JP3902462B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱方式の定着ローラを有する定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置として、誘導加熱(発熱)方式の定着ローラを備えるものが知られている。一般に誘導加熱方式においては、定着ローラ内部に誘導コイルを配備し、その誘導コイルに高周波電流を流して誘導磁束を発生させ、この誘導磁束によりローラ外周部の導電層に誘導電流を発生させ、誘導電流に伴うジュール熱により定着ローラを発熱させるようにしている。
【0003】
ところが、誘導コイルが定着ローラ内部に設けられているため、発熱したローラ芯金からの輻射熱やコイルの自己発熱により温度が上昇し、場合によってはコイルの絶縁皮膜の耐熱温度を越えてしまい、装置が破損する問題があった。
【0004】
上記課題を解決する方法として、特開2000−172100号公報又は特開2000−131979号公報に開示された例のように、コイル温度上昇の対策として、高コストの耐熱コイルを使用し、さらには冷却ファンを用いてコイルを冷却するなどの対策が知られている。図5は、定着ローラ50に冷却ファン51を備える定着装置の一例を示すもので、定着ローラ50の両側に冷却ファン51を設け、定着ローラ50の矢印B方向に空気を吹き込んで、反対側から矢印C方向に向けて排出させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの発明は共にコイルの片側から一方向に空気を送っているために通常の使用では図5(b)及び図5(c)に示すように、冷却ファンを稼動すると、軸方向に一様にコイルの温度低下が見られるが、連続通紙などでコイルの発熱量が増えてくると、排気側では高温になった空気が流れることになる。そのため、排気側の空気量を増やすように制御しても、図5(d)に示すようにコイルの排気側が高温になる状態は解消されず、排気側のコイルの冷却効果は少なくなってしまう。従って、定着ローラの温度が不均一となり、定着ムラや画像の光沢ムラなどの障害が生じるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、誘導コイルの軸方向での温度の片寄りを防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、芯金を有する定着ローラの内部に誘導コイルと、この誘導コイルと前記芯金との間に該芯金と隙間をもって設けるボビンとを装着した誘導加熱方式の定着装置において、前記ボビンの長手方向の略中央には通気口を設け、前記ボビンの両端には前記誘導コイルの冷却を行う冷却手段を備え、冷却手段は、前記ボビンの両端に空気の吹込みを行い、吹き込まれた空気は前記通気口を通り前記芯金と前記ボビンの間の前記隙間を通り流出することを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の発明では、定着装置の駆動時には定着ローラの誘導コイルを発熱させて、現像剤を転写紙に定着させる。しかし、定着ローラが高温になりすぎると、定着装置が破損するおそれがあるので、本発明では定着ローラの両端に吹込用の冷却手段を設け、ボビンの中央付近には通気口を設けた。定着ローラの両端の吹込用の冷却手段からは、誘導コイルに向かって空気が吹き込まれる。そして、誘導コイルで発生した熱を奪いながら進んでいく。この空気は内部に進むにつれて高温となってゆくが、ボビンの中央付近の通気口を通過し、ボビンと定着ローラの芯金との隙間を通過して、定着ローラの端部から外部に排気される。
【0009】
ボビンの内側を流れる空気は距離が長いほど高温となるが、本発明ではボビンの中央付近の通気口からボビンの外側を通過して、定着ローラの端部から外部に排気されるので、ボビンの内側を通過する距離が短くなるので高温となりにくい。また、通気口から出た空気がボビンの外側を流れる際には、定着ローラの端部に向かうほど高温となるので、誘導コイルに触れる空気の温度勾配は少なくなり、誘導コイルの温度は軸方向に均一になる。従って、定着ローラの温度は軸方向に均一となり、定着ムラや画像の光沢ムラなどの障害を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、芯金を有する定着ローラの内部に誘導コイルと、この誘導コイルと前記芯金との間に該芯金と隙間をもって設けるボビンとを装着した誘導加熱方式の定着装置において、前記ボビンの長手方向の略中央には通気口を設け、前記ボビンの両端には前記誘導コイルの冷却を行う冷却手段を備え、該冷却手段は、前記ボビンの両端から空気の吸出しを行い、吸い出される空気は前記芯金と前記ボビンの間の前記隙間を通り、前記通気口から前記ボビン内に流入することを特徴とする。
【0011】
この請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明における空気の吹込みの部分を吸出しに変えたもので、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏するものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の定着装置において、前記ボビンの一端に接続した一方のダクトと、他端に接続した他方のダクトを備え、前記一方及び他方のダクトの他端に冷却ファンを接続することを特徴とする。
