴムへの分散性に優れているという特性を兼ね備えているため特に好ましく用いられる。軟磁性フェライトは、例えば窒化ホウ素等のような高熱伝導充填材と比べると遥かに低価格で入手することができ、経済的である。
【0040】
また、上記のカーボンナノチューブは、一般に、炭素からなる、外径が2〜70nm、長さが直径の102倍以上である円筒状の中空繊維状の物質であって、炭素含有ガスの気相分解反応や、炭素棒、炭素繊維等を用いたアーク放電法等によって得ることができる。また、その末端形状は円筒状や円錐状等のものが知られているが、いずれも適用可能である。さらに、末端は閉じていても開いていてもどちらでも良い。好ましく用いられるカーボンナノチューブの例として、Graphite Fibrils・Grades BN(商品名;ハイペリオン・カタリシス・インターナショナル社製)等が挙げられる。
【0041】
さらに、上記のカーボンマイクロコイルは、一般に、炭素からなる、繊維直径が0.05〜5μm、コイル外径が繊維直径の2〜10倍であり、巻数が10μm当たり5/コイル外径(μm)〜50/コイル外径(μm)であるコイル状繊維の物質であって、炭素含有ガスの気相分解反応によって得ることができる。
【0042】
カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルは、熱伝導性を有するとともに、電磁波吸収性にも優れている。したがって、これらをシート状エラストマー層に配合した熱伝導性シートは、SN比が高い電磁波吸収性を発揮することができる。また、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルの配合量は、未だこれらの総生産量が少ないこともあって非常に高価であるため、シート状エラストマー層の総重量に対して0.05〜10重量%程度とし、他の熱伝導性充填材を併用することが好ましい。
【0043】
上述の種々の熱伝導性充填材について、その形状は、球状、繊維状、不定形状等の任意の形状のものを採用することができる。また、その大きさは、適宜設定することができるが、一般に、粒径3〜50μm程度、就中10〜20μmの球状であることが分散性向上等の点から好ましい。
【0044】
また、シート状エラストマー層14の材質として特にシリコーンゴムを用いる場合、熱伝導性充填材15は、シリコーンゴムとの親和性を一層高めて均一に分散させるために、必要に応じて、その表面をシランカップリング剤で処理することができる。このシランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラ、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。シランカップリング剤の使用量は、必要に応じて適宜設定することができるが、一般に、熱伝導性充填材の重量に対して約0.2〜10重量%が適当である。
【0045】
さらに、シート状エラストマー層14、14’の両方に対して熱伝導性充填材15を配合する場合、配合する充填材の種類・量などの組成を、両方のシート状エラストマー層14、14’で同一とすることもできるし相異なるようにすることもできる。相異なる場合の具体例として、ICチップ等の電子機器に取り付ける側のシート状エラストマー層に、電気絶縁性の軟磁性フェライトのみを配合し、他方の、開放される側あるいは放熱フィン等に接続される側のシート状エラストマー層には、電磁波吸収効果を付与するためにカーボンナノチューブを配合する場合、等を挙げることができる。
【0046】
なお、上記シート状エラストマー層14には、必要に応じて、熱伝導性充填材15以外に、本発明の目的を損なわない範囲で従来一般にエラストマーに用いられている硬化剤、硬化促進剤、着色剤、難燃材等を適量配合することができる。
【0047】
シート状エラストマー層14(14’)を、織布又は不織布11あるいはシート状黒鉛層10に対し積層させるに当たっては、一般的な方法により行うことができる。すなわち、熱伝導性充填材を配合する場合について説明すると、まず未硬化で流動性のあるエラストマーの原液に対し、それらの熱伝導性充填材、及び必要に応じて用いる一般的な添加材を配合して熱伝導性のエラストマー組成物を調製する。このエラストマー組成物の調製は、エラストマー原液に上記充填材等を加え、例えばヘンシェルミキサー、バンバリー混合機、三本ロール混練機等により適宜混合することによって行うことができる。そして、このエラストマー組成物を、上述の織布又は不織布11の上、あるいはシート状黒鉛層10の上に流し込み、流し込んだエラストマー組成物を硬化させて目的の熱伝導性シート1を得ることができる。ここでエラストマー組成物の流し込みは、スプレー法、デイッピング法、カレンダリング法、ワイヤーバーコート法等の公知の手段を用いて行うことができる。
【0048】
流し込んだエラストマー組成物を硬化させる際には、加圧しつつ行うことが好ましい。本発明者によれば、シート状エラストマー層の形成過程においては気泡の発生が避けられないが、この気泡の存在により熱伝導率は若干低下することが判明している。また、シート状黒鉛層10とシート状エラストマー層14’との間、あるいは織布又は不織布11とシート状エラスマー層14との間に空隙ができると、やはり全体の熱伝導性は低下するので、加圧することによって上記の気泡及び空隙などの欠陥を除き、熱伝導性をより向上させることができる。加圧は、ロールや平板プレス等の各種プレス機により適宜加熱しながら行うことができる。あるいは、流し込んだエラストマー組成物を均一厚さに展開するためスキージする際に、そのスキージする圧力を利用して加圧しても良い。
【0049】
加圧する圧力は、エラストマー組成物を硬化させる温度や熱伝導性充填材の濃度等に応じて適宜設定されるが、低すぎると層間を密着させて欠陥を除去する効果が不十分であり、逆に高すぎると熱伝導性充填材の偏在を起こして好ましくないので、これらのバランスを考慮して適宜設定する。具体的には、10〜30kgf/cm2程度が好ましい。
【0050】
また、シート状エラストマー層14の厚さは、適宜設定することができるが、取り付け対象部との密着性を確保するためには、硬化後の厚さで、少なくとも80μm以上が好ましく、その中でも0.1〜1mmが特に好ましい。
【0051】
次に、本発明の実施の形態(2)を図2に示す。図2の熱伝導性シート1は、シート状黒鉛層10の一方の面に、織布又は不織布11が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。そして、シート状黒鉛層10の他方の面にはシート状エラストマー層14が積層され、そのシート状エラストマー層14には熱伝導性充填材15が配合されている。
この実施の形態では、上記実施の形態(1)に比べて、全体に薄く形成できるため、熱伝導性に優れるという利点を有している。また、図2の熱伝導性シート1において、電子部品等に取り付ける面はシート状エラストマー層14側である。
【0052】
また、図3は本発明の実施の形態(3)であるが、この図3の熱伝導性シート1では、シート状黒鉛層10の一方の面に、織布又は不織布11が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。さらに、その織布又は不織布11にはシート状エラストマー層14が積層され、シート状エラストマー層14には熱伝導性充填材15が配合されている。
この実施の形態では、実施の形態(2)と同様に、全体の厚さが薄くなるため熱伝導性に優れている。また、シート状エラストマー層14の一部が織布又は不織布11に含浸した状態となるので、いわゆるアンカー効果によってシート状エラストマー層14と織布又は不織布11との密着をより強固にすることができる。
【0053】
また、図4には本発明の実施の形態(4)を示す。図4の熱伝導性シート1は、シート状黒鉛層10の両面に、織布又は不織布11、11’が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。そして、織布又は不織布11、11’の両方にはシート状エラストマー層14、14’が積層され、その両方のシート状エラストマー層14、14’にはそれぞれ熱伝導性充填材15が配合されている。なお、熱伝導性充填材15は、図4のようにシート状エラストマー層14、14’の両方に配合することもできるし、あるいはどちらか一方のみに配合することもできる。
この実施の形態では、上記実施の形態(1)〜(3)と異なり、織布又は不織布11、11’が、シート状黒鉛層10の両面に貼着されているため、シート状黒鉛層10がより効果的に補強され、劈開等が強力に防止される。
【0054】
さらに、本発明の実施の形態(5)を図5に示す。図5の熱伝導性シート1は、シート状黒鉛層10の両面に、織布又は不織布11、11’が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。そして、織布又は不織布11、11’のいずれか一方(図5の場合は織布又は不織布11’の方)にはシート状エラストマー層14’が積層され、そのシート状エラストマー層14’には熱伝導性充填材15が配合されている。
この実施の形態では、上記実施の形態(4)と同様に、織布又は不織布11、11’が、シート状黒鉛層10の両面に貼着されているため、シート状黒鉛層10に対する補強効果が大きい。また、全体の厚さが薄くなるので、熱伝導性にも優れている。
【0055】
上記の実施の形態(2)〜(5)における、シート状黒鉛層10、織布又は不織布11、添加材12、接着剤13、シート状エラストマー層14、及び熱伝導性充填材15等についての各構成、並びに熱伝導性シート1の製造工程などについては上記実施の形態(1)の場合に準ずる。
【0056】
続いて、本発明の実施の形態(6)を図6に示す。図6の熱伝導性シート1は、シート状黒鉛層10の一方の面に、織布又は不織布11が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。また、織布又は不織布11の上にはさらにシート状エラストマー層14が積層され、そのシート状エラストマー層14には熱伝導性充填材15が配合されている。そして、シート状黒鉛層10と織布又は不織布11とには連通して孔16が穿たれ、その孔16の中にシート状エラストマー層14から突出したエラストマーの突起17が嵌入されている。この構成により、シート状エラストマー層14が、シート状黒鉛層10並びに織布又は不織布11に対し一体的に密着するため、層間の剥離をより確実に防止することができる。