【0013】
この請求項3に記載の発明では、2つに分岐したダクトを冷却ファンに接続し、それぞれのダクトの先端をボビンの両端に接続したので、冷却ファンが一つですむので、構成が簡単かつ経済的である。
特に、冷却ファンが吸出用である場合、誘導コイルで発生した熱は、ボビンと芯金の隙間から通気口を通過し、ボビンの内側を通りダクトに吐き出される。そして、ダクトを通って吸出用ファンから外部に排気される。この場合、ダクトを延長すれば吸出用ファンを定着ローラから離れた位置に設けることができ、例えば吸出用ファンを画像形成装置の機外に近い位置に取り付け、定着ローラで発生した熱を吸出用ファンで集めて、機外に排気することができる。よって画像形成装置の内部が高温になることを防止でき、またダクト内を通過する間に高温となった空気が冷却されるので、機外に排気した際の排気温度を下げることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図4は、本発明に係る画像形成装置1を概略的に示した断面図である。画像形成装置1は、露光により静電潜像を形成する感光体21と、感光体21に帯電処理を行う帯電装置23と、現像剤により感光体21の静電潜像をトナー像として現像する現像装置25と、給紙装置から搬送された転写紙を、転写ベルト31方向に搬送する一対のレジストローラ対29と、感光体21に現像されたトナー像を転写するための転写ベルト31と、そして転写紙の定着を行う定着ローラ3及び加圧ローラ33を備えた定着装置35等が設けられている。
【0015】
図1(a)は、本発明の一実施形態の定着装置35における定着ローラ3付近の概略構成を示す断面図である。この図において、定着ローラ3の芯金5の内部に誘導コイル7が配設されている。本実施形態では誘導コイル7の巻装密度は一定であり、芯金5を均一に発熱させる。
【0016】
また、定着ローラ3の芯金5と誘導コイル7との間には、円筒形のボビン9が設けられている。このボビン9の長手方向のほぼ中央付近には通気口11が設けられ、定着ローラ3の両端部には、2つの冷却ファン13が設けられている。この冷却ファン13は定着ローラ3内に空気を吹き込む吹込用ファン13aか、定着ローラ3内の空気を吸い出す吸出用ファン13bの何れか一方である。尚、図1(a)の冷却ファン13は定着ローラ3内に空気を吹き込む吹込用ファン13aであり、定着ローラ3の両側から矢印A方向に送風して誘導コイル7の冷却を行っている。
【0017】
次に、上述した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。
【0018】
定着装置の駆動時には、誘導コイル7から発生する磁束の変化によって、芯金5に渦電流が生じ、ジュール熱により誘導コイル7は発熱する。この発熱した誘導コイル7を冷却するために、冷却ファン13を駆動して空気を送り込むが、定着ローラ3の両側に吹込用ファン13aを設けた場合には、この両側の吹込用ファン13aから内側の誘導コイル7に向かって、空気が吹き込まれる。この空気は内部に進むにつれて高温となるが、ボビン9のほぼ中央に設けられた通気口11から放出され、ボビン9と定着ローラ3の芯金5との隙間を通過して、定着ローラ3の端部から外部に放出される。
【0019】
図1(b)から図1(d)は、定着ローラ3の軸方向の位置における、誘導コイル7の温度分布を示すグラフである。図1(b)は、冷却ファン13を停止した状態を示しているが、一定時間の稼動により誘導コイル7の温度が上昇するが、図1(c)に示すように、冷却ファン13の稼動により誘導コイル7の温度は軸方向に一様に低下する。また連続通紙などで、さらに発熱量が増加した場合でも、本発明の構成ではボビン9の内側を流れる空気は内部に進むほど高温となるが、通気口11から出た空気がボビン9の外側(芯金5とボビン9の隙間)を流れる際には、逆に定着ローラ3の端部に向かうほど高温となるので、流れる空気の軸方向の温度勾配は少なくなり、誘導コイル7の温度は軸方向に均一になる。従って、定着ローラ3の温度が軸方向に均一となり、定着ムラや画像の光沢ムラなどの障害を防止することができる。
【0020】
また、定着ローラ3の両側に吹出用ファン13bを設けた場合には、定着ローラ3の外部から芯金5とボビン9の隙間を通過し、ボビン9のほぼ中央に設けた通気口11から空気が送り込まれる。そして、誘導コイル7の中央から両端に向けて空気が移動し、両側の吹出用ファン13bから定着ローラ3の外部に向けて空気が放出される。従って、吹込用ファン13aを設けた際と同じように、定着ローラ3の温度が軸方向に均一となり、定着ムラや画像の光沢ムラなどの障害を防止することができる。
【0021】
次に、他の実施の形態を説明するが、その説明にあたり上述した部分と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略する。
【0022】