【0057】
なお、孔16は、織布又は不織布11からシート状黒鉛層10へ貫通するように形成することが好ましいが、別の場合として、シート状黒鉛層10の厚さ方向の中途まで孔を穿った構成にすることもできる。その場合、中途の孔16の深さは適宜設定できるが、シート状黒鉛層10の厚さの半分よりも深く形成することが好ましい。また、孔16を形成するに当たっては、一般的な方法で行うことができ、例えば、シート状黒鉛層10に織布又は不織布11を貼着させた積層体に対し、目打ちやニードルなどパンチングや、ウォータージェットやレーザー等の公知の穿孔手段を適宜採用して行うことができる。さらに、孔16の数、水平断面形状、あるいは大きさは、必要に応じて適宜設定することができる。一般に、孔の数は1〜20個/cm2が適当であり、孔の水平断面形状は円形が好ましく、孔の大きさは直径0.2〜2mmが適当である。
【0058】
また、図6に示すように、織布または不織布11は、シート状黒鉛層10に穿たれた孔16に沿って入り込ませることが好ましい。これにより、シート状黒鉛層10と織布又は不織布11とが一体化して、積層維持強度をさらに向上させることができる。
【0059】
図6に示すような熱伝導性シート1を作製する際には、一般に、硬化前のエラストマー組成物を、シート状黒鉛層10に穿たれた孔16の中に流入させ、その後にエラストマー組成物を硬化させて突起17を形成することにより得ることができる。すなわち、熱伝導性充填材15等を配合した未硬化のエラストマー組成物を、多数の孔が穿たれた、シート状黒鉛層10と織布又は不織布11との積層体の上に流し込み、適宜加圧しながらエラストマー組成物を孔16中に流入させ、硬化させることによって製造することができる。
【0060】
次に、図7には本発明の実施の形態(7)を示す。図7の熱伝導シート1は、シート状黒鉛層10の一方の面に、織布又は不織布11が、熱伝導性の添加材12を含む接着剤13により貼着されている。また、織布又は不織布11、及びシート状黒鉛層10の他方の面に対してはさらにシート状エラストマー層14、14’がそれぞれ積層され、シート状エラストマー層14、14’には熱伝導性充填材15が配合されている。さらに、シート状黒鉛層10と織布又は不織布11とを貫通するように孔16が穿たれ、その孔16の中に、シート状エラストマー層14、14から突出したエラストマーの突起17が嵌入されている。そして、その突起17を介してシート状エラストマー層14、14’が互いに一体に結合されている。この構成により、シート状黒鉛層10、織布又は不織布11、及びシート状エラストマー層14、14’が完全に一体となって密着するため、層間の剥離等を確実に防ぐことができる。なお、熱伝導性充填材15は、図7のようにシート状エラストマー層14、14’の両方に配合しても良いが、どちらか一方のみに配合することもできる。また、織布又は不織布11についても、図7のようにシート状黒鉛層10の一方の面にのみ貼着しても良いし、あるいはシート状黒鉛層10の両面に貼着しても良い。
【0061】
なお、上記の実施の形態(6)及び(7)における、シート状黒鉛層10、織布又は不織布11、添加材12、接着剤13、シート状エラストマー層14、及び熱伝導性充填材15等についての各構成、並びに孔16に関する部分以外の製造工程などについては上記実施の形態(1)の場合に準ずる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、目付が15g/m2のポリエチレン不織布を、厚さ0.3mm、密度0.7g/cm3のシート状黒鉛層であるニカフィルム(商品名;日本カーボン社製)の片面に貼着させた。なお、貼着の際に用いる接着剤としては、シリコーン系接着剤YR3232(商品名;GE東芝シリコーン社製)を用い、この接着剤には予め、炭素粉末を接着剤に対して30重量%含有させた。
続いて、JIS K2207−1980(50g荷重)の針入度が100のシリコーンゲルCF5057(商品名;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)に対し、熱伝導性充填材として平均粒径16μmの不定形のNi−Zn系軟磁性フェライト粉末(パウダーテック社製)を、三本ロール混練機にて常温下で混合して組成物を調製した。なお、軟磁性フェライト粉末の配合量はシリコーンゲルに対して83重量%とした。次に、この組成物を、真空脱泡した後、上記の不織布とシート状黒鉛層との積層体の両面に対し、空気を巻き込まないように流し込み、その上から四隅にスペーサーを介在させたガラス板で蓋をして、100℃で30分間、20kgf/cm2の圧力で加熱プレスを行った。シリコーンゲル組成物が硬化したのを確認して、ガラス板を取り除き、目的の熱伝導性シートを得た。なお、シリコーンゲル組成物が硬化した層の厚さは両面ともに100μmとした。
【0063】
得られた熱伝導性シートについて、熱伝導率計QTM500(商品名;京都電子工業社製)を用いて熱伝導率を測定した。その結果、熱伝導率は6.3W/mKであり、後記比較例1に比べて2倍程度も高い数値を示した。さらに、得られた熱伝導性シートをプレスでの打ち抜き加工にて切断したところ、不織布を貼着しない場合に見られたような、シート状黒鉛層の切断面からの劈開や黒鉛の欠落は一切見られなかった。
さらに、製造時における熱伝導性シートのハンドリング性を評価するため、a)長尺状の熱伝導性シート(1m×40cm)の一短辺の両端を手で持ち、熱伝導性シートを自重で吊り下げた。その結果、シート状黒鉛層にひびが入ったり、各層間からの劈開等は見られなかった。また、b)上記長尺状の熱伝導性シートの対向する二つの短辺の中点をそれぞれ手で掴み、対向する短辺どうしを30cm程度まで近づけ、熱伝導性シートの中心部をたるませた。その結果、その自由屈曲部においてシート状黒鉛層にひびが入ったり、各層間からの劈開等は見られなかった。
【0064】
(実施例2)
上記実施例1において、Ni−Zn系軟磁性フェライト粉末に加えて、カーボンナノチューブであるGraphite Fibrils・Grades BN(商品名;ハイペリオン・カタリシス・インターナショナル社製)1重量%を配合したこと以外は、上記実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。次に、LED点滅数と電子音で電磁波の強弱を知らせる簡易な電磁波検知具を、パソコンに繋がれたCRTの前方に置き、この間に得られた熱伝導性シートを挿脱したときのLED点滅数および電子音強弱の差を調べたところ、この熱伝導性シートは電磁波吸収性にも優れていることがわかった。
【0065】
(比較例1)
不織布を貼着する際の接着剤に、カーボンブラックの粉末を含有させない以外は、上記実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
得られた熱伝導性シートについて、上記実施例1と同様の手法で熱伝導率を測定したところ、2.43W/mKにとどまった。
【0066】
(実施例3)
まず、目付が15g/m2のポリエチレン不織布を、厚さ0.3mm、密度0.7g/cm3のシート状黒鉛層であるニカフィルム(商品名;日本カーボン社製)の片面に貼着させた。なお、貼着の際に用いる接着剤としては、シリコーン系接着剤YR3232(商品名;GE東芝シリコーン社製)を用い、この接着剤には予め、炭素粉末を接着剤に対して30重量%含有させた。続いて、直径0.8mmの円形の孔を、その数9個/cm2の割合で、各孔が等間隔に、シート状黒鉛層及び不織布を一緒に貫通させて厚さ方向に穿った。
続いて、上記実施例1と同様のシリコーンゲルに、熱伝導性充填材として平均粒径10μmの窒化アルミニウムの粉末を、三本ロール混練機にて常温下で混合して組成物を調製した。なお、窒化アルミニウム粉末の配合量はシリコーンゲルに対して75重量%とした。次に、この組成物を、真空脱泡した後、上記の不織布とシート状黒鉛層との積層体の両面に対し、空気を巻き込まないように流し込み、その上から四隅にスペーサーを介在させたガラス板で蓋をして、100℃で30分間、20kgf/cm2の圧力で加熱プレスを行った。シリコーンゲル組成物が硬化したのを確認して、ガラス板を取り除き、目的の熱伝導性シートを得た。
【0067】
得られた熱伝導性シートの外観やカット断面を目視により観察した結果、流し込んだシリコーンゲルの組成物は、シート状黒鉛層及び不織布に穿たれた貫通孔に沿って流入しつつ硬化して突起を形成しており、表裏のシリコーンゲル層は貫通孔において突起を介して一体に結合していた。また、不織布はその貫通孔に沿って入り込んでいた。
【0068】
上記の熱伝導性シートについて、上記実施例1と同様に熱伝導率を測定したところ、6.8W/mKであり、非常に高い値が得られた。
また、使用時を想定して、手指により繰り返し屈曲させたところ、数10回程度の繰り返しでは、シート状黒鉛層からシリコーンゲル層が剥離することはなく、また、シート状黒鉛層自体も層間剥離することはなかった。
【0069】
【発明の効果】
以上、本発明の熱伝導性シートは、シート状黒鉛層に織布又は不織布を貼着したので、シート状黒鉛層が補強される。その結果、熱伝導性シートを変形させたときにシート状黒鉛層に劈開等の欠陥が発生せず、信頼性に優れる。また、巻き取りテンションを加えてもシート状黒鉛層がちぎれることがないので、熱伝導性シートを連続的なシートとして製造でき、量産性にも優れる。そして、本発明の最大の特徴として、織布又は不織布を貼着する際の接着剤に対しカーボン粉等の添加材を含有させたので、織布又は不織布が介在しても熱伝導率が低下せず、全体に高い熱伝導性を発揮することができる。
【0070】
また、織布又は不織布とシート状黒鉛層とに連通して孔を穿ち、その孔にシート状エラストマー層の突起を嵌入させたので、各層を一体に密着させ、層間剥離を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態(1)における熱伝導性シートの断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態(2)における熱伝導性シートの断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態(3)における熱伝導性シートの断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態(4)における熱伝導性シートの断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態(5)における熱伝導性シートの断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態(6)における熱伝導性シートの断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態(7)における熱伝導性シートの断面図である。