図2及び図3は、本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態では、1つの冷却ファン13に2つに分岐したダクト15が接続され、このダクト15の先端が定着ローラ3の両端に接続されている。図2は、冷却ファン13として吹込用ファン13aを使用した例であるが、吹込用ファン13aから、それぞれのダクト15を通過した空気は、定着ローラ3の両端から内部に進入し、通気口11からボビン9と芯金5の隙間を通過して定着ローラ3の外部に吐き出される。このように、2つに分岐したダクト15を使用することにより、冷却ファン13を一つにできるので構成が簡単かつ経済的である。
【0023】
図3は、冷却ファン13を吸出用ファン13bとした例であり、定着ローラ3の外部から、ボビン9と芯金5の隙間を通過した空気が通気口11を通過して、ボビン9の内側から外側に向かって吐き出され、ダクト15を通って吸出用ファン13bから外部に排気される。このように、吸出用ファン13bを定着ローラ3から離れた位置に設けることができ、例えば吸出用ファン13bを画像形成装置1の機外に近い位置に取り付け、定着ローラ3で発生した熱を機外に排気することができ、画像形成装置1の内部が高温になることを防止できる。また、ダクト15内を通過する間に高温となった空気が冷却されるので、機外に排気した際の排気温度を下げることができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本発明ではボビン9の略中央に通気口11を設けるようにしたが、定着ローラ3の大きさや温度などの諸条件に応じて、通気口11を軸方向に複数設けるようにしても良い。また、通気口11の開口をボビン9の周方向に沿って広く設けるようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、定着ローラの両端から空気を送りこんで、ボビンの中央の通気口からボビンと定着ローラとの隙間を抜けて排気させるので冷却効果が良く、またボビンの内側を流れる空気は内部に進むほど高温となるが、通気口から出た空気がボビンの外側を流れる際には、逆に定着ローラの端部に向かうほど高温となるので、誘導コイルの軸方向での冷却を一様に行うことができ、定着ローラの温度を一定に保つことができる。従って、定着ムラや画像の光沢ムラなどの障害を防止することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0027】
請求項3に記載の発明では、請求項1および2に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、2つに分岐したダクトを冷却ファンに接続し、それぞれのダクトの先端をボビンの両端に接続したので、冷却ファンが一つですむので構成が簡単でかつ経済的である。
また、特に冷却ファンが吸出用である場合、定着ローラで発生した熱を吸出用ファンで集めて機外に排気することができる。よって画像形成装置の内部が高温になることを防止でき、またダクト内を通過する間に高温となった空気が冷却されるので、機外に排気した際の排気温度を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である定着装置の一例の構成と軸方向の位置におけるコイル温度を対比して示す図であり、(a)は定着ローラの断面図、(b)から(d)は軸方向の位置におけるコイル温度を対比して示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である定着装置の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態である定着装置の構成を示す概略図である。
【図4】画像形成装置の概略構成図である。
【図5】従来の定着装置の一例の構成と軸方向の位置におけるコイル温度を対比して示す図であり、(a)は定着ローラの断面図、(b)から(d)は軸方向の位置におけるコイル温度を対比して示す図である。
【符号の説明】
3 定着ローラ
5 芯金
7 誘導コイル
9 ボビン
11 通気口
13 冷却ファン(冷却手段)
13a 吸出用ファン
13b 吹出用ファン
15 ダクト
35 定着装置

Claims (3)

  1. 芯金を有する定着ローラの内部に誘導コイルと、この誘導コイルと前記芯金との間に該芯金と隙間をもって設けるボビンとを装着した誘導加熱方式の定着装置において、前記ボビンの長手方向の略中央には通気口を設け、前記ボビンの両端には前記誘導コイルの冷却を行う冷却手段を備え、冷却手段は、前記ボビンの両端に空気の吹込みを行い、吹き込まれた空気は前記通気口を通り前記芯金と前記ボビンの間の前記隙間を通り流出することを特徴とする定着装置。
  2. 芯金を有する定着ローラの内部に誘導コイルと、この誘導コイルと前記芯金との間に該芯金と隙間をもって設けるボビンとを装着した誘導加熱方式の定着装置において、前記ボビンの長手方向の略中央には通気口を設け、前記ボビンの両端には前記誘導コイルの冷却を行う冷却手段を備え、該冷却手段は、前記ボビンの両端から空気の吸出しを行い、吸い出される空気は前記芯金と前記ボビンの間の前記隙間を通り、前記通気口から前記ボビン内に流入することを特徴とする定着装置。
  3. 前記ボビンの一端に接続した一方のダクトと、他端に接続した他方のダクトを備え、前記一方及び他方のダクトの他端に冷却ファンを接続することを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
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