【符号の説明】
1 熱伝導性シート
10 シート状黒鉛層
11 織布又は不織布
11’ 織布又は不織布
12 添加材
13 接着剤
14 シート状エラストマー層
14’ シート状エラストマー層
15 熱伝導性充填材
16 孔
17 突起
Claims (12)
- シート状黒鉛層の一方の面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記織布又は不織布と、前記シート状黒鉛層の他方の面との両方にシート状エラストマー層が積層され、前記両方のシート状エラストマー層の少なくとも一方に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- シート状黒鉛層の一方の面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記シート状黒鉛層の他方の面にはシート状エラストマー層が積層され、前記シート状エラストマー層に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- シート状黒鉛層の一方の面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記織布又は不織布にシート状エラストマー層が積層され、前記シート状エラストマー層に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- シート状黒鉛層の両面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記両面に貼着された織布又は不織布の両方にシート状エラストマー層が積層され、前記両方のシート状エラストマー層の少なくとも一方に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- シート状黒鉛層の両面に、織布又は不織布が、熱伝導性の添加材を含む接着剤により貼着され、前記両面に貼着された織布又は不織布の一方にシート状エラストマー層が積層され、前記シート状エラストマー層に熱伝導性充填材が配合されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項1〜5のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、シート状黒鉛層と織布又は不織布とに連通して厚さ方向に孔が穿たれ、前記孔の中にシート状エラストマー層から突出したエラストマーの突起が嵌入されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項1又は4記載の熱伝導性シートにおいて、シート状黒鉛層と織布又は不織布とを貫通して厚さ方向に孔が穿たれ、前記孔の中にシート状エラストマー層から突出したエラストマーの突起が嵌入され、前記突起を介して両方のシート状エラストマー層が一体に結合されていることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項6又は7記載の熱伝導性シートにおいて、織布又は不織布が、シート状黒鉛層に穿たれた孔に沿って入り込んでいることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項1〜8のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、接着剤に含まれる添加材が、炭素粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる一以上であることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項1〜9のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、熱伝導性充填材が、軟磁性フェライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナから選ばれる一以上であることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項1〜10のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、シート状エラストマー層が、シリコーンゴムから構成されることを特徴とする熱伝導性シート。
- 請求項1〜11のいずれか記載の熱伝導性シートにおいて、織布又は不織布の目付が、10〜30g/m2であることを特徴とする熱伝導性シート。
